『最後の挑戦』(2021.2.5)

  
 

《粗筋》
 
 土壇場で、新たなる力に覚醒したポップ――。
 ミストバーンと戦いを続けていたロン・ベルクも、怪物達と戦っていた兵士達も、手を止めてその光景に見いってしまう。

 地上に降りていたザボエラも、ポップも覚醒に光景に驚いていた。だが、それを深く考えようとした時、ノヴァが斬りかかってきたので慌てて逃げる。

ノヴァ「これ以上、おまえに邪魔はさせないッ!!」
 
 逃げるザボエラに、ノヴァはさらに追撃をかけた――。






 メルルを抱きかかえたエイミは、ハッとしたような顔をした後、彼女の胸に耳を当てて彼女の生存を確認した。
 毒素も消えているし、助かるかもしれないと叫ぶエイミ。
 
 レオナは冷静に、ポップの回復エネルギーのおかげだと判断する。自分のザオラルをはるかに超えるザオリク級の力だと評価するレオナ。
 その説明を聞き、自分のことのように嬉しそうな顔をするダイ。

ダイ「すごいよ、ポップ……!」

 仲間達に背を向けているポップは、メルルを抱きかかえるエイミに向かってその子を絶対に死なせないでくれと頼む。
 エイミは、力強くそれに頷いた。

 心残りは無くなったとばかりに振り返ったポップは、自分から『行こう』と仲間達を促す。
 先程までとは別人のようなポップの姿に、目を見張るマァム。

 メルルの想いに応えるためにもと、レオナは手を広げて仲間達に呼びかける。一人だけ輪から外れていたポップも、定位置へと戻った。
 小気味のいい音を立てて、レオナのダイの手が、ダイとヒュンケルの手が、ヒュンケルとマァムの手が、それぞれ繋がれる。

 ポップがアバンのしるしを再び提げるために手を首の後ろに回している中、マァムは気まずそうに目をそらしながらも、そっと手をポップの方へと差し出した。

 それでもポップが気になるのか、ちらりと横目で彼の方を見るマァム。
 だが、ポップは気まずそうに目をそらし、マァムの方を見ないまま手を差し伸べる。

 迷うように伸ばされたポップの手を、優しく待ち続けるマァムの手。
 震えが止まり、ポップの手が勢いよくマァムの手を掴む。

 その瞬間、ポップのアバンのしるしから緑色の光が生み出され、光の柱となって上空まで伸びる。

 ついに、ミナカトールに必要な五色の光の柱がそろった。虹を思わせる輝きが、五人を包む。

 ポップは自分の光の柱を見上げながら、この勇気の光はメルルのものだと言った。自分よりも彼女の方がずっと勇敢だったと呟くポップを、マァム派複雑そうな表情でじっと見つめる。

 絶対に無駄にしない――誓うように強くそう宣言し、ポップはレオナの手を握る。
 その瞬間、光が強まり、魔法円が三重となって広がった。
 波紋のように広がる光は、爆発的な光として周囲を照らし出す。

 凄まじい光の奔流に、誰もが戦いの手を止めて見入っていた。
 ミストバーンでさえ、その例外ではない。ザボエラも眩い光から目を庇うように手をかざしつつ、それを見ていた。

ロン・ベルク「これで……」

 やりきった感の漂う表情で、光を見つめるロン・ベルク。

エイミ「そろったわ。五つの光の柱が……!」

 メルルを大切そうに抱きかかえたまま、エイミもまた光の柱に注目していた。
 今こそ、ミナカトールの条件がそろったと呟くフローラ。

 真剣な表情で前を見つめていたレオナは、一度、その目を閉じた。
 光に包まれながら、しばしの間を置いて目を開け、彼女は力強く呪文を唱える。

 暗闇に浮かぶ白、青、紫、赤、緑の五色の丸が光の線で繋がれ、花を思わせる複雑な魔法陣へと変化する。
 魔法陣は膨れ上がって広がり、波紋のように幾重にも重なった。

 光の爆発はされに強まり、光の柱から次々に上空に向かって花型の魔法陣が上昇していくのが見える。
 そして、その光は不意に膨れ上がり、一気に上空めがけて槍のごとく、貫いた。

 上空に伸びたその光は、バーンパレスに当たった瞬間、かの巨鳥を絡め取る。電流のようなしびれがバーンパレス全体を覆い尽くした。






 それは、バーンパレスの玉座にいるバーン達にとって、地響きとして伝わっていた。

バーン「これは……」







 光の中で、レオナはポップに今だと促す。間髪入れず、ルーラを唱えるポップ。
 その瞬間、光の柱の中から彼らの姿がフッと消えた。
 人間達も怪物達も、その光景に目を見張る。

 光のまぶしさに思わず目を庇っていたフローラだが、その光が弱まり、再び処刑台を見やる。
 そこには、すでにダイ達の姿は無かった。

 彼らが立っていた場所には複雑な形の魔法陣が描かれ、その周りを二重の輪が包み込んでいた。
 メルルを抱えたエイミも、一番外周に当たる輪の中にいた。

 続いて、空を見上げるフローラ。
 そこに浮かぶバーンパレスは、一見、先程までと変わりが無いように見える。

 大声を上げ、全身で喜びを表現するバダック。
 それに釣られるように、兵士達も喜びに沸く。戦いの最中にも拘わらず、歓喜の声を上げ、拳を天に突き上げる兵士達。

ノヴァ「あいつら……」

 剣を手にしたまま、天を見上げるノヴァは嬉しそうだった。

エイミ「みんな、行ったわね……大魔王の元へ……」

 メルルを抱えたエイミの表情は、喜び以上に不安の色が見え隠れしている。

ロン・ベルク「フッ……ついにやり遂げたか」

 空を見上げるロン・ベルクは、はっきりとした笑みを口元に浮かべていた。満足そうな表情は、ダイの剣を打ち終わった直後を思わせる。
 それに対し、空を見上げるミストバーンやザボエラは悔しそうだった。

