『さらば! 愛する地上よ』(2021.10.22) |
《粗筋》 ひとたまりも無く吹き飛ばされるダイ。 ダイ本人は無事でも、ぶつかったその瓦礫が衝撃に耐えきれずに砕け散る。 しかし、バーンの攻撃は終わらない。 ダイ(剣が……ッ、せめておれの剣があれば!) ダイの剣は、高笑いをしながら襲いかかってくるバーンの胸に深々と刺さったままだ。 そして、バーンの手がダイを捕らえた。 血が飛び散り、衝撃に目を見開くダイ。その目の光がうつろになり、ダイはゆっくりと目を閉じた。 バーン「どうだっ!!」 うつ伏せに倒れ込んだダイは、動かない。倒れたダイの身体からにじみ出した血が、ジワジワと瓦礫に広がっていく。 バーン「勝った……勝ったぞ! 余は勝った!!」 声を上げて、高笑う大魔王。狂気すら感じさせるその笑いは、長くは続かなかった。 バーン「いかん、いかん。奇跡は起こる……何度でも……」 ダイの死骸を粉々にしない限り、終わりはない――そう言いながら、ダイへと近づくバーン。止めを刺すべく、バーンは手を伸ばす。 思わずその動きを目で追ったバーンの目の前――倒れたダイの前に、その光は突き立った。驚愕に目を見張るバーンが見たものは真真魔剛竜剣だった。 思わぬ真魔剛竜剣の登場に、動きを止めるバーン。バランが死んだ時に失われたと思っていただけに、バーンの驚きは深かった。 バーン「太陽……」 まるで初めて見るかのように、天高い場所からの日の出に目を見開くバーン。 強い光に包まれ、ダイは目を覚ます。 だが、光が収束し、母の姿はかき消えて真魔剛竜剣に取って代わった。 バラン「そうだ……竜の騎士の正統たる武器……。今こそおまえが、この剣を手にする時がきたのだ」 わずかに目を動かしたダイは、輝く太陽を認める。 ダイ「太陽の光だったのか……なぜか一瞬、母さんに見えた」 目を伏せ、バランは静かに語る。 バラン「ソアラは太陽のような女性だった。誰をも温かく包み込む力があった」 そこまで言って、バランは目を見開き、言い切った。 バラン「ダイ。おまえも、今こそ太陽になるのだ。仲間達を、地上を、輝き照らす太陽に……!」 ダイ「太陽に……」 その時、バーンが雄叫びを上げながら動き出した。 ダイの全て、バランの魂を込めて、大魔王の鬼眼を叩き斬れ――その言葉に、こくりと頷くダイ。 バラン「ゆけっ、ダイ!!」 その言葉に背をされたように、ダイは床に突き立った真魔剛竜剣めがけて走り出した。迫ってくる大魔王を前にして、恐れる様子もなく。 ダイ(……さよなら) ダイは、走る。 ダイ(さよなら、みんな) 迷いのない目で走るダイは、なおも仲間達を思い出す。 ダイ(この一撃で、おれは太陽になる……太陽になって、みんなを空から照らすよ。さよなら、みんな……!) 心の中でみんなに別れを告げるダイは、真魔剛竜剣に手を伸ばす。 無論、バーンもそれに対抗しようとする。 雄叫びを上げ、吠え立てながら挑みかかる両者。 ダイの剣は、バーンの巨大な拳をものの見事に砕いた。 それに耐えようとするダイだが、真魔剛竜剣にさえヒビが入り出した。それでも裂帛の気迫を込めて、なおも挑むダイ。 真魔剛竜剣の刃では、その硬い瞼を貫くことは出来なかった。呆気なく、剣が砕け散ってしまう。 体勢を崩して落下しかかったダイを、バーンの拳が突き上げるように殴りつける。そのまま、上へ吹き飛ばされるダイ。 勝利を確信するように、片手だけとなった手を軽く握りしめるバーン。 ダイは両手を震わせながらも、身体の前に構えようとしていた。 完全に動きを封じられ、もはや顔が手の隙間から見えるだけの状態になったダイを、見下すように見やるバーン。 首をのけぞらせ、悲鳴を漏らすダイの目は焦点を失いつつあった。その目に映るのは、バーンの胸に突き立ったままの己の半身……ダイの剣だった。しかし、それは今のダイには手が届かない場所にある。 ダイ「……ポッ……プ……!!」
ポップ「結果が見えたって、もがきぬいてやる……! 一生懸命に生き抜いてやる! 一瞬……だけど……閃光のようにっ!!」
ダイ(閃光のように――!) 上にいるバーンも、ダイの反応が変わったことに気づいた。だが、その時にはダイは全身から青い光を滾らせ、ついにはバーンの拳をぶち砕いて自由の身となる。 解放された途端、上空へと飛び上がるダイ。 バーンの追撃に、振り返りもせず真っ直ぐに飛ぶダイ。 それを避けもせず、真っ直ぐにバーンへ向かうダイ。 これにはさすがのバーンもたまらなかったのか、苦しそうに呻き、吐血した。 滑るように落下しながら剣を振るうダイ――その剣の切っ先が、不意にバーンの肉体から放たれた。 斬られた肉体はゆっくりと二つに分かれ、色を失って砂のようにサラサラと散っていく。 ダイ(さよなら……大魔王バーン) 鬼眼王の身体が、大爆発を巻き起こす。 石になった今も、信じられないとばかりに目を見開いたままの大魔王は、吸い込まれるように太陽へと引きつけられていく。 暗転し、場面は地上に変わる。 見れば、遙か上空に落下してくるダイの姿があった。 ポップ「本当か!? 本当にダイなのか!?」 すでに腕も身体も回復したヒムも、まっすぐここに落ちてくるのを認めた。チウは服の中から望遠鏡を取り出し、ダイの姿を確認する。 ヒュンケル「気絶しているのか!?」 ラーハルト「ダイ様ッ!!」 クロコダイン「いかん、あのままでは……っ」 クロコダインの言葉を最後まで聞かず、ラーハルトは駆けだした。 マァム「受け止めなきゃ!」 一番、ダイに近い位置にいたマァムが先頭をきって走るのに、ラーハルトも追いついた。