『パーティーバトル開始』(2021.9.18)
 

《粗筋》

 間一髪のノヴァを、颯爽と救ったヒュンケル。
 そして、ガルーダがクロコダインとマァムを連れて飛んでくる。二人は危なげなく地面に着地した。

 だが、彼らを運んできたガルーダは力尽きたのか、べたっと地べたに伏せるように落下する。そんなガルーダを気遣い、休むように告げるクロコダイン。
 ガルーダは小さく鳴き、再び空へと飛び上がった。

 駆け寄ってくるクロコダインに対して、名を呼ぶヒュンケル。それだけで彼の意図を察したクロコダインは、短く「おう!」と答えて大きく息を吸い込み、口から火炎の息を吐き出した。

 熱さに悲鳴を上げるポップだが、そのおかげでダイ、ポップ、ノヴァの身体の氷が溶けていく。
 荒っぽすぎると文句をつけるポップに、クロコダインは親指を立てて応じるのだった。

 みんなに礼を言い、ダイは仲間と集合する。しかし、ダイは微塵も油断することなく強敵に身構えている。
 ハドラー親衛騎団らは、不気味なほどの落ち着きを見せている。頭を押さえ込んでいるヒムでさえ、ダメージを受けている様子はない。

 それに真っ先に気づいたのはヒュンケルだった。
 額を貫かれても死なないことから、親衛騎団もフレイザードと同じ存在だと見当をつけ、ダイにそれを告げる。

 急所である核を探して空の技を叩き込めば、勝てる。
 それを聞き、まずは核を探すことを考えるダイ。だが、ヒムは前に進みでで自分で自分の心臓を指さした。
 自分達の核は、ここにあると宣言するヒム。

 自ら急所を暴露する態度にポップは戸惑いを感じている様子だが、ヒムは全く動じる様子もみせない。
 当たらなければ効果はないと言い切る彼は、五対五という五分の条件を喜び、戦いを楽しんでいるかのようだ。

 敵の見せる恐ろしいまでの自信……だが、ポップは自分達のチームワークはあんな人形達に劣らないと、自らを鼓舞する。
 ポップはマァムにシグマを片づけてくれるよう、頼む。シグマの呪文返しさえなくなれば、極大呪文を使えると言うポップに対し、マァムは力強く頷く。

 その会話が聞こえているのかいないのか、本物の馬のように蹄で地面を蹴り、鼻息を鳴らすシグマ。
 
 クロコダインは一際巨体が目立つブロックに、狙いを定めた。
 ヒュンケルはダイに、誰がボスかを訪ねる。ハドラー不在の今、リーダーと名乗ったアルビナスがそうだと答えるダイに、分かったと頷くヒュンケル。

 一方、ヒムは逸る心を抑えきれないとばかりに前に進み出て、ヒュンケルと戦うとアルビナスに宣言する。
 だが、彼女は冷静にそれをたしなめ、ダイを相手にするようにと指示する。

 血気盛んなヒムはやられた仕返しとしてヒュンケルとの対戦をしたがっているようだが、アルビナスは自分達はハドラー様の駒だと諭す。
 リーダーだけあって、彼女はヒムの操縦方法を心得ている。ヒムが言い返せないポイントを突き、ハドラーのために勇者達の手の内を暴くよう提案する。

 それを聞いて、正面に向き直るヒム。その目には、もう何の迷いも感じられない。
 勇者一行と親衛騎団……両者の間には、凍りついた大きなクレーターが存在していた。

 息詰まるような沈黙の中、不安定な形となった氷の塊が揺らめく。
 嵐の前の静けさの中で、マァムは自分の担当であるシグマを睨む。クロコダインもまた、ブロックと無言のまま目を見交わしていた。

 スッと静かに持ち上げられたフェンブレンの手は、刃物の鋭さのままに輝き、敵を切り裂くのに最適な角度を形取る。表情の感じられぬその顔は、なぜか自信に満ちあふれているように見えた。

 それを見て、ポップはグッと足元を踏み直した。彼の目もまた、油断なく敵を見据えている。

 風の音だけが響き渡る戦場で、わずかな部分だけが氷の山にくっついているだけの氷の塊は、軋んだ音を立てていた。今にも落ちてしまいそうに、危うげなバランスを保っている。

 その氷にも劣らない涼しげな顔で、ヒュンケルは氷の美貌を持つ女王・アルビナスと向き合う。
 そして、ダイの目はヒムへと向けられていた。

 その時、堅い音を立てて氷の塊が落下した。それをきっかけに、勇者一行が一斉に動き出す。
 まず、真っ先に飛び出したのはダイだ。

 一方、悠然としていた敵もダイ達の動きに合わせて走り出す。
 敵の先陣を切るのは、シグマだ。他のメンバーよりも頭一つ抜けた素早さで一気に距離を詰めてくる。

 最初に戦いに突入したのは、マァムだった。
 息吹と共に、マァムはシグマに対して回し蹴りを食らわせようとする。が、シグマは身を沈めてそれを躱した。

 着地したマァムに向かって、ランスを振り下ろすシグマ。
 しかし、マァムは猫のようなしなやかさで空中に跳び上がり、シグマの頭上を飛び越える。その際、彼の腕を捕らえ、背負い投げを食らわせた。
 相手を見事に投げ飛ばしてなお、マァムは油断せずに身構え、即座に追撃を仕掛けていた――。





 フェンブレンと向かい合ったポップは、斬りかかってくる彼を空へ飛び上がって避けた。それを追うフェンブレン。

 吠えながら走るクロコダインは、ブロックに斧で斬りかかる。だが、オリハルコンの身体はあっさりとその攻撃を弾いた。
 そのままのしかかってくるブロックの両腕を取り、クロコダインらは力比べの体勢に入る。
 巨体を、力で押し返すクロコダイン。

