『黒の核晶(コア)』(2021.10.30)
 


《粗筋》

 死の大地では、巨大な岩山をブロックが一撃で粉砕しているところだった。
 が、彼と向き合うマァムは身を低く構えてその攻撃を躱すだけでなく、トンボを切って後ろへと飛び一旦距離を取る。

 そのマァムを追うブロックだが、鈍重さを感じさせる動きではリズミカルなマァムに全く追いつけない。
 一定の距離を取ると、マァムは足を大きく開き、腰を落とした姿勢で身構える。

 低い姿勢から、弾き飛ぶ勢いでブロックに攻撃するマァム。それは防がれるものの、マァムはすかさず回し蹴りを放ってブロックのバランスを崩し、彼を倒すことに成功する。
 倒れ込む拍子に岩にぶつかるブロック。岩は大きな音を立てて、砕け散った。





 そして、それから少し離れた場所では逃げるヒュンケルを追うヒムの姿があった。
 逃げる一方と見せかけたヒュンケルは、突然足を止め、穂先で攻撃する。が、それにきっちりと反応して身をのけぞらすようにして躱すヒム。

 ただ躱すだけではなく拳をヒュンケルへと打ち込むが、ヒュンケルは槍の柄でそれを受け止めた。
 ぶつかり合った二人はいったんは離れ、即座に大きくジャンプして互いに攻撃し合う。空中で激突し、またも離れた二人は互いに付近の岩山の足場に、信じられないような跳躍戦を披露していた。





 ヒュンケルとヒムが火花を散らし合っていた頃、クロコダインは手にした斧から真空魔法を放っていた。
 だが、その魔法をシグマは素早い動きで回避しつつ前進していく。

 突進の勢いを乗せたランスの一撃を、クロコダインは大きく振りかぶった斧で迎え撃つ。
 火花を飛ばし、ぶつかり合った勢いで両者の武器が跳ね上がる。

 と、そこに高速で飛んできたのはポップだった。
 二人の間を割るように通り過ぎたポップは、高度を上げる。そのポップを追うのは、アルビナスだった。
 彼女は焦る様子もみせず、一定の距離を置いてポップの動きに合わせて優雅に飛行する。

アルビナス「さあ! 私がお相手しますよ?」

 軽くそれを振り返ったポップは、不敵な笑みを浮かべる。

ポップ「へっ、そう簡単にやれると思うなよ!」

 さらにスピードを上げて、アルビナスを置き去りにする速度で空を飛ぶポップ。

 





 遠くから見た死の大地は、島の一番高い山を巡るように空を飛ぶ軌跡や、魔法や闘気がぶつかり合った爆破の光が見える。
 その距離からはポップ達の姿は見えないが、それらの痕跡こそが彼らの死闘を顕していた――。





 一方、死の大地の地下深くでは、バランの拳がハドラーの顔面をまともに捉えたところだった。
 顔を変形させるほどの強烈な一撃にふらつくハドラーだが、それでも怯まずに今度は自分の拳をバランの顔面に叩き込む。

 が、全く動じた様子もなく、殴り返すバラン。それを避けながら殴ろうとするハドラーとバランの攻防が繰り広げられる。
 バランの蹴りにより、後ろに飛ばされたハドラーは肩から風を噴出して倒れるのを防いだ。

 体勢を立て直し、バランに殴りかかるハドラー。それを迎え撃つバランとハドラーの額がぶつかり合い、互いに火を噴くような勢いで相手を睨みつける。
 一歩も引かぬ睨み合いから、ハドラーはパンチと蹴りで相手を突き放そうとした。

 だが、バランは堪えた様子はない。
 続くハドラーの攻撃を軽くいなすと、今度は自分の拳をハドラーの顔面に叩き込む。

 強烈な一撃に、壁まで吹き飛ばされるハドラー。
 壁に大きなクレーター状の穴が開くほどの一撃を受け、床に崩れ落ちる。そんなハドラーを睥睨するように、バランは一歩前に出る。

 竜魔人と化したバランのその姿には、普段の姿とはかけ離れた猛々しさがあった。

 ダメージを受け、竜魔人の力を実感したハドラーは、自らを鼓舞するように相手にとって不足は無いと言い、手から地獄の爪(ヘルズクロー)を出してバランに襲いかかる。
 微動だにしないバランの胸に、狙い澄ました一撃を放つハドラー。





 固い金属音と震動が響く中、眠ったままのダイは動かない。ただ、小さな勇者の前には、まるで彼を守るかのように真魔剛竜剣が突き立てられていた。





 一方、ハドラーは驚愕に目を見張る。
 ハドラーの攻撃は、確かに狙い通りにバランに胸に当たった。が、岩をも貫く地獄の爪は、バランの皮膚一枚に遮られていた。先端がやや食い込んではいるものの、血は一滴も流れず、ダメージを受けた様子もない。
 驚くハドラーに対して、バランは吠え立てるように叫ぶ。

バラン「まだ分かっていないようだな……ハドラー!」

 バランの蹴りが、ハドラーを弾き飛ばす。よろめくハドラーを追って、バランの強烈な拳が鳩尾を捉えた。
 苦痛に呻き、血を吐くハドラーに対して、バランは休む間すら与えない。

