『もうひとりの勇者』(2021.5.14) |
《粗筋》 超魔ゾンビに攻撃したロン・ベルクの剣は砕け散った……その事実に、驚愕する一同。その中にはフローラや、メルルを抱えて治療中のエイミの姿もあった。 驚くクロコダインやノヴァ。 衝撃を吸収する超魔ゾンビの身体は、いかなる武器でも切断は不可能……完全無欠といい、自分の頭脳が怖いと自画自賛するザボエラ。 獣王遊撃隊達が怯える中、自信満々に前に進み出たのはチウだった。 が、老師は情けない声で「ダメじゃ」と答える。 ザボエラはチウに向かって、前回の課題を全部クリアして、改良と言うんだと勝ち誇る。 こうやってボディーの奥に隠れてしまえば弱点は消えたと言うザボエラ。実態が隠れたのと同時に、超魔ゾンビの双眸に光が復活する。 斧から豪火を生み出すクロコダインに、フォブスターも両手から炎を撃ちだして続く。兵士達の中で魔法を使える者は、彼らに比べれば小さいながらも同じく炎の呪文を放っていた。 全身に炎を浴び、燃えさかる超魔ゾンビ。 そんなザボエラの様子を、空中に浮かんだままのミストバーンは見物していた。宙に浮くバーンパレスを背景に浮かぶミストバーンは、一人、呟く。 ミストバーン「フッ、あの古狸め、叩かれてやっと手の内を見せおった。……後は……」 頭上のバーンパレスを見上げたミストバーンの身体が、フッと消えた。
爪の生えた足元には、潰されたカールの騎士の姿があった。うつ伏せに倒れ込んだ彼は、ピクリと動かない。 超魔ゾンビの毛並みには、うっすらと緑の血に染まった剣が何本も突き刺さっていた。刃こぼれしたその剣の惨状は、兵士達の奮闘をそのまま現している。が、どの剣も刺さりが浅く、致命傷を与えていないのは一目で分かる。 地面には、何人もの兵士達が倒れ、折れた剣や壊れた武装が転がっていた。ひどい怪我を負っている者も多く、中には緑では無く赤い血に染まった剣もあった。 そんな中、超魔ゾンビは平然とその場に立っていた。 一方、クロコダインやノヴァは戦う気迫はあるものの、苦しそうに肩で息をしている。獣王遊撃隊も同様だ。 刃が恐ろしいまでにボロボロになったグレイトアックスを手に、クロコダインはこの武器でさえ刃が立たないことに内心、驚いていた。 超魔ゾンビは、これだけの攻撃を受けてもダメージを受けないことをはしゃぎ、手にした兵士を握りつぶさんばかりに力を込める。苦悶する兵士を見て、悲痛に叫ぶチウ。 ロン・ベルクは隣にいた兵士から槍を奪うように取りあげ、大きくジャンプして超魔ゾンビの腕へと投げつけた。 それに対し、超魔ゾンビは空いた片手を無造作に動かし、ノヴァを横殴りにした。ひとたまりも無く、吹き飛ばされるノヴァ。 二人の攻撃は無駄ではなく、ザボエラの手に握られていた兵士は握りつぶされること無く、投げ出された。 ザボエラはロン・ベルクの攻撃でさえ効かないのに、人間の攻撃など無駄だと決めつける。 が、その肩に手を置き、落ち着くようにと諭すロン・ベルク。 ロン・ベルク「……もっとも、それ以上の力と速度で、究極の武器を持ってすれば、分からんが……」 それを聞いて、ダイの剣を連想するノヴァ。ロン・ベルクもそれに頷くのを見て、ノヴァはなにやら考え込む。 ハッと目を見開いたノヴァは、超魔ゾンビがゆっくりと前進し始めたのに気づく。 思い足音を響かせながら進む超魔ゾンビだが、その動きが突然止まる。不審げに下を見やる超魔ゾンビ。 そこには、自分を遙かに上回る巨人の足にしがみつくクロコダインの姿があった。全身の力を込め、超魔ゾンビの膝にしがみついて動きを止めたクロコダインは、やけに小さく見える。 