『ダイとポップ』(2021.12.4)

  

《粗筋》
 
 青空に浮かぶバーンパレス。
 その奥深いところにある牢獄の中で、腕を戒める鎖を鳴らしながら、クロコダインはダイ達に迷惑をかけるぐらいなら死んだ方がマシだと吐き捨てた。

 ヒュンケルも、それに賛同する。
 仲間の顔を思い出しながらも、迷惑をかけるぐらいならいっそ――そう思ったヒュンケルの脳裏をよぎったのは、泣きながら自分を止めたエイミの姿だった。

 彼女の言葉を思い出して、ヒュンケルはカッと目を見開く。
 考え込むヒュンケルだったが、その時、突然、二人の目の前にミストバーンが出現した。

 檻の内部に当然のように現れたミストバーンは、処刑が明後日の正午だと告げる。
 クロコダインは微塵も怯えを見せず、利用されるぐらいならオレ達は死を選ぶと吠えるが、ヒュンケルは無言のままだ。

 ミストバーンは二人……特にヒュンケルの命を惜しみ、手の中に黒い霧の渦巻く杯を出現させる。
 暗黒陶器を受け入れ、配下になれと迫るミストバーン。
 激昂し、即座に断れというクロコダインだが、ヒュンケルは少し考えさせてくれと返答した。

 それを聞いて、あっさりと立ち去るミストバーン。
 クロコダインはヒュンケルの返答に納得がいかないのか、激昂して問い詰めようとする。
 が、暴れたせいで繋がれた鎖に電流が走り、その苦痛にうめくクロコダイン。

 だが、それでもその痛みに耐え、今更心変わりしたのかとヒュンケルを責める。ヒュンケルを尊敬に値する親友だと思っていたからこそ、クロコダインの怒りは深い。

 裏切られた怒りに吠えるクロコダインに、ヒュンケルは歯を食いしばりながら訴える。
 自分を信じて欲しい、と。

 それを聞いて、動きをピタリと止めるクロコダイン。電流が止み、彼の身体のあちこちから煙が立ちこめる。
 ヒュンケルは誇りある死よりも、生にしがみついてみたくなった心境を淡々と語る。

 強い光を讃え、言葉に出来ない思いを訴えかけるようなヒュンケルの目に、クロコダインは言葉を失った――。






 舞台は変わって、何もない大地に童話的な青い空が広がる空間。
 そこを走るダイの足が映る。ゆっくり走るダイは、周囲が暗くなったのを見てハッとして振り返る。

 そこは実際の大地ではなく、巨大な地図の上だった。
 振り返ったダイと地図の上に被さるのは、大魔王バーンの形の影だった。太陽を背負い、雲をはるかに見下ろす巨大な大魔王がそこにはいた。逆光で顔が見えないのが、かえって恐怖を掻き立てる。

 怯えるダイに対して、降魔の杖が振りかざされる。
 消えよと命じ、下されるバーンの攻撃に、ダイは怯えるしか出来なかった。両手で目を庇うダイを、光が飲み込んでいく。

 ダイの立っていた地図が真っ赤に染まって砕けた。欠片となって暗黒の中に飲まれていく地図と共に、ダイもまた闇へと落下していった――。







 悲鳴を上げ、ベッドの上に跳ね起きるダイ。
 荒く息をつくダイは、誰もいない無人の部屋にいた。窓の外は暗く、夜なのが一目で分かる。
 呼吸を整え、顔を上げるダイ。
 ここがどこなのか分からず、戸惑いを見せていた。






 寝間着のまま、廊下をとぼとぼと歩くダイ。壁に手をつきながら歩く足取りは頼りなく、俯きがちで元気もない。
 点々とわずかな灯りがついているだけの廊下は、ひどく暗かった。
 
 どこからか、激しい口調で叫ぶ女性の声を聞いて顔を上げるダイ。
 廊下の先に、少しだけ開いた扉から漏れている光があった。そこから、討論が聞こえていた。






 ダイが見ている扉の中では、フローラを上座に長テーブルを囲む勇者一行の姿があった。
 彼らはヒュンケル達の処刑について話し合っていた。
 ヒュンケルを助けるために必死なエイミ、これは罠だと承知の上で総力戦を仕掛けようと考えるフローラ。

 ポップは戦う気でいるし、仲間達もそれに力強く頷く。
 そのためには勇者の名の下に結束が必要だと提案するフローラに、レオナは腰を浮かしてまで賛成する。


 それを扉の隙間から覗き込んで聞いていたダイは、ショックを受ける。
 ポップもその意見に賛成し、次々にみんなが賛成するのを聞いて、ダイはよろめきながら後ずさる。

?「そうね」
?「きっと、みんな勇気をもらえるわ」
?「「ええ」」

 仲間達の会話を聞きながら、手をギュッと握りしめるダイ。
 みんなまで、まだ自分を戦わせようとしているのかと、ひどくショックを受けるダイ。

 その時、ダイの様子を見てくると言うレオナの声を聞き、ダイはその場から逃げるように走り出した。







 場面は変わり、夜空が美しい夜の森。
 チウは得意そうに、ゴメちゃんに獣王遊撃隊のメンバーを自慢する。
 最初に目に入ったのは、ゴメちゃんも顔なじみのマリンスライムに、パピラス。

