『マァムの想い』(2020.11.14)
  

《粗筋》

 マァムの撃った魔弾銃はダイに当たり、魔法の光が彼を包む。その結果、ダイは麻痺が解けて自由に動けるようになった。
 マァムはダイを攻撃したのではなく、麻痺を解くキアリクの呪文の入った弾で彼を撃ち、援護したのだ。
 魔弾銃は攻撃だけでなく、回復の呪文も使える攻防一体の武器だった。
 
 しかし、麻痺はとけてもダイの劣勢には変わりは無い。
 マァムは援護のため、ポップに氷系呪文を弾に詰めるように急かし、その弾をクロコダインの斧に向かって撃つ。

 見事に斧が凍りついたせいで、真空呪文も止まった。それを好機とみたダイは、一際高く跳び上がってクロコダインに斬りかかる。
 ちょうど、夜明けの太陽と重なったせいでまぶしさに目がくらみ、逆光となったダイの動きを捉え損ねたクロコダインに、ダイが会心の一撃を放った。

 片目を潰され、その激痛と、なによりも敗北の屈辱に吠えるクロコダイン。彼は捨て台詞を残して、地面に大穴を開けてそのまま撤退した。

 なんとか強敵を追い払ったことでダイは、マァムに回復呪文をかけてもらっていた。一人逃げ出したポップに対してはマァムは当たりがきついが、共闘したことと、アバンの使徒として仲間意識が芽生えたようだ――。

 





 その頃、デルムリン島では侵入者が島に入り込もうとしていた。ハドラーでさえ手こずったマホカトールの中に、苦も無く入り込んできたのは妖魔司教ザボエラ。
 不気味な老魔道士は、どうやらブラスが目当てでここに来たらしかった。





 一方、ダイ達はマァムの案内でネイル村に来ていた。
 若い男性が極端に少ない村には、一足先に村に来たゴメちゃんがいた。再会を喜ぶダイ。
 
 マァムは、母のレイラを紹介する。
 アバンの仲間だった戦士・ロカがマァムの父であり、僧侶・レイラがマァムの母親だった。
 アバンは元気かと聞かれて、口ごもってしまうポップだが、ダイは元気だと嘘をついてしまう。

 仲良くなったダイ達は、マァムからアバンの話を聞く。
 数年前、まだマァムが幼かった頃に村にやってきたアバンに、武術と回復魔法を習ったのだという。
 だが、攻撃魔法が使えないマァムのために、アバンは魔弾銃をくれた。

 卒業の証としてアバンのしるしを受け取ったマァムだが、銃という武器を怖がって泣きだしてしまう。人を傷つけるような武器は持ちたくないというマァムに対して、アバンは優しく諭す。

 正義なき力が無力であるように、力なき正義もまた無力なのだ、と。
 あなたが使う限り、この武器が正義なき力になることはないと保証してくれたアバン……。
 優しかった師を思い出し、涙ぐむマァム。

 生意気だと思っていた少女の意外な一面を見て、ポップはときめきを感じる。だからこそ、彼女の魔弾銃の弾を詰めるという親切をしようとするのだが、正直すぎるダイのフォロー(?)のせいで好印象を持たれたとは言い難かった。

 しかし、マァムからアバンの思い出を聞いたことによって、ダイはますます本当のことを彼女の言えないと思う。同時に、もっと強くなりたいと思ったダイは、村で一番の魔法の使い手だという長老のところに修行をつけてもらいにいく。

 アバンの使徒に教えるほどの実力は無いと尻込む長老に、ダイはアバンが無くなったこと、そのせいで修行が中途半端に終わったことを訴え、協力を仰ぐ。
 ――だが、そのダイの会話をマァムは偶然聞いてしまった……。

 苦手な魔法の特訓に励むダイ。
 狙い通りに飛ばない炎を、ダイは無理矢理掴んで放り投げるという荒技で対処する。ポップは呆れるが、長老は魔法は使い方次第だと肯定的だ。
 そして、長老はダイが額に紋章が浮かんだ時だけ、すごい魔法を使えるようになると聞いて、伝説の騎士の話を思い出す。





 その頃、クロコダインは荒れに荒れていた。
 ダイに敗北した屈辱に荒れ狂うクロコダインに、配下の怪物達も遠巻きに見ているだけだ。が、そんな時に現れたのがザボエラだった。
 ザボエラはクロコダインに、必勝の方法を教えるという。
 誇り高き獣王はそれをはね除けるが、ザボエラは言葉巧みにクロコダインを丸め込む――。





 ネイル村では、ダイ達が明日旅立つとマァムに話していた。
 元気のないマァムだが、ポップもマァムを気にしている様子。マァムに本当のことを打ち明け、一緒に旅をしたい様子だが、ダイにからかわれるとさっさと話を打ち切って寝てしまう。

 翌日、旅立つダイとポップ。
 それを見送るマァムだが、村を守りたい気持ちと二人と旅に出たい気持ちの板挟みになっている。

 そんなマァムに、母・レイラは旅に出るようにと励ます。村人の後押しもあって、マァムは二人を追ってかけだした。
 二人に追いつくなり、リーダーシップを発揮するマァム。しかも、アバンの死を知っているかのような口ぶりだ。

