『地獄からの生還者』(2021.5.21) |
《粗筋》 ロン・ベルクの渾身の一撃で、十字に切られた超魔ゾンビ。 逃げ場のない狭隘な谷間で、斧を手にしたクロコダインと、這いつくばったザボエラが相対する。 ザボエラ「……よく気づいたの、クロコダイン」 余裕を装ってかけたザボエラの言葉に、クロコダインは平然と応える。 クロコダイン「おまえのしぶとさは、十二分に承知だ」 耳障りな笑い声をたてつつ、ザボエラは一人で追ってきたクロコダインの迂闊さを指摘する。まだこちらは策を残していると匂わせるザボエラだが、クロコダインは最後まで聞かずに「それはない」と否定した。 理路整然とした弁論に、悔しそうに顔をしかめるザボエラ。 怒りと屈辱の中、それでもザボエラは自分に言い聞かせるように、まだ手はあるはずと考え続ける。 そんな彼に対して、クロコダインは斧を振り上げた。 クロコダイン「ザボエラ……最後の時だ……ッ!」 峡谷に、風の音が響き渡る。 地面に手を突いたまま、ザボエラは哀れみを誘う口調で述懐する。 恥を忍んで、見逃してくれと土下座するザボエラ。 それを悟って、ザボエラは一人ほくそ笑む。 皮膚と爪の隙間から、紫色の液体がジワッとにじみ出る。 その時、轟音を立てて斧が地面に突き立てられた。それに、一瞬ビクッとするザボエラ。 クロコダイン「……わかった。ザボエラよ、さあ……」 ゆっくりと、クロコダインの太い手が差し伸べられる。 騙される愚かさを嘲笑い、自分に利用されるだけの材木だと見下したザボエラは、爪から毒液をしたたらせ、本性のままに目をぎらつかせてクロコダインに向かって爪を振るった。 ザボエラ「そりゃあッ!!」 クロコダインの手を、両手で抱きしめるような形でひっかこうとしたザボエラだが、その手は虚しく空ぶった。 戸惑うザボエラが見上げると、そこにはもう片方の手で斧の柄を握るクロコダインの姿があった。無造作に、その柄を手放すクロコダイン。 斧によって身動きが封じられたザボエラは手の痛みにのたうつながらも、クロコダインが騙された振りをしたことを怒り、文句を言おうとする。 クロコダイン「ザボエラよ。頭の悪いオレだが、騙され続けたおかげで一つ、ものを知った。それは……この世には本当に、煮ても焼いても食えぬ奴がいる、ということだ」 落ち着き払ったクロコダインの言葉に、ザボエラは裏返った声で制止を呼びかける。 真っ白な閃光は、峡谷一杯に広がる。 ザボエラの攻撃した煙が薄れる前に、バダックがその場に駆け込んでくる。クロコダインを見つけ、明るく声をかけて駆け寄ってくる。 それを発見し、にっくき妖怪ジジイをついに倒したのかとはしゃぐバダック。 ゾンビの中にザボエラの姿がないから、みんなで探していたのだと語りながら、さすがだとポンポン気やすくクロコダインの腕を叩くバダック。 笑っていたバダックも、いつもと様子が違うクロコダインに気づき、戸惑うように彼の名を呼ぶ。 ザボエラも以前、六団長がそろった頃には魔法の実力では一目置かれる存在だったのだ、と、 ダイ達のように、自らの力で強くなる気持ちが一片でもあったら……そう語るクロコダインの言葉を聞きながら、バダックはザボエラを見つめ――それから、クロコダインへ視線を移した。 自分も、ダイ達と一番手で戦っていなかったらどう歪んだか分からないと過去を振り返るクロコダインは、正真正銘のクズだったザボエラに哀れみを感じていた。 バダック「いい奴じゃなあ、おまえさんは」 バダックは、ザボエラとクロコダインは違うと断言する。 クロコダイン「……じいさん」 小さく笑い、クロコダインに向かってウインクしながらVサインをしてみせるバダック。 バダック「かえろう、みんなのところへ」 峡谷に、クロコダインとバダックが並ぶ後ろ姿があった――。