ザボエラ「クロコダイン……」 この中で超魔ゾンビと格闘できるのは自分しかいないと自負しているクロコダインは、必死だった。 以前の自分がクロコダインの目線からは、こんな風に小さく見えていただとうと思い比べることで、優越感を新たにしていた。 チウ「獣王遊撃隊、かかれ! クロコダインさんを助けるんだ!」 敵を指さし、指示を出したチウは、そのまま先陣を切って駆けだした。それに釣られたように、兵士達も動き出す。 ノヴァは無い物ねだりをしている場合ではないと、ダイと同じぐらいの力を出して戦わなければならないと意気込むが、ロン・ベルクはどこまでも淡々と、それは不可能だと指摘する。 物向いて考え込んでいたノヴァは、何かに気づいて目を見開く。 ノヴァ「……あるッ……!」 その発言に、驚くロン・ベルク。 ノヴァ「ボクの……この生命だ!」 それに少し意外そうにするも、ロン・ベルクはノヴァの決意をただの特攻と思い、無駄死をたしなめる。 その間も、仲間達は戦っていた。 ロン・ベルク「あのモンスターに剣は利かんぞ」 ノヴァ「わかっていますッ!」 地面に落ちた剣の刃を、ノヴァは直接にぎりこんで拾い上げる。それを強く握りしめたせいで、ノヴァの手から血が噴き出す。 バウスン「ノヴァ!?」 魔法陣にいるバウスンとフローラも、それを見て目を見張る。 エイミ「ああっ!?」 ノヴァの顔が見る見るうちに痩けていく。頬骨が尖り、眼下が落ちくぼむその有様は、急速に年老いていくようだった。 それを見たエイミは、剣に全ての精気を奪われていくみたいだと、不安そうな表情を浮かべる。 不安を感じているのは、彼女だけではなかった。 驚愕に目を見張るロン・ベルクの目の前で、ノヴァはさらに剣の光を強めた。 わずかな間に幽鬼のように面変わりしたノヴァは、この剣で敵に斬りかかると宣言した。わずかでも中のザボエラが露出すれば、それを倒して超魔ゾンビを停止させられるかもしれないと考えたのだ。 そのノヴァの前に回り込み、彼を止めるロン・ベルク。 その言葉に、ショックを受けるノヴァ。 それを聞いたノヴァは、静かに目を閉じる。 離れた場所から、静かにそのやり取りを見守るバウスン将軍とフローラ。 ノヴァ「……いいんです、それでも」 諦観にも似た、どこか満足そうな響きでそう言うノヴァ。 ノヴァは力強い声で、一撃で倒せると最初から思っていないと言い切った。生命の剣ならば絶対に折れることはないからこそ、命尽きるまで叩いて、叩いて、わずかな傷でも残せればそれでいいト、強く主張するノヴァ。 それは無駄死にだと、怒るように止めるロン・ベルク。 それは、かつて勇者を名乗ったことのある自分の勤めだと言い放つ。 ロン・ベルク「勇者……?」 ロン・ベルクを挑むような目で見返すノヴァ。 白光の後、思いだすのは森の中の光景。 剣を立てかけた岩の上に、俯いて座り込んでいるノヴァ。近づいてきたダイが、不思議そうに声をかける。 ダイ「どうしたんだ、ノヴァ?」 目を開け、自分の右手をジッと見つめるノヴァ。 ノヴァ「こんなに……こんなに、強さに差があったんだな……ボク達……!」 頼りなく開かれていた手が、ぎゅっと固く握りしめられる。 許して欲しいとダイに謝罪するノヴァだが、そんなことはもういいと言うダイは全く気にした様子がない。 戸惑い、どういう人物が本物の勇者かと問うノヴァ。 あまりに悩むダイを見かね、ノヴァがもういいと止めにかかる。 ノヴァ「スマン、難しいこと聞いちゃって……」 目を閉じ、頭を下にした逆立ち姿勢を取ったダイは、よくわかんないけどと、前置きしてから、ただ力とか勇気とかが強い奴だけじゃないことだけは確かだと言う。 「あ!」 足を曲げ、手を一切使わずに身体のバネだけで上に跳び上がったダイは、ノヴァの前に降りたって嬉しそうな笑顔で言う。 両手でノヴァの左手を取り、ダイは笑顔で言った。 ダイ「どっちも勇者なんだよ!」 屈託のない笑顔のダイに、ノヴァの顔にも笑みが浮かぶ。 ノヴァ(そうか……これが……!)
