『ホワイトガーデンの決闘』(2021.6.11)

  

《粗筋》

 ラーハルトと対峙するヒュンケル、そして、それをただ見守るヒム。
 ヒュンケルが「生きていたとはな」と呟くのを、ラーハルトは否定した。自分は、一度確かに死んだというラーハルトに、わずかに驚きを見せるヒュンケル。
 ラーハルトは目を伏せ、バランの血を授かって蘇生したのだと告げる。

 それを聞いて、ヒュンケルはバランがポップに対しても竜の血を与え、復活させた時のことを思い出す。

 ラーハルトは、バランが竜騎衆三人に血を与え、奇跡の泉の近くに安置したことを語った。
 だが、復活したのはラーハルトただ一人だけだった。
 強い精神力を持った者のみにその効力が現れるとの説明を聞き、ヒュンケルもポップがその精神力ゆえに復活できたのだと、腑に落ちた表情を見せる。

 数日前に復活したと言うラーハルトは、危うく最後の戦いを寝過ごすところだったとぼやく。

 そんなラーハルトに謝罪し、助けられたことについて礼を言いかけたヒュンケルの言葉を、ラーハルトは遮った。
 貴様を助けたつもりなど無い、と。
 敵を蹴散らしただけだといい、負け犬を助ける趣味などないと言うラーハルトの辛辣さに、激昂したのはヒムの方だった。
 
 無言のままのヒュンケルに、ラーハルトは敵兵を庇って傷ついたのだろうと見事に状況を推理し、戦士として恥だとまで言い放つ。
 ヒムは自分が貶されたのかように憤るが、ヒュンケルはラーハルトの言葉を肯定する。

 驚くヒムの前で、ヒュンケルはその場に崩れ込むように膝を落とした。
 冷徹に敵を倒し続けるのなら戦士だというのなら、もう自分にはそれができないし、その資格もないと俯くヒュンケル。
 そんなヒュンケルを、驚いたように見つめるヒム。

 どんな状況であったとしてもヒムを見捨てるなんてできなかったと、ヒュンケルは強い感情のこもった声で語る。
 が、ラーハルトは怒りすら感じられる目でそんな彼を睥睨し、おまえにバラン様やディーノ様を任せたのは間違いだったと決めつける。

 魔槍を握りしめる彼の手には、青筋すら浮かんでいた。
 その有様でディーノ様の力になれるとは思えないと、ラーハルトは槍を構え直す。それを、警戒の目で見やるヒム。

 顔を上げるヒュンケルの目の前で、ラーハルトは槍の穂先をヒュンケルへと向けた。
 ヒュンケルは、避けようとすらしなかった。
 何をするのかと怒るヒムに、ラーハルトは答える。

ラーハルト「生かしておくのも哀れな男……この手で、介錯してやる!」

 固い激突音と共に、壁に大きなひび割れが走る。真っ白な背景に、ほぼ白に近いヒュンケルの髪の毛が切れて空を舞った。
 驚きに目を見開くヒュンケルから、飛び散る髪の毛――その顔のすぐ横には、深々と壁に突き刺された魔槍があった。

 壁により掛かるように座り込むヒュンケルに、槍を手にしたまま壁を貫いたラーハルト。
 槍を引き抜いたラーハルトに、ヒュンケルは戸惑いがちに呼びかける。

 そんな彼に対して、ラーハルトは穏やかな……どこか、残念そうに思える表情で「戦士ヒュンケルは死んだ」と断言する。
 自分が今、この手で殺した、と……。だから、この魔槍を自分が持っていっても誰にも文句はないだろうと言うラーハルトを、驚きの目で見上げるヒュンケル。

 と、その視線を受けてラーハルトがわずかに微笑む。
 驚きの表情でそれを見上げていたヒュンケルは、それを見てフッと軽く笑い、頷いた。

ヒュンケル「……ああ、構わん。死体はもう、鎧を使わんからな」

 しばし、見つめ合った後、ラーハルトは鎧化する。
 魔槍や変形し、ラーハルトの足元から次々に鎧へと姿を変えた。
 ラーハルトはあたかも死者に向けるように、ヒュンケルに安らかに眠れと別れの言葉を継げる。

 おまえは戦い続けるには心は優しすぎたと言い残し、気分を切り替えたように目線をバーンの主城に向け、踵を返して走り出す。

 走り去るラーハルトを見て、ヒムが拳を握り込んで頭にくると不満を口にする。
 が、ヒュンケルはあれも奴なりの思いやりだとたしなめる。

 走り去るラーハルトの背中を見送りながら、ヒュンケルは奴が傷ついた自分に代わってダイを守るために、バランが使わしてくれた救世主のかもしれないと思う
 ヒムはその意見には懐疑的だが。

ヒム「あいつが救世主?」

 敢えて自分に引導を渡すことで、意志や使命を引き継いでくれたと呟いた後、ヒュンケルはふと目を伏せて思う。
 互いに死に目を看取った仲とは、奇妙な縁だと感じるヒュンケルの顔には、笑みが浮かんでいた。

 やるだけのことはやったと満足し、目を閉じるヒュンケル。その身体からは力が抜け、立てていた膝がわずかに崩れる。
 が、ヒュンケルに背中を向けてラーハルトを睨みつけているヒムは、その変化に気づかない。

ヒュンケル(これなら……これなら叱られはしないですよね……せん……せ……い……)

 ヒムはまだ気が収まらない様子で、ラーハルトがヒュンケルとは特別な間柄だと言っているような態度なのが気にくわないらしい。
 いつかあの野郎にもヤキを入れてやるといい、その前に傷が癒えたらヒュンケルと決着をつけると息巻いて振り返るヒム。
 が、その顔が大きく強ばった。






 同じ頃、走っているラーハルトもまた、ヒュンケルのことを考えていた。
 ヒュンケルがダイのために盾となって戦ったことを理解し、それを讃え、自分がその代わりを果たすと決意して走るラーハルト。






 そして、ラーハルトが向かった主城とはちょうど反対側の方向から、クロコダイン、チウ、ビースト君が走ってくる。
 チウは前方に人影があるのに気づき、クロコダインはヒュンケルかと疑問を発する。

 壁により掛かっている座り込んでいる男と、そのすぐ傍らに胡座をかいて座り込む男――近づいて、胡座をかいている男が親衛騎団のヒムだと気づいて、なぜここにいるのかと驚くクロコダイン。
 ヒュンケルはどうしたと問うクロコダインに、ヒムは顔すら上げようとしない。