チウ「フッフッフ……行けっ、勇者達! 大魔王を倒せ! 正義はぁーー……勝あぁつっ!」

 オーバーリアクションで空を指さすチウに、獣王遊撃隊達も喜びに沸く。

 フローラは片手を高く掲げ、全員に魔法円を中心に陣形を組むように通達する。
 円の中ならモンスターの威力は半減するため、残る総力を挙げてこの場を死守するように命じたフローラは、誰よりも早く身を翻し颯爽と駆け出す。

兵士達「「はいっ」」







 一方、バーンパレスの頭頂部では、ダイ達の姿があった。
 バーンパレスに初めて訪れたレオナは周囲を見回し、ここはどこか問う。ダイやヒュンケルは周囲を警戒して目を光らせる中、ポップとマァムは気まずそうに顔を背け合っていた。

 ヒュンケルはここがバーンと戦って敗れた場所であり、バーンパレスの先端部分だと答える。

ポップ「……あの時、さんざんぶっ壊れたのに、治ってやがる」

 その台詞に、ダイがポップへと注目する。
 それに釣られたように、レオナもポップ達に目を向ける。仲間達に背を向けているマァムは、困ったような顔で頬を赤らめていた。

 重い雰囲気を断ち切るように、ポップは言い訳はしないときっぱりと言い切り、迷惑の償いは戦いで返すと言って、先頭を切って走り出した。その様子を目で追ったヒュンケルも、一度、目を伏せてから無言で続いた。

 それを見送るダイとレオナ。マァムはやはりポップが気になるのか、横目で彼の様子を伺っている。
 そんなマァムに対して、ダイはポップがずっとマァムの子とが好きだったことを暴露する。

 レオナもそれをフォローするように、ポップの急成長の理由がマァムにあることを示唆した。
 それを聞いて、俯くマァムの頬はさらに赤みを帯びる。

 戸惑いながら、マァムはそんなことを急に言われても困るといい、逃げるようにその場を走り去った。
 奇しくも、見事に等間隔に間を空けて走って行くポップ、ヒュンケル、マァム。

 その様子を困ったように見送ったダイは、レオナにみんなが離れない方がいいんじゃないかなと問いかけた。
 それを聞いて、ハッとしたような表情をしたレオナは、すぐにダイのほっぺたを掴んで摘まみ上げる。

 ダイがドライだと文句をつけるレオナに、ダイはこーゆームードは苦手だと、必死に抗弁する。
 が、レオナはすぐに手を離し、パッと気分を切り替えた。

レオナ「でも、確かにグズグズはしていられないわ! 急ぐわよ、ダイ君っ」

 引っ張られたほっぺたを痛そうに押さえているダイを置き去りにして、レオナも走り出す。

ダイ「もぉ〜、どっちだよぉー」

 ほっぺたを押さえたまま、ダイも走り出した。







 その頃、ポップを先頭に走る一行の姿を、水晶玉越しにバーンは眺めていた。
 ミナカトールが古代の神の置き土産だと言うバーンは、それを引っ張り出してきた彼らに感心さえしている様子だった。

 キルバーンはバーンの身体を気遣う。
 手を握り開きしたバーンは、多少の威力は感じるが問題は無いと答える。しかし、バーンパレスは動かせず、結界も消えた……おそらくバーンの魔力をバーンパレスへ伝える機能が麻痺したのだと予測するバーン。

 つまらない客が増えそうだとぼやきながらも、出番が増えるかもしれないと語るキルバーンの声はどこか楽しげだった。

 だが、その時、バーンは何かを感じ取った。
 別の客が来たというバーンは、その闘気から『客』の見当がついたらしい。完全に面白がっているような口調だった。






 バーン達に見られていると知らぬまま走るダイ達は、今はほとんど一塊となって走っていた。
 が、目の前に誰かがいるのを見て足を止める。

 ダイ達を阻むように立ちはだかっていたのは、ハドラーと親衛騎団の生き残り達――。ハドラーはあちこち傷を負いながらも、それでも魔王の威厳を漂わせ、堂々と佇んでいた。

ダイ「……ハドラー……!」

 ハドラーは、静かな、だが闘志に燃える目でダイを見つめている。
 と、その背後にいた親衛騎団が銀色の光となって、一斉に空に飛び上がった。

 光弾となった彼らは弧を描き、ダイ達めがけて飛びかかってくる。それを、驚きの表情で見つめるダイ達。
 眩い光は、襲ってきたのと同じ速さで去っていた。

 そのまぶしさに思わず目が眩んだダイだが、目を開けると仲間がいないことに気づいて愕然とする。後ろを振り返り、左右も見回してから、ダイは焦った口調でハドラーにみんなをどうしたと問いかける。