 続け様に顔面に叩きつけられた拳は、ハドラーの身体を吹っ飛ばす。壁の高い部分にぶち当たってから、落下するハドラー。桁外れの実力の差に歯がみするも、バランは当然のような顔をしてハドラーを見下ろす。

 ゆっくりとハドラーに歩み寄りながら、バランは竜魔人こそが竜の騎士の最終戦闘形態だと語る。
 まだ立ち上がれないハドラーの頭を踏みつけ、この姿になった以上おまえに勝ち目はないと勝利宣言するバラン。

 悔しさに顔を歪め、歯を食いしばるハドラーを、バランは平然を眺めるばかりだ。
 それがハドラーのプライドを傷つけたのか、ハドラーは手から覇者の剣を伸ばし、バランの足を払いのけて起き上がった。

 ありったけの殺意を込めた渾身の突き――が、バランは片手でいとも容易くハドラーの手首を掴む。すかさずバランは反対側の手でハドラーの腕を砕いた。

 折られた腕を押さえ、痛みに叫ぶハドラー。あまりの痛みに、ハドラーはその場に倒れ込んでのたうち苦しむ。
 しかし、バランは顔色も変えず、これでしばらく剣と極大呪文は使えないと宣言する。

 腕を押さえながら、ハドラーは改めてバランの強さを思い知っていた。
 竜魔人を研究して作られた超魔生物は、互角か、それ以上の強さがあるはずなのに、全く歯が立たない。
 圧倒的な実力差に、ハドラーは苦痛以外の理由で顔を歪めていた――。






 その光景を、水晶玉越しに見ていたミストバーンもまた、バランの強さに驚きを感じていた。
 だが、大魔王バーンはバランの強さに納得していた。
 
 我が子を守ろうとする獣の巣をつついたことで、ハドラーの勝ち目はなくなったと判断するバーン。やむを得ないと、バーンは片手を上げて小指を突き出す。

 ミストバーンは黒の核晶を爆破させるのかと驚くが、バーンはハドラーに勝ち目がない以上、そうしてやることが情けだと考えている。
 違うか、と問われて、ミストバーンはただ沈黙するだけだった。

 バーンの小指の爪に、バーンのマークが黒く浮かび上がった。
 その爪から魔法力を飛ばすだけで、黒の核晶が爆発するという。次にバランとハドラーが接触した時が最後の時だと、手を水晶玉へと向けるバーン。
 それを、じっと見つめているミストバーン。
 虎視眈々とタイミングを狙っていたバーンだが、ふと、表情を変えた。






 
 ハドラーはバランが近づいてくるのを待たず、肩から風を噴出して空中へと舞い上がった。
 まだ諦めていないその動きを見て、バーンは楽しげにほくそ笑む。





 バーンに自分の一挙一動を見られているとも知らず、空中に舞い上がったハドラーは折れた腕に反対側の手を添え、剣を構える。
 怪我を押して超魔爆炎覇を仕掛けようとするハドラーに対して、無駄な足掻きだと諭すバラン。

 しかし、激痛に腕をふるわせながらも、ハドラーの戦う意志は変わらない。せめて一矢を報いると、気迫を込めて覇者の剣に炎を纏わせるハドラー。
 それを受けて立つバランも、翼を大きく広げ、気合いを入れる。

 どこまでも冷静なバランと違い、今も苦痛に苛まれるハドラーの腕は震えが止まらず、脂汗を滲ませている。
 だが、その汗が床に落ちた瞬間、ハドラーは攻撃に打って出た。

 赤い闘気を全身に纏い、雄叫びを上げて斬りかかるハドラー。
 対するバランの竜闘気は、青い。バランもまたハドラーに応じて、床を強く蹴り飛び上がった。

 赤と青、正反対の色を纏った戦士は、凄まじい気迫と共に空中でぶつかった。
 ぶつかり合った刹那、白い閃光が広がる。

 先程までの戦いが嘘のように静まりかえった部屋の中で、一滴の滴が床に落ちる。
 その色は、魔族の血の色だった。

 上を見上げれば、破けた天井から差し込む光が天使の階段を描いていた。その光の中、翼を持った魔人と魔王がぶつかり合った姿のまま固まっているのが、影となって見える。

 眩いまでの光の中で、ハドラーの大きく見開かれた目は血走っていた。
 ハドラーの剣は、バランには届かなかった。逆に、バランの手刀はハドラーの胴体をぶち抜き、背中にまで達していた。

 絶叫するハドラーだが、その声に笑いが混じる。それをいぶかしみ、目を上げるバラン。

ハドラー「腹立たしいものだな、バランよ。あと一歩……剣が及ばぬというのは……」

 苦痛の中、苦笑交じりにそう言ったハドラーの腕がだらりと下がる。今度こそ、戦う力をなくした彼は、もうピクリとも動かなかった。





 その戦いをずっと見ていたバーンは、ハドラーの最後の執念を褒め、黒の核晶を爆破させようとする。
 バーンの命令に、小指の爪が間は逝く光って部屋全体が金色に輝いた。
 
 しかし、その光が収まってもなお、ハドラーは爆破しなかった。
 有り得ない光景に、自分自身の手を見つめ、なぜ爆発しないのかと口にするバーン。





 その言葉が聞こえたわけではないだろうに、バランが笑った。

バラン「ぬかったな……大魔王バーンよ」

 なぜ自分がハドラーの挑戦を受けたのか、バランは語り出す。
 彼が狙っていたのは、まさにこの好機……力を込め、ハドラーの腹から黒の核晶を毟り取るバラン。
 幾多の線に繋がれた黒の核晶を、バランは手にしっかりと握り込んでいた。
 黒の核晶の爆破を、竜闘気で押さえ込むために。