ヒム「うるせえな……静かにしろよ」

 弱々しくそう呟くヒムの手元に、涙が滴りおちるのが見える。驚くクロコダイン。
 ヒムは溢れる涙を隠そうともせず、ヒュンケルが今、安らかに眠っているのだと語る。きっと生まれて初めて、戦いや宿命も忘れて傷ついた身体や心を癒やしているのだと……。

ヒム「なぁ、ヒュンケル……」

 顔を上げたヒムの呼びかけに、ヒュンケルは応じない。それを、目を丸くして見ているクロコダイン達。
 力なく壁により掛かったヒュンケルは、今にも床に滑り落ちそうな姿勢で横たわっている。その口元には、満足そうな微笑みが浮かんでいた――。






 その頃、ホワイトガーデンでは、ミストバーンが衣の裾を靡かせながら立ち位置を変えたところだった。その勢いで、周囲に白い煙が舞い上がる。
 剣と化した爪を身がまえるミストバーンに、ダイ達も緊張の面持ちで身がまえる。
 が、ミストバーンは目を光らせて言った。

ミストバーン「……どうやら、全滅したらしいな」

 キングのオリハルコン軍団の敗北を、むしろ喜んでいるかのように語り、それを果たしたのはこの場にいないヒュンケルか、アバンかと推理するミストバーン。
 が、その時、高らかにアバンの声が響き渡った。

アバン「私なら、ここです!」

 巨大なハンマーが返事をするように、揺れる。
 驚き、そちらに目を向けるミストバーン。
 ポップとマァムは嬉しそうに目を見合わせ、ダイも肩越しにチラッと振り返る。その口元には、笑みが浮かんでいた。
 
 長い階段を見上げると、その上にはハンマーを手にしたアバンと、レオナが並んで立っていた。
 アバンの名を呼ぶ、ダイ、ポップ、マァムの声が綺麗に重なる。

 そいつらを倒したのは、私の自慢の一番弟子でしょうと、指を立て、ウインクをするアバン。
 遅いぜと文句を言うポップは、ひどく嬉しそうだ。心配したというマァムも、笑顔である。ダイはとびっきりの笑顔を浮かべ、先生に呼びかける。
 ゴメちゃんも嬉しそうだ。

 弟子達の熱烈な歓迎に、余裕の表情で手を振って応えるアバン。
 その隣で、レオナが腰に手を当てて怒り出す。先生、先生とばかり言っていて、一緒に行った自分のことを無視されたのが気に入らなかったようだ。

 きょとんとした後で、ダイは苦笑し、ポップはレオナを心配しなかったわけじゃないと言い訳する。ゴメちゃんも冷や汗を流しつつ、口笛を吹いてなんとかごまかそうと必死だ。

レオナ「もぉ〜ッ!」

 まだ不満そうにふくれっ面をするレオナ。
 が、その時、シャキンと音がしてミストバーンが刃状の爪を一旦収めた。その音に、アバンに気を取られて敵に背を向けていたダイ達も振り返る。

 ミストバーンは、確かめるようにアバンに話しかけてくる。
 天魔の塔に先に立ち入っていたのかと言うミストバーンに、アバンは無言のまま笑う。

 レオナはメモを振りかざしながら、得意げにこの先の構造は調べさせて貰ったと言いきる。それに補足する形で、アバンは死神の罠は大方潰したと言い添えた。
 必殺アイテムを取り出そうと胸元を探るアバンを見て、なぜかレオナが大和手で止めようとする。

 が、アバンは変な飾りやら角のついた眼鏡を取り出して、身につけた。それを、驚きの目で見るダイ達三人。驚いた拍子に、そのまま三人そろってコケてしまう。
 が、ミストバーンは平然と眺めたままだ。

 アバンはけったいな眼鏡をつけたままハンマーをブンブン振り回し、Vサインを掲げながら『ミエールの眼鏡』の自慢をする。その隣では、レオナが諦めきったような表情で俯いていた。






アバン「ぶんぶんぶんっ。ミエールの眼鏡とハンマーで、トラップつぶして、ぶんぶんぶーんっ!」

 歌のように節回し良く言いながら、ハンマーを振り回した後で眼鏡をかけ直し、歌詞に合わせてハンマーを指さし、またも最後にハンマーを振り回すなど、おどけてみせるアバン。

 レオナは黙っていれば分からないのに、先生の格好良さが台無しだと沈痛な表情で目を伏せている。
 ダイ達も呆れた様子を隠しきれない。

ダイ「先生……ノってる……」

ポップ「ああ……昔からこういうネタでは、ウケを取らずにはいられない性格だったもんな〜」

マァム「……取り越し苦労だったのかしら……私達の心配……」

 が、ミストバーンが笑い出したのを聞いて、警戒して後ろを振り返るダイ達。
 爆笑しだしたミストバーンに、ダイは驚く。

ダイ「え?」

ポップ「おい……なんか、ミストバーンにもウケてるぞ」

 真顔でそう言うポップに、ダイは思わずジト目になる。

ダイ「んなバカな……」

 ゴメちゃんもダイに賛成なのか、呆れたように羽を振っている。
 そんなダイ達の反応を気に留めず、ミストバーンは好きなように笑い、アバンを面白い男だという感想を述べる。

 魔王ハドラーを倒した頃から、アバンを知っているというミストバーン。
 ミエールの眼鏡で目を隠したアバンの表情は、いつもにもまして読みとれない。

 ミストバーンはアバンの能力を抑え込むような行動、完成度の高さを評価し、弟子から尊敬されるはずだと納得する。
 ミストバーンの話を、警戒しながら聞いているダイ達。

 話を聞き終えたアバンはミエールの眼鏡を外した。その下から覗くのは、驚くほど真剣な表情をした目だ。
 手にしていたハンマーを床に下ろし、今度はアバンが話し出す。

 この三ヶ月あまりの情報は、レオナから大方聞いた、と。
 いつもの眼鏡にかけ直したアバンは、現在の魔軍指令のミストバーンが打倒バーンの最大最強の難関のようだと結論づける。

 ミストバーンはそれを認める。
 ザボエラもやられたらしいと判断し、マキシマムもいない今、バーンパレスから敵を一掃できるのは自分しかいないと自信満々に言ってのける。