 ハドラーは全く動じる様子もなく、彼らにはしばらく親衛騎団の相手をしてもらうと言い切った。
 警戒し、身がまえながら何が望みだと訊くダイ。

 ハドラーは、一対一の決着が望みだと断言する。
 唐突な決闘の申し込みに戸惑うダイだが、ダイを睨みつけるハドラーの顔には、煮えたぎるような闘志が溢れていた。
 その表情からハドラーの本気を見て取ったのか、ダイもまた、表情に気迫を強めた――。







 バーンパレスの石畳に、ポップは投げ出されていた。
 苦痛にうめきつつも立ち上がり、何をしやがったと怒声をあげるポップ。周囲を見たポップは、ここがバーンパレスの別の場所だと気づく。

 それを肯定するのは、ランスを肩に背負ったシグマだった。
 ここは、バーンパレスの尾翼だと言う。
 騎士(ナイト)シグマの登場に、声音に警戒が混じるポップ。

 シグマは堂々たる態度で、ゆっくりとランスを構える。
 ハドラーが勇者ダイを決着をつけるまで、余計な邪魔を入れたくないと言う彼の言葉から、他の仲間達も同様の目にあっていると見当をつけるポップ。
 笑いながら、シグマもそれを肯定した。







 足を大きく曲げてダメージを殺し、しっかりと着地したヒュンケルは周囲を見て自分の居場所を探る。
 後方右翼だと悟るヒュンケルに、呼びかける声があった。

 そちらに目をやったヒュンケルの目の前で、ヒムが床の上に降り立つ。
 彼はまたヒュンケルと再会し、戦えることに喜びを感じているようだ。しかし、ヒュンケルは何の感慨も湧かないと素っ気なく切り捨てる。

 味気ない反応だと不満を漏らすヒムに、ヒュンケルは時間が惜しいと魔槍を引き抜いて身がまえる。
 早くかかってこいと挑発するヒュンケルに対し、ヒムもまた、戦いに身がまえる。

 ヒュンケルよりもさらに低く身がまえ、突進の態勢を取るヒム。
 そして、二人は全く同時に地面を蹴り、一気に距離を詰めた――。






 女王(クィーン)アルビナスと向かい合っているのは、マァムだった。
 親衛騎団最強の戦士を前にして、マァムもいささか緊張しているのか声が強ばっている。

 だが、アルビナスは余裕たっぷりだった。
 自分と一対一で戦う羽目になったマァムに対して、同情すら感じている様子だ。布石の上でたまたまこうなっただけだから、恨まないでほしいと言うアルビナスの声音には、どこかしら嘲りが感じられる。

 アルビナスを睨みつけ、必勝の布陣だと決めつけるマァム。
 ルーラの瞬間、シグマがポップを、ヒムがヒュンケルを連れて行くのを見たというマァム。

 呪文をはじき返せるシグマがポップを、ヒュンケルとの対戦経験の多いヒムがヒュンケルを押さえ、自分の相手はあなたが――と考えるマァムに対し、アルビナスは嘲笑する。
 仰る通りの戦略だが、最後は的外れだと言うアルビナス。

アルビナス「勇者の仲間で、ダイ以外に恐ろしいのはポップとヒュンケルだけ……。私の担当は、その他の全員です」

 その台詞に、ハッと息をのむマァム。
 アルビナスは、もう一人いたお嬢さん――レオナも本当なら招くはずだったと言う。とっさにあの不思議な生き物が邪魔をしなければ、と呟くアルビナス。
 不思議な生き物……その言葉を、マァムはオウム返しに繰り返した。






 一方、バーンパレスの先端部分。
 そこでは、ハドラーが男と男の勝負を持ちかけていた。それを聞き、背中の険に手を伸ばすダイ。

 だが、そこに場違いとも言える女の子の甲高い声が響き、ダイもハドラーも驚きを見せる。
 そこに駆けてきたのはゴメちゃんを抱えたレオナだった。

 ハドラーは連れ出し損ねた者がいたのかと呟き、ダイはレオナとゴメちゃんの無事に驚く。
 レオナは光に襲われた時にとっさにゴメちゃんが飛び出してきて、敵の光弾からレオナを弾いてくれたと説明する。

 説明が終わるやいなや、レオナはキツイ口調でこんな馬鹿げた決闘は受けないようにとダイに忠告する。それを聞いて、わずかに俯くダイ。
 レオナはハドラーに向き直り、彼に対しても同じ口調で決闘の無意味さを説き、彼らの戦いがバーンを喜ばせるだけだと非難する。

 決着は時をあらためるべきだと言うレオナの意見を、ハドラーは強い口調で否定する。
 ハッとした表情を見せるレオナ。

 瞑目し、時間が無いと呟くハドラー。
 それを聞いたダイには、思い当たることがあった。
 瞬間、ダイとバランの二人に対して堂々と戦いを挑んできたハドラーの姿を思い出すダイ。

 そして、今の傷ついたハドラーの姿を見たダイは、ハドラーの寿命を察する。

 無言のまま、ゆっくりと歩を進めてくるハドラー。
 それを見て、レオナはハドラーに戦いを止める意志がないと判断し、自分も戦おうと身がまえた。

 だが、ダイがレオナに下がるようにと頼む。
 戸惑いながらも、協力した方がいいと説得しようとしたレオナは、ダイの肩に手を置いた。

 が、熱さを感じ、弾かれたようにレオナはその手を離す。そのことに、驚くゴメちゃん。
 竜の紋章を発動させたダイの身体は、高熱を発していた。

 火傷でもしたのか、ずっと自分で自分の手を押さえているレオナに謝るダイ。
 しかし、もっと熱くなるから下がってほしいと、ダイは繰り返して言う。

 ハドラーはもう助からないと言うダイに、レオナは思わずハドラーの方を見やる。
 無言のまま歩み寄るハドラーの身体は、あちこちはひび割れ、生々しい傷跡が残っている。

 ダメージがすぐに治るはずの超魔生物でありながら、全く回復していない――そのことから、ハドラーの残り時間が少ないとダイは悟っている。
 それにも拘わらず、自分自身の誇りをかけて、ハドラーはダイを選んで戦いを挑んできた。

