『勇者アバン』(2021.12.11) |
《粗筋》 古びた用紙に、自動的に文字が書きつねられていくのにあわせ、プロローグが語られる。 ナレーター『これは伝説の勇者アバンが、カール王国騎士団の若き一団であった頃の話である』 暗闇の中、黄色の目だけが映し出される。 魔王「時は来た……今こそ、この世界を我が手中に収める!」 暗雲の空の下、シルエットのみの魔王の姿。それに呼応して吠える怪物達もまた、シルエットと目のみの存在。 魔王「行け! モンスター達! 町を焼け! 国を壊せ! 人間共を滅ぼしてしまえ!」 『圧倒的なモンスター軍団を前にして、人々はなすすべなく恐怖に震えていた 実態を持ったモンスター達が、暴れまくる。ゴーレム、サイクロプス、ヘルコンドルなど多数。ただし、全体的に暗い影で覆われていて、はっきりとその姿を見ることが出来ない。 『だが、そんな魔王軍の謀略に対し、敢然と立ちはだかる王国があった』 一転して広がる青空と、高々と掲げられた赤い地に白い翼の意匠の旗。その背後に見えるのは、砦を思わせる堅牢なカール城。 『新たに騎士団長に就任したロカの元、精鋭なるカール騎士団は魔王軍に対抗する唯一無二の存在だった』 ピンク色の髪の若い騎士・ロカを先頭にしたカール騎士団が出現する。 魔王「おのれ、カール王国め……」 バサリとマントと髪をなびかせ、颯爽と歩く女性の後ろ姿。 まだ少女と見える年齢のフローラは、国民に向かって団結を呼びかける演説を行っていた。そんなフローラを憧れの目で見つめる兵士達。
フローラは笑って、アバンは相変わらずだと許している様子だが、ロカがムキになって怒り、連れ戻すために肩を怒らせつつ退場。
大きなシチュー鍋を、お玉がかき回してる。 スープの味にダメ出しをしているのは、アバン。
なぜ、アバンがカール騎士団に選ばれたのかとぼやくロカに、アバンは自分の家が学者の家系だからだろうと返す。 ロカ「いくら勉強が出来て、女の子にチヤホヤされたって意味ねーん アバン「それも大事でしょうけど、あなただっていつか家庭を持つでし アニメロカ「ヘンッ。おれは一生剣に生きるんだ。家族なんかいらねえっ!」 そんなことを言うと後で後悔するとからかうアバンに、ロカはどこまでも頑固にもし結婚したら国中裸で走り回ってやるとまで言い切る。それには、さすがのアバンも呆れ顔だ。 怒ったままのロカは立ち上がり、アバンに護身のためにも剣の稽古をしろと言い捨て、立ち去っていく。 が、ロカが遠ざかってからアバンは真面目な顔になり、遠くの空を見やる。暗雲が迫る空を見て、アバンは戦いが近いことを悟っていた――。
そこにやってきたアバンが、魔族の文字だと見破る。
虫を捕る網と籠を持ち、楽しげに森へいくアバンの姿を思い出しながら、ロカは彼が森へ行ったことを告げる。 が、フローラは怒った様子もなく、窓の方……おそらくは森の方向へ目を向けただけだった。 ロカは苛立ちの余り握りこぶしを震わせながら、腕に自信が無いアバンが逃げ出したと思い、絶交を決意していた。 その頃、夜の森に入り込んだアバンは虫取り網を手にキョロキョロと周囲を見回していた。
高い位置に浮かび、真下にいる人間達を見下ろすその姿に兵士達が魔王が来たと騒ぎ出す。だが、さすがはカール騎士団というべきか、武器を構えて立ち向かおうとする。 そんな人間達をゴミと見下し、ハドラーは片手に複数持った魔法の筒をパッと投げだし、デルパの呪文を唱える。その途端、筒からモンスター達が出現する。 リカントが、暴れ猿が、グリズリーが、キラーパンサーが、ヘルコンドルが、極楽鳥が、ギズモが、次々と煙と共に現れ、人間達に襲いかかる。 ゴーレムやサイクロプスなどのパワーファイターも参戦し、城は中庭から攻略されつつあった 次の瞬間、ドラゴンの巨大な首が、窓枠事振り壊して侵入してきた。
よほど強いダメージを受けたのか、床に倒れ込んだロカは意識はあっても動けない。 魔王に対して身構えたフローラは、彼の企みは読めていると断言。 ハドラーはそれをあっさり肯定する。 冷や汗を浮かべながらも、きっぱりとそれを断るフローラ。 その時、カール城の上空では静かな花火のように、不思議な光が散った。その光は地上の怪物達の上に降りかかる。
