『不死身の救世主』(2021.1.30)
《粗筋》 
 

 美しい月夜の下に、咆哮が響き渡る。
 バルジの塔で、フレイザードは荒れ狂っていた。
 勇者をおびき出したのは自分なのに、自分が人質の見張り役をふられたのが不満でならない。

 怒り狂うフレイザードは、レオナを粉々に砕こうと拳を向ける。
 ――が、それは寸前で止められた。
 今、殺すまでもないだろう、と。どうせ、日が暮れるまでの命だから、と――。





 一方、炎魔塔にこっそりと近づいたダイとバダックは、見張りのフレイムの大群を目にする。
 追っ払おうと、いきなり剣を抜いて駆け出すダイ。海波斬でフレイム達を怯ませ、バダックに合図を送る。

 自慢げに爆弾を取り出したバダックは、爆破準備にかかる。
 炎魔塔を爆破し、ポップ達が氷魔塔を破壊すれば、結界は消える。レオナを必ず助けると、決意を新たにするダイ。

 爆弾に火をつけ、放り投げようとするバダック。
 が、その時、魔法が飛んでくる気配を感じたダイは、バダックを突き飛ばして直撃を避けさせる。
 爆弾の威力は確かで、派手な爆発が起こる。

 ダイ達も魔法を避けることはできたし、蹲って爆風も避けることが出来た。しかし、炎魔塔を壊すことはできなかった。
 邪魔をしたのは誰だと、怒鳴るバダック。

 そこにずらりと現れたのは、魔法使い系と一目で分かる怪物達だった。そして、ゴメちゃんが反対側を見て鳴き声を立てる。
 そこにずらりと並ぶのは、数え切れないほどの彷徨う鎧達。
 周囲は、いつのまにかしっかりと囲まれていた。

 これまでのモンスターと違うと、罠を警戒するダイ。
 そこに、耳障りな笑い声が響き渡った。
 崖の上に立つのは、白い衣を着た不気味な魔族と、小柄な老魔道士だった。
 老魔道士は、自分は魔王軍妖魔士団長ザボエラだと名乗る。隣に居るのは、魔影軍団長ミストバーン。

 ザボエラはダイ達が二手に分かれて塔を破壊しにくるのを見越して、始末するために待ち受けていたという。
 それを聞き、ダイはポップ達のことを思い、血相を変える――。





 同じ頃、ポップとマァムは氷魔塔付近でアークデーモンやガーゴイル達に囲まれていた。
 自分達が罠にはまったみたいだとぼやくポップに、ダイ達を心配するマァム――ポップはダイ達を心配している場合じゃないと主張しかけるが、その時、高笑いが響き渡る。

「ダイは炎魔塔か……拍子抜けしたぞ」

 その声を聞いて、ハッとするポップ。
 アークデーモン達がサッと道を空ける中、ゆったりとした足取りで歩いてくるのは、長身の魔族だった。

 傲岸不遜な魔族に警戒するマァムは、ポップがいつになく緊張し、身体を戦慄かせているのに気がついた。
 手を固く握りしめ、こいつの声だけは死んでも忘れねえと呟くポップ。 

 やってきた魔族を、ポップは怯えながらもしっかりと顔を上げて睨みつけ、その名を口にする。

「魔軍司令……ハドラー!」






 同時刻、ダイとバダックはまだ手をこまねいていた。背中合わせに周囲を警戒するも、あまりにも数が多すぎる。
 ザボラエの命令とミストバーンが目を光らせたことをきっかけに、ついに周囲の敵が動き出す。

 剣を抜き放ち、パプニカ一刀流の腕を見せると言うバダック。だが、彷徨う鎧に斬りかかったバダックは踏み込みを間違えたかたたらを踏み、さらに攻撃はしたものの固い鎧にあっさりと剣が折れてしまう。
 驚くバダックに、ダイは力の弱い魔法使いを狙うようにアドバイスを送る。

 ダイとバダックはクロスするように互いの場所を入れ替え、バダックは頭突きで魔道士達に攻撃をしかける――。






 そして、ポップとマァムはハドラーを向き合っていた。
 目の前の魔族こそがアバンを殺した相手と聞き、怒りを燃やすマァム。だが、ポップにはおびえの色合いの方が強い。
 だが、それでも精一杯虚勢を張ってハドラーに言い返すポップ。