衰えきったノヴァの顔に、穏やかな表情が浮かぶ。 それを見ていたバウスン将軍の目から、涙が溢れ、鎧へと落ちる。 気迫を取り戻して身がまえたノヴァは、フローラに後を託す。 ノヴァ「女王様……後は頼みます。そして、号令を! 『全員、あの攻撃に続け!!』と!」 気迫を込め、超魔ゾンビに向かって駆けていくノヴァ。 その時になってからようやく自分のしたことを悟り、驚愕するノヴァ。
その言葉に、ようやく剣から手を離してよろめくように後ろに下がるノヴァ。 肩にささった刃を無造作に引き抜きながら、ロン・ベルクは今までノヴァを見損なっていたと言い、感心すると同時にどうあっても死なせたくなくなったと告げる。 赤と緑の血にそまった刃を手にしながら、ノヴァは流れる血の色は違っても、自分達の命の価値は同じだと断言し、微笑む。 同じ命を削るなら、長く生きた自分の方がいいと言い、ロン・ベルクは折れた刃を投げ捨てる。 ロン・ベルクが取り出したのは、掌に収まる程度の小さな塊だった。短い鎖がつき、棘がついたそれを、ロン・ベルクは勢いよく空中に放り投げて旧力の兵器を召喚する。 空中で爆発したそれからは、奇妙な紫色の光が生み出され、空の高い位置で渦巻いた。 紫色の渦の中から、巨大な岩石の塊のようなものが下降してくる。それに驚愕するチウ。 だが、ロン・ベルクはみんなに危ないからどくようにと注意する。 岩の塊は重力のままに落下し、地面に突き刺さる。土煙を上げるそれを見やり、いまさらどんな武器を持ちだしても無駄だと豪語するザボエラ。 彼が手を握りしめると、手の甲部分に鋭い刃物が生み出される。ハドラーの破邪の剣と同じ出現方法だ。 岩石に両手で切りつける超魔ゾンビ。が、その刃はあっさりと砕け散った。それを見て、ニヤリと不敵な笑みを浮かべるロン・ベルク。 その時、岩にヒビが入った。 ロン・ベルク「悪いな……助かったぜ。こじ開ける手間が省けた」 日々はどんどん増え、中から光が漏れ始める。その光が強まったとき、まるで火山が爆破するように岩が砕け散った。 ノヴァ「おおっ!!」 驚くノヴァの目の前で、ロン・ベルクはゆっくりと剣に向かって歩いて行く。逆光のせいで、彼の表情をうかがい知ることは出来ない。 クロコダインもまた、驚愕の表情でそれを見つめていた。 クロコダイン「剣だっ!!」 チウ「しかも、二本!!」 ロン・ベルクは迷いのない動きで、二本の剣を左右に握る。 ロン・ベルク「名付けて……星皇剣!」 その名を、驚愕の表情のまま呟く仲間達。 ザボエラは大仰な名だとヒステリックに怒るが、ロン・ベルクは落ち着き払った口調で、自分が百年以上かけて作り続けてきた究極の兵器であり、世界唯一のロン・ベルク専用武器だと語る。 ロン・ベルクの気迫の凄さは、見物しているノヴァにも理解できた。 一方、ザボエラは腸のような肉塊の奥で、剣など恐れる必要はないと自分で自分に言い聞かせるように思っていた。 怯えを振り切るように、ロン・ベルクに拳を打ち込む超魔ゾンビ。 そして、ロン・ベルクは超魔ゾンビの横へ回り込み、先程と同じ構えを取っている。ハッとして腕を振り回すゾンビだが、ロン・ベルクは高々と飛んでそれを軽く避けた。 続く攻撃を、ロン・ベルクはまるで踊るような動きで横っ飛びに避け続ける。 