『ヒュンケル対ハドラー』(2021.2.6) |
《粗筋》 氷魔塔を砕き、気を失ったマァムを抱きかかえて登場したヒュンケル――生きていたのかと驚くポップと、驚きから立ち直り、怒りを露わにするハドラー。 ハドラーの怒りを感じたポップはそそくさと側から逃げ、代わりのようにガーゴイル達がハドラーに付き従う。 そして、目を覚ましたマァムはヒュンケルを見て、これが夢か、それとも死んでしまったのかと呟く。 ヒュンケルの生存を素直に喜び、涙をこぼすマァム。自分を抱きしめるマァムを、ヒュンケルも優しく抱き返す。 やけ気味のように、こっちにも怪我人がいるからなんとかしとろケチをつけると、ヒュンケルは薬草の入った小袋を投げつける。 ハドラーは、ヒュンケルが地底魔城の崩壊に巻き込まれて死んだはずではないのか、と問いかける。 ヒュンケル「そう、死んだはずだった……。だが、オレはある男によって死の寸前で救われていたのだ」 マグマが噴きこぼれるように、ヒュンケルは過去を回想する。 手当てされたヒュンケルは、クロコダインが生きていた事実を静かに受け入れていた。 しかし、クロコダインはヒュンケルが自分の手当てを命じたことを、情けと受け止め、情けには情けを返すのが当然だと言い切る。それに、ヒュンケルがダイ達の助けになることを願ってもいた。 が、ヒュンケルはそう簡単には割り切れない。 だが、そんなヒュンケルにクロコダインは自分の価値観を語る。 クロコダイン「ヒュンケルよ……オレは男の価値というのは、どれだけ過去への拘りを捨てられるかで決まると思っている」 万人に蔑まれても、己の信じる道を行けばいいと言い切るクロコダインに迷いはない。 武人の誇りを思い出させてくれたダイ達に恩義を感じるが故に、己の埃のままに生きようとするクロコダイン。 が、ヒュンケルはそれを呼び止める。 そして、自分のために泣いてくれたマァムやクロコダインへの恩義……それらが、ヒュンケルを再び戦いへと導く。 地底魔城の崩壊時に失われたはずの鎧の魔剣が戻ってきたことに、驚くヒュンケル。 クロコダインは真の武具は人を選ぶと口にする。鎧の魔剣がヒュンケルを選び、主人と認めたのだろう、と。
だが、ヒュンケルは落ち着き払って、クロコダインが炎魔塔を砕くのを聞けば、嫌でも信じると言い返す。 すぐにダイも駆けつけると聞いても、ヒュンケルを心配してその場を去りがたく思うマァム。 まだヒュンケルが心配なマァムは、そんなポップの強引さに文句をつけるが、ポップは本人が言ってるんだからほっとけと言い放つ。 走り去る兄弟弟子を見守るヒュンケルの口元に、かすかな笑みが浮かぶ。 二体のアークデーモンが得意げに笑う中、ハドラーが裏切り者は死あるのみと、ヒュンケルを嬲り殺そうとする。 自分を殺したいのなら、命がけで挑んでこいと魔王を挑発するヒュンケル。
それを見たクロコダインは、バダックに下がっていろと指示を出し、腕に闘気を込め、必殺技である獣王痛恨撃を放つ。 二つの塔が破壊されたことで、島全体を覆っていたバリアー状の物が消滅する。 同じ頃、炎魔塔に残っていたバダックは、クロコダインの技に素直に感心していた。だが、痛恨撃という物騒な響きにダメ出しをし、獣王会心撃に改名することを勧める。
自分の強さを見せつけてやると言い放ち、部下を押しのけて進みでるハドラー。 ヒュンケルも、自分の手でハドラーを倒したい理由があった。 その言い分に激昂し、いきなりイオナズンを繰り出すハドラー。 爆煙の向こうに見えたのは、無傷のヒュンケル。 ハドラーはイオラを連発するが、雨あられと被弾してもヒュンケルはお構いなしに突き進む。 並の魔族ならその腕を切り落とされるところだが、ハドラーには鋼鉄を越える硬度の爪……ヘルズ・クローが備わっている。 とっさに後ろに下がって躱すが、かすっただけなのに鎧にヒビが入っていた。 ハドラー「オレのヘルズ・クローに貫けるものなどないわ!」 無敵を誇る鎧も、魔王ハドラーの前では絶対防御となるわけではないと悟るヒュンケル。 「……面白い。そうこなくてはな……!」
