『意外な救世主』(2021.11.20) |
《粗筋》 ダイの起死回生の一撃が見事に決まり、バーンは朽ち木のように燃え尽きた姿で倒れた……! 一瞬の喜びの後、表情を引き締めたポップはマァムに声をかける。回復のチャンスは今しか無いと叫ぶポップだが、その時、明るい光が彼らを照らした。 ポップ「急げ! 今すぐ……ッ」」 マァムを急かすその言葉を言い終わる前に、枯れ木のようだったバーンの手が上へと上げられる。 驚愕するマァムの目の前で、バーンは起き上がる。 バーンを憎々しげに睨みつけ、ヒュンケルは灰の中から蘇る不死鳥を思い出す。 復活したバーンは、ダイの力を認めた。素手では勝てないと言い、自分も武器を使わせて貰うと言って右手を横に広げる。
その頃、ダイ達はバーンが不思議な空間から武器を引き出そうとするのを見守っていた。 渦から取り出した武器で、バーンは床をつく。 バーンの身長ほどもあり、蛇のように絡みつく装飾が特徴的な杖……降魔の杖。 だが、ダイはロン・ベルクがバーンの武器を作ったと聞き、動揺して嘘を言うなと怒鳴りつける。 時を同じくして、パプニカではロン・ベルクが昔のことを語っていた。 どんな武器かと問うアポロに、ロン・ベルクは一定の魔法力を打撃力に変える理力の杖の進化形のような武器だと説明する。 空の上では、バーンが言葉ではなく、その身をもって降魔の杖の説明を果たしていた。 バーン「見るがいい……! 奴の最高傑作を……!」 わずかに上にかざすと降魔の杖は光り輝き、装飾の縄が命を得たように動き出した。それはバーンの腕に蛇のように絡みつき、バーンの魔法力を吸い上げる。 魔法力に応じて降魔の杖の光が強まり、先端部分が変形する。そのまばゆさに、思わず顔をしかめるダイ。 だが、その色合いはノヴァの刃と違い、やや黒みを帯びた金色だった。 バーン「さあ……試してみるがいい……!」 武器を手にしたバーンを前に、ダイはどこかためらっている様子だ。 それは、アバンストラッシュでは無かった。 両者の武器がまともにぶつかり、その余波が周囲に噴き荒れる。 呆気なく砕ける、ダイの剣。 それを驚いたように見上げるダイは、反動で後ろへと跳ね飛ばされていた。尻餅をついたダイの背後に、突き刺さるように落下するダイの剣……いや、折れた刀身。 それを目の当たりにして、ポップ達は驚かずにはいられない。 座り込んだまま呆然とするダイの目は、色を失っていた。ダイの手には、柄だけが残るダイの剣が握られたままだが、その手は力なく緩んでいた。 完全に総意喪失したダイを、つまらなそうに見やるバーン。 突然、ポップがダイに向かって立てと怒鳴りつける。動かないダイを叱咤する叫びだが、隣で聞いているマァムが驚くような大声にもダイは全く反応を見せない。 そんなおまえを最後に見たくねえと言うポップの叫びは、怒りと言うよりも死に際の足掻きとも言える切実さが込められていた。 だが、バーンはそれさえも断ち切るように、勇者一向に最後の光景を突きつける。 カラミティーウォール……文字通り、壁状に広がった衝撃波がダイめがけて放出される。避ける気もなくすほどの広範囲に亘る攻撃は、全員を飲み込んであまりある大きさだった。 バーン「身をもって知れ……!」 迫りくる攻撃を前にしてポップ達は怯えを見せるが、自失したダイはそれでも動かなかった。 ヒュンケルとクロコダインが自分の前に立ち、挑むような姿勢で身構えているのに驚くダイ。 だが、ヒュンケルは振り返らず、隣にいるクロコダインに向かって話しかける。 ヒュンケル「おまえも同じか……クロコダイン……」 クロコダイン「ああ……この命、もともとダイ達にもらっただからな……」 二人が何を覚悟しているのか、薄々察するポップとマァム。ダイもそれは同じで、二人にどくようにと呼びかける。 どうせ死ぬのなら、ここで死にたいと彼は言う。一秒でも一瞬でも、ダイを庇いたい――それが、ヒュンケルの意志だった。クロコダインもまた、死に場所ぐらいは好きに決めさせてくれと言い放つ。 二人の言葉を、辛そうな表情で受け止めるダイ。反対しようにも、それ以上の言葉はかけられなかった。 迫り来る超攻撃を前に、雄叫びを上げるヒュンケルとクロコダイン。 それでも、バーン達のいる前方の壁へ吹き飛ばされた彼らとは正反対に、ダイはポップの後ろ側へと飛ばされたのは、彼らの尽力のおかげだったのか――。 