 バランの行動の意味を悟り、驚愕するバーン。
 しかし、その驚きは程なくバランへの勝算へと取って代わる。爆破を覚悟の上でのバランの行動に、本気で感心している様子だ。






 一方、強引な摘出のせいで意識を取り戻したハドラーは、状況を理解しきれぬまま叫んでいた。
 動揺するハドラーに、バランはこれが黒の核晶だと説明する。

 伝説の超兵器が体内にあったことが、信じ切れないハドラー。
 そんな彼に、バランは真実を語る。バーンはハドラーに黒の核晶を仕掛け、彼を騙していたことを。
 激しい衝撃を受けるハドラー。

 主君に裏切られた衝撃もさることながら、ダイとバランが力を抑えてて戦っていた理由が黒の核晶にあることも、ハドラーは気づいてしまう。
 正々堂々と戦うつもりでいたのに、最初から不公平すぎる戦いだったと知り、俯くハドラーの頬を涙が濡らす。

 したたり落ちた水滴は、先程落ちた血の上に落ち、地面に跳ねた。
 全てを捨ててまで挑んだ戦いが、望みもしない一方的なお膳立てだったと知ったハドラーは、慟哭する。
 ハドラーの涙が散らばる様を、バランは凪いだ目で見つめていた。






 その頃、ミストバーンも水晶玉越しにハドラーの嘆きを聞いていた。思わずのようにハドラーの名前を呟くミストバーン。
 そこに、軽い足音を立てて近づいてきたのはキルバーンだ。

 ハドラーの嘆きをみっともないと言ってのける彼は、全くハドラーに同情した様子は無い。
 バーンはそれに応じ、仕方が無いと応えた。

 だが、それはハドラーを庇う言葉では無く、バランの予想以上の力を認め、褒めるものだった。
 しかし、バーン自らが黒の核晶近くに行けば爆破させるのは容易いと、立ち上がる。

 ついに動いた大魔王の姿に、ミストバーンもキルバーンもそろって息をのむ。

 自分で黒の核晶を爆破させに行くと言うバーンに対し、キルバーンは軽い口調ながらもそれは自分達の役目だと引き留める。
 しかし、ミストバーンに同意を求めようと目を向けた時には、彼はすでに姿を消していた。

キルバーン「フフ……いったか、ミスト」

 わかりきっていたことのようにそう言ってのけるキルバーンに対し、バーンもまた笑みを浮かべる。






 同じ頃、バランはハドラーから黒の核晶を本格的に引き抜こうとしていた。
 バーンが次の手を打つ前にそうしているのだが、身体に繋がった線を強引に引きちぎられ、苦痛の叫びを上げるハドラー。

 その時、バランは何かに気づいたのか、手を止めて上を見上げる。それに吊られて、同じ方向を見るハドラー。
 いつの間にそこにきたか、空中に浮かんでこちらを見下ろすミストバーンの姿がそこにはあった。

 バランは冷静に、彼が自分達を消しに来たと判断するが、ハドラーはすがりつくようにミストバーンに問いかける。
 バーンと同様、自分を道具として処分しに来たのか、と。
 
 どこか悲痛なその問いかけに対し、ミストバーンはいつものように応える。
 大魔王様のお言葉は、全てに優先する、と――。
 その答えに、衝撃を受けるハドラー。

 だが、バランはあくまでも冷静だった。
 ミストバーンでは自分を倒せないと、確かな自信を持って言い切る。しかし、ミストバーンもまた自信満々に自らの服の胸元を両手で掴んだ。
 
 両手を広げると、白い衣の中から光の渦が膨れ上がるのが見える。それを見て、疑問を感じるバラン。
 それを無視して、バーンに許可を求めるミストバーン。その目は、怪しく光っていた。






 水晶越しにそれを見ていたバーンは、玉座に腰を下ろしながら許可を与える。
 





 それと同時に、ミストバーンの白い衣を繋いでいた胸飾りにヒビが入る。不吉な予感に顔を強ばらせるバランとハドラー。
 そして、ついに飾りが割れ、強い光がミストバーンから放たれた。
 目を焼く閃光に一瞬目を閉じたハドラーは、光が弱まった先を見て驚きの声を上げる。
 バランもまた、そちらから目をそらせない。

 ミストバーンの着ていた白い衣が、風にたなびく。
 だが、その中身は空洞では無かった。白く、長い髪をたなびかせた、細面の魔族がそこにはいた。
 額に不気味な飾りをつけた男――ミストバーンは、静かに目を閉じたままでそこに浮かんでいた。