 その事実を重く受け止め、応えたいと思うダイ。
 この挑戦を受けなければ、男でいられないような気がする……そう語るダイを、レオナは驚きの目で見つめていた。

ダイ「ごめんね……後でいっぱい、おれを怒ってもいいよ……」

 振り返るダイの表情は、少し寂しそうで……それでいて、どこか達観すら感じさせる落ち着きがあった。
 その顔を見て、パッと顔を赤らめるレオナ。

レオナ(もう……っ……いつの間にこんな大人っぽい顔をするようになったのよ、こいつったら……)

 うっとりと目を細めてダイの顔に見とれた後、レオナは空中に浮かんでいるゴメちゃんを捕まえて大切そうに胸に抱き込み、身を翻して走り出した。
 それを見送ったダイは、正面に向き直ってハドラーと相対する。
 声に出して、ハドラーへ決闘を了承したことを告げるダイ。

 それをありがたいと受け止めたハドラーは、声を張り上げてこの場にはいない大魔王バーンへと呼びかけた。
 自分達の戦いの見届けを望むも、手出し無用と言い切るハドラー。







 同じ頃、ハドラーの望み通り、バーンはダイとハドラーの様子を見ていた。
 玉座にいるバーンは、聞こえぬと分かっていながらその望みを了承し、ハドラーに悔いの無いように戦うようにと呟く。
 その目は、面白い見世物を眺める喜びに光っていた――。







 身がまえながら、ダイはハドラーにミナカトールの影響があるか尋ねる。
 かすかに笑い、ハドラーは多少の影響を認めつつも、自らの力を誇示するように闘気を溢れさせてみせる。
 ハドラーの闘気は、赤い奔流となって嵐のようにその場に荒れ狂った。

 ダイは手で顔を庇い、その場に踏みとどまるが、レオナは風の勢いに翻弄され、かなり苦しそうだ。
 ハドラーが実力を発揮しているのを見て、ダイはバーンもなんともないのかと確認する。

 ハドラーも隠すことなく、それを肯定した。制止したのはバーンパレスのみ――だが、それを聞いてダイはちょっと安心したと言う。
 ミナカトールのせいでハドラーが全力を出せなかったら、悪いから、と。

ハドラー「……泣かせることを言うわ。ガキのくせに……」

 どこかしら満足げなハドラーに、ダイも笑みを持って応える。
 気迫を高めるハドラーから、さらに赤い光に染まった闘気が溢れる。それに対抗して放たれたダイの闘気の色は、魂の色を同じ清浄な青だった。

 青と赤の闘気が荒れ狂う中、レオナはもっと距離を取った方がいいと判断し、サッと向きを変えて走り出した。

 ハドラーの足が、一歩踏み出した際、石で作られているはずのバーンパレスの床が砕けた。同じく、動き出したダイの足も石床を割る。

 雄叫びを上げ、殴りかかってくるハドラーに対し、ダイもまた、吠えながら拳を振り上げる。
 両者の拳が真っ向からぶつかり合い、互いの闘気が弾けて爆発じみた反応を引き起こす。

 一瞬、足を止めてそれを振り返ったレオナだが、広がる爆風に耐えながら一直線に逃げるも、風に吹き飛ばされた。

レオナ「きゃあ……っ」






 バーンパレスを揺るがす爆音は、マァムとアルビナスの元まで届いていた。
 アルビナスはハドラーとダイの一騎打ちが始まったと語る。
 戸惑うマァムに、アルビナスはハドラーがすでに回復魔法を受け付けない身体になったと話す。

 残り少ない命だからこそ、生涯の宿敵である勇者ダイとの正々堂々とした勝負に賭けることこそが、ハドラーの望み――。






 場面は、とある滝の光景へと移り変わる。
 滝の裏側にある洞窟で、ハドラーとヒム、シグマ、アルビナスがいた。ハドラーは部下達に、自分の命がもう持たないこと、最後に戦う相手を勇者と決めたことを告げる。

 ヒムとシグマは、得心したと言わんばかりに首肯する。
 が、アルビナスだけは反対の意志を込めてハドラーの名を呼んだ。

 しかし、ハドラーはアルビナスに応えることなく、自分の気持ちを打ち明ける。
 もはやバーンのために戦う気にはなれず、かといってダイ達の味方にもなれない。ダイ達から最も大切なもの……アバンを奪ったことを、悔やむように語るハドラー。

 今のハドラーに取れる道は、ただ一つ。
 もっとも自分の心を沸かせてくれた相手と戦い、自分の生きた証を見せることだった。

 すでに心を決めてしまっているハドラーに対し、アルビナスはなおも反対しようと食い下がりかけた。
 それを苛立ったように止めたのは、ヒムだった。

 死んでいったブロックやフェンブレンのためにも、宿敵を倒したいと訴えるヒムは決起に溢れている。最後に大暴れして勇者ダイも大魔王バーンも倒そうと吠えるヒムに、ハドラーは言った。

