『キルバーンの罠』(2021.7.16) |
《粗筋》 レオナはダイが戦いに集中し始めたと悟り、それはいい傾向だとも思う。……が、自分のことまで忘れているようだと愚痴るようにぼやくレオナは、ナイフ一本で自分の体を支えている状態だった。 一方、バーンはダイの回避方法をよく思いついたものだと、評価する。 ダイ「いけねっ、レオナ!!」 振り向いたダイの目の前で、パプニカのナイフを手に外壁から這い上がってくるレオナ。 でも、息が切れていると心配するダイに、レオナは拳を握りしめて自分のことはいいから戦いに集中するようにと叱りつける。その勢いに押されて、思わず頷くダイ。 早くも息を整えたレオナは、今の状況が優勢だと判断する。 ダイはバーンに向かって、自分の中に新しい力が芽生えたことを宣言する。ダイ自身にはよく分からないが、初めて紋章の力が発動してきたように自分の中に力が溢れるのを感じていた。 これならバーンが相手でも、引けを取らない戦いが出来る気がすると言うダイ。 ひとしきり笑った後、バーンはまなじりを正して、ダイが何も分かっていないと諭す。 バーンはダイがそれほどの力を持ちながら無欲だと言い、それは天を左右できる力だと指摘する。 バーンは、バランに一目置いていた理由として、竜の騎士の遺伝子を上げる。自分の予想外の事をしてくる相手とは、なるべく戦いたくないと考えるバーン。 それに、そこまで強さがあるのなら、その強さが惜しくなってくると語るバーン。 そんなダイに、バーンは今のダイがバラン以上の強さを持っていると諭す。自分が出会った一番強い男であり、自分の強さにもっとも肉薄したと評価したバーンは、杖の鞭部分を戻し、柄を床石に突き刺した。 何も持っていない手をスッと軽く左右に広げ、バーンは静かに問いかける。 バーン「余の部下にならんか?」 この勧誘には、ダイばかりでなくレオナも驚く。 バーン「おまえの父は、この問いにYesと答えた……」 思わず、息をのむダイ。
嫌な記憶を振り切るように、唇を噛みしめるダイ。 顔を俯かせたまま、黙ってそれを聞いているダイ。 離れた場所でそれを聞いていたレオナは、我慢しきれなくなったように、私達は絶対にそんなことをしないと反論する。 それではバランと変わりはないと言い、個人の感情では国は動かせないとも言うバーンは、その時、ようやくレオナに目を向けた。 バーン「王家のそなたならよう分かろう?」 その言葉に、レオナは気丈にバーンを睨むも、言い返す言葉はなかった。 バーン「だが、余は違う……! 余はいかなる種族だろうと強い奴に差別はせん!」 バーン「バランやハドラーが反旗を翻しそうとも、彼らへの敬意は変わらんよ……」 どこかもの悲しげに言った後、バーンは大きく手を広げ、ダイに無益と分かっている勝利のために生命を賭けるか、それとも己の価値を判っている者のために働くかの二択を迫る。 だが、いくら子供でもこの二択は迷うまいと告げるバーンは、すでにダイの答えを予測している様子だった。 しかし、ダイはNoと答えた。 だが、ダイは違うと辛そうに言い切った。 ダイ「人間が……たまにそういうひどいことをするなんて、百も承知だ。……おまえの言うことも、嘘じゃないと思う」 固く目を閉じ、拳を強く握りしめながら、ダイは言った。 ダイ「でも、いいんだ……! それでもおれは、人間達が好きだ……ッ!!」 自分を育ててくれた、地上の生き物全てが好きだと言い切ったダイは、どこか寂しげな笑顔を浮かべていた。 離れたところから呼びかけたレオナのその声が、ダイの耳に聞こえていたのか、いなかったのか……。 ダイ「もし、本当におまえの言う通りなら……地上の人々、全てがそれを望むのなら……」 ダイの脳裏に蘇るのは、今まであった人々のことだった。 