『親子竜出陣』(2021.10.9)
  
 

《粗筋》

 突然、人間達の拠点にやってきて、自分とダイこそが魔宮の門へ挑むと宣言したバラン。
 二人の竜の騎士に不服があるかと問うバランに、腰を抜かしたままのポップは内心で地上最強のコンビだと思うだけで精一杯だった。
 だが、レオナは臆することなくバランを見上げ、その真意を問う。

レオナ「あなたが、なぜ私達に協力するの?」

クロコダイン「それはオレが話そう。だが、その前にこいつの手当てを頼む」

 クロコダインが前に進み出た結果、彼に抱きかかえられたヒュンケルの惨状が露わになった。

一同「ヒュンケル!?」
エイミ「ぁ……」
 
 誰もが驚き、一様にヒュンケルの名を叫ぶ中、離れた扉の所にいたエイミは沈痛な表情でそれを見つめていた。






 少し、時が経った頃。
 荒れ果てたカール城の廊下では、破れた窓や壊れた屋根の穴から夕日が差し込み、辺りをあかね色に染めていた。
 その部屋の一つから聞こえるのは、かすかな水音。

 ベッドに横たわったヒュンケルの額を、水に濡らした布で丁寧に拭う手が見える。そっとおこなったことなのに、それでも苦痛を感じたのかわずかに眉を寄せるヒュンケル。

 そんなヒュンケルの枕元に付き添うのは、エイミ。
 部屋は空っぽで、彼女とヒュンケルしかいない。寝ているヒュンケルの側の壁には魔槍が立てかけられ、エイミは椅子に座ってヒュンケルを見つめている。

 ふと、目を上げたエイミは魔槍を見つめる。
 その顔は険しく、何かの決意を感じさせるものだった。





 一方、その頃のダイ達はバランを交えての会議を続行していた。

レオナ「なるほど。大魔王バーンが共通の敵だと言うことは、お互い一致しているわけね」

 腕を組み、目を瞑っているバランは、出入り口付近の柱の側に立っているだけで何の反応もしない。そんなバランを肩越しに振り返りながら、レオナは言う。
レオナ「では、力を借りないって手はないわ。ダイ君。魔宮の門には、お父さんと一緒に行って」

 真正面に向き直り、レオナははっきりと宣伝する。
 先程とは円卓のメンバーが替わり、レオナを中心に時計回りに、メルル、クロコダイン、ダイ(レオナの真向かいの位置)、ポップ、マァムが並ぶ。
 レオナとマァムの背後に控えているバランは、オブザーバー的立ち位置。

ダイ「レオナ、おれはひとりで……っ」

 動揺したように反対しかけるダイを、レオナが遮る。

レオナ「メルル、クロコダインの回復をお願い」
メルル「はい」
レオナ「ポップ君、マァム、クロコダインの三人には親衛騎団を引きつけてもらうわ」

クロコダイン「うむ」
ポップ「よっしゃあ!」
ダイ「レオナぁ!!」

 不満そうなダイの声をまたも無視して、レオナはバランへ声をかけた。

レオナ「なにか、必要な物はありませんか?」
バラン「無用。そちらの準備が整い次第、我らは出る」

 素っ気なく答えてから、初めてバランは目を開けた。彼が目を向ける相手は、ダイ一人だけだ。

バラン「分かったな、ディーノ」

 バランの呼びかけに、ダイはムッとしたように口を引き結び、何も答えずに横を向いてしまう。






 一夜明けて、次の日。
 水平線が仄白くなり、夜明けを感じさせる色合い。が、昇り始めた太陽の強烈な光に照らされ、見る見る明るくなっていく。
 明るい日差しが海を、半ば廃墟となったカール城跡を照らし出す。
 一群の鳩の群れが、鳴きながら空を飛んでいった。

 カール城跡地の近く、一際高い岩山の上に立つ人影が二つ。
 それは背中合わせに立つ、ダイとバランだった。
 そんな二人の様子を、ポップ達はそろって眺めていた。小高い丘の頂上に立つカール城跡にいる彼らからはかなり距離があり、声をかけても届かないだろうし、こちら側の声も聞こえない場所だ。

 だが、反発し合っているのは遠目にも一目瞭然だ。
 ポップはそれを呆れたように、レオナはやや心配げに見つめている。
 しかしクロコダインは、ダイ達が戦わずに済んだことを喜び、一時的とは言えバランが味方になったことを心強く感じている。

 ポップは未だに信じられないとぼやくが、バランと会うのがこれが初めてであるマァムは、好印象を抱いている様子だ。
 が、それにはレオナも以前はとても共闘なんて言えるムードじゃ無かったと愚痴を漏らす。

ポップ「そうそう!」

 それもヒュンケルのおかげだと言うクロコダインに、みんなの目が集まる。ヒュンケルの命がけの説得の成果は大きい……だが、それと引き換えにヒュンケルが戦線離脱してしまったことを惜しむクロコダイン。

 だが、その時、エイミがこれで良かったのですと、思い詰めたような口調で呟いた。
 彼の自己犠牲について周囲が悲しまないと思っているヒュンケルが、もう無茶できなくなったことをホッとしていると語るエイミは、どこか寂しげだ。

 対して、いいカッコしすぎだと呟くポップは、口調とは裏腹に明るさがあった。

 仲間達がそんな話をしているとも知らず、傷ついたヒュンケルは一人、眠り続けていた。






 一方、岩場の上にいるバランは息子に話しかける。
 ディーノと呼びかけてから、ダイと言い直したバランに、ダイはハッとしたような表情を見せるが、それでも振り返らずにきゅっと口元を引き締める彼からは、絶対に話したくないという意志が見て取れる。
 