ハドラー「ヒム。……おまえは一番、今のオレに似ているな……」

 その言葉に、ヒムは照れたように頬を掻く。だが、アルビナスは、彼らから目をそらし、一人、俯いた――。







 現実の時間で、ダイに殴りかかるハドラー。
 寸前でダイが読んで逃げたため、勢い余って床石を砕いてしまう。が、すぐにハドラーは体勢を立て直してダイを睨みつける。

 低い壁の部分に飛んだダイは、その壁に足をつき、ジャンプの予備動作を取っていた。勢いよく壁から飛んできたダイは、ハドラーの横っ面を殴りつける。

 弾き飛ばされるハドラーだが、それでも倒れることなくなんとか体勢を立て直す。そこに、上空から蹴りを仕掛けてくるダイ。
 だが、ハドラーはその蹴りに耐えて足を掴み、お返しだと言わんばかりに今度はダイの顔を殴りつける。
 
 さらに、そのままダイを床にたたきつけるハドラー。爆発的な土煙が上がった。
 その煙の中、ダイは跳び上がりざまにハドラーに壮絶な頭突きをかますダイ。

 これはダメージが大きかったのか、後方にフラフラと下がるハドラー。が、足を踏ん張って立て直す。

 それとほぼ同時に着地したダイは、再び頭からハドラーに突っ込んできた。タックルの体勢になって重なり合うダイとハドラー。が、ハドラーの身体を突き放すがごとく、ダイが二度、三度とパンチを放つ。

 腹を貫く痛烈な一打に、さすがのハドラーも顔を歪める。
 勢いの乗ったダイの拳は、何度となくハドラーの身体を宙へ突き上げた。しかし、ハドラーもただ殴られるばかりではない。
 ダイの肩を掴み、両膝でダイに蹴りを食らわす。

 後ろへと吹き飛ばされるも、踏ん張って堪えるダイ。
 顔を上げた時には、すでに肩で息をしていた。対するハドラーも同じく肩で息をしていたが、その表情は抑えきれない喜びに溢れている。

 踏ん張るダイの足元から、青い闘気が溢れ出した。それに対抗するように、ハドラーの足元からは赤い闘気が満ちていく。
 お互いに息吹きをあげ、闘気を高めていくダイとハドラー。戦いは、まだ始まったばかりだった――。






 バーンパレスの後方左翼。
 親衛騎団がハドラーの最後の望みのため、捨て石になろうとしていると知り、動揺するマァム。
 冷静なアルビナスに向かって、マァムはゆっくりと歩を進める。

 アルビナスに戦いを止めるように持ちかけるマァムの表情は悲痛で、真から相手を思いやる慈愛に満ちたものだった。
 自分達は戦うべきではない、とマァムは訴える。

 敵意が無いことを示すかのように、両手を広げ、ゆっくりとアルビナスへと歩み寄るマァム。

 彼女は、アルビナス達がハドラーを思う気持ちも、自分達が仲間を思う気持ちも同じだと考え、そんな相手を倒すことは出来ないと主張する。
 戦いの無益を説くマァムを、アルビナスは冷静に見据えていた。

 もはや懇願と言っていい切実さで、戦いを止めるように訴えるマァムは、協力は惜しまないとも発言する。
 互いの手が届く距離まで進み出たマァムは、無防備な体勢でアルビナスと向き合っていた。

 近づいてきたマァムを前にして、アルビナスはわずかに俯く。

アルビナス「マァム……あなたがそういう人でよかった……」

 その言葉に、マァムは表情を緩ませる。
 自分の主張を理解してくれたのだと思うからこそ生まれる、柔らかな表情――だが、そんな彼女に、アルビナスは毒を含んだ声音で告げた。

アルビナス「私の嫌いな、虫唾の走る良い子ちゃんでよかった……!」

 言葉からも、口元からも、悪意が迸る。
 驚き、息をのむマァム。

アルビナス「おかげでためらいもなく殺せます!」
 
 アルビナスの身体から、光が発せられる。
 とっさに逃げようとするマァムの目の前で、アルビナスの全身が光輝いた。彼女の必殺技、ニードルサウザンドが放たれる。

 灼熱の雷光が、至近距離からマァムを襲う。悲鳴を上げ、マァムは吹き飛ばされていた――。


《感想》

 ミナカトールの演出が美しくも力強いです!
 意外なぐらいゆったりとした展開でのハドラー登場までの流れに感激。戦いではないけれど、心理描写として大事なシーンなだけにしっかりと見せてくれて嬉しいかったですよ。

 冒頭の天使のようなメルルのアップシーンから、ポップの覚醒シーンまでの部分は繰り返しですが、お気に入りシーンなので繰り返し部分がもっと長くてもいいのにと思ってしまいました(笑)

 ポップの覚醒に他の兵士達が目をやるシーンに、空に浮かんだいたずら小僧が一匹混じっていました。もしや、彼はこの後チウにスカウトされる予定のいたずら小僧Aなのかなと、思わず注目♪

 原作では彼らが中央に注目するのはミナカトール完成時なので、この場所に持ってきたことと、いたずら小僧のカットを入れたことはアニメの改変です。
 ついでに言うなら、いたずら小僧はちょっと頭身があげられている印象でした。

 原作では寸詰まりな印象の2・5頭身でしたが、アニメでは人間の子どもと同じ感じの3頭身弱と言ったところ。
 ……さまよう鎧系怪物をさんっざん頭身低めに書いておきながら、なぜに小さい系キャラの頭身だけを伸ばすんですかっ!?(笑)

