『小さな勇者ダイ』(2020.10.3)

《粗筋》
 それは15年前……顔や姿ははっきりとは見えないながら、勇者が魔王ハドラーと戦い、打ち倒す。

 それを影から見つめている黒ずくめに白ずくめという対照的な格好をした二人の男。そして、その二人よりも一段上の存在と思われる、シルエットのみで登場する怪しげな存在。勇者の勝利の影に、なにやら不穏な巨悪が隠れていることが示唆されている。

 そして、場面はとんで、倒れている女性を抱きしめている男の光景。力なく倒れている女性を抱きしめる男が、ひどく悲しんでいるのが分かる。
 そんな男女を物々しく取り囲んでいるのは、兵士らしき者達。

 女性を抱きしめていた男、不意に怒りを爆発させて飛び上がり、周囲は光に包まれる。

 場面は変わって、海。
 荒れ狂う海の中、飲まれてしまいそうな小舟。島に打ち上げられたのは、赤ん坊の乗った小舟。その赤ん坊を拾ったのは、やけに小柄で人の良さそうな怪物。赤ん坊の名前を示しているとおぼしきプレートは字がかすれているが、最初の文字はDと書かれている。

《オープニング》
 
 少年の声で、15年前に魔王を倒した勇者の伝説が語られる(ただし、このシーンに登場する勇者は、冒頭に出てきた勇者とは別人っぽい)
 勇者が魔王を倒したおかげで怪物達は邪悪な意志から解放され、人に迷惑がかからないよう南海の小島、デルムリン島で平和に暮らせるようになったという。
 そう語っているのは、明るい南国風の島で怪物に乗って元気よく走り回っている少年、ダイ。登場時は単に明るく、元気な少年というイメージ。
 勇者になりたいという夢を持っている。
 
ダイが語る話は、すべて自分を育ててくれた鬼面道士のブラスより聞いたもの。赤ん坊だったダイを拾い、育ててくれたブラスは、ダイを魔法使いにしたい様子。
 強引なぐらい魔法使いを押しつけてくるブラスに、ダイはいささか反抗期気味のご様子。膨れて、一番の友達であるゴールデンメタルスライムのゴメちゃんに愚痴っている。
 そんな折り、海に浮かぶ船とそこからやってくる小舟を発見するダイ。望遠鏡でその船に勇者達が乗っているのを知り、マーマンに乗って大喜びで勇者の元へ向かう。

 小舟で島に向かう勇者一行の様子。だが、どことなく目つきが悪く、言動も何か企んでいるような雰囲気。そんな中、突然、怪物に乗ってやってきたダイを見て驚いているが、いち早く対応したのが女僧侶のずるぽん。
 
ダイに優しく話しかけて丸め込み、ダイが怪物達を手なずているのを見て、島中の怪物を集めさせる。
 ダイの指笛で、浜辺に大集合する怪物達。
 だが、勇者達が探しているゴールデンメタルスライムが見当たらないので、ダイに連れてくるように頼む。勇者の言葉を全く疑わず、嫌がるゴメちゃんを説得して連れてくるダイ。
 
  その頃、浜辺にきたブラスは一目で勇者達がよろしくない連中だと看破する。指摘された途端、いきなり怪物達をやっつけ始める偽勇者ご一行。
 そんな折、戻ってきたダイは、あっさりとゴメちゃんを攫われてしまう。
 
  ゴメちゃんを取り戻すため、ブラスはダイに魔法の筒を授ける。
 『イルイル』の呪文で生き物を中に閉じ込め、『デルパ』の呪文で怪物を中から出すことのできる魔法道具。それに加え、魔王から授かったが中を開けたこともない筒もダイに渡すブラス。
 そんなブラスの説明をちゃんと聞いているのかいないのか、ブラスを出したり入れたりして遊んでいたダイは、真っ先にブラスを仲間にし、次々と仲間を集めてゴメちゃん救出に向かう。


 一方、船の上ではロモス王が偽勇者でろりんの報告を聞き、ゴメちゃんを献上されているところだった。ロモス王は偽勇者を褒め称え、褒美を与えようとする。
 そこに乱入してくるダイ。
 魔法の筒から大型怪物を出し、海を泳いでやってきた怪物達とも協力して船を傾け、場を混乱させてゴメちゃんを取り返そうとする。
 だが、兵士達も王を守ろうとし、ダイ達を警戒している上、偽勇者達はなかなか手強い。
 しかもゴメちゃんを人質に取られ、ダイはブラスからもらった魔法の筒から見たこともない怪物を呼び出し、偽勇者達が怯んだ隙をついて偽勇者を魔法の筒に閉じこめるのに成功する。