 初めて見るミストバーンの正体に、ハドラーもバランも驚きを隠せない。
 ミストバーンは手を差し伸べ、黒の核晶を起爆させる。
 今度はバランの竜闘気でも防ぐことができず、黒の核晶が作動し始めた。あらゆる魔法を弾く竜闘気越しにそれを行えるのは、術者がきた時のみ……バランは、何かに気がついたようにミストバーンを見上げる。

 弾けよと命じるミストバーンの意志に応じて、赤く脈動する黒の核晶。ハドラーやバランでさえ、それに恐怖を覚える。
 バランは黒の核晶を強く握りこんで抑えようとするが、効き目は無い。

 ミストバーンの正体を問いただそうとするバランだが、彼は詮索は無駄だと突き放す。
 ミストバーンは、すでに二人を生かしておくつもりはない。顔を見られた以上、見逃せないと言う。

 バランが抑えている黒の核晶から、光の柱が立ち上り、それが強くなっていく。周囲を震わす震動は強まる一方であり、その震えは地上にも伝わっていた。





 その頃、地上ではヒュンケルとヒムが戦いの中、足を止め、鳴動を感じ取っていた。
 二人のわずかな足場を縫うかのように地面にひび割れが走り、大きな裂け目が発生する。

 それと同時に、弾かれたように別れて飛ぶヒュンケルとヒム。
 ヒュンケルはこの震動が異様さを感じ取り、危険だと判断した。揺れを気にしてそっぽを向いたヒュンケルに対し、ヒムが割れ目を飛び越えて殴りかかってくるが、ヒュンケルは彼の方を見向きもせずに裏拳一発で吹き飛ばす。

 岩山に叩きつけられたヒムに見向きもせず、ヒュンケルは近くの岩山に跳び上がり、仲間に向かって集合を呼びかけた。
 岩山から岩山を跳び、仲間達に一箇所に集まるように指示するヒュンケル。

 それを聞いたクロコダインは、やり合っていたシグマを突き飛ばすように離れ、ブロックと向かい合っていたマァムも、後方に大きく飛んで離れた。
 アルビナスに追われているポップも、速度を上げて彼女を突き放す。

 岩からようやく抜け出したヒムも、事情が分からずに戸惑っていた。
 が、その時、黒みを帯びた赤い光が、柱となって立ち上った。しかも、その黒い色合いは次第に大きくなっていった。






 ちょうどその時、拠点ではメルルが頭を抱え込んで悲鳴を上げていた。それを、バウスン将軍やアキーム将軍が驚いたように見ている。
 悲鳴を上げるメルルは、耐えきれないようにその場に座り込んでしまう。側に居たレオナは、慌てて彼女に駆け寄って支えた。
 
 顔色の悪いメルルは、白い閃光が皆を飲み込んでしまうとひどく怯えていた。泣きながら蹲る彼女に、エイミも近寄ってきて支えようとする。。

エイミ「落ち着いて!!」

 メルルの力を知っているレオナは、不安そうに上を見上げる。
 天井が激しく揺れ、細かな埃や破片が落下している。武器置き場が武器がひっくり返り、大きな音を立てた。
 この揺れとメルルの予知に、何か関係があるのではないかと考えるレオナ。

 そこに飛び込んできたのは、ノヴァだった。
 死の大地の異変を告げるノヴァに、驚くレオナとエイミ。レオナはすぐに立ち上がったが、毅然とした表情ながらもわずかに俯くレオナは、さすがに次の手を思いつけずにいた。

 迷うレオナに対し、指示を仰ぐバウスン将軍に、勇者達への救援を送ることを提案するアキーム将軍。
 だが、その時、決然とした制止の声が呼びかけられた。

?「お待ちなさい!!」

 驚いた彼らは、入り口を見やる。
 聞こえてきた声は、ハスキーな女性のものだった。

エイミ「……誰?」

 メルルを除く、その場の全員が声をかけてきた人物に注目した。マントを羽織り、騎士の足甲(グリーブ)をはいた人物がそこには居た。

レオナ「あなたは……」

バウスン将軍「おお……! ご無事だったのですね」

 驚きを見せるレオナに、喜色を見せるバウスン将軍。
 謎の人物は、命令し慣れている者の声音で、この場から撤退するように指示する。それに、レオナを初めとした全員が即座に頷いた。






 一方、爆破寸前の黒の核晶は、眩いまでの金色の光を放つようになっていた。バランがいくら手に握りこんでも、光は強まる一方だ。
 バランも、もはや爆発を避けられないと悟る。

 それを見切ったのか、ミストバーンは手から魔法力を放出するのを止めた。だが、黒の核晶の光は弱まりはしない。
 ミストバーンはハドラーとバランに別れの言葉を残し、その場から消えた。

 それと同時に、バランの手を弾き飛ばすように空中に浮き上がった黒の核晶は、さらに爆発的な光を発する。
 まだ黒の核晶と繋がっているハドラーは、大きくのけぞり悶絶した。それっきり動かなくなるハドラーに、相変わらず眠り続けているダイ……

