『破邪の秘法』(2021.4.30)

  

《粗筋》
 
 師に向かって『あんたは弱い』と暴言を吐くヒュンケルに、ダイは驚きに目を丸くする。

ダイ「せ……先生が弱いだって……? 突然、なに言い出すんだよ、ヒュンケル?」

 目を伏せ、ヒュンケルは言葉通りの意味だと言い切った。アバンの弱さを指摘し、最後の戦いに参加しても無駄に命を落とすだけだとまで言う。
 それを聞いて、動揺してヒュンケルをたしなめるマァム。ポップはせっかく助けに来てくれた先生への暴言に、憤慨する。

 だが、ヒュンケルはポップに対して冷静に、アバンの力がバーン達に通じると問う。
 それに対し、息を飲むポップ。

ポップ「つ……っ、通じるに決まってるじゃねえか!」

 しかし、ヒュンケルはアバンがかつてのハドラーに敗北したことを例に挙げ、戦況の進み具合から見てアバンの力が不足している事実を淡々と語る。
 自分達とアバンの戦力差を語るヒュンケルを、心配そうに見つめるマァム。
 が、ポップはそれを聞いて怒りを露わにする。

 ヒュンケルはアバンに顔を向け、今のハドラーに勝てそうに見えたかと問う。そして、答えを待たずにダイに目を移し、ハドラーに勝った現勇者のダイを引き合いに出し、先代勇者と現勇者の戦力差を問いただした。

 白く光る眼鏡の奥に感情を隠し込んだアバンは、単純な戦闘力ではダイの半分以下だと自分の戦力を冷静に分析する。
 不安そうに、それを聞いているダイ。

ヒュンケル「さすが元勇者……正確な分析だ」

 目を伏せ、露悪的な笑みを浮かべるヒュンケルに、ポップがつかみかかる。マァムがポップの名を呼ぶが、彼はそれさえ耳に入っていない様子だ。

ポップ「やめろぉっ! てめぇ……っ、何を意地を張ってんだよ!? 本当は誰よりも一番、先生に泣きつきたかった癖にッ!!」

 ヒュンケルの両腕を掴み、相手を揺さぶりながら感情のままに怒鳴りつけるポップ。それに対し、ヒュンケルは目を伏せたままで抵抗一つしない。
 力の差よりも、アバンが自分達を助けに来てくれたことを重視するポップに、ヒュンケルはどこまでも淡々と答える。

ヒュンケル「気持ちだけでは勝てん……」

 どこまでも淡々と、ヒュンケルは事実を口にしただけだと言う。今のアバンはダイや自分どころか、ポップ以下だと評するヒュンケル。
 それに激昂し、ポップは拳を握りしめてヒュンケルに殴りかかろうとした。が、飛び込んできたマァムがポップの腕を抱え込んで止める。

ポップ「マァム……!? おまえ……」

 心配そうなマァムの顔を見て、ポップは少しは冷静さを取り戻したのか、振り上げた拳を収める。
 そして、自分からヒュンケルの腕を放した。
 ポップが落ち着いたのを見て、マァムもまた、ポップから腕を放す。

 憮然とヒュンケルを睨むポップに、心配そうに彼を見るマァム。
 そんな二人の目の前で、ヒュンケルは仲間に背を向けて数歩先に進む。実力で劣るアバンをリーダー扱いするのなら、自分はもう共に行動しないという拒絶の意志を見せるヒュンケル。
 そんなヒュンケルに向かって、マァムは彼を説得しようとする。

マァム「ヒュンケル……アバン先生に対して素直になれないのは分かるわ。でも……!」

 マァムの呼びかけさえ拒むように、ヒュンケルの背中は微動だにしない。ポップはヒュンケルの言葉を駄々っ子と決めつけ、不機嫌にほっとけと言い放つ。

 アバンは穏やかな口調で、ヒュンケルの言い分を認め、その上で説得しようと話しかけようとする。
 しかし、その時、ヒュンケルが振り返ってアバンを見た。
 その目を見て、動きを止めるアバン。

 何かを悟り、真顔になって小さく頷くアバン。
 また、背を向ける弟子をアバンはジッと見つめる。あたかも、世界に二人きりでいるかのようにmヒュンケルとアバンは並び立っていた。
 やがて、アバンは何かを思いきるように軽く目を閉じた。

アバン(ヒュンケル……あなたは……)

 マントを翻し、アバンは勢いよく振り返った。そして、みんなに先に進むように促し、ヒュンケルから離れて歩き出す。
 それにダイは驚き、ヒュンケルとアバンを交互に見る。ダイは止めようとしてかアバンに話しかけるも、彼はヒュンケルの意思を尊重したいとだけ言い、そのまま振り向かずに歩き続ける。

 アバンの後を、静かに追うレオナ。
 ふてくされたような態度で、ポップもアバンを追う。ポップに続こうとするマァムは、明らかにヒュンケルを気にしていた。が、それでもポップの後を追って動き出す。

 ダイは心配そうなゴメちゃんをなだめるように、ヒュンケルは大丈夫だと声をかける。

 一方、先に歩き出したマァムは足を止め、気がかりなようにヒュンケルを振り返る。そんな彼女に、ヒュンケルもすぐ追ってくるからとダイは励ました。

マァム「う……うん……」

 納得し切れていない表情ながらも頷くマァム。ダイとマァムは、先に進んだ三人に追いつくべく、駆け足で追いかける。
 仲間が全員去った後、ヒュンケルだけがぽつんとそこに取り残された――。







 その頃、水晶越しに地上の光景を眺めていたバーンは、岩山の間を弾けるように飛び交う光の球を眺めていた。
 それは、ロン・ベルクとミストバーンが戦っている姿だ。
 声に出してミストバーンに呼びかけるバーン。