振り返ったポップは、岩壁に吹き飛ばされたダイが気絶し、横倒しになるのを見た。呼びかけても、ダイは反応を返さない。 迫り来る壁にクロコダインの真空の斧が巻き込まれ、あえなく破壊されるのをマァムは目撃した。 ポップ「頼みがある……手を……最後の瞬間まで、おれの手を離さないでいてくれ……」 いつになく真剣な声音で頼む間も、ポップの目は迫り来る攻撃から離れない。自分を見ないまま頼む魔法使いの少年の手に、マァムの手が静かに重ねられる。 手を握り合いながら、それでもまだ真正面を向いて最後の時を待ち受けるポップとマァム……勇者一行の最後の姿を見やるバーンの顔には、それを楽しんでいるかのような笑みが浮かんでいた。 その衝撃に飲まれ、悲鳴を上げるポップとマァム。 ポップの一カラは後ろ姿しか見えなかったが、見間違いようがなかった。ハドラーが自分達を助けたことに、驚愕するポップ。
だが、ハドラーは味方をしたわけではないという。自分以外の者に、ダイが殺されるのが我慢できなかったと言い放つハドラー。 おまえはもうすぐ、死ぬ、と。
外に出てすぐ、シグマがハドラーの気配を感じ取る。 なぜ、バーンとハドラーが戦っているのか分からず、戸惑うヒム。だが、ハドラーへの絶対の忠誠心を持つアルビナスは、瞬時にハドラーへの加勢を決断する。 が、彼らの背後にいきなりミストバーンが出現する。 下にいたハドラーも、それに気づいていた。 驚くヒムに、加勢を諫め、主の最後を見届けるようにと命じるミストバーン。 バーンは降魔の杖を持ち直し、身構える。それを、ハドラーは堂々とした態度で見据えていた。 身動きの取れない親衛騎団の目の前で、バーンがハドラーに迫るのが見えた。一瞬で間合いを詰め、降魔の杖を振りかざす。 バーン「死ね、ハドラー……」」 それを、身動きできないまま歯がみするヒム。 だが、その瞬間、ハドラーが目を見開いた。 ハドラー「……あなたに二度殺されるのは、御免こうむる。どうしても私の命を奪うというのなら、この場であなたを倒すのみだ!」 突如、反逆の意志を見せ始めたハドラーに、バーンは怒りの感情を抑えきれない。 ハドラー「オレをなめるな! 大魔王ォオ!」 怒りに満ちたハドラーの闘気が、バーンを跳ね飛ばした。 壁に叩きつけられたバーンは、ハドラーの見せた力に驚いていた。 よろめきながら身を起こすバーンは、こちらに向かって歩いてくるハドラーを見つめつつ、彼が自力で死の淵から蘇ったのではと推察する。自分を超える力を手に入れつつあると、苛立ちながら思うバーン。 ハドラーを止めるため、ミストバーンとキルバーンが部下達を人質に脅しをかける。 ハドラー「構わん! 好きにするがいい」 さすがに驚くキルバーン達だが、ハドラーの決意に揺るぎは無い。 ハドラー「バーン! 死ぬのはあなたの方だ!!」 殺意を剥き出しに、バーンへと襲いかかるハドラー。 力を得て増長し、自分に刃向かう部下に対し、怒りの言葉を投げつけるバーン。 それは、実際に戦っているバーンも実感していた。同じオリハルコン製なのに、ダイの剣は折れたのにハドラーの覇者の剣を折ることは出来ない……それは、バーンの魔法力が低下していることを意味する。 パワー勝負では、ハドラーに分がある。 今、束縛を解いたら自分達は何をするか分からない……そう脅しをかけることでミストバーンを牽制し、動きを封じる。 アルビナスもキルバーンを牽制し、動きを封じる。どちらが人質を取っているか分からないほど不遜な態度を見せる女王の言葉に、キルバーンの軽口も苦々しげだ。 ジリジリと力で押し切ろうとするハドラーを、バーンは蹴り飛ばすことで弾き飛ばした。 炎の怪鳥が、ハドラーへと襲いかかる。 これには、さすがのバーンや側近二人も驚いた。 超魔爆炎覇でバーンへと斬りかかるハドラー。 唐突な邪魔に驚くハドラーや親衛騎団。 ザボエラ「無駄じゃ……ワシも動けぬが、貴様も動けぬ」 ザボエラの横入りにヒムは激怒するが、彼もまた動けない。 ザボエラを短く褒め、バーンは降魔の杖を一度床に突き立てた。蛇のような装飾がバーンの腕から離れ、元通り杖へと巻き付く。その杖を、構えるバーン。 ハドラーを案じて名を呼ぶアルビナスだが、キルバーンは大鎌を彼女の喉元に突きつけ、形勢逆転だと勝ち誇る。 