腕を振り回し続けたことで消耗したのか、息を荒げる超魔ゾンビ。 気分良く相手を蔑んでいたザボエラだが、ロン・ベルクの目を見て息をのむ ロン・ベルク「ただし、威力のなさが、ではない。そのあまりの破壊力が、だ……!」 ロン・ベルクの身体から、闘気が煙のように立ち上る。 それを放ったら、自分もただではすまないと言い放つロン・ベルクには、凄絶なまでの凄みが宿っていた。 だからこそ、一撃で相手の身体を十字に裂くと宣言するロン・ベルクに、肉塊の奥に埋もれているザボエラは完全に怯えきっていた。 足を踏ん張ってから走り出すロン・ベルク。 ロン・ベルク「星皇十字剣!」 十字の光が超魔ゾンビを貫き、その光を追うようにロン・ベルクは超魔ゾンビとすれ違う。 驚く兵士達の前で、ロン・ベルクは着地する。 蹲るロン・ベルクの背後では、超魔ゾンビが自身のダメージを図るように、手を上げて確かめていた。 そして、ゾンビの顔面に一筋の線が走り、多量の血と共に切断される。悲鳴を上げるザボエラ。 文字通り、十文字に切り裂かれた超魔ゾンビの体内では、周囲の肉塊から血が吹き出て、焦るザボエラの姿があった。流れる血と、膨れ上がる肉塊に飲まれるザボエラ。 断末魔を思わせる悲鳴と共に、超魔ゾンビの肉体は十字に切り裂かれていた。 ロン・ベルク「あの世でせいぜい自慢しろ。オレがくれてやった、その十字の餞別をな……」 傷口から大量の血がボタボタと広がり、半分の顔面になったかが左右に分かれながら落下していく。 轟音を立て、緑色の血の海の中、超魔ゾンビは倒れた。その身体は、無残なまでに四つに切り裂かれている。 喜ぶ人間達を見て、満足そうに微笑むロン・ベルク。 衝撃波それにとどまらず、ロン・ベルクの両腕にも及んだ。目を見開き、わずかに呻くロン・ベルク。 暗闇の中に浮かぶ、二本の腕。 象徴的なその映像の中、ロン・ベルクの目がこれまでに無いほど強烈に見開かれ、顔が歪められる。 そして、投げ出されるように、その場に倒れ込むロン・ベルク。 座り込むロン・ベルクの腕は、無残なほどに黒焦げになっていた。それを見て驚くノヴァとチウ。 だが、ロン・ベルクはまたやってしまったと、落ち着き払っていた。 あの剣を使えば、剣ごと自分の腕が砕けることは彼は承知していた。 無言で、ロン・ベルクの言葉を聞くフローラを初めとする兵士達。 ロン・ベルク「オレは自分の強さよりも、武器の弱さを憎んだ。オレが武器屋になったのは、オレ自身が全力で戦える武器を生み出すためだったんだ」 星皇剣こそその結果だが、まだ未完成だった。 ロン・ベルク「オレがダイの剣にあれだけ入れ込めたのも、武器が自分についてこないもどかしさってやつに共感したからだろうな」 語りながら、無我夢中でダイの剣を作っていた時のことを思い出すロン・ベルク。 話を聞いたノヴァは、ロン・ベルクが破滅しないため、今までずっと力をセーブして戦ってきたと知り、動揺する。 自分達のためにそうしてくれたと知り、ノヴァはついに耐えきれずに泣き出す。 ロン・ベルク「ただ、唯一の心残りは、おまえ達にもう武器を作ってやれないかもしれないってことだ。このダメージは当分治らん。おまえ達の生きている間には、もう……」 その言葉を聞いて、ノヴァは目を開ける。 ノヴァ「ボクの……ボクのこの手を使ってください……! あなたの傷が癒えるその日まで……!!」 命を救われた礼に、星皇剣を自分が完成させてみせると言うノヴァ。 バウスン「ノヴァ……」 息子の突然の発言に、驚くバウスン将軍。 ノヴァ「あなたは強いだけじゃない……尊敬に値する人です。できるなら、これからも多くを学びたい……!!」 