悪魔系怪物「悪魔か、こいつは!?」 歯がみし、敵の強さにおののく怪物達の視線の先には、平然と佇むヒュンケルの姿があった。 ???「やめとけよ、無駄なことは」 声に驚き、苛立ったように声の主を探すヘルバトラーだが、その顔に拳が叩き込まれる。 ヒム「そいつを倒すのはこのオレだ」 周囲の怪物に対して、てめえらごときがいくら集まっても敵わないと言い切るヒムの鋭い目は、ヒュンケルに向けられていた。 ヒムの出現に、今度こそ驚きに大きく目を見開くヒュンケル。 そんなヒムに、本当におまえは兵士ヒムなのかと問いただすヒュンケル。 だが、ヒムは自分にも分からないと答える。
だが、その暗黒の中で何かが心の中に響いてきた。 ヒムの話を、驚きの表情で聞き入るヒュンケル。その場にいる怪物達さえ、ヒムの話に注目していた。 ヒムとハドラー達の執念が呼び起こした奇跡……もはやヒムは、ハドラーの魔力で操られる人形ではなくなったのかもしれない。 ヒムの口元に、不敵な笑みが浮かぶ。 ヘルバトラーの拳を、ヒムはよけもしなかった。顔面に当たった拳を、平然と受け止める。むしろ、拳で殴りつけたヘルバトラーの方が顔をしかめていた。 ヒムは鋭い視線を、ヘルバトラーへと向ける。 ヒム「だが……ただじゃおけなくなっちまったぜ!!」 ヒムの怒りに呼応するように、彼の頭が強く光り輝いた。 ひび割れが入ったヒムの頭が、強い光を放っていた。 強烈な光が、その場にいた者の目を焼く。ヒュンケルもその例外ではなかったが、彼は光の中も必死で目を見開き、何が起こったのか見極めようとしていた。 バーンの主城を貫く勢いで、白い光の柱が立ち上る。 苦痛に耐えるような声で吠えるヒム。 髪が靡くように、揺れるマグマ。 マグマじみた炎が散った後には、ライオンのごとく髪の毛を逆立てたヒムの姿があった。 ヒュンケル(あれはまるで……ハドラー!) ヒムの姿に、超魔生物となったハドラーが重なって見える。髪の靡き方さえ、そっくりだった。 目にもとまらぬ速さでヘルバトラーを殴り、身を翻してそのまま蹴りを食らわせる。 それを、待ち受けるヒムは、雄叫びを上げる。 悲鳴を上げ、柵を跳び越えてバーンパレスから落下していく怪物達。 敵の攻撃も、ヒムはよけもしない。 炎が消えると同時に、無傷のヒムは動き出す。 ヒムの攻撃で、もんどりうって床を転がり、バーンパレスから投げだされる炎の戦士達。 高く跳び上がり、逆に鬼棍棒の顔面を一発ぶん殴る。 立ち上がったヒムだが、驚いたように手が一瞬、強ばる。 そこに、鉄球魔人の鉄球が叩き込まれる。 が、鉄球魔人は驚いて目を見張る。 その光に消滅するように、消えていく怪物達。 ヒュンケル(これは……ッ) やがて、光が収まった後、あれほどいた怪物達は一匹もいなくなっていた。ヒュンケルが倒した怪物達でさえ地上に落とされたのか、そこには誰もいなくなっていた。 いるのはただ一人、天に拳を突き上げた姿勢で佇むヒムだけだ。 ヒム(こんなものがついていたのか……オレに。こんな……まるで、ハドラー様みてぇな……)
ハドラー『ヒムよ……おまえは一番、今のオレに似ているな』 手にした一房の髪を、強く握りしめるヒム。