 ポップは腕を組み、魔王軍六大団長もミストバーン以外は全滅したと、挑発的に言う。
 が、ミストバーンはそれを聞いて笑う。
 何がおかしいと、反応するポップ。

 ミストバーンは六大団長は、バーンのお遊びだったと暴露する。
 本来、ミストバーン一人いれば、地上殲滅は容易く済んだと言う。
 驚きに息をのむダイ達。

 だが、バーンが互いに競い合う最強の軍団を手に入れようと考えたと語るミストバーン。彼が手を握りしめると同時に、噴水の竜の口から一際強く水が噴き出て、あふれ出す。

 地上で最強だったハドラーを迎え入れ、個性豊かな部下を揃えた。
 バランとヒュンケルはその覇気と人間を憎む心を。
 クロコダインはその忠誠心を。
 フレイザードとザボエラは、その出世欲と知謀を。

 強い軍団のために、様々な個性が揉み合う必要があった。だが、その構想もダイ達に砕かれた。残念だと言いながらも、ミストバーンはそれをさして気にしている様子はない。
 
 魔王軍の存在など数十年の泡沫の夢だと言うミストバーンは、数千年も一人でバーンを守り抜いてきたという自負がある。
 ミストバーンの身体から、暗黒闘気があふれ出す。
 その風に煽られるダイ達。

 ポップはミストバーンの執念を目の当たりにして、彼だけは他の連中と格が違うと実感し、用心しなければならないと警戒を新たにする。

 全員でかかってこいと、手招きしながら挑発するミストバーン。
 ホワイトガーデンをおまえ達の墓場にすると宣言し、手を刃物へと変形させる。

 身がまえ直すダイ達三人。
 マァムは、ミストバーンに隠された素顔があるから気をつけてとダイに忠告する。

 頷き、パプニカのナイフを腰の後ろの鞘に戻すと、ダイは背中の剣に手を掛ける。全力で勝負をかけると気合いを込めるダイを見て、離れた場所にいるレオナもまた姿勢を正す。
 ミストバーンは静かに、もう片方の手も刃に変えた。

 だが、アバンが待ちなさいと声をかける。
 驚き、ダイは剣から手を離し、ポップと一緒に後ろを向く。
 ゆっくりと階段を降りながら、アバンはミストバーンとは自分が戦うと宣言する。

 降りてくるアバンを、驚きの表情で見上げるダイ達。
 ミストバーンは、それがアバン単独で戦うという意味かと、念を押すように確かめる。
 それに無言で頷くアバンだが、ダイ達はそれを聞いて敵に完全に背を向けて、アバンを説得にかかる。

ポップ「無茶だぜ、先生ッ」

マァム「そうよ、先生! みんなで戦えばッ」

 階段の踊り場で足を止めるアバンの背中を、心配そうに見つめるレオナ。
 ミストバーンに挑戦するアバン。その背後に、奇妙なヒビが発生したことにミストバーンだけは気づいていた。

 くるりと背中を向け、挑戦を断るミストバーン。
 戸惑うアバンに、ミストバーンは独り言のように「あの男」の存在を忘れていたと言う。執念深い奴だから、自分の獲物を横取りされたと知ったら何をされるか分からないと語るミストバーン。

 その時、暗闇の中に二つの光が不気味に光る。目を思わせる二つの光だが、その日鯛にあたる部分に三つ目の光が浮かんだ。
 ヒビを切り裂いて、大鎌が突如出現した。それが、大きく振り上げられる。

 いち早くそれに気づいたダイが、先生に呼びかける。
 が、その時は、死神の鎌じみた大きな鎌がアバンの肩から腹を袈裟斬りに切りつけていた。

 いつの間にかアバンの背後には、黒い不思議な空間の裂け目が発生し、そこから大鎌が伸びて出ている。

ポップ「鎌ッ!?」

ダイ「キルバーンだッ、キルバーンが先生をっ」

ゴメちゃん「ピピーッ!?」

 攻撃されたアバン自身が、驚きの表情を浮かべている。
 ミストバーンは上機嫌に『キル』に呼びかけ、振り返る。死神の面目躍如だと褒めた後で、ミストバーンは目を見張る。

ミスト(あれは……)

 キルバーンは声のみで、ミストバーンに後を任せると言い、鎌の柄を後ろの空間へと引っ張り込む。
 それに、抗おうとするアバン。

 階下にいたダイ達三人は先生の名を叫びながら、一斉に駆け寄ろうとする。黒い空間に引き込まれそうなアバンを見て、階上にいたレオナもかけだしかけた。

 が、そのレオナをアバンは目だけで制する。
 アバンの目を見て、動きを止めるレオナ。半ば黒い空間に引きずり込まれかけながらも、冷静な目でじっとレオナを見つめるアバン。

 それを見たレオナは、決意を固めた目を見せる。
 力なく下ろされた手を、ギュッと握りしめるレオナ。
 その間も、黒い空間に引きずりこまれつつあるアバンは、もがきもせずにただレオナだけを見つめていた。

 俯き、両手を握りしめたまま動きを止めることで、アバンの眼差しに応えるレオナ。
 アバンの身体は夜空を思わせる黒い不思議な空間に鎌ごと飲み込まれ、前に伸ばした手だけが最後まで残る。

 必死になって踊り場まで駆け上がったダイ達だが、その時にはもう、アバンは指先をわずかに残すのみであり、黒い空間自体が小さく閉じつつあった。
 ダイ達の目の前で、それはピッタリと閉じて消えてしまう。

 ショックを受けるダイ達の目の前で、黒い煙のようなものだけが余韻を漂わせて消滅する。
 
 そんなダイに、笑い交じりに指導者をまた失ったなとからかうミストバーン。
 怒りの表情を浮かべて振り返るダイを煽るように、ミストバーンは二度までも死を失った気持ちを問いかける。

 それに対し、ダイは怒りも露わに、キルバーンと示し合わせてアバンを暗殺をしたミストバーンを責める。
 
 ダイをさらに煽るように、ミストバーンは暗殺ではなく、もっと面白い者だと揶揄する。
 血相を変えるダイ。
 目を輝かせ、あれは決闘だと教えるミストバーン。

 それを聞きかえすダイ達三人の声は、見事なまでにそろっていた。
 先程の鎌がキルバーン愛用の死神の笛でなかったことから、あれがアバンを決闘の地へ誘う死のガイドだと見抜くミストバーン。
 アバンは死んだのではなく、これからしぬのだと 宣言するミストバーン。
 それを聞いたダイは、唇を噛みしめた――。