最後の戦いに集まってくれた兵士達やゴメスが、手放しで歓声を上げてくれた時の思い出も色鮮やかに蘇る。 鬼岩城を倒した直後、自分の活躍を目を輝かせて見つめてくれたベンガーナ王やロモス王、テラン王、バウスン将軍。 青空の下で、自分に向かって微笑みかけてくれたレオナと、その後ろにいるエイミ、メルル、ノヴァ。 目が合ったヒュンケルが、小さく頷いてくれたこと。 ダイ「おれは……おれは、おまえを倒して、この地上を去る……!」 どこか、寂しげな……だが、一片の曇りもない表情で、ダイは静かにそう言った。 しかし、バーンは瞬きひとつ見せなかった。 バーン「思い知らせねばならん……! そんな連中に肩入れをしたのが、おまえの最大の不運だということを……!」 怒りを剥き出しにしたバーンに対し、剣を構えるダイ。 レオナ(ダイ君……勝って! 誰のためでもない、君自身のために……!!) 決戦を前に、息詰まるような緊張感が張り詰める。
呼吸を乱すキルバーンに対し、アバンは彼が外部の情報を手に入れていると指摘した。その根拠は、キルバーンの焦りだ。明らかに勝負を焦っているキルバーンに対して、身がまえるアバン。 返事をする余裕もなく、肩で息をするキルバーン。アバンは、決着が近いと考えていた。 それを迎え撃つのは、アバンのゴールドフェザーだった。両者の中間地点でぶつかったそれらは、煙を上げて消滅してしまう。 キルバーン「クッ……アバンめ、ここまで出来る奴だとは……」 それに対し、アバンはどこまでも落ち着き払った口調で、この決闘を思いついた時点で、キルバーンの劣勢は決まっていたと告げる。 キルバーンの必勝法は、しかけてはめる――それだけだと看破するアバン。罠や小細工に頼ってきた死神は、まともな勝ち方が出来なくなったと指摘する。力も技もスピードも一流だが、ここどという時の気迫がないと説くアバンに、キルバーンはわずかに苛立ちをみせるも、言い返さなかった。 だから、同レベルで動き回るアバンに致命傷を与えられない。プライドを傷つけられて、らしくもない決闘を挑んだ時点でキルバーンは負けていると断言する。 アバン「そう……おまえの負けだ、キルバーン」 両者の間に、しばしの沈黙が落ちる。 まともに修行しても無敵にはなれたと自負しているが、そんな勝利には興味が持てなくなってしまったとキルバーンは笑う。 蜘蛛の巣にかかって足掻く昆虫のように、罠にはまって狼狽する相手を見ることに愉悦を覚えるというキルバーン。特に、一途に努力してきた相手でアルほど、罠に落ちた時の表情が楽しめる……1度、それを味わってしまうと他の殺し方など馬鹿らしくなってしまうと嘲笑う。 キルバーンに言わせれば、そんな相手にスウッと止めを刺して楽にしてやる時、自分が死神だと実感できるのだと言う。 驚きに目を見張るアバンの目の前で、剣先が金属音を立てて床に落ちる。 うろたえるアバンに、キルバーンが冷たく声をかける。 アバンがもっと注意深ければ、頭上のラインが減っているのに気づいたはず……そう言いながらキルバーンは、ラインからナイフほどの大きさもある刃を取り出した。 素早くその刃を投げつけるキルバーン。 見えない刃に驚くアバンに、キルバーンは「ビンゴ!」と得意げに言い、罠を説明した。 キルバーン「見えざる13本の刀身による刃の檻! これがキルバーン最後のトラップ、ファントムレイザー!」 今度は君が覚悟する番だと、キルバーンはほくそ笑んだ。 剣の降る音が響く中、ジャッジは無反応にその場にいた。 キルバーンはまたも、剣を振るう。 だが、その最中もアバンの首筋が、背が、足首が、見えざる刃によって傷ついていく。 大きく剣を振るったキルバーンの攻撃を避けても、不可視の刃に右足を深く傷つけられたアバンは、悲鳴を上げた。 