その間、ヒムはどこか切なげな目で握りしめた自分の髪を見つめていた。が、すぐに手を離し、敵を見る目をヒュンケルに向けてくる。 そんなヒムに、ヒュンケルは脅威を感じていた。 オリハルコンの身体で闘気技を使えば、その攻撃はダイの闘気剣に匹敵するとヒュンケルは判断した。 ヒムは足を広げ直し、ヒュンケルに決着をつけようと言い出す。 しかし、それでもヒムはヒュンケルに向かって歩を進める。 それを聞き、ヒュンケルは槍を構え直した。 その攻撃を、ヒュンケルは大きく目を見開いた――。 その頃、地上では人々は魔法陣を中心に集まっていた。 クロコダインは疲れ切った様子で目を閉じているガルーダの背に、優しく手を置いていた。 クロコダイン「すまん、よく頑張ってくれたな、ガルーダ」 その言葉に顔を上げ、嬉しそうに鳴くガルーダ。 魔法陣を中心にフローラが立ち、全員に言葉を掛ける。 それを聞いて、クロコダインは結界が無くなったことを再認識し、空を飛べる者ならバーンバレスに行けることに気づく。 その台詞を聞き、悔しそうな表情を浮かべる兵士達。その中には、ガルーダも混じっていた。誰もが気持ちは同じだった。 チウ「よぉしっ!」 図々しくもフローラの前に進み出たチウは、堂々と胸をはる。 チウ「任せたまえっ!」 一人、元気いっぱいなチウを見て、苦笑気味の感想をもらすゴメスとスタングル。 チウ「しかも空を飛べるのは、我が遊撃隊のパピーにパタコ、そしてドナドナだけだ」 隊長直々の紹介に、パピーが嬉しそうに翼を広げる。後ろで聞いていたゴメスは、チウの実力こそが一番生半可だとぼやく。それを聞いたスタングルは、思いっきり笑った。 スタングル「確かに」 背後の会話など聞いていないチウは、自分を指さして得意げに言う。 チウ「当然、一人は遊撃隊の隊長であるぼくが行くが……後二人! 後二人のメンバーを選んで行くから、諸君はこの場を頼むぞ」 Vサインのように指を二本立てつつそう言った後、チウはクロコダインに誘いを掛ける。 チウ「クロコダインさん! 大丈夫ですよね?」 クロコダイン「おう! 問われるまでもない」 拳を握りしめ、力強く応えるクロコダイン。 ノヴァ「すまん……ボクも行きたいのはやまやまなんだが……」 茂睡分けなさそうに口を挟んだのは、ノヴァだった。ロン・ベルクを支えるノヴァに、チウは上から目線で君はロン・ベルクさんを介護してあげるようにと言った。 あともう一人ぐらい、回復の出来そうな人を探し、目の上に手をかざして周囲を見回すチウ。 エイミ(私! 私! 私! 私! ……) 目が据わり、暗黒オーラを発揮させつつ一心にチウの背中を睨みつけつつそう念じるエイミ。心なしか、彼女に抱きかかえられているメルルも苦しそうだ。 暗黒闘気じみた黒い念が背中にまで達し、ギクッと跳ね上がるチウ。 チウ(なんだか知らないけど、すごい気を……ッ) 振り返らずにそれを悟るのは、野生の本能ゆえか。が、チウは目をギュッと閉じて首をしっかりと振り、目の前にいるビースト君を指さして指名した。無言のまま両手を上げ、それに応えるビースト君。 ガッカリするエイミを振り返りもせず、台の上から飛び降りたチウはクロコダインとビースト君の前に並ぶ。 チウ「あ、そうだ」 きょとんと見守る兵士達の前で、ごそごそと、どこからか大きな袋を取り出すチウ。 チウ「みんなー! なんでもいいから、ここに回復系のアイテムを入れてくれたまえ!」 たちまち、幾つものアイテムがその場に置かれる。薬草類だけはでなく、力を増強する飲み薬や、ステータスアップの種、しびれを消す満月草などがずらりと並ぶ。 それを、もぐもぐと食べるパピー。バタコは頭の上に葉っぱを載せ、アリクイのアリババは袋を大切そうに持っている。 仲間達が回復している中、チウはクマチャの肩に乗り、クマチャが広げた袋の中に兵士達が薬草類を入れるのを見守っていた。 彼が目をやる先には、台の上に座り込んだロン・ベルクの姿があった。彼のすぐ隣には、ノヴァが心配そうに付き添っている。 チウ「クロコダインさーん、はやくー」 クロコダイン「おう!」 チウはドナドナに、ビースト君はバタコに、クロコダインはパピーにつかまって空へと舞い上がっていく。それを、みんなは声援と共に見送った。 それを、切なげな表情で見送るエイミ。メルルの治療を止めるわけにはいかないから仕方が無いと思いながらも、彼女の目はバーンパレスを目指すクロコダインに向けられたままだ。 エイミ(ヒュンケル……)
