『アバン流最後の奥義』(2021.2.13) |
《粗筋》 雄叫びを上げて、クロコダインが斧をふるう。その度に数体の怪物達が倒され、その場にいた雑魚達は一掃された。 振り向いてザボエラの名を叫ぶクロコダインに、老魔道士は背を向けて逃げ出した。それを阻むかのように彷徨う鎧や魔道士達が立ちはだかるが、彼らなどクロコダインの敵ではない。 「待ってくれ、ワシは……」 「ワシは違うんだ……」 斧が当たった途端、ザボエラの姿は消えた。 そんなクロコダインを嘲笑う声が聞こえた。 ザボエラの卑劣さに憤るクロコダインだが、周囲を見回しミストバーンもいつの間にかいなくなっていることに気がつく。
同じ頃、ダイ達はついにバルジの塔へ辿り着いた。 ダイ達の前に突如現れたのは、フレイムとブリザードの大群だった。 ここでもたもたしている時間は無いと、ダイはポップへ呼びかける。 力を合わせりゃなんとかなると、楽しげに笑うポップに釣られるように三人は声を立てて笑う。 気を取り直して塔へ向かうダイ達に向かって、土塊を波のようにかき分けつつ迫る拳――それは、マァムの足首を掴んだ。土の中から現れたのは、フレイザードだった。 人質を抱えて暢気に待つのは性に合わないと、フレイザードは手にしたマァムを地べたに叩きつけようとする。手っ取り早く、一人、敵を減らすつもりの行動だった。 だが、その時、フレイザードの腕を切り飛ばした物があった。 地面に突き刺さった斧――それだけでも、その持ち主を察するにあまりあったが、止めを刺すかのごとくクロコダイン本人が登場する。 ヒュンケルが来たと、喜ぶダイとマァム。ポップは一人、ふてくされたようにアイツは死にはしないと言いつつ、マァムの足についたままのフレイザードの手を解こうと苦労していた。 明確にダイ達への肩入れを見せるヒュンケルとクロコダイン、それにダイ、ポップ、マァムの三人に囲まれたフレイザードは、観念しろと挑発するポップの軽口に対して、いつになく真面目に答えた。 結界が破られ、軍団長二人も助っ人についたことでいかに自分が不利になったか、冷静に分析するフレイザード。 「バカ言ってんじゃねえよ。たとえ全てを失っても……勝利だけは逃さねえ!」 フレイザードが諦めたのは、自分が無傷で勝利すること。 その意味を知るヒュンケルとクロコダインは、驚きを隠せない。 六団長誕生を祝して、バーンは褒美を与えると言った。 もちろん、そんな凄まじい炎の中央に手を差し込めば、たとえ六団長とはいえただではすまない。 が、いち早くそのメダルをつかみ取ったのは、フレイザードだった。 この件をきっかけに、フレイザードは魔王軍の切り込み隊長と呼ばれるようになった。フレイザードのとって、あのメダルは栄光の象徴であり、命の次に大切なものだったはずだ。 それを捨てたと言うことは――過去の栄光を捨てる覚悟があるということ。 凄まじい爆破ではあったがただの自爆であり、もう終わったと誰もが思った時、石のかけらが連打でポップにぶつかる。 よく見れば、爆風は一行に収まらず、石と氷の欠片は逆に勢いを増して空を渦巻く。 その予測は当たっていた。 岩を砕いたところで意味が無いと、フレイザードは首だけを浮かび上がらせて笑う。 斬れないのなら凍らせようとポップがヒャダルコを放つが、氷の塊だけが渦を巻き盾となる。そして、逆に氷の雨をポップへと降らせた。 だが、大地斬は効果が無く、反撃を喰らっただけだった。 ダイを庇い、大岩を受け止めたのはヒュンケル。 吹き飛ばされるダイとヒュンケル。 見えない物を斬れるようになった時、おまえの剣の威力は三倍にも五倍にもなるだろう、と。 特訓の意味に思い当たったダイは、アバンの言葉も思い出す。 岩が寄り寄り集まってフレイザードの姿を取るが、炎と冷気が消えかかった彼はひどく苦しそうだった。 ハドラーに生み出されてまだ一年足らずのフレイザードは、自分の人格に歴史がないことにコンプレックスを感じていた。 同情などより、彼は勝利を求めている。 ダイもまた、覚悟を決めていた。 それに応じるように、フレイザードは力を込めて本来の炎と氷の身体を取り戻す。 氷炎爆花散を炸裂させ、無数の欠片がダイに流星のごとく降りかかる。胸当てにヒビが入り、額当てが壊れて吹き飛ぶが、ダイは微動だにしない。