 黒の核晶の外壁にヒビが入り始めるのを、バランだけが見ていた。敵を睨む目で黒の核晶を見据えるバラン。

 暴力的なまでの白い光が、眠ったままのダイを包み込む。
 その閃光は噴火のように地上にまで達し、地表にいたポップ達をも包み込んだ。

 光は、敵味方の区別をつけない。
 親衛騎団もまた、白い閃光に飲み込まれる。そして、轟音と共に死の大地が爆破し、海に大波が暴れ狂った。

 誰も知るよしも無いが、その光は星を外側から見ても目視できるほどの、強烈な爆破だった。






 震動は、バーンパレスの玉座にも及んでいた。
 しかし、玉座の間には被害はほとんどない。細かな埃や破片は舞い落ちるものの、ステンドグラスさえ壊れる気配もなかった。

 キルバーンはこの揺れは爆破では無く、バーンパレスが動き出したのだと発言する。
 それに頷き、バーンは手を伸ばして魔法力を放出する。

 その先に居るのは、ミストバーンだった。バーンの魔法力を受け、白い衣を抑えていた胸飾りが元通りになり、ミストバーンの姿は普段の暗黒の姿へと戻った。

 素顔を早々と隠したミストバーンを、キルバーンは軽くからかうが、バーンはあの力は危険だからさらしておく物ではないとたしなめる。無論、ミストバーンも同意見だ。

 全てが終わったと判断するバーン。
 勇者も竜の騎士も死の大地と共に消え、残ったのはバーン達のみ。
 岩山が崩れ落ちる中、明らかに人工的な建物の一部が垣間見えるが、黒煙がひどくてはっきりとは見えない。

 後は地上そのものが消えて無くなるだけ……バーンは笑っていた。

バーン「余は今、バーンパレスの結界を解いておる。個々を覆っていた岩山の残りが落ちていくからな」

 空中に巨大な何かが浮かび上がり、その表面に貼り付いていた岩が崩れ、次々と海へ落下していく。
 それを水晶玉で見ていたバーンは、岩山の残りが多すぎることに不審を感じる。

 ハッとしたようにバーンに注目する、キルバーンとミストバーン。
 爆破の規模を思えば、岩山は残らず灰になってもおかしくはないと考えたバーンは疑問を感じ、ミストバーンに生存者を悪魔の目玉に探らせるように命じる。

 天井に張り付く無数の悪魔の目玉が、一斉に走り出した。
 バーンパレスの窓から抜け出し、あちこちに散っていく。そして、そのうちの一体が天井に張り付き、目玉をギュッと縮小させる。

 その目玉が見つめているのは、整えられた床部分では無く、大きく地べたが抉りられた辺りだった。
 その地面にヒビが入ったかと思うと、土や岩を突き上げてクロコダインが登場する。その背後には、ヒュンケル、マァム、ゴメちゃんもいた。

 クロコダインの足下からは、ポップが水から這い上がる時のように顔を出し、大きく息をつく。
 





 左翼に生存者四名を発見したことを、機械的な声で報告する悪魔の目玉。
 その光景を、バーンは険しい表情で見やる。
 アバンの使徒が生きていたことにミストバーンは驚愕するが、バーンはさして驚いた様子も見せない。

バーン「フッフッフ……なんとまあ、悪運の強い奴らよ」






 一方、まだ黒煙が立ち上るものの、少しは収まってきた中、ヒュンケルは凄まじい爆破だったにも拘わらず、助かったことに驚きを感じていた。
 誰が助けてくれたのか、疑問に思うマァム。
 それに答えたのは、まだ地面に埋もれたままのポップだった。

 ポップはクロコダインが生き埋めじみた緊急避難を実行してくれたと、悟っていた。が、やり方に不満があるのか、少々非難がましい口調だが。
 クロコダインは笑ってポップの頭を掴み、あっさりと地面から引っこ抜く。

 ポップを持ち上げたまま、クロコダインは説明する。
 あの時、とっさに地中が一番安全と見て、地べたに大穴を空けて全員を押し込んだクロコダインの機転を、マァムやヒュンケルが評価しているのを聞き、ポップは今更ながら機嫌を取るようにクロコダインの判断を褒める。

 が、クロコダインは遅いと言い、パッと手を離した。そのせいで、無様にも背中から地面に落下するポップ。

 マァムとヒュンケルはここがどこなのか、気にしていた。死の大地とは全然違うことに戸惑うマァムに、ヒュンケルはこここそがバーンパレスだと考えていた。

 黒煙のせいでよくは見えないが、遠くに見える建物……それが大魔王バーンの城だった。
 煙がゆっくりと薄らぎ、独特な形をして巨大な城が露わになっていく。

 それを見て顔色を変えたポップは、突然、空に飛び上がった。
 マァムの呼び声も耳に入っていないのか、ポップはものすごい速度で真っ直ぐに上へと飛んでいく。

ポップ(おれ達はいつの間にか、バーンパレスごと空に飛び上がっていたのか!?)