 その背後から、パプニカのナイフを手にしたダイが大きくジャンプしてきた。
 彼が目指すのは、敵陣だ。
 それを見て、ヒムも気持ちを切り替えて動く。斬りかかってくるダイの刃を腕で受け止め、払いのけざまにパンチを食らわせる。

 ヒムのパンチに押されて後ろに飛ばされるダイは、地面を踏ん張ってなんとか踏みとどまった。
 そこへ、完全に狙いをヒュンケルからダイへ切り替えたヒムが殴りかかってくる。それを、ダイは大きく左に飛んで避けた。が、ヒムは透かさずに追撃をかける。

 ブロックと戦うクロコダインは、強烈なタックルを決める。

 マァムと戦うシグマは、ランスを高速で何度も突いていた。鋭い切っ先を、紙一重のタイミングで次々躱すマァム。

 空に飛び上がったポップは、新しい杖を使ってメラを打ち下ろす。だが、フェンブレンはそれを余裕で切り裂き、無効化した。


 ダイとヒムの戦いも続いている。
 またも後ろへと飛ばされたダイは、襲いかかってくるヒムを避け、パプニカのナイフで斬りかかる。それに拳で応じるヒム。
 まさに火花を散らすダイとヒムの戦いを、アルビナスはトレーナーのごとき視線で見守っていた。

 が、わずかな物音に反応して、アルビナスはそちらに目をやる。
 そこにいたのは、槍を構えたヒュンケルだった。

アルビナス「……私の相手はあなたですか? 余裕ですね。背後から核を貫けばいいものを」

ヒュンケル「貴様……女か」 

 女である敵に遠慮を感じているヒュンケルに対し、アルビナスは冷笑する。
 自分は駒であり、性別は関係ないと言い切るアルビナスに対し、ヒュンケルは敵の布陣について不満を漏らす。

 勇者ダイに対して最弱の駒である兵士をぶつけるなど、こちらを見くびっているのかと静かに問いかけるヒュンケル。
 だが、アルビナスも落ち着き払った態度で応じる。

 兵士が弱いと決めつけるヒュンケルの無知を慇懃にたしなめ、チェスの駒には強さに優劣はないと説明する。
 道具として目的に適した使い方をすれば、従前の強さを発揮する……彼女のその言葉を証明するかのように、ヒムと応対しているダイは息を切らしており、優勢とは言い難い。

 ヒュンケルとアルビナスの会話の間も、ダイは戦い続けていた。
 ダイはヒムの心臓付近を見て、そこに核があることを確信する。両者の距離が空いた瞬間を狙って、ダイは空裂斬を放つ。
 だが、ダイの攻撃は遠方の崖を吹っ飛ばすも、空ぶった。

 戸惑い、ハッとしたように自分の手にしたナイフに目をやるダイ。なんと、そこには細い刃先の上に一本足で立つヒムの姿があった。
 彼は挑発的にダイの背中の剣を飾りかと揶揄し、痛烈な回し蹴りを与える。

 思わずのように、ダイの名を呼ぶヒュンケル。
 同様を見せるヒュンケルとは対照的に、アルビナスは余裕たっぷりだ。接近戦に強いヒムへの自信を覗かせ、勇者を抑えられたヒュンケル達の心配までしてみせる始末。
 それを聞いて、ヒュンケルは歯がみをせずにはいられなかった――。

 






 地面に投げ出されたクロコダインを、ブロックは巨大な足で踏みつける。周りの地面にヒビを入れるほどのその威力に、苦痛の叫びを上げるクロコダイン。

 マァムは勢いを乗せてシグマの盾に拳を打ち付けるが、それはまったく効果が無かった。悔しそうな顔をしながらも、マァムは身体をひねって大きく回転し、シグマから距離を取る。

 盾を砕くのは無理だと判断したマァム、どうにかして相手の動きを封じようかと考える。しかし、全力で走るマァムの横を、シグマは余裕のまま併走してみせた。

 シグマの速さに驚きながらも、裏拳を放つマァム。
 だが、その途端、彼の姿は消えてしまう。ハッとして周囲を見回すと、いつの間にか上空に飛び上がっていたシグマの姿があった。
 ランスを回しながら、マァムめがけて攻撃を仕掛けるシグマ。

 頭を狙ったランスの市部期を、文字通り服一枚を掠めて避ける。首筋スレスレの攻撃は、マァムの服の肩部分を裂く。
 マァムの動きや努力を褒めながらも、自身の速さと跳躍に絶対の自信を持つシグマは勝ち誇るようにそれを宣言する。


 仲間達の戦いに目を向けながら、アルビナスは自分達の陣営の有利さを自慢する。
 ヒュンケルはリーダーであるアルビナスを倒して起死回生を図ろうとするが、ヒュンケルの連続的な突きを彼女は素早い動きでことごとく回避する。
 驚きに目を見張るヒュンケルに対して、アルビナスはどこまでも冷静に言ってのけた。

アルビナス「……言うまでも無いと思いますが、私もかなり強いですよ」





 ヒュンケル達の頭上には、トベルーラで浮かぶポップの姿があった。
 俯瞰の位置から見下ろすポップは、敵のペースにはまっていることを実感していた。敵が固まっていないと、ポップの切り札のメドローアも使えない……ン迷うように、下を見回すポップ。

ポップ「それに……さっきまでオレを追い回していたナイフ野郎はどこにいったんだ……?」

フェンブレン「ここだっ」

 ポップの背後から、いきなりフェンブレンが突き刺すような動きで斬りかかってくる。なんとか避けるも、すでに接近を許してしまっている。

フェンブレン「油断したな」

 思わぬ接近に動揺したのか、杖を構えてフェンブレンに殴りかかるポップ。だが、相手にダメージを与えるどころか、相手の身体に触れた瞬間に杖の先端部分が切断された。

 新品の杖が壊れたと大騒ぎするポップに、フェンブレンは自分の身体の八割が刃物だと、脅しとも忠告ともつかぬ言葉を呟く。
 そのまま、自分の方へと迫ってくるフェンブレンを見て、ポップは怯えて意味も無く折れた杖を振り回す。