 ことの成り行きをずっと見ていたロモス王に説明した結果、王は偽勇者では無くダイこそが勇者の冠が相応しいと、褒美を与えてくれる。

 それから三ヶ月後……賢者のみが乗ることが許された船に乗って、パプニカ王国からの客人が訪れた。
 やってきたのは、パプニカ王女レオナ――が、凜とした印象の美少女は、未来の勇者候補のダイがおチビさんだといきなり大笑いするのだった。

  
 

《感想》
 『おぉおおおおおおおおっ、めっちゃ動いているっ!』
 と、素で叫んでしまいましたとも(笑) いやー、やっぱアニメ化嬉しいですね、なんといっても動きまくっていますっ(←当たり前)
 いや、それはいいのですが、一話からめっちゃ話を詰め込んで飛ばしているなぁと思いましたとも。

 15年前からスタートし、12年前のバランとソアラの悲恋、ダイの遭難までを一気に流していますが、名前が出てきたのがハドラーのみで初見だとなにがなんだか分からないままなんじゃ……?
 原作ファンはいいとして、初見でついていけるのか少し疑問。
 しかしアバン先生すら名前出てないのに、ハドラーのみ出る当たりがさすが裏主人公(笑)

 オープニングは、曲が割とエンディングっぽいストーリー性を歌い上げる感じなのに、登場人物を一気に出しまくったせいで一人一人の個性を見る時間が短すぎて物足りない気が。

 なんというか、曲に合わせてもう少し落ち着いてキャラをしっかりと見せるオープニングにするか、でなければ一気にキャラを紹介する画像に合わせたアップテンポな勢いのある曲にするか、どちらかにして欲しいなーと思ってしまいましたよ。

 よく動いてくれるのは嬉しいのですが、それがこんな所で徒になるとは。
 とりあえず、武器屋の店番をしているポップを見ることが出来て心底嬉しかったので、良しとしましょう! 

 そして、物語が始まり、ダイの配色や南の島の色鮮やかさや怪物のカラフルさに感心しつつ……ゴメちゃんの気合いの入りまくった艶の出し方にびっくりしました。

 え? なんでゴメちゃんの塗り、ここまで凝っているの? そりゃピカピカして綺麗という説得力が湧きますが、まさかここまでツヤツヤさせるとは思いもしませんでしたよ! アニメスタッフさん、どこに力を入れているんですかーっ?

 ついでにデルムリン島のメンバーがさりげなく変化しているのにも、注目! キラーパンサーが一番目立ちますが、本来いなかったメンバーがいたり、さりげなく降板になってるメンバーがいますね。個人的に好きだったアニマルゾンビ、いなくなっちゃってますよっ!

 んでもって、マーマン! おまえ、しゃべれたんかいとめっちゃ驚きましたっ。デルムリン島ってダイとブラス以外しゃべれる怪物がいないというイメージだったのに〜。

 そして、アニメで一番変化が大きかったのが、ゴメちゃんがロモス王国に連れて行かれるのではなく、沖の船だったってところ。
 うわっ、めっちゃ近っ。
 ていうか、こんなに近いんなら魔法の筒いらないんじゃないかとツッコみたかったです。

 まあ、一応、泳げそうになくて重量級のメンバーを連れて行くにはいい手だとは思いますが、ブラスじーちゃんなどはダイが背負っていけよと思いましたが(笑)

 っていうか、ブラスじいちゃんを連れて行くなんて思いもしませんでした! ダイの選択肢にびっくりです。
 そして、ロモス王っ、なんであんたが乗っているのと思わずツッコミましたとも。まさか、ここで登場するとは。

 原作のストーリーを忠実になぞっているように見せかけて、なんかポロポロ違いが発生しとりますよっ!?