降りた場所は床の石が削られまくり、戦いの痕跡が色濃く残る場所だった。 クロコダイン達は知るよしもないが、そこはダイとハドラーが戦い、キルバーンの罠が発動した場所だった。 クロコダイン「再び、この場に立てた……が、今度は負けはせん!」 力強くそう言い切るクロコダイン。 チウ「ここがバーンパレスかぁ……」 クロコダイン「チウよ、こいつらは返してやった方がよさそうだぞ」 三人をここまで運ぶのに、バテバテになってしまった飛行怪物達を見てクロコダインはそう言ったが、三匹はそれを聞いてビクッとする。 チウ「確かにそうですね……」 その言葉に、汗びっしょりになっていた三匹は姿勢を立て直し、いやいやするように翼を振りだした。 チウ「みんな、ご苦労! 君達はロロイの谷に戻って、女王様と一緒にぼく達の帰りを待っててくれ! 心配するな、ぼく達は必ず勝利して、君達の元に戻る!」 自信満々に、チウはウインクし、勝利のVサインを決める。 チウ「嘘は言わない、遊撃隊のバッチに誓う!」 頼もしい隊長の言葉に、目を潤ませて感動する怪物達。 チウ「はーっはっはっ」 そんなチウを見ながら、実力的にはまだまだだが、器の大きさだけは相当なものだと考えるクロコダイン。このチビは案外大物になるかもしれないと、どこか優しい目で彼を見守る。 チウ「さあて! ダイ君達は、どこだろう?」 チウを先頭に、彼らは主城の方へ向かって歩き出した。 その頃、ヒムの強烈な突進を前にしたヒュンケルは、避けることも防ぐことも出来なかった。 たまらず、血を吐き出すヒュンケル。 自分が全く反応できなかったヒムの速さと、その破壊力を痛感するヒュンケル。 無抵抗のヒュンケルの身体は一度床にたたきつけられ、弾んで遠くに放り出された。その状態でもまだ槍を手放さない執念はたいしたものだが、彼は立ち上がることも出来ず、苦しげに咳き込むだけだ。 ヒム「終わりか、やっぱり……さすがのおまえさんでも」 いささか残念そうに呟くヒムの言葉が聞こえているのかいないのか、ヒュンケルは苦しげに喘ぐだけで精一杯だ。 青空を見上げるヒュンケルの視界が、瞬きで揺れる。 ここで負けるわけにはいかないと思うものの、ヒュンケルの視界はゆっくりと、黒く、閉ざされていく。 ヒュンケル(ダイ……ポップ……) 目を閉じ、意識を失う寸前のヒュンケルの口から、濁ったような声がかすかに漏れる。 ヒュンケル「マァ……ム……」 それを最後に、世界は闇に包まれた。
再び目を閉じるヒュンケルだが、その声がはっきりと聞こえてきた。 アバン「さあ、とっとと立っちゃってください」 それを聞いて、大きく目を見開くヒュンケル。
そこは、綺麗な青空が広がる牧歌的な草原だった。 戸惑うヒュンケルに、アバンは力を出し切っての敗北なら恥じることはないと諭す。だが同時に、今のヒュンケルにはやれることは残っていると指摘した。 アバン「負ける時は力の全てを出し尽くして、思い切り負けなさい」 笑顔で、爽やかにそう言ってのけるアバン。 師を見上げながらそれを聞いていたヒュンケルは、いつの間にか幼い姿に戻っていた。アバンの修行を受けていた頃の、ほんの子供の頃の姿だ。 そうしないと、絶対に今より強い自分には慣れないと言われ、ムッとした顔になるヒュンケル。 