 黒と赤の混じり合った風景が、ぼやけたまま映し出される。
 その中央に倒れている人影らしきもの。焦点が合うと、倒れているのがアバンだと分かる。

 そこは、青空ならぬ黒空の世界。
 白い雲の代わりに、不吉なほど赤い雲が流れている。
 ゆっくりと目を開けたアバンは、黒い星空に赤い雲が流れる風景を目の当たりにする。
 ここはどこだと呟きながら、身を起こすアバン。
 
 骸骨のような顔にぎょろりとした目が浮かび、アバンをここに引き込んだ鎌が光る。

 背後に気配を感じたアバンは、とっさにその場をジャンプして飛び退き、着地と同時に剣の柄に手を掛ける。
 その姿勢のまま、冷静に敵を見定めるアバン。
 が、その表情に疑問が浮かぶ。

 空に浮かんでいるのは、上半身と手首から先しかない奇妙な怪物の姿。大鎌をかまえてはいるし、目玉をアバンには向けるものの、攻撃の気配はない。
 自分を狙っているのではないのかと、呟くアバン。

 数歩近づき、このロボットのようなものが自分をここに引きずり込んだ張本人と推察するアバン。

キルバーン「ビンゴだ」

 足元の雲を蹴散らし、全身を赤い霞に覆われた姿で登場したのはキルバーン。
 やけに芝居がかった声音で、復讐の空間にようこそと歓迎の挨拶をかけてくるキルバーン。

 すぐにでも雪辱を晴らしたかったが、仮面が見つからなかったと説明するキルバーンが手を上げると、身体を覆う赤い霞が散る。それを、驚いてみやるアバン。

キルバーン「今の気分にピッタリの仮面が見つかった!」

 怒りを孕んだ声でそう宣言するキルバーンの仮面は、以前のものよりもずっと猛々しい。

アバン(い、怒りの仮面……!)

 この仮面が自分の胸中だと語るキルバーンの仮面の眉毛が、赤く燃え上がる。君ほど自分の自尊心を傷つけ、怒りに震わせた者はいなかったと、不の熱意を込めて語るキルバーン。

キルバーン「強いて言うのならキミの弟子のあの魔法使いだが……師匠の方のムカつき加減はそれ以上だ!」
 
 怒りの感情を象徴するように、炎が燃え盛る形のまま象られる仮面の眉。感情的に、アバンをいたぶり殺すと宣言する。

 向かい合い、距離を置いて退治するアバンとキルバーン。
 その二人の上空を、雲のように流されるようにして中央部分に移動する鎌を構えたロボット。

 余裕をなくした様子のキルバーンをからかい、どんな汚い罠を用意したのかと挑発的に問うアバン。
 キルバーンはどこからか出したトランプを二本の指に挟み、それをアバンに向かって投げつけた。

 アバンも二本指で軽くそれを受け止める。
 カードを見ると、そこにはおどけたポーズを取るピロロの姿が描かれたジョーカーのカードだった。

 それは決闘の手袋代わりだと言うキルバーン。
 罠もなし、正々堂々と決闘を申し込むと宣言するキルバーン。ここはそのための空間であり、空中にいるロボットは『ジャッジ』という決闘の管理人。

 その鎌には空間を斬り、異空間に相手を引きずりこむ能力が秘められていると説明するキルバーン。
 鋭い刃先にあたった赤い雲が、二つに切れながら流れていくのが見える。

 古来より、完全決着をつけたい相手との決闘マシーンとして使用されたと言う。

 ジャッジの三つの奇怪な目が、ぎょろぎょろと落ち着きなく周囲を見回す。

 ジャッジは審判であり、閉ざされた空間で戦い抜いた両者のうち、敗者に裁きを下す。







 一瞬、閃く鎌と、飛び散る緑色の血の幻が見える。







 敗者の首をはねるとのキルバーンの説明を聞いて、アバンは恐ろしいマシーンだと独り言のように言う。
 キルバーンはジャッジはデザインが気に入ったから手に入れたが、使うとは思わなかったとも言う。

 挑戦を受けてくれるかと凄むキルバーンに対し、アバンはここまでお膳立てを重ねた手法に怒りを滲ませ、手にしたジョーカーのカードを足元に投げつける。地面に突き刺さるジョーカーのカード。
 キルバーンのやり方を『罠』と非難し、剣を引き抜くアバン。

 前に伸ばしたキルバーンの手に、細い剣がどこからともなく出現し、握りしめられる。
 その態度を決闘受託と見なし、剣を軽く振るってから身がまえるキルバーン。

 キルバーンが剣を手にしたことに、驚くアバン。
 空中のジャッジが機械的な声で、アバンとキルバーンのバトルスタートを告げる。その目玉だけが、生き物めいた輝きと動きを見せて忙しなく動く。

 鋭い動きで切り込むキルバーン。それを剣で逸らしつつ、アバンも突き主体の反撃をする。
 二人の剣がぶつかり合って、火花を散らす。

 キルバーンの攻撃が、アバンのマントを切り裂く。
 剣を振るうアバンの攻撃を躱し、キルバーンは今度は突きでアバンの首元部分を切り裂いた。

 ぶつかり合うアバンとキルバーンの剣。
 アバンの剣に切っ先を当てたキルバーンの剣が、刃に赤い線を引き、嫌な音を立てつつ下へと落とされる。

 次のキルバーンの突きは、アバンの頬を掠った。
 鬼気迫る表情でアバンに迫るキルバーン。そんな決闘の様子を、ジャッジは抑揚のない声で淡々と解説する。

ジャッジ「キルバーンの先制攻撃。アバン65のダメージ」

 ジャッジの第三の目が、赤く光に包まれる。ゆっくりと、鎌が持ち上げられた。







 その頃、ホワイトガーデンではミストバーンが上機嫌にダイに話しかけていた。

ミスト「賭けてみるか? どちらが生きて戻ってくか……私はもちろん、キルバーンに賭けるがね」

 悔しそうな表情でそれを聞いているダイ、ポップ、マァム。一人、離れたところにいるレオナも、険しい表情でそれを見ている。
 ダイは、まっすぐにミストバーンを睨みつけていた。






 異空間では、空に浮かぶジャッジの下で、アバンとキルバーンの決闘が続いていた。研堂氏が火花を散らす中、キルバーンの剣が時折、アバンの服やマントを傷つける。
 キルバーン有利な展開の決闘を、ジャッジは静かに見つめ続ける。彼の持つ大鎌が、光り輝いた――。
 


 


《感想》

 今回はラーハルトとヒュンケル、そしてアバンとキルバーンと、ライバル同士の対決が見物でした! ……前者と後者では、両者の親密度やら友好度が段違い過ぎますが(笑)

 回想シーンで、バランがポップに血を与えたシーンが流されたのが嬉しいです♪

 ラーハルトの説明シーンで、血が一滴落ちたところから水面のように波紋が広がり回想シーンに繋がる演出はかっこよかったですが……血の色が濁った緑色なのが、いろいろと台無し感がっ。

 い、いや、赤い血だとそれはそれでまずいと思いますが、奇跡の血というのなら虹色の輝きを秘めた水滴でもよかったんじゃないですかね!? 正直、緑の血の色があまりにもどんよりした沼っぽい色合いなので、奇跡の血との言葉があまりにもそぐなわ過ぎます!