 バランも背を向けたままだが、身構えるダイの気をほぐすように話しかける。いずれは戦う身なのだからこそ、共に戦うのは今回限りだと語るバラン。
 それでも無言を通すダイに、バランは何か話すようにと命じる。

 それに応じ、ダイは一つだけ聞きたいと言って母親のことを尋ねる。
 思わぬ質問に、目を見開くバラン。
 しかし、一度伏せられてから空を見上げる目は、普段のバランとは別人のように柔らかい光に満ちたものだった。

 見上げる空に、バランはかつて愛した人の面影を見いだす。
 美しく、優しく、そこにいるだけでみんなが暖かい気持ちになれる、そんな女性だったと語るバランの声は慈しみに溢れて、どこまでも穏やかだった。

 初めて出会った時のこと、置いていかないでと抱きつかれた時のこと、二人でテランの粗末な小屋で暮らしていた時の姿も、彼の中では鮮明だ。
 王女だった彼女が、村娘のように格好で台所を仕事をして振り返る姿も、彼の中では輝かしい記憶だった。

 微笑むソアラの顔も、愛おしげに我が子を抱きしめるソアラの姿も、未だにバランの中に焼き付いて離れない。
 あれほど深く人を愛することはもうあるまい、と言い切るバラン。

 それを、少し寂しそうに聞いていたダイは、ふと顔を上げて昇りゆく太陽を見る。
 頷き、元気よく行こうと告げるダイ。
 トベルーラで舞い上がるダイを、バランはゆっくりと振り返って見上げる。

 もう誰も愛さないと決めたバランだが、おそらくダイだけは例外だと内心、思うバラン。
 しかし、それを口に出さず、バランもまたトベルーラで空に舞い上がる。
 遅れて飛び上がったにも拘わらず、バランはすぐにダイを追い越し、二匹の竜は白い軌跡を残して青空を飛ぶ。
 
 ポップ達は、それを見上げていた。
 竜の親子の共闘に希望を感じているポップやレオナ達。だが、メルルは不安げに呟く。
 彼女はあの親子が力を合わせることにより、逆に強大な力を呼び起こすのではないかと心配していた。

 だが、不安を吐露してしまったメルルは、周囲の沈黙に築き、慌てたように後ろを振り返って気にしないでくれと謝罪する。

レオナ「(こっそりと)占い師の言うことを気にするなって方がねえ〜」

 こっそり耳打ちするレオナに、ポップもマァムも苦笑を浮かべているだけだ。

 メルルを励ますために、マァムは頑張るから大丈夫だと前向きに話しかける。
 そして、ポップは調子のいい口調で軽口を叩きながら、メルルに近寄って肩に手を置いて心配は要らないと言い切った。
 頬を赤く染め、嬉しそうな表情を見せるメルル。

 メルルを励ました後、みんなを振り返ったポップは勢いよく出陣を告げる。さっきまでの気が抜けた表情とは別人のように、引き締まった顔。
 そんなポップを、メルルはじっと見つめていた。

 勝つためではなく、ダイ達の援護のために親衛騎団を引きつけておけばいいというクロコダイン。
 マァムやクロコダインに向かって歩きながら、ポップは肩越しに振り返り、レオナに後を任せる。
 マァムも、ヒュンケルやチウ達を頼むことを忘れない。

レオナ「月並みな励ましは言わないわ……みんな! 死力を尽くして!!」

ポップ「……いつもそうさ!!」






 二本の軌跡を描いて空を飛ぶダイ達を追い抜いて、光の軌跡が死の大地へと飛んでいく。
 それがポップ達だと気がつくダイ。

 気をそらしたダイに注意を促すように、バランも彼を促す。力が足りなければ置いていくというバランを追い、死の大地を目指すダイ。






 一方、残されたレオナは暗雲の立ちこめる死の大地の山を見つめていた。不自然に隆起した山は、いかにも不吉な雰囲気を漂わせている。
 戦いの予感を感じるレオナは、ダイ達と戦いたかったであろうノヴァを気遣う。

 悔しさが滲む声ながら、自分の実力不足を認めたノヴァは援軍の再編成に協力するという。
 それに礼を述べた後、レオナはふと、憂い顔を見せる。

 ダイとバランが力を合わせてもバーンに勝てないのだとしたら、全ては無駄かもしれないと理解している。
 だが、それでも頑張ろうと前向きな笑顔を見せるレオナ。

 それを見たメルルは、自分の心の弱さを反省する。
 誰よりも危機感を抱きながらも頑張っているレオナを思い、竜の神にダイやポップ達への加護を祈るメルル。






 その頃、ちょうどポップ達はメルルが見ていた死の大地へと舞い降りたところだった。
 暗雲が立ちこめる死の大地は、先程までとは打って変わって暗い雰囲気に満ちあふれている。

 こんなところに来るのは最後にしたいとぼやくポップ。その言葉を肯定するクロコダインだが、それは楽観的な物ではなかった。
 ダイ達が魔宮の門を開けるのに成功すれば、その先に待つのは大魔王バーンとの決戦。勝ち残らなければ帰れないだろうと考えている。

マァム「とりあえず、ハドラー親衛騎団を引きつけることに全力を注がなくちゃ」

  それに対し、もうちょい味方が欲しいと呟いたポップは、何かに気づいたようにジロジロとマァムを見る。
 きょとんとするマァムの後ろに回り込み、じーっと彼女のお尻を見るポップ。

マァム「なによ?」

 さすがに不審げな顔をするマァムだが、ポップはまだまだ彼女の胸をじいーっと見上げ、さらには回り込んで彼女の前垂れのあたりもじぃーーっと見やる。
 それではまだ飽き足りないと、今度は後ろから彼女の膝の後ろ辺りを注目する始末。