 即座に、ミストバーンからの返答が戻ってくる。
 バーンはわずかに苛立ちの感じられる声で、早く自分の元に戻ってこいと促す。






 地上でロン・ベルクと戦っていたミストバーンは、一旦離れてロン・ベルクと対峙する姿勢を取る。
 だが、それでいながら、ミストバーンは念話でバーンと会話を続けていた。

 バーンは、アバン復活という驚くべきニュースをミストバーンに伝える。
 それに当惑を感じつつも、アバンにバーンを脅かすほどの力は無いと考えるミストバーン。

 だが、そんなミストバーンをバーンは一喝する。

バーン「たわけ!」

 バーンの怒りと同時に、サイドテーブルに載せられていたワインが砕け散った。それに驚き、目を一瞬光らせるミストバーン。
 ワインの瓶の破片が散らばる床に、血のように赤いワインの水たまりが広がる。

 その中に、バーンの目が映り込んでいた。
 ジワジワと酒の染みが広がっていく中、バーンはアバンとダイならダイの方が力は上だが、アバンには力以上の不安要素があることを語る。
 だからこそ、ハドラーに真っ先に抹殺を命じたと明かす。

 自分の信じる強さとは異質の強さを感じさせるアバンを生かしておけば、アバンの使徒の力が異常に増幅されることを懸念するバーン。

 キルバーンはどうしたのかと問うミストバーンに、バーンは軽く目を伏せる。
 同じバーンの名を冠していても、ミストバーンとキルバーンは違うと断言するバーン。
 キルバーンの使命は、バーンの警護ではない、と。







 その頃、キルバーンは城の中とおぼしき場所をピロロを連れて、歩いていた。






 バーンはキルバーンを、誰かの命を奪うことしかしないと評した。
 アバンは切れる男だが、一つミスをしたと語るバーン。






 その頃、キルバーンはとある扉の前に立っていた。






バーン「それは……半端に奴を傷つけたことだ……!」

 かすかに笑いを含んだ声で、そう言ってのけるバーン。







 その時、キルバーンは扉を開けていた。
 薄暗い扉が開かれ、多数の仮面がかかったクローゼットが現れる。ピロロはさも憤慨したように、お気に入りの仮面を壊したアバンの悪口を言っていた。
 その隣で、キルバーンは一つの仮面に手を伸ばした。

 それを、顔にはめるキルバーン。
 影になっているせいで容貌は分からないながらも、据わった目がだけがくっきりと見える。






 バーンは、キルバーンは今後、放っておいてもアバンだけを狙うと予測している。
 バーンはミストバーンに、アバンを得て勢いに乗っているダイ達を止めるように命令を下す。
 間髪入れず、それを承知するミストバーン。







 バーンとのやり取りを終えたミストバーンは、ロン・ベルクと相対している現実に視点を戻す。

ミストバーン(だ、だが……)
 
 落ち着き払ってミストバーンを眺めるロン・ベルクが、そこにはいた。






 同じ頃、ダイ達はアバンを先頭にしてバーンパレスを走っていた。レオナはダイに寄り添い、彼を支えるようにしている。
 だが、走りながらもマァムは不安そうに後ろを振り返っている。そんなマァムを気にして、振り返るポップ。

 ヒュンケルが悪いと憎まれ口を叩くポップだが、マァムはヒュンケルが自分の都合だけであんなことを言うとは思えないと、憂い顔だ。

 足を止め、アバンがそれを肯定する。
 その言葉に驚き、足を止めるダイ達。アバンの言葉の意味を図りかねて戸惑うダイに、アバンは自分達が城の入り口まで行ったなら、ヒュンケルは恐ろしい敵に囲まれるだろうと教える。

 それに驚く一同。
 動揺しつつも、何を言っているんだと、アバンを問い詰めようとするポップ。
 だが、レオナがたまりかねたように口を挟む。

レオナ「バカね、ポップ君!! まだわからないの、彼の気持ちが!」

 竜騎衆との戦いの時にあなたもやったことだと、非難を含ませて声を張り上げるレオナ。
 それを聞いて、ポップはようやく思い出す。
 テランでの地下牢でダイ達を裏切った風を装い、単身、戦いに飛び出した時のことを。

ポップ「まさか……っ」

 ハッとして、振り向くポップ。
 その瞬間、バーンパレスのある塔じみた部分の窓から、光が射出される。それに一つや二つなんて物でなく、無数に近い数の光が一斉に打ち出された。
 その光は狙い澄ましたように、先程までダイ達が居た場所へと集まる。

 驚きに、目を見開くダイとレオナ。
 思わずのようにヒュンケルの名を絶叫するポップ。
 土煙を立て、無数の光がヒュンケルの前へと着地する。その背を、じっと見つめるアバン。

 ずっと背を向けたままだったヒュンケルは、ゆっくりを片手を上げる。その手は、確かに親指を立てていた。

 ヒュンケルの元へ駆け戻ろうとするポップ。だが、その肩に手を置き、止めたのはアバンだった。
 落ち着いた声で、アバンはヒュンケルの心意気を受け入れるように、ポップを諭す。

 ヒュンケルはアバンの真の力を見抜き、この先のバーンパレス攻略に彼が必要だと思ったからこそ、自分が追撃を抑える役を買って出た。
 しかし、本当のことを知ったら、仲間がヒュンケルを一人で戦わせないと分かっていたからこそ、ああ言ったとアバンは見抜いていた。

 アバンはそれを最初から知っていたのか、と問うマァム。アバンはそれに力強く頷く。
 一目で分かったと語るアバンの目尻には、涙が浮かんでいた。

 心にもない言動を取って師を困らせる時は、昔ならあんな目をしていたと、一番弟子の過去を懐かしむようにアバンは語る。
 こぼれ落ちそうな涙を抑えるように、アバンは空を仰ぐ。







 一方、立ち尽くすヒュンケルの前からは、下品な笑い声が聞こえていた。
 煙が薄れる中、姿を現したのは見るからに恐ろしげなモンスター達……しかも、並の怪物と違って知能が高いのか、明らかにヒュンケルを嘲笑っている。
 だが、ヒュンケルは恐れる様子も見せず、拳を強く握りしめて言い放った。

ヒュンケル「さあ、こい……この場は一歩も通さない……!」






 ヒュンケルを残し、残りのメンバーは目的である城めがけて走って行く。
 その最中、ポップは心の中でヒュンケルを罵っていた。
 
ポップ(……あの野郎……あいつはいつもいつも、こうだっ!! 人を見下して、子供扱いばかりして、なにもかも分かったような顔をしてッ! 一人でいいところを全部攫っていってッ!! 今度会った時には、絶対ぶっとばしてやっからな……だから、死ぬんじゃねぇぞ、ヒュンケルッ。必ず、生きてろよなッ!)