 しかし、バラン……原作でも思いましたが、棺桶をそのまま森に無造作に放置しないで(笑) 雑すぎですっ。

 せめて、浅い洞窟の奥にこっそりと揃えておいておくとか、穴だけ掘って土を被せないまま棺桶をその中に入れておき、そのまま永遠の眠りに就くようなら、時間が経過すれば雨や風で自然に土に埋もれるような形にしてあげても……と思うのは贅沢でしょうか。

 いかに人がめったに来ない場所とは言え、棺桶が無造作にゴロゴロしている聖なる泉なんて、なんか嫌ですよ!
 それにしてもラーハルトが白い服を着ていたところを見ると、ダイ大の世界でも死者には経帷子のように白い死に装束を着せる習慣がありそうです。

 ラーハルト(多分)の入ったと思われる棺の上に、バランの影だけが映り、それが去って行く演出は実に良かったです!
 去る姿が一瞬だけ実像で映りましたが、それも後ろ姿の一部のみでした。
 姿をはっきりと見せず、間接的に棺桶を見つめていたという表現に、バランの秘めた悲しみや、竜騎衆の復活を願う気持ちが感じられました。

 しかし、バランが去ってすぐにラーハルトが復活したように見えたのは残念! ちょっとでもいいので日が昇ってくれるなどの背景変化を混ぜて、時間経過の表現が欲しかったです。

 それにしても棺桶を手を押し上げるシーン、ラーハルトの薄紫色の手が思いっきりゾンビに見えてギョッとしました(笑)

 原作ではラーハルトが起き上がるところしか描かれていませんでしたが、アニメでは起きてすぐに後ろを振り返り、しまったままの棺桶を見つめるラーハルトがいいですね。
 仲間の死を悼んでいるのが、声音も淡々としている感じでした。……ボラホーンを殺したのはこやつなのですが(笑)

 でも、ラーハルト的には、全員で復活したい気持ちがあったのかなと思わせるシーンでした。死んだことで、ガルダンディーやボラホーンが心を入れ替えて純粋に強さを求める戦士として復活してくれれば、彼にとっては最高の展開だったのかもしれません。

 ヒュンケルがポップの生還に納得するシーン、ポップの回想なりイラストを見たかったです〜っ!
 
 ヒュンケルが膝をつくシーン、原作では手がだらりとだらしなく広げられた姿勢なので、悄然と崩れ落ちたように見えるのですが、アニメでは手を足の上にきちんと置いているので、まるでラーハルトに臣下の礼を取っているように見えてしいます。

 同じように片膝をついた姿勢でも、足の向きや角度でこんなにも印象が違うのかと驚きました。

 魔槍を握りしめるラーハルトの手に、青筋が浮かんでいたのもアニメの改変ですね。原作では普通に槍を持ち直すシーンでした。

 ラーハルトが槍を構えるシーンを横から見た図、原作も同じ構図ですが、ラーハルトの手の角度が変わっていたのが面白かったです。
 原作では逆手で肩よりも高く槍を持ち上げていましたが、アニメでは順手で普通に持っていました。

 原作の持ち方の方が見栄えはしそうですが、アニメの方がより実践的な構えだと思います。

 また、アニメではヒュンケルの後ろからの視点でラーハルトが槍を持って狙い定める構図を描いていましたが、難しい上に構造が複雑すぎてバースをとるのも大変そうな槍を、よくもまあここまで描いたものだと感心しました。
 原作にはないオリジナル構図なだけに、描いた方の熱意と技術を感じます♪

 ヒュンケルに介錯をと言うーハルトの台詞が、前半は淡々と、後半は叫んでいるのがいいですね。常に感情を抑え気味な彼ですが、ある一点を超えると急に激情家になるラーハルトらしい口調だと思います。

 ラーハルトが槍を引き抜くシーン、アニメでしっかりと描かれていたのは嬉しいです♪
 原作では、オレが殺したの台詞のシーンで槍を構え直していたので、そこで抜いたようにも見えていたのですが、アニメでは早い段階で槍を引き抜いていますね。

 ラーハルトの微笑みのシーン、表情が和らぐアニメーションがあったのが嬉しいところ♪ 漫画では瞬間、瞬間の切り取り表現になりますが、アニメでは状態変化の表現が魅力だなぁと実感できるシーンです。

 ヒュンケルの微笑み返しも表情の変化がよかったですが、それ以上に印象的だったのが彼の無理をしているような、苦しげな口調の方でした。
 体調的に辛いのはもちろんあるでしょうが、心理的にもここで戦いを止めることに抵抗感があるんだなと、声を聞いて改めて思い知った気がします。

 原作で台詞を読んだ限りでは、ヒュンケルはもっとさっぱりとここで全てを諦めたと思えたのですが、アニメで声の演技を交えて見ると、未練がまだあるのに強引に断ち切られたことで、ようやくそれを認めることが出来たように思えます。

 ラーハルトはヒュンケルのその性格を見越したからこそ、一度彼を『殺し』て、感情の区切りをつけられるようにしてあげたのかと考えると、彼らの友情を感じますね。
 付き合いは決して長くないので、お互いに似た感情や心境を持っているため、親和性が高いのでしょう。

 ラーハルトのアムド、カッコいいです♪ 
 ヒュンケルの魔剣、マァムの魔甲拳もいいですが、ラーハルトの魔槍のアムドが一番主人公の変身っぽいような……(笑) ヒュンケルの魔剣は、どう見ても悪役感が拭えませんでしたしねー。

 それぞれに変身の仕方が違うのは、ロン・ベルクのお遊びなのか、単なる材質や形状の差かは気になるところです。

 ラーハルトが変身し終わった時、左右からラーハルト、ヒュンケルの顔が一瞬交差しあう演出がいいですね! 原作になかったアニメのオリジナル演出です。
 魔槍の持ち主がこの瞬間、確かに変わったのだと双方が納得し合う印象があります。