 そして、いきなり「ここだっ!」と指でマァムのお尻をつついた。
 途端にもぞもぞと動き出し、膨らむマァムのお尻。

マァム「きゃあぁあー!?」

 さすがに顔を真っ赤にして、悲鳴を上げるマァム。が、もぞもぞの膨らみはお尻から前に回り込み、更にはマァムの服を突き上げる勢いで膨れ上がる。
 異常な光景に慌てて、悲鳴を上げ続けるマァム。
 最終的には膨らみはマァムの胸で最大限に達した。いきなりふくれあがった胸――その隙間から飛び出したのは、ゴメちゃんだった。

 得意げに空中で翼を広げるゴメちゃんは、マァムの肩にちょこんと止まる。
 マァムはこんな危険なところについてきたと軽く責めるが、ポップは嬉しそうにゴメちゃんの頭を撫でる。
 嬉しい味方の参入を、心から喜んでいる様子だ。

 最初からの付き合いだから最後まで一緒に行こうと言うポップの呼びかけに、気合いを入れて返事をするゴメちゃん。
 良い雰囲気だったが、クロコダインがポップによく気づいたなと尋ねた辺りから様子が変わる。

ポップ「いやぁあ〜、マァムのケツがいつもにましてでけえなぁーと……

 得意げにそんなことを言うポップに、マァムは顔を赤らめながらも怒り、重い一撃でポップを地に沈める。
 
ぽっぷ
H 165
M 169
ま:34

 と、記されたポップのステータスがH 135に減った。一撃で、30ポイントのダメージを受けたのである。

 くだらないことで体力を減らすなと騒ぐポップに、くだらないことを言い出したのはポップだと怒鳴り返すマァム。
 その光景を見て、クロコダインが笑いながら言う。

クロコダイン「おまえ達が夫婦になったら、間違いなくかかあ天下だな」

 その言葉に、同時にビクッとするポップとマァム。
 ポップは顔を真っ赤にして「なんでおれがこんなのと!?」と動揺すると、マァムはポップの襟首を掴んで「こんなの!?」と怒りまくる。

 そのやり取りに、クロコダインは豪快な笑い声を上げる。
 普段はいがみ合っていても、深い絆に結ばれた家族愛の温かみをクロコダインは実感していた。ダイとバランから、それを悟ったのだという。
 この戦いで生き残ることが出来たら、かみさんを探そうかなと笑うクロコダインに、ポップもマァムも毒気が抜かれた様子。

 一度、目を伏せてから、絶対にみんなで生きて帰ろうなと宣言するポップ。それに力強く頷く仲間達。
 視線を空に上げ、ポップは心の中でダイに父親と上手くやるように呼びかける。

 その時、金属的な足音が鳴り響いた。
 ハッと、顔をそちらに向けるマァム。続けざまに着地音が鳴り響き、ポップも敵に向けて身構える。

 崖の上に見えるのは、親衛騎団のシルエット。ヒム、アルビナス、ブロック、シグマが並んでいた。





 一方、ダイ達は死の大地間際の海へ飛び込んだところだった。激しい気泡を上げながら、海へ突入するダイとバラン。
 先行するダイは左右を見回し、魔宮の門を探している。その目が落ち着かなく動くのは、ポップ達だけで親衛騎団と戦うのを心配しているせいだ。

 そのダイの肩に、バランが手をかけて「焦るな」と告げる。

ダイ『(この声……まさか!?)』

バラン『(そうだ。私は今、思念派でおまえに語りかけている。我々二人の紋章の共鳴を利用すれば、可能なことだと思っていた)』

 一瞬だけ、バランの額に竜の紋章が浮かぶ。

ダイ『(しねんは……)』

 ダイに魔宮の門を砕く目的を思い出させ、使命を果たす意義を説くバラン。それに納得したのか、ダイは真剣な表情で頷いた。

バラン「(こっちだ)」

 今度はバランに先導され、泳いでいくダイ。





 同じ頃、地上にいるポップはヒュンケルに攻撃されたはずのアルビナスが無傷なことに驚いていた。クロコダインは、ハドラーの魔力で修復されたのだろうと推理する。

 ヒムは前よりも勇者一行の人数が減ったのが不満とばかりに、文句をつけてくる。が、ポップも負けてはいない。
 腰の後ろから杖を取り出し、それを突きつけながら仲間の敵討ちをするから僧正を出せと挑発する。

 それを聞いて、アルビナスを初めとする親衛騎団は初めて周囲を見回し、フェンブレンの不在に気づく。
 その時、空中に何かがふいっと現れ、地面に落下する。
 固い金属音を立てて落ちたそれは、ハドラー親衛騎団共通する腕輪(エンブレム)だった。

 それを見て、驚くヒム。
 アルビナスは何か思い当たることがあるのか「まさか……!?」と呟く。
 





 一方、海底を進むダイ達は対に魔宮の門に辿り着いた。バランと目を見交わし、うなずき合う親子。
 扉に近づくダイは、巨大な門に貼り付く人影を発見する。
 遠目からは黒い影にしか見えなかったそれは、近づくと目の部分に差し込まれた傷が赤く、ギラリと光る。

 その頃、バーンパレスでは、バーンがチェスの盤に黒の僧正の駒をさしているところだった。酒を片手に、バーンはそれがハドラーの指示ではないなと呟く。
 予測不能の事態を、バーンはまるで楽しんでいるかのように笑って眺めていた。





