『ひとかけらの勇気』(2020.11.28)
  
 

《粗筋》

 必殺技を決めたクロコダインは、まだかろうじて生きているダイに止めを刺そうとする。なんとかダイに回復魔法をかけようと魔弾銃を構えるマァムだが、悪魔の目玉の触手に捕まり身動きがとれない状態にされてしまう。それは、ザボエラの仕業だった。

 その頃、宿屋に一人残ったポップは葛藤の中にいた。
 ダイやマァムが気になるが、助けに行くのは怖い……そんな風に悩んでいたポップは、偽勇者一行の魔法使いまぞっほに出会う。

 この非常時に火事場泥棒をしている彼に、仲間になるように誘われるポップだが、自分はアバンの弟子だとムキになって言い返す。
 が、まぞっほは仲間を見捨てるようなヤツがアバンの使徒なのかと、辛辣に指摘する。

 痛いところを突かれて、黙り込むポップ。
 そんなポップに、まぞっほは水晶玉を使ってダイ達の現状を見せる。ピンチに陥っているダイ達を見て動揺するポップ。

 だが、それでも最後の踏ん切りのつかないポップに対して、まぞっほは
『勇者とは、勇気あるもの。そして、真の勇気とは打算なきもの。相手の強さによって出したり引っ込めたりするのは勇気じゃない』
 という言葉を与える。

 まぞっほが師匠から習ったというその言葉――自分が落ちこぼれたからこそ、似たような立場にいるポップに対してお節介を焼くまぞっほの励ましに背を押され、ポップは宿屋を飛び出した。
 偽勇者達は余計なお節介だと心配するが、まぞっほはポップがアバンの弟子であり、自分達とはモノが違うから心配いらないと余裕たっぷりだ。

 そんなことも知らず、ポップは人波をかき分けて城へと向かう。
 マァムに言われたことを心底反省し、ダイやアバンの勇気を思い返しながら走るポップは、王間へと飛び込んだ。
 クロコダインに対し、震えながらも精一杯強がって啖呵を切るポップ。

 クロコダインの猛攻にみっともなく逃げ回りながらも、今のポップが使える最強呪文、メラゾーマをクロコダインに当てることに成功する。
 が、真空の斧の魔法効果で炎を避けたクロコダインの反撃がポップを捉える。

 防御力の弱いポップにとって、クロコダインの軽い攻撃でも大ダメージに繋がる。痛みにのたうち、弱気になるポップだが、ダイが自分を心配してくれていることを知り、力を振り絞って立ち上がる。

 クロコダインに勝てないなら勝てないで、せめてアバンのように時間稼ぎしようと考えたポップは一計を思いつき、魔法の杖でクロコダインに殴りかかる。

 打撃に耐えられず割れてしまった杖の宝玉を、ポップはクロコダインの攻撃に耐えながらも指で弾き飛ばし、ブラスの周囲に配置する。
 5つの宝玉でブラスを囲んだ際、ポップはアバンが得意としたマホカトールの呪文を唱える。

 魔を払う呪文の効果でブラスは正気に戻り、マァムを捉えていた悪魔の目玉も崩れ去った。が、それと引き換えにポップは全ての魔法力を失い、立つ力もも無くしてしまう。
 しかし、ダイへ全ての希望を託したポップに悔いは無い。

 ポップの捨て身の勇気に、クロコダインは精神を揺さぶられていた。自分の卑劣さにためらいを感じるクロコダインに、ザボエラが唆すように声をかける。

 ポップの危機を見て、ゴメちゃんは泣きながらダイを起こそうと飛び跳ねる。ゴメちゃんの涙がダイの身体にかかり、不思議な光を放っているのにこの時は誰も気づかなかった――。

 不本意そうに、それでもポップに止めを刺そうとするクロコダイン……が、その時、額に竜の紋章を輝かせたダイが起き上がった。
 怒りを露わにしたダイは、さっきまでとは段違いの力を発揮してクロコダインと戦い始める。素手でクロコダインの斧まで壊すダイの圧倒的な力に、それを始めて見るマァムは驚くばかりだった。

 ダイを倒そうと、必殺技を繰り出そうとするクロコダイン。それを見て、ダイを助けようとするがまだ身体が動かないポップに、マァムは回復魔法をかけてやり、ダイを助けるようにと頼む。