 そんなポップを見て、ハドラーは彼がアバンを殺した時に側にいた弟子だと気がつき、笑い出す。
 何がおかしいとくってかかるポップを、ハドラーは容赦なく貶す。

 ひ弱な弟子が師の敵討ちをしようとして、討ち死にするとは――と、まるで決まり切った未来であるかのように話すハドラー。

 それを聞いて、ポップも激昂する。
 死んだとしてもただでは死なない、先生の恨みの何分の一かでも貴様の身体に刻みつけてやると、魔王ハドラーに言い返すポップ。
 マァムも、優しかった先生の命を奪ったことを許せないと怒りを露わにする。
 
 だが、ハドラーはアバンの命を奪ったのは、その優しさという猿にも劣る感情のせいだと嘲笑しながら言い放った。
 我慢しきれず、ハドラーに殴りかかるマァム。
 だが、マァムが渾身を込めてはナッタハンマースピアを、ハドラーは軽く片手で受け止める。

 ポップはマァムに逃げろと忠告するが、それは一歩遅かった。
 ハドラーに頬を殴られ、マァムは高々と跳ね飛ばされる。一撃で意識が刈り取られ、起き上がれずにうめくマァム。

 桁外れな実力差に、思わず唖然とするポップ。
 死ね、と魔法を掌に生み出すハドラーを見て、死に物狂いにマァムの方へ走っていく。その背を追うように、ハドラーの魔法が迫る。
 凄まじい爆発音を立て、魔法が炸裂した――。





 一方、ダイは彷徨う鎧の群れを相手に、善戦していた。
 だが、これではいくら何でも数が多すぎる。ダイはその場を大きく跳び上がり、空中からアバンストラッシュを放とうとした。
 
 その驚異的なジャンプ力に驚くザボエラ。
 が、ダイが技を放つより早く、突如現れたミストバーンがダイを殴りつけ、地上にたたき落とす。
 
 見た目に寄らぬパワーを見せつけたミストバーンが何者かと戸惑いながら、ダイは起き上がろうとする。
 しかし、そこにミストバーンが伸ばした手から放たれた不気味な糸が、ダイの動きを封じ込めた。

 ヒュンケルから喰らったのと同じ、闘魔傀儡掌に驚愕するダイ。
 だが、ザボエラに言わせればそれは驚くに値しない。
 ヒュンケルに暗黒闘気の技を教えたのは、ミストバーン。不死騎士達を指揮するのに必要だったのだ。

 本家本元の技に、ダイは身動きもとれない。
 そんなダイに近寄る怪物達を見て、バダックが助けに駆け寄ろうとする。が、その行く手を塞ぐのはザボエラだった。
 年寄りが目障りだと、ザボエラはザラキの呪文を仕掛ける。

 どこからともなく聞こえる不思議な声……その不快さに、思わず耳を押さえるバダック。
 それは、生き物を死へ誘う死の言葉。
 その言葉に敗北した時、命が奪われるのだ。

 嘲笑うザボエラに言い返す余力も無く、死の言葉に耐えるだけで手一杯のバダック。
 ダイもまた、身動きの出来ないことに苦悩していた――。





 一方、氷魔塔付近では前が全く見えないほどの爆煙がゆっくりと薄れているところだった。
 空がわずがに白みかける中、ハドラーの魔法でぽっかりと穿たれたクレーターが露わになる。

 そのクレーターからギリギリ外れたところに、ポップとマァムは居た。
 ポップはなんとか、マァムを庇って魔法を避けることに成功していたのだ。
 しかし、無傷ではない。ポップの両足には、ひどく焦げた跡が残っている。痛みにうめくポップを、心配そうに呼ぶマァム。

 ハドラーの魔法の威力が以前よりも上がったことを、痛感するポップ。
 ハドラーは、アバン打倒の褒美としてバーンよりこれまでより強い肉体を与えられたと自慢する。
 即ち、アバンを倒した時よりも強くなっている。

 そして、ダイ達にも敵は差し向けられている……おまえには勝ち目がないと断言し、高笑うハドラー。
 絶望するポップの目の前で、ハドラーは手から再び魔法を生み出す。ベギラマの呪文だと、いち早く察するポップ。

 もうダメだと、俯いて目を瞑るポップ。
 が、胸元にかすかな感触を感じ、目を開ける。見れば、マァムの手が無意識のようにポップの胸にしがみついていた。
 それを見て、ポップはマァムを守るために絶望してはいけないと思い直す。