 で、その時点で気がついたのですが……うわぁあっ、ずるぽんを捕まえて緊縛したり、禁断のレロレロ攻撃をしたり、囚われのずるぽんがお色気で怪物をたぶらかして逃げるシーンなどが一切なしとはっ。

 ずるぽん最大の見せ場がオールカットとわ……ッ、くっ、朝の健全お子様タイムでなく大人も楽しめる深夜アニメだったらと思った瞬間でした(←ダイ大アニメに何を期待しとるやら(笑))

 まあ、そんな半分冗談は置いておいて、アニメのダイは旧アニメのダイや原作のダイとは違うんだなと思った瞬間でもありましたね。

 場所が違ったせいもあり、ダイの立てる作戦も原作と違っていました。
 原作では勇者達の性格的な弱点を突いていましたが、アニメのダイは船の斜度を強くして、自分だけはそれをものともせずに動き回っていたところをみると、力押しというか脳筋タイプなのかも。

 ブラスじいちゃんの話をろくに聞かず、入れたり出したりを繰り返す当たり、人の言うことを聞かない、ちょっとおバカでやんちゃな男の子な雰囲気が強かったです(笑)

 前アニメのダイが声のイメージ的に、真面目で優等生的なイメージが強かったのとは対照的な感じで、この先に期待大です♪

 しかし、ずるぽんが人質に取ったのが原作では網に入れたスライム達だったのに、ゴメちゃんに変わっていましたね。そして、僧侶なのに持っていたのが毒針っぽかったような……?

 そして、王様へ事情に説明したのってブラスじいちゃんだったし、景気よく暴れていたのもメインは怪物だったし、よくよく考えるとダイってあんまり活躍していないような気が(笑)
 い、いや、まだまだこれからですよね、話の展開的にも。

 後、ロモス王がこれからパプニカに向かうと言っていた当たり伏線になっているなと感心しました。
 しかし、本来は前後編だったデルパイルイルだけで話を終わらせず、唐突に三ヶ月経過したことにし、レオナ登場まで話を持っていったのに、びっくりです。
 
 なんというむりくり感! 何が何でも話を先に進めたいというシナリオライターの豪腕っぷりにびっくりですよ、もう!
 しかし、ストーリーを全部書きたいのであれば、このぐらいのスッ飛ばしは必須と言えば必須ですし……まあ、序盤はガンガン飛ばして、余韻が必要な場所ではちゃんと区切りのいいところで話を次週に繋げて欲しいと思います。

 そう言えば次週予告の『ダイとレオナ姫』を見て思いましたが、アニメのタイトルは原作重視でも前作アニメリスペクトでも無く、あっさり風味を目指す感じですかね?
 しかし、予告の声……誰っ!?
 主人公らの予告が好きなだけに、ちょっとというか、大分がっかりしました〜。

 ところで、エンディングは旧アニメのエンディングを思い出させるような感覚で、ダイ、ポップ、マァムの三人旅の光景なのがなごみました〜。
 でも、一つだけツッコませてください……いつ、ダイ達が砂漠を旅したというのですか?(笑)

  
 


《おまけ・コミックスダイの大冒険》

 やった、聞いてくださいっ、新装再録版ダイの大冒険、1〜3巻まで買いました〜っ。なんといってもお楽しみは、原作者描き下ろしイラスト!
 一巻はパプニカのナイフを構えたダイ……それも超初期のデルムリン島時代のダイですね♪ ハドラーの影が、影だけなのに迫力と存在感があります。帯に隠れているのが、残念ですが(笑)
 あと、背景に見える城は多分、ロモス城ではないかと思うのですが。怪物が群れるように押し寄せていますし。

 そして二巻では、ポップとマァムが! こちらも初期のアバンの紋章入りの旅人の服姿のポップに、魔の森時代のゴーグルスタイルのマァム。
 ……が、その二人以上にぬっと思い切ったバースで描かれたクロコダインの手がインパクト強すぎです! めっちゃめだっていますよ、顔も出ていないのに……っ。
 ついでにこれだけはどうしても言っておきたいのですが、書き下ろしマァムについて……すっごくムチムチボディを強調されている気がしてなりません(笑) 帯の下に隠しておいて正解かも。
 なお、背景はパプニカの神殿跡と見ました!

 三巻の表紙はヒュンケル……って、これまでの誰よりもどアップなのはどうしてなんでしょうかね(笑) ダイやポップの全身図以上のアップなのですが! これでもかと言わんばかりに美形っぷりを主張しているかのようです。
 そして、背後に見えるクロコダインがピンク色から赤色に変更になって迫力がアップしています。

 バックに雷鳴が見える当たり、ダイとの血統を示唆しているっぽいですね。
 で、フレイザードの右手がチラッと見えているのを見てようやく気がつきましたが、三冊並べると見事に絵が繋がっていました! おおっ、こういうのって嬉しいです♪

 中身も当時のカラーページがしっかり再現されているのが、嬉しくて鳴りませんよ! 二色カラーがひどく懐かしいですね、そして旧コミックスのおまけだった呪文大全も復活しています♪

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