 海底のダイ達は、相手がフェンブレンだと気がつく。
 仲間達に悪いなと謝りつつも、彼は目の前の獲物を譲る気は毛頭無いない様子だった。






 ところは変わって、カール城跡。
 花瓶が落ちる音に振り向いたレオナ、エイミ、メルルが見たものは、ベッドから起き上がったヒュンケルだった。
 砕け散った花瓶や散らばる花に見向きもせず、苦しそうに立ち上がるヒュンケル。

 それに驚く女性陣の中で、一番強く反応したのはエイミだった。
 すぐにヒュンケルに駆け寄って支え、動かないよう制止する。レオナは、その段階でヒュンケルの目的を察したようだった。

 死の大地へ行くというヒュンケルを、必死に止めようとするエイミ。
 レオナは冷静に、現状のヒュンケルが足手まといに等しいことを告げる。だが、それでもヒュンケルは怯まない。
 戦えないなら盾になろうと言い切るヒュンケルに、エイミは血相を変える。

 エイミに、武器の場所を問うヒュンケル。
 それに、驚いた表情を見せるエイミ。
 ヒュンケルのベッドの横には、魔槍は置いてなかった。魔槍はどこだと急かすヒュンケルに、エイミは目をそらし……捨てたと返事をした。

 この発言には、ヒュンケルのみならずレオナはメルルも驚く。
 気まずそうに俯いていたエイミは、顔を上げ、開き直ったようにもう戦えないなら槍は不要だと主張する。
 まるで、自分の方に正当性がアルトばかりに、槍は捨てたと宣言するエイミ。

 気迫の込められたエイミを、ヒュンケルはじっと見返る。
 レオナも、エイミの主張に感じるものがあったらしい。だが、エイミは主君の方を見向きもせず、ヒュンケルの腕を取って、武器だな蹴れば戦えないことを強調し、安静にするようにと迫る。
 泣き出さんばかりに必死に頼み込むエイミ。

 だが、そんなエイミを見ていたヒュンケルは、目を前に向け、そのまま歩き出した。しっかりと掴んでいたはずの腕が、するりとエイミの手から抜けていく。
 焦ったように、どこに行くのかと問いかけるエイミ。
 ヒュンケルはそれに答えず、無言のまま外へ出て行ってしまった。
 
 立ち尽くすエイミに、レオナは後ろを向いたまま話しかける。

レオナ「エイミ……あなた、ヒュンケルのことが……」

 それを聞いて、一瞬、ビクッとするエイミ。
 レオナはエイミを責めはしなかったが、逆効果だと淡々と現状を説明する。武器を取り上げれば、彼は素手で戦うだけ……説得も受け付けない人だと説明するレオナ。

 それを聞いたエイミは、その場から走り出しヒュンケルを追う。
 室内には、レオナとメルルだけが取り残される。レオナは悲しそうな目で、エイミの名を呟いた。






 青空が広がる、入り江状の浜辺。
 そこを歩くヒュンケルの前に回り込んだエイミは、両手でヒュンケルを押しとどめる。
 だが、ヒュンケルは自分を抑える手を、手首で掴み、どくようにと言う。
 
 感情的に、なぜ諦めてくれないのかと叫ぶエイミ。
 自分は不死身だと言い切るヒュンケルは、目の前のエイミを見てはいない。ここにはいない敵を見据えるように、まっすぐに前を見上げている。

 ヒュンケルを心配し食い下がるエイミだが、ヒュンケルはダイやみんなのために捨て石になる覚悟だ。エイミを振り払い、そのまま歩を進める。砂の上に倒れ込むエイミ。

 なんとか起き上がったエイミの目に、涙が滲む。
 涙でぼやけるヒュンケルの後ろ姿を見つめるエイミは、立ち上がって駆けだし、彼の背中に抱きついた。

 足を止めるが、振り向かないヒュンケル。

ヒュンケル「オレのことは……」

 額を、ヒュンケルの後頭部へとこつんと押し当てるエイミ。

エイミ「……好きなの……」

 押し殺すような声で、エイミは思いを打ち明ける。

エイミ「ずっと……ずっと好きだったんです」

 涙をこぼしながら、エイミは今度こそヒュンケルを案ずる本音をぶちまけ、喜んで死にに行くような真似は止めてと言い、彼を引き留めようとする。
 それを、前を向いたまま聞いているヒュンケル。

 そして、ヒュンケルもまた、自分の本音を吐露する。
 彼が死を望むのは、恐ろしいから。かつて、師や弟弟子にさえ剣を向けた過去が忘れられないヒュンケルは、その償いのために戦うことで罪悪感を埋めることが出来る。

 ヒュンケルの懺悔に、涙をこぼすエイミ。
 語るヒュンケルも、それに聞き入るエイミも、近くの砂の上にいつの間にか突き立っていた槍の存在に気づかなかった。

 ヒュンケルの話を聞いて、たまらないように彼から目をそらし、彼を捕まえていた腕を離すエイミ。が、その目が大きく見開かれる。
 死の大地の岩山がやけに大きく見える浜辺に、まっすぐに突き立つ一本の槍。それは、紛れもなく魔槍だった。

 城の近くの森に隠したはずの魔槍の出現に、動揺するエイミ。
 友もオレを呼んでいると言い、戦場へ向かうヒュンケル。その背に向かって手を伸ばすも、エイミの手は虚しく空を切った。
 それでも手を伸ばすも、ヒュンケルの足音は乱れることなく進んでいく。

 エイミの手が、力なく落ちた。
 槍へと向かうヒュンケルの後ろ姿が、涙で滲んで見える。砂浜に膝をつき、座り込んでしまうエイミ。

 しばらく金属音が響いたかと思うと、ヒュンケルがエイミに呼びかけた。顔を上げると、そこには完全武装をしたヒュンケルがいた。
 ヒュンケルは初めて人にあんな話をしたと打ち明け、礼を述べる。だが、自分のことはもう忘れた方がいいと言って踵を返し、去って行く。
 