王間では、フローラを心配してロカが必死に立ち上がろうとするも、身体に力が入らない。 飄々としてやってきたアバンを、フローラは歓喜の表情で、ロカは不満げに迎える。
ドラゴンが迫り、アバンを食べようと大口を開けた。 ドラゴンの周囲に、先程外の怪物達に降りかかった光の粒が舞い狂う。 アバン「ふむ……この魔弾銃、まだ改良の余地がありますねぇ」 ドラゴンは荒れ狂い、首を無闇に振り回していた。それにフローラや騎士達は怯えを見せて後ずさる。 ドラゴンの尾を避けながら、アバンは特別配合の毒牙の粉をかけたと説明する。これがかかると、モンスター達は正気を失い、同士討ちを始める。 これで魔王ご自慢のモンスター軍団も役に立たないと、アバンはやたらと嬉しそうに笑ってみせる。 怒りに歯をむき出した魔王は、飛び降りざまに騎乗していたドラゴンを一撃で気絶させた。腹を出し、下を向き出しに倒れるドラゴンの側に、魔王ハドラーは機敏な動きで降り立った。 ハドラーはアバンの小賢しさに激昂し、許さないと怒鳴るが、それを聞いたアバンの様子が変わる。 許せないと逆に魔王に怒りをぶつけるアバンの真剣な表情を見て、フローラはハッとする。 フローラは、思い出す。 思わず、悲鳴を上げるフローラ。 だが、アバンは伊達眼鏡をかけ、武術など全く出来ないような振りをするようになった。 申し訳なさそうに頭をかきながら、アバンは有事の際には姫とカールの為に働くと言う。その意志を受け、フローラはアバンの秘密を自分の胸に納めてきた。 距離を置いて、対峙しあう魔王とアバン。 手に火炎をまとわせ、ハドラーがアバンへと殴りかかる。その拳をアバンはメラを放って相殺する。ロカはアバンが呪文を使ったことに驚くが、アバンは残る片手でベギラマを放ってハドラーを吹き飛ばした。 思わぬアバンの実力に、倒れていた騎士達が声援を送る。 吹っ飛ばされ、苦痛に呻きながら起き上がったハドラーは、目の前にアバンがいないことに気づく。周囲を見回しても、アバンの姿は見えない。 またも壁に叩きつけられたハドラーに向かって、アバンは全身をフルに使って回転し、トドメのメラゾーマを放つ。 ハドラーはアバンの力をなかなかと言いながらも、魔王に比べれば幼稚と言い放つ。両手から魔法を生み出し、大呪文の体勢に入った。 アバンは両手を大きく広げ、背後にいる姫を守る構えを取った。何の迷いもない目が、真っ直ぐに魔王を睨む。 ハドラーはそんなアバンの行動を自ら死を選んだのかと言い、魔法を強めて殺そうとする。 驚愕の表情で、宙を飛ぶ自分の手を見下ろすハドラー。アバンやフローラも、そろって目を見開く。 友の名を呼びながら、心配そうにロカを抱き上げるアバン。 イオラを放った魔王に対し、剣を逆手に持ったアバンは身体を引き絞るようにためを作り、それを一気に解き放つように剣を振った。 光の一撃に吹き飛ばされ、混乱するハドラー。だが、光の勢いに敗北したのか、悲鳴と共に消え去った。
だが、大穴の向こうの夜空を見つめたまま、アバンは魔王はまだ生きていると静かに言った。 その時、魔王の中指にはめられたドクロ模様の指輪が、歯をカタカタと打ち鳴らして笑い出した。 アバンがそれを見抜いたことを褒め、今日のところは引いておくという魔王。だが、あれくらいの力では自分は倒せないと、勝ち誇って笑うハドラー。 夜明けのカール城。 彼が思い出すのは、夕日の中、フローラと交わした会話。 その眼鏡を平和の証と受け止め、アバンが戻ってくるまで大切に預かると言うフローラは、それを大切そうに胸に抱え込んだ。 フローラ「それから……これを」 フローラは青い宝玉のついた金色のペンダントをアバンに向かって差し出した。カール王家に伝わる、カールの守りと呼ばれる物だといい、きっと役に立つはずだと言ってフローラはそれをアバンに渡す。 アバン「では……これを受けとってください」 アバンは腰の後ろを探って、滴型の石のついたペンダント――のちにアバンのしるしと呼ばれる品を差し出した。 