「マァムを、守るんだ……ダイを助けに行くんだ……そのためにも、おれは最後の最後まで絶望するわけにはいかねえ!」

 ふらつきながらも立ち上がるポップに、迫り来る魔王のベギラマ。
 それに対し、ポップもまた手に魔法力を込めて対抗する。その手からも、ベギラマの魔法が放たれた。

 驚くハドラー。
 が、驚いているのはポップも同じだった。ベギラマが出来たと驚くポップの目の前で、同じ魔法がぶつかり合い、激しく火花を散らす。
 一見互角と思える光は、ポップの方が押していた。

 アークデーモン達の所へ跳ね飛ばされ、ハドラーは信じられないとばかりに自分の手を見つめる。
 人間のガキが、自分の魔法を上回ったことが信じられないのだ。
 苛立つハドラーは自分を案ずる部下に、無意味に暴力を振るう。

 驚いたように自分の手を見つめるのは、ポップも同じだった。
 だが、相手が動揺している今がチャンスだと気づき、何かないかと必死で周囲を見回す。

 アークデーモンらは怒りに燃え、ポップに襲いかかろうといきり立つが、ハドラーは手出しをするなと止めにかかる。
 その隙を突いて、ポップは爆弾を空に放り投げ、ベギラマの呪文をぶつける。

 爆弾が誘発し、炎の固まりが怪物達を襲う。
 敵を一掃し、ポップははしゃぎながらマァムに呼びかける。マァムも珍しく素直にポップを褒める。
 
 喜びを隠せないポップは、それがマトリフとの修行のおかげだと話す。一日きりの修行でも、自分の魔法力が上がっていたのだと実感できたのだ。
 心の中でマトリフに礼を言い、マァムに肩を貸して歩き出すポップ。
 氷魔塔の破壊を後回しにして、ダイ達を助けにいくつもりなのだ。

 しかし、その時、不吉な足音が聞こえ、ポップとマァムは振り返った。
 炎の中に見える、黒い影……業火をものともせず平然と歩いてくるその影を見て、二人とも顔を強ばらせる。

 マントを払いのけて現れたのは、無傷のハドラーだった。
 怯えるポップの目の前で、ハドラーは両手から魔法の光を同時に輝かせだす。
 その呼び動作で呪文の見当をつけ、驚愕するポップ。

 その察しの良さに、さすが魔法使いの端くれだと皮肉めいて呟くハドラー。
 それに言い返す余裕もなく、ポップはマァムを急かして逃げ出そうとする。だが、弱り切ったマァムと一緒にそう早く動けるはずもない。
 ベギラゴンの魔法は、ポップとマァムをまともに捉え、大爆発を引き起こした――。






 その爆発は、身動きできないダイも目撃していた。
 なんだと心配するダイに、ザボエラはあれがハドラーの最強呪文ベギラゴンだと明かす。
 ハドラーがポップ達を襲っていると気づき、力を込めて闘魔傀儡掌から逃れようとするダイ。

 しかし、瞬間的に動いた身体を、ミストバーンは術を締め直して再び拘束する。
 ミストバーンの術からは、脱出不可能。
 バダックとどちらか先にくたばるか、と、ザボエラは楽しんでいるかのように笑う。

 動けないダイに、ジリジリと怪物達が迫る。
 絶体絶命のその時、上空からゴメちゃんがミストバーンの顔に向かって体当たりを仕掛けた。
 そのせいでミストバーンの術が途切れ、ダイは身体の自由を取り戻す。

 一瞬、左右を見て位置を確かめたダイは、魔道士を蹴り飛ばしてザボエラにうぶつかるように仕向け、そのせいで集中を途切れて呪文は中断される。
 命拾いしたものの、がっくりとその場に崩れ込むバダック。
 そして、顔に貼り付いたゴメちゃんをミストバーンは黒い闘気で痺れさせ、追い払う。
 目を回して落ちてきたゴメちゃんを、拾い上げるダイ。

 空に浮いていたミストバーンは、自分の部下達の後ろにふわりと着地する。
 なんとか助かったとは言え、不利は覆らない。
 自分の力ではみんなを守り切れないかもしれないと、ダイはゴメちゃんやバダックさんに謝る。

 しかし、バダックは死ぬ時は一緒だと力強く返す。ゴメちゃんも同意するように、決意を込めて鳴く。
 そんなゴメちゃんに一瞬笑顔を見せ、ダイは再び敵に向き直る。

 一斉攻撃の指示を出すザボエラ。
 だが、その時、空から大岩が落ちてきた。狙い定めたようにダイ達を避け、ザボエラ達の上に降った大岩のせいで辺りは一面、土煙が立ちこめる。
 慌てふためくザボエラに、「オレだ!」と力強く応える声。