 激しい罵倒とは裏腹に、ポップはひどく辛そうな表情で後ろを気にしながら走っていた。







 だが、ずっと仲間に背を向けたままのヒュンケルが、それを知ることはない。
 ヒュンケルの目の前には、ロロイの谷に現れたのと同種の怪物達が群れを成していた。

ヒュンケル「現れたな。魔界のモンスターども……!」

 モンスター達はたった一人で立ち向かうヒュンケルを嘲笑い、ダイ達が向かった外壁に入ることが出来ないとも言った。

 だが、ヒュンケルはそんなことは心配ないと、さらりと言い切る。
 驚く怪物達に、ヒュンケルはおまえ達は全て自分が倒すと言い、さらに先に行った連中は何があっても止めることが出来ないと断言する。

 ヒュンケルの言葉に、怒り狂う怪物達。
 複数の怪物がヒュンケルに襲いかかる。が、ヒュンケルは腕から槍を引き抜き、横凪ぎに一閃した。

 血飛沫が飛び散り、怪物達がバタバタと倒れる。
 それを見て、さらに怒りを強めた怪物らは怒号を上げた――。







 走りながら、心配そうに後ろを振り返るマァム。ポップも戦いが始まったみたいだと、後ろを気にしている。

 アバンは振り返らないまま、ヒュンケルに対しての修行が彼の血肉になっていることを語る。
 ヒュンケルはアバンの教えた敵陣突入の鉄則を、忠実に守っている。

 敵の本拠地に侵入する時は、後続の追い打ちを断つのが大事だとアバンは教えた。先陣が消耗した際、後ろから挟み撃ちになった時こそが一番危険……それを防ぐために、最後尾にも強力な仲間を配置しなければならない。

 先程まではアバンが殿を務め、キルバーンの追い打ちを食い止めていたと聞き、ダイやポップは初めてそれを知って驚く。
 だが、ヒュンケルにはそれを気づかれていたのか、役目を変わるように買って出たのだという。

マァム「じゃあ、さっきはやっぱり……!」

 先程は呪文で追いついたことを白状するアバン。
 新しく身につけたリリルーラという呪文について、説明する。ルーラの亜種で、迷宮で仲間がはぐれた時に使う秘呪文だとの解説を聞き、レオナは『迷宮』という言葉に強い反応を示す。

 何かに思い至り、アバンが今までどこに居たのか悟った様子のレオナの質問を、アバンは振り返り、軽く頷くことで封じる。
 その時、ダイが声を上げた。

 目の前には、巨大な門が立ちはだかっていた。
 全員が足を止め、その門を見上げる。

ポップ「でっけえ……!」






 門を見上げるダイは、この門がバーンパレスの入り口にあった魔宮の門にそっくりだと言う。ダイとバランで壊した門の事かと、確認するポップ。

ダイ「もしかしたら、あの門より強力かもしれない」

 ダイの発言に、ここまで来て立ち往生かと大仰に嘆くポップ。
 だが、その時、アバンが自信満々に自分の力を見せると言った。ヒュンケルが殿に徹し、自分に先陣を任せた理由を見せると発言するアバン。
 修行で身につけた新しい力と言い切るアバンに、ダイ、ポップ、マァムは驚きを見せる。

 あれからずっと修行をしていたと語るアバン。
 カール王国の破邪の洞窟の奥深くで修行したと知り、さらに驚くダイ達。マァムの方を見て、レオナ達がミナカトールを手に入れた場所だと確認するダイとポップ。

 驚く三人と違い、レオナは察していたのか「やっぱり」と呟く。
 レオナはアバンが、自分達よりももっと深い階に潜り続けていたことを、確認するかのように問いかける。

 みんなに背を向け、門の方を向いたまま、アバンはあの日、起きたことを語り始める。
 ハドラーに敗れた日、カールの守りで一命を取り留めたとは言え、メガンテの影響で上空高くに舞い上げられた、と――。







 
 海の上に、仰向けに浮かんでいる傷だらけのアバン。
 明るい青空の広がる中、意識を取り戻した後で、アバンはカールの守りにより命を救われたことを知ったと言う。

 






 振り返り、ダイとポップに呼びかけるアバン。
 真顔でアバンを見返す弟子達に、あなた達の旅立ちを見ていたのだと告げる。







 デルムリン島。
 怪物達がそろって海の方を見つめる中、傷ついて髪も乱れたままのアバンが、木陰に現れる。
 木によりかかりながら、海の方を眺めるアバン。

 そこには、小舟で船出しようとするダイと、それを追いかけるポップの姿があった。
 浅瀬を走って船に近寄るポップに、手を差し伸べるダイ。二人の手が、しっかりと繋がれる。

 ダイが帆を操り、ポップがオールを手に船出する姿。
 二人とも、楽しそうな笑顔を浮かべていた。

 その時、名乗り出て、冒険を共にすることは簡単だった。だが、それはアバンには出来なかった。
 弟子の成長を促したいと思う気持ちもあったが、なにより、自分の無力さが許せなかったからだ。

 この時、アバンはダイの潜在能力が自分以上だと気づいていた。
 決意を決めたアバンは、傷を癒やしもせずそのままルーラで空へと飛び上がった。
 このままでは弟子の成長の足を引っ張るだけ……そう考えたのだ。






