『勇者の家庭教師』(2020.10.17)
 

《粗筋》

 それは、何者かの命令によるものだった。
 その命令が下された途端、突然、怪物達が一斉に暴れ出した。その効果は声が聞こえる範囲だけでは無く、世界中に及ぶ。デルムリン島も例外では無かった。

 いつものように怪物の背に乗って遊んでいたダイだが、突然、怪物達の目が赤く染まり、性格も一変して凶暴化してしまう。ダイの声を無視して、怪物達同士が争い出す。
 ゴメちゃんだけはいつも通りだが、ダイは異変に驚いてブラスの元へ行く。

 だが、ブラスもまた凶暴化の影響を受けていた。
 理性でなんとか抑えているものの、気を抜くと暴れそうになる衝動は魔王が復活したからだとブラスは説明する。
 このままでは、ブラスも正気を失い、ダイを殺してしまうかもしれない……それを恐れたブラスは、ダイに小舟に乗って島を出るように促す。

 しかし、ブラスや島のみんなを気にして、島を出たがらないダイはブラスの説得に逆らう。二人が揉める間にも怪物達の狂暴化が進み、すぐ近くにまで怪物が迫ってきた。

 と、そこに登場したのが船に乗ってやってきた青年と、連れの少年。
 青年は剣を持って島中を一蹴して円を描き、マホカトールという呪文を唱える。
 それと同時に島はドーム型の光に包まれ、凶暴化していた怪物達はあっさりと落ち着きを取り戻した。

 彼の名は、アバン=デ=ジニュアール三世。
 勇者の家庭教師だと名乗る。パプニカ王に依頼され、ダイを勇者にするためにやってきたのだという。一緒に来た少年は彼の弟子の魔法使い、ポップ。
 怪物達が暴れ出しているというアバンの説明が終わるか終わらないかのうちに、ガーゴイルが二匹、デルムリン島にやってくる。

 マホカトールの結界内には入れない物の、喋るだけの知能を持つガーゴイルを放置してはおけない。
 アバンはポップにガーゴイルを退治するようにと言いつけ、ポップは火炎呪文(メラゾーマ)一発でガーゴイルを落とす。
 ポップの実力から、アバンの教育の腕を思い知るブラス。

 が、二匹目のガーゴイルに魔法封じ呪文(マホトーン)をかけられたポップは、一気にピンチに。
 ポップを助けるため結界から飛び出したダイだが、空中戦が得意なガーゴイルに苦戦し、武器を落としてしまう。

 そんなダイに、アバンが投げ渡したのが『由緒正しい伝説の剣』。ダイは長剣を手に、海ごとガーゴイルを真っ二つに切ってしまう。
 それを見て、ポップは先生の剣の威力はすごいと思ったようだが、実はアバンが貸したのは安物の剣……つまり、それはダイの実力。
 思った以上の逸材だと、感心するアバン。

 しかし、大魔法を使って疲れているからと、アバンは修行は明日から行うと宣言する。
 張り切るダイには水を差された形だが、翌朝から修行が始まった。

一刻も早く勇者になるため、アバンの進めるスペシャルハードコースを受けるダイは早朝から石を三つも引きずって体力作りのマラソンに始まり、巨大な岩を剣で割る訓練に繋がる。
 初日の課題だと言われたが、ダイには岩を割ることは出来なかった。

 その後、寝坊していたポップも加わり、通常訓練の行われる。
 剣や体術の訓練は難なくこなすダイだが、どうも魔法系は苦手。そんなダイを見て、ポップはこれなら魔法では抜かされないと安心した様子。
 とは言え、大波を凍らせる魔法を使えるポップも、どうにも詰めが甘く、まだまだ未熟な模様。

 くたくたにくたびれたダイに、アバンはもう一度石を割る訓練をやり直させる。朝は何度も試したのに失敗したその訓練は、今度は見事に成功した。

 アバン曰く、ダイには元々この岩を割るぐらいの力はあったのだという。だが、力の使い方に無駄が多く、果たせなかった。疲れ切った今だからこそ、身体が楽な動きを選択し、切ることが出来たと説明する。

 ダイの急成長振りに内心焦りを感じるポップ。が、アバンからスペシャルハードコースに誘われても、ポップが寝たふりをして知らんぷり。

 二日目の修行では、木の枝で打ち合いの稽古をするアバン。
 ダイの剣術を見込んだアバンは、自分の決め技であるアバンストラッシュを放ってみせる。
 
 アバンストラッシュを覚えるためには、その前に大地斬、海波斬、空烈斬を習得しなければならない。通常訓練後に暗くなるまで特訓し続けた結果、ダイは見事に大地斬を習得した。
 
 ダイを気にしてか特訓を隠れてみていたポップにダイの手当を命じ、いそいそと夕食の支度に励むアバン。
 アバンにとってはダイの成長も嬉しいが、ポップがダイの特訓を気にする様子なのも嬉しい。