それを見たキルバーンは、ご満悦の様子だ。 キルバーン「君は非道と罵ったが、その瞬間にはボクのやり方に感謝するだろうよ。この地獄から解放してくれて、ありがとう、と」 アバンの目が、焦点を失って揺らぐ。 恐るべきトラップであり、防御も攻撃も出来ない。このままではやられると考えるアバン。 キルバーン「では……」 自分に迫る敵を、目を見開いて待ち受けるアバン。 驚きを見せたキルバーンに、アバンは両手を広げて襲いかかる。 キルバーン「メガンテか。そいつは困るな」 暗闇の中に、突然、真っ白な手袋をはめた手が二本、出現する。奇妙なことに、見えるのは手首から先の手のみだ。 自殺ならそいつとしてくれと、キルバーンはわざとらしく汚れてもいない服の埃をはたいてみせる。 しかも、いざとなればこの空間ごと相手と自爆するように改造していたという。 キルバーン「ね? 最後にものをいうのは、やっぱり罠だっただろう?」 得意げに指を振ってみせる、キルバーン。 キルバーン「……しつこいよ、キミ……!」 不機嫌さを目に滲ませ、キルバーンは剣を振るう。剣は、アバンの手首を一閃した。 白に包まれた世界から一転して、静かな石床の上に足を踏み下ろすキルバーン。 キルバーン「復讐、完了」 ふと、目を落としたキルバーンは、自分の右足に手首から切り落とされたアバンの手がしがみついているのを発見する。未だに命が宿っているように握りしめられて手を、キルバーンは無造作に左足で蹴飛ばした。 それから、キルバーンはここがホワイトガーデンではないことに気づく。周囲を見回し、バランが死亡した所だと見抜くキルバーン。 その時、キルバーンの姿が闇一色に染まり、白い線だけが浮き彫りとなった。
ダイが大きく後ろに飛んで距離を取り、バーンもまた、よろめきなら2、3歩下がって再び降魔の杖を横に持ち、身がまえる。姿勢を低くし、防御のために身がまえるその姿には、大魔王ならではの余裕が感じられない。 ダイが一瞬で踏み込んできて、杖を下から跳ね上げる。後ろへと下がるバーンに、すかさず追撃を駆けるダイ。
キルバーン「……ダイに押されている……が、まあ、いいか。慌ててバーン様を助けに行かなくても」 主君の不利を承知した上で、キルバーンは軽い口調でそう言い、踵を返して階段を昇り始めた。 キルバーン「ダイに倒されたら倒されたで、そこまでの話。元々あの方に対しては、助ける義理はあっても、義務はない……! ボクは……ミストとは違う……!」 階段の踊り場で足を止めたキルバーンは、おかしくてたまらないかのように笑い続けた――。
ヒュンケル「いよいよだな、ミストバーン。これが正真正銘最後の戦い……お前の破滅の時だ」 気迫のこもったヒュンケルに対し、ミストバーンは動じる様子もない。 ロン・ベルクやラーハルトでもダメージを与えられない自分の究極の肉体を誇り、ミストバーンは拳を握りしめる。 初耳の情報に、驚きを見せるヒュンケル。 思わぬ返答に、驚くミストバーン。 ミストバーン「貴様が、だと……?」 目を、ぎらりと光らせるミストバーン。 すぐ後ろにいたポップが、驚いて「マジかよ」と声をかける。ラーハルトは、身体が硬いだけの人形にどうにか出来る相手ではないといい、引っ込んでいた方が身のためだと、尊大に言い放った。 が、肩越しに振り向いたヒムは、不敵な笑みを浮かべる。 ラーハルト「ほう……」 ラーハルトに向かって、ヒムはさっきとラーハルトと会った時と違って、今の自分が体力満タンであると強調し、これが自分の強さの真骨頂だと正面を向き直る。 金属生命体が問う気を遣ったことに、驚きを隠せないミストバーン。 