『百獣総進撃』(2020.11.21)
  

《粗筋》

 夜の森の中を駆けるダイ達は、ロモス城まで辿り着いた。
 だが、すでに夜になっていたため城は閉門され、朝まで明けることが出来ないと言われる。ポップが調子よく開けてくれるように頼んでも、兵士達は聞いてくれず追い払われる。

 仕方なく宿屋に向かった三人は、勇者が宿に泊まっていると聞く。それを聞いて勇者に会いたいと押しかけるダイ。が、そこにいたのはダイと因縁深い偽勇者一行だった。とりあえずは改心したらしいが、今ひとつ本気さが感じられないちゃらんぽらんな偽勇者一行だった。

 翌朝、クロコダインは葛藤の中にいた。
 ダイにやられた汚名を返上するため、クロコダインはどんな手を使ってもダイに勝とうと決意する。

 雄叫びを上げて配下の怪物達を呼び寄せたクロコダインは、ロモス城に総攻撃を仕掛ける。
 それは、ダイをおびき寄せるための進撃だった。

 その騒ぎは宿屋にいたダイ達にも聞こえていた。
 ロモス城へクロコダインが向かっていることを知ったダイは、即座に武器を手に城へと向かう。

 マァムも身支度を調えて続こうとするが、偽勇者一行らは保身に走って動こうとしない。自分の命が一番大事だと主張する彼らに、調子よく便乗するポップに詰め寄るマァム。

 ポップも一緒に行くと当然のように考え、叱責するマァムだったが、ポップは戦いたかったわけじゃないと反発する。ダイの巻き添えになりたくないと臆病風を吹かすポップを、マァムは張り倒す。

 いきなり暴力を振るわれたポップは怒ろうとするが、マァムの顔を見て動きを止める。
 マァムは――泣いていた。

 アバンから何を習ったのかと、ポップを叱責するマァム。ダイやポップがアバンの遺志を継ぐと信じていたマァムにとって、友達を見捨てようとするポップの態度は許せる物ではなかった。
 あんたなんか最低だと言い残し、マァムは武器を手にダイの後を追った。

 でろりんを初めとする偽勇者達は、そんなマァムをすごい女だと呆れたように見送るだけだが、魔法使いのまぞっほだけは言い返しもせずに俯くポップに注目していた――。

 一方、ロモス城では攻め込む怪物達とロモス兵達の戦いが始まっていた。劣勢なロモス兵達は、ロモス王に避難を勧告するが王はそれを拒否する。
 王だからこそ逃げることは出来ないと宣言するロモス王だが、そこに天井をぶち抜いてクロコダインがやってくる。

 クロコダインはロモス王に対して、敵意も関心もない。だが、ダイをおびき寄せるために、ロモス王を殺そうとするクロコダイン。
 そんな折、ダイが王間へと飛び込んできた。

 ダイは覚え立てのメラの魔法を使ってクロコダインを攪乱し、ロモス王を助け出す。そこへ駆けつけるマァム。
 そんなダイを見て、クロコダインはあらためて彼の成長ぶりを認める。凄まじい成長速度……だからこそ、今のうちに倒さねばならないとクロコダインは最後の覚悟を決める。

 ザボエラに授けられた魔法の筒を取り出すクロコダイン。
 その一部始終を、ザボエラは悪魔の目玉を通じて見ている。
 それを知ってか知らずか、筒から怪物を呼び出すクロコダイン。現れたのは鬼面道士――ダイの育ての親のブラスだった。

 マホカトールのかかった島から連れ出されたブラスは、魔王の波動により凶悪な怪物へと変化していた。兵士達にメダパニをかけ、ダイのことも分からずに攻撃を仕掛けてくるブラス。

 ダイはなんとかブラスを元に戻そうと必死に呼びかけるが、通じない。力尽くで押さえ込んでも、優しいブラスのことを思えば自分からは攻撃できずにいる。
 そんなダイの迷いも知らず、ブラスはメラミをダイに叩き込む。

 ブラスを思って、涙するダイ。
 ブラスを攻撃しようとするマァムだが、ダイに懇願されて攻撃の手を止める。その代わりとばかりに、マァムはクロコダインに向かって正面から文句をつける。

 武人として恥ずかしくないのかと責められ、揺らぎながらもクロコダインは勝利を求めると宣言する。
 その行動は遠くからこの場を見ているザボエラの思惑通りだった。

 軍団長を掌で転がすかのように操っているザボエラは、ハドラーへの途中経過報告も欠かさない。それを聞いたハドラーもまた、ザボエラの入れ知恵を受けたクロコダインの勝利を確信していた。

 しかし、ダイは諦めずにブラスを取り戻そうとしていた。
 クロコダインの持つ魔法の筒を奪い取り、ブラスを封印し直せば保護できると考えたのだ。それに賛成し、協力するマァム。

 二人の攪乱作戦は巧くいくかと思われた――が、皮肉にもブラスの攻撃によってダメージを受けていたダイのスピードが半減していたため、失敗する。
 ダイに対して、クロコダインは止めとばかりに渾身の必殺技を叩き込む。
 獣王痛恨撃――城の外からでも見える威力の攻撃に、宿にいたポップもハッとする。

 床を削り、壁に大穴を開けた一撃の破壊力は凄まじかった。倒れたダイを見て、クロコダインは己の勝利を宣言した――。

 

《感想》

 今回の一番の感想は、この一言……『ヤだ、この魔王軍ってば超かっこいいっ!』
 あ、あれ……、ポップの出番(ただし、ヘタレさ強調)がやっと巡ってきた回なのに、それ以上に魔王軍らの活躍に目が奪われるんですが! いくら今回がポップの最大のヘタレ強調回だとはいえ、いくらなんでもかっこよすぎませんか、魔王軍勢!