 座り込んだまま、それを見送るエイミ。
 彼が遠ざかると、エイミが顔を伏せて俯く。そこには、ただ、波の音だけが響いていた――。





 所は変わって、海底。
 潰された目の傷もそのままのフェンブレンは、門の前に貼り付くようにしてバラン達を待ち構えていた。

ダイ「ビショップ……フェンブレン!」

 フェンブレンと前に会ったことを、バランは思い出す。
 目の見えないフェンブレンは、オリハルコンの反応が二つ近づいたことを察し、大きい反応がバランだと見当をつける。

 バランへの恨みを忘れないよう、フェンブレンは敢えてバランに傷つけられた目だけは治さないでもらった。
 バランへの復讐心を、忘れないために――。

 怒りに燃えるフェンブレンに身構えるダイだが、バランが手でそれを制する。

バラン「(ハドラーの部下全てが地上に集まったわけではないようだな。この場は任せろ)」

 フェンブレンの狙いが自分だと悟ったバランは、額に竜の紋章を浮かび上がらせ、背中の剣に手をかける。
 自信満々のバランだが、ダイはフェンブレンが妙に落ち着いているのを気にしていた。

 そして、フェンブレンの身体に魔法力の光が浮かび上がるのに気がつく。身体から五箇所の光を放つフェンブレンを見て、ダイはバランに危ないと忠告する。

 だが、その忠告は一歩遅かった。
 フェンブレンは海中にも拘わらず、バキクロスを発動させる。嵐のように荒れ狂う海に、必死に耐えるダイ。

 バランはダイの様子に気を取られ、構えた剣から手を滑らせてしまった。荒れる水の勢いに飲み込まれ、真魔剛竜剣は離れた場所へと飛ばされ、岩に突き刺さる。

 目が見えないものの、生命反応からバランが離れたことを悟り、フェンブレンは今こそが攻撃の好機と考える。
 バランのような強敵に勝つためには、初っぱなから最強の必殺技で隙を作るしかないと考えたフェンブレンの作戦通りだった。

 刃物状の腕をより合わせ、身体をドリルのように高速回転させ始めたフェンブレンは、止めのためにバランへ体当たりをしかけようとする。素早い動きで飛び出すフェンブレン。

 波がいくぶんか収まったため、目を開けたダイはフェンブレンが門の前からいなくなったことに気づき、驚く。
 一方、バランも波の流れが変わったのを感じ、剣を取るために泳ぎだす。

 しかし、バランが剣の刺さっている岩に近づいた時、その岩に亀裂が入った。
 海底に輝く光に驚き、バランを振り返るダイ。

 バランの目の前で岩は粉みじんに砕け、その中から復讐の鬼と化したフェンブレンが突撃してきた。
 さすがのバランも、これには驚いて一瞬硬直する。

フェンブレン「バランッ、破れたり!」


《感想》

『……これは壮絶なタイトル詐欺っ』
 
 と、心の底から思いましたよ! だって、『親子竜』であるはずのダイとバランのパートよりも何よりも、ヒュンケルとエイミさんのシーンの方が目立ちまくっているんですから!

 ポップ贔屓の筆者でさえ、ポップとマァム、ポップとメルルの絡み以上に、エイミさんの大胆ながらも切ない告白シーンに目を奪われ、ついついときめきましたよ! さすがは、ダイ大界で一番美味しいところを持っていく男……!(笑)

 それはさておき、原作では語られなかったバランとのやり取りが入っていたのは嬉しかったです。
 気丈にもバランと交渉しようとするレオナの隣で、ノヴァがバランを睨みつけていましたが、知らないって幸せだなぁと思いましたよ。

 ヒュンケルのケガを見て、心配そうにしているエイミさんが非常に可愛いです。

 カール城跡地の拠点内の様子はこれまでそんなに見る機会は無かったですが、廊下がものすごい勢いで荒れていました。

 敵に対するカモフラージュもあるのでわざわざ修理をしなかったのかもし得ませんが、これだけ壊れかけている場所なら、ノヴァがこれぐらいはいいだろうと天井を壊す気になったのも分かるかも……(笑)

 エイミさんが傷ついたヒュンケルに付き添うカットは、アニメの改変ですね。槍を親の敵のように睨むエイミさんが、いい伏線になっていますね。
 そのエイミさんの顔からレオナの声を被せ、舞台をダイ達へと移す場面転換もいい感じです。

 レオナがダイを無視する形で、テキパキ話を進めているのはらしくっていいなと思っちゃいました。メルルの役目もちゃんとあったのは嬉しいですが、ホイミしか使えない彼女で大丈夫かちょっと心配な気も。

 ポップ達が返事をするシーン、多分マァムも何か言っていると思うのですが、声が重なって聞き取れませんでした〜。
 レオナに抗議するダイの声が、ちょっと甘えた感じで可愛いです。バランに話しかけられ、素直になれずに横を向く顔も、子供っぽい感じ。

 ポップがヒュンケルに反発する時と違って、相手への当てつけのようにわざと大げさにそっぽを向くのではなく、どう反対していいのか分からなくって、怒りつつも困っているように見えるのが萌えです♪

 夜明けのシーン、波の音とBGMに丁寧に描写されていたのが驚きでした。カール城、壊れているのに外伝の『勇者アバン』のカール城の外見にちゃんと合わせてあるのがいいですね。
 ダイ大世界がきちんと表現されていると分かって、嬉しくなります。