 舞台は、現実のバーンパレスへと戻る。
 一列に並ぶ弟子達の前で、アバンは自分が心身を鍛え、自分だけの新能力を身につけなければ、あなた達と戦う資格はないと考えたことを打ち明ける。







 再び、回想。
 夕日に染まる森に、ルーラの軌跡が降ってくる。
 竜の顎を思わせる特徴的な入り口は、一目で破邪の洞窟だと分かる。そこに、大きなリュックサックを背負い、剣を腰に下げて入っていくアバン。一番得意とする破邪の力を鍛えるため、破邪の洞窟を修行の地と決めたのだ。

 暗い洞窟の中、手から魔法の光を出して松明代わりにして進むアバン。一人、階段を降りていく。






 再び、現実のバーンパレス。
 力は無くても、必ず大魔王バーンとの戦いの役に立てるよう修行していたという話を聞いたダイは、事情を知って納得した。
 ポップも、アバンが自分達を見て見ぬふりをしたわけではないと、受け入れる。

 マァムは必死の努力をしていたアバンに、揺る素を通り越して尊敬の念を抱いている様子だ。







 回想。
 それから数ヶ月の間、究極の破邪呪文を求め、破邪の洞窟に挑み続けていたアバン。
 洞窟内で巨大ゴーレムと戦い、倒した時の記憶。

 ある時は、襲いかかるサイクロプスを返り討ちにもした。
 いつもは身だしなみを整えているアバンも、無精髭が生えてしまうような過酷な状況下で進撃は続く。

 地下50階を超えるとさしたる呪文も無くなり、迷路の複雑さだけが増していったという。
 まるでワープするように変に場所が移動する洞窟内を、歩くアバン。







 現実のバーンパレス。
 回復道具や食糧も尽きかけ、世にも恐ろしいトラップが待っていた――と、ノリノリで語っていたアバンは、両手を軽く広げ、武勇伝は今度にすると話題を変えた。

 要約すると、地下に行くほど知恵が試される洞窟だと言う。
 レオナ達がミナカトールを使ってくれたおかげで、最後の戦いが近いことが分かったというアバン。

 あれは何階だったのかと問うアバンに、レオナは25階だと答え、アバンのその時の居場所を聞く。
 少し考える素振りを見せたアバンは、地下150階だったかと答える。予想外の深さに、驚く一同。

 人間では新記録だとおどけながら自慢するアバンに、一同はそろって目を伏せ、ため息を漏らした。ゴメちゃんすら、その場で下に落下する。

 そんな弟子達の気も知ってか知らずか、門へと向かうアバン。ふざけた調子から気迫を一変させ、本気になる。

アバン「さぁ〜て……じゃあ、一発行ってみましょうか!」

 門を見上げたアバンは光る羽を取り出し、空中に円を描くように配置する。
 それに見入るダイ達。
 丸い円の上に5つの羽が等間隔に置かれ、光り輝く。

 これがアバン先生の破邪呪文と、息をのんで注目するレオナ。ダイはそれを見て、小さく頷いた。







 その頃、ヒュンケルは単身、戦いの中にいた。
 吠えながら槍を縦横無尽に振り回し、襲いかかってくる怪物らを倒していく。全く無駄のない規則的な攻撃の最中、ヒュンケルはアバン達が入っていった入り口が光り輝いたのに気づき、手を止めて振り向いた。

ヒュンケル(やはり、思った通り……! アバンは破邪の力を……!)