夕日を背景に、二人は互いの家に伝わる家宝を相手に差し出しながら、向かい合う。 アバン「交換ですよ」 その言葉に、フローラは苦笑するような笑みを浮かべた――。 アバンは城を振り返るのを止め、前を向いて歩き出した。 アバン「ダメですよ、騎士団長のあなたがいなくなったら、誰がカール王国を守るんですか?」 ロカ「大丈夫だ! おれが鍛えたあいつらに任せておけば、問題ない。それに、守ってばかりじゃ身動きが取れなくなる。こっちから攻めていかねえとな。攻撃は最大の防御っていうだろ?」 胸を張ってそう答えるロカに、アバンも真剣な表情で勝てるとは限らないと答える。 ロカはアバンの光る剣に希望を見た、と言う。
太陽が、山脈の向こうから昇りだした。
若き日のアバンが、アバンストラッシュを放つ。
《感想》 勇者アバンのタイトルの時の音楽、いつもとちょっと違う気が。 最近は武人発言の多いハドラーの魔王っぷりが、懐かしい感じ。しかし、カール騎士団って今も昔も騎士ではなく兵士にしか見えないです(笑) フローラ様、思った以上にレオナに似ているっ。まるで旧アニメのレオナを見ているよう(笑) ロカ、髪の色が思ったよりも鮮やかなピンク(笑) マァムは髪の色が本気で父親譲りだと思った一瞬でした。 アバンの登場シーン、徹底して顔を見せない方式なのが面白いところ。アップ時はスープと手元しか映らないし、遠くから少しずつアバンに近づいていくロカの視点に合わせている感じ。 それしても原作の時も思っていましたが、アバン先生の三角巾、ゆるすぎて髪を抑える役に立っていないような(笑) アバンとロカのやり取り、アニメではやっぱり和らいだ表現に変えてきましたね。 原作ロカ「知識なんかいくらあったって女どもにチヤホヤされるぐらいの役にしかたたんぜ!!」 原作アバン「そんな言い方は女性に対して失礼ですよ。あなただっていつかは結婚して、奥さんのお世話になるんですから」 原作ロカ「ヘンッ。おれは一生、剣に生きるんだ! 女の子なんか絶対好きになるもんか!!」 原作では結婚したら奥さんが旦那の面倒を見て当たり前的な表現があったのが、リメイクアニメでは男性が子供の世話をするのが当たり前な表現に変えてきています。 原作ロカはどう贔屓目に聞いても女性蔑視な傾向が見られるんですが、その意地っ張り振りが好きだったのでアニメ版の騎士道精神溢れるロカには、ちょっと違和感がありますね。 とりあえず、ロカをからかうときのアバンが若いというか、子供っぽくていいですねえ。他の人には笑顔ばかりを見せているアバンが、ロカには素のまま接している感じで、ダイとポップのように、気の置けない仲のように思えます。 ハドラーからの脅迫文が届いた際、フローラがアバンに呼びかけ、彼が無言で頷くシーンがカットされていました! それにしてもロカの兜姿、やっぱり騎士ではなく兵士に見えちゃいますね(笑) 髪の色が目立つだけに、兜を被った途端、印象が薄くなります。 森へ行くアバン、めっちゃ楽しそうな格好でした(笑) 攻めてくるモンスター達、獣系が多い気がします。 CM前後、前回の続き並に同じ場面をリピートしていましたが、やはり外伝は話が短いから尺稼ぎ……? 原作ではただの小袋を投げていたシーンが、アニメでは魔弾銃になっていたのは嬉しい改変でした。 フローラ様の回想シーン、ぐるりと回転して後ろ姿になるシーンを、過去の後ろ姿のフローラと重ねる演出はよかったです。 破邪の洞窟で着ていた聖なる衣装っぽい服で、胸の谷間がすでにくっきりと見えちゃっていますけど!? 触手が絡んで倒れた姿勢が、これまた色っぽいです。 服もはだけて、太股丸出しになっているし……え、この格好で触手プレイ? と戸惑ったところで、アバン先生があっさりと怪物をやっつけちゃいましたが。……ちっ、後5分後ぐらいでもよかったのに(笑) まあ、冗談はさておき、若き日のさらに三年前のアバン先生の着ている服は、ほぼ白に見えるような薄茶の半袖シャツに同色のズボン。