 地上からその様子を見たダイは、ポップの危機に思わず気を取られる。が、その隙を突かれてヒムから強烈な拳を喰らってしまった。
 他人の心配をしている場合ではないと、ヒムは息も着かせぬ乱打を叩き込んでくる。

 その攻撃に必死に耐えながらも、ダイはついに我慢しきれなくなって背中の剣の柄を握る。
 それに反応し、攻撃をピタリと停止して後ろへと大きく距離を取るヒム。

 ナイフを構えながら背中の剣を抜こうとするダイだが、いくら力を込めても剣を抜くことは出来ない。
 それを見て、ヒムは期待が肩すかしになったことに文句を言い、ダイを殴り飛ばして使えない剣を下げて出てきたことを責める。






 その様子を見ていたアルビナスは、ダイがまだ剣を使いこなせていないことを見て取り、ますます自分達の有利を確信する。
 ヒュンケルが斬りかかってくるのを優雅な動きで避け続けるアルビナス。
 
 ヒュンケルの攻撃を完全に躱し、微笑む――が、彼女の髪に当たる部分に亀裂が入り、わずかに切れる。
 その事実に驚くアルビナス。
 ヒュンケルは自分達人間は駒ではないと言い、盤上の計算では倒せないと言い切った――。


 空中でポップはギラを連発し、フェンブレンに牽制をしかける。が、魔法が利かないオリハルコンの身体を持つ彼は、平然としている。
 無駄だと言いながら、爪でポップに攻撃を仕掛ける。
 強度のあるはずのポップの新衣装の手袋があっさりと切られ、四本の裂け目が走る。
 苦痛に顔をしかめ、ポップは後方へと逃げようとした――。





 地上では一旦地面に着地したマァムが、すかさずまた跳んだ。その一瞬後、シグマのランスが彼女がいた場所を深々と抉る。
 そして、シグマは跳んで逃げたマァムを持って、自分もまた跳躍した。





 ブロックに完全に担ぎ上げられ、アルゼンチンバックブリーカーをしかけられているクロコダイン。完全に死にたいとなった彼は、もやはうめくしか出来なかった。






 仲間達のピンチを見て、ダイは動揺を隠せない。
 思わず仲間に呼びかけるが、腕組みをして彼を睥睨するヒムは、なおもダイの剣を抜くように要求する。

ヒム「抜いてみな……これがラストチャンスだ」

 悔しさを感じながらも、ダイは周囲に目をやる。倒れている兵士達も、このままでは全滅してしまう。自分の剣が抜けさえすれば、一気に敵をやっつけられるのにと焦りながら、剣を抜こうとするダイ。
 だが、剣はびくともしない。

 焦って剣を抜こうとし、失敗し続けるダイを見て、ヒムは呆れたのか見切りをつけた。ハドラー様の手を煩わせる価値もないと、己の必殺技ヒートナックルで止めを刺そうとする。
 握り込んだヒムの拳が、炎を纏って赤く輝いた。






 一方、地上に降りて走って逃げていたポップの目の前に、フェンブレンが降りたった。
 ヒムが勝負を決めるのに合わせ、フェンブレンも決めるつもりでいる。
 怯えるポップに対して、首を一息に落とそうと腕を振り上げるフェンブレン。

 が、そこに光を纏ったナイフが三本飛んできた。
 とっさに攻撃を中止し、自分の腕でナイフを受けきるフェンブレン。驚いてから振り返ったポップは、蹲っていたノヴァがその攻撃を仕掛けたのだと悟る。

 ノヴァは闘気を込めたナイフを、続けざまにフェンブレンに投げつけた。そのナイフは切って落とすも、これ以上の攻撃を嫌ったのか彼はその場から遠ざかる。

 敵が去った後を見て、ハッとした表情を見せるノヴァ。
 そこには、剣を抜くことに拘る余り、無防備に敵の必殺技を食らいかけているダイの姿があった。

 ノヴァは苦しげにポップに手を伸ばし、杖をよこすように要求する。戸惑い、ノヴァを振り返るポップ。





 危機が寸前に迫る中、ダイはまだ自分の剣を抜くことに固執していた。そのせいで、殴りかかるヒムの拳に気づいた時は、すでに避ける余裕もない。
 が、その時、ノヴァが壊れた杖に全ての闘気を込め、ヒムめがけて投げつけた。

 心臓の真上に闘気の篭もった武器をぶつけられ、さすがにダメージを受けて吹き飛ばされるヒム。ヒムは石垣に叩きつけられるが、ダイは敵の確認よりもノヴァを案じてそちらへと走った。

 ポップに抱きかかえられているノヴァに、真っ先に礼を言うダイ。
 が、どこか素直ではないノヴァは、その礼をはね除ける。勇者が弱い物をすくうのは当たり前と言いながら、力尽きたように目を閉じてしまう。

 心配するダイだが、ポップはノヴァは気絶しただけだと言う。
 残り少ない闘気を振り絞り、限界ギリギリまで奮闘したノヴァを認めるようなことを言うポップの言葉を聞いて、ダイはふと、思い出す。





 そこは、ランカークス村近くの森の中。
 平然と佇むロン・ベルクとヒュンケルと違い、肩で息をするダイは剣を背負ったまま膝を突いていた。
 
 特訓しても剣を一度も抜けなかったことを悔しがり、地面を拳で殴りつけるダイ。
 だが、ロン・ベルクはそれを鼻で笑う。
 
 ヒュンケルは鎧の魔槍をマスターしたことと引き比べ、焦りを感じるダイに、ロン・ベルクはそれが当然だと諭す。
 ロン・ベルクは一線を退いた身……とても剣の本気を引き出せる相手ではない。