そんなポップをたしなめつつ、アバンは空裂斬について詳しく教えてくれる。 見極めるのが難しいが、時間をかけてゆっくり学びましょうと励ましてくれた優しい先生の記憶――。 実戦の中で、自分には見えない敵を見ることはできないと絶望するダイ。 ダイは成功するまで何発でも打ってやると、もう一度剣を納めて身構える。 マァムはフレイザードの身を案じてそれを止めるが、彼は聞く耳持たない。 襲い来る無数の欠片に対して、何度も空裂斬を放つダイ。 ダイにもう勝ち目はないのかと、嘆くマァム。 目に血しぶきが入り、慌てるダイ。 自分にも極められなかったアバン流最大奥義を、今こそダイが受け継ぐようにと叫ぶヒュンケル。 悲痛にダイの名を呼ぶ仲間達。 それこそがフレイザードだと確信したダイは、空裂斬を放った。 氷と炎を無理矢理合わせたような、奇妙な棘状の物体――それこそが、フレイザードの核だった。 「斬った……手応え……あり!」 勝利を確信したように、ダイが剣を納めた瞬間、核は真っ二つに割れる。割れると同時に、蒸発するように消滅する核。
《感想》 『な……っ、なぜ、爆弾岩の出番を削った!? おバカなフレイム達の出番も楽しみにしていたのに〜っ!』 今回、この感想が一番強かったことに自分でも驚きました(笑) まあ、それはさておき、冒頭のクロコダインは格好良かったです! 本物のザボエラと信じたからこそ庇ったのか、それとも知らなかったのか、興味があります。……個人的には偽物の方がまだしも人望があった説に一票(笑) しかし、ザボエラの死亡シーン、原作では血まみれだったのに、アニメではさっぱりでしたね。彷徨う鎧の壊れ方も、玩具みたいなバラバラさでしたし、迫力に欠けているのが残念。 ヒュンケルが目覚めるシーン、ハドラーがいないことへの戸惑いから、目線を動かすシーンがいいです! しかし、塔についた時のポップのセリフが削られているのが残念っ。「フレイザードが手ぐすね引いて待ち構えている」的な長台詞がまるっと消えている〜〜っ!? 敵を警戒しているのに、それでもダイの無茶に付き合うポップ、というやり取りが半減したのが残念でなりません。なまじ、ポップのしかたがないなーというポーズが似合っていて可愛いだけに、もっとやり取りを見たかったです……! なにより、爆弾岩のエピソードがまるまる削られちゃうとは……っ(涙) フレイム達と戦う際、ダイの台詞の改変もちょっと残念ポイント。 アニメでは「ここでもたもたしている時間は無いんだっ。ポップ!」 と、なっています。 逆にマァムに呼びかける時は、 アニメでは「よしっ、次はフレイムだ! マァムっ」「分かった!」 になっています。 でも、指先から生み出されるメラゾーマは格好良かった〜っ♪♪♪ 戦いの後の、みんなで力を合わせりゃの台詞がダイからポップの物に変わっていました! フレイザードの隠れ方以上に、迫り方にビックリ。 んでもって、フレイザードの台詞も一部改編。 マァムがパンツ絶対に見せない派になっているのは予測がついていましたが、原作ではフレイザードはマァムを尖った岩の上に叩きつけようとしていたのに、アニメではその辺がぼやかされていますね。 クロコダインの登場、アニメだと開いた手を前に出したポーズが素晴らしく格好いいです。まるで歌舞伎の大見得のように、決まっています♪ ヒュンケルの登場シーンで、ポップのふてくされ方、フレイザードの手をなかなか取れなくて手こずる非力さがいいですね♪ 原作ではフレイザードの手がトカゲの尻尾のように跳ねていましたが、アニメでのポップの非力さ強調も悪くないです。 ヒュンケルがハドラーに勝ったという指摘、原作ではなかったので面白いなと思いました。 