 それでも、ラーハルトの立ち姿にかすかに紫色のオーラが漂い、すぐに消えるのがヒュンケルの闘志の残滓のように見えていい雰囲気。

 それにしてもラーハルト、鎧が結構壊れたままなのに文句を言わないのが心が広いですね。まあ、魔槍に自動修復機能がついているのは彼も承知しているでしょうからいずれ直ると思っているのかもしれませんが、これから最後の戦いが待っているというのに。

 ラーハルトがヒュンケルに別れを告げた後で顔の向きを変えた時、すでに目つきが戦いへと切り替わっているのが印象的でした。
 原作では立ち去る足元しか映っていないので、気分をすでにここできっちりと切り替えていると分かる表情の変化を見せてもらえたのが嬉しいところ。

 ラーハルト出現をバランや天からの使いと称したヒュンケルの発言を聞いてふと思いましたが、ヒュンケルって信仰心が厚いというか、かなり天や神の存在を意識していていますね。

 賢者のくせにほぼ無信仰っぽいポップとは、そういう点でも対照的だなと思いました。
 ハドラーも神への祈りかけがありましたし、意外にも魔王軍の方が神の存在を身近に感じているのかもしれません。

 実際、魔王軍のトップであるバーン自身が神への敵対者になる意志がありましたから人間達と違って神が実在すると知っていますし、その影響があったのかもと思うと興味深いです。
 
 ヒュンケルが意識を失うシーン、膝の力が抜けおちる描写があったのはアニメの改変ですね♪ 原作でも膝が水平に落ちているコマになっていましたが、動くところが見られたのはやっぱり嬉しいです。

 ヒムちゃんの後ろ姿で、髪の毛が見事なまでにサラサラストレートで艶やかなのにはビックリしました。えっ、後ろ姿だけならアルビナスよりも美人!?(笑)

 ヒムがヒュンケルの死(仮初め)を悼むシーン、いい雰囲気ですね。いい雰囲気なんですが……ビースト君、手を幽霊のようにちょこんと垂らしたその立ち姿、なんとかしてください、つい笑っちゃいますから!(笑)

 微笑みながら意識を失っているヒュンケルの図も、不満ですっ。
 ここでこそ、原作のように白黒な画面で見せるや、止め絵として表現するなど、いかにも死んでしまった的な特別演出が欲しかったのに〜。

 原作でさえこの時のヒュンケルは傷が少なかったのに、アニメだと原作よりもダメージ表現の痕跡がさらに少ないので、ただ眠っているだけのように見えてしまったのが無念でなりません。
 いつもの死ぬ死ぬ詐欺の使いどころだというのにっ!

 ホワイトガーデンで、ミストバーンが足を滑らせて踏ん張るシーン、思ってた以上に白い煙が上がってビックリ。え、掃除不足?(笑)
 い、いや、ミストバーンの足のせいで床石が削れたんですよね。
 でも噴水前にあった楽しいピクニックセットが綺麗さっぱり見えなくなったので、もしやこの勢いで蹴飛ばして消滅させたのかもと予想しちゃいます。

 原作ではこの後のシーンでも、ちゃんと噴水の前に置きっぱになっていたのですが、アニメでは痕跡皆無になっています。
 噴水前にいたダイ達は、噴水横の階段前まで移動しています。噴水を避けつつ、やや後退している感じですね。
 ミストバーンは、そんな彼らの前に移動しています。

 原作ではミストバーンの動きを警戒して、ダイ達の方こそ動いた印象を受けますが、アニメではミストバーンの方が大きく動いたように見えて、ダイ達は身構えこそすれ、全く移動していません。

 アニメでは、ダイ達が自分達に有利なようにジワジワと噴水から階段下へと移動していき、それに気づいたミストバーンが、威嚇混じりにわざと大きく動いて真正面に立ったというところでしょうか。

 ミストバーンがキングの全滅を悟る際、原作では顔をそちらの方に向けている仕草をみせますが、アニメでは目を光らせただけでそれを悟っています。
 ミストバーンの立ち位置、原作では壁を背にしていましたが、アニメでは背後に回廊が見えるのでぐっと奥行きを感じます。

 しかし、アバン先生の帰還シーン!
 下げたハンマーが動いているからついそっちに目が行きますが、その背後がレオナのミニスカとロングブーツから覗く絶対領域画像のアップとはどういう選択ですか!?(笑)

 全身の遠景でも顔でもなく、原作にもないこのカットに、レオナのお色気シーン追加のための強い意志を感じます(笑)
 
 ポップとマァムが目を見合わせるシーン、いいですね♪
 原作通りですが、ダイとマァムは並んで前に立ち、ポップは少し後ろにいると言う立ち位置なのに、ダイではなくポップと目を合わせるマァムの無意識の行動がポプマ派としては嬉しい限り♪

 でも、ゴメちゃんが目を飛び出さんばかりに後ろを見ている図が削られたのが残念です。

 三人がアバン先生の名を呼ぶシーン、原作では先生が一番弟子の自慢をした後でしたが、順番が変わっています。
 原作では誰の台詞か分からなかったのですが、全員だったんですね(笑)

 ダイ達が先生の帰りを喜ぶシーン、原作よりもアニメの方が子供っぽくて嬉しさ満載なのが可愛いです♪ アバン先生の手を振り方、まるでファンに応えるスターのようですね。

 レオナが怒り出すのが、焼き餅っぽくて可愛いですね。
 ダイとポップがそろってきょとんとした後、ダイの方がいち早く苦笑している反応が良かったです。これも、アニメの改変です。

 原作では台詞は同じでも、ダイは通常の表情のままですし、ポップの目をそらし気味な言い訳シーンだけなので、きょとんシーンが嬉しかったです。
 ダイの方が普段からポップのわがままっぷりに慣れているせいか、急にわがままを言い出した相手への反応に慣れている方がらしいですね。

 ゴメちゃん、口笛を吹いてごまかそうとしている、可愛い! ポップの真似かな? これもアニメの改編で、原作では普通に見ているだけでした。
 マァムの反応がなかったのが残念ですが、レオナの膨れた「もう」という台詞と表情追加は嬉しかったです。普通の女の子として拗ねているレオナも、実に可愛いですね♪

 しかし、原作でははっきりと表記されていませんでしたが、アニメではダイ達、アバン先生達の帰還に気を取られて完全にミストバーンに背中を向けていました(笑) いや、油断しすぎっ。