 剣が抜けないのは、相手の技量を見切れないダイの未熟さ……要は心の中にあるとロン・ベルクは諭した。

ダイ「おれの……心に……」






 

 その時はよく理解できなかった言葉を、ダイは今こそ実感していた。
 鬼岩城以来、ダイは自分の剣にどこか頼る気持ちがあった。ダイの剣の強大な力を、自分の力と勘違いしていた。

 だが、ダイの剣には魂があり、敵の技量をダイ以上に理解する力もある。それを、ダイは忘れていた。
 ダイの剣は、ダイが限界まで戦い抜いた時、初めて力を貸してくれる剣だった。

 ダイが己の心を振り返っている間、ポップはノヴァを近くの石垣に寄りかからせる形で休ませていたのだが、ダイは真剣な表情でノヴァに向き直る。
 まだ気絶しているノヴァに、ダイは心の中で呼びかける。

 ノヴァのおかげでロン・ベルクの言葉が理解できたと感謝し、そして自分もノヴァもまだ未熟な勇者だと実感し、苦笑するダイ。


 そして、気持ちを切り替えたダイは、剣が抜けない以上、自力で倒せるはずだと強く主張する。
 その時、ヒムが起き上がってきた。

 痛そうに起き上がるも、彼の身体には傷一つ無い。ポップの壊れかけの杖を手で握り込み、熱で溶かしてしまう。どろりと溶けた杖は二つに折れ、地面に落ちて堅い音を立てた。
 それを聞いて、ヒムに向き直るダイとポップ。

 邪魔をされたことに腹を立て、怒って走ってくるヒム。それに対し、ダイは拳に力を込め、竜闘気を全開にさせた。
 拳に炎を纏わせて空中高くに飛び上がったヒムに向かい、ダイもまた気合いを込めて空へ飛び上がる。

 赤と青の拳が、激しく激突する。
 火花散らす拳の打ち合いに打ち勝ったのは、ダイだった。ヒムが苦痛に大きくのけぞる。
 それを地上から見ていたヒュンケルが、とっさに指示を飛ばす。

ヒュンケル「ダイッ、こっちに落とせ!!」

 ハッとして、ダイは気づく。
 空の技が使えるのは、自分一人では無いことを。
 ヒムの後ろへと回り込み、ダイは両手を組んで思いっきり彼をぶん殴った。その勢いで、ヒムは通常の落下よりも速い速度で地面に向かって突撃する。
 そのヒムめがけて、ヒュンケルがアバン流槍殺法・虎空閃を放つ。

 それを見上げるアルビナスの口元から針が放たれた一瞬を、見届けた者はいなかった。

 虎空閃はヒムの肩を貫き、彼は光に飲まれるように吹き飛ばされ、地面に落ちる。
 思わず、ヒムの名を呼ぶフェンブレン。
 だが、声かけも虚しくヒムは派手に地面に落下した。





 一方、技を見事に決めたヒュンケルの側には、ダイとポップが嬉しそうに駆け寄る。
 ポップは一人倒したなとはしゃぐが、ヒュンケルは浮かない表情でそれを否定した。

 実際、ダメージを受けた様子ではあるが、ヒムは左肩が爆破でもしたかのように大きく裂けているにもかかわらず、立ち上がった。

 それに驚き、まだ技が完成していなかったのかと尋ねるポップ。
 しかし、ヒュンケルの左腕には大きな針が刺さっていた。アルビナスが吹いたその針のせいで、直撃を外してしまったのだという。
 悔しそうなヒュンケルに、アルビナスはその針は毒針だと教える。死の危険を匂わされ、ダイは焦ってマァムを呼ぶ。

 シグマと戦っていたマァムは、ダイの呼びかけに一瞬、顔を向ける。
 突いてくるランスを屈んで躱し、殴りかかると見せかけて回し蹴りを放った。
 縦にめがけた回し蹴りは、当然のように払いのけられる。
 が、そのシグマの動作すらマァムの計算だった。

 払いのけられる勢いも利用して、後方に大きく飛んで逃げ、ダイ達の所に戻るマァム。
 すでにヒュンケルは自力で立っていられず、蹲っていた。


 マァムの見事な逃亡劇に腹を立てるシグマだが、アルビナスがメンバーに全員結集を命じる。その指示に即座に従うシグマ。
 ブロックも命令に従うため、抱えていたクロコダインを地べたに叩きつける。


 ヒュンケルの側に屈み込んだマァムは、キアリーをかけた。柔らかな白色の光に覆われ、針がポロリとこぼれ落ちる。
 また、最初の時と同じように、敵と味方が大穴を挟んで対峙する形となった。

 ヒムは左腕が上がらないと、フェンブレンに声をかける。
 それだけで察したのか、短く応じたフェンブレンはためらいも見せずにヒムの左腕を肩からスッパリと切り落とした。
 落とされた腕は火花を纏い、爆発してしまう。
 それを、驚いて見ているダイとポップ。

ヒム「この方が身軽でいい……」

 ヒムは自分がダイ達を侮っていたことを、素直にアルビナスに詫びる。アルビナスもそれを責めることなく、ダイ達の戦力がハドラーから聞いた情報より上回っている事を認めた。
 シグマも、ダイ達の実力が実戦慣れした粘り強さがあると認めていた。
 その時、遅れていたブロックがやっと戻ってきて、ハドラー親衛騎団が全員集合する。





 マァムの身体から眩い光が消え、もう大丈夫だとヒュンケルに告げる。
 敵を睨み続けているポップは、自分の腕をたたき落とす彼らの執念に脅威を感じていた。

 立ち上がったヒュンケルも、ポップの意見を肯定する。
 彼らの統率力と使命感を認めつつも、ヒュンケルはダイを振り返り、先程の作戦を肯定する。結果的に仕留め損なったが、仲間同士で協力し合うよう諭すヒュンケルに、ダイは笑顔で頷いた。