隊長の許可なしに勝手に戦ってはいかんと、力説するチウに対して、気が抜けたような表情を見せ、ため息をつきつつも、ヒムはきちんと許可を申請する。 チウ「よしっ、許す!」 腕を組み、目を閉じて許可を出すチウ。 ポップ「効いたっ!?」 マァム「速いっ」 続け様に連打を食らわせるヒムに、ミストバーンは苦痛の声を漏らす。 ヒムの攻撃は、ミストバーンを後ろへとよろめかせる。ヒムの攻撃を嫌って、これまでと違って逃げに打って出たミストバーンを見ながら、ラーハルトは自分がヒムを相当見くびっていたことを認めた。 殴りかかるヒムの拳が虹の色に染まっているのを見たマァムはハッとして、ヒュンケルにその正体を問いただす。 マァム「やっぱり、光の闘気なのね!」 嬉しそうにヒムを見やるマァム。 ポップ「魔王軍だったあいつが……!?」 信じられないとばかりに目を見開くポップ。 クロコダインも、光の闘気こそ暗黒闘気を得意とするミストバーンの苦手な相手だと納得した。ミストバーン妥当向きの男だと評価するヒュンケルの言葉の合間に、スタスタと前に進みでるチウ。 今、まさにヒムがミストバーンの動きに追いつき、強烈な一発を叩き込んだところだった。 目を輝かせてそれを見たチウは、思う。 チウ「こ、これは……拾いものだ!」 キラーンとチウの目が光る。 チウ「いいぞー、そのままいけー、ヒムちゃーん」 両手を挙げて声援を送るチウだが、その声援はヒムにとってはあまりありがたい物ではなかったらしい。一瞬動きを止め、振り返って文句をつける。 ヒム「ヒムちゃんってなんだ、そりゃあ!?」 笑顔で腕を組み、そういう感じの名前をつけるのが我が隊の習わしだと自慢げに語るチウ。 チウ「ヒムちゃん、ヒーたん、ヒムすけ……どれがいい?」 笑顔で問うチウに、ヒムはガシガシと連打を繰り返しつつ、思いっきり嫌そうな顔をしつつも律儀にも選んだ。 ヒム「う〜〜〜、その中では、ヒムちゃん」 では、決まりだなと嬉しそうにVサインを見せるチウ。 ポップ「この中でもトップクラスに強いのに、チウにあしらわれてるぞ、あいつ……」 呆れたように言うポップ。ラーハルトも目を閉じたまま、つかめない奴だと一人、思う。 とりあえず、ニックネーム命名などなかったかのように勢いよくミストバーンに殴りかかるヒム。 ヒム「へっ、もう終わりか?」 人形ごときにやられたと怒りに震え、目を光らせるミストバーン。 チウ「さあー、とどめだ、ヒムちゃん! それとも、ポーンだからポンちゃんがいい!?」 元気のいいチウの声援に、ビクッとするヒム。 ヒム「あああーっ、もう! なんとでも呼んでくれっ」 振り返り、自棄になったように怒鳴るヒムの背後で、かしいだままのミストバーンが目を光らせた。 クロコダイン「気をつけろ、ヒム!」 ヒム「!?」 ミストバーンを中心に、紫色の蜘蛛の巣が展開する。ポップが悲鳴を上げ、鉄面皮ラーハルトすら表情を変えた。チウも大きく口をあけて叫んでいる。 その中で、ヒムだけが無表情だった。 次の瞬間、ヒムは吠え立てて足を強く踏みつけた。蜘蛛の巣の一部を踏みつけたヒムの足から、光があふれ出して闘魔滅砕陣を消し去ってしまう。 ポップ「一発踏みつけただけで、滅砕陣を……!」 よろけて、後ろに下がりながらも驚くポップ。 クロコダイン「ふきとばしよった!」 1度、拳を打ち合わせて音を鳴らしてから、拳を掲げて挑発するヒム。 ヒム「男ならこっちでこいよ……大将!」 ポップ「すげーっ、すげーじゃねえか、あいつっ」 ヒムを指さし、驚くポップ。 圧倒的有利な立場でありながら、ヒムは油断なくミストバーンを見下ろす。ミストバーンは無言のまま、ただその目を光らせていた。