 オオアリクイ、ドロル、アルミラージ、それに後ろには一際大きなクマチャに寄り添い、空を飛ぶドラキーとキラービーが羽ばたいている。
 眠そうな目をした、オオガエルもいた。
 メンバーの充実に喜ぶゴメちゃん。

 その時、チウの背後を誰かが走り抜けていった。それに気づいたゴメちゃんが怪訝そうな声で鳴く。
 が、チウは怪訝そうに振り返りはするものの、特に何か気がつく様子はない。






 ダイは頭を抱え込んで、森の中を走る。
 前も見ずに走るダイは、少しばかり開けた場所で転んで倒れ込んでしまった。が、その瞬間、ルーラが発動し、ダイは光の軌跡を残して空へと飛び上がる。






 一方、会議の間に戻ってきたレオナは、焦った様子でダイがいなくなったことを告げる。その知らせに、ポップ達も思わず腰を浮かして驚く。







 ポップ並に轟音と土煙を上げ、森の中に落下するように着地するダイ。
 蹲ったダイは、なぜみんなは自分に無理なことをさせようとするのかと、嘆いていた。その目から涙がこぼれ、地面に滴が落ちる。
 自分の無力さを悟り、地面に突っ伏すダイ。







 カールの砦の近くでは、アキームを初めとして多数の兵士達が松明を手にダイの名を大声で呼び、探していた。探している中に、ノヴァの姿もあった。
 指導者として捜索を並んで見守るフローラとレオナ。
 
 レオナはダイが戦いから逃げたことにショックを受けたのか、憂い顔だ。
 フローラはまだ少年のダイが、父を失い、最大の武器を失ったことを鑑み、戦意喪失したことに理解を示す。

 悩んでいるのなら、なぜ打ち明けてくれなかったのかと嘆くレオナ。
 そんなレオナに、フローラはダイの悩みの源を正確に分析する。ダイが恐怖からではなく、勇者に寄せられる期待や重荷を感じ、それに応えられないことを恐れている……だが、自分に克てなければ真の勇者ではないと結論づけるフローラ。

 それを聞いて、レオナは強い口調で違うと否定する。
 彼は本物だと、姿勢を正して強い目で前を向くレオナ。そんな彼女を見て、フローラは柔らかな微笑みを浮かべた。






 松明も持たず、森の中を考え込みながら歩くポップ。
 茂みの揺れる音を聞いてそちらに目を向けると、そこにはマァムの姿があった。
 ダイを探しもせずに木によりかかり、沈んだ表情を見せるマァムを心配してか、ゴメちゃんも一緒にいる。

 マァムに近寄り、話しかけるポップ。
 ダイまで逃げたことで、もうだめかもしれないとショックを受けているマァム。ゴメちゃんもしょんぼりと、羽をうな垂れさせている。

 そんな一人と一匹の顔を見比べてから、ポップは彼女らに背を向け、ことさら明るい口調でおどけてみせる。

ポップ「おめえがか弱くめそめそしているところを見られるなんて、長生きはするもんだなぁ」

 そんなポップのふざけた態度に怒りを感じたのか、彼の胸ぐらを掴むマァム。が、ポップはそのマァムの手を逆に掴み、心配は要らないと励ました。
 最初に逃げ出す自分がちゃんといるんだから、心配は要らないと言い切るポップの明るさに、目を見開くマァム。

 ポップはマァムの肩に手を置き、ヒュンケルやクロコダインも、ダイも無事だと言って安心させる。マァムの表情が晴れるのを見て、ポップは軽い口調で他を探しに行くといい、手を振って森の奥へと向かう。
 その背を見つめるマァムは、さっきまでの暗い表情はどこへやら、安堵の感じられる微笑みを浮かべていた――。






 アキームの陣頭指揮の下、用紙にメモを書きつつ、捜索を続ける兵士達。

アキーム「ルーラかなにかで遠くに行ってしまったのだろうか」

 遠くでそれを聞きつけたポップは、顎を撫でて考え込む。

ポップ「ルーラか……」

 何かに気づいたような表情で、不意に空を見上げるポップ。
 雲が浮かんだ夜空には、三日月がぽっかりと浮かんでいた。






 ところは変わって、木々の生い茂る森の中。
 木々の隙間から見える、輝く物に向かって惹かれるようにゆっくりと歩くダイ。茂みを手で払いのけたダイは、そのまばゆさに一瞬、目を閉じる。
 
 彼の目に映ったのは、月明かりを反射して明るく輝く湖と、壊れかけた神殿の跡だった。

ダイ「テランだったのか……ここは」

 茂みから這い出たダイは、神殿跡に人影がいるのを発見する。

男の子「竜の神様、お願いします! 勇者様が大魔王を倒してくれますように……!」

 竜の像に航路とロウソクを捧げ、座り込んでいるのはまだダイよりも幼い男の子だった。
 祈りの言葉を聞いてハッとし、茂みへと隠れるダイ。

男の子「お願いします! 勇者様!!」

 切羽詰まった表情で、真剣に祈りを捧げる男の子。香炉からは煙が立ち上り、竜の石像を威厳あるもののように見せている。

ダイ(ごめん……ごめんよ……おれには「うん」と言ってあげられない……)