が、その二人の上を飛び越し、文字通り空を飛んでいったのはポップだった。 ポップ(この役だけは……この役だけは、誰にも渡せねえっ!) 地を這うような高さを、泣きながら飛ぶポップ。 ダイの手から滑り落ちた剣が、落下して地面に突き刺さる。 ダイを見て、ハッとしたように目を見張るポップ。 ポップ「ダ……イ……」 その声に、まぶたがひくひくと動き、ダイはゆっくりと目を開けた。それを、強ばった表情で見守るポップ。 ポップ「勝ったんだな……!」 嬉しそうに、目を輝かせるポップ。 ダイ「バーンは……大魔王バーンは、倒れた」 それを聞いて、ポップは感極まったように涙をこぼす。 ポップ「そうかぁ……っ」 ダイはわずかに顔を逸らし、静かに問いかけた。 ダイ「ポップ……おれ……どこか変じゃないかい?」 キョトンとするポップに向き直り、ダイは心配そうに尋ねる。 ダイ「おれ、竜魔人になったから……!」 それを聞いて、ぶわっと涙や鼻水を一気に流したポップは、ダイの頭を乱暴にくしゃっと掻き混ぜる。 ポップ「この癖っ毛! この傷!」 戸惑うダイのほっぺたを引っ張ってから、ポップはダイを両手で抱き上げて立ち上がる。 ポップ「そして、このちっちぇ身体っ! どこがいつものおまえと違う!? おれ達のダイ、そのものだよっ!」 空を見上げるポップの頬に、涙が流れる。それを、キョトンとした顔で見上げるダイ。 ポップ「そうさ、おれ達のダイが勝ったんだぁっ!」 元気そう言って、ポップはダイを空へ高々と放り投げる。驚くダイの身体が一瞬空に浮かび上がり、またすぐに落下してきた。 が、しばらく回っていたものの、バランスを崩した二人は一緒に倒れ込んでしまった。その様子を見て、楽しげな笑い声が周囲からも響く。 ポップ「そぅーら! 勇者様の凱旋だぁあっ!!」 起き上がり、ヘッドロックをかけるような手つきでダイの頭を抱え込んだポップは、ダイの背中を笑顔で押し出した。 ポップ「みんなのところへ行ってきやがれっ!!」 突き飛ばされたダイは、驚き、目を見張ったまま、よろめきながら前へと進む。 レオナ「ダイ君!」 大勢の手が、ダイをタッチする。 笑いながらはしゃぐ彼らを、大人達は、静かに眺めやる。アバンやフローラ、バダック、ラーハルト、ロン・ベルク、バウスン将軍にアキームは、騒ぎには加わらないまま、彼らを歓迎していた。 そんな様子を、一人、離れた所から見ているのはポップだった。 ポップ「おれ達は、勝ったんだ……! 勇者ダイは、勝ったんだぁあああーーっ!!」 勝ちどきを上げ、手を高く空に突き上げるポップ。
ダイ(バーンには、おまえを倒したら地上を去るって言ったけど……) 地べたに座り込んで空を見上げるダイの前に、視線を合わせるように座り込んだレオナが心配そうに声をかけてくる。 レオナ「ダイ君、身体は大丈夫なの? どこか痛くない?」 一度目を閉じたダイは、ちょっとむくれた表情で答える。 ダイ「あんだけもみくちゃにしといて、今更そりゃないよ」 その言葉に、くすりと笑うレオナを皮切りに、その場に居たみんながおかしそうに声を立てて笑った。 ダイ(みんな……) 笑いの最中、フローラが少しばかりお冠のご様子で、レオナに忠告をする。 フローラ「レオナ。少々嫌がられても、しっかり捕まえておかなきゃだめよ。勇者なんて、ことが片づいたらすぐにどこかに消えてしまうんだから」 明らかな当てこすりを含んだお言葉に、フローラの隣に居たアバンがびくっと硬直する。 クロコダイン「そいつは無責任ですなあ」 ポップ「にっひっひー、今度こそ観念して、男の責任とらなきゃね〜、せんせー♪」 からかうような表情で、楽しげにアバンを指さしまくるポップ。 アバン「な、何をいうんですかっ!?」 珍しく顔を赤らめて文句を言うアバンに、ポップ達はどっと笑い崩れる。それを見た後、レオナはどこか不安そうな表情をダイへ向けた。 レオナ「平気……だよね?」 笑う仲間達の声を遠くに聞きながら、レオナは身長に声をかける。 レオナ「ダイ君……どこにもいかないでしょ?」 膝が触れあうほど近くに座り合ったダイとレオナ。レオナは、ダイの顔を覗き込むようにして、問いかける。 ダイ「ああ、おれは……この地上が一番好きだよ」 何の衒いも無く、そう答えるダイ。 それを見守っていたアバンとフローラ。 それを聞いた兵士達は、元気よく王子ながら手を高々と挙げる。名古屋委だ雰囲気の中、大きな足音がその場に響き渡った。 ???「少々お待ちを、女王様」 その声に、フローラやアバンを初めとした兵士達が振り向いた。 ???「僕にも一声、祝福の言葉を言わせてください」 近寄ってくる人影を、警戒しながら振り返るポップとメルル。その正体に思い当たったのか、ポップは息をのんだ。 ポップ「キルバーン!?」 ダイも、驚愕に目を見開く。 アバン「バカな……」 三人から一歩遅れて、ポップもまた、前へと進みでる。 アバン「本当に不死身なのか、貴様!?」 さすがのアバンも、声に動揺が滲んでいた。 キルバーン「首が千切れて生きていられる生物はいない、か……キミのセリフだったねえ。確かにそうかも知れない」 キルバーンの肩に、ひょこっと陽気な一つ目ピエロが顔をのぞかせる。 キルバーン「生物だったら、ね……」 仮面から覗く目は、生気を帯びて光煌めく。 キルバーン「ボクの身体が生物でないとしたら、どうかね? 機械仕掛けのなにかで、それを操っている何かがいたとしたら?」 一瞬、考え込む表情を見せたアバンは、答えに気づいた。 アバン「そうだ……! 今の言葉は、お前に言ったものではない」 アバンは、キルバーンと戦った時の事を回想する。 