『獣王クロコダイン』(2020.11.7)
 

《粗筋》

 翌朝、ダイはブラスと共に浜辺にいた。
 小舟を用意したダイの心は、決まっていた。アバンの遺志を継ぎ、大魔王バーンを倒すために旅に出よう、と。

 ダイのその決意を聞いて、ブラスはここから一番近いロモスに行くようにと進める。自分は島から外に出ればまた魔王の手下になってしまうので、一緒には行けないと残念がるブラス。島の怪物達も、ダイとの別れを惜しんでいる様子だ。

 そんなブラスに、ダイはポップのことを聞く。
 アバンの死にショックを受けたポップは、まだ眠っているらしい。ブラスにポップのことをよろしく頼むといい、ダイは一人、旅立つ決意を固める。

 その頃、ポップはダイとブラスの家で休んでいた。
 アバンが死ぬ寸前のことを夢に見て、跳ね起きるポップ。彼はダイが旅だようとしているのを見て、追いかける。

 おれを置いていくなと、小舟を必死に追いかけてくるポップに、ダイは手を伸ばす。
 二人はしっかりと手を繋いで、ポップは小舟に引き上げられた。

 もっとも、いっしょの船に乗った割には、ポップは自分は魔王軍と戦う気は無いと突っぱねるツンデレっぷりを発揮するが、それでも二人は青空の下、デルムリン島を旅だった――。

 三日後、暗い森の中で幼い少女が怪物に追いかけられていた。だが、あわやというところで少女を救うダイとポップ。
 母親のために毒草を探しに森に来て迷子になってしまったミーナという少女は、自分を村に連れて行ってとダイ達に頼み込む。

 が……ダイ達も、迷子だった。
 それを聞いて、一段と泣くミーナ。ポップは、ダイが任しておけと言ったくせに三日も森に迷っているのが不満でならないらしい。
 
 一方的にダイに文句をまくし立てるポップ。
 が、そんな彼にさっき倒したはずの怪物が襲いかかろうとしていた。それを、遠くから放たれた魔法攻撃が追い払う。

 魔法に似た、だが銃から打ち出された攻撃に目を見張るダイとポップ。
「詰めが甘いね、魔法使い君」
 と、冷やかされたことで相手にくってかかるポップだが、相手が女の子と分かってビックリ。

 マァムと名乗った少女は、近くにするネイル村に住んでいる。この村の近く森はもともと迷路のように複雑な上、魔王が現れて以来、怪物が増えて魔の森と呼ばれるようになったのだという。
 
 ミーナを助けてくれたお礼に村に泊まるようにと誘うマァムに、ダイもその気になるが、ポップはちんけな村に泊まるよりもさっさと王宮に行った方がいいとダイにこっそり囁く。

 だが、それが聞こえてしまってマァムは機嫌を損ねてしまい、ポップとの口喧嘩に発展する。売り言葉に買い言葉の勢いで、ポップはムキになってダイを引きずって森に向かっていってしまう。

 ダイ達がいなくなった後、ミーナは荷物が忘れられているのに気がつく。その中から飛び出すゴメちゃん。
 マァムが警戒して銃を向けるが、ミーナが怯えるゴメちゃんを可哀相と庇う。

 それを見て、マァムは荷物ごとゴメちゃんをダイ達に返してやろうと決心するが、その前にミーナを安全な村まで送ろうとする。






 その頃、悪魔の目玉を通じてハドラーがクロコダインと連絡を取っていた。
 ロモス攻略を命じられた獣王クロコダインは、この国の戦士の手応えのなさに不満を抱き、攻略を部下任せにしている様子。

 ハドラーはそれを咎めないが、別件としてダイの討伐を命じる。
 悪魔の目玉を通じてダイの姿を見たクロコダインは、子供を相手に戦えというのかと笑い飛ばすが、ダイがハドラーに手傷を負わせたことを聞き、一転して戦う気になる。







 舞台は、また魔の森へ。
 ポップの意地っ張りに付き合わされて、森の中を迷い続けているダイ。まだマァムへの不満からあんな女は気に入らないと文句を言うポップに、どんな女の子がいいのかと聞くダイ。

 美人でグラマーでお金持ちでおれのいうことを何でも聞いてくれる娘がいい等と抜かすポップに、しみじみとわがままだなぁとぼやくダイ。
 そんな間の抜けた会話をしている所に、森がざわめき出す。木を切り倒して、突然、登場するクロコダイン。

 警戒するダイに対して、クロコダインは自分は魔王軍六団長、百獣魔団長だと名乗る。
 魔王ハドラーの配下、六団長――彼はその一人であり、ダイを抹殺するためにやってきたのだと。