 その光に、怪物達も驚きを見せる。







 門の前では、光はより一層眩く見える。
 その光を見ながらも、マァムにはミナカトールよりも強い破邪呪文など、想像もつかない。

 それに対し、ポップは軽い調子で地下150階で得た呪文なら、地下25階のざっと6倍はすごいと計算する。
 と、アバンがそちらに顔を向けてたしなめる。

アバン「そんな単純な計算では、答えは出ませんよ」

 思わずずっこけたポップに、アバンはミナカトールより強力な呪文はないという。もっと深い階ならともかく、自分が降りた階まではないと断定するアバン。

レオナ「じゃあ、その呪文は……?」

アバン「これは、呪文ではありません。破邪の秘法です」

 指を立て、真顔でそう言うアバンに、レオナはオウム返しに聞きかえす。が、アバンは論より証拠とばかりに陣の前に立ち、見ていなさいと弟子達に言った。

 両手を握りしめてから組み合わせたアバンは、気合いを共にその手を前に伸ばした。
 アバンの気迫に応じて、羽と円が光りだす。

 その輝きに、ダイとレオナは驚くばかりだった。ポップはマァムも、目を見張る。

 身がまえたアバンの前で、円を繋ぐ羽が魔法陣を描き出す。

ダイ「ミナカトールみたいだ……!」

 ダイの言葉をきっかけに、レオナはハッと気がつく。

レオナ「そうか……そうだったのね、破邪の秘法って!」

 レオナの言葉を聞いて、そちらに顔を向けるポップとレオナ。

 呪文そのものではなく、呪文の破邪力を増幅させる秘術だと看破するレオナ。レオナは答え合わせを求めるように、アバンに目をやる。

 それに対し、アバンは軽い口調で肯定した。
 この秘術と併用すれば、破邪系の呪文の効果が最大級に高まると言うアバン。
 
 先程ポップを救った時は、バリアー無効化の呪文、トラマナを極大化したのだと説明する。

 ハドラーと共に救われた時のことを思い出し、あの威力がトラマナだったと驚くポップ。

アバン「そして無論……これから扉めがけて放つ呪文は……」

 気合いを入れるアバンの身体から、白い靄じみた光が立ち上る。

ダイ「わかった! 扉を開く呪文……」

アバン「アバカム!」

 魔法陣の羽が光と鳴って飛び出し、門へと向かう。小気味よい音を立てて、羽は5つとも扉に突き刺さった。
 まだ、魔法を撃ちだす姿勢を保ち続けるアバン。

 その目の前で、扉にささった羽から放たれる光が繋がって円となり、目も眩まんばかりの光を放つ。
 そのまぶしさと、噴き上がる風に、目を瞑って腕で顔を庇うダイ達。

アバン「開け! いにしえより閉ざされし、魔の扉よ」

 アバンの呪文と同時に、門に魔法陣がくっきりと浮かび上がる。
 その光を見て、ポップはあの時と同じだと改めて実感する。

 光はやがて薄れ、魔法陣は色を失っていく。光る羽だけが取り残されるが、その光も余韻を残して消えていく。
 それと同時に、扉が自動的に開く。

 誰も触れていないのに、自動的に開いていくとビラを見て、ダイは2、3歩足を進めた。

ダイ「ああぁ……」

レオナ「開いていく……」

 驚くダイ達の目の前で、扉はゆっくりと開いていった。







 扉の開く音は、橋脚にいるヒュンケルや怪物達にも聞こえていた。
 そんな馬鹿なと動揺する怪物達。彼らはバーンの城への門が開いたことに衝撃を受けるが、ヒュンケルはわかりきっていたとばかりに落ち着き払っていた。

ヒュンケル(さすが……我が師アバン!)

 後ろの方を見ていた目が、真正面の敵へと向けられる。

ヒュンケル「さっき言った通りだ! アバン達はッ、誰にも止められない!」

 バーンパレスに、大きなどよめきが響き渡った――!


 


《感想》

 冒頭のスポンサー提供時の映像で、並んで立つアバン先生とヒュンケルに感動! ヒュンケルの身長が、アバン先生よりも少し低いと初めて知りました! 原作ではなかなか並ぶことのない二人でしたからねー。
 今回はまさに、ヒュンケルとアバン先生の見せ場回ですね♪

 ヒュンケルの台詞が原作では『あんたの力の底が見えた』と、ちょっとひねった貶し文句だったのに対し、アニメではストレートに弱いと言っちゃっていますが、それを受け手のダイの台詞の変更されています。

 戸惑うダイのすぐ横に、浮かんでいるゴメちゃんが可愛い!
 原作では、コマが狭くなると存在が忘れられがちなゴメちゃんですが、アニメではなんだかんだで誰かの側にいつもくっついていてくれるのが嬉しい点です。

 ダイ達の反応は、声優さんの演技もあって動揺具合や個性がはっきりと見えたのも面白かったです。

 ダイは驚いてはいますが、特に感情を見せずに疑問を口にしている印象。
 こんな時、本当にダイは思考が中立というか、ブレがないなと感じます。

 マァムはヒュンケルの発言にただ動揺しています。この中で、一番動揺しているかもしれません。彼女にしてみれば、ヒュンケルとアバンの対立は想定外だったんでしょう。

 ポップは明らかにアバンの味方側に立ち、ヒュンケルを非難気味です。
 そして、レオナは口を出さずに静観しているという立ち位置に、それぞれの個性を感じます。

 アバンの実力について、ポップが言い返すのはアニメの改変ですね♪
 原作ではポップは、ここで黙り込んでいます。彼は内心では、ヒュンケルの意見が正しいと認めてしまっているのでしょう。

 が、アニメでは踏ん張って、アバン先生の援護をしていますね。
 だけど、本心からそう思っているのでは無く、意地をはって言い返す感がすごく気に入りました! ええ、ポップならアバンへの思慕とヒュンケルへの反発から、つい言っちゃいそう(笑)
 理性よりも感情に流されるポップらしい台詞だと思いました。

 対して、ヒュンケルの語りは淡々としていましたね。
 原作では、もっと強く非難している印象だったのですが(台詞末尾にほぼもれなくついている『!!』マークなどの影響)アニメでは、随分と落ち着いている感じです。

 ヒュンケルの長台詞の最中、彼の頭部のヘッドギア辺りをアップにした画像に妙に感心しました。たまに原作にはない角度からのカットが混じっているのって、レアガチャゲット感覚にワクワクします。

 ヒュンケルがアバンに、今のハドラーに勝てたかと問うシーン、原作ではアバン先生は首を振って否定していましたが、アニメではカットされていましたね。

 感情的に怒り、アバン先生を無条件に擁護するポップと、心にもない演技でアバンを貶すヒュンケルとのやり取りが実に良かったです♪

 感情から物事を見るポップは、ヒュンケルの奥底の気持ちを見抜いているせいで、怒りと彼に対する擁護がごっちゃになっている感覚があったのですが、アニメだと声の演技でそれをさらに強く感じました。

 ただ怒っているのではなく、感情に反した行動を取る兄弟子への憤りや戸惑いも混じっている感じがいいですね。

 しかし、原作ではこのシーン、ポップはヒュンケルにしがみついていると受け止めていたのですが、アニメではめっちゃ揺さぶっていました。でも、揺らぎがたいしたことなくて、ヒュンケルは気にしていなさそうなのに笑っちゃいましたが(笑)

 殴ろうとしたポップをマァムが止めるシーンで、心配そうなマァムのアップと、それを見てポップが表情を緩めるシーンは、アニメの改変です。
 この細やかな表情変化、いいですねえ〜。

 ポップが自分からヒュンケルの腕を放したのも、その後でマァムがポップの腕を放すのも、ホッとする改変です。

 原作では次のコマではマァムがポップの腕を抱きかかえたまま、ヒュンケルが身を翻しつつ少し離れた場所にいるので、彼がポップの手を振り払ったのかとも思えるシーンでした。
 
 まあ、ヒュンケルが本気でポップを払いのけたら結構ダメージがありそうなので、ポップが自主的に手を離すのが一番無難だと思います。

 ついでに、ヒュンケルは目を閉じるまま全く避ける素振りも見せませんでしたが、このままポップが殴りかかっていたら、ダメージを受けるのはヒュンケルじゃなくてポップだった気がしてなりません(笑)

 マァムのヒュンケルへの説得シーン、原作寄りもセリフが削られていました。原作では『ど……どうして、急にそんなことをいうのッ!?』と、彼の気持ちを全く理解しないまま説得しようとしているので、正直、アニメのようにこの部分が削られていた方がマシな気がしますね。

 ヒュンケルがアバン先生を振り返るシーン、アバン先生の眼鏡に一瞬、赤い光がサッと走る演出はアニメの改変ですね。
 何かに気づいた演出、こんな風にやるとは。

 アバン先生とヒュンケルが並び立つシーン、原作よりも距離が近く、また、ほぼ横並びなのが嬉しかったです。
 また、二人の距離が近かったため、アバンがマントを翻して後ろ向きになった際、背中合わせに佇む師弟カットが実演されたのには感動しました!