 ポップの『親子そろって頑固〜』の台詞が気に入っていたのでカットされたのは残念ですが、マァムがバランを褒めるシーンの上目遣いのカット、すっごくいいですっ♪

 時々、上目遣いのマァムが吊り目で作画されている時があってやや不満に感じていたのですが、バランの強さを素直に認めるマァムの上目遣いはすごく自然体な印象でドストライクですよっ。

 エイミさん、原作では片手の肘に手を当てたポーズで、しおらしさを強く感じますが、アニメではずっと腕を組んでいました。
 ちょっと斜に構えたような角度でバランを見ている辺りに、ヒュンケルを傷つけたバランへの静かな怒りを感じます。

 ポップがヒュンケルにこっそりと礼を呟くシーンがカットされていたのは残念ですが、モノローグを省く方針の一つと見ました。
 しかし、ヒュンケルの寝室にまたも花を飾ってあるのを発見。エイミさん、健気。

 ソアラの回想、なんて美しい……。
 アニメでは原作に比べるとポニーテール部分の髪のボリュームが物足りない印象が強く、個人的には原作との差違を一番感じるキャラだったりします。が、今回の回想シーンのカットではボニーテールの頂点部分が見えない顔のアップだったので原作通りのイメージカットでした。

 そして、ソアラに焦点を当てた回想シーンが青空に次々と浮かんでは消えていくのが、これまたびゅーてぃーほー!
 個人的には、髪を後ろにまとめたソアラの後ろ姿から、振り返ってエプロンで手を拭くシーンがお気に入りです。赤ん坊のダイに頬ずりをするシーンも、聖母感があって良かったですが。

 少し寂しそうな顔から顔を上げたダイが太陽を見るシーン、後ろ姿と太陽の輝かしさを見せる形になっていて、どんな表情を見せているのか、想像の余地があるのがいいですね。
 バランの話に触発されて、太陽=母親のイメージができたのかもしれません。

 バランのダイに対しての愛の言葉は、微妙な改変がありました。

原作バラン(あれほど人を愛することは、もうあるまい。唯一例外があるとすれば……それはダイ、おそらくおまえだ……)
アニメバラン(例外が唯一あるとすれば…………それはおそらく……おまえだ、ダイ)

 ダイとバランの飛行を見て、『天国のダイのお母さんもお喜びになる〜』と語ったレオナの台詞がカットされているのは残念な気がします。

 メルルの失言シーン、原作ではメルルに対してレオナ、ポップ、エイミが、困った表情で振り返るシーンがありましたが、アニメではただ沈黙に抑えられていますね。

 苦笑しているポップとマァムの顔と、申し訳なさそうなメルルの顔のカットが好きです。そう言えばレオナが噂好きのおばさんよろしく、耳打ちするシーン、原作ではレオナはポップの背中に隠れるようにしてマァムに話しかけているのですが、アニメでははっきりとポップに話しかけていますね。

 ポップが軽口でメルルを励ますシーン、『おれたちがいるかぎり、黙ってダイ達をやらせやしねえ!』の台詞がカットされていたのが残念です。
 多分、この強気な口調と、竜の騎士二人でも勝てないなら仕方が無いという諦め口調がそぐわないので、前半部分をカットしたのだと思いますが。

 ポップが出陣の台詞を言うシーン、原作でもメルルはポップの背後にいるのですが、目を伏せて恥ずかしさに耐えているような感じでした。
 が、アニメでははにかみながらもしっかりとポップを見つめている健気さが好きです♪

 レオナとポップのやり取り、すごく好きなシーンなのでアニメで見られて嬉しいです♪
 アニメだと、ちょっとポップが苦笑しているような感じで「いつもそうさ」の台詞を言っていますね。

 原作では強気に聞こえたこの台詞が、アニメでは声優さんの声によって勇気を振り絞って戦っていた自分を思い返しているような感じに聞こえて、とても気に入りました。

 レオナが珍しく弱気を見せるシーン、台詞が改変されていますね。

原作レオナ「確かに、ポップ君の言う通り……大魔王バーンがダイ君とバランの力を合わせても勝てない相手だったら、全ては無駄なんだけど……。
 だからって! なにもしないのはあまりにも不毛だものね。私達も出来る限りのことをしましょう、最後の最後まで!」

アニメレオナ「確かに、大魔王バーンは竜の騎士二人がかりでも勝てない相手だったら、全ては無駄なんだけど……だからって、なにもしないってのもね。私達も出来る限りのことをしましょう」

 原作の方が悲壮感が強いですね。
 後、アニメの方では『大魔王バーンは』と発音していますが、これ、文法的には原作通り『大魔王バーンが』の方が合っている気がします。けれど、てにをはが多少違っていても、話し言葉として不自然に聞こえないのは声優さんの力量があるからこそでしょうね。

 メルルが竜の神に祈るシーン、手を組み合わせる姿が可憐だっただけに、原作と違って死の大地の山を見、上げながらの後ろ姿がメインになったのが残念。いや、雰囲気があっていい構図だとは思いますよ? 思いますが……お願い、もう少しメルルの正面側の顔も見せて! めったにない見せ場なのに〜。

 ここで、アニメではポップ達の行動を先に移しています。
 原作ではダイ達のシーンが先なのですが、アニメではポップがルーラで先行したという動きに展開を合わせていますね。