アバン「今の言葉を、あの時、聞いていたのは――」 仲間達全員が、警戒しつつキルバーンを睨みつける。 ピロロ「そう……」 甲高い声が、それに応じた。 キルバーン「ボクが本当のキルバーンだ」 奇妙にブレる声が、真の名を明かす。普段見せていた明るく、子供っぽい表情を一変させ、邪悪に目を細めている小悪魔。 帽子を放り投げ、面白がった口調で真相を暴露する真キルバーン。 キルバーン「厳密に言うと、倒す方法はたった一つだけある」 幼い指をぴっと立てて、真キルバーンは首をはねるのではなく顔面をたたき割れば良いと、秘密を教える。 軽い金属音と共に目の光が消えて真っ黒になったかと思うと、仮面が外れて足元に落ちた。軽い音と立てて地面に転がる仮面。 その下に隠されていたのは、機械仕掛けの顔だった。人工的な目の奥には、黒の核晶が配置されている造り――それを見たダイが、声を上げる。 ダイ「黒の核晶!」 大口を開けながら、真キルバーンは笑う。 キルバーン「ヴェルザー様は大魔王と違って、地上も欲しいんだ」 岩になった奴がなぜだと声を荒げるポップ。 キルバーン「知るもんか、あの方は欲深いんだよ。竜らしくないんだ……人間みたいだよねえ」 キルバーンが語る間にも、氷で覆われた黒の核晶が動きはじめる。 キルバーン「さあ、お別れだ。ボクは一足先に魔界へ変えるよ。大魔王は君らが片付けてくれたが、逆に彼以上の強さを持つキミ達はとても危険だ」 身構える一同を無視して、一方的に話し続けるキルバーン。 キルバーン「地上の人間達とともに消えてくれたまえ。ひょっとしたら、そこの凍ったピラァも誘爆するかも知れないが」 耳障りな笑い声をあげる真キルバーン。 キルバーン「あーっと、言い忘れたがヒャド系呪文では止められないよ」 わざとらしいその忠告に、悔しそうな表情を見せるレオナ。手持ち無沙汰だとでも言わんばかりに耳をほじりながら、キルバーンは更に言葉を続ける。 キルバーン「打つ手はない……では、さよなら、みなさん」 伸ばされた小悪魔の手が、小馬鹿にするようにヒラヒラと動く。 キルバーン「そして、愛しい地上よ……」 気取った仕草で、死神人形から離れて空中に浮かび上がる真キルバーン。その瞬間、アバンを初めとした使徒達が一斉に動いた。 身をよじって羽を打ち出そうとするアバン。 アバンのフェザーが真キルバーンに突き刺さるのと、ダイとポップが死神人形に飛びつくのは、ほぼ同時だった。目すら見交わさず、言葉も無いまま、ダイとポップはそのまま急上昇して空に飛び上がっていった。 ポップ「急げ、ダイッ!!」 ダイとポップは力を合わせ、死神人形を抱えたまま一直線に上昇していく。雲の上まで飛んでいく彼らを見ながら、地面に倒れ伏した真キルバーンは呟いた。 キルバーン「ちくしょう……だが、もうアウトだ……」 がくりと顔を伏せる新キルバーンに、マァムとアバンが息を切らせて駆け寄った。 雲を突き抜けて、上へ、上へと飛び上がっていくダイとポップ。 ポップ「けっ……、結局、こうなっちまったか……!! だが、もう手放してる時間はねえ! ……おまえとなら悪かねえけどな……ダイ」 憎まれ口めいた言葉を叩きながらも、ポップの口調は優しげだった。 ダイ「……ごめん、ポップ」 雲の中に突っ込んだせいで、視界が真っ白に染まる。 驚愕に目を見開いたポップが、緩やかに落下する。 ダイはポップを振り返らず、死神人形を抱え直して飛ぶ速度を上げた。それを見て、声を張り上げて叫ぶポップ。 ポップ「なぜなんだよぉっ!? ダイィイ!?」 叫びながら、落下していくポップ。 ダイ(許してくれ、ポップ……こうすることが……こうして……自分の大好きなものを庇って、命をかけることが……) ダイ(ずっと受け継がれてきた……おれの使命なんだよ……) 愁いを帯びた表情を浮かべたダイは一度目を閉じ……、そして、再び目を開けた時には吹っ切れたような表情を浮かべていた。 その時、死神人形の目が激しく点滅しだした。
ポップ「バッカヤロォオオオオ!」
レオナ「ダイくーーんっ!」 凄まじい爆発が起こり、空を真っ白に染め上げる。 元に戻った空を、レオナは崖の端に立ったまま見上げていた。 波の音が響く浜辺。 ブラス「ダイ……おまえが世界を救って、数週間。わしらは世界中を探し回ったのじゃが、どこにもおまえを見つけられなんだ」 ブラスを先頭に、ダイの剣を飾った崖の上に集まっている仲間達。 ブラス「いったいどこにおるんじゃ……」 目を閉じてそう呟くブラス。 マァム「地上は救われたわ。人間もモンスターも自然も……みんな、あなたのおかげよ。ピラァの装置は完全に停止させ、平和が戻った。それなのに、肝心のあなたは……」 最後には涙声になるマァム。 ポップ「真の勇者ダイの剣か。けっ、まるで墓だぜ、縁起でもねえ」 機嫌悪く吐き捨てるポップ。が、そこに元気な声がかけられる。 レオナ「墓なんかじゃないわ! ポップ君! それはね、ダイ君が帰ってくる時の目印なんだから!」 後ろにロン・ベルクとノヴァを従え、両手を大きく動かしながら陽気にそう言ってのけるレオナ。 ロン・ベルク「見ろ、その剣の宝玉を。その剣は、ダイのためだけに作られた生きた剣……ダイが死ねば、その宝玉も光を失い、息絶える。どうだ? 光は消えているか?」 その説明を聞いて、ポップとマァムは剣を振り返った。 ポップ「光ってる……!」 ホッとしたように、ため息を吐くマァム。 ポップ「ダイは……生きているんだ!」 表情は見えないが、その声は明らかにうわずっていた。そんなポップの背に、問いかけるマァム。 マァム「でも、どこに?」 それに対し、分からないと答えたのはロン・ベルクだった。天界や魔界の可能性もあると告げられ、表情を曇らせるマァム。 マァム「そんな……」 だが、その時、ポップがぽつりと言った。 ポップ「……どこでもいいじゃねえか」 マァム「えっ!?」 驚いてポップの方を見るマァム。レオナ達も、ポップへと注目する。仲間達に背中を向けたままのポップ。その肩は、小刻みに震えていた。 ポップ「生きて……生きてさえ、すりゃあよぉ……また会えるって!」 振り返ったポップの目には、堪えきれない涙が溢れ、きらきらとこぼれ落ちる。だが、それでもポップは嬉しそうな笑顔を浮かべていた。 ポップ「だって、あいつの帰ってくるところはよ……! ここしかねえんだからさ!」