 原作ではすぐにアバンが離れてしまったので、見ることが出来なかったシーンだったんですよ〜。ダイとバランが背中合わせに立っているシーンも良かったですが、アバンとヒュンケルの背中合わせも見てみたかっただけに、アニメで見られて良かったです〜っ。

 ヒュンケルを置いてアバンが立ち去るシーン、アニメではレオナが振り向きもせずにそれを追う改変がされていますね。原作ではレオナはちらっと後ろを気にする素振りを見せているのですが、アニメではきっぱりしているようです。

 面白いのが、マァムの変化。
 原作ではポップが先に進んだ後もマァムはその場にとどまり、ヒュンケルを気にしていました。ダイに促されてから、ようやく動き出しています。

 が、アニメではマァムはヒュンケルを気にしつつも、ポップが動き出したらすぐにその後を追いかけ、それでいて途中で足を止めてヒュンケルを振り返っています。
 このポップとヒュンケルの間での迷いっぷりが、恋愛の三角関係を象徴しているっぽくて楽しいところ♪

 ダイの励ましに、マァムが頷くのもアニメの改変ですね。
 原作ではマァムは無言のままで、頷いてさえいません。ヒュンケルを気にするせいでダイの気遣いに対する対応について、原作とアニメで差が生じています。

 ヒュンケルとダイ達が分かれた段階で、場面転換を持ってきたのは驚きました。原作では、ヒュンケルの活躍シーンが一通り終わってから発生するバーン様シーンがこんなにも早く登場するとは!

 バーン様が普通にミストバーンに話しかけていたのに、ビックリです。
 原作ではわざわざ吹き出しを変え、字体も変えていたため、てっきりここはエコーを効かせたテレパシー的な声を出すなり、色自体を変えてこの会話時間が特別だと示す演出が入るかと思ったのですが。

 バーンに話しかける際、背景が暗くなるなどの演出は入りましたが、声音はそのままですし、周囲の光景も普通っぽ過ぎてミストバーンが動きを止めている間、ロン・ベルクはどうしたのかとツッコみたくなります(笑)
 
 ミストバーンを呼ぶバーン様が、ちょっとイラッとしている感じなのが意外でした。もっと飄々としているかと思ったのですが、次々と予想外な事が続いたせいか苛立って来たみたいですね。
 
 逆に、ミストバーンがアバン復活に対して驚いていないことも意外でした。もっと驚くかと思っていたのに。
 あれだけハドラーを気にしていたのだから、ハドラーが気にしまくっていたアバンを警戒しても罰は当たらないのにと、ついハドラー寄りに文句を言いたくなりますね。

 バーン様が怒った瞬間、ワインの瓶が割れるのはアニメの改変です。
 しかし、ワインの水たまりが徐々に広がっていく中にバーンの顔が映り込む演出はホラーっぽくもかっこよくて良かったですが、あれ、どこからワインは増えているのか気になりますね(笑)

 近くに半壊した瓶があればどこからこぼれたのかと納得もしますが、周囲には完全に砕け散った欠片しか散っていませんでしたし。床からにじみ出る仕様なのかと、悩む一瞬でした。
 次のシーンで上から見たら、ワインがこぼれた範囲が滅茶苦茶広かった上、染みの形自体が全然違うのですが(笑)

 それはさておき、バーン様の台詞の改変を発見。

原作バーン「ダイたちアバンの使徒の力が異常に増幅されそうな……そんな気がする……」

アニメバーン「アバンの使徒の力が異常に増幅されるだろう」

 原作ではあやふやなのに、アニメではきっぱりと言い切っていますね、バーン様(笑)
 また、原作ではあくまでダイだけを特別視していますが、アニメではアバンの使徒は全員一絡げにしている印象です。

 バーンがキルバーンに対して語るシーン、キルバーンが廊下を歩いたり、ウォークインクローゼット(?)を開くシーンと重ねていた改変はいいですね。
 原作ではここでバーン様は杯を手にしていましたが、アニメでは大きく改変されています。

 アバンがキルバーンを傷つけたと言うシーン、含み笑うような声が印象的でした。さりげにアバンをディスっていますね。

 キルバーンの素顔、見えそうで見えない……っ!
 そして、カラーで見ると一層、キルバーンの仮面がどれもこれも趣味悪いと実感しまくりです。

 原作では仮面は並びから見て36種類登場しているのですが、キルバーンの身体が邪魔になるので形をしっかり確認できるのは20程。後は、一部が見えていればいい方ですね。

 なんか、思った以上に派手な色合い……っ。
 それに扉が開くシーンには、原作に無かった仮面も混じっています♪
 個人的には、太陽の塔を思わせる仮面の下にあった、ウ○ーズマンに○ッファローマンの角をつけたような仮面が気になりました(笑) 
 アニメでは、どうやら仮面の数が原作以上に多そうな気がします。

 キルバーンが仮面を手にするシーン、壁側からの視点から手が伸ばされてくるシーンが印象的でした。
 仮面を顔にはめるシーン、左右逆転になっていましたね。

 バーンからの命令が終わり、夢から覚めたように現実に戻ったミストバーンの前に立ちはだかるロン・ベルク、カッコいいです!
 原作ではここでザボちゃんが割り込んできてすが、アニメでは地上の様子はここで一旦切られるようですね。