 それを聞いて、ダイは目を輝かせる。
 目を向けた先には、たった今、昇り始めた太陽を背負った獣王の姿があった。
 斧を片手に仁王立ちとなったその姿は力強く、以前の傷跡は微塵も見当たらない。

 ザボエラはクロコダインの突然の行動を責めるが、彼は堂々とアバンの使徒達へ助太刀に来たと言い放つ。
 裏切り者と怒り狂ったザボエラは部下達にクロコダインを倒せと命じるが、雑魚など獣王の敵ではない。

 まさに縦横無尽の活躍手敵を蹴散らし、ダイ達の側に着地するクロコダイン。
 バダックは突然やってきた巨大な怪物に驚くが、ダイは笑顔でクロコダインに飛びついた。
 生きていたんだねと手放しで喜ぶダイだが、仲間への心配を思い出し、ポップとマァムがハドラーと戦っていることを告げようとする。

 しかし、それを先んじてクロコダインは氷魔塔にも助っ人が向かっていると告げる。

「案ずるな、その男は……オレよりも強い!!」






 その頃、氷魔塔では噴煙立ちこめる中、ハドラーが一人、佇んでいた。
 瀕死ながらもハドラーを気遣う部下達に軽く応え、ハドラーはポップやマァムが倒れている姿を確認する。
 氷魔塔が壊れないよう手加減したせいか、焼け残った二人……マァムを掴み上げ、まだ息があると確認するハドラー。

 念のため、くびり殺しておこうと呟くハドラーに、倒れていたポップが待ってくれと懇願する。
 自分の命はどうなっても良いから、マァムは助けてくれと頼み込むポップを、静かに見下ろすハドラー。

「……優しさとかいう感情か?」

 なりふり構わずに懇願するポップに、ハドラーは彼がマァムに惚れていると勘づき、嘲笑う。
 それを聞いたからには、ますます許せないとハドラーは言った。
 ポップへの制裁として、愛する女が惨たらしく死ぬ様を見せつけるという。

 氷魔塔の頂上にマァムの身体を突き刺してやると言ったハドラーは、その通りに実行する。
 やめてくれと絶叫するポップを無視し、気絶したままのマァムを軽々と放り投げるハドラー。

 マァムの身体は狙い違わず、氷魔塔の天辺に突き刺さりかけた。
 悲痛に叫ぶポップに、それを楽しみながら見ているハドラー。
 が、ピキッと音が聞こえ、ハドラーがいぶかしげな顔を見せる。氷魔塔は匹匹を音を立てながらひび割れが入り、崩れ去った。

 それを、驚いた表情で見るハドラー。
 シャラシャラと崩れ落ちる氷が涼しげな音を立てる中で、塔の跡地に人影がうっすらと見える。
 マァムをしっかりと抱きかかえた、鎧姿の剣士が。

 それが誰か悟って、驚愕するハドラー。
 そんな魔王の驚きなど知らぬげに、少女をお姫様抱っこして佇む剣士の姿は、まるで絵画のようだった。氷魔塔の名残の雪片がきらめき、雪のように降り注いでいた――。






 炎魔塔近くに居たダイにも、氷魔塔が崩れ去る煙は見て取れた。
 クロコダインの台詞から、ヒュンケルが来てくれたことを知るダイ。
 クロコダインは炎魔塔は自分が砕くから、ダイにはバルジの塔へ急ぐようにと言う。
 
 元気に頷いたダイの身体をつかんだクロコダインは、フレイザードをぶちのめしてやれと、彼をバルジの塔へ向かって放り投げる。
 全く恐れる様子もなく、雄叫びを上げて空を飛ぶダイ――。






 一方、ポップはヒュンケルが生きていたことに驚きを隠せなかった。
 憎しみを込め、「貴様……」とヒュンケルに呼びかけるハドラー。
 その時、ようやくヒュンケルは閉じていた目を開き、鋭い眼光を覗かせた――。


《感想》

『……うん、ポップがヒュンケルを嫌うわけだよなー(笑)』
 と、しみじみ実感した回でした!