暗転。 ポップ『そうだ……あいつが戻るその日まで……』 場所は、どこかの小川。苔むした古い木の上を、二匹のリスが走り回っている。 マァム「まだなのー、ポップ?」 姿は見えないが、マァムの声。人間の声に驚いたのか、リス達が走って逃げていく。 メルル「マァムさん……」 少し困ったような表情のメルル。 三人の格好は魔法使い、戦士、占い師風の装束で、旅をしている最中のように見える。三人はちょうど、古びて苔むした木製の橋の上にいる。 ポップ「……こっちだ、たぶん……」 自信なげに、そういうポップ。 マァム「たぶん!?」 ポップ「あー、いや、こっちだ、こっち!」 マァム「ほんとにぃ〜!?」 ごまかすように歩き出すポップに、まだ文句言いたげなマァム。
王座には、フローラとアバンが並んで座っている。珍妙な髭を生やしたアバンは、いささか緊張気味の様子だ。そんなアバンを、フローラは優しい目で見つめている。 ポップ『いつの日か、あいつを見つけても』 一方、荒野で、白いマントを翻した男がいた。 ヒュンケル「行くか」 ラーハルト「ああ」 歩き出す二人の戦士。 ポップ『あいつが自分で帰ってきても』 デルムリン島では、チウと遊撃隊達がそろっていた。 チウ「ヒムちゃん、こっち、こっち! みんなの新しい砦を作るのだ!」 クロコダインは丸太をそのまま肩に乗せ、ヒムは一抱えもある巨大な岩を抱えて歩いている。 ヒム「人使いが荒いぜ、隊長さん」 そんなことを言いながら、どこか嬉しそうなヒム。クロコダインも楽しそうに破顔する。一緒にいるブラスも嬉しそうだ。
場所は変わって、紫のテーブルクロスを敷いた小さなテーブルの上に、年老いた手がきらびやかなネックレスをそっと置く。 よくみれば、そこはマトリフの洞窟。 マトリフ「まだ持ってんだろ? ああ? 盗んだもんは全部返してこい」 それを聞いて、がっくりとうな垂れるまぞっほ。
炉に向かって、汗だくで槌を振るっているのはノヴァ。
ポップ『再び勇者が帰ってくるその日まで……!』
THA ADVENTUER OF DAI DRAGON QUEST Fin 《感想》 さ、最初っから飛ばしてきましたねっ! 息もつかせぬバーン様の猛攻が凄まじかったです。 血の飛び散り方が、原作よりも派手っ。 その状態でもダイの竜魔人化は解けていないので、本人の意識も無関係に、敵を殲滅するか死亡しない限り、解除不可なのかなと改めて思いました。 ダイに勝ったと狂喜するバーンが冷静さを取り戻すシーン、声の落差に感動しました。 この感情の切り替えの速さは、紛れもなくバーンの長所だと感じます。ハドラーやポップのように、自分の感情に従って行動するがゆえに感情次第で戦力がアップダウンするタイプとは真逆ですが、自分の感情を一定事にリセットして冷静さを取り戻すタイプは、敵に回すと非常に厄介なタイプですよねえ。ほんっっと、敵としてはすっごく面倒……! 真魔剛竜剣の登場シーン、カッコいいの一言につきます! ダイを守るかのように柄頭の角が輝いたかと思ったら、まさか、このタイミングでオープニングになるとは……っ。 ほぼ宇宙空間から見る日の出に、バーンが目を見張っているのが面白かったです。地上に来てから太陽をよく見ていたであろうバーンにとってでさえ、宇宙から見る日の出は印象的だったのかな、と。 まあ、これまでも精神だけでバランと会話したり、精神的な世界でバランと会話するシーンはあったので、これは神や神の加護を与えられた者特有の能力なのかなとも思いました。 ダイが床に突き立った真魔剛竜剣に向かって走り出すシーン、アニメで見るとアバンがハドラーに見せた無刀陣を連想しました。いや、技としては全く違うのですが、床に刺さった剣を手にするための動きという点では共通していたもので、つい。 真魔剛竜剣を手に取るまでの短い時間の中、仲間達の回想シーンで真っ先に登場したポップに胸熱ですよ! メガンテをしかけたら死ぬように、この一撃に全てを込めれば自分も死ぬと分かっていて、それでも一瞬たりとも怯まずに戦いを選んだダイ……。 ポップは良く悪くも俗物で、死を物理的なものとして捕らえ、身近に想像してしまえるからこそ怯え、忌避しようとしているのに対し、ダイは死という概念がポップとは違っているように思えます。 死んだ父・バランと死後も何度も会話を交わしたせいか、死んだ後でも大切な人を見守ることが出来ると言う意識が、心のどこかにあるような気がします。 バーンに斬りかかろうとするダイの後ろに、一瞬だけバランの幻が見えたのはアニメの改変ですね。文字通り、ダイと魂を寄り添わせて力を貸しているバランの姿が心強いです。 バランは最初は人間を憎み、ダイとの最初の戦いの後は己の過ちに気づきながらも思考停止したまま進もうとし、ヒュンケルとの戦いでダイを守るために戦うと決めて動いていました。 