戦っている当の本人達も、肩で息をしながら互いに相手の強さを思い知る。 だが、最大の攻撃の時にこそ、最大の隙が生まれる。 主君が倒されたこといに動揺するアークデーモン達を無視して剣を納め、ハドラーの死を確認するかのように死体に近づくヒュンケル。 驚愕し、なぜ動けるのかと問うヒュンケル。 そして、鎧に開けた穴からメラゾーマを流し込むハドラー。
そんなこともしらず、必死に走るダイ達。
鎧の隙間から黒い煙を上げるヒュンケルの身体を投げ捨てたハドラーは、勝利を確信していた。炎の魔法を得意とするハドラーのメラは、一度燃えはじめたら全身を焼き尽くすまで消えることはない。 ろくに動けなくなったヒュンケルに対し、容赦なく切り札を使うハドラー。拳を打ち合わせる独特のアクションから生み出される、極大閃熱呪文・ベギラゴン。 ハドラーの勝利を喜び、集まってくるアークデーモン達。 倒れたヒュンケルは、それに焦りを感じていた。 アバン「生命ですよ」 それは、まだヒュンケルが子供でアバンについて学んでいた頃……。 しかし、当時のヒュンケルはそんな技なんか必要ないと突っぱねてしまった……それを思い出し、師に心の中で詫びながら、ヒュンケルは力を振り絞って起き上がる。 ハドラーから見れば、瀕死のヒュンケルが立ち上がったところで驚きはしても、恐れる理由などない。 それを見ているはずのヒュンケルは、剣を兜に納めなおす。 ヒュンケルの額にものすごいエネルギーが集中していくのを、感じ取るハドラー。 ヒュンケルはただ、ただ一途に、闘気を高めていく。 だが、それは一歩遅かった。
アバンの死亡時のことを思い出るポップ――光が消えるのを見て、ダイは逆走しようとする。 ポップはヒュンケルがそう簡単にやられるとは思えないこと、彼が魔法をつけないからメガンテでは有り得ないと言い、説得しようとする。 揉めるダイとポップに、マァムが毅然とした口調で先に進もうと呼びかける。 マァム「それが、彼の望みだからよ……!」 レオナを助けるため――ヒュンケルもクロコダインも、そのためにダイに力を貸してくれた。 使命感を持って主張するマァムだが、その手が強く握りしめられ、かすかに震えていることにポップは気がついた。 そして、ダイはマァムのその言葉を聞いて決意する。 同じ頃、死者累々の氷魔塔跡地で、倒れているアークデーモンを放り投げてハドラーが立ち上がった。 凄まじい技に驚き、その発信源であるヒュンケルを見やるハドラー。 全闘気を放出してしまい、身動きも出来なくなっているヒュンケルに止めを刺そうとするハドラー。 しかし、その言葉は無意識化のヒュンケルに届いていた。 容赦なく、ヒュンケルに爪を振り下ろすハドラー。 完全に闘気を使い果たしていたはずなのに、反射的に動いたヒュンケルに驚愕するハドラー。 両者が意識を失った際、ミストバーンがその場に現れる。
《感想》 『これぞ、まさにヒュンケル回っ』 と、言いたくなるほど、最初から最後までヒュンケルメインな回でしたね♪ しかし、笑っちゃったのが、ハドラーとポップが仲良く並んで驚いていたシーン。ポップ、その立ち位置だとハドラー側の仲間っぽいですよ〜。 ついでに、ガーゴイルさん達、相変わらずアルファベットが服や顔に刻んであるのですね。 行動自体は変わっていないのに、台詞だけ整えれば問題は無い、と? えー、TVの倫理ってそーゆーものなんですかねえ? ヒュンケルを助けるクロコダインの図、アニメ版ではダイ達が逃げた後で助けたということで納得できますが、原作ではマァムがその場でずっと泣き続けていたんだから、ダイ、ポップとそろって三人とも見逃していた……と、考えるしかないのでしょうか(笑) うわ、すっごい目が節穴……ま、まあ、マァムは泣きまくって前が見えていなかったのかもだし、ポップはそんなマァムに注目していたから見逃していたと考えれば、そう不自然でもない……のかな? ダイは、戦闘後で疲れていたから……うん、多分、そう! それはそうと、手当てされたヒュンケルが目覚めるシーン、まるっとカットされとりましたな。よく見ると、原作ではヒュンケルの近くにたき火を焚いた後があったので、クロコダインは長時間手当てした感じだったのですが、アニメではそうではないみたいです。 ついでに言うなら、原作ではヒュンケルはクロコダインが生きていたと驚いていたのに、アニメではずいぶんと落ち着いて受け入れた感じでした。 