 雲の上まで跳び上がったポップは、振り返って下を見下ろし……目を見張った。
 ポップが見たものは、海の上に浮かぶ鳥の形を模したとてつもなく巨大な城……城というのも愚かしいほどの、巨大要塞の姿だった。

ポップ「ぁあああああぁあああああああっ」


 

 
 

《感想》

 冒頭部分にポップ達のバトルが追加されているのが、嬉しい〜っ! 
 原作では扉絵で一瞬を切り取った形で描かれたポップ達VS親衛騎団戦が、アニメで動きを伴って実装されたのが嬉しくてたまらないです。

 マァムとブロック戦、マァムの動きがいいですねえ。
 新体操の床のようなタンブリングが、実に生き生きしていて嬉しいです♪ ただ、原作ではゴメちゃんも頑張ってマァムに協力していたのに、アニメでは一緒じゃ無かったですね。

 ヒムの駆ける姿、思っていたよりも必死そうで笑っちゃいました。アルビナスなどは滑るように高速で移動していますが、ヒムはなまじ一番人間に近い姿をしているだけに、走る姿もなんとも人間っぽいですね。

 ヒュンケルの振り向きざまの攻撃で、ヒュンケルが槍の穂先から少し下ぐらいの位置を掴んで攻撃しているのに、感心しました。
 槍は本来、半ばから下辺りを掴んで遠い間合いから相手に攻撃するものですが、不意打ち狙いなら刃先から近い位置を持ち、攻撃速度を上げて小回りを利かせる必要がありますしね。

 時代劇か何かで、家の中などの狭い場所での戦いでは槍の持ち手を変える描写を見たことがありますが、それを思い出しました。

 その後の跳躍しつつの戦いもいいですね。
 ヒムもヒュンケルも非常識なジャンプ力を生かして戦っているのが、ちょっと忍者なイメージ。
 二人がぶつかった時の火花からダブらせるように、クロコダインの斧の放つ魔法の光へと変化させるシーン転換もいい感じです。

 そして、ポップの飛行シーン!
 アルビナスとの追いかけっこ、いいですねえ。ポップを挑発するアルビナスの言葉が、なんともセクシーだと思ってしまうのは筆者だけでしょうか。
 ポップはまともに戦うよりも、アルビナスを引きつけて時間稼ぎに専念する作戦に出たみたいですね。

 確かにアルビナスを司令塔にして戦略的に戦われるより、個人戦に持ち込んだ方が効果的な気がします。ヒュンケルの体調が心配とは言え、彼ならば空の技でコアを砕けるので、メドローアを持つポップと同様に切り札にはなりますし。

 ポップとヒュンケルが距離を空けて別行動することで、親衛騎団側も攻撃を集中させにくくなっているため、マァムやクロコダインの攪乱にも付き合わざるをえません。
 遠くから見た攻撃風景も、いいですね。
 あれ、レオナやメルルからも見えただろうし、さぞや心配しているだろうからそのシーンも見たかったです〜。

 バランがハドラーを殴るシーン、思いっきり顔面パンチになっとりますね。顔が変形するほどの殴り描写、原作よりもずっと荒っぽくなってますよ!

 ハドラーとバランの殴り合い、バランの動きが洗練されたボクサーのように無駄なく見えるのに対し、ハドラーどことなく自分の勢いを持て余している印象が。
 まあ、バランは攻撃に迷いなく蹴りも交えているので、ボクサーとは言い切れない気もしますが(笑)
 
 勢い余ったのか、あるいは逆に勢いをつけたかったのか、四つん這いの姿勢から殴りかかるシーンなどは野獣っぽさが感じられますね。後、蹴り飛ばされたときに肩から風を噴出して勢いを緩めているシーンが好きです。

 ハドラーとバランが額をぶつけ合って、睨み合いをするシーンもいいですねえ。相撲やボクシングなどで、たまに超接近で睨み合いをしている選手がいますが、それを彷彿としました。
 歯を剥き出し、頭で押し合いぶち切れている姿など、実に野性的で好みです。

 ハドラーとバランのガチ喧嘩ってイメージですね。額をぶつけ合う戦いはダイとの戦いでもありましたが、原作にはないワイルドさ、荒々しさが感じられて好きです。

 ハドラーとバランの戦いの中に、ダイのカットを挟んでくるのも心憎い演出ですね。
 原作では一コマで終わってしまったシーンですが、アニメではこのカットを挟むことで『ハドラーの攻撃がバランを倒したか!?』と思わせる間を演出しています。

 フラグ演出とは別に、眠っているダイの前に真魔剛竜剣が突き立ったままなのが、バランがダイを庇うためにそうしているように見えて、感激しました。
 剣の切れ味が衰えているということを差し引いても、わざわざ武器を我が子の守護へと残したバランの親心が感動ものですよ♪

 ハドラーのヘルズクローがバランに胸に無効化されるシーン、原作とは刺さっている角度が違っていました。
 原作ではまるで削ぎ切りにするような斜めな角度からの攻撃でしたが、アニメではほぼ真正面から刺しています。

 つまり、アニメの方がより力がこもる体勢なのに、まったく利いていません。アニメでは血を見せないように演出を変えることが多いですが、このシーンばかりは思いっきり原作通りです(笑)
 だって、原作でもハドラーの必殺技はバランの胸板に阻まれ、掠り傷さえおわせていませんもん。