ノヴァの真意を見極めようとするように、じっとノヴァを見るロン・ベルク。その目を、ノヴァもしっかりと見返した。 ロン・ベルク「……じゃあ、さっそく頼もうか」 目を伏せ、苦笑するような笑みを浮かべて、ロン・ベルクは自分の懐の酒瓶を開けるよう、ノヴァに頼む。 そんな息子を見て、バウスン将軍は心から仰げる師と道を見つけたことを喜ぶ。 酒瓶を取り出したノヴァだが、栓がなかなか開けられずに苦戦していた。それを見て、ロン・ベルクは大げさに嘆いてみせる。 ロン・ベルク「やれやれ……おまえにはまず、酒瓶の栓の開け方を教えなきゃならんようだな」 その言葉に、後ろにいた兵士達は一斉に笑い出す。酒瓶を抱え込んだノヴァはちょっと恥ずかしそうだ。 明るい雰囲気に満たされた人間軍の後ろでは、超魔ゾンビがかすかな煙をゆくらせていた。 聞こえるのは、かすかな音……何かを引きずるような音だった。 あちこちから血を流し、肩で息をしながらも前に進むザボエラ。 が、違和感に気づいてようやく顔を上げたザボエラは、間抜けなほど目を見開く。そこには、見上げるような巨漢の大男……クロコダインの姿があった。 ザボエラ(ク、クロコダイン……!) 《感想》 剣が折れるシーンは前回からの使い回しですが、みんなが驚いた後でフローラ様とメルル、エイミのいるカットが追加されたのが嬉しかったです。驚くフローラ様の後ろで、目を瞑ったままのメルルを庇うようにしているエイミさんの健気さが、いい感じ。 ザボちゃんの移動に合わせ、超魔ゾンビの目の光がついたり消えたりする演出が細かくていいですね。原作でも表現されている設定なのですが、アニメだと光の明滅演出がすごく分かりやすいです。 ザボちゃん、今回めっちゃアップが多いですな。しかも、宝玉に顔を押しつけた変顔も披露したりと、サービス(?)されてますし。……まあ、ちっとも嬉しくはないですけど(笑) チウが老師に戦いをけしかけるシーンで、目を閉じて左手を顔の前にかざし、格好をつけまくるポーズを取っているのに爆笑しました。 厨二病臭が漂うジ○ジョばりのポーズと言うべきか、歌舞伎の大見得にどっか似ていると言うべきか、迷っちゃいますね。 飛ばしているチウとは逆に、ブロキーナ老師の返事が弱気だったのが意外でした。 ザムザ戦のイメージからどんな戦況でも飄々としているタイプかと思っていたのですが、今回、思っていたよりも動揺していました。性格は違えど、どんな戦況化でも不敵に振る舞うマトリフ師匠の同類かと思っていたのですが、中身は割と常識人かもと思うと親近感が湧きましたよ♪ マトリフが感情を切り捨てて第三者視点で戦況を把握し、不敵な態度で敵には威圧を、味方には安心感を与えている風なのに対して、ブロキーナ老師は勝ち確な戦いでは穏やかに弟子達を見守っていられても、不利な状況にはつい動揺してしまうという、良くも悪くも素直な方だったんだなぁとアニメで初めて実感しました。 原作ではブロキーナは徹底して目や表情を隠しているので、台詞からはそこまでの動揺は感じ取れなかったのですが、アニメで声の演技が加わったことで彼の人間味が深まった気がします。 チウの驚き顔、落書きチックですごく笑えました。 ところで超魔ゾンビの色合いは、鈍い赤色の肉体をベースに、骸骨な顔と毛並みは鈍い灰色、角は黄色です。一見、派手な組み合わせになりそうな色ですが、どれも抑えた鈍い色彩なので馴染んだ印象があり、全体的にすごく抑えめな色彩です。 原作ではカラー未登場だったので、個人的には全身が白に近い骸骨的なイメージを抱いていたので、赤が目立つカラーリングは意外でした。 