 木の根元に座り込み、頭を抱え込むダイは小刻みに震えている。
 竜の神の遣いから、大魔王バーンには勝てないと告げられたダイは、その祈りが叶わないと知っている。

 男の子は祈り終えると、満足したように走り去る。それを、こっそりと見送るダイ。
 男の子が見えなくなると、ダイは手近な木を拳で殴りつける。それでも感情を抑えきれず、泣きながら木にすがりつくように蹲るダイ。
 どうしたらいいのか分からず、地面に崩れ落ちる。

 ダイの嗚咽が響く中、テラン湖の水面に緩やかな波紋が広がる。かすかに、水音が聞こえる。

ポップ「とりあえず、ゆっくり泣いていてもいいぜ」

 聞こえてくるのは、穏やかで、どこか暢気な声。
 その声に驚いて、目を見開くダイ。
 後ろから差し込む光が強まるのは、三日月にかかっている雲が薄れたからだった。

 泣き顔のままゆっくりと振り返ったダイは、月明かりに照らされている魔法使いの少年を発見する。

ダイ「ポップ……」

 ポップの名を呼ぶと同時に、ダイの頬を涙が転がり落ちていく。
 わずかな笑みを浮かべ、ポップは静かに言った。

ポップ「付き合ってやるよ。月夜の散歩も、たまにゃいいもんだ」






 湖中央の壊れた神殿部分に移動したダイとポップ。
 二人ともそれぞれ別の方向を向いて、湖を見ている。暇潰しのように、湖に小石を投げ込むポップ。月明かりで輝く湖に、小さな水飛沫が上がる。

 ポップに背を向けたまま、なぜ、自分がここにいることが分かったのかと聞くダイ。その声は暗く思い詰めたもので、いつもの無邪気さはない。
 が、ポップはいつもの調子で軽く答える。

 最初からずっとダイと一緒に冒険してきたポップにとって、ダイがルーラで行ける場所ならばどこでも行ける。

ポップ「それにさぁ……まだ不慣れな頃、ルーラを使った時、思い出の場所にいっちまったことがあるんだ。……へへっ、マァムと初めて会った魔の森さ。
 だから、おまえが無意識で飛び出たんなら、そういうこともあるかなーってよ」

 ダイが父親と初めて出会った場所だからと、竜の神像を眺めるポップ。
 そんなポップに対して、ダイは怒らないのかと問いかける。

 振り返り、まるで怒っているような口調で、なぜ自分を怒らないのかとポップに向かって問い詰めるダイ。
 まるで責められることを望んでいるかのように、ダイは自分の不甲斐なさを悔いる。

 だが、ポップはそれを笑い飛ばした。
 そんなことで非難などできない、逃げ出すことについては自分の方が大先輩だと、屈託のない笑みを見せる。

 ひとしきり笑った後、ポップは真顔に戻り、ダイが全力で戦った事を認める。
 だが、それを聞いたダイはがっくりうな垂れ、いやいやするように首を横に振った。
 ――自分はそれを認められない、と言わんばかりに。

 ポップはダイをよくやったと言うが、壊れた柱部分へ移動したダイは、右手の拳に力を込める。

ダイ「よくやったじゃすまされないんだよ!」
 
 殴ったわけでもないのに、ダイの手から発する闘気だけで柱は粉々に砕け散る。人間離れした力をふるうダイを、平然を見つめているポップ。

 拳を握りしめ、こんな力が合っても大魔王にはまるで歯が立たなかったと嘆くダイ。
 昔は勇者に憧れているだけだったのに、みんなと会って、みんながダイを勇者だと言ってくれるからみんなのために頑張ろうと思った……だが、バーンには叶わない。

 それなのに、まだみんなはダイを本物の勇者だと思い込んでいる――ダイは、その場に膝をつく。
 限界を感じるダイが本当に恐れているのは、これ以上戦いを続けたらみんなまで父さんのように失ってしまうかもしれないこと……。

 ダイの嘆きをじっと聞いていたポップは、分かったと言って立ち上がった。
 四つん這いになったダイに背を向けたポップは、もう無理は言わないと言う。
 しかし、ポップはダイ抜きでも戦うと宣言した。

 驚き、思わず振り返るダイ。
 が、ポップは振り向かない。ダイに背を向けたまま、戦いへの決意を語る。
 ダイと違い、ポップはもともと強くなかったし、強い敵を怖がって逃げ回ってばかりいた。

 だが、戦いの中でポップは成長した。
 ダイ達と戦ってきたことを誇りに思い、勇気を振り絞ってきた日々を無駄にしないためにも戦うというポップ。

 振り向き、ポップはダイへと歩み寄る。それにあわせるように、ダイも自然に立ち上がっていた。
 ダイの肩に手を置き、ポップは自分達の戦いはもう誰かのためだけではないと、強く語りかける。