 バランがハドラーの腕を折るシーン、原作ではバランはハドラーの突きを脇の下をくぐらせるようにスカした後で手首を取っていますが、アニメでは直接手首を取っていますね。

 しかし、片方の手首を掴んだまま、腕を強引に折りにいってる図、怖っ。二の腕が折れたような描写になっていましたが、あの技のかけ方だと肘を完全に破壊する勢いで関節技をかけたように見えましたよ〜。
 関節部分は細かな骨が組み合わさっているため、壊れやすく、治りにくい箇所なので、狙うのなら確かにそこでしょうけど……容赦ないですね。

 ハドラーが超魔生物は竜魔人と互角以上のはずだと混乱しきっていましたが……大言壮語の気のあるザボちゃんの言葉を、そんなに素直に信じなくても(笑)

 そもそも、ザムザの研究で竜魔人のデータを取ったのはたった一回きりのはずだし、それも悪魔の目玉を通しての間接的なデータ収集しか出来なかったはず。

 いくら竜の騎士とは言え、混血児にすぎないダイと互角に戦った超魔生物を少しぐらい底上げしたからって、オリジナルの竜の騎士、ましてや竜魔人バージョンに勝てるとは言い切れないでしょうに。
 
 バーンが獣の巣云々を語るシーン、台詞は大幅にカットされていましたが、眠るダイとダイの前に刺さった真魔剛竜剣のカットが入っていたのは嬉しかったです。

 バーン様が小指を伸ばした姿勢で水晶玉を見つめるシーン、驚くほどにかっこよかったです! 原作の小さなコマとは全く違って、手を軽く上に上げる姿勢を取りながら、真正面に向かって不敵な笑みを浮かべているアニメ改変のカットが実に素晴らしいですよ。

 枯れ専な覚えなど微塵もないのですが、老バーン様ってば驚くほどに渋くてかっこよく、動きに色気があると言うか雰囲気が合って、見惚れてしまいますね。

 バランが翼を広げるシーン、手を一度、胸の前に組み合わせてから広げる仕草、原作には無いけどいい感じです! ○ビルマンの漫画かアニメ化で見たことがあるような動きです。

 気合いを入れて向かい合う二人の遠景を、ダイの足側から眺めるような視点で書き起こしているのもいい感じ。原作ではハドラーとバランの戦いの時は、ダイの存在はほぼ空気だったのですが(笑)、アニメではちょくちょく絵が差し込まれているのが嬉しいです。

 それに、ハドラーとバランの戦い、たっぷりと間もとっていて演出がすごくいいです。
 光が差し込む中、決着がつくところなどは芸術的な天井画を見ているかのようで、うっとりしました。

 しかし、バランがハドラーの胴体を手でぶち抜くシーン……アニメでは明らかに背中からの出血していますよっ。原作でもそこまで派手じゃないのにっ。
 血の色が緑だと、安心して大量出血してもいいみたいです(笑)

 バランがハドラーから黒の核晶を奪う時も、ぬちゃあっとした感じの音とかして、むっちゃ痛そうなんですけど!? ホントに、魔族が傷つく時には手加減しませんよねー。

 キルバーンのセリフで、「ハドラー君にかなりご執心のようだったけど〜」の部分がバッサリとカットされていたのは残念です〜。
 ミストバーンがハドラーにわずかな友情を感じ、バーン様への忠誠心との間で揺れている感じがすごくお気に入りなのに〜。

 それにしても、今回のハドラーの嘆きは見所たっぷりでした。
 バーンに裏切られた時のハドラーが、哀れでなりません。しかも、人生で一度と定めた勝負も不完全に終わり、ミストバーンにすがるように問いかけていましたしね。……でも、すがる相手と友達は選んだ方がいいです(笑)

 ミストバーンの素顔、思っていた以上に美形ですね♪
 でも、色白さに驚き。が、よくよく考えたら、凍りついているから血の気が引いていて当然かも。

 黒の核晶、動作し始めると赤く染まるとは予想外でした。
 てっきり、黒くなるのかと思っていたのですが(←発想が単純)

 ヒュンケルが集まれと呼びかけるシーン、岩山の上に飛び乗る際、尖った岩を両足で挟んでいるポーズがちょっと珍しくて、面白かったです。相撲の蹲踞のような姿勢ですが、これって足腰の強さと柔軟性がないと取るのがきついんですよね。

 仲間達が集合する際、ポップは速度を上げてアルビナスから逃げていますが、その時、アルビナスが悔しそうに息を飲んでいました。
 おそらく、ポップが本気で飛んだら自分では追いつけないと、その時気づいたのでしょう。
 
 つまり、ポップがそれまでアルビナスの様子を見ながら手加減しつつ飛んでいたと知り、屈辱を感じたシーンと見ました!
 個人的に、誇り高い女戦士が屈辱に息をのむシーン、大好物です♪

 しかし、メルルが黒の核晶の爆破を感じて叫ぶシーン……なんか、顔が楳図かず○っぽいような……(笑) もうちょっと可愛く叫ばせて欲しかったですよ〜。
 
 メルルが予知(もしくは、感知)をするシーン、原作では右向きでしたが、アニメでは左向きに改変されていますね。
 表情やシーンは同じでも、なぜか左右反転したシーンが多いのがリメイクアニメの特徴の一つだと思います。