 ザボエラがポップの力に驚くシーン、ザボエラを後ろから見る視点からと、ザボエラを正面から見る視点が描かれていましたが、どちらのシーンにも背後で怪物達と必死に戦う人間達の姿が描かれていたのが好印象。

 人間達が後ろに大きく下がり、また果敢に切り込んでいくという大げさな動きを繰り返しているのが面白かったです。まともに打ち合うよりも、動きを大きくして相手を揺さぶることを目的としている印象でした。

 ノヴァの台詞とザボエラへの追撃カットは、アニメの改変です。
 原作ではノヴァが無言で切りかかるシーンだけでしたが、アニメではちょっとその後を足していますね。

 その代わりのように、ポップがメルルをエイミさんへ渡すシーンがカットされていました。
 残念!

 しかし、エイミさんが抱きしめたメルルの胸に耳を当てるシーンが改変されていました。な、なぜっ?
 え、首筋で脈を取るとかじゃダメだったんですか?

 でも、美女と美少女の密着シーンがなんとも可愛らしくも百合百合しくて、これはこれでOK!

 以前、とある漫画の登場人物で、男女交際に関してはいちいち却下だとあーだこーだ文句を言っていたキャラが『百合はOK!』と力強く叫んでいた気持ちに共感できました(笑)

 それにしても蘇生直後のせいか、頬をわずかに赤らめて目を瞑っているメルルが超絶可愛いです。

 原作ではレオナの説明をダイはきょとんとした顔で聞いているだけなのですが、アニメではそれを聞いて喜ぶ台詞とシーンが追加されていました。
 
 ポップがメルルをエイミに託すシーンは、原作でもポップの後ろ姿で表現されていましたが、アニメではミナカトールの魔法円全景を見せる場面も付け加えられていて、距離感や位置が分かりやすかったです。

 振り返ったポップの表情が、またいいですね♪
 うだうだ悩んでいたポップが決然とした表情を取り戻す流れもいいし、マァムの戸惑いの表情が実に可愛いです!

 ポップとマァムが手を繋ぐ前の、微妙な間もいいですね。
 ポップが気になって見ないではいられないマァムと、マァムが気になって目をそらしてしまうポップ。
 
 原作ではすぐにしっかりと握られた手が、アニメではポップのためらいを挟んでから、決意したように勢いよく掴むシーンと改変されたおかげで、一瞬の間にさえドラマが膨らんだ気がします♪

 五色の光がそろった段階でのロン・ベルクの台詞は、アニメの改変です。っていうか、原作ではこのシーンでは彼のカットすらないです(笑)

 それが、まるでエイミさんと打ち合わせでもしていたかのように、ちゃっかりと紛れ込んでいますよっ。やっぱり、ロン・ベルクはアニメスタッフに愛されているなと思う瞬間です(笑)

 しかし、原作ではエイミさんに抱きかかえられて後頭部しか見えなかったメルルが、顔をこちらに向けた上で肩を思いっきり見せつつ気絶している構図になっとりますがっ。
 なんだか、メルルの肩の露出度、上がっていませんか?(笑)

 ミナカトール寸前、レオナが一度目を閉じてから、彼女の足元から視点を上にずらしつつ回り込む演出、素晴らしく凝っていて感激しました!

 ミナカトールの魔法陣の演出、原作ではたった一コマだったシーンに、どれだけ手をかけているのか……っ。アニメスタッフ様らの、魔法演出への拘りに脱帽です。

 光を溜めるだけため込んで、光の輪が先導する中、それを貫くように光が発射されるという表現を見て……なぜだか、○宙戦艦ヤマトの波動砲を思い出しました(笑)
 一度も本編は見たことはないはずなんですけどね。

 ただ、代わりと言っては何ですが、ダイ達一人一人の顔のアップシーンが無くなっていたのは残念です。
 原作ではベタを一切抜いて、スピード線をかけることで表現してたシーンを、アニメでどう表現するのか楽しみにしていたのですが。

 バーンパレスが動きを止めた瞬間に、バーン達のカットを挟んだのもアニメの改変ですね。

 ダイ達がルーラで飛んでいった瞬間、味方や敵達の戦いのシーンが挟まれていますが、敵に背中を見せて思いっきりミナカトールに見入っているフォブスターを発見。これも、アニメの改変です。

 しかし、彼の隣にいるクロコダインは斧を構えているところで、どう見ても現在進行形で戦っている最中の様子。
 原作では落ち着き払って空を見上げていましたが、アニメでは手を離せないようですね。

 フローラ様が空を見上げるシーン、原作ではキラキラとした光が昇るのが見えるのですが、アニメでは確認できませんでした。
 
 バダックさんの喜びっぷりが大げさでいいですね♪
 喜びに沸く兵士達の中に、またもいたずら小僧の下半身だけのカットと、別のシーンで空に二匹浮かぶいたずら小僧が映り込んでいました(笑)

 ノヴァ、エイミの登場と台詞シーンはアニメの改変です。ロン・ベルクは表情だけは原作に出てきましたが、アニメでは台詞が追加されていました。
 チウの台詞は、一部改変ですね。

 原作では、チウはいたずら小僧達とのやり取りで『正義は勝つ』と言っていましたが、アニメでは獣王遊撃隊を背景に語っています。
 原作のやり取りも気に入っていただけに残念ですが、でも、アニメ版もほのぼのとしてて可愛いですね。
 ビースト君まで、喜ぶ中に混じっていますよ(笑)