 アバン先生の変な眼鏡装着シーン、原作ではレオナは片手を振って慌てていますが、アニメでは両手を広げたポーズで慌てています。手のパタパタした動きが可愛かったので、アニメでも動かして欲しかったです。

 ダイ達のコケるシーン、原作では足元だけだったので、その前に驚きに口をあんぐりする表情を見られたのは嬉しかったです。特に、マァムのあの驚き顔は貴重!
 ゴメちゃんがフラフラと驚くのは同じですが、原作では右から左に飛んでいたのが、アニメでは左から右に飛んでいました。

 アバン先生の自慢げに「デース」と語尾を伸ばす言い方を聞いて、遊戯○のペガサスを思い出しましたよ(笑)
 まさか、ここでCMになるとは(笑)

 しかも、CM後もオリジナルシーンとしてアバン先生がハンマーを振り回しまくっていますっ。そ、そこまでやるっ!?(笑)
 レオナが呆れるシーン、セピアっぽいフィルターがかかっていて画面が綺麗ですね。眉毛がピクピクと引きつっている細かさに感動しました!

 弟子達の嘆きシーン、原作では床に座り込んでいるようなポーズでしたが、アニメでは棒立ちな印象です。

 反応が一番原作と違って見えるのは、ポップ。
 原作ではポップは縦線混じりの半目で、げんなりしているように見えましたが、アニメでは半目だけだったせいか、呆れかえっている風に見えました。

 ところで、マァムが『心配が取り越し苦労』だったかと嘆いていますが、原作ではマァムは先生が無理をしているのではないかと不安を感じていましたが、アニメではその台詞は変更されていたので、こちらも変更されるかと思っていたのにそのままで、ちょっと残念です。

 爆笑ミストバーンに、ダイが「え」と驚くシーンはアニメの改変ですね。
 原作ではちょっと間抜けな表情でミストバーンがウケているというポップとダイのやり取りが、アニメでは真顔のポップ、ギャグ顔のダイという組み合わせなのが楽しいです。
 ダイのギャグ顔、可愛い〜っ。

 目を閉じたゴメちゃんが翼をぷいぷいっと振って、「ない、ない!」と言わんばかりに鳴くシーンが入ったのも嬉しい改編♪
 原作ではダイにくっついて、ダイと同じ半眼になっているのですが、アニメのゴメちゃんってばポップへのツッコみ属性まで身につけていますよ!

 ミストバーンの長台詞で、噴水が強まる演出にビックリしました。これもアニメの改変ですが……なに、この無意味な仕掛けっ!?
 ミストバーンの気分一つで、噴水を変化させる演出って、どういう時に役に立つんでしょうか? ……噴水前のピクニックで、お祝いのために噴水をいつもよりも多く出すぐらい?(笑)

 バランの説明部分で、セピアの回想として、ソアラさんを抱えて抱くシーンが出てきたのは嬉しかったです。
 ヒュンケルの回想は、ダイと始めた会った頃と、アバンと初めて会った幼い頃でした。

 クロコダインの回想は、悪魔の目玉からハドラーに初めてダイの話を聞くシーンと、多分ダイとの初対決シーンでした。

 フレイザードは立ち姿が二カットでしたが、最初のカットは背景がよく分からず特定できず。

 が、もう一つのカットは炎と氷がほぼ消えた岩石の塊状の顔になって叫ぶシーン……ダイとの対決で切り札の弾丸爆花散を使った後ですね。多分、マァムに同情されて怒鳴り返した辺りかと。……なんでわざわざ、こんな情けない姿を選んだんでしょう(笑)

 個人的には、フレイザードならばレオナを人質にした時のカットがよかったです〜。

 ザボちゃんの回想は、超魔生物改造のアジトでザムザが送ってきたデータを見てほくそ笑むところ(多分)と、マァムに化けてポップを騙し、変身解除するシーン。……なぜ、ここを選んだ!? いや、好きなシーンですが(笑)
 本物じゃないですが、悪女なマァムも可愛いですよね♪

 魔王軍の構想をお前たちに砕かれたと語るシーンで、ダイ、ポップ、マァム、ゴメちゃん、レオナ、アバンのアップが差し込まれるのはアニメの改変ですね、いい感じです。
 気張ったゴメちゃんの顔が、特にお気に入りです。

 ミストバーンが一人でバーン様を守ってきたと自慢するシーン、原作ではスピード線風のトーンでしたが、アニメでは実際に暗黒闘気の奔流が起こり、ダイ達がその余波で煽られている描写があります。

 ダイはわずかに前屈みになっているだけで微動だにせず、ポップは髪の毛が完全にひっくり返る形に靡いて姿勢が傾いている辺り、強風の日に傘の持ち方が悪くてひっくり返す人を連想しました(笑)

 マァムとレオナは、手で身体を庇う素振りを見せていますね。微動だにしないアバン先生は、さすがです。まあ、ダイ達に比べると距離があるので威力も弱まっていそうですが。

 ミストバーンが手招きするシーン、原作では手招きだけでしたが、アニメでは手を剣に変える演出が実にカッコいいです。
 本気を出すダイを見て、レオナが身がまえるのもアニメの改変ですが、感動しました♪

 ダイと一緒に戦うと言った通り、レオナは本当にダイをずっと見つめながら、彼にとって最善のサポートを行えるように努力しているんだなと感じられます。

 アバン先生が階段を降りるシーン、真上から見た珍しい構図で、左下から右上に向かって歩いて行くカットがあったのは感心しました。地味ながら、すっごく描くのが難しそうなシーンです。

 アバン先生が戦うと言った際、マァムの説得が大幅にカットされていました。

原作マァム「……そうよ!! 先生に戦うなとは言わないけれど……ハドラー達のように正々堂々と一対一で戦う必要の無い相手だと思うわ……! みんなで戦えばっ……!!」

 原作マァムは、ずいぶんと先生の実力を過小評価していると言うべきか、過保護なぐらい心配している気がします。……まあ、死んだと思って本気で泣いていましたから、無理もないですが。

 ミストバーンが挑戦を断る際、わざわざ背を向けるアクションはアニメの改変ですが、いいですね。
 暗闇に光る目の出現、怖っ。三つ目の目が一歩遅れて光るのもホラー感あります。