 そこまで話を聞いて、ハドラーの手下ならたいしたことが無いと、突如、大口を叩き始めるポップ。ハドラー戦ではなにもしなかったのにと、ちょっと呆れるダイをよそに、ポップは火炎呪文をクロコダインに打ち出した。
 だが、息だけでかき消されてしまう。

 六団長は得意分野ではハドラーに勝る力を持っており、腕力ではハドラー以上だと宣言するクロコダインに対して、ダイは油断せずに戦おうとポップに小声で話しかける。

 しかし、ポップは共闘するどころか、その場をそそくさと逃げ出してしまった。
 がっくりする物の、気を取り直して戦い始めるダイ。
 ダイの構えを見て、クロコダインは彼がハドラーを倒した勇者アバンの剣術を受け継いだと察知する。

 敵の力を認め、ますます意気盛んになり巨大な斧を振るうクロコダイン。真空呪文の力を封じ込めた斧は距離を取れば牽制魔法を、近づけば必殺の一撃を叩き込んでくる厄介な武器。
 おまけにクロコダインは巨体に見合わぬ動きの素早さがあり、ダイも苦戦する。
 だが、それでも素早さでクロコダインを攪乱しようとするダイは小刻みに動き回る――。






 その頃、一人逃げ出したポップはライオンヘッドに出会って追いかけられていた。そこで出会ったマァムは、ポップを横に飛び退かせ、自分は真正面からアイオンヘッドに槍で重い一撃を叩き込む。
 マァムに助けられたポップだが、ダイはどうしたかと聞かれて、しどろもどろに。

 油断なくライオンヘッドに魔弾銃を打ち込む彼女に驚くポップは、彼女がアバンのしるしを持っていることに気づく。だが、ペンダントを確かめる際にマァムの胸を触ってしまったことで彼女をカンカンに怒らせてしまうのだが……。





 その間も、ダイとクロコダインの戦いは続く。予想以上の動きを見せるダイに、さすがのクロコダインも翻弄されている。めったに使わない奥の手のヒートブレスを使い、ダイの動きを止めるクロコダイン。

 彼がダイに止めを刺そうとした時、マァムとポップが飛び込んできた。ダイのピンチを見てポップは逃げろと叫ぶが、身体が麻痺して動けないダイ。クロコダインの放つ真空の斧の効果で、ポップ達はダイには近づけない。

 そんな状況を見たマァムは、魔弾銃を取り出す。
 それでクロコダインを攻撃するのかとホッとするポップだったが、マァムの狙っている先は倒れたダイ。
 慌てるポップをよそに、マァムは冷静にダイに向かって魔弾銃を放った――。


《感想》

 なぜ、ポップ関連のシーンを大幅カットにしたのかっ!! と、声を大にして叫びたいっ! いや、アニメ視聴中にマジで叫びかけましたが!
 武器屋の息子だったポップが、旅人のアバンに憧れて押しかけ弟子になったエピソードを、なぜにまるまるカットぉ〜ッ!?

 個人的な不満が多かった旧アニメで一番と言ってもいいほど気に入っていたポップの武器屋の息子エピソードが、リメイク版で増やされることを密かに祈っていたのにーーっ。
 っていうか、オープニングで武器屋の息子をやっているポップをあれほどしっかりと描写しておいて、なぜに物語中で語ろうとしないのですか、セニョリータッ!?

 さらにさらに不満なのが、ダイの台詞改変。
 原作でお気に入りの「ポップのこと、起こしちゃだめだぜ」ではなく、ブラスにポップをよろしくと頼んでいるのが不満でなりませんっ。

 これは旧アニメでも同様に不満だった箇所だったのに、リメイク版でも改善されていないだなんて! 旧アニメでブラスが、ポップが落ち着いた頃を見計らって家に帰るように説得すると言っていた台詞も省略されていたので、本当にポップに対する処遇を削りまくりですね。

 ダイとポップが、ライオンヘッドに遭遇するエピソードも省いていましたし! ライオンヘッドにビビりまくるポップや、ライオンヘッドさえ逃げ出すクロコダインの咆哮のすごさのエピソードがなくなったのにはガッカリです〜。

 ついでに言うなら、マァムのエピソードもかなり省かれていますね。
 原作では、マァムが一度村に戻って彼女が村の守り手であることが分かるエピソードがあり、そこでミーナがゴメちゃんを発見する下りになっていて、クロコダインの咆哮を聞いてから魔の森で何かあったと気づいて戻る、という流れでした。

 が、アニメではミーナが森の中で早くもゴメちゃんを見つけ、ダイにゴメちゃんを帰そうとその時点で決めて、その前にミーナを村へ送ると発言しています。実際に村に送るシーンもないので、シーン、大幅カットですね。
 うう、また物語を急いでいる〜っ。

 後、旧アニメの時も思いましたが、マァムの体型が女の子っぽすぎて、ポップが彼女が女だと触るまで分からないエピソードって、やっぱり無理があるような。

 ダイとポップがポンチョ風の衣装を着ているように、マァムにも短めで良いからマントを着て一見して体型を分からないようにすれば『実は女!』の暴露シーンが引き立つのになぁと思いました。