 フローラ様の指示に、原作では兵士達は「おおーっ」と応えていますが、アニメでは「はいっ」に改変されていました。
 原作よりも、アニメの方が兵士達が紳士的なようです。

 バーンパレスで、ポップが壊れた部分が直っていると言うシーンは、アニメの改変です。まあ、原作でもこの台詞はなかったとは言え、壊れた部分は修復されていましたが。

 ポップが喋りはじめた途端、ダイがパッとポップの方を向く動きに感心しました♪

 原作では、ここはダイが父親を失った場所でもあるため、どこか悲しそうな表情をしていたのですが、アニメでのダイは悲しむよりも先に周囲を警戒していますし、ポップの発言に注意を払う余裕があるようです。

 そして、みんなに完全に背を向けているマァムの恥じらい顔が真正面から描かれていたのに感動! マァムは団体行動に素直に従う真面目さがあるので、完全にそっぽを向いているのは実に珍しいです。

 それに、マァムが自分の感情に囚われて状況を忘れるのも、あまりないですしね。動揺しまくっているポップでさえ周囲の様子に気を払っているのに、まるっきり周囲を見ていないような様子のマァムが可愛いですっ。

 ポップが走り出す前にみんなに呼びかける際、手を強く握りしめるアクションはアニメの改変ですね。
 そして、ヒュンケルが走り出す前、目を一度閉じるシーンもまた、アニメの改変です。

 マァムの戸惑いのシーン、声優さんの恥じらいと初々しさの演技が素晴らしかったです!

 それにしても、みんなが去った後、ダイが瞬きをしながら首をこくん、と縦に動かす仕草が妙に可愛かったですよ〜。
 レオナも立ち去るみんなを、心配そうな表情で見送っている時は非常に可憐でした。

 が、ダイの台詞でハッと我に返ったような表情をし、即座にダイのほっぺたを摘まむところを見ちゃうと……レオナの心配そうな表情が、いい気分で恋愛ドラマを見て、感情移入を楽しんでいたようにしか見えなくなりましたよっ(笑)

 レオナがダイのほっぺたを摘まむシーン、原作とは向きが逆になっているので、原作では右手でほっぺたを摘まんでいますが、アニメでは左手で摘まんでいますね。

 レオナ、左利き疑惑をあげるべきか。
 それにしても、レオナの摘まみ方はよっぽど急所を押さえているのか、ダイがすごく痛がっています(笑)

 レオナがダイを手放すところからのやり取りはアニメの改変ですね。軽快ですごく楽しい感じで、いい改変です♪

 ハドラーの登場シーン、アニメではダイがハドラーと呟いていますが、原作ではポップがハドラーの名前を叫んでいます。

 ハドラーがダイに決闘を申し込むシーン、原作ではハドラーが真正面向きっぽい角度で指さしていましたが、アニメでは左方向から指をビシッと刺すポーズで……ほとんど逆○裁判(笑)

 ハドラーとダイの睨み合い、原作よりもずっとアップで、しかも両者真正面からの表情として描き起こしているのは嬉しかったです。
 
 CM後、ポップが床に投げ出されるシーン。
 背中から落ちるところは原作と同じですが、原作ではほぼ真上から落下した感じなのに対し、アニメではやや斜めの角度から投げ出されたせいで、弾んだ身体がさらに投げ出されていました。
 ……うん、もうちょっとルーラの着地の練習をしようよ(笑)
 
 ポップとシグマの戦い前のやり取りは、緊張感があってよかったです。
 だけど、シグマはあまり真正面を向かない方がいいのでは(笑) ガルダンディーもそうだったけれど、なぜ正面向きには向かない種族を敢えて真正面から描こうとするのか。

 ヒュンケルの着地シーン、原作では割とかっこつけてスタッと降りていましたが、アニメでは足をがに股にしっかりと曲げて勢いを殺していました。
 また、原作ではヒムは最初からヒュンケルの後方にいましたが、アニメではヒュンケルに呼びかけてから、どこからか飛び降りてきましたね。

 ヒュンケルとヒムの決闘シーン、二人が向かい合っている図を横から遠景で眺める構図が、実にかっこよかったです。
 動き出す瞬間、二人の姿が逆行でシルエットになった演出は秀逸でした♪

 マァムとアルビナスの対決もいい感じ。
 でも、原作にあった後方左翼というナレーションはやはり削られていますね。マァムにはポップやヒュンケルと違って、現在地を探る余裕がない、という描写だと解釈してもいいのでしょうか?

 アルビナスの台詞、『勇者一行(パーティ)』が『勇者の仲間』に変更されていました。
 それにしてもアルビナスの冷たい感じの声、人を嘲笑する声音にも理性と品を感じて、すっごく好みです♪

 ダイがハドラーの挑戦に対して険に手を伸ばすシーンは、アニメの改変です。
 走ってくるレオナ、アニメ版の方がなにやらたくましく、怒った表情に見えますね(笑)

 ゴメちゃんの登場シーンがアニメでは追加されていました。
 原作ではレオナの説明のみだったのですが、アニメではゴメちゃん、レオナの胸元に思いっきり入り込んでいるじゃないですかっ(笑)
 いや、マァムもレオナもなぜ気づかないっ!?