 だって、あれほどポップが頑張って頑張って戦って、泥まみれになりながらそれでもマァムを庇おうとし、最後にはプライドもかなぐり捨ててハドラーに命乞いまでしているというのに……ラスト10秒ほどのヒュンケルに全部持って行かれた感(笑)

 ところで、今回のように前回の巻き戻しナシでオリジナルシーンが挿入されているオープニングっていいですね♪

 フレイザードが荒れ狂い、レオナに八つ当たりしているシーンがいい感じ。
もし、あの禁呪法がバーンの瞳のように意識はあって周囲を見ていなきゃいけない状態だったのなら、さぞやストレスがたまったでしょうな(笑)

 そして、フレイザード君に言いたい。
 もしもーし、勇者をおびき出したとか言っていましたが、あれって結果的にそうなっただけで、レオナを襲っていたタイミングでダイがやってきたのは、偶然でしたよね? 別に、そのために狙って計画していたわけじゃないですよね?
 なぜか、彼の中では自分の手柄として認識されているようです(笑)

 その身勝手さや、怒り狂うフレイザードの癇癪っぷり、それでいてコロッと気分を変える切り替えの良さと、フレイザードらしさが感じられるオリジナルシーンは実によかったです!

 そして、バルジ塔と氷と炎、二つの塔の見せ方の演出がすごいです。くるりと回り込むような視点で互いの位置関係や、闇の中で目立つ塔の演出がされているのがいいなぁ。

 いきなり飛び出したダイに、バダックさんが「いきなりかっ!?」とツッコミを入れていたのが嬉しい!
 原作にはないツッコミ! バダックさんはアニメの方が、ちょっと常識のある人っぽいですね。

 フレイム達が切られても色が変わらないのが、あれっと思いました。氷系魔法でやられると灰色になっていたので、てっきり剣で切られても同じかと思いましたが、どうやら剣と魔法で演出を変える方針のようですね。
 地味ですが、その拘り、嫌いじゃないです♪

 炎魔塔でダイが二つの塔が破壊されれば結界が壊れることとさりげなく説明するシーンが付け加えられていますが、必ずレオナを助けると決意を新たにする心情もくわえたせいかすごく自然な流れでいい感じです。
 
 ダイがバダックさんを助けるシーン、原作ではダイはゴメちゃんとバダックさんを抱きしめるような形でしたが、アニメでは単に押して突き飛ばす印象でした。

 まあ、それ以上に、アニメでわざわざかけ声をかけつつ爆弾を投げようとしているバダックさんに笑っちゃいましたが。
 隠密行動だっていう自覚がありませんね(笑)

 妖魔士団と魔影軍団らは、原作ではやや長身めに描かれていたのですが、アニメではゲームのキャラデザイン重視っぽいのか、コロコロした感じでした。
 そして、アニメで初めて知った事実……彷徨う鎧の中に、一匹だけ色違いがいたっ。
 赤いし、もしや地獄の鎧? リーダー格が居たとは、初めて知りました! 今まで、全員雑魚かと思っていたんですが、一応チームリーダーはいたみたいですね。

 また、ダイの台詞も微妙な改変。
 原作では、ダイはフレイザード達の部下じゃないと発言していましたが、アニメではこれまでと違うと言っています。
 ……全般的に、アニメのダイの方が子供っぽい雰囲気になっていますね。すん、好みです♪

 そして、ザボエラの高笑いがイメージ通りでした♪
 うん、悪役と言えば笑い方ですよねー。ザボちゃんの場合は、ひたすら陰険そうな笑い方であってほしかったので、いい感じです。

 で、画面切り替えのタイミングが原作とは違っていましたね。
 原作ではダイ達が一通り戦ってピンチになってから、ポップ達視点に移っていましたが、この切り替えも同時進行感が強くなっていいと思います。……まあ、鉄球をビビって避けるポップのシーンが削られたのが、ちょっと寂しいですが。

 後、「ダイ達の心配している場合じゃない、こいつらを倒して〜」と言う台詞も改変でしたね。正直、これだけの数を前に「倒す」と考えているポップにビックリ!
 なんとか逃げよう、と考えているかと思ってたのに。ポップもずいぶんと成長したなぁと、嬉しくなりました♪
 
 けれど、そんなポップ以上に成長が見て取れるのが魔軍総司令ハドラー!
 モーゼのごとくアークデーモンの群れを割って堂々と歩き、足下や鎧の一部から徐々に見せていく凝った登場っぷり。ついでに言えば、こちらも全員アークデーモンかと思いきや、色違いキャラが混じっていました。

 衣装も一際豪華になっているし。
 アニメなだけに、実はハドラーのマントの縁の模様はかなり略された形になっているのに、鎧や宝玉類のハイライトのせいか、素敵な豪華っぷりですよ。……やはり、アニメスタッフ様の最推しはこやつなのか(笑)

 ずっと俯いていたポップが、意を決したようにハドラーを見上げて名を呼ぶシーン、よかったです! 