ヒムはシグマもハドラーを心配する中、ブロックは静かにハドラーを見つめていた。 身構えたバーンは、目を見開き、全身の力をフルに使って降魔の杖を投擲する。 その間も、降魔の杖はハドラーに迫っていた。身動きも出来ないまま、自分に迫る武器を睨みつけるハドラー。 さすがのバーンも、これには驚く。 ハドラー自身も驚いたようにブロックを見下ろしていた。 ハドラー達を保護するかのような球状の物体は、ミストバーンやキルバーンを押しのけて空高くへと飛び上がる。 それが聞こえたのか、胸を貫かれながらも後ろを振り返ったブロックは軽く片手を上げ、仲間達への別れの言葉をかける。 ブロック「ミンナ……ハドラー様ヲ……頼ム」 どこかぎこちない言葉だが、彼の顔にはかすかな笑みが浮かんでいた。挨拶のためにあげた手を握りしめ、ブロックはそれで空を指した。その方向へと遠ざかる球状の物体。 それに答えぬまま、ブロックの身体は爆発する。それは、バーンパレスの頭頂部を根こそぎ消し飛ばすような大爆発だった。 その爆破を目の当たりにしたヒムは、悪態をついて仲間を失った激情を紛らせようとする。 ハドラー「……ブロック」 ハドラーの目は、どこか悲しげだった。 バーンパレスの頭頂部では、大きなクレーターの中に降魔の杖だけが無傷で突き刺さっていた。 キルバーンの言葉からブロックが城兵(ルーク)の駒だと思い出したバーンは、チェスのルールに城兵と王を入れ替えるキャスリングがあることを思い出し、ミストバーンに説明する。 杖に近寄ったバーンはそれを引き抜いた。 まだ怒り収まらぬバーンだったが、そこに上から光が差し込んできた。空を見上げたバーンの目には、雲間から差し込む太陽の光が輝かしく映る。 一方、落下物は収まったものの、未だに荒波に揉まれているポップ達。ポップはダイの名を呼びながら、必死に周囲を探している。 ポップ「ダイ!! ダイはどこなんだよっ、おれ達と一緒に落ちたと思ったのに!!」 マァム「まさか……ハッ!?」 ポップとマァムは、そろって空を見上げる。
翻って飛ぶマザードラゴンを見上げたマァムは、あれを見るようにとポップを促す。 思わずマザードラゴンを呼び止め、ダイは死ぬわけはないと叫ぶポップ。だが、その声が聞こえているのかいないのか、マザードラゴンは遠くへと飛んでいく。 ポップは必死にそれを追おうとするが、とても追いつける速度ではない。
派手な土煙の後、そこに突き立っていたのはボロボロになった鎧の魔槍と、折れた痕跡があからさまなダイの剣だった。 武器が持ち主ではなく、ロン・ベルクのもとに戻ってきたことに驚くバダック達。不安がるマリンをよそに、ロン・ベルクはじっと二振りの武器を見つめていた。
後はハドラーの捨て鉢な反抗にだけ気をつければいいと言い、バーンは一同を率いて歩き出した。 バーン「行くぞ、みなのものよ。世界に……破滅をもたらすために」
『ハドラー、かっこいい! おっさん、かっこいい!』と、心の底から叫びたくなるような回でした♪ 主役は誰やねん(笑) バーンの復活っぷり、実に鮮やかでお見事でした。しかし、バーンが復活した時に「一瞬、マジで心配しちゃいましたよ」と軽口を叩くキルバーンのセリフがカットされていたのは残念! バーンの降魔の杖、最初は黒い靄に覆われていたのにそれが剥がれ落ちていく演出は、アニメの改変ですね。思っていたよりもかっこいい武器の出現となりました。 しかし、ロン・ベルクの説明シーンを思いっきりはしょったのには納得がいきませんとも! ダイとバーンの激突シーン、原作よりもたっぷりと時間をかけて丁寧に描写しているのがすごいです! ことに感心したのが、ダイが剣を持ち返るシーン。 無意識にアバンストラッシュではなくギガブレイクで攻撃しようとしていたように見えて、父親の強さをすがろうとするダイの思いが感じられるような気がしてなりません。 原作では一瞬であっさりと折られたように見えた対決が、アニメでは力押しで負けて砕けた描写になっているのに、ちょっと驚き。思っていたよりも、バーン様が武道派(笑) また、ダイが剣を失った後の手の改変にも、注目です! ロン・ベルクの解説シーンがまるっとカットされていたのが非常に残念ですが、ダイが剣を折られた段階で戦意喪失したように、ポップやみんなもあの時点で勝機が消えたと悟っている感がすごくでていますね。 