 エイミさんの台詞は原作にはないので、アニメの改変ですね。
 しかし、レオナやエイミさんがメルルを気遣っているというのに、棒立ちしている男共ときたらなんて役立たず……!(笑)

 ノヴァの突入シーン、階段を一気に飛ばして降りてくる姿が、まるで少年漫画の元気系主人公のようでちょっと嬉しかったです。
 ついでに言うなら、原作ではレオナ達が囲んでいた円卓は何か乗っている描写が無かったのですが、アニメでは書類が多く散らばっていて、後方支援部隊なりに活動している感じがあってよかったです。

 レオナがどうしようか迷うシーン、アップで表現されていて嬉しかったです。普段は即断即決のレオナが、時間を取って迷うことで事態の大きさ、彼女が背負った決断の重さが感じられると思いました。

 しかし、謎の人物、声が聞こえたので最初から女性と分かってしまったのは
少し興ざめな気が。
 連載時には『もしやアバン先生が!?』とときめいたシーンだったのですが、アニメでは姿はぼやかしても声で性別が分かってしまうと言う難点があったのですね……。

 後、エイミさんはフローラ様とは対面したことがなく、バウスン将軍は面識があったと言うのは、アニメの改変です。
 原作ではレオナが「生きていらっしゃったのですね……!!」と呟いていました。

 黒の核晶の爆破寸前、雷のような光が四方八方に散らばり、めっちゃ派手でした。
 爆破の表現も、ド迫力!
 
 真っ白な光に飲み込まれていく描写はダイ大特有ですが、今回は地球を大気圏外から見た視点で黒の核晶爆破シーンを見せると言う、原作には無い大胆な爆発表現をしてくれましたよ♪
 青に満たされた宇宙空間視線の星が、非常に美しかったです。

 最終回で見せる画像を、ここに持ってきた辺りにスタッフ様の本気を感じますね。

 キルバーンがミストバーンの素顔を褒めるシーンで、首をのけぞらすような感じで傾げている図が、相手を小馬鹿にしている彼らしくていい感じでした。

 バーン様が結界を解いた云々のセリフは、アニメの改変です。
 原作では特に増えていなかったので、無生物には結界は関係ないのかと思っていたのですが、アニメではその辺をきっちり設定しているみたいですね。

 悪魔の目玉の移動シーン、初めて見ました!
 ……見ましたが、特に嬉しくは無いです(笑) つーか、動きがうにょうにょしてて不気味〜。原作では効果音が『わさわさ』でしたが、アニメではちょっとペタペタっぽい感じなのも、ちょっと嫌かも。

 動きが予想以上に速いところとか、触覚をなびかせて動く様とか、嫌な感じでとあるGのつく昆虫を思い出させてくれましたよ!
 触覚を使って高いところに這い上り、足をつけて貼り付くなど、細かいアクションを再現しているのはすごいとは思いますが。
 うう……、特定昆虫を想起させるような動きって、やっぱり苦手です。

 ついでに、悪魔の目玉が異変を発見した際、目の玉が小さくなる描写、細やかですごいですけど……やっぱ不気味です(笑)

 クロコダインにより地下からみんなが登場するシーン、原作通りにポップだけが自力脱出できずに埋もれているのには笑っちゃいました。

 アバンの使徒生存についてのバーン様の説明台詞、思いっきりカットされていましたね。説明が無くても、大物感を感じるのがバーン様の威厳というものでしょうか。

 ポップとクロコダインのやりとりが、そのまんまだったのは嬉しい限りです♪ 手を組んでクロコダインの機嫌を取ろうとするシーン、手の組み方まで原作通りに再現されている細かさがいいですね。

 ポップが飛び上がるシーン、原作では地上に居るマァム達の姿が小さくなるコマを重ねることでポップの飛行を表現していましたが、アニメではそれはほんの一瞬で、下から上に流れる空の風景の中、ポップの横顔を追う形でポップの上昇を表現していました。

 バーンパレスこと空に飛んでいると気づく台詞も、アニメの改変ですね。原作ではポップは自分が何に気づいたのか、口にしていませんでしたし。
 
 雲に突入した際、視点をポップにして雲だらけから光の中に飛び出すシーンも、いい改変でした。
 雲から飛び出すシーンを遠景から表現するシーンでは、もこもこ雲から飛び出すシーンが実に良かったです。

 ただ、ポップが振り向いてから驚くシーンは、もうちょっと間が欲しかった気がします。
 振り向くと同時に、すぐポップが驚愕に目を見開いて怯えを見せていますが、原作ではポップの表情の変化がゆっくりと表現されていて、桁外れのものを見てしまったが故に、すぐに受け入れられていない感がある強ばった表情が、すごく好きだったので。

 アニメでは、バーンパレスを見るなりポップが悲鳴を上げて思いっきりビビりまくっているのが、ちょっと残念です。
 もうちょっとぐらい、目を疑うように黙り込むシーンがあってほしかったですよ〜。

 次回予告の画像では、さすがにバランの死を伏せてくれたのかとホッとしたものの……タイトルがアレでは、思いっきりネタバレしまくりのような気もするのですがね(笑)
 

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