 そして、そこに一番遅れてクロコダインが合流する。
 彼は、敵の力を認めた。自分達以上の力を持っているからこそ、力に力、速さに速さで対抗しても決して叶わないと悟ったのだ。
 むしろ、異なった能力で戦った方がいいという。

 それを聞いて、ポップはフォーメーション変更を提案する。
 マァムはブロックをスピードで攪乱、クロコダインはシグマを力でねじ伏せる。ダイとヒュンケルはタッグを組んで、残り三人を引きつける。

 その間にポップがメドローアを作りだす。シグマの盾を封じ、敵を集合させたところで一網打尽にする作戦だ。
 彼の提案に、誰一人として不満も疑問も唱えず、頷いた。

 気合いを高める勇者一行。
 今度、先手を切ったのはクロコダインだ。いきなり獣王会心撃を繰り出し、敵全体を揺るがす。

 その隙にマァムが、全身を竜闘気で輝かせたダイ、ヒュンケルが続く。
 最後に残ったポップはゆっくりと数歩進み、足を止めて魔法力を高めだしだ。その手から氷と炎の魔法が生み出されるが、突如始まった戦いのせいで誰もそれに気づかなかった。





 敵側の先陣は、ヒムだった。
 腕を切り落としたヒムは、ダメージを感じさせない動きで走ってくる。必殺のヒートナックルを、ひらりと身をひねって躱すマァム。
 続いて、マァムは後方から斬りかかってきたフェンブレンもジャンプで躱す。通り過ぎた敵に見向きもせず、マァムが目指すのはブロック。巨体の股間の間をスライディングして滑り抜け、後方から蹴りを食らわせるマァム。






 ダイは殴りかかってくるヒムの拳を避け、フェンブレンの剣もジャンプで躱す。その間、ヒュンケルは槍でアルビナスに連続攻撃を仕掛けていた。だが、完全に彼女にかかりきりになっているわけではなく、逃げる彼女をヒムの方へと追い込み、ヒムに対しても攻撃の余波を与える。
 怒りに燃え、ヒュンケルを狙い始めたヒムは、後ろも見ずにジャンプした。
 背後に、メドローアの準備を始めたポップがいることも気づかずに――。

ポップ「よしっ……!」

 理想通りの流れに、ポップはただ魔法力を高めていく。





 マァムは殴りかかるブロックの拳を避け、持ち前の素早さをいかして巨体の周りに円を描くように走り回る。周囲を見回すブロックだが、その動きは悲しいほどにマァムの速度についていけていなかった。

 螺旋を描く軌道で、いつしかブロックの寸前に接近したマァムを見て、ブロックは両手を組んで高々と振り上げ、攻撃する。が、空中に高く跳び上がって難なくそれを躱したマァムは、ブロックの頭を狙って蹴りを放った。






 獣王会心撃後、未だに闘気を放ち続けるクロコダインの標的は、当然シグマだ。だが、荒れ狂う闘気流の中、シグマは臆することなく歩を進めてくる。
 しかし、クロコダインは不敵に笑い、新必殺技を放つ。バルジの大渦で命を賭して身につけた技――もう一つの逆回転の渦が、シグマを襲う。





 仲間達が戦う中、ポップはメドローアの準備を着々と進めていた。炎と氷を合わせて光の弓を生み出し、やを引き絞ろうとしている。






 その間も、クロコダインの猛攻は続く。
 両手から同時に繰り出される闘気流の逆流に、さすがのシグマも悲鳴を上げる。
 獣王激烈掌と名づけられた二重螺旋の渦がシグマの身体を軋ませ、ついには盾ごと彼の腕をもぎ取った。
 空に高々と、シグマの腕が舞い上がる。





 ダイに攻撃を仕掛けていたヒムも、それに気がついた。シグマの名を呼び、彼の元へ駆けつけるヒム。
 シグマはなくなった腕を押さえ、膝を地面に突く。
 そんなシグマを心配してか、アルビナス、ブロック、フェンブレンも集まってきた。

 そんな彼らに、なおも襲いかかろうとするダイ、マァム、ヒュンケル。
 が、この形こそがポップの理想的な陣形だった。
 ポップはみんなにどくように叫び、魔法の弓を引き絞る。それを聞いた途端、ダイ達は敵の寸前まで進んでいたのにも拘わらず、一斉に退いた。





 ヒムは呪文攻撃されようとしているのに気づき、鼻で笑うが、アルビナスは顔色を変える。

ヒム「今更呪文など……」

アルビナス「いけない!」

 その瞬間、ポップのメドローアが炸裂した。
 全てを白く塗り替えるほど強烈な光が、親衛騎団を襲う。驚愕の表情を浮かべたまま、ヒムが、アルビナスが光に飲み込まれていった。





 驚愕は敵だけでなく、味方にも等しく与えられた。
 ダイは完成形のメドローアを見て、ただ、ただ、驚くばかりだ。
 凄まじい威力に、クロコダインも驚きを隠せない。

 ヒュンケルは呪文の強さを認め、よくぞ習得したと感心する。そしてマァムは、嬉しくてたまらないとばかりの満面の笑顔を浮かべて、ポップを賞賛する。

 やがて、魔法の光が収まってポップが腕を下ろした時、みんなが彼の側に駆け寄ってきた。
 すごいと手放しで喜ぶダイに、猛特訓の成果を褒めるマァム。

 額の汗を袖で拭い、ポップは今度こそ間違いなく命中したとどこか嬉しそう。
 確認するように、ポップは呪文の跡を目で追う。

 地面を抉り、周囲の家をも巻き込んで山を削り、地形までも変えてしまうほどの極大消滅呪文の痕跡は、ただただ、凄まじいの一言に尽きる。呪文の効果範囲内のものは全て消滅していた。
 巨大な円形状の穴が空いた地形の中、風の音だけがやけに響き渡る。
 それを確認してから、ポップは一言、呟いた。