バーンの鬼眼が輝き出す描写、まさか赤い光とは思いませんでしたよ〜。バーンの色合いは黄金が多かったし、原作の描写では普通に光っていただけかと思っていました。 でも、原作ではダイが目を閉じていたシーンが、アニメでは必死に目を見開くシーンが追加されていたのが嬉しかったです♪ バーンの鬼眼が瞼(多分)を閉じて剣を避けるシーン、原作で知っていたのにアニメで見ても「ずるいっ!」と叫びたくなりました(笑) これ以降、バランが登場しなくなるのも、彼にとってはこれが最後の手段であり、それを防がれた時点で打つ手がなくなってしまったのだと思えてなりません。 バーンの手に握り混まれたダイの苦しそうな顔や悲鳴、見ていて辛くなりました。原作では台詞を排除したサイレントな回だったので、アニメでも無音演出をするのかなと思っていたのですが、台詞になりきっていない悲鳴や呻きが心にグサグサ刺さりまくりっ。 原作では口の動きだけで呼んでいたポップへの呼びかけが、アニメでははっきりと口にされていたのも感動でした! ダイが竜の騎士であることを最大の心の支えにしていたのなら、真魔剛竜剣が折れた時点で、心も折れてしまったように思えます。実際、幻のバランはあそこで心折れてしまったようですし。 でも、ダイは絶望のその先を乗り越えてたポップを、間近で見ていました。ポップの勇気を思いだし、今こそが勇気の使いどころだと力を振り絞った……そう見えます。 ダイにとっては、竜の騎士であることよりも、勇者である自覚の方が強かった気がしてなりません。 バーンがダイの変化に気づいて見おろすシーンを見て思ったのですが、巨大化してしまったせいで、バーンは敵の様子を細かく観察する視点を失いかけている気がします。 現実問題として大きさが違いすぎて敵との距離が開いてしまったせいもあるでしょうが(笑)、文字通り視点の差でしょうね。 車に乗ったままでは、歩いている通行人の様子を詳細に見ることが出来ないように、その時の居場所によって差が生じるのは当然ですが、だからこそバーンはダイの反応に気づくのが遅れ、彼の反撃を許してしまったのでは無いかと思えます。 ……というか、自分の目の前でダイを握りつぶそうとすれば良かったような気も。 筆者とて嫌な虫を退治するのならば、すぐ目の前で確実性を優先するよりも、出来る限り遠くから攻撃したいです。 ダイとバーンの空中戦、背景が宇宙空間なのがちょっと残念でした。ポップとキルバーンの空中戦のように、雲のような障害物があった方が追いかけっこ感が強かった気が。 しかし、ダイの振り向きざまの閃光シーン……『太○拳』が脳裏をよぎったファンは少なくはない気がします(笑) バーンがせめてもの抵抗とばかりに、鬼眼から光を放つのはアニメの改変ですね。 バーンの身体を真っ二つに斬るシーン、青い十字の光を入れた演出で、幾分か残虐さが減った……んでしょうかね?(笑) バーンが斬られるシーン、大迫力です! ダイのバーンへの別れの言葉、どこか優しさというか、同情が感じられる気がしてとても好きです。 それにしても、落下していくダイと青い地球の対比が実に美しいです。 そう言えば、宇宙空間から見るとダイ大世界の地上も海の比率がすごく高そうに見えます。 現実世界の地球は海と大陸の比率が7:3程度ですが、ダイ大世界もそんな感じなのかなとあたらめて疑問を感じました。これまで登場した地図を見ると陸地がかなり多そうに見えたのですが、あれは中世ヨーロッパ期と同様に人類の知る範囲の地表しか描かれていないだけで、まだ未到達の海域があるのかなと思うとワクワクします。 やっぱり、DQ3でジパングに感動したように、海に出てから本番の冒険が開始したのかもと期待したくなります。 ダイ達を待っている地上組、アニメだとキャラの配置が微妙に違っていました。 アバン先生とフローラ様は、恋人同士なのにちょっと距離が離れているのが心配なところ。メルルがアバンの後ろに立って二人を見ている様子なのが、メッチャ納得できます。 ポップの前には、チウとビースト君、それにヒムがいるのは原作通りです。器の大きいチウのことだから、部下であるヒムちゃんを助けてくれたポップに礼を言っているのかも。 ダイを発見した時のヒュンケルやクロコダインの台詞、一部省略されていました。 原作ではキョトンと見ていましたが、アニメでは羽で顔を覆うような仕草を見せていました。心配しているっぽくて、可愛い! そう言えば、ダイ大当時はモンスターに性別はなかった気がしますが、DQモンスターズ以降、雄雌の概念が出来たんですよね。 ポップがダイを受け止めようと飛ぶシーン、アニメでは思っていたよりも低い場所を飛んでいたのに驚きました。飛ぶ力もろくになかったのに、それでも自分がダイを迎えたいと思うポップの気持ちがひしひしと感じられるシーンです。 一緒に戦いを見届けることが出来なかった分、真っ先に「おかえり」と迎えてあげたかったんだろうなぁ……。 気絶していたダイは、それでも戦いに備えてかずっと剣を握りしめ続けていましたが、ポップの気配を感じたから気絶中でも気を緩め、もう戦わなくてもいいんだ――無意識にそう感じたように思えます。 まあ、ダイ以外のメンバーは、一緒に落下するポップを見て心配そうでしたが(笑) マァムがポップの、レオナがダイの名を呼ぶのは、アニメの追加ですね。 ダイに呼びかけるポップの声が、ものすごく怯えたような口調だったのがいいですね。見た目は無傷に見えても、実際にダイが反応するまでは本当に無事なのかどうか分からなくて、怖くてたまらなかったんでしょう。 