 思わず事情を聞きかけたポップだが、マァムは話は後と、先頭を切って歩き出す。その後を追うダイとポップ――三人の旅の始まりである。 

 

《感想》

 『なんでおっぱいがらみの台詞をオールカットしたんだっ!』
 今回の最大感想は、なんといってもこれっ!
 マァムの家での男子トークで、ポップの純情スケベっぷりとダイのガキっぽさの溢れたあのやり取りが好きなだけに、このカットが残念でなりませんっ。

 うぁああっ、なぜに肝心なシーンを抜いちゃうのかなー!? 
 ブラスじいちゃんが魔法陣の説明をするシーンだけはくどいほど繰り返しているのに、なぜにポップの名シーンばかりが削られる!?

 ポップがマァムの涙を見た直後、『こいつって結構……』と言葉を濁す感じはよかったんですけど。
 それに、アバンの死を聞いた後でマァムの表情を一切見せず、後ろ姿からのカットを多用した演出など、こういう形で視聴者の想像力を刺激しつつ省略するカットは良いと思うんですけどね。

 回想シーンでも、背景を省略して白い雰囲気にしたのは実に好印象でした♪ そういえば今回気がつきましたが、マァムのアバンのしるしは金鎖なのに、ダイとポップのアバンのしるしは紐状なんですね。

 後、不思議なのがマァムが持っていた荷物の変化。
 原作では薪を持っていたのに、リメイクアニメでは籠に入っている皿のような物に変えた理由が分かりません。

 最初に見た時『ははーんっ、ショックを受けたマァムが籠を落として皿が割れることで、彼女のショックや心理を演出するんだな!』と想ったのに、推理が大ハズレで地味にショックでした(笑)

 他にもマァムがかなり仕切っている感じなのが、ちょっと残念です。
 原作では彼女が先輩風を吹かせたことは一度も無いので、あそこまで前に出て行くのはイメージが違う気が。
 それに、アバンの死について知っていると、この時点で臭わせるのも、イメージと違う〜っ。

 これでは、ポップが逃げ出した時にマァムが全てを知っていたと知るシーンが心配になるのですが〜。っていうか、リメイクアニメで削りまくる点ってポップに絡んだシーンが多くないですか!?

 ダイの魔法練習シーンを時間をとって描いたのは、いい感じですが。
 少し前にポンと飛び出る感じで、ダイがその後を追うように炎をすくってぶん投げる演出は、よかったです。

 原作にはない、足でサッカーのように蹴飛ばすシーンとか、メラではなくヒャドの出来が悪くて、ポップがホッとするシーンとかが加わったのは嬉しいけど、でも、新演出を入れる前にポップの原作イベントを削らないで欲しいのですがーー。

 それとダイの印象の変化が、面白いです。
 旧アニメでは声優さんの影響か、演出のせいか、良くも悪くもいい子で天然、悪気なくぽろっとポップにとって都合の悪いことを言ってしまう感じでした。

 リメイク版では、やんちゃだからこそ言いたいことを言っている印象に感じます。割とレオナに近い感じですね。ポップが逃げたことに対して軽口を叩くシーンや、マァムに親切にするポップを見て、『ポップが人のためになにかするなんて珍しい』と冷やかすシーンがしっかりあったのは、嬉しい限り。

 ザボエラ……意外と声が若い。っていうか、相手を小馬鹿にしつつも結構知的な雰囲気で驚きでしたよ〜。ノリノリの○葉繁的な、もっと弾けた演技を期待していたんだなーと、実際に声を聞いてから気がつきました。
 この声、個人的にはむしろザムザなイメージかも。

 まあ、今回はザボエラがヒステリックに騒ぎ立てるシーンがなかったので、次回以降に期待ですね。

 そう言えば、クロコダインの目の傷で流血が無かったのが残念ポイント。戦いはすごく良い感じだったし、特に夜明けでダイが太陽を背負った逆光になる演出などは、すっごくお気に入りなのですが。

 ハドラーの時はしっかり流血していたのに、クロコダインは流血なし?
 やっぱり、血の色の関係ですかね。

 はっ、それともアニメ版クロコダインはリザードマン要素を強くして、トカゲの尻尾のごとく身体がスパッと切れて血が出ない設定? ……そんなクロコダイン、やだ(笑)

 さらに今回の最大不満は、レイラさんっ。
 違和感大爆発です、申し訳ないですがあれはちょっと……っ。地味でも良いからもっと素朴でいながら優しく、自然な演技を期待していたのにっ。

 ミーナちゃんが割と可愛くて良い感じだったのに対して、いかにも台本を読んでいるだけのようなわざとらしさを感じる台詞には拍子抜けしました。
 長老様がちょい役ながら良い味を出していたのに、なぜヒロインの母親役というレイラに手を抜いたのか。
 もう少し肩の力を抜いた感じというか、自然な演技ぷりーずっ。
 

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