肩の宝玉が紺、胸の宝玉が紫ですが、光り輝くと言うほど輝いていないので、むしろつや消しをしているような控え目な印象さえあります。 超魔ザムザが元の怪物の色そのままの原色バリバリのカラフルさだったのに比べ、超魔ゾンビはわざわざ色彩に統一感を持たせているのも、ザボちゃんの言う『改良』だったのかも。……あのド派手な色彩に実は不満があったんですね、ザボちゃん。 宝玉の中に肉が動くシーン、肉の膨らみ方やザボちゃんがそれにちょっと潰されながら埋もれていく動きなど、妙に凝りまくっていてとってもブッキー。……なぜにここに全力を尽くす!?(笑) 復活の目の光、ちゃんと瞼を開くような動きで光がともっています。単に点滅させない辺り、凝っていますね。 クロコダインを筆頭に魔法攻撃シーン、一般兵の中にも魔法の使い手がいるのがお気に入りシーンです。ノヴァが参加しないのは、彼の得意が氷系魔法だからでしょうか。 まあ、不死系怪物にはメラ系が利くというのはDQでは常識レベルの認識なので、クロコダインの音頭に合わせた一斉の炎攻撃は正しいと思います。 ミストバーンのセリフ、原作だと「これでなんとか地上はおさまるかもしれんな」と言っていますが、アニメではカットされています。 兵士達が倒れているシーン、原作とほぼ構図が同じですが、赤い血に染まった剣が一人の兵士の側に突き刺さっているのが気になるところ。 超魔ゾンビの血の色は緑なので、これは人間の血と言うことになります。 クロコダインのボロボロになった鎧、肩当ての部分にボコッとへこんだ部分が再現されていたのには、感動しました! ロン・ベルクの攻撃、原作ではただ投げただけのように見えましたが、アニメでは大きくジャンプしてから渾身の力を込めて投げています。 青空にバーンパレスを背負って宙に浮くシーンは、ちょうど先程のミストバーンと同じ構図になっていて、動きを止めていた『静』のミストバーンと、躍動感溢れる『動』のロン・ベルクの行動がいい対比になっていました。 続くノヴァの追撃もカッコいいですが、そのすぐ後に殴り飛ばされたノヴァを助けたことを思えば、着地という動作が混じっている分、アニメのロン・ベルクがよく動いているのが分かります。 ゾンビに握られていた気の毒な兵士は、原作ではボトッとその場に落とされていますが、アニメでは放り投げられていますね。 超魔ゾンビに食らいつくクロコダイン、やっぱりカッコいいですね! 原作ではクロコダインと超魔ゾンビの身長差はほぼ倍ぐらいで、クロコダインは立った姿勢で太股に手を掛けて引き留めていました。 でも、動きとしては太股狙いよりも、膝関節辺りを狙って相手の動きを止めようとしている辺りが、合理的だと思います。 そして、ザボエラが動きが止まってから違和感に気づいたところを見ると、超魔ゾンビは痛覚を通さない分、触覚も鈍らせてあるみたいですね。これでは、武器を握りしめての攻撃など無理っぽそうです。 アニメでは頭を掴んでクロコダインを持ち上げる改変がありましたが、原作ではクロコダインの頭を掴んでぐりぐりと下へ押し下げるような動きをとっていました。 ここで、チウがクロコダインを助けようと声を上げ、動き出したのはアニメの改変です。 ノヴァが生命発言する際、アニメでは拳を握りしめる改変がありました。 これは、親衛騎団との戦いで惨敗を喫した経験から、ノヴァが敗北の怖さを知り、戦いへの恐怖を感じているんじゃないかと推察します。 しかし、シリアスなロン・ベルクとノヴァの会話の中、ビースト君の無駄な攻撃が可愛い! 角にのぼって、引っこ抜こうとしたり、手でぽかぽか殴ったりしていますよ(笑) ロン・ベルクとノヴァの会話は、アニメの改変ですね。 