後、ガルーダ君、なんか贔屓されていません!? ダイ達が何処に向かったのか、クロコダインに教えたのもガルーダ君みたいですし、なんて有能! クロコダインの名台詞が全部、出てきたのは嬉しい〜。 ヒュンケルの鎧化のシーンは、やっぱりどこか禍々しさを感じる無骨さがいいですね〜。 で、ふと原作と見比べて気がついたのですが……あれれ、原作ではヒュンケルが画面右で顔を正面を向けており、左側に居るクロコダインが横顔を向けているという構図でした。 で、アニメでは……クロコダインが画面右で顔を正面に向けており、左側にいるヒュンケルは思いっきり後ろ姿……ど、どこまでクロコダイン優遇されているの!? ハドラーもヒュンケルの裏切りはすんなり認めたのに、クロコダインのことは信じていましたしね。 ところで、ヒュンケルが「マァム……立てるか?」と聞くシーン、あれ、どう見ても地面に下ろした後で聞いていませんか? でも、ヒュンケルが鉄球で絡め取られるシーンを見て、ふと気がついたのですが……ゲームのアークデーモンの武器って、三つ叉の槍でしたよね。あんな風に鎖部分の長い鉄球を持っていたのは、鉄球魔神だったような気が。 そして、ハドラー様、裏切り者には死あるのみと言っていますが、バーン様は失敗も裏切りも三度までは許してくれるのがルールだったのでは?(笑) ところで、アニメ版では少しカットと流れが変わっていますが、クロコダインが炎魔塔を砕く際、バダックに対して原作では「ふせろ」がアニメでは「下がっていろ」になっていました。 そして、見ました! ええっ、筆者は見逃しませんとも。 結界が消えて、ぴょんぴょん跳ねるダイの動きがよかったです♪ 原作では正面からのシーンでしたが、アニメでは背中側からだったので、ダイの身軽さがよく分かるシーンになりました。 …………ただ、マトリフとエイミさんが塔の結界の消滅を見ていたシーンが削られたのは、納得いきませんが! ……どう見ても、人間側よりも魔王軍贔屓だとは思いますが(笑) ヒュンケルとハドラー戦、重量級同士のぶつかり合いって感じで見応えがありました! ダイの動きはジャンプを多用して、スピードで攪乱するスタイルなのに対し、ヒュンケルは典型的なプルファイターって感じですね。 しかし、ハドラーが負けた(と思った)時、アークデーモン達は動揺していましたし、勝った時も喜んでいましたし、それなりに人望があるっぽいです。少なくとも、ザボちゃんよりは尊敬されていそう。 回想シーンでの幼いヒュンケルが可愛い……そして、回想のアバン先生の格好良いこと! ダイ達がヒュンケルのグランドクロスを見て、アバン先生の死亡シーンを回想するシーンはよかったです♪ もしかしたら……と、ポップが不安を感じている雰囲気が良く出ていました。そして、魔法を使えないからメガンテしてない説は、ダイの目を見返しながらしっかりと言い返している差が面白いです。 「日没まで時間がある」と言うセリフは、アニメでの改変ですね。 特に、ダイがポップのほっぺたに手を押しやって離れさせようとしているところの、ポップの変顔が楽しくって楽しくって♪ 最後のハドラーが止めを刺そうとするシーン、ヒュンケルがアバンやバストルに呼びかけるのは原作通りでしたが、あそこでなぜ子供の姿になっていたのかが疑問です。 にしても、最後にミストバーンがヒュンケルとハドラーを見に来るシーン、よくよく見たら原作にはなかった改変シーンだったんですね。さりげなく出番が増えているーっ。 んでもって、フレイザードが最後に美味しいところをもっていく(笑)
《おまけ・新装版コミックス11巻・12巻感想》 11巻の表紙は、レオナ! 背景は、上側が青空に世界会議の会場だったパプニカの大神殿が。下側には血のように赤い死の大地。赤と岩山の黒さの対比が、実にいい感じです。 12巻の表紙は、最終掃除でメドローアを放つポップ! おおっ、カッコイイ♪ 背後にアルビナスとブロックがいましたが、親衛隊のうち3人だけ? まあ、次のコミックスで出てくるのかもしれませんね。 そう言えば背表紙の色がピンクになっていて、やっぱりアバンの使徒カラーで変えるつもりのようですね。 |