ダイが、バーンは「倒れた」と言っていたのが、原作以上に意味深長に聞こえます。ダイは自分がバーンを「倒した」とは、最後の最後まで思わなかったんですね。 ポップに自分が変じゃないかと尋ねるシーン、顔を背けているダイが可愛くてたまりませんっ。 逆に、ポップがダイが何を言っているか分からないとばかりに、きょとんとした表情をしているのもいいです! アニメでは、ダイがポップに向き直って台詞を追加されているのにジーンとしました。 ダイ、無意識とは言え竜魔人のことを「変な姿」と認識していたみたいですね(笑) ええ、このことはお父様のためにも一生秘密にしておいた方がいいと思います。 ダイがポップに髪やほっぺを引っ張られるシーン、引っ張られた瞬間に痛そうな表情をする以上に、不安そうにポップを見ている表情が実に良いですね! ヒムは、ちょっと呆れながらも微笑ましいものでも見るように見物している感じがします。ラーハルトの方は『……あの小僧、ダイ様に無礼な』などと思いつつも黙認しているように思えてしまうのは、勘ぐりすぎというものでしょうか?(笑) ポップがダイを抱き上げるシーン、クルッと反転して仲間達に背を向けているのがいいですね。泣き出してしまう顔を、ダイはともかく、仲間達には見られたくなかったのでしょうか。 ポップがダイを一旦放り投げてから、クルクル回るシーン、可愛くて楽しいっ! ずっと、泣きながら笑っているポップに対して、最初は戸惑っていたのに笑顔になるダイの顔も実に良いです! 笑い声が聞こえる中、仲間達が静かにダイ達を見守るシーン、原作では描かれていなかったキャラも出てきたのは嬉しい限り! まず、バダック、フローラ、アバンの大人組が優しげに見まもっているのは原作通りでした。 お次の、ラーハルト、ヒム、クロコダイン、チウ、ヒュンケルが見守っているのは、魔王軍組とでも言いたくなる面々ですね。原作ではクロコダイン、チウ、ヒュンケルのみだったのですが、そこにヒムとラーハルトが加わってくれたのが嬉しいです。 ビースト君ことブロキーナ老師と並んでいるマァムは原作通りですが、隣におまけのようにドラキーが浮いているのが可愛い♪ そして、嬉しくてたまらなかったのが、手を口元に当てて微笑むメルルと嬉しそうなノヴァのツーショット! 並んで立っているというほど、二人の距離は近くないのですが、なんとなくお似合いに見えてしまう二人のツーショットに感動しまくりました! まあ、背後にアキーム将軍が見えるのがお邪魔虫っぽくて、ちょっと気になりますが(笑) ……いえ、アキームさんも面白くて好きではありますけどね。 さいごに、レオナの微笑みのアップが来たのも、よかったです。 仲間達に歓迎されるシーン、順番が原作と変えてあったのも嬉しい点♪ 大人組が静かに見守るシーンも、嬉しい改変。 そして、原作には無かったシーンとして、仲間達に歓迎されるダイを、ポップが後方から見やる姿があったのも胸熱でした! ピラァ・オブ・バーンに被さって伸ばされた手と、それを反転させ、握りしめる描写が細やかでよかったです。 初めて見るアイキャッチを二種類も用意してきたのも、嬉しいところ♪ しかし、中心にいるのがダイ、ポップ、レオナだったのは少しばかり残念。最後の戦いで活躍を見せたメンバーで言えば順当なのですが、個人的にはダイ、ポップ、マァムの三人が物語の中核だという印象があるので、この三人を真ん中に据えて欲しかった気がします。 CM後、ダイが空を見上げながら、バーンに言った言葉を思い返しているシーン、アニメの改変ですね。 あのセリフをポップに聞こえるところで口にしたのなら、ポップが絶対に口を出しただろうにと思うと、彼があそこにいなかったのが悔しいぐらいです。ちゃっかりとメルルとマァムの間に陣取っている場合じゃないですよっ、ポップっ(笑) しかし、さりげに両手に花とはいいご身分ですな。 ダイの返事を聞いて、はにかんだ顔で笑うレオナがめちゃくちゃに可愛い! フローラ様のご忠告、女性らしい上品な皮肉っぷりが楽しかったです。 クロコダインの一言、もう少し呆れた感じかなと思っていたのですが、いかにもクロコダインらしい誠実さに溢れるお言葉だったのが好印象! 原作ではこの時のポップはマァムの隣にいるだけですが、アニメではしっかりと左右にマァムとメルルがいますよっ。えー、なに、この幸せポジション(笑) みんなが笑い合う中、レオナがダイに問いかけるシーンが、また泣けます。ポップ達は笑っていてダイ達の会話に気がついていないせいか、二人っきりの世界という雰囲気がひしひしとしますよ〜。 ダイを心配した後のレオナの笑顔も可愛かったですが、ダイが地上が好きだと答えたのを聞いたレオナの表情は、可愛いだけじゃなくすごく幸せそうでいいですね。 ダイがバーンに、地上を去ると言い切った時からずっと、レオナはそのことを心配し、戦いの後でダイが居なくならないか不安だったでしょう。 戦いの最中でそんな余裕もなかった上に、ダイに直接聞かなければ安心できない不安をずっと抱え込んで一晩を過ごし……、ようやく望んだ答えを聞けたレオナの心情を思うと、この時が一番幸せだったのではないかと思えます。 フローラ様が帰還を促すシーン、原作では彼女だけしか描かれていませんでしたが、アニメではアバン先生がお隣にいるのがいい感じです。 ほとんど活躍しなかった兵士達がここで勝ちどきっぽく腕を振り上げるのもよかったですし。 でも……そこでやっぱりでてきやがましたよ、死神がっ。 しかし、首が切れたまま抱えているのって、アニメで見るとずいぶんとショッキングな光景ですよ〜。