 これは自分のための戦いだと、訴えるポップ。
 強く言い聞かせるようなポップの言葉を、無意識のように繰り返すダイ。だが、その目には光が蘇り始める。

 まだ、心を決めかねているのか俯いているダイに、ポップは背を向ける。
 自分のことは自分で決めなと突き放すポップは、すでに心を決めている。戦うのだ、と。

 そして、ダイを信じている。
 勇者だろうが竜の騎士だろうが関係なく、ダイがダイだからこそ信じていると、怒ったように強い口調で叫ぶポップの声は、どこか震えているようにも聞こえた。

 ポップは振り向くことなく、そのままルーラで飛び去ってしまう。
 不規則な規則を描き、跳び去って行くポップを、ダイはじっと見つめていた。

ダイ(……どうする? どうするって……もう決まってるじゃないか……)

 決意を秘めた目は、戦いに向き直る時のいつものダイのものだった。ダイは、すぐ近くの竜の神像を見上げる。
 物言わぬ石の像は、月明かりに照らされているせいかどこか優しい雰囲気を漂わせている。

 石像を見つめ、ダイは拳を震えるほど、力を込めて握りしめる。
 しばし、目を閉じた後、顔を上げたダイの目は強い光を取り戻していた。







 翌朝。太陽の光に照らされるカールの砦。
 内部では兵士達が落ち着かなげに騒いでいた。

ゴメス「いや……こっちもだめだった」

マァム「ポップ! ダイは見付からなかったの?」

 不安げなマァムに応えることなく、ポップは引き締まった表情でどこかを見ているだけだ。

 そこにフローラが登場し、後ろに向かって「こちらに」と、声をかける。
 歩いてくる少年を見て、ラーバや兵士達、エイミやメルルも歓喜の表情を見せる。
 喜んでいるのはポップも同じだが、彼はまるで分かっていたとでも言わんばかりのドヤ顔だ。

 フローラの隣にダイが現れたのを見て、どよめく兵士達。
 ダイは照れたように頭をかき、みんなにまず、心配させたことを謝る。それから、真剣な口調でバーンの強さを語り、確実に倒せるとは言えないと正直に打ち明ける。

 それでも、世界を踏みにじろうとしているバーンを放っておけないと言う気持ちだけは誰にも負けないと、ダイは言い切った。
 それを聞き、フッと笑みを浮かべるノヴァ。

 そんな自分でも良かったわ力を貸してくれと頼むダイに、兵士達は大歓声で応じる。ゴメスやチウなども、超手を空に突き上げて吠えた。
 レオナも嬉しそうに舞台の上に駆け上がり、ダイに抱きついた。マァム、ポップもそれに続く。

 ハグしながら笑い合うダイとレオナ。
 ダイとマァムは、腕相撲をするかのような握手を交わす。
 チウは得意そうに胸を張って、ゴメちゃんは笑顔でダイを迎えた。

ポップ「おい!」

 その呼び声に顔を向けると、ポップがダイを見下ろしていた。

ポップ「おせえぞ、おまえ」

 ポップを見上げるダイの顔に、満面の笑みが浮かぶ。

ダイ「へへっ、悪い!」

 ポップはダイの頭をひとしきり撫で回し、そろって嬉しそうに笑う。
 はしゃぐ彼らを、フローラは穏やかな表情で見つめていた。







 暗転後。 
 落ち着いた一同は姿勢を整えて、きちんと列を作ってフローラに注目している。先程までと違い、船員が真顔。
 フローラが明日、ヒュンケルをクロコダインを救出する話をしている。
 
 舞台上では、ダイ達とチウが右手側に横一列に並び、フローラの話を聞いている。
 救出には、ミナカトールという呪文を手に入れる必要があると話すフローラ。

 思わず聞きかえすポップに、フローラはミナカトールの効力を説明する。
 アバンの得意とするマホカトールの上位呪文と聞き、ポップは感心した様子だ。

ポップ「ほえー」

フローラ「バーンパレスには結界が張ってあるということでしたね」

ポップ「え、ええ。おかげで、ルーラでだって乗り込めないんですよ」

 ミナカトールなら結界を消し、バーンパレスへ行き来できるようになると説明するフローラ。だが、アバンでも習得できなかった呪文だという。
 アバンにさえ出来ない呪文なのに、誰が使えるのかと心配するマァム。
 フローラは、五人目のアバンの使徒だと言い切った。

 それを聞いて、ちょっと待ったと話に割り込むポップ。
 割り込んだことを謝りつつ、アバンの使徒はアバンのしるしをもらった4人しかいないと騒ぐポップに、フローラは首元からペンダントを取り出した。

 それを見てポップは驚き、ノヴァやバウスン将軍、ゴメス達は盛り上がる。
 ダイ達はそれぞれのアバンのしるしをとりだし、フローラのものを見比べる。
 間違いなくアバンのしるしだ。

ポップ「へっ!? 五人目の使徒って……!」

 ポップは驚いたようにフローラを見るが、彼女はこの石が輝聖石と言い、アバンの家に代々伝わる手法で作られた物だと語る。
 聖なる力を高め、邪を弾く威力がある……一種のお守りと聞き、ポップは何かに気づいた表情になる。
 マァムも、ダイも手にしたアバンのしるしをじっと見つめる。