 特に、クロコダインの格好良さときたら、もう株が上がりっぱなし! 天井知らずにぐんぐん上がりますよ!! 苦悩しつつも戦いを決意するシーンやら、武人として詰られて怯み、それでも戦うと吠えるクロコダインの漢らしさに痺れます!
 特に獣王痛恨撃は格好良かった……!

 ザボエラも狡猾というよりも知的な悪役と言った印象が強いのは、声のせい? なんだか、ザボちゃんの手下の魔道士達までイケメンボイスなのですがっ。しかも、セリフもほどよくカットが入っているとは。

 ダイやマァムを見て『しっかし、こいつら人間もチョロいのう〜』と人間を小馬鹿にし、貶めるセリフが無くなっているのを残念に思う日が来ようとは! つーか、ザボちゃんのセリフが減ったことに即座に気がついてしまった自分に驚きです……自分でも意外ですが、ザボちゃんに結構想い入れがあったようですね。

 ぽかっと口を開けたまんまのお口と、妙にコロッと可愛いゲーム体型なのに声だけはイケメン系の出来る系部下をにおわせるなんて、それってどういうギャップ狙い!? 声だけ聞いていると、妖魔士団のイメージが変わってくるんですがっ。

 ハドラーの入浴シーンすら、サービスシーンに思えてしまう今日この頃。ただ、残念なのはマントを羽織るシーンが地味にカットされていたこと。ガーゴイルがマントを持って控えていたから、受けとった羽織るシーンも見たかったのに〜。っていうか、ガーゴイル、おまえ、ひそかに美味しいポジションだなとツッコみたい!

 そういえば、ブラスじいちゃんが思ったよりジャンプ力あったのにもビックリ。意外と魔法が使えるのは承知していたけれど、まさかあそこまで見事なジャンピングしてダイに上段から殴りかかるほどの身体能力を持っていたとは……やるなっ、じいちゃん!

 よく確かめてみたら、漫画版でも同じようにジャンプしていたのですが、アニメだと動きによる描写があるせいか、受ける印象が違いますね。スピードも結構あったし、ブラスじいちゃんへの評価が変わりそう。 

 メダパニにかかった兵士の混乱も、単に骸骨兵士に囲まれるだけでなく、その骸骨兵士が揺らめく演出を加えたせいで尚更恐怖感が強まりましたし。

 ただ、残念なのが、オークの槍の使い方。
 兵士の剣と互角に打ち合っていましたが、槍ならばリーチの長さを使って突く、払うという動きを取り入れた方がらしいのになーと、思いました。まあ、脇役どころか雑魚キャラの動きにそこまで気を遣ってもいられないでしょうが。

 でも、大がえるの舌攻撃などは実に良かったので、怪物ごとの攻撃描写がこれから楽しみになってきますね♪

 そう言えば、冒頭でダイ達が走って移動していたのはなにか意味があったのかと、ちょっと疑問です。原作ではてくてく歩きつつポップがぼやいていたのに、それがなくなって寂しい……って、目的はそれ!? ポップファンとしては寂しい限りなんですが!

 宿屋でのお値段のやり取りや、ポップが値段の割にはいい宿だと呟くシーンも無くなっていたし、偽勇者一行と再会後、でろりんが水に流そうというセリフだけは残っていたとは言え、ゴメちゃんを褒めるずるぽんのセリフや、まぞっほらがポーカーを誘うシーンなども無くなっちゃっていましたし。

 でも、マァムがポップを責めるシーンはイメージ通りで良い感じでした♪ まぞっほが彼を気にしているところなど、細かな部分まで再現されている感じで。

 後、気に入ったのがダイが城に向かうシーンでの戦い。
 漫画版ではあっさりと描写された戦いながら先に進んでいくシーンが、きっちり表現されたのが嬉しいです♪ 戦いに関しては、実に細かいところまで拾っていますよね。

 ロモス王と兵士達のやりとりもよかったし、ロモス兵達が思っていた以上に勇敢に戦っていた様子もよかったです。原作では一方的にやられていた印象でしたが、彼らは彼らなりに戦っていたんですね。

 クロコダインとの戦い、というよりはブラスとの戦いが今回のメインになっている感じですが、クロコダインの葛藤が今回の話の良いアクセントになっている感じです。
 
 まあ、個人的にはじいちゃんを思って泣くダイが実に可愛くて、いいなぁと思っちゃいましたが。……ごめん、ダイ。

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