 ヒュンケルが敵に襲われるという話をする際、アニメではアバンもダイ達も足を止める改変がされていました。
 原作ではヒュンケルを気にしてポップが振り向くシーンで初めて足を止めるのですが、アニメではアバンが率先して足を止めています。

 まるで、これ以上進むのを恐れているような印象で、アバンのヒュンケルへの思いやりを感じます♪

 レオナのポップへの糾弾は、前にポップに騙されたことへの怒りも含まれている印象で、すごく良かったです。
 回想シーンとして、セピアがかったテランのシーンが流されたのも、嬉しいポイント♪

 ヒュンケルが片手を上げるシーン、原作ではVサインだったのが、アニメでは親指を立てたサインに改変されていました。

 Vサインは勝利を意味するサインですが、原作の手の上げ方はかなり控え目で、個人的な解釈ですがヒュンケルが自分は勝つと意思表示しているのでは無く、おまえ達の勝利を祈っていると言う意味かと思っていました。

 自分はここで死んだとしても、先に進むダイ達の勝利を信じ、祈るという意味かと思い、ヒュンケルが死ぬつもりなのかと感じたんですよね。
 が、アニメでははっきりと親指を立てていました。
 これだと『ここは自分に任せろ』と力強くアピールしている印象を受けましたよ!

 ヒュンケルの身体を紫色の靄が覆っているようなぼやかした表現が、すごく綺麗でした♪
 原作のトーンを張り、輪郭をわずかに削るという演出をアニメ風にアレンジした感じですね。

 アバンがヒュンケルの真意を説明している間、レオナが辛そうな表情をしているのが良かったです。
 彼女にしてみれば、事情はきちんと理解できていたというのに結局ヒュンケルを止められず、ポップの時と同じ轍を踏んだだけに、心に刺さる物が大きそうです。

 アバンがヒュンケルのことを語るシーンで、アバンが涙を堪えるように空を仰ぐシーン、良かったです! 原作では普通に涙をこぼしているのですが、アニメではアバンはヒュンケルのために、いろいろと堪えているんだなと思えるシーンでした。

 アバンがヒュンケルを『あの子』と呼ぶ声音が優しくて、別れた時がヒュンケルが幼い頃だっただけに、アバンの無意識下の中での彼は、その頃のままな印象でいいですね。

 敵を防ぐと決めた、ヒュンケルの決意を秘めた表情がかっこいいです♪
 その後、ポップが走りながらヒュンケルのことを心の中で罵るシーン、床が動いて移動している感を出したシーンが印象的でした。

 ポップがヒュンケルを心の中で罵るシーン、台詞が少しだけカットされていましたが、ほぼ全部しゃべってくれたのが嬉しいです。
 ちょっと震えがちで、泣きそうな声で罵っているのがいいですね。

 それにしても、アニメだと怪物達がめっちゃカラフル(笑)
 シリアスシーンなのに原作の白黒表現の重厚さがないのが、ちょっと残念です。

 ゲーム準拠のカラーに拘るのもいいですが、もう少し、もう少しでいいから色合いを暗めにして迫力アップして欲しかったですよ〜。
 ド紫と黄緑の組み合わせとか、鈍いピンク色とか、寄りにより抜いたようなキワモノ色彩モンスターが多いのがもう……目に痛い(笑)
 炎の戦士と氷の戦士の髪のグラデーション加減は好きですが。

 そう言えば、ヒュンケルの台詞が原作では「魔界のバケモノども」だったのに、改変されていますね。

 ヒュンケルを「このガキめ」と罵る台詞、原作ではヘルバトラーのものだったのに、アニメではよりによってヒュンケルよりも幼い外見に見える炎の戦士の台詞に変わっていたのには爆笑しました♪ 

 アバン先生の戦術説明はほぼそのままだったのに、ポップのリリルーラへの感想がまるっとカットされたのが残念です!

原作ポップ「……そうか!! よく魔王軍のヤツらがフッと消えちまう事があるけど、その呪文だったのか……!」

 ポップが密かに魔王軍の使用魔法に興味を抱いていることが分かる台詞で、地味に好きだったのに欠片もなくなっていましたよー(泣)

 門を見てポップが驚く台詞が追加されていましたが、それぐらいじゃ代わりになった気がしないです。
 門を見て驚くところで、CMに繋がったのは意外なシーン切り替えでしたけどね。

 CM後、ダイの門に対する発言が短くなっているのを発見。原作ではアニメの台詞の後に『今度はなにしろ、バーンパレスへの本拠への入り口なんだし……』という台詞が続きます。

 これから察するに、原作ダイは推理により門の強度が増していると考えているようですが、説明のないアニメのダイは直感的、もしくは本能的に感じているだけのような気が(笑)

 力を見せるとマントを翻すアバン先生の正面からの姿、かっこよかったですが、原作の後ろ姿でマントを翻すカットも好きだっただけに、ちょっと残念。
 ダイやポップはマントを着けてもすぐに破けてしまう印象なので、アバン先生のマントアクションは見ていて楽しいです。

 アバンの説明にあわせ、カール王国の光景が写ったのはいいですね。
 多分、昔の牧歌的な光景でしょう。今のカールの荒れ果てた光景をアバンは知っているのかな、とちらっと思いました。

 破邪の洞窟について語るダイとポップが、マァムの方を見るのはアニメの改変ですね。原作では少なくともダイは、レオナの方を見ています。

 アバン先生の洞窟探索について、細かく説明があったのも嬉しいところ。アバン先生が、ダイ達の旅立ちを見送っていたシーンがカットされなかったのに、すごくホッとしました。