 バダックさんのお笑いバトルシーン、意外とかっこよい感じで驚きましたが、それ以上に驚いたのがアドバイスを送るときのダイと魔道士のシーン。
 敵の魔道士の杖の攻撃を、ダイが剣で受け止めていましたが……いやいや魔道士さん、なぜに杖でまともに打ちかかっているの? 魔法を使おうよ〜(笑)

 サッと、ダイとバダックが居場所を交換するシーンは、かっこよくて好きですが。今回のアニメ、少し引いた視点からの画像が多めですが、そのおかげで位置関係が把握しやすくて助かります。

 ポップとハドラーの会話、しっかりと全部やってくれたのが嬉しくてなりません♪

 ザボちゃんが人間の愛情を貶すシーンがカットされていたから、その辺もなにやら事情が働いてカットされるのかなーと思っていたのに、魔王の台詞はそのまんまなんですね。

 ついでに、ハドラーの笑い方が好きです。つい、おかしくて笑ったとばかりの時に、割と爽やかな顔をしているなぁと画面に見入っちゃいましたよ。
 すぐに相手を小馬鹿にする雰囲気が強まっていきますが、その笑い方の差もいい感じ。他の怪物達も笑っていて、声が合唱になっていましたし。

 ポップが「たとえ死んだって〜」の台詞を言う際、真剣な表情だったのは嬉しい改変。まっすぐにハドラーを指さして言いつのるポップに、逆転裁○とかうみねこを思い出しちゃいましたよ。
 絶対体な存在にたいして、臆さずに自分の意思を突きつけるところが好きです。

 後に、ポップとハドラーがわかり合うシーンを思えば、この時の敵対に特別感を感じちゃいますね。

 そして、ちょっと意外だったのがマァムの台詞。
 ハドラーに問いただされ、アバンの使徒だと自称していましたね。原作ではハドラーはマァムのことを歯牙にもかけていない感じだったので、問いただすだけでもちょっと紳士的な感じ。
 
 マァムの発言がなにやら自信たっぷりなのは、ある意味彼女らしい気もしますね。アニメ版では、ダイ達がアバンの使徒だという自覚を持つのが早い気がします。

 また、マァムも改変台詞や減らされる台詞は多いですが、今回みたいに「どうしたの!? ポップ」と聞くシーンを「ポップ……!?」のみに減らした場合、声優さんの演技力で補っているなぁと実感します! 言葉を端折っても声だけで相手を心配しているニュアンスを出せるのが、声優さんの強みですね。

 マァムがハドラーに殴りかかるシーン、ハドラーが手で受け止めているのにカキンといい金属音がしたのは、やっぱ手の中に地獄の爪が入っているから?(笑) 原作じゃバシッだったのに、硬度が増してるっ。

 ハドラーのパンチのせいで、マァム、顔が腫れまくっていますよーっ、女の子なのに……。マリンさんの火傷顔は見せないようにと気を遣いまくっていたのに、頬を手ひどく殴られたマァムの顔はアップにする――この差は、どこから来るんでしょうか?

 吹っ飛ばされたマァムをポップが唖然とした表情で見て、それからハッと気づいたように心配そうな顔をするシーンがたまりません♪
 信じられないような事故に遭遇すると、心配よりも先に驚きが出てしまう一瞬の間って感じで、すごくいいです。

 ポップがマァムの方に走っていくシーンも、好きな動きですねー。
 ポップの走りは全般的に洗練されていないというか、ダイに比べてすごく無駄が多いバタバタした感じがするのですが、転びそうな程危なっかしげに、それでも必死にマァムを助けようとするポップの動きがいいです。
 あれ、マジで間に合わないんじゃないかと思える動きやタイミングでした。

 ポップ達は無事!? と思ったところで画面転換ってのも、にくい演出。
 ダイがジャンプの前、腰を一瞬落とす動作を見せた動きの細かさが良いですね〜。
 ダイが技を放つ寸前、彷徨う鎧達がちゃんと上を見て盾を構えているのも、素晴らしい!