手加減なしのそのまま表現とは、さすが最終回。 キルバーン登場後、ダイの警戒心が原作以上に強く表現されているのが印象的でした。原作では、ダイよりもアバンの方が警戒している感が強かったのですが、ダイがきちんと警戒している描写があるのは心強いです。 原作では特にメンバーが動いた描写はありませんでしたが、アニメではアバン先生、フローラ様、マァムがそろって前進していますね。……フローラ様は後ろに下がったままの方がいい気がしますが。 アバン先生が考え込む時、眼鏡が白く光って目の表情を隠す演出が、素晴らしく際立っています。 このやり取りの間に、ダイとレオナがいつの間にか立ち上がっていました。完全に座り込んでいた二人が、他のメンバーよりも行動が遅れるのは自然な気がします。 ヒュンケルやラーハルトが、隣り合って立っているのがいいですね。 ヒム、クロコダイン、チウが並ぶ横に、クマチャがいました! そして、なぜか贔屓されがちなドナドナも。 バダック、ビースト君、エイミ、メルルが並んでいる取り合わせ、なんか楽しいです。身構えているビースト君、ポーズがちょっとお間抜けで可愛い♪ 最後に、険しい表情のポップとマァムがでてくるという、フルメンバーな総出演が楽しかったです。……アキームさんがいなかったような気がするのは、この際忘れておきましょう(笑) キルバーンの正体暴露の声音、すごかったです! キルバーンを睨みつけるヒュンケル、原作では「不死身なわけだ」という台詞があったのをカットされた分、憎しみの顔がすごいことになっています(笑) キルバーンの仮面を外すスイッチ、アニメではボタンを押すと同時に目の光が消える仕組みが追加されていました。うっわー、動きが細かいです。落ち方も、みょうにゆったりとしていていい感じ。 真キルバーンの説明は、あちこちがかなり端折られていますが、アニメで見ると全く気になりませんね。 ピロロの別れの挨拶、指をヒラヒラ動かす動きは外国のさよならっぽいジェスチャーですが、それ以上に相手を小馬鹿にしているような動きなのがいいですね。 原作キルバーン「無人の荒野になってから、また遊びに来るよ」 この台詞、好きだったのですが、なくなってしまいました。 アバン先生が身を捻って羽を打ち出そうとする動きと、トベルーラを使って真っ先に飛び出したポップ、自力でダッシュするマァム、ダイの動きが、実にいい感じ♪ ところで、キルバーンの死亡シーンがなんだか不穏な感じがしました。 マァムとアバン先生が真キルバーンの死を見届けてから空を見上げるシーンの後で、レオナも加わって空を見る三人の後ろ姿シーンが追加されたのが嬉しかったです! 欲を言えば、この時のヒュンケルも見てみたかったのですけど。 ヒムやラーハルト、老師は、ダメージが大きすぎて動けなかったと思っています。 みんなの中で一番早く動いていたのはポップですが、ポップは単独で黒の核晶を遠くに運ぶことだけを考えていたんじゃないかと思います。 でも、そこにダイが加わった。 だから、驚いたりダイを拒否もせず、急げとだけダイに声をかけたんじゃないでしょうか。一緒に死神人形に抱きついてしまった以上、二人で集中してトベルーラで飛んだ方がより早く、遠くまで運べると考え、協力することにしたんじゃないかな、と。 空を飛びながら、ポップがダイにかけた言葉が意外なぐらい優しい響きで、泣けそうです。 ダイを助ける、あるいは自分が助かることを優先するなら、一か八かにかけて死神人形を手放して逃げる手段を考えても良かったはずなのに、ポップはこの時点で現状を受け入れてしまった。 でも、ダイは受け入れきれなかった。 何をされたのか気づいて、ポップの目から涙が溢れるシーン、いいですね。そして、ポップの方を振り返らず、一人でキルバーンを抱え直して飛ぶダイの心中を思うと……たまりませんっ。 でも、結果的にはポップの方が先に動いてしまった。 そう思っているところに、ポップが今の状態で満足しているようなことを聞いてしまった。もう、ポップが自力救助するつもりがないと分かってしまったダイは、ポップとは逆に「それは嫌だ」と思ってしまったのでしょう。 だからこそ、ポップだけは助けようと決意した。 綺麗ですが、ダイの周囲のバリヤーが破れたように見えて気になるシーンですよ〜。 気になると言えば、ダイが消える瞬間、白黒の線だけになったダイが一瞬笑ったように見えたのが気になります。 爆破シーン、思っていた以上の迫力でした! その後の爆破シーンまで、きっちりと描かれるとは思いませんでした。 号泣するのでも、うつむいて泣くのでもなく、顔を上に向けて涙を堪える仕草を見て、古い曲ですが「上を向いて歩こう」を思い出しました。 ダイがいなくなった後のナレーション、まさかブラスじーちゃんが語ってくれるとは思いませんでしたよ! 原作ではクロコダインとチウ、マトリフとブロキーナ老師、ラーハルトとヒム、アキームさんは未登場だったので、彼らが出てきてくれて嬉しいです! チウは当たり前のように、クロコダインの肩に乗っていました。すっかり指定席になっています(笑) ポップとマァムの村人衣装、初めてカラーを見ましたっ! 下がスカートなら普通の村娘風と思えますが、ズボン姿なので少し中途半端なイメージ。 個人的には、てっきり初登場時のシャツとズボンの色合いで、上に羽織る上着をピンク系にするかと思っていました。 ポップは緑でしたね。てっきり、ジャンクさんテイストかと思っていたのですが(笑) 靴がちょっとおしゃれで、緑とモスグリーンを合わせた運動靴っぽい感じの靴を履いていました。この配色と形、欲しくなります〜。 