 今までもこのしるしはあなた達を守ってきたと教えてくれたフローラの言葉に、ダイ達はこれまでの戦いでアバンに守られていたことを初めて思い知る。

ポップ「おれ達……なんだか自分らだけの力で勝ちぬいてきたようなつもりになってたけど……」

ダイ「うん」……このアバンのしるしがなかったら、紙一重で負けていた時があったかもしれない……」

マァム「いつも先生が力を貸してくれていたのよ……私たちに……!」

 アバンのしるしを手に、感慨にふけるダイ達をレオナはどこか寂しそうな表情で見つめていた。
 フローラは大切そうにアバンのしるしを手に握り込み、それをアバンからもらった時のことを語る。

 後に、これを弟子への卒業の証として使うことを思いついたのだろうとフローラは語る。
 懐かしそうに思い出を語っていたフローラは、不意に凜とした目をレオナに向け、彼女の名を呼ぶ。

 戸惑いながらも返事をするレオナに、フローラはレオナに五人目のアバンの使徒になって欲しいと告げる。
 レオナ自身も、ダイ達もそれに驚く。

 だが、フローラは確信を持った口調で、アバンならレオナを選んだであろうと言い、彼女ならミナカトールを身につけられると宣言した。

 しかし、そのためには恐ろしい試練をくぐり抜けなければならないとも告げるフローラに、慌てふためいたのはダイだった。
 フローラとレオナを見比べ、心配そうにレオナの名を呼ぶダイ。
 
 どうしますかと問われ、レオナは一度、目を伏せてから凜々しく承諾した。
 
ダイ「レオナ、無茶だよ!」

 だが、レオナは清々しい顔で、これまでもアバンの使徒と痛みを分かち合えない自分がもどかしいと思っていたと告げ、握りこぶしをにぎり、自分もポップやマァムのように戦うべきだと主張する。
 レオナの話を、黙って見守るフローラ。

 レオナはどんな厳しい試練でも受けると言い、そうすればみんなの本当の仲間になれるような気がする、と言った。
 そんなレオナに対して、ポップは笑顔で頷き、マァムもガッツポーズを見せて賛成の意志を全身で意思表示する。
 だが、ダイだけは息をのんでレオナを見つめていた。

 フローラはアバンのしるしを、レオナの手に手渡す。その構図は、かつてアバンがフローラに渡した図と酷似していた。
 女王の手から王女に渡された石を見て、兵士達は拍手でそれを歓迎する。

 だが、フローラが試練とは破邪の洞窟に潜ることと明かした途端、拍手の手はピタリと止まり、兵士一同の顔に驚きが浮かぶ。
 フローラが破邪の洞窟の危険性を語るのを、レオナは真剣な表情で頷いてから、ふと弱気な表情を見せる。

レオナ「でも……アバン先生の教えを受けたことのないわたしが、アバンの使徒になって本当にいいのでしょうか?」

フローラ「少し……アバンのことを話して聞かせましょうか」

レオナ「お願いします」

 レオナは真剣な表情で、フローラを促した。


 


《感想》

 原作でも屈指の名シーンのアニメ化に、思いっきり胸が滾ります!

 ヒュンケルが『みんなにもらった命だが〜』と呟くシーンで、彼の回想として仲間の姿が浮かびますが、ポップ、マァム、ダイの順なのに「お!」と思っちゃいました。
 ヒュンケルにとって、ポップの印象って割と強いのかも。

 泣きじゃくるエイミさんのアップ、目を見せないで鼻の下からのアップにも拘わらず、頬を伝う涙の滴が実に美しい感じでうっとりしました。
 ドアップから少し引く形で上半身を映す手法、いいですねえ。

 ミストバーンの処刑宣告、よく考えるとヒュンケル達の居る場所って灯りは多少あっても窓がないので太陽の時間を測れず、日付の変化も分からない状態なのに処刑日だけを教えるのだから、残酷な話ですね。
 明後日ぐらいなら、水さえ与えておけば食事を与えずとも死にはしないので食事回数で正確な時間を計るなんて真似もできないでしょうし。

 ミストバーン、ヒュンケルに明後日まで決めるように念を押す台詞がカットされていましたね。その代わりに、クロコダインが暴れることで電流が走るシーンが強調された感じです。

 原作でも暴れると電流が走るシーンが描かれていましたが、一コマっきりで目立たないので、アニメと見比べて初めて気がつきましたよ(笑)
 クロコダインが苦痛にうめくシーンなんかは、もろに改変ですし。
 電流に耐えながら吠えるクロコダイン、絵になりますねえ。
 
 ダイの悪夢、原作をベースにいい感じに改編されているのに感動しました♪
 原作ではダイの最初の居場所は漠然としていますし、バーンのシルエットも暗い靄のような場所にいるのですが、それを地図の上にいるダイと太陽を背後に背負ったバーンという構図にすることで、大魔王の野望を強く表現していると思います。

 怯えるダイと降魔の杖のシーンでは、赤黒い色合いにすることで不気味さを強調していますし、本当に色合いの使いどころが見事だと思いますよ。
 怯えるダイの表情やつい顔を庇う仕草などは原作にはない改変ですが、ダイらしくもない怯え振りがバーンとの対決で負ったダメージを表現している気がして、いい感じです。

 真っ赤に染まって砕ける地図も、いいですねえ。
 地図が砕けるシーン自体は原作通りですが、色がつくと迫力が違います。

 悪夢から跳ね起きるダイ、原作では横からの構図でしたが、アニメでは真正面から跳ね起きていますね。
 そして、ダイがいる病室が灯りが消えている描写なのがお見事!