他の人ではなく、わざわざ父親の剣を譲り受けたのは、これで自分が死ぬことを覚悟した上での決意の表れだと思っていたので、アニメでカットされたのは残念でした〜。 ノヴァの手から血が出るシーン、アニメではかなり控え目になっています。 消耗するノヴァの外見変化にも感心しましたが、なによりもノヴァの目に感心! 年老いた顔の中で、目の輝きだけが変わらないのが印象的。以前、映画用の特殊メイクで外見は皺だらけの老婆になった大学生ぐらいの女の子が、目の光だけは妙に強くて違和感があったことを思い出しました。 ロン・ベルクの説明も、一部改変されていました。 回想シーンのダイとノヴァの稽古、見ていて楽しかったです。 ダイの方が動きが大きくて隙がありそうに見えて、ダイの攻撃の方が一撃一撃が重い感じなせいか、結局ノヴァはそれについていけずに剣を跳ね上げられています。 原作ではノヴァの『なんという力の差だ』と言うモノローグがありますが、アニメでは動きでダイを圧勝させていますね。 ダイとノヴァのやり取り、一部がカットされています。 ダイとノヴァのやり取り、すごく可愛かったです! ノヴァの言葉に思いっきり悩むダイには爆笑しちゃいました(笑) ダイの頭の倒立からジャンプするシーン、まさか手も足も地面につけずに身体のバネだけであんなに飛び上がるなんて……! そして、ノヴァの左手を両手で握り込んでいるのに注目したいです! ダイはマトリフに、勇者の武器は勇気だと言われたことはあっても、勇気をそれほど重視していない風なのが面白いですね。 一番強い勇気を持つのはポップでも、そのポップに勇気を与えたのはダイ。そして、ポップもまた、ダイに勇気を与えることができる……ダイ大のテーマはこれだと思います! ノヴァがロン・ベルクに向かって、勇者のあり方を語るシーン……感動的なんですが……なぜここに、超魔ゾンビを足で踏み踏みするビースト君のカットを混ぜたっ!?(笑) 突き刺さっている槍につかまってゲシゲシと踏みつけるシーン、可愛い割にシーツ風衣装からはみ出た足が妙にリアルで嫌なんですけどっ。 っていうか、人間達はノヴァの話に聞き入って攻撃を止めちゃっていますよ。もしかして頑張っているの、遊撃隊だけ? ノヴァの成長にバウスン将軍が感涙した後で、ノヴァの突撃宣言にフローラとバウスン将軍が驚いた表情を見せるカットがありましたが……これ、使い回しシーン? バウスン将軍が泣いていない表情なので、寸前の感涙シーンと続けてみると不自然な気が……。 その後での突撃シーンでは、フローラ様とバウスン将軍の叫びシーンはちゃんと表情は動いていましたが、涙がもう少し残っていてほしかった気が。 CM後のロン・ベルクが肩の刃を抜くシーン、原作ではあっさりと抜いた印象でしたが、アニメでは刃を揺らしつつ引き抜く動きが妙にリアルで痛々しかったです。 ロン・ベルクが剣をしまっておいた魔法道具、紐がついている大きさや形から見てストラップかキーホルダーに見えてなりませんが(笑)、古風な彼の見た目から言って根付けかなにかなのかなと予想。 ロン・ベルクを遠巻きにする兵士達の数、なんか一気に増えたような……(笑)、いや、気のせいですね♪ 岩石の塊を見上げるフローラ様のシーンはそのままですが、モノローグがまるっとカットされています。 原作フローラ(……こ……この不気味な物体に、どんな力が……!?) このフローラ様の感想には心の底から同感なので、残っていて欲しかった台詞ですね。 