ポップ「勝った……!」

 
 

《感想》

 パーティーバトル、メチャクチャかっこいいですっ♪
 冒頭部分がヒュンケルの登場シーンをやり直していますが、ここは多分二回やるべき大事なところなんですね(笑)

 ガルーダ君、原作ではバテバテで目を回していたのに比べ、妙にかっこいい……! さらに言うなら、原作ではバテてその場にヘタっていたのかと思っていたのですが、アニメでは空に飛びあがっていますね。やっぱり、彼はかなり贔屓されていると思います。

 ダイ達の氷が溶けるシーンで、ダイが最後に残った氷を砕くシーンが無くなったのは残念。フツーに駆け寄ってくるだけになっていました。
 でも、ダイとポップが敵の方へ振り返る速さはいいですね。
 
 ヒムちゃんの不敵なまでの弱点ばらし、見ていて清々しいです。なんだか、初登場時に比べて少しずつ彼の声に感情が宿っていく感じで、そこも楽しいポイントの一つですね。

 ポップが杖を持って身構えるシーン、原作通りの持ち方ですが……正直、棍(こん)系武器の持ち方としては嘆かわしいほどなっちゃいないです。両手の間隔が空きすぎているので、あれでは回すのも薙ぐのにも力の入り方がばらけてしまい、隙が多すぎ。

 そもそもあの手の武器は片手でも持てるだけの腕力がなければ武器として使用できないのですが、ポップのあの杖の持ち方って重いから仕方なく両手で持っている感がヒシヒシとするのですが……。
 レオナも、もう少し軽い杖を贈ってあげればよかったのに。アレはどう見ても儀式用の杖で、実戦向けじゃないですしね。

 親衛騎団との組み合わせを決めるシーン、シグマの嘶きシーンに感心。鼻息荒いキャラってのは大抵下品に見えるものですが、シグマの場合は妙にかっこいいですね。

 ヒムを諭すアルビナスのシーン、よかったです♪
 荒っぽいヒムを見事にコントロールしている感がいいですね。それに、なんと言っても戦いの前の緊迫感の見せ方の見事なこと!

 原作でも戦いを前にした緊迫感の表現として、対峙していた彼らが落ちそうで落ちない氷の塊が落下したのをきっかけに戦っていますが、アニメではその演出を見事なぐらい昇華させています!

 原作では全員のカットは入っておらず、マァム、ブロック、ポップの足、アルビナス、フェンブレンの手、ダイのコマが並んでいましたが、アニメでは全員、しかも戦う相手順に並べてくれていましたっ♪

 ポップが足を踏み直すシーンなど、原作の部分を引き継ぎながらも彼の緊張感のある顔のアップが出てきたのは嬉しい限り。

 原作では出番の無かったヒュンケルも、ここぞとばかりにアップで割り込んでいましたし。
 ダイとヒムの向き合うシーン、両者の片目をドアップで映していたのは嬉しい驚きでした。

 他のメンバーが敵との距離を測っている感じがするのに、ダイとヒムだけはそんなのガン無視でガチ勝負しか考えていない雰囲気がして、すごく好きです。

 みんなが一斉に動き出すシーン、よかったです!
 打ち合わせもしていないのに、以心伝心とでも言うべき息の合ったスタートっぷりがいいですねえ。

 原作では無言なのですが、クロコダインが吠えながら走るのもいいです。ええ、おっさんはやっぱり吠えてこそですよ♪
 でも、原作だとマァムが先陣を切ったように見えていたのですが、アニメだとダイが真っ先に動いていますね。

 が、シグマの動きが速かったので、マァムが真っ先に戦い始めた理由が分かりました。マァムが敵陣に早く駆けつけたと言うよりは、敵の方が彼女の所へ先に辿り着いたのですね。
 シグマ対マァム戦、原作とアニメではかなり動きが違う感じです。

 原作のマァムはシグマに蹴りではなく殴りかかろうとしていますし、シグマを投げた技も腕を巻き込んでからの体落としに見えたのですが、アニメでは完全に一本背負いですね。
 投げ技まであるなんて、武神流、恐るべし!

 ポップの動きは一番変更部分が大きいかも。
 原作ではポップは仲間達の戦いを観察しつつ、後方待機していたのですが、アニメでは敵陣に突っ込んでいますね。……無茶な(笑)

 クロコダインとブロック戦も、アニメならではの改変♪
 原作ではいきなりクロコダインが負けているところから始まったから、アニメでは奮戦時が見られて嬉しいです。
 
 ダイとヒム戦も、改変が賑やかです。
 ダイが斬りかかるのをヒムが腕で防ぐシーンは、原作では最初ではなく、後の攻防に混ざっていました。最初に持ってくると、インパクトが大きいです。
 後ろに飛ばされたダイが、手を地面につけ、足を踏ん張って速度を殺す動作もアニメの改変ですが、いい感じの動きですね。

 パーティーバトルと言うだけあって、仲間達の動きを次々と切り替えながら動かしていくのが実に素晴らしいです。
 しかし、マァムに向けられたランスのラッシュ攻撃……先端恐怖症気味の筆者にはちょっと怖かったです。
 ランスの先が、メッチャ鋭すぎっ。

 フェンブレンと戦うポップ、あの杖でメラを放っていましたっ。
 原作では魔法を一度も使わないまま壊れてしまったので、実際に使っているシーンを見るのはなんだか感慨深いです。

 アルビナスとヒュンケルのやり取り、改変が。
 ヒュンケルに対して『余裕ですね。後ろから〜』の部分はアニメオリジナルであり、原作では「女か……?」とやや疑問形だった問いかけが、アニメでは断定になっていました。