 原作では特に暗いという表現はありませんでしたし、よく見るとダイの寝ていたベッドの横のテーブルに、ペンと紙、りんごの入った籠がおいてあるんですよね。

 レオナが座っていた丸椅子もちゃんと置いてあるので、もしかしたら紙にはダイへのメッセージが書いてあったのかも。ちょうど、メモぐらいの大きさでしたし。……まあ、あったとしてもダイにそれが読めたかどうかは分かりませんが(笑)

 ダイの着ているパジャマ、上が白で下が灰色っぽい青という色合いですが、ポップが着ていたパジャマと基本的に同じみたいです。
 廊下の暗さ表現も、いい感じですねえ。

 原作では壁に小さな飾り窓状のロウソク置き場を作り、ロウソクを灯していましたが、アニメでは色合い描写でそれをはっきりと印象づけています。

 フローラ様を中心とした会議で、ガザッと音がしてフローラとポップがそちらを見るシーン、ダイが立てた物音なのかと思ったら、単にレオナが立ち上がった音だったんですね。

 会議の会話はほぼ原作通りでしたが、ガヤガヤとした声の中で原作にはないセリフもあったので、拾ってみました。ただ、女性の声なのは間違いが無いですが、誰の声かまでは聞き取れなかったので?にしてあります。
 多分、マァム、エイミ、メルルだとは思いますが。

 獣王遊撃隊メンバーが10号まで登場してくれたのは、嬉しいですっ。……がっ、なんで夜にご紹介!? おかげで全員、本来の色かどうか、よく分からないのですが!
 明るい光の下で、チウのテーマソングと共に楽しく紹介して欲しかったですよ〜。

 とりあえず、一番驚いたのがドラキー。
 キラービーはちゃんと忙しく羽を羽ばたかせているのですが、ドラキーは羽を動かしもしないままフワフワ浮いていました。
 え……っ、ドラキーって羽ばたかないんだと、初めて知りました(笑)
 
 チウが小粒な隊員が多いと嘆くシーンと、ダイが夜逃げするはずないと話すシーンはカットされていました。チウのフラグ台詞、聞きたかっただけに残念です。

 後、些細な演出の差ですが、原作ではレオナが勇者の行方不明を告げてから、ダイがルーラで飛んでいるのに対し、アニメでは逆になっていますね。
 また、ダイの嘆きの台詞で『……おれはみんなが思ってるほど強くも偉くもないんだ』の部分がカットされていました。

 ダイの捜索シーン、兵士達の距離が近すぎな上に多すぎっ。いや、もっと広がって探しましょうよ(笑)
 後、原作では無言での捜索なイメージでしたが、アニメでは呼びかけがメインの捜索になっていました。

 レオナが、悩みをなぜ打ち明けてくれなかったと嘆くシーン、原作では悲しそうな表情でしたが、アニメでは悲しみよりもちょっと拗ねたような表情に見えて、レオナの少女っぽさが感じられましたね。

 フローラ様がダイの悩みについて話す際、パピラスに乗って空から捜索するチウのカットが入っていたのが嬉しかったです♪ 
 原作ではチウは地上で命令を下していただけだったのですが、アニメでは真剣な表情で下を眺めていました。マリべえも一緒で、彼は心配そうにおろおろした感じなのが可愛かったです。

 また、兵士達が集まって首を横に振り合うシーンなども追加されていて、捜索の難儀さが伝わってきます。

 ポップが森の中でマァムに会うシーン。
 なぜ、沈みこむ表情の上半身より先に下半身から映し出す必要性が?(笑) しかも、黒ストッキングをはいていると思って、マァムの服からはみ出る太股率が原作よりもずーっとアップしているんですけどっ。

 光を抑えた暗い森なのをいいことに、目立たないところにさりげにお色気シーンをぶち込んでくるスタイル……いいぞ、もっとやれ(笑)

 それはさておき、ポップがマァムを励ますシーン、いいですね。
 ポップの明るい口調が、励ましに説得力を加えています。
 しかし、台詞に微妙な改変が。
 原作では「おめえが女の子らしくめそめそ〜」だったのが、アニメでは「か弱くめそめそ〜」になっていますね。

 後、原作では、兵士達の会話からダイがルーラでどこかにいったかもしれないとポップが気づいていましたが、アニメではアキームの台詞になっていました。
 さらに言えば、原作ではポップは兵士達のすぐ近くを通っていましたが、アニメでは結構距離があります。