 丸腰のダイに、剣を渡すポップ。
 武器を手にしたダイは、師から受け継いだアバンストラッシュを放ち、クロコダインに勝利する。

 潔く敗北を認めたクロコダインは、穴の開いた城壁から身を投げ出し、落下する。
 クロコダインの最後の咆哮と同時に、ロモス城に群がっていた怪物達は一斉に勢いをなくし、引き上げていった。
 自分達が勝利したと知り、城壁から下を見下ろすダイ達三人。その顔には、笑顔が浮かんでいた――。


《感想》

 『ポップの見せ場バンザイッ!』
 と、声に出して叫びたい回でした♪
 冒頭でのまぞっほとのやり取りが、すごく簡略化されている感じがしたのがちょっと残念ですが。
 説得と葛藤に、もう少し、本当にもう少しで良いから時間をかけて欲しかった!

 しかし、まぞっほが金目の物を持っていただけで、即座に火事場泥棒と見抜くだなんて、ポップ、スレすぎてない!? 先生から何を教わってたの!?(笑)

 個人的にはまぞっほの「小悪党にゃあなりたくなかろう?」や「さあ、お仕事を続けるかの〜」の台詞が好きだったので、そこら辺が削られたのも残念!
 まぞっほの表情や台詞も、もう少し真剣な時とふざけた時の落差をつけて欲しかったですね。鼻くそをほじるシーンはしっかりと入れておいて、なぜ他のシーンを削ったのか聞いてみたいもんです。

 後、これはすごく贅沢な望みになっちゃうかもしれませんが、ポップが城に向かう時、城の方から逃げる多数の人達と逆の方向に走っていく演出が欲しかったなぁ、と。
 まあ、アニメでこれをやると動画枚数が倍増しまくると分かっているので、省く気持ちは分かるのですが。

 でも、城に乗り込んだポップの活躍には満足です。
 怯えながらも強がるセリフが実によかった〜っ。クロコダインの猛攻に対して、ドタバタと無様に逃げる動きも実にいい感じ。ダイの躍動的な動きと違って、いかにも無駄の多いアタフタした感じが素人っぽくて良し!

 しかし、ブラスじいちゃんの位置が不満っ!
 ブラスじいちゃんがクロコダインの側にいるからこそ、ポップがクロコダインを挑発して人質作戦を封じるやりとりが活きるというのに、最初からブラスが魔法の届かない安全圏にいたし〜。
 
 ポップがメラゾーマを使うしかないと覚悟を決めて、それがブラスに当たるのを心配するシーンが好きなだけに、そのシーンがまるっと削られたのがショックでした。

 ポップが痛みにのたうつシーンとか、そこら辺の動きは実にいい感じでしたねー。でも、そこに尺を使って他は削りまくるのはどうかと思うんですが。

 泣くゴメちゃんがダイにすがりつくシーンとか、実に可愛かったからあれはよかったですが♪ マァムが悪魔の目玉に拘束されるシーンはもう少し色気が欲しかった……とニチアサに望んではいけませんかね(笑)

 ポップが剣を投げる時、ダイがクロコダインから全く目を離さず受けとるシーンが、痺れまくるほどに格好良かったぁあああーーっ!

 欲を言えば、クロコダインの死に際をもう少し間を置きつつやって欲しかったなぁ〜と。
 苦しげな台詞や演技が良かっただけに、台詞の区切りごとに少し間を置く演出が欲しかったですよー。

 後、最後のクロコダインの咆哮にも不満!
 あれでは落ちたショックで叫んだようにも聞こえるので、落ちるシーンのクロコダインの表情を見せつつ、覚悟を決めて落下しつつ、自らの意志で部下へと撤退命令を出したと分かるように演出して欲しかったーっ!

 クロコダイン的にはあそこで部下達を引かせる意味はなかったのだから、あそこで部下を撤退させたのはダイ達に敬意を表したからこそだと思うんですよね。

 しかし、次回予告が相変わらずにひどい……っ。バランやフレイザード登場は嬉しいのですが、ヒュンケル!
 よりによって、アバンのしるしを見せびらかすシーンを出さなくっても良いでしょうに! 予告で禍々しい剣を持った男の正体は、とか言うぐらいなら、せめてその剣をアップにして!

 ポップやマァムの新衣装も暴露済みだし。
 今回の予告は、ネタバレ方向で攻め込むスタイルで統一してるんでしょうかね?

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