 女なら戦いたくは無いと言うヒュンケルのフェミニストな台詞が削られていたのはちょっと残念ですが、アルビナスの追加台詞のおかげでヒュンケルが女を相手に手加減をしている、という雰囲気が作られているので流れは変わっていないと思います。
 
 アルビナスとヒュンケルの会話の最中のダイとヒムの打ち合いは、ちょっと迫力に欠けていた気が。

 ダイの場合、ジャンプを含めた動きだと生き生きとしているのですが、横方向に移動しての打ち合いだと、背丈が足りないせいかどうしても手だけで打っているだけの手打ちにみえてしまい、威力が足りないように思えます。

 ヒムがナイフの上に立つシーンはやっぱりかっこいいですが、ヒムの重量を思うと、よくダイがナイフを持てたな、と思ってしまいますね(笑) まあ、アルビナスが浮かんで移動していたことを思えば、親衛騎団はトベルーラを使えるのかもしれませんが。

 クロコダインがブロックに踏まれるシーン、ただの苦痛の表情だったのがちょっと不満。
 原作では、苦痛以上にショックを受けているような表情に見えたものですから。

 魔王軍でも腕力ではハドラー以上と言われたクロコダインにとって、剛力で他人に負けた衝撃は少なくなかったと思います。
 純粋な力比べで負けたショックの表情を、見てみたかったですよ〜。

 マァムとシグマ戦は、スピーディーな動きがすごくいい感じです。
 ただ、マァムが服の肩部分を裂かれるシーン、原作では首を竦めて肩を前に出しているようなポーズだったのに対し、アニメでは首を伸ばしたポーズに変わっていました。

 首スレスレをランスが通り抜けていたので、あれだと肩よりも首に傷がつくんじゃないかと思いましたが。

 ポップとフェンブレンの空中戦とは、原作とは違った構成ですね♪
 ポップは牽制として細かい魔法を放ってフェンブレンと距離を取りつつ、空中から仲間達の戦況を窺っていた、という解釈みたいです。
 
 原作では完全に不意打ち狙いだったフェンブレンが、アニメでは後ろから襲いかかる程度にランクアップ!(……なのかな?)
 それにしても親衛騎団がトベルーラ使える説が、こんなところで補強されるとは。

 ポップが杖でフェンブレンに殴りかかるのは原作と同じですが、アニメではポップはトベルーラを使用しながら殴りかかっているので、移動速度が魔法力で加担される分、腕力だけで殴るよりも威力は上がるかもと思いました。
 まあ、どっちにしろ、あっさりと杖が壊れるのは同じなのですが(笑)

 フェンブレンがポップの迫るシーン、ぬうっとした動きが不気味で、ポップが怯えるのも納得です。
 ただ、原作ではよりサディスティックに手の指をカシャカシャと蠢かしつつ迫ってきていたので、アニメの方がまだ紳士的かも。

 それにしても「来るなっ、さわるんじゃねえっ」と叫んでいるのが、まるで痴漢にでも襲われかけているようだと思っちゃいましたよ(笑)
 まあ、原作だとほぼ変質者に襲われているようなものですが、アニメだと行動や動きもシャープで、卑劣度や残酷性が大きく下がっている気がします。

 アルビナスの台詞、『剣を使いこなせていない』ではなく『こなせていない』のまま。原作通りと言えばその通りなのですが、アニメでは基本的に言葉遣いが分かりやすい表現に変えられることが多かったので、ここも変化するかと思っていました。

 それにしてもアルビナスの回避の動き、実に優雅でいいですねえ。まるで滑るように動いています。
 ヒムが腕組みをして剣を抜くように言うシーンはアニメの改変ですが、いかにも彼らしい台詞と行動だと思います。

 倒れている兵士達の中に、ゴメスとラーバが。原作通りとは言え、やっぱりこの二人は贔屓されている気がします。
 しかし、ラーバの横に倒れている兵士さん、原作では黒髪なのにアニメでは茶髪に(笑) あまり意味がなさそうな改変ですね。

 ポップに止めを刺そうとするフェンブレンの台詞、短めに改変されていますね。両方を合わせて二で割った感じです。

原作フェンブレン「……決めるな、ヒムめ。……こっちもいくか……!」
アニメフェンブレン「こっちも決めるか……!!」

 ノヴァがダイを助けた直後、アニメではポップがノヴァを後ろから抱きかかえていますが、原作ではうつ伏せの姿勢に倒れ込んだノヴァを上から揺すり、次のシーンで抱きかかえています。
 動きで見たかったのですが、省略されたみたいですね。

 ダイがロン・ベルクとの訓練を思い出す際、CMを挟んだのは残念でした。原作では、ダイの顔にダブらせるように森の光景が映り込むという手法を使っていたので、アニメでもやってほしかったのですが。

 ロン・ベルクの話で「オレはそれを鍛えたかった……!」の一言が消えていたのも、すごく残念です。

 ダイが自分の剣を肩越しに見つめるシーン、アニメの改変ですがすごく気に入りました。
 「未熟な勇者〜」で苦笑する表情も、大好きです♪

 でも、ちょっと残念なのが、原作ではポップがダイの表情の変化に気づいて、どうしたんだと呼びかけるシーンが改変されたこと!
 アニメではダイが自分内部で悩みを一人で完結し、「きっとある」と叫んだからダイの方を振り向いて、ポップが「どうしたんだよ?」と尋ね返しています。順番が逆! 
 