 とりあえず、キリッとしてレオナを守ろうと羽を広げるゴメちゃんは可愛かったです。

 レオナがダイに決闘を止めるように忠告する……というか、ほぼ叱責していますが(笑)、その際、ダイが無言のまま軽く俯くシーンはアニメの改変ですね。

 レオナの意見を聞いても、納得し切れていないダイの心理が読み取れるいいシーンだと思います。

 ダイがハドラーの寿命を悟るシーンで、ハドラーを真下から見上げるという珍しい角度からのカットが入ったのが印象的でした。極端なバースがかかる上顔が一切見えず、ほぼ逆光で上から太陽が差し込むという非常に特殊な画面なのにも拘わらず、かっこよかったですよ〜。

 その構図から歩かせた動きには、びっくりしました。重厚な足音と相まって、巨大ロボットを見上げている気分になりました♪

 レオナが説得を諦め、参戦決意するシーン、原作でレオナが見せたちょっと変わったポーズが好きだったのですが、アニメでは手を構えた顔のアップだけだったのが残念です。
 
 手を交差して構えるポーズが、ちょっとセーラームー○っぽくて好みだったのに〜。

 ダイとレオナのセリフのやり取りの間、レオナの表情の変化が実に繊細で細かく描かれているのは嬉しかったです。
 ハドラーに応えたいと語るダイの背中を、驚きの目で見ていたレオナが、振り返ったダイを見て、恋する少女の顔を見せる一瞬が実にいいですね!

 原作では、実はこの時のレオナの顔にはトーンがかかっていたこともあり、あまり可愛く感じられなかったのですが、アニメ版の可愛さは別格です♪
 ただ、『いつの間に〜』のモノローグシーンは、原作のバストショットの方がアニメのアップよりも好みなので、原作のカットを優先してほしかった気も。

 アニメで、レオナがゴメちゃんを手でひょいと捕まえて抱きしめるシーンは、改編です。原作では、レオナはこのシーンではゴメちゃんとだっこしたままです。

 ハドラーがミナカトールの影響について語るシーン、手を2、3度握りしめる仕草をしていたのはアニメの改編です。バーン様もやっていましたが、麻痺があるかどうかを末端部分の動きで確認している感じですね。

 また、闘気を放出するシーンで、ハドラーが両手を構えてから身を大きくのけぞらす動きがカッコイイです!
 闘気の色が赤くなっていて、原作以上に派手な感じなのもいいですね。

 ダイがハドラーに、バーンもなんともないのかと尋ねるシーン、原作ではダイはレオナと目を見交わせながらこのセリフを口にしていました。
 ダイとレオナがバーンとの戦いを気にして、さりげなく情報を共有しているシーンだったのですが……アニメではハドラーの画像だけで終わっていますね(笑)

 レオナが危険だから逃げようとゴメちゃんに言うシーン、原作ではレオナの台詞のみなイメージでしたが、アニメではレオナが素早く身を反転させ、いきなり走って逃げているアクションつきでした。あまりに見事なダッシュっぷりに、つい笑っちゃいましたよ。
 判断と逃げ足が速いよ、レオナさんっ(笑)

 ハドラーとダイが、踏み込みだけで床を砕くシーンはアニメの改変です。
 しかし、原作ではただ拳がぶつかり合うだけだったダイとハドラーの最初の対決、のっけから爆発が起こっていましたよ!

 レオナがそれから逃げようとして、爆風に飛ばされるシーンはアニメの改変です。
 しかし、これだけ爆破が派手になっていますが、マァムからはそれが見えた様子はないですね。

 原作では、マァムはダイ達が戦う轟音を聞いてそちらを向き、何かが光っているのを発見するのですが、アニメでは光の描写はありませんでした。

 回想シーンでのハドラー、原作寄りもアニメの方が感情豊かな印象でした。
 アバンの死を語るシーンでは、目が悲しそうにも見えましたし、ヒムに自分に似ていると語るシーンでは、口元に笑みを浮かべています。

 回想シーン後、唐突に始まったダイとハドラーのガチバトル、大迫力♪
 結構長く殴り合っていますが、ここは思いっきりアニメの改変ですね。原作では回想の後、すぐにマァムとアルビナスのやり取りに移行していますから。

 本当に、バトルシーンにだけは時間を惜しまない方針ですね。いいぞ、もっとやれ♪

 アルビナスへのマァムの説得シーン、言葉としての説得力はさておくとして、無防備に敵へ歩み寄る動きが素晴らしかったです♪
 敵意はないと、身体で示している感じがいいですね。

 マァムとアルビナスが向かい合うシーン、原作と向きが逆転していますが、それ以上に原作では、マァムは少々足をくねらせた女らしい立ち姿だったのに、アニメでは肩幅の広さに足を踏ん張るようにして立つ、色気の無い立ち姿だったのがなんとなく新鮮でした♪

 マァムを虫唾が走ると言い切ったアルビナスの、悪意に満ちた声の演技は実に良かったです。
 常に淡々としていたアルビナスが、初めて感情を剥き出しにした一瞬ですね。

 しかし、アルビナスの口元のアップでほうれい線をやたら強調した絵柄にも、ある意味で悪意を感じます(笑)
 原作では美しい口元だったのに〜。

 ニードルサウザンドのかっか、すでにマァムの黒ストッキングが破けているのを発見! どの程度まで破けるかも、楽しみの一つです。

 来週はマァムVSアルビナス戦かと思うと、わくわくっ。
 しかし、予告でアルビナスの本体と、マァムの鎧化の姿をバラしちゃってますが!?(笑) 最近、ネタバレをやらなくなったなと感心していたら、不意にぶっ込んできますね。

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