 回想として、ダイとポップが手を繋ぎ合うところまでを流した後、原作にあった船出の二人の姿が映し出されたのは嬉しくてたまりませんでした。
 ダイが帆を、ポップが櫂を持つあのシーン、地味だけど好きなんです。アニメでは構図が左右逆転していましたが、楽しそうな雰囲気が変わらずにいい感じでした。

 ダイ達を見送るアバン先生の表情、いいですね。穏やかな表情から、自分の力不足を悔しく思う表情が、実に良かったです。
 それにしても、アバン先生が速攻でルーラしたのを見たのは嬉しい驚きでした♪

 ブラスじいちゃんがアバン先生の復活を知らなかった風だったし、アバン先生がブラスと出会わなかったんじゃないかとずっと解釈していたので、アニメも同解釈だと思うと心強いですね。

 ルーラで飛ぶアバンの真下で、並んで海を見ているダイとポップの笑顔のカットがあったのも、うれしいです。ダイは手に望遠鏡を持っていましたが、二人ともこの時、何を見ていたのか興味が湧きます。

 まだデルムリン島を出たばかりだから、大陸などが見えるには早過ぎますし……イルカなど、珍しい魚(いや、哺乳類なのは重々承知していますが)を見たのに一票です!

 アバン先生、デルムリン島からどこかへルーラし、荷物を一式揃えてから破邪の洞窟に行ったみたいですね。朝出発したダイ達と同時に動き出して、回復して装備を調え、夕方には破邪の洞窟に入ったのなら、ものすごい速さです。
 
 破邪の洞窟に挑むアバン先生の服、色が白で大勇者装束と似てはいますが、胸の紋章の大きさや位置が違うので、別の服みたいですね。
 原作では掛け網がかけられていたので、もっと暗い色合いかと思っていたのですが。

 原作でお気に入りだった、白黒のメリハリの利いたカットが普通のカラーになっていたのは残念です。

 それにしても、アバン先生の衣装ってさりげに三パターンありますね。過去編も入れると、もっと服装パターンが増えますし……レギュラーの中で、ポップの服が一番パターンが少ないことを改めて実感しました。

 破邪の洞窟、色彩がセピアがかった暗めな色合いで、ダークな迫力があって好きです。
 しかし、ゴーレム、妙に大きいですね(笑)

 複雑な迷路化した洞窟、右の穴に入ったアバン先生が、左側の穴から出現していますよ!? え、ワープ床!?
 現実と回想を交互に織り交ぜたアバンの説明が、原作とは微妙に順番が変えられていますね。
 破邪の洞窟の冒険部分を一つにまとめた感じで、見応えがありました。

 150階まで行ったと答えるアバンのおとぼけ顔、超シンプル♪ しかし、ダイ、レオナ、マァムの驚き顔っていつも目がキョトンとして可愛らしいのに、ポップだけは顔芸をしたり、目が点になってたりと、一人だけいつも外れていますね(笑)

 新記録だと威張るアバン先生のギャグ顔……背後がクレヨンで幼稚園児が描いた太陽みたいになっとります、先生っ。

 アバンに呆れてそろってため息をつくシーン、原作にはないアニメの改変ですが、ものすごーーーーーく気持ちは分かりますっ。

一同『先生っ……』

 と、嘆くアバンの使徒らの心の声が聞こえてきそうです(笑) ふんわり落下するゴメちゃん、付き合いがいいですね。

 アバン先生がいってみましょうかと気合いを入れるシーン、アニメでは門を見上げる姿をほぼ真上から見下ろす構図でしたが、原作でやっていた、手袋をピシッとはめ直す仕草がかっこよかったので、ぜひ、やって欲しかったのに……っ(泣)

 閃華裂光拳を使う時のマァムと違い、全く意味が無いかっこつけだけの作業だとは思っていましたが、その無意味さがいいのに〜。

 ポップが6倍はすごいと調子のいい発言をするシーン……、指を折って計算する動きが可愛いですが、手をヒラヒラ動かしているポップの手前に居るマァムが、顔を見せずに胸のアップとはどういう了見!?(笑)

 台詞を聞かなかったら、ポップがセクハラしまくってマァムの胸を触ろうとしているように見えちゃうんですけど!
 しかし、マァムの胸、ボリュームありますね(笑)

 アバン先生の注意の台詞が、改変されています。

原作アバン「……そんな調子のいい計算がありますか、ポップ……!」

 破邪の秘法を見て、原作ではダイは「五芒星だっ」と発言していますが、アニメでは五芒星も六芒星も使っていない分、ミナカトールみたいだという感想に改変されていますね。

 アバン先生が「Yes」と調子よく答えるシーン、軽さがいいですね。でも、その軽さとは裏腹に、声が途切れがちなのが大呪文に集中して消耗している感があって、実に良かったです。
 原作ではもっとすらすら唱えている印象だったのですが、アニメだと魔法を撃つ前の溜めが表現されているのがいいですね。

 扉が開くシーン、アバン先生の真剣な表情に扉の形の影が広がっていく表現が、よかったです。ここもアニメの改変ですね。
 扉が開いたことが一目で分かって、でもまだ中は見せないという、心憎い演出♪

 ヒュンケルの最後の二つの台詞はいい改変ですね♪
 ヒュンケルって、本当に仲間が聞いていないところでは素直なんだから……(笑)

 新エンディングに感動! 
 ストーリー性の高いイラストが、実に素敵です。戦いの合間の細かなシーンが、描かれている素晴らしさ! 気に入ったので、近いうちにまた詳しく書き起こしてみようと思います。

 予告、いろいろと心配な展開にっ。
 クロコダインが頑張って戦っている時に……アバン先生っ、なにいそいそとお弁当の支度をしているんですか!?(笑)

 ヒュンケルはヒュンケルで、思いっきりグランドクルス撃っちゃっていますし。
 ポップは羽が頭に刺さってぶっ倒れております(笑)
 それだけならまだしも、超魔ゾンビが部分的に登場しちゃってますし。
 予告だけで、すっごいカオス……!

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