座り込むヒュンケルを見下ろすアバンは、赤い衣装――勇者の家庭教師だった時の服装だった。 最後の最後まで、己の力を出して戦い抜く。それが、真の戦士だとアバンは教えてくれた。 風に、ヒムの長い髪が靡く。 ヒムの目の前では、苦しそうに呻きながら、それでも立ち上がろうとするヒュンケルの姿があった。 ヒム「そうよ……ッ、それでこそオレの選んだ永遠のライバル!」 ヒュンケル(不思議なものだ……あれほど憎んだのに……殺してやりたいとすら思ったのに……) 立つだけで、肩で息をするヒュンケル。だが、その目は闘志を讃え、真っ直ぐに前を睨みつけていた。 ヒュンケル(師よ……! 瀕死のオレをこうして立ち上がらせてくれたのは、いつもあなただった……!) 槍をしっかりと手に持ち、ヒュンケルは背筋を伸ばして立ち上がった――。
《感想》 ザボちゃんの最後……っ。 毒を調合するザボちゃんを見てて思ったのですが、身体が小さい割に手が大きめでがっしりしていますね。 クロコダインの手、内側は外よりも色が薄かったんですね! ザボちゃん、攻撃の前に叫んじゃダメでしょ!(笑) 原作では斧の柄のせいで、ザボちゃんの手の骨が折れた音が響いていましたが、アニメでは斧が落ちた音っぽくてその辺がはっきりしませんでした。 クロコダインが上からザボエラを撃つポーズから始まり、光の奔流の後、同じポーズで光が消えるのでしめる演出もよかったですが……個人的には真正面からではなく少し上から見下ろすような原作の構図で、ついでに言えば白と黒をはっきりと際立たせたスローモーションで見てみたかったです! さらに言うなら、バダックさんが登場する前に、もう少し間が欲しかったですね〜。 ザボちゃんの死に顔のカットはアニメの改変ですが、正直びびりました。 普段は表情豊かで目がやたらと大きく書かれているザボちゃんが、死に際の顔だけが目のサイズがマネキンのように標準的サイズになっているのが、これまた不気味さを強めています。 クロコダインのザボエラ語り、彼に対する哀惜の念が感じられるいい口調でしたが……っ、せっかくの名台詞なのに、ザボちゃんの溶け方が生々しすぎて集中しきれないんですけどっ!? なぜ、この語りにザボちゃんのラストをかぶせたっ!? いやっ、確かに原作でもザボちゃんってば溶けて終わっていましたけどね、もっとさらっと、シュワシュワいつの間にか溶けて終わりでしたのにっ。 でも、アニメでのあの、頭が力を失ってぐにゃりと垂れ、そのままスライムのようにデロデロに崩れていく不気味さ……なにこれ、トラウマ案件!? なまじ、人間の形を残しつつ溶けていくから不気味さも倍増ですよっ。これ、朝から流していい光景なんですかっ!? 溶けて広がるだけでも不気味だというのに、色もひどかったです。泥水のように薄汚い茶色なだけならまだしも、ところどころに黒い染みがまだらのように浮き、沸騰しているようにブツブツと泡立っている有様なんですがっ。 な、なぜにここまでグロ方向に全力を尽くしたのか、小一時間ぐらい問い詰めたい気分ですよっ。出血さえしなければ、こんなグロい最後も許されると!? 自己融解能力が高すぎでしょ……。もしや、体内の毒素の副作用で自己融解が異常に高くなっていたのかなと予想。 なんか、思っていたのとは違う方向で心に焼き付いたザボちゃんの最後でした。 バダックさんの台詞、普段のオーバー気味の演技と違って落ち着いた声での演技、なかなかよかったですが、声音が若すぎる印象を受けました。好みとしては、もう少し年配っぽい雰囲気が欲しかったです。 普段はおちゃらけていても、実際には年配で人生経験豊富なだけに、クロコダインの若さを覆い込むような包容力があって欲しかったなぁ、と。 