ザボちゃんが岩に斬りかかる時、原作では岩の前にいたロン・ベルクがサッと避けて場所を空けていましたが、アニメではロン・ベルクの立ち位置が違っているせいか、このシーンがなかったのががっかりです。 剣を前に立つロン・ベルク、カッコいいです! エイミさん、フローラ様とバウスン将軍、ゴメスと見知らぬ兵士という組み合わせでしたが、よくみたら兵士の顔が原作と違っていますね(笑) ロン・ベルクが二本の剣をスローモーションで振り回すシーン、ゆったりとしていて綺麗でした。 ロン・ベルクの剣の構え、随分と風変わりで面白いです。 剣を構えたまま、横っ飛びで拳を避けるロン・ベルクの動きが、なんとなくバレエダンサーのジャンプに見えました♪ しかし、ザボちゃんが隠れている体内、なんとなく腸の中に無理矢理潜り込んでいるような不気味さを感じるのですが。 怯えるザボちゃんと、落ち着き払ったロン・ベルクを交互に映す演出、よかったです! ロン・ベルクの必殺技がまた、カッコいいですね。 ロン・ベルクが着地した時に周囲にいる兵士達……なんか、ヘタレっぽい感じの人揃いですね(笑) しかし、超魔ゾンビ、原作以上に出血が激しいですね。血の色が変わると、ここまで大量出血になろうとは。 ロン・ベルクの腕が砕けるシーン、原作では現実のロン・ベルクの腕に半ば被せるような形で砕けていましたが、アニメでは幻っぽい腕のみがアップになった状態で砕ける改変がされていました。 ロン・ベルクの腕の焦げ具合、ザムザの末期の肌の色があんなかなと想像していたのに似ていました。 しかし、原作ではロン・ベルクは「魔界に生まれて十年もしないうちに最強の剣技を極めた」と語っていましたが、アニメではその辺はカットされています。 ヒュンケルが7才前後、ダイが12才そこそこでアバンから卒業を認められたことを思えば、若すぎる天才はアリだと思いますが、省いても問題が無いと言えば問題が無いですしね。 みんなが話を聞いている中、フローラ様の真後ろにフォブスターを発見。……魔法を放った後は見かけないと思ったら、いつの間にこんなところに(笑) ロン・ベルクの説明台詞は、かなり大幅にカットされていますが、分かりやすくスッキリした印象。 ノヴァがミストバーンの台詞を思い出すシーンも、カットされていますね。 ノヴァがロン・ベルクの手を握り、剣の完成を誓うシーンは人物の描き方に感心しまくりました。 大勢の人に囲まれ、中央にノヴァとロン・ベルクがいるのは原作通りですが、アニメでは手前側にも人がいるようにかいてあります。 遠近法を使って手前側の人物を大きく書き、置くほど小さく描いていますが、一番手前のキャラは黒く塗りつぶしたシルエットにして印象を殺し、奥にいる人々はぼんやりとぼやかして印象を薄めているため、結果的に色が明白なノヴァ達が目立つという手法を使っています。 あなたを尊敬すると発言するノヴァの手が、かすかに震えているのもアニメの改変ですね。 弟子入りを認められ、喜ぶ姿や、瓶に苦戦する姿、恥ずかしがる姿など、ノヴァの可愛いシーンの連続です♪ 這いずって逃げるザボちゃん、執念深い表情がものすごっ。 原作ではザボちゃんが這いずって、何かの影の中に頭を突っ込み、それをいぶかしんで顔を上げ、クロコダインを見つけるという演出でした。 たまに、誰かの視点で動いたり走ったりする移動視点をアニメで表現するシーンが好きなので、ここもてっきりそうなるかと思っていました。 次回予告、ヒムちゃんの再登場どころか、髪が伸びるシーンまでもが思いっきり暴露されちゃっとりますが!? 今回の話を見たのなら、まず気になるのはクロコダインとザボちゃんの決着だと思うのに、なぜそこはワンシーンすら映さないのか!? |