 そして、この段階で気がつきましたが……原作ではバウスン将軍も捜索に加わっていたのに、アニメでは全然でてきませんね(笑)

 ダイがテランでうろつくシーン、ダイの姿を見せずに視点だけが動く演出が、視聴者がゲーム内に入り込んだような感覚でいい感じです。

 テランの男の子とダイの会話がオールカットになっていますよっ!? ……ま、まあ、どうしても必要不可欠なキャラというわけでは無いのだけど、ダイが普通の人間と関わるシーンが削られたのがちょっと悲しいかも。

 男の子が祈っているところを、ダイが第三者として見かけるという設定にして、すんなりと話をまとめて説明を大幅にカットした手腕はすごいと思いますが。

 ダイとポップが会うシーン、月明かりがことのほかに綺麗で実に印象的でした!
 また、ポップの声の演技が、実にいいですね。

 落ち込むマァムを励ました時は、おどけることで彼女に元気を分けていましたが、嘆くダイに対してはすごく自然体な話しかけという印象です。
 CMにアイキャッチが入らない、静かな終わり方。

 ダイとポップの会話部分は、申し分無くいいですっ!
 ポップの説明セリフは、よーく聞くとちょいちょい削られていたり改変されていますが、自然な感じでいいですね。

 マァムとルーラで魔の森に行った映像が流れたのは、嬉しい限り♪
 また、会話しながらもポップが小石を投げるアクションが入っているのも、アニメならではの改変です。

 ポップが逃げ出しの先輩だと笑うシーンの明るさもいいですが、ポップがダイをよくやったという時にダイが首を振るシーンが、実にいいです。原作にはないのでアニメの改変ですが、ダイは自分で自分を許せないんだなという感じがひしひしと伝わってきます。

 柱を壊すシーン、原作では腕を振り抜いているので殴った印象が強いのですが、アニメでは柱が壊れた後で腕を動かしている感じでした。

 ダイが勇者について語るシーン、回想シーンとしてレオナとの出会い、アバン先生からアバンの印をもらうシーン、ポップ、マァムと一緒にロモスで新衣装のお披露目をするシーンなど、懐かしいシーンの目白押しだったのが嬉しかったです。

 ポップがダイを説得するシーン、ポップがダイに歩み寄るのに合わせて、ダイが立ち上がるシーン、アニメの改変ですが大いに気に入りました。
 あれだけ落ち込んで、立ち上がることなど出来ない風に見えたのに、ポップに合わせて自然に立つところに強い絆を感じます。

 ダイの肩に手をかけ、ポップが説得するシーン、月明かりに輝く湖がめっちゃ綺麗でした〜。
 正直、マァムを見送る際に海のきらめきをバックに向かい合っていたシーンよりも、はるかに綺麗な上に両者の距離も近いですよ(笑)
 告白内容は違えど、熱の入り方も段違いだし。
 ……ポップがマァムへの告白を失敗するわけですね(笑)

 ポップがダイを信じていると言い切るシーン、声優さんの演技に惚れ惚れしました。これまでずっと、感情を抑えながらダイに伝えておきたい言葉を語っていたポップが、ついに感情を抑えきれずに本音をぶちまけた感じがたまりません。

 まるで泣くのを我慢しているような演技……いいですねえ。
 ルーラの軌跡が、途中で急角度で変化して飛ぶ不規則な感じだったのも、ポップの動揺を感じさせてくれました。

 ダイが迷いを振り切って立ち直るシーン、原作にあったダイのモノローグをばっさりカットされていましたが、言葉にしない分、ダイの思いの強さが伝わってくるような気がします。
 でも返す返すも、ポップがいなくなった後の騒動のカットは残念でした〜。
 焦るレオナや、ポップを信じるマァムのシーンが見たかったのに。

 明朝のカールの砦ですが、これまで昼夜問わずに常駐していた見張りの兵士がいなくなっていますね(笑) 勇者行方不明に動揺しているのも分かりますが、見張りぐらいは立てておいた方がいいと思うんですが。  

 兵士達の動揺やざわめき表現は、原作に比べてずいぶんと軽減されている感じです。もうちょっと勇者に対する不信感とか、絶望感、ダイを庇うチウやゴメちゃんの台詞とかも出して欲しかったですね。
 ポップの自慢げなドヤ顔は、文句なしに可愛くてよかったですけど♪

 しかし、ゴメスの台詞と出番、削りに削られまくっているのにちゃんとあるとは、やはりスタッフさんに愛されている気がします。

 ダイを迎える仲間達とのシーン、原作ではみんなまとめてささっとすませていたのが、アニメでは個別で再会を喜んでいます。
 それにしても、原作ではポップはダイの頭を撫でつつ、軽く殴る振りをしていましたが、アニメでは撫でているだけでした。

 が、それよりも気になるのが、ポップがダイの頭を撫でるシーンで、後ろ姿しか見えないレオナ。ダイ達の方をじっと見ている図と、最初にレオナことがダイにハグしたことを考えると……

レオナ(ちょっとちょっと、これってどういうこと!? なんで、結局はポップ君がダイ君を独り占めしてるわけ? っていうか、ダイ君もなんかすっごく嬉しそうじゃない!?)