良くも悪くもバダックの声音は、クロコダインと同年齢の友人に対する風に聞こえるなと思ったシーンでした。 「かえろう〜」の台詞、ここでバダックさんの台詞だと分かって、なんかスッキリした気分です♪ バーンパレスでの悪魔系怪物の「悪魔か、こいつは」発言、原作の時からずーっと思っていましたが……「悪魔はおまえだろうっ」のツッコみ待ちでしょうか(笑) ヒムの復活、思っていた以上にカッコいいです! ヒュンケルが思っていた以上に、ヒムの復活に戸惑っているのが見てて楽しかったです。原作では淡々としている印象でしたが、アニメでは驚きが強く感じられますね。 ところで、ヒムの頭の傷、原作よりも派手になっているのですが。 白目を剥いているヒム、怖い、怖い! 頭も砕けているし、原作にはない白目が怖いですよ〜。 死亡した表現として、暗い水底へ落ちていく表現が実に綺麗でした。 回想シーンでのハドラー達の姿、白目のまま、何かを叫んでいる姿なのが印象的でした。身体がうっすらと白い炎のようなものに覆われ、燃え尽きるように一人ずつ消滅していく図が、なかなかに凄惨で悲痛さを味わいましたよ。 ヒムが水の底で倒れ込んだ後、光が上から差し込むシーンは実に美しかったです! 原作には無い改変ですが、いいですね。 ヒュンケルを倒すつもりだったザコモンスター達、行動が唐突でおバカすぎです(笑) 一応、反逆者の部下ポジションだから倒しておいた方がいい立場には違いないですが、ヒュンケルのことも気にした方がいいと思うんですが。ヒュンケルだから良かったようなものの、敵を前に背中を見せていいと思っているんでしょうか。 ヒムちゃんの髪の毛出現シーンが、めっっちゃ気合いが入りまくっているのにはビックリしました。 原作では2Pとかからなかった髪が靡くシーンが、まさかここまで手の込んだものになろうとは。 敵側の鬼棍棒、バルログと鉄球魔人のコンビネーション、敵ながら天晴れでした。 でも、そのチームワークはヒュンケルと戦っている時に発揮すべきだったような気がしないでもないですが(笑) ヒムが容赦なくポンポン敵を落としているのを見て、ヒュンケルはわざと敵を落とさなかったんじゃないかとの疑問が発生。 ただ、空から地上に落下する場合は狙った場所にピンポイントに落ちるのは相当以上に難しいです。パラシュートやハングライダーなどで、着地点に正確に落ちるかを競う競技があるぐらいですから。 結果的に魔法陣どころかロロイの谷にさえ怪物らが一匹も落下しなかったのは、運も良かったんでしょうね。 自分の髪を握りしめたままヒムが見せる寂しげな表情、いいですね! 原作では目元を黒く隠す形で俯いていましたが、アニメだとヒムの切なさやハドラーへの思慕が伝わってきます。 そして、髪を手放した瞬間に気持ちを切り替えて、目つきからして変化するのがいかにもヒムらしいです。 ヒュンケルが「ダイの闘気剣に匹敵する」と考えた時、ダイの姿が実際に浮かんだのは嬉しいです♪ 原作ではアバンストラッシュを振り切った時のポーズでしたが、アニメでは構えるシーンからダイがこちらに迫ってきて振り切るまでの動きを見せてくれたのに、感激! ヒムが戦いを求めて近寄る際、ヒュンケルが槍を両手で盾にするように構えているシーンは、アニメの改変ですね。 その怯え気味な姿勢があるからこそ、槍を攻撃向きの姿勢に持ち替えるシーンが際立っています! 片手で槍を持つ姿が、防御を捨てた感じでカッコいいですね。 ヒムの攻撃、ゆったりした歩きから一転した突進の動きの差が気に入りました! 原作ではヒュンケルが驚いて目を見開いた後で、激突音と集中線が表現されるのですが、アニメでは見開かれたヒュンケルの目が、さらに驚くシーンがCMになっていますね。 ……と、期待させておいて、場面が地上に移るのは原作と同じ展開ですねっ、知ってた! 知ってたけど、分かっていても焦らされますっ(笑) 人間軍の描写が、死者なしで怪我も感じに描かれているのにホッとしました。割と、同じ鎧の者同士がペア行動しているのが三組、違う国同士の組み合わせが三組と、寄せ集めの連合軍ながら連帯感が結ばれている感じがしてよかったです。 なにより、ガルーダの登場が嬉しかったですよ! バダックさんが、覗き込むように後ろから見ているのもナイスなポイントです。クロコダインに背中を撫でられて嬉しそうなのも、いい感じ。 フローラを中心に魔法陣をみんなで囲むシーン、ほぼ原作通りの配置や人員みたいですね。 勇者に助っ人を送る余裕がないとの台詞の後、兵士達のカットがあったのは嬉しい改変でした♪ 人間と怪物達の共存が、すでに出来ている気がします! そんなシリアスな雰囲気をぶっ飛ばす、チウ君登場! チウの台詞、微妙な改変が混じっています。原作では選びながら人数を決めたようでしたが、アニメでは最初から三人と決めてから選んでいますね。 後、原作ではクロコダインへの誘いが、語尾にダッシュがついていて問いかけ感がなかったのですが、アニメではわずかに語尾を上げて問いかけている感が出ていたのが嬉しかったです。 ノヴァ、謙虚になったのはいいのだけど、別にチウにそこまで気を遣わなく そして、エイミさんの執念に爆笑! 原作では、チウが何か気配を感じてからエイミさんの自己アピールが表現されていましたが、アニメでは逆にエイミさんのアピールが先でした。 回復アイテムの下りは、アニメの改変ですね。 人間、怪物を問わずに仕切るチウの大物ぶりを、思い切り出していますなー。みんなが協力し合っているのが、実にいいです。 薬草を食べて回復する遊撃隊、可愛いです。特にバタコ、なに頭の上にハッパをのっけてるの?(笑) え、ええー、先週まで、チウに助けられることもなく超魔ゾンビの一員となった彼らの冥福を祈っていたのに、実は生きていたとなっ!? い、いや、生きているのは喜ばしいのですが、……正直、先週までの嘆きを返してと言いたい気分です……っ(笑) チウ達が準備中の間、クロコダインが佇んで待ち、ロン・ベルクと目を見交わすシーンはアニメの改変ですね。 チウ、空気を読めっ! と、叫びたかったです。せめて、斧に対して感謝の一言なり、壊してしまった謝罪なり、なんらかの会話を聞きたかったのに〜。 多分、後にその薬草を与えられるであろうヒュンケルとヒムが、ちょっと気の毒になりましたよ(笑) まあ、原作ではビースト君の回復魔法で救われるのですが……アニメだと、どうなるんでしょう? 予想的には、ヒュンケルは贔屓されて回復魔法、ヒムは薬草をてんこ盛りになるんじゃないかな〜と(笑) あ、ちょっと先になりますがポップが回復されるシーンもあるので、そこでチウが持ってきた薬草を知らずに食べ、どこにしまっていたか知ってげんなりするシーンがあってもいい気がします♪ クロコダイン達のバーンパレス着陸シーンは、アニメの改変ですね。 まあ、すぐにヒュンケルとヒムを発見したのだから、そう場違いな場所に行かなかったとは思っていましたが。 アニメオリジナルのクロコダインの台詞が素晴らしいです! そして、バーンパレスを感慨深げに見やるチウの後ろ姿……うん、背中で男を語るには、まだまだ未熟ですね(笑) 飛んできたせいでバテバテな怪物達が可愛いです。しかし、ドラキーが翼を畳んでへばっていると……シルエットがドロルっぽくなるだなんて初めて気がつきましたよ! チウの台詞は、本来なら地上で悪戯小僧達に言う台詞の改変ですね。 