 作戦上、ポップ達が親衛騎団を引きつける囮になる作戦なので、彼らが先に到着する方が理に適っていると思います。
 
 ポップのセリフが、ちょっとおどけたような軽口で話されていたのが好印象。そして、クロコダインの台詞に微妙な違いが。

原作クロコダイン「いやでもそうなるだろう。今度こそ、奴らも全力で来る! 敵を倒してしまわなければ、生きては帰れないに違いない」

アニメクロコダイン「いやでもそうなるだろう。魔宮の門が開けば、大魔王バーンと決戦だ。敵を倒してしまわねば、生きては帰れんだろう」

 今、気がつきましたが、アニメのクロコダインの方が口調が武人風ですね。

 原作ではポップがちょっと怯えた風を見せて、マァムがそれをフォローするように「最悪の事態だけを考えちゃだめよ!」と忠告するのですが、アニメではカットされています。

 しかし、マァムの身体からゴメちゃんが出てくるシーン……そこまでやるっ!?
 ここまでのエロへの徹底配慮はどこに行ったと言いたくなるほど、めっちゃ描写が細かいんですが!? 原作ではポップは真顔だったのに、アニメでは思いっきり目を細めて鼻の穴をかっぴらいてますが?(笑) なに、なぜにこのスケベ面だけオリジナルな表情にしているの?

 しかも、屈み込んで前から後ろから、何回マァムを見ているんですか! 明らかに原作の注目カット数よりも多いですけど!? それにしても、膝の後ろに注目したカット、マニアックですね。
 そして、マァムの慌てふためきシーンも、長い、長い!(笑)

 原作では背中にも回り込んでいたゴメちゃん、今回は身体の前面部分のみ動いていますよ。それに、悲鳴を上げるマァムが原作のきょとんとした表情よりも、格段に色っぽい系に傾いているのですが。
 こ、これはお子様向け時間帯にしてはやりすぎでは? いいぞ、もっとやれ(笑) 

 と、思わずツッコみたくなるぐらいに見事なセクハラシーンでしたが、残念なのが原作にあった胸を両手で押さえるマァムのカットが省略されていたこと。あのシーン、好きだったですが。
 いまさら、そこだけ削ってごまかせる範囲を超えちゃっているのに、なぜにあのシーンだけ省いたのか(笑)

 それはそうと、原作ではポップは少し心配そうな表情でゴメちゃんの頭を撫でていますが、アニメではポップは笑顔でウインクをしています。
 ゴメちゃんを無条件で歓迎している雰囲気ですね。

 そして、台詞からは「強くなさそうだけど〜」部分や、服にへばりついていたなどの部分をカットされています。
 マァムのお尻や胸に詳しい台詞もカットされていますね。
 逆に、恥ずかしさに顔を赤らめながらも怒るマァムの顔のカットが増やされているのは、嬉しい改変です。

 ポップを殴った時のダメージ表現を、ファミコンゲーム的のステータスで顕したのもいいですね。

ぽっぷ
H 165
M 169
ま:34

 まさか、アニメでファミコン風ステータス画面を見ることが出来るとは(笑) しかも、このパラメーターは本邦初公開です♪
 原作ではちょいちょいメンバーのステータスが出てきましたが、ポップの場合は全部で5回。

 4回目はレベル30、5回目はレベル51なので、この数値は初めて。
 より近いレベル30時には、HP 149 MP 153だったので、かなり伸びていますね。
 しかし、中ボス戦前にHPマイナス30って……この時点のポップのHPから考えると、18.2%に当たるのですが。

 まあ、あれほどのセクハラが実行された以上、さすがにポップを擁護する気にはなれませんが。
 アニメではセクハラへの対処が過剰反応なことが多かったですが、これならやり過ぎとは言えないでしょう、うん。

 ポップとマァムの喧嘩、見てて楽しいです♪
 スケベの台詞はカットされていますが、恥ずかし怒りまくるぷんすこマァムが実に可愛いですね。

 ゴメちゃんが、まったく理解できていないようにきょとんとしているのがまた、可愛い♪
 原作では、実はこのシーンにゴメちゃんは出ていないので、彼の反応が見られて嬉しいです。

 マァムが「こんなの!?」で怒るシーン、原作ではポップは目をギュッと閉じているのですが、アニメでは鼻水を垂らしつつ、メッチャ細い目になっています。
 まるで「あっ、やべ、口が滑った」と言わんばかりの引きつった顔に笑っちゃいました。

 原作ではこのシーン、ポップもマァムも上半身しか描かれていなかったのですが、アニメでは地面にへたり込んだポップの上にマァムが馬乗りになっていて、まるで押し倒したように見えますね、本人達は気づいていない感じですが(笑)

 クロコダインの台詞、ほぼ原作通りでしたが、「嫁探し」だけはアニメでは「かみさん探し」になっていました。そういえばかかあ天下もそのまま言っていましたし、嫁はだめでもかみさんはいいんでしょうかね?

 しかし、クロコダインの「もし、戦いが終わって生きていたら〜」の台詞が死にフラグに聞こえてヒヤヒヤしましたよ〜。ポップの生還宣言も、今思えば思いっきり死にフラグだし。

 ここでCMを挟んでダイのターンへと戻るとは思いませんでした。
 ダイとバランでの水中でのやり取り、目と目で分かる展開から思念派に改変されていました!

 バランが思念派でダイと会話するのは、ハドラーとの戦いの最中だったはずなのですが……原作より、少し展開を早めています。

 ヒムとポップのやり取りで、傷ついたチウの回想シーンが入らないかと期待したのですが、そこはカットされていました。残念!