半袖シャツの下にもう一枚シャツを着ていて、その色はチョコレートのような濃い茶色でした。 しかし、公式パーフェクトブックでも開かされなかった年齢の秘密というか矛盾はそのままなのですね。 そこは個人差だとしても、回想シーンのフローラはその三年前なので10才のはずなのですが(笑) あのスタイルで10才はないでしょう! しかし、回想シーンで他の兵士に負けるアバン先生、両手をパーのまま大げさに開いて剣を取り落とし、足を高く上げるポーズのわざとらしさに爆笑しました。 『わーやられちゃいましたー』(棒読み) な台詞が聞こえてきそうな、へっぽこポーズがお気に入りです。 明後日の方向に突きをかましているアバンの頭を、呆れたような表情で掌でペシッと叩いているロカ(ただし、兜を被って目を閉じているので、確証はなし)の図もいい感じです。 そのシルエットがパッと消え、出会った時の姿のフローラと向かい合うシーンは、あたかも『私だけは本当の彼を知っているの』と言わんばかりに感じられました。 過去回想から現代に切り替えるときも、フローラが見つめる方向を変える描写に合わせて風景を変える演出が印象的でした。 アバン対ハドラー戦、アバン先生の回避や動きが、フィギュアスケートのように回る動作が多く混じっていたのが印象的でした。平面的な動きながら、要所に円運動を混ぜることで動きを派手に見せかけ、相手を惑わせる感じです。 ダイの動きが直線的でジャンプを交えた動きで意表を突くものであり、マァムの動きが体操選手のように立体的に回転する動きなことを考えると、ダイやマァムの動きってアバンの体術の進化形なんだなと思えました。 しかし、使っている魔法がベギラマなのに高度な呪文と言われていたり等、昔のハドラーとアバンのバトル、現在のダイ達と比べてどうしてもレベルが低く見えてしまいますね(笑) まあ、DQ1ではベギラマこそが最強呪文だったので、世界感がまさにそんな感じですが。 ロカがハドラーの腕を切り落とすシーン、カッコイイです♪ そして、ロカが倒れたのを見て、アバンが心配し、怒りを爆発させるシーンもよし! フローラ様に対しても笑顔を絶やさないアバンが、ロカ相手だと表情をよく変えますね。 そう言えば、ロカは原作ではかなり黒焦げで倒れていましたが、アニメでは火傷描写がものすごく控え目になってました。 ハドラーの腕も流血なしでしたし……あれ、そう考えると、ハドラーってバーンの部下になってから血が流れるようになったんでしょうか? ハドラーの手の指輪が喋る演出は原作通りながら、いい感じでした。ただ、原作ではピクンピクンと跳ねていた腕が、まったく動きませんでしたね。トカゲの尻尾のような動きを予測していたのに、ちょっと残念です。 アバンの旅立ち、夜明け前の城の美しさと、その前日と思われるフローラとの夕日の別れの美しさが絶妙! また、原作では普通の表情だったフローラ、後ろ姿のみだったアバンのシーンが、アニメでは両者の表情に改変が加えられています。 なるべく早く帰ります、と伝えるアバンの優しい表情もいいですね。原作よりも、二人の間の感情のきめ細かさが伝わってくるようです。 恋人と言うには距離がありすぎる二人の距離感と、それでいながら結婚式の指輪交換のように大切な家宝を差し出し合う姿が、なんとも萌えます。 ロカがDQ3の男戦士の兜や格好で登場しましたが、やっぱりこちらの方が似合っている気がします。しかし、包帯だらけなんですが……カール王国って回復魔法の使い手が少ないのかもしれません。 最後に二人で並んでいるシーンを見て、ロカの方が微妙に背が高いと発見し、なんか新鮮。まあ、兜の差と言えるような微妙さですが(笑) 最後に、アバンストラッシュのシーンが入っていましたが、個人的には旅だったアバンとロカの絵でしめて欲しかった気がします。 予告では、破邪の洞窟の女の子の達の衣装が公開されましたっ。マァム、黒ストじゃないんですね♪ 久々の生足ッ! ダイとノヴァの特訓とか、ポップの苦悩が垣間見えていたのに……マァムの生足のインパクトが強すぎました。 |