原作チウ「……ぼくの帰りを待っていたまえ! 女王様達と一緒にな!! もし、生きて帰れたら、おまえ達にも遊撃隊のバッチを作ってやるぞ!!」 見ての通り、原作よりもアニメの方が台詞がパワーアップしています。 原作では数話に亘って、敵である悪戯小僧とのやり取りを介してチウの器の大きさを表現していましたが、アニメではこの回でまとめて表現されていますね。チウの器の大きさ、クロコダインがそれを見守るという基本姿勢は崩さないまま、短く綺麗にまとまっていると感心します。 悪戯小僧エピソードも好きだったので少々心残りはありますが、人間達との協力や遊撃隊を大事にするアニメオリジナルエピソードも大いに気に入りました♪ クロコダイン同様、チウの今後に期待が持てます。 そして、ほのぼの雰囲気から一転して、ハードなバトルシーンに。 というか、あんだけ血を吐くって事は、アバラを折られて肺に突き刺さったのかと心配になっちゃいますが。 放り出されるシーン、アニメでは一回叩きつけられて弾む動きがデフォになってきました。 面白いのは、アニメとヒムの台詞の差。 原作ヒム「……終わりか……」 原作ではこの二つに分けての発言になっていましたが、アニメでは続けての発言になっています。 ここで、一言国語講座! ?もとのまま。前と、または他と同様に。(動かさないで)そのまま。 ?思ったとおりに。案の定(じょう)。いろいろ考えてみても結局は。 まあ、この場合は?の意味合いでしょうね。 つまり、アニメヒムの発言だと、ここで終わりなのが思った通りだと言っている感じになります。 ヒュンケルが大の字に倒れ込み、ヒムがそれを見下ろすシーン。 ヒュンケルが青空を見上げ、瞬きするシーン、ヒュンケルからの視点で真っ青な空だけが映り、黒い瞬きが発生するのは、彼の意識がぼやけだしている感じがして良かったです。 その直後の真上から見た全身図もいいですが、アップになったヒュンケルの目の焦点が合ってないうつろな感じや、ハーハーと口をはくはくさせている辺りも、リアルですね。 原作ではヒュンケルが目を見開いたコマの後、手が痺れるコマになっていますが、アニメでは槍を握りしめてから、目がうつろになるシーンとなっています。 意識が消える寸前、原作ではダイ、ポップ、マァムの顔を思い出しながらモノローグで呼んでいましたが、アニメでは回想はなく、ダイとポップはモノローグですが、マァムの名は実際に呼んでいました! 原作ではここで、ダイ達に場面転換して彼らの話が挿入されるのですが、アニメではこの場面転換はカットされています。 水の底に沈むヒュンケル、ヒムの回想と合わせた感じがいいですね。 が、アニメではアバンに引き起こされています。 回想シーンの小さいヒュンケルが、めっちゃ可愛い♪ 原作では素直にアバンの話を聞いていた幼いヒュンケルですが、アニメではちょっとムカッとしたような負けん気の強い表情を見せたのが実に可愛いです! しかし、回想シーンがほのぼのしていただけに、唐突にヒムちゃんのアップに切り替わった時は、ギャップにびっくりしました(笑) 起き上がろうとするヒュンケルを見て、思ったこと……。槍を手放してから立ち上がった方が楽な気がするんですが……(笑) いや、それはともかくとして、ヒュンケルがしっかりと立つシーン、原作ではわすかに斜に構えた角度だったのが、アニメでは真正面を向いているのがなんだか嬉しかったです。 次回予告のヒュンケルとヒムの殴り合い、迫力満点♪ どっちが勝つか、決闘を盛り上げる感じの予告は正統派なイメージ。 「銀髪鬼ヒム」と言う言葉は、今の時代にはそぐわないのかなとちょっと残念です。 |