 ポップは難しい課題を嫌い、すぐに諦めてしまうタイプで、なかなか修行に身を入れてくれなかったのだという。だが、ダイの存在が刺激になっているようだ。

 その頃、ダイの手当をするポップは、ダイがなぜそんなに頑張るのかを聞いていた。他愛のない会話を交わし、少し仲良くなった様子だ。

 三日目、アバンはダイとブラス、ゴメちゃんを連れて家から少し離れた場所へ向かう。
 これから行う修行は本気でやらないと死ぬ危険があると、忠告するアバン。だからダイも剣を使って、本気で斬りかかるようにと命じる。
 これより、アバンの身体は鉄よりも固くなるから、と――。

 そう言ってアバンが唱えた呪文は竜変化(ドラゴラム)……一匹のドラゴンが、ダイの前に立ちはだかった!

 
 

《感想》

 な……な、なぜ……なぜっ『……困った子ですねえ……』を削ったんだぁああああーーーーっ。
 と、朝も早くから叫びましたとも!

 ええーん、アバン先生のセリフで一、二を争うほど楽しみにしていたセリフだったのにー。
 正直、原作には無かった修行を明日からにする理由を説明するぐらいなら、そっちを省いて欲しかった物です。
 
 まあ、大魔法を使った後は実力が出せなくなる=魔王ハドラーに負けても仕方が無い、という伏線のための説明なのでしょうが……でも、楽しみにしていたセリフだっただけに残念無念。
 
 とりあえず話の展開を早める努力は買いますが……今回は画像的に納得いかない部分もちらほら。

 まず、浜辺でのランニング! 重いはずの石が、まるでただのボールのような動きじゃないですかー。タイヤを引きずったのなら、勢いをつければ弾むからロープにたるみが発生するなどの動きがあっても良いと思いますが、石というか小さな岩を引きずるのなら、砂に半ば沈んだ方が自然っぽくないですか?

 欲を言うのなら、最初は重みでずるずるとわずかしか動かせず、次第に勢いがついて転がり出す、的な描写が欲しかったです。

 同じく特訓シーンで、ダイとアバンの打ち合いシーンにも不満がっ。
 あまり動かない感じで軽く木の枝を振っているだけのアバン先生に不満はないです、でもダイの打ち込みも動くが少なくて軽く見えてしまうのが、非情に残念です〜。

 ダイの動きは、ジャンプも織り交ぜた三次元的な多角さが魅力なので、訓練の時のダイにも無駄なぐらい派手に動いて欲しかったです! そんな勢い任せのダイを、アバンが軽くあしらってこそ、実力差が目に見えると思うのに〜。

 アバンストラッシュの時も、ダイがもう少しダメージを受けている感じが欲しかったかも。

 まず、ダイが威力に驚き、痛みを感じることでその威力を実感し、そんなすごい技を自分も覚えることが出来ると分かって喜ぶ……そういう流れでしょうに、驚く→即喜ぶ、展開になっているんですよね。第三者の視点で見ているならともかく、これではわざわざ本人が技を受けた意味が薄れるような気が。
 スピーディーさを目指すあまり、余韻が感じられないんですよね。

 展開を急ぐあまり、テンポを速めている箇所で残念なのはポップのガーゴイル退治もそうでした。

 原作ではポップのメラゾーマを見て、ブラスはまずポップの実力に驚き、そこまで弟子を育てたアバンに感心していています。が、アニメではいきなり、アバン先生の教え方に感心していますし〜。
 序盤では貴重なポップの見せ場が〜っ。

 授業風景も駆け足すぎて、少し寂しい気が。
 ダイとポップの体術の訓練は、もうちょっと見てみたかったです。瞑想の訓練で、ダイがポップに何をしているのか聞く所などは、好きなのですが。

 そう言えば、ダイが岩を切るシーン、目を閉じている間に終わらせちゃうのはいくらなんでも手抜き過ぎませんかね!? そこはダイ視点ではなく、視聴者目線でしっかりと見せてくださいよっ。

 アバン先生の変身シーンも、途中過程が見たかったのにー。アニメならではの変身を期待していたのに、一コマで一気に変わる原作になぜ、そこだけ寄せようとするんですかっ!?

 後、前々から思っていましたが、ポップのマジカルブースター……妙にごつくて大きくないですか?(笑)
 原作寄りも明らかに大きめな気が。

 大きいと言えば、ダイの身長とポップの身長差が原作後期に近い感じでしたね。レオナの時もあれっと思いましたが、ポップと並ぶとよりはっきりしましたよ!
 うん、ここはよしっ♪ 旧アニメではダイと他キャラの身長差が原作初期を参考にした感が強かったので、後期の身長差がいいのになぁと思っていただけにここは大満足です。

 次週では早くもハドラー登場するのが楽しみですが……しかし、今回の引き的に見せるのなら、強敵ドラゴンとの戦いを想像させる予告の方がよさそうな気がするんですが……本当に、ストーリーを急いでいますね。

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