しかし、ダイは迫ってくる魔法を剣で一閃した。刃に映るバーンの目は、驚愕に見開かれていた。 向かい合うダイは剣を身がまえたままだが、全身を光らせていた青い闘気を収めた。 ダイ(勝てる……! 勝てて、しまう) そう思いながらも、ダイの頬を冷や汗が伝う。 《感想》 ダイの選んだ答えが、心に刺さります〜っ。 今回のスタートは、バーン様のカラミティウォール部分の繰り返しからで、いきなりレオナの手がパプニカのナイフを握っているところが大写しになり、レオナのアップ、ナイフを支えに片手で断崖にぶら下がっているレオナの全身図、という流れになっています。 原作では、レオナのアップ、手のアップ、全身図の順番なので、やや改変されています。 それにしても、とっさに断崖絶壁部分にこんな危険な方法で避難するレオナの機転と、思わぬ腕力には感心しちゃいます。 砕け散った欠片が、天魔の塔を背景にふんわりと浮き上がっていくシーン、美しくていいですね。 バーンがダイの回避を評価するシーン、原作ではもっと淡々と語っている印象を受けていましたが、アニメでは根底に怒りを滲ませているのがいいですね。 また、原作ではダイはバーンの顔を見ながら返事をしていますが、アニメでは剣を握りしめた自分の手を見つめながら話しています。 レオナがダイを叱るシーン、漫画のコマのように二分割されてちょっとギャグっぽい表現になっていました♪ 原作ではダイが遠くにいる普通の距離感で描かれていたので、アニメの方で漫画っぽい演出が加わったのはちょっと新鮮です。 ダイが自分の中に力が目覚めたと語るシーン、剣を掴む手が震えるのはアニメの改変ですね。制御しきれない力が溢れている感がして、いい感じです。 バーンが竜魔人化したバランと戦っている回想画っぽいシーン、水彩画のような一枚絵で再現されているのが嬉しかったです! 原作では実現しなかった夢のカードですね♪ バーンが杖を収めるシーン、アニメだと鞭部分がサッと引き、柄を石に突き刺すぐらいですごく地味なのが不満です! まあ、バーン様が無防備に手を広げるだけで、武装解除を表現できるのだから削ってもいいと言っちゃいいのですが、降魔の杖が密かに気に入っている筆者にとっては寂しいですよ〜。 バーンの勧誘時、ダイの目のアップが映し出されるのはアニメの改変ですね。揺らぐ目がダイの葛藤を現していて、見ていて胸が苦しくなります。 ダイが迫害されると告げるシーンで、バーンが広げていた手を下げるのが印象的でした。それまではずっと、自分はダイを受け入れるとばかりに手を広げていたのに、このシーンでダイに味方はいないと知らしめるようにそれを止めたように感じました。 ベンガーナでの回想シーン、色褪せたセピアのような色彩と、顔に影のかかったダイの横顔がいいですね。 レオナの反論、説得力も根拠もないのに、どうしても言わずにはいられなかった感がいいですね。速攻でバーンに論破されちゃいましたが(笑) 原作バーン「公事にたずさわるそなたならようわかろう?」 確かにこの言い回し、言葉だけで伝えるのは難しそうですね。 後、個人的に今回一番気に入った改編台詞が、以下の部分です。 原作バーン「反旗を翻した今でも、バランやハドラーに対する敬意は変わらんよ……」 アニメバーン「バランやハドラーが反旗を翻しそうとも、彼らへの敬意は変わらんよ……」 比べると判りますが、アニメ版の方がバラン達に情を寄せているように感じられます。微妙な言葉遣いの差で、他者に与える印象がこんなにも違うのかと驚くと共に、言葉選びの大切さを思い知ります。 バーンがダイに二択を迫るとき,バッと手を広げるのはいいですね。 二択を迫られる際、ノーと答える時、表情を見せずにダイの後ろ姿を見せる演出もいい感じ♪ バーンの台詞が、原作では『甘い英雄の幻想』がアニメでは『英雄の甘い幻想』に改変されています。