 実際にアバンストラッシュを喰らったら意味が無いですが、ちゃんと敵対行動を取っている感がします。ダイがおっこちたときは、そっちを見ていましたしね。

 ザボちゃんの「とーせんぼとーせんぼ♪」の台詞が削られていたことに、密かにショックを受けた自分にはビックリしました。意外と期待していたっぽいです。
 まあ、バダックさんとザボちゃんのジジイ応戦はきっちり入っていたので、よかったですが。

 女性への気遣いにはやかましいのに、ご年配への気遣いはしていないっぽいですね(笑)

 ザラキの演出が、思っていたよりも派手で面白かったです!
 色が反転した世界で線だけが虹色に輝き、揺らめく描写。蠢く不思議な字の演出と言い、不気味感が強まっていますねー。
 マヌーサもそうでしたが、精神的に働きかける呪文のビジュアルが大幅に強められた気がします。

 ポップがハドラーに勝てないと絶望するシーン、全体を暗くして四つん這いになったポップを下から見上げるという、変わった構図なのに感心しました♪
 アニメ、いろいろと構図で頑張っていますね!

 でも、マァムの上に四つん這いになったポップの姿、平和時ならばラッキースケベ到来だなぁと思っちゃいましたが(笑)

 それにしても、今回のポップとマァムの表情、いいシーンばかりです。
 原作ではややギャグよりだったポップの表情が、後期のポップの表情に近い感じで、シリアス感が増していました。

 後、個人的にはほっぺたが腫れて歯を食いしばるという、ヒロインにあるまじき表情のマァムが気に入っています。

 ポップとハドラーのベギラマ合戦、めちゃくちゃ格好良かったーーっ♪♪♪
 ふらつきながら立つポップの背中を見せて、戦う決意をしたポップが振り返るあのシーン、見せ方の巧さにくらくらしそうですよっ。

 戦っている最中、夜が徐々に明けている描写も素晴らしいですし!
 最初は真っ暗だった空が、まだ太陽は昇っていないけれど、どんどん明るくなっているのがちゃんと分かります。時間経過も、きちんと表現されているんですよね。

 んでもって、ハドラーのアークデーモンへの裏拳、思わず同情しちゃいました。原作でもあるシーンですが、原作では普通に平手打ちしている感じなので、アップで鼻面に裏拳を食らっている方が痛そう……。別に、部下は悪くないのに(笑)

 敵を爆弾で吹っ飛ばした後、喜びまくるポップのはしゃぎっぷりが可愛くて好きです! マトリフとの修行の回想シーンで「ありがとう、師匠」と呼びかける演出もいいですねえ。
 
 全般的に、ポップの戦いで見せる表情が後期ポップに寄せてあるのが、なんとも嬉しい限りですよ! 原作では、鼻くそをほじっている間抜け面の師匠を回想していましたしね(笑)

 原作で「ダイと合流しよう」と言っていた台詞が、すごく具体的に変わっている辺り、アニメ補正でしょうかね。

 そしてそして、ハドラーがマントを脱ぎ捨てて登場するシーンッ。
 徐々に近づいてくるシーンが、まるで某サメ映画のような迫力でしたっ♪ 何度目だと言いたくなるマント脱ぎ捨てシーン、明らかに初回よりも筋肉がついていますよっ。
 ハッ、今、気がつきましたが、マァム以上の露出ですね!(笑)

 ベギラゴンの発動にポップが気がつき、ハドラーが「さすがは魔法使いの端くれ」と評するシーンがくわえられたのは、嬉しい改変です♪
 ベギラゴンの見せ方が、ちょっとイメージが違っていましたが。

 アニメでは完全に光の玉が三つ浮かび上がり、それが繋がってアーチを描く形でしたね。個人的には、自由自在に曲がる噴水のように右から左、左から右と魔法が流れるように移動するイメージだったので、ビーム的な表現に驚きました。
 
 それから逃げようと、ポップとマァムがひょこんひょこんと不器用に走るシーン、よかったですよー。走れないマァムを無理矢理引きずり、なんとか逃げようとしている感じがいいです。

 場面が変わって、ダイの方でもどんどん空が明るくなるのが続いていますね。
 にしても、ザボエラもミストバーンも、あまり真面目に仕事していない感が……。ハドラーの方が働いてません!? 

 それにしても、ダイがバダックさん達に謝った後、ゴメちゃんに対してニコッと見せた一瞬の笑顔……っ、ここは必見です! 可愛い!
 で、笑顔の後、すぐ戦いのためキリッとした表情に変わるところがダイの魅力!

 切迫した状況の中、ついに再登場したクロコダイン!
 クロコダインの頼もしさが、ものすごい! 兄貴と呼びたいっ。
 夜明けの演出が、ここで最大限に利いていますよっ、すごいっ。ヒーロー登場に相応しい、太陽の背負っての登場に痺れます!
 