五人がフレイザードを取り囲むシーン、もう少し均等ならよかったのに〜。原作ではダイ達はもう少しばらけているし、爆弾岩もいるので周囲を囲まれた感が強かったですが、アニメ版の上空から見た図では位置関係はよく分かっても、迫力が欠けますっ。 今回のアニメは遠景視点を多用して、位置関係を明確にしてくれるのはいいんですが、時と場合によっては極端なバーズを使ってでも追い詰められ感とか、その場の迫力を重視して欲しい気がっ。 しかし、ポップの間の抜けた挑発っぷりには笑いました。 と思ったら、ダイの台詞が思いっきりカットされていました。 ポップはギャグシーンをちょいちょい削られていますが、ダイは賢そうな台詞がしばしば消されていると思うのは、邪推でしょうか? フレイザードの台詞、いちいち言い回しがいいですね♪ 原作で見ただけでも好きな台詞の数々が、声優さんの演技でさらに磨かれている気がします! 過去の六団長集結も、いいですねえ♪ フレイザードの自爆シーン、ダイの「危ない! みんなふせろ」の台詞が削られていたのが残念。なにより、爆破の際にダイがポップの腕を掴んで庇っているシーン、なくなっている〜(泣) フレイザードの弾丸爆花散、幻のように顔の浮かび上がらせたりとか、実体を持った首部分だけを見せるとか、ホラーっぽくてよかったです。しかし、炎や氷が消えたフレイザードの首、逆に怖っ。 フレイザードが「勇者ちゃん」と呼びかけるシーンが、いいですねえ。 マァムが手を踏まれるシーン、足首だけで手を踏み、そこから岩が寄り集まって身体を作っていく演出はお見事! 原作のままなんですが、アニメだとやっぱり動きが目に見えて派手な感じなりますね。 フレイザードとダイの決闘前の対峙シーンで、それぞれ身構えるシーンが悪漢でした。動きの前の静のシーンというか、身構えるダイの足が、筋肉でギュッと盛り上がる描写が実に緊迫感を高めてくれましたね。 ダイがアバンの名を呼び、それが回想シーンでのアバンが応じる演出は想像以上にいい感じでした♪ 原作通りで、なおかつ原作のイメージをそのまま持ってきてくれると、やっぱり一番嬉しいですね。 まあ、全般的にシリアス傾向になっていて、ポップのギャグシーンがなくなっていたりとか、先生がポップを叩くのがソフトになっていたりとか、原作との違いはありますが。 ところでマァムは今回はほぼ活躍はしていないのだけど、フレイザードへの同情やダイへの悲痛な叫びで、ヒロイン枠になっている気がします。 ダイの心眼会得シーン、原作では背景真っ黒な世界でしたが、アニメでは暗い世界にフレイザードの欠片が散っていて、ちょっと宇宙空間っぽいなと感じました。 ダイの姿も下からの光に照らされている感じで、明暗がはっきりと分かれた感じがいいですね。 ポップが緑、マァムが赤と、ちゃんとイメージカラーの色なんですね。ヒュンケルも紫でしたし。ただ、クロコダインの光がなぜにピンク!?(笑) 暗いシーンから一転して、光と共に空裂斬を放つ演出はよかったです! 原作でも好きなシーンですが、アニメでもキレイに表現していました♪ しかし、血に染まったダイの顔、妙に派手なんですが……。あんだけ流血表現を避けておいて、なぜここだけ手加減抜き? 原作より、血で染まっている感が強いです。 んでもって、ラスト、なぜここで切った!? 今回はハドラーの状況や、マトリフやエイミさんの行動など違う場所で何が起こっているか、という説明シーンがオールカットされていましたね。話の流れ的にそれでいいとは思いますが、ミストバーンの説明が欲しい気がします。 次週予告で、なんだか当然のようにアーマードフレイザードが最初から最後まで暴れまくっていましたが……これ、原作を知らない人が見たら、フレイザードはどこに言ったんだって話になるのでは?(笑) それよりも、突然現れたミストバーンの不気味さ、瀕死のフレイザードに焦点を当て、ダイが戦うシーンだけを入れて、『あれ、来週は誰と戦うんだろ?』と思わせる方向の予告にした方が良かったような気がします。 |