 しかし、ヒュンケルの出番が大分早まっていますね。
 原作ではヒュンケルが出陣したのはダイ達がハドラーに会ってからなのですが、アニメでは大分早められています。
 そのせいで、メルルが戦いの様子を感知して怯えるシーンがカットされていますね。まあ、カットではなく後に回されただけかもしれませんが。

 ヒュンケルを止めるレオナの台詞、原作の「言っても無駄かもしれないけど〜」の部分がカットされていました。そのせいか、より断定的な印象で、毅然とした雰囲気が実に良かったです。

 原作では、ヒュンケルがこのタイミングで動き出したのが、メルルと同様に敵の存在を察知したのかもしれないというレオナの推理がありましたが、そこは当然のようにカットされていますね。

 アニメでは、なぜここでヒュンケルが起きたかは不明です。ただ、目が覚めただけなのかも。
 ……っていうか、女の子三人が部屋に来たせいではという気もしますね(笑)

 エイミさんの引き留めシーン、思っていたよりもずっと押しつけがましいと言うか、強さを感じました。もっと、しおらしげに頼むのかと思いましたが、これが正しいと言わんばかりの強気さは嫌いじゃないです。

 ヒュンケルがエイミさんから離れるシーン、手をそのまま引き抜いただけなのは優しいなと思いました。振り払いもせず、そのまま手を抜いただけです。
 
 ヒュンケルが扉を開けて出て行くシーン、真正面からの構図だったので、ヒュンケルに置き去りにされるエイミさんの絶望的な表情がバッチリと描かれていて、実に印象的でした。

 レオナがエイミさんを諭すシーン、原作では「好きだったのね」と限定していますが、アニメでは言葉を濁していますね。
 原作と違って背中を向けて、顔を見ないようにして語るレオナが、なんだか男前でいい感じです。

 話の最中、窓の外側から室内を見る構図でエイミさんの姿が見えるシーンもアニメの改変ですね、いい構図です。室内が暗く、ほとんどシルエットになっちいる中、額の賢者の冠だけが軽く光っているシーンは見応えがあります。

 エイミさんが去った後、レオナが彼女の名を呟くシーン、原作では心の中の呼びかけでしたが、アニメでは口にしていますね。

 海辺でのヒュンケルとエイミさんのシーン、背景の眩いぐらいの海のきらめきがゴージャスの一言。え、これ、デートスポット?
 原作では、死の大地の険しい山を目指すヒュンケルの姿が印象的だったのですが、周囲は青空と青い海の輝く魅惑のビュースポットに! どこの新婚リゾートだとツッコみたくなるほど、美しい浜辺でした。

 告白シーンで一番楽しみにしていた、ヒュンケルに襲いかかる敵の幻はなかったことになりました(泣) 代わりに、エイミさんの表情や仕草に全てをかけたみたいですね。

 原作では「行かないで!」と叫ぶながらガバッと抱きついていたエイミさんが、抱きつきながらも控え目に額を押し当てる静かなシーンになっていたのは目を惹かれました。

 告白も、原作の大胆路線から静かな告白になっていて、一気にロマンチック度が増しましたね。
 ヒュンケルが過去を語る時、アバンと対決した子供時代と、ダイと戦った戦いが色を落とした色調の回想として流れたのが、いい感じでした。
 ダイにブラッディースクライドを打ち、ポップがダイに飛びついて庇う回想でしたが……マァムの存在は都合良く思い出さないようです(笑)

 ヒュンケルの台詞、ところどことカットされていますが、一番大きな変化だと思えたのは、エイミが目をそらし、自らヒュンケルの手を離すシーン。
 原作ではエイミはずっと手を添えたままなんですが、アニメではヒュンケルの懺悔を聞いて、彼をこれ以上止めるのはかえって酷だとなっとくしたように思えます。

 エイミさんの嘆きが実に美しい告白シーンではありますが……無粋を承知で、疑問が浮かびます。
 ……ヒュンケルは、この後どうやって死の大地へ言ったのやら?

? ガルーダに頼んだ。
? 小舟で渡った。
? 泳いだに決まっている。

 この三つのどれが一番可能性が高いか、前々から悩んでいます(笑)

 それはさておき、フェンブレンの回想シーン、バランとの戦いが流れる中、フェンブレンの傷ついた目をフレームにして終わらせる演出が素晴らしいです。
 狭く、歪な傷跡から見えるバランの顔は、読者視点から見ても悪役に見えます(笑)

 そして、怒りと共にフェンブレンの目の傷跡を赤く光らせる演出もいい感じですね。ホラー感があるし、迫力満点です。

 バランの台詞、他の部分で飛ばした台詞を入れてみたり、一部をカットしたりと、多少の改変がありますね。
 バランの額に浮かぶ竜の紋章が、実にかっこいいです。

 ダイがフェンブレンがおかしい理由を一生懸命説明するシーン、まるっとカットされているのは、悲しいです〜。
 そして、思念派会話がはやまったせいで、ダイが水の中でゴボゴボしながら必死にバランに忠告するシーンも、なめらかな思念派に改変されていました。残念、ゴボゴボしている原作のダイ、可愛かったのに。

 バギクロスのせいでバランが剣を取り落とすシーン、原作では波の勢いに推されただけの感じでしたが、アニメでは苦しそうなダイを気にして振り返ったせいで、手を滑らせていますね。
 いい改変だと思います♪

 フェンブレンの攻撃直後、原作ではバランが先に剣を取り戻すために動き出し、ダイがフェンブレンの姿が消えたのに気づく展開になっていますが、アニメでは逆ですね。

 フェンブレンの台詞、原作では「決まった! バラン破れたり!!」と叫んでいましたが、アニメでは前半は省かれていました。

 次回予告で『フェンブレンとの決着』って言っちゃってますけど、思いっきりネタバレですね、ありがとうございます。
 それにしても、死の大地でポップ達が親衛騎団と戦うことを語るのなら、なぜ映像をあわせないのか(笑)

 ポップ達の戦いについて告げているシーンで、すでにハドラーとダイ、バラン戦いシーンが流れているのですが。いや、もう少し後でポップ達のカットも入っていたのだから、そちらを先に流して欲しかったです。

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