レオナの新衣装も、カラーは初です♪ 元々露出も多いし、レオナには少し大人びすぎているんじゃと心配していた服だったのですが、まさかアニメでそのまま忠実にやらかすとは思いませんでしたよっ。 と言うか、露出度を減らす方向性には行かなかったものなのでしょうか。清楚系にしたいのか、お色気系にしたいのか、よく分かりません。また、原作では裾の長さが分からなかったのですが、アニメでは膝下ぐらいのワンピース風な丈でした。 と、服のインパクトが大でしたが、台詞も変更してありました。 原作レオナ「全くよ! 冗談じゃないわ、ポップ君!」 ポップの意見を否定しているのは同じでも、アニメの方がなんとなく印象が柔らかい感じでいいですね。また、アニメではレオナが両手を広げたり、胸の前で合わせたりと、大きなリアクションを取っているのが面白いです。 原作では大人びた格好で登場し、ウインク交じりに呆れてみせるというポーズを披露するせいか、一気に大人びた印象があったのですが、アニメではオーバーな手の動きに子供っぽさが感じられてなんだかホッとしました。 突然出てきて説明するロン・ベルクのドヤ顔が、いいですね。 ところで、ヒュンケルの微笑みも結構ドヤ顔風なのですが……彼のアップの後ろ、エイミさんの太股がばっちりと映し出されていたのに注目!(笑) おふざけはさておき、ポップが剣に向かって少し近づくシーン、いいですね。アニメの改変シーンです。 また、マァムは原作ではロン・ベルクに向かって「どこに?」と問いかけていましたが、アニメではポップに聞いています。 ロン・ベルクの言葉に、マァムがしょんぼりした表情や台詞を口にする改変も、細かいながら次のポップの言葉が引き立つ要因と思えます。 ポップが泣きながら振り返るシーン、ホントに泣けます。 レオナの微笑みで終わり、エンディングに繋がるラストは美しくはありましたが、少し物足りない気が……。 エピローグのポップ達、橋の上で悩んでいる図だとは驚きでした。原作では、背後の山の見える草原でいかにもゲーム光景っぽかったですしね(笑) 古びた橋が素朴で平和な雰囲気で、原作よりも平和そうな捜索に見えたのは嬉しい限りです。 それにしてもラストのポップの衣装、もう少しアップで見たかったです! マァムとメルルの新衣装の方が、見やすかったですよ! マァムの服は、黒のニットワンピにピンクの上着という、僧侶戦士時代を彷彿とさせる色彩ですね。胸のマークは、武闘着と同じですが。 カール王国らしき国の市場、めっちゃカラフル! 単に色彩が華やかなだけでなく、飾りがあちこちにつるされていたりして、○ィズニーランドかと言いたくなるような華やかさでした(笑) そして、王座に座するアバン先生を見て、失笑を抑えきれませんでした。点目になったお顔で、あのびょんと丸まったの髭っ(笑) 豪華なマントと胸飾りが、一層笑いを誘います。 賢者の証の冠は被ったままなのですが、レオナに許可を取って旅だったのかきになるところですね(笑) デルムリン島でのチウ達、原作ではチウ、ブラス、ヒム、クロコダインしか出てきませんでしたが、アニメでは全員登場していたのが嬉しくてたまりませんっ。 ダイの家が土を固めて作ったようなドーム型なのに、チウの目指す砦は機の骨組みを作っていてかなり立派です。 ま、まあ、大王ガエルとドロルとアリクイ、パピラスとクマチャが地上にいました。……パピラスこそ、上にいるべきな気がしますが(笑) マトリフさんの洞窟風景。 今回のエンディングの中で一番の驚きです! てっきり、強奪していると思ったのにっ!(笑) あ、いや、師匠が悪い人間だなんて言うつもりは、全然無いんですよっ、ええ! ただ、ちょっと口が悪くて偏屈で素直じゃないだけで、ついでにドスケベではありますが、根っこの部分は尊敬に値する立派な人だとは思っていますよ、ええ(笑) ノヴァの修行光景、いいですね。 原作でもそうでしたが、酒を飲まずにただノヴァを見守っているロン・ベルクと、すごく地味な格好で力仕事をしているノヴァの姿がいい感じです。 最後に登場したレオナ、白をベースにした衣装という共通点はあれど、エンディング部分で着ていたのとは違う服を着ていました。 もう、剣を見ても泣くこともなく、穏やかな表情で微笑むことのできるレオナの強さに惚れ惚れします。 オープニングを見ていて何度となく登場したダイの剣が、話の最後に登場し、ダイの笑顔が空に浮かぶシーン。 2年という時間を掛けて、アニメがついに完結した瞬間です。 連載当時も味わった、この終わりに感動しつつも、どうしても納得しきれない感情を、鮮明に思いだしてしまいました。 そんなわけで、これだけ長いことダイ大の解析やら感想、二次創作を書きまくっていたのにも拘わらず、筆者が最終回の感想を書くのが、これがはじめてだったりします。 100話に及ぶ長編アニメの感想を、最後まで書き上げることができたのは、嬉しいの一言に尽きます。 アニメの情報を拍手コメントで教えてもらったのを皮切りに、アニメへの期待を書き込んでくださったり、アニメが開始してからは感想を書いてくださったり、筆者の書いたものにコメントをくださった方々、本当にありがとうございます。 そして、素晴らしい作品を作り上げてくださった原作者様、アニメスタッフ様一同には、感謝してやみません! この2年、有給やらスケジュール調整を駆使して、放映時間に見るように頑張り続けた甲斐があった作品でした♪ これでもう、思い残すことはない――なんてわけなく、ますますダイ大の続きが気になって気になって仕方が無い気分になりましたよ(笑) |