校正レベルの細やかな変化ですが、言い回しがより分かりやすく、イメージが伝わりやすくなっているのに感心します。 目を伏せたバーンが、ダイの否定を聞いて片目だけ開けるシーン、原作にはない改変ですが、渋くてかっこいいですね。 この時のバーンは、まるでバーン自身が英雄の幻想に浸った過去があるかのように、思い入れすら感じる台詞回しが印象的でした。バーンの過去は原作でもほとんど触れられていませんが、魔界の神になろうとすることで彼が失ったものもあるのではないかと思えたシーンでした。 ダイが人間達が好きだと語るシーン、声優さんの熱演に涙がこぼれそうになりました! 原作では、この時のダイには一種の諦観というか、清涼さすら感じる突き抜けた透明感を感じましたが、アニメのダイは欲も悪くももっと泥臭く、傷付き葛藤を抱えた上で、それでも自分の信念を貫こうとする強さに魅力を感じます。 表情や影の見せ方、声の演技、どれも同じ方向性を共有して『ダイ』という少年を形作ろうとしているからこそ生まれた、アニメのダイなんだなと実感しました。 そして、そんな目に似つかわしくない、これまでの人間達との思い出の回想が実にいい感じです。落差の大きい幸せな思い出をここにだしてくるとは……っ。 光を強めたような回想シーン、ブラスじいちゃんやクロコダイン、ロン・ベルク、チウが抜けていたのがちょっと残念なんですが、これまで知り合った人間達に重点を当てたと思えば……、あ、それでいうなら、ポップの両親もいなかった気が(笑) それはさておき、ダイが思い出すみんなの中でポップが最後になっているところに、なんとも言えない絆を感じます♪ ダイの決意の表情、やっぱりいいですねえ。原作通りの構図と表情だったのが、なんだかすごく嬉しかったです。左右反転や、新たな構図もいいのですが、やはり決め所では原作通りの方が馴染みます。 人間が業の深い生き物だと言うバーンの台詞が、そのままなのも感激しました。ダイよりも、人間に腹を立てているような雰囲気も好みです。 それに対して身がまえるダイは、原作では上から見下ろすような姿勢でしたが、アニメではむしろ下から見上げるような姿勢に改変されていますね。剣の持ち方自体は同じなのに、視点の位置が変わるだけで随分印象が変わるなと思いました。 レオナの泣き顔、実に可憐でいいですねえ〜。 キルバーンの正体を思えば、すごくいい伏線だと思います♪ これも、アニメの改変ですね。 キルバーンの不手際を淡々と語るアバン先生の眼鏡が白く、表情を読ませないもので、最後におまえの負けだと言う時だけシリアスな目が映し出される演出、かっこよかったです! キルバーンが長々と語るシーン、原作では目のアップの連続で不気味さを演出していましたが、アニメでは目のアップの他に、アバン、キルバーンが対峙している頭上にジャッジが浮かぶ構図もあったのが楽しかったです。 アバンストラッシュのシーン、よく見たら、うっすらと剣の破片が黒く浮かび上がる演出の後、剣が折れていますね。 キルバーンの罠、頭上のラインの変化が地味すぎて分かりにくすぎっ。金色のラインが濃い黄色になっているだなんて……そんなん分かるかいーーっ!! せめて、色ぐらいは変えてーっ。 でも、ファントムレイザーの迫力に感動! アバン先生がすっかりと見えない刃に取り囲まれている図、下から上へ見上げる構図になっていたのはアニメの改変です。原作では、上からの俯瞰に近かったのですが、驚くアバン先生の表情も見えると、ファントムレイザーの悪辣さが際立ちます。 キルバーンがかっこつけ台詞を言ったところで、CMに。まさか、ここで切るとは思いもしなかったシーンでした。 回避専念中のアバンと、キルバーンの猛攻、横から見た構図での演出がかっこよかったです。