 原作ではポップがダイに注目し、心配していたというのに、アニメでは注目度が薄いです。うう、戦場でもダイの悩みを見逃さないポップの友情が感じられるシーンで、大好きだったのに〜っ。

 ダイとヒムの空中戦、原作ではダイとヒムは一直線上にいて、即座に殴って下に落とす、という風に見えましたが、アニメではヒムが少し離れた場所に飛ばされたため、ダイが回り込む仕草が増えています。
 
 虎空閃のシーンで、アルビナスのアップがありますが、驚いたように見える彼女の口から針が飛ばされている一瞬が見えました! 原作にはないアニメの改変シーンです。

 落ちるヒムを呼ぶシーン、てっきりアルビナスの呼びかけかと思っていたら、まさかのフェンブレン。
 原作ではアルビナスとフェンブレンの二人の間のコマにセリフが挟まれていたので、てっきりアルビナス、もしくは二人同時の声かけかと思っていたのに……アニメでは原作寄りもフェンブレンの好感度があがっていく感じです。

 ヒュンケルの腕に針が刺さっているシーン、それに気づいたポップが驚いてから、すごく心配そうにそれを見つめているシーンには萌えました♪♪♪ それに対して、ヒュンケルはやせ我慢している感じが強いですね。

 マァムのキアリーシーン、神々しい感じでうっとりしました。
 原作では傷にかざしていた手が、アニメでは針を受け止める形になっていて、落ちた針が彼女の手に落ちていました。
 毒を自らの手で受け止めてでも人を助けようとする姿が、実にいい感じです。

 ヒムの腕を落とすシーン……こーゆーのは容赦なくやるんですね。
 血がでなければいい、という解釈なんでしょうか? でも、動かない腕のセリフはカットしているので、色々と気遣いをしているご様子。

 それにしても、腕と同時にハドラー親衛騎団のエンブレムも一緒にたたき落としているんですが、ヒムもフェンブレンもそこは気にしないんでしょうか(笑) 特にフェンブレンなどは、ハドラー親衛騎団を抜ける際にはエンブレムを外すなど気を遣っていたはずなのに。

 親衛騎団がダイ達について話すシーン、いいですねえ。
 そして、シリアスな会話の中、のっそりと戻ってきたブロックに笑っちゃいました。足、遅っ。

 力は強くても、ブロックは機動力にはとことん欠けるみたいですね。原作では、このシーンでブロックのカットが無かっただけに、いつ、どうやって合流したのか分からなかったんですが、アニメでのタイミングが分かって満足です。

 ポップの作戦会議に、みんなが頷くシーンがいいです♪
 原作では無言で頷いていますが、アニメでは無言とは言え「んっ」と言う感じにマァムが微妙に息を漏らすのが、雰囲気があっていいですね。
 いつの間にか、ポップへの信頼感がすごく高くなっています。

 クロコダインの獣王会心撃、原作ではシグマへの攻撃の一環であり、敵陣営を分断するための牽制という感じでしたが、アニメでは単なる牽制というイメージですね。

 ヒムとマァムのすれ違い、めっちゃかっこいいっ。くるくるっとフィギュア選手のように身を回転させてヒムをあしらい、フェンブレンに対しては空中に飛び上がって躱すなど、動きが華麗です。

 自分達に見向きもしないマァムを、ヒムとフェンブレンが目で追っているのがいいですね。ダイ達も自分達の方に駆けてきているというのに、あまりにも綺麗に躱されてプライドが傷ついた感じでしょうか。
 また、真正面からだと敗れた袖の方がノースリーブのように見えるのが新鮮でした。

 しかし、ブロックと戦うシーンはともかく、股間の間をくぐり抜けるシーンなんざ原作には無かったのにっ(笑)

 クロコダインの獣王激烈掌は、原作だと掌の組み合わせ方がドルオーラっぽかったですが、アニメでは遺伝子を思わせる二重螺旋の渦の流れの方が印象敵でした。

 シグマの負傷に親衛騎団が集まる時、アニメではヒム、アルビナス、ブロックがシグマの方を向いているのに、フェンブレンだけは彼に背を向けて身構えていました。
 仲間を心配しつつも、警戒心を怠らない感じでいいですね。

 原作では、実はブロックが警戒役で残りメンバーはシグマの方を向いているので、やっぱりフェンブレンのイメージアップ大作戦がアニメで実行されている気がします(笑)

 集合した親衛騎団に、ダイ達がなおも襲いかかるシーン、よかったです。高く跳び上がったマァムの動きが、特に印象敵でした。ポップの合図でダイ、マァム、ヒュンケルの顔が三分割のアップになるシーン、原作ではものすごーく小さいコマだっただけに嬉しかったですよ!

 メドローア寸前のヒムとアルビナスの台詞、密かな改変が。ヒムの台詞からは「バカめ」が抜けています。

原作アルビナス「みんな! 散り……」

原作ポップ「遅い!」

 このやり取りも好きなので無くなったのは惜しいですが、アニメ版のメドローアの迫力の前には不満も消し飛びますね♪
 ポップの目のアップから全身を映し出し、生み出された光の矢を遠景から追っていくスピード感。

 魔法を浴びたヒムやアルビナ素の顔が、影を線で入れただけの発光した画面に変化するなど、実に手の込んだ演出です。
 あ、よく見たら原作ではこのシーン、フェンブレンもいたのに彼はアニメではアップシーンを省かれていますね(笑)

 ポップの呪文の威力にみんなが驚くシーン、ヒュンケルの横顔がかっこよかったのは認めますが、もう少し笑みを浮かべて欲しかったです。原作でははっきりと微笑んでいるだけに、アニメでも期待していたのに〜。
 逆に、マァムは満開の笑顔で心から喜んでいる感じに変更されていました。

 メドローアの最中の親衛騎団達のモノローグは一切カットして、メドローアの凄まじさを速攻で表現した演出はいいですね。
 でも、ポップの『勝った』で終わる辺り、ものすごく露骨な負けフラグなイメージ。いや、実際には負けてはいないのですが(笑)

 予告では、次回はチウ君大活躍回っぽいですね。
 一瞬出てきたレオナや、Vサインを決めたポップが可愛くて気に入りました。

 ハドラーの横顔が一瞬でましたが、チウが誰と戦っているかは分からないんですね。よしっ、伏せ方とかがいい感じです♪

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