 それにしても、あの男について語るミストバーンがやたらと嬉しそうな感じですね。

 アバンが攻撃を受けたシーンを見て、ポップがひどく辛そうな表情を浮かべているのに対し、マァムは驚きの表情の方が強いのが面白いです。

 ポップは敵の攻撃だと即座に察知し、それが致命的なものだとすでに理解しているので絶望的な表情になってしまったのでしょうが、驚きが先立つマァムは現状把握が追いついていない雰囲気です。

 ダイの台詞、実は微妙な改変があります。

ダイ「キッ……キルバーンがァ!! 先生をっ!?」
 
 すごく微妙な差ですが、原作では疑問形、アニメでは断定系に聞こえますね。
 また、このシーンは原作ではアバンは白目で、ここで死んだかと一瞬思ったシーンでしたが、アニメではちゃんと目玉が描かれています。

 キルバーンの台詞の間、青みがかった色彩に変色した演出、冷たい雰囲気が実に美しかったです。

 アバンのピンチに思わず駆け出そうとするレオナのポーズ、ものすごい躍動感を感じるポーズになっていました♪
 
 レオナの手がだらりと垂れ、それから力を込めて握りしめる仕草がいいですね。動揺し、ショックを受けながらもそれを短期間で消化して決意を新たにするレオナがいいです。
 立ちすくむレオナの姿、原作では左向きでしたが、アニメでは右向きになっていました。

 大鎌とアバンの消え方、原作とアニメでは差がありました。
 原作では先生が早々に引き込まれてしまい、鎌が最後まで残っていて、木のうろのような割れ目が最後まで残りつつ小さくなっていきましたが、アニメでは大鎌の先端部分とアバン先生の指がもがくように残っていました。

 小さくなっていく空間の消滅も、最後は上下から合わさってパチンとスイッチが切れるような消滅方法でしたし。
 マキシマムのデータもそうでしたが、なんとなくパソコンに寄せた反応になっている気がします。

 ミストバーンがキルバーンの鎌について説明するシーン、背景が燃える炎で、キルバーンの死神の笛からさっき出現した鎌に変化する演出が実に見事で綺麗だったのですが……なぜでしょう、ジャッジの鎌がワライオオハシのように嘴の大きい鳥の頭に見えてなりません(笑)

 鎌についている黒い丸が、ちょうど目に見えるんですもん! いや、原作でも黒い丸でしたが、アニメでは色がつくかと思っていたのに。黒い丸って、どうしても目玉っぽく見えちゃいますよ! 目玉の周りが黄色っぽいのも、なんかヒヨコっぽいですし!

 と、そんなどうでもいい文句はさておき、原作ではミストバーンに言葉に驚いた表情を見せていたダイが、アニメでは驚いた後、唇を噛みしめる表情を見せたのがいいです。

 異空間は、暗い星空に赤い雲が浮かぶ異空間の不気味さに感心。
 カラーにはならなかったシーンなので、普通に夜に見る灰色がかった雲を想像していました。アニメの色彩を見て、びっくりです。
 雲が赤になっただけで、ものすごく不吉さが増しています。

 ジャッジの出現シーン、原作ではアバン先生が気配に気づいてから登場していますが、アニメではジャッジの顔や身体の一部が出現してから、アバンが気配に気づいています。

 アバンがハッとして飛び退くのは原作も同じですが、アニメでは高く空に飛び上がるムーンサルトを決めておりますが(笑)
 剣に手を掛けつつ、冷静に敵を見定めるのもアニメのオリジナルシーン。冷静さがカッコいいです。

 キルバーンの登場シーン、原作ではトーンのみのシルエット姿でしたが、アニメでは赤い雲に全身を覆われた中にキルバーンのシルエットが透けて見えるという、不思議な姿で登場しています。

 キルバーンの声、余裕がない感じになっているのがいいですね。
 ふざけた雰囲気を保とうとしても保ちきれない、そんな演技に感心しました。

 原作では顔だけの場面が、手の動きが加わったことでキルバーンの怒りがより強く伝わってきます。
 本当の炎とも、比喩的な炎とも取れる炎を燃やす演出でキルバーンの怒りを表しているのも、意外でカッコいい演出でした。

 ジャッジの飛び方、身体を斜めにしたままふわーっと流されるように飛ぶとは思いもしませんでした。外見的に、もっとシャキシャキ動くかと思っていましたよ! ……中身は軽そうですね。

 ジョーカーのカード、あかんべをしているピロロなのは原作もアニメも同じですが、原作では上半身のみだった絵が、アニメでは全身図になっています。

 はっ、……そういえばっ、ダイ大トランプって発売しないんでしょうか!? 魔王軍カードとアバンの使徒カードのツーバージョンでお願いしますッ! 正義の使徒側のジョーカーはゴメちゃんで!

 ジャッジの目、思ったよりも動きが速かったです。
 こんなに落ち着きなく目を動かすタイプの怪物とは思いませんでした。もっとロボットっぽいかと思ったのに……と、考えてからふと思いましたが、最近のロボットって動きがすごく速いし、瞬きもデフォだったりしましたね。

 キルバーンのセリフ、見事にそのままなのですが、抑揚の付け方に勢いがあるせいか本来よりもドラマチックに聞こえます。
 首を切るシーンは原作では魔族が本当に首を切られていましたが、アニメではさすがに血飛沫(しかも、緑色)で抑えていましたね。

 キルバーンの仮面についている額の宝玉、眉が燃えている時は赤く光っていましたが、途中から緑色に変化していました。感情で色が変わるシステムなんでしょうか? それとも、単に炎の照り返しのせい?

 アバン先生がカードを地面に投げ捨てるシーンは、アニメの改変ですね。
 キルバーンの剣、刃が細いのでエストックっぽいなと思っていましたが、試し振りの動かし方はレイピア風ですね。

 キルバーンのスタイルは原作通りに突きを主体にして、常に切っ先を相手に向ける動きかな、と思ったら、決闘が始まったら、キルバーンってば結構剣を振り回していますね。最初はアバン先生の方が、逆に突き主体で動いていたのが意外でした。

 アバン先生の戦法だと、アバンストラッシュのように溜めてからの大振りなイメージがあったんですが、相手のスタイルから突き主体とみてそれにあわせようとしたのかな、とも思いました。

 原作ではキルバーンの一方的な突き攻撃を食らうシーンばかりだったので(笑)、アバン先生とキルバーンの戦いが思ったよりも長いのは嬉しい驚きです。
 
 次回予告、本気で怒るダイ達の戦いっぷりがいい感じ。アバンとキルバーンの姿は見せてもレオナは敢えて登場させず、フェザーの存在を匂わせるにとどめる予告、いいですね。
 

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