 マントはすぐにミーナに羽織らせれば、マァムの優しさを印象づけると同時に、スタイル表現もできちゃいますしね。ついでに言えば、ミーナがマントを羽織ったら、赤ずきんちゃんみたいで可愛いと思うし〜。

 出番少ないのに、ミーナ、演技に気合いが入っている感じでいいです! 可愛い女の子役って感じで、マァムよりもヒロインっぽい気が。
 いやまあ、マァムはさっぱりとした女っ気のない雰囲気がよかったですけど♪

 女の子っぽかったレオナと比べると、マァムの方がさっぱりした雰囲気がするなと感じました。
 二人が会話するシーンが今から楽しみです♪

 でも、今回は初登場時からマァムがアバンのしるしを胸に下げているのが確認できて、凝っているなぁと感心。肌色に金色の鎖は目立ちにくいのですが、よーく目をこらせば彼女の胸の谷間にねじり込まれるように鎖が入っているのが見えました。
 い、いやっ、別に胸ばっかり注目していたわけじゃないですよっ、ええ、決して! 確かに旧アニメよりもサイズアップしたなとは思いましたがっ。

 カット三昧が寂しかったとは言え、ポップが女の子の好みを語り、ダイがわがままだとぼやくシーンが入っていたのは嬉しい限り♪
 でも、こうやってポップの好みをあらためて聞くと『チートラノベの主人公気取りか、おまえはっ』とツッコみたくなりますね(笑)

 物語的に飛ばしていたところは色々と気になりましたが、でもクロコダインの活躍っぷりは見事の一言!
 旧アニメのどピンクに比べて、もっと落ち着いた感じのオレンジがかったピンクな色と、動く度に鎧がガシャガシャと金属音をたてるところが気に入りました♪

 いかにも鎧を着けている感がして、動きが重厚な感じがしますね。
 思っていた以上に俊敏な動きにはビックリしましたが、ダイがそれ以上にスピーディーに動くので文句はないです。
 ダイを真っ二つに切ったかと思ったら残像だったという表現も、良い感じでしたし。

 なにより、あの渋い声!
 はっきりいって好みです〜♪ 深みがある感じで、武人感が半端ないです!
 ハドラーではなくクロコダインが六軍団のと口調について語っていましたが、ベリーナイスッ。

 ハドラーの声も好きですが、クロコダインもいいですねえ。軍記物を聞くなら、クロコダインの方が合っている感じがします。
 ダイに敗北して、追い詰められるところで演技がどう変化するのかが、見物ですね。


《ダイの大冒険新装版4巻&5巻の感想》

 買っちゃいました、4巻、5巻! おおっ、フレイザーとを背景に仁王立ちのレオナのりりしさに惚れ惚れします〜。背景のフレイザードの炎の半身を背負っているせいか、髪の色合いが赤みを強くした茶色なのでより凜々しく見える感じが。

 フレイザードの炎側の腕が、まるでカイザーフェニックスの翼のようで妙に格好良いです!
 五巻ではアバンストラッシュを放ったダイのアップが、いい感じ♪ 竜の紋章もちゃんと額に浮かんでいるし、周囲に瓦礫が飛んでいるあたり、フレイザード戦の核を打ち抜くシーンかな。

 でも、背後にはよく見ると鬼岩城らしき岩山も見えますね。次の場面がどこに繋がるのか、誰が登場するのか楽しみです。
 ダイが再び登場したところを見ると、ポップの再登場もアリだといいなぁ。

 一巻でもそうでしたが、ダイの髪が茶色をベースにした黒、ポップの髪がコンをベースにした黒と、特徴が分けて描かれているのも嬉しい限りです。

 でも、四巻ではカラーページが少ないのが寂しいです。でも、その代わりと言っては何ですが、表紙が当時の表紙に戻っているのは嬉しい限り。文庫版では略された表紙などもちゃんと復活しているし、キャラクター人気投票や、ザボエラの魔王軍解説、キャラクター名鑑なども復活しているのは嬉しいところ。

 五巻では、巻末に大量のカラーイラストがあるのが嬉しいです♪
 初期の頃のおまけカットや、単行本化されなかったジャンプの表紙などもあって、懐かしさ満載ですね。

 ただ、順番と大きさがバラバラなのがちょっと。全イラストを原寸大とまでは言いませんから、せめて旧コミックス表紙などは順番に並べて欲しかったですよ〜。

 後、ジャンプの表紙用のキャライラストは背景全くナシのキャラのみなので、少し寂しい感じが否めません。もうすこし、レイアウトやバックが欲しいところ。まあ、贅沢を言ってちゃキリがないですけどね。

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