 などと、不満を抱いているように思えてしまうのは、邪推のしすぎという物でしょうかね(笑)
 原作ではみんな、一塊になって笑顔でじゃれ合っていたのに、アニメではダイとポップがじゃれているのを他の仲間が見ている図にみえるせいなのか。

 レオナをアバンの使徒へ選ぶ際の改変、台詞運びは正直かなり残念系。
 原作と違って、いきなりミナカトールの説明から開始していますし、大幅に説明を端折っています。
 
 ミナカトールがいかに不可能な呪文かを強調し、全員がざわめくシーンなどは好きなシーンだっただけに、削られたのが実に残念。

 まあ、説明メインの部分でポップが実に表情豊かに会話のやりとりに割り込んでいるのは、嬉しかったです♪ ポップのリアクションが演技過剰なオーバーアクション気味になったような気もしますけど(笑)

 アバンのしるしを手に今までのことを回想するシーン、遙か遠くを見やるアバンのイラストとダブらせながらこれまでの回想シーンが流れているのはいい感じでした。
  基本的に原作のシーンと同じ構成なのですが、いかにもアバン先生が盾となって弟子達を守っている感があっていいですね。

 ただ、イラストの構成上、回想シーンの範囲が極端に狭くなり、アバンのイラストが邪魔になってどんなシーンかは漠然としか見えなくなるという欠点もできましたが(笑)
 まあ、ポップ、マァム、ダイの台詞に合わせて、それぞれの回想が流れていたことは分かりました。

 アバンのしるしの効果を知った後の台詞、微妙にカットされて改変されています。『首の皮一枚』という描写が『紙一重』になっていました。
 物騒な表現がよくない、という判断ですかね?

 フローラがアバンのしるしを手に握り込む姿からダブらせるように、夕日の中、アバンの手からフローラの手にそれが渡されるシーンは美しくて良かったです。

 手のアップから、引いて全身図の画面になり、夕日を背景に立ち並ぶ二人の姿が実に印象的でした。

 フローラから五人目のアバンの使徒になるように促された際の、ダイのうろたえようや慌てふためきっぷりは、実に可愛かったです。
 ダイにしては珍しいおたつきっぷりが、新鮮でよかったです。

 ただ、レオナが引き受ける際、原作ではやや憂い顔から決然とした表情で頷き、考え込むように目を瞑るという表情変化でしたが、アニメではレオナは最初からやる気のある表情で目を輝かせ、1度目を閉じてから決断、という表情変化になっています。

 原作のレオナの表情変化が好きだったので、アニメの改変はちょっと残念。
 レオナなら、引き受ける前にリスクやデメリットを考え、その上で決断すると思うんですよ。

 アニメでは凜々しく引き受けた後で、弱音を口にしているのがどうも気に入りません。

 それに、ポップとマァムの賛成も早過ぎる気がします。
 原作ではダイほど反対の意志は示していませんでしたが、ポップもマァムもレオナの参戦に積極的に賛成している感じがしなかったので。

 他に適任者がいないから反対こそしなかったけれど、レオナを心配しているのか賛成もしていない感じでした。

 一度、引き受けた後でレオナが迷いやためらいを口にするシーンは、嫌な改変だとつくづく思います。それは、引き受ける前に確認すべきことであって、一度引き受けた後で言うべきことじゃないでしょうに〜。

 せめて、弱音を吐くのならば、仲間だけしかいない場所……というか、レオナとフローラ様、二人っきりの場所でホントは不安なんだと打ち明けるぐらいならまだしも、なぜにこのタイミングで言うのか。

 話のまとめとして、レオナが不安を口にし、フローラがそれに対してアバンの思い出を語ろうとすると言う締め方のためとは理解しますが、この締めくくりは大いに不満っ。

 レオナは王女という自分の立場を知っている以上、人前で自分の弱音を口にするとは思えない上、時間も無い時にどうしても全員の前で話さなければならない情報とも思えませんよ。

 レオナの泣き言は封印し、決意を新たにするアバンの使徒達を見守りながら
 フローラが心の中で自問自答する形で、アバンのしるしを手放したけれど、これで良かったわよね? と、過去を思い出すと言う展開から、過去回想に持っていっても良かったんじゃないでしょうか。

 説明が多い部分なので端折る気持ちは分かりますが、月夜の散歩部分が感動的でいい展開だっただけに、後半の展開の雑さや粗がめについてなりません。
 これなら、男の子の出番とポップのいなくなった後の騒動を交えて、ダイが戻ってきたところの感動で、この話をシメて欲しかったですよーっ。
 
 予告で、来週はアバンの話となっていますが……このタイミングで番外編っ!? なんか……っ、なんか、納得のいかない構成なんですが!?
 いや、アバン外伝も見たかったですけど、ホントになんでこのタイミングでっ!?

 レオナが五人目に選ばれる展開の説明を大幅省略してまで、ここで挿入しなくても……と思いましたよ。
 まあ、アバン外伝をどのタイミングで挟むかってのは、正直、すごく悩ましいのは分かりますが。…………特番か、映画で見たかったと思うのは、贅沢?(笑)

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