バーン様のカラミティーウォール、アニメでは放つ際に一回転していましたよ! 意外と、アクションが派手だったんですね(笑) ポップとマァムが手を繋ぎ合うシーンが、いいなぁ。 原作では下げた手を握り合っているだけでしたが、アニメでは二人とも手を肘よりも高い位置に持ち上げているので、より強く手を握り合っている印象があります。 落下シーンも、原作では手を繋いでいましたがアニメでは抱き合うような格好になっていました。 原作では視点的に前からの姿になっていましたが、アニメではポップ視点に会わせて後ろ姿になっていましたね。ハドラー、後ろ姿までかっこよくなっていますよ……! それにしても、ハドラー親衛騎団の台詞のカット具合、多すぎませんか!? ブロックが密かに活躍していたことを示唆するシーンが、思いっきりスルーされているのですが〜っ。 でも、ハドラーとバーンの対立っぷりはお見事! 原作バーン(そして今や、余に匹敵するほどの力を手に入れつつあるのでは……?) アニメバーン(そして今や、余に匹敵する強さを手に入れつつあるというのか!?) ハドラーの実力に対してのバーンの推測、原作とアニメではやや改変があります。アニメバーン様の方が焦っている感じなのが、面白いところ。 ミストバーン、キルバーンと親衛騎団のやりとりはいい駆け引きという感じで、実に良かったです。シグマ、やっぱりいい声をしていますねえ♪ 盛り上がる対決シーンで、割り込んできたザボちゃん……展開は知っていたのに、思いっきり「邪魔すんなよっ」と叫んでしまいましたとも(笑) 自分以外を改造するなら、いざという時に取り押さえるための準備はザボエラなら用意しておいて不思議はないと思うんですよね。だから、あのハドラーでも振りほどけなかったんじゃないか、と。ま、ただの個人的推理ですが。 アニメでは改変台詞があったので、単に自分と相手の動きを封じる諸刃の杖的な魔法なのかもしれませんね。信頼できる仲間がいれば有効な呪文ですが……ザボちゃんに限ってはほぼ使い道が成さそう(笑) バーン様にお手柄アピールするザボちゃん、不覚にも可愛いなと思ってしまいました。声が弾んでますよっ。 そして、キルバーンの「形勢逆転だね」の台詞の後の「あー、ホっとした〜」というピロロの台詞がカットされていました。 バーンが杖を投げるシーン、バーンの目が一瞬、くわっと見開くカットが混じっているのには感心しました。時折、バーン様の目がホラー風味たっぷりに見開かれるシーンはアクションシーンに紛れている感じで、見るのが楽しみです。 ブロックの入れ替わりシーン、原作ではブロックは普通にハドラーの前に立ちはだかって攻撃を受け、その瞬間にハドラーはブロックの抜け殻の方へと移動していました。 アニメでは、ブロックは瞬間移動し、ハドラーに杖が当たる時には両者の入れ替えが完了しているイメージですね。杖が当たる寸前、ハドラーがぐるりと時計回りに回転する演出もあったせいで、入れ替わりがスムーズな感じでした。 それにしても、ブロックの最後の台詞、感動的でした。 しかし、バーンはザボエラが決闘に割り込んだことは褒めていたくせに、自分が反則されるのは嫌だというわがままさん(笑) ハドラー親衛隊達が、有利、不利に拘わらずに決闘に割り込むのは良くないという倫理観を持っているのとは対照的だと思いました。バーンにとってはやはり力が正義=最強である自分そのものが正義であり、自分の決めたルールさえもその原則を上回ることができないらしいですね。 ところで海に落ちたポップ達、台詞が改変されていますね。 夢にまで見たマザードラゴン、ついに降臨っ! 白銀が実に美しくて、色合いに感動♪ 飛び方もどこか優雅で、うっとりしました。 ほとんど翼を動かさない品のある飛び方を見ていると、エンディングのドラゴンは翼をバタバタさせていて、余り飛び慣れていない子供っぽさがあるなと妙に実感しましたよ。 次週予告、……予告の段階でダイ達がどうなるのかバラしまくっているのですが(笑) ポップが仲間の無事を祈る立場って、なんだかポップに主人公適せ二斤が押しつけられたような感じです。ダイが場面に映っているんだから、ダイ君主体のコメントにした方がいいような気がするんですが……ああ、どこまでも予告でネタばらししていくスタイルですね。 そして、予告での聖母竜にちょっとガッカリ。 |