 仁王立ちのクロコダインの頭上を、ガルーダらしき鳥が話を描きながら飛んでいるのも、良い演出ですね。
 で、度肝を抜かれたのがクロコダインが高々とジャンプするシーン。

 ジャンプ力、あそこまであったとはっ。
 あ、でもそう言えば昔、ワニが全身を使って兎のように跳ねながら猛スピードで走る動画を見たことがありましたっけ。……爬虫類、あなどれない(笑)

 ダイがクロコダインの肩に飛びつくのはいいんですが、剣を持ったまま後ろから飛びつくのって危なくないですか?(笑)
 そして、原作ではクロコダインから助っ人の話を聞いて「まさか……!?」と心当たりがあるようなことを言っていたダイ、アニメでは「え?」と驚いてただけでした。
 やっぱり、察しの悪さ率がアップしています、ラノベの主人公が鈍感になるがごとく、察しが悪い子になっているーっ(笑)

 一方、ハドラーの部下のアークデーモンら、倒れて動けもしないのにハドラーの無事を確認しているのは健気ではあるけれど……原作よりひ弱になっとりませんか!?(笑)

 原作では次々に起き上がってきたのに、アニメではたった一匹、しかも起き上がれないで地べたに伏せたままでの登場ですよ。……とことん、ハドラーって部下に恵まれていない気が。

 でも、起き上がろうとして二度も失敗していたポップよりは丈夫な気がします。
 ポップの命乞いの表情もよかったですが、何より気になったのが「優しさという感情か?」の一言。
 これが、後に『情』を理解するハドラーの伏線となるとか? 期待大です!

 後、女呼ばわりするシーンは徹底カットしていたのに『愛する女』はいいみたいですね。えー、違いが分からない……。

 モズのハヤニエの台詞のカットは、自然が少なくなった今、知らない子供の方が多いだろうから納得ですが、分かりやすい絵としてでも残酷なイラストはダメみたいですね。
 カラーでは無理でも、モノクロで見たかったのですが。

 マァムのぶん投げシーン、パンチラはなかった……っ(泣)
 投げられる時の角度やらポーズが変わっていたし、身体が反転するシーンなどは見えそうだったのに見えない……ニチアサクオリティめ。
 実は、原作のハヤニエシーンではパンツ見えてたりするのですが(笑)

 まあ、それはさておき、原作と違って喚きながらマァムの名を絶叫するポップのシーンとか、良い改変ですね♪
 やっぱり、声優さんの演技で、名前を呼ぶだけのシーンに血肉が通う感じがします。
 ポップの活躍っぷり、ハドラーの非道っぷりが実によかったです。

 だけれど、それらの活躍も吹っ飛ばすのがヒュンケルの美形にもほどのある登場!
 氷が崩れる音やら、氷の粒が光る演出つきで登場したお姫様抱っこの剣士……鼻水魔王や地べたに這いずったまま起き上がれない魔法使いが、勝負になるわけないですよ(笑)
 目を閉じたままのシーンが長い……長いですよっ。

 んでもってダイ君、クロコダインが言った後で「やっぱりヒュンケルが」と言っても、説得力薄いですよ?(笑)
 で、クロコダイーンッ、まさかダイをぶん投げるとは……っ、いや、その方が確実に早いけれどっ、だけどっ。
 思わぬ大胆な行動に、目が点になりましたとも。

 原作では……投げている様子はないですよね、と二度見しちゃいましたよ。着地はどうする気なんだろ?

 一方、ヒュンケルの登場に呆然とするポップとハドラーの図、超絶かっこいいですっ♪♪♪
 斜めに描いた地面とヒュンケルの後ろ姿、実に絵になる……花びらのように氷片が舞うのもまた美しいし。

 膝をついてぺたんと座っているポップが、ヒュンケルの名を呼ぶシーンは好きですが、格好良さの点では月とすっぽん以上にかけ離れているのがもの悲しい……。
 
 最後にヒュンケルが目を開けた瞬間に、次回に続くとなる辺り、本当に誰が主役かと言いたくなりますね(笑)

 次回予告も、ヒュンケル対ハドラー戦を目一杯やる感じでしたし。
 っていうか、ヒュンケルとハドラーのカットばかりで、ダイもポップもマァムも出番ナシとは。
 アークデーモンらでさえ出番あったのに(笑)

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