ちょいちょい挟まれるアバン先生が傷つき、血が噴き出る表現には驚きましたが。まさか、ここまで派手に出血させるとは、と思っていましたが、アバン先生が跪くシーン、下は原作以上に血まみれなのに、服は破けていても真っ白なのってどういうこと!?(笑) キルバーンの「心臓をまっすぐ、一突き」の口調、ゾクゾクするような凄みが素敵でした! その直後の「それで終わりさ」と軽い口調との落差がたまらなくいいですね。 アバン先生が意識を失いかける表現、目が焦点を失い掛けるアップから、キルバーンがブレて見える演出がいいです。 キルバーンが真正面から剣を構えるシーン、止まっていた足が踏み込んで動き出すシーン、原作にはない改変ですが、カッコいいですね! キルバーンのアクションが、こんなにかっこよくなるとは思いませんでした。 キルバーンの攻撃を受けるアバン先生が、最初は白目な眼鏡のままで、寸前で表情を見せる演出がいいです。 ジャッジの手が襲いかかってくる演出、手の動きが怖っ。 アバン先生がジャッジに掴まれてからの構図は、左右逆転していますね。それにしても、キルバーンの指を振るという動作が追加されていますが、相手がトラップにかかったと思ってから、おもいっきり余裕を噛ましている態度に本気でむかつきますね(笑) 状況次第で余裕を噛ましたり、感情的になる悪役なんて演技するには難しそうな役だと思うのですが、声優さんの見事すぎる演技には脱帽ものです。 サヨナラと手を振る動き、手首から先しか動かさない省エネな動きに、死が確定したキャラには手を抜くキルバーンの小狡さを感じちゃいました(笑) キルバーンに追いすがるアバン先生が、必死に飛び上がるカットはアニメの改変ですね。切羽詰まった感がいいです! 原作ではアバン先生は無言のまま、白目でメガンテを受けるイメージでしたが、アニメでは悲鳴が入っています。 それにしても、アバン先生の手首の表現、えげつなっ。 キルバーンの台詞で『バーンパレスの先端』という説明がカットされていましたが、ここは大事な部分じゃないし問題なさそうです。 場面が変わってポップ達。 ミストバーンに言い返す際、ヒュンケルが目を閉じて答えているのはアニメの改変です。原作では、目を開けていますが……アニメの目を閉じた顔の方が、ドヤ顔率が高い気がします(笑) ヒムちゃんが名乗りを上げるシーン、よく考えたら前に出るまでもなく、彼が一番最前線にいるのですが、それでも前に出る辺りが彼らしいですね。 ラーハルトが「ほう」と呟くのはアニメの改変ですね。 ヒムの自慢の後、上からみたホワイトガーデンの全景が映りましたが……やっぱり、アバン先生のピクニックシートはお弁当は影も形も見当たりません。ああ、やっぱりミストバーンに消し飛ばされちゃったんですかね……。 ヒムちゃんとチウのやり取りが楽しい♪ 原作ではヒムがミストバーンを一方的に殴っていますが、アニメではミストバーンが途中で逃げ回っているのが面白かったです。 なにせ、ラーハルト達三人係の攻撃をミストバーンはほぼ避けずに受け止めていたのに、ヒムの攻撃は嫌がって避けているのだから、当たれば効くと言っているようなものですしね。 ヒムの闘気についての説明シーンで、マァムとポップの台詞が追加されています。よくある教育番組で、質問をする子供役ですね♪ また、マァムはヒュンケルを支えながらも、嬉しそうにヒムを見ているのも好印象。原作では実は、この時のマァムはヒムそっちのけでヒュンケルの方ばかり見ているのですが、アニメでは純粋に正義を信じる仲間が増えたことを喜んでいる感じがします。 チウの前に進む動きが、可愛いですね。 チウが名前を考える時に、上を向いて考え込む表情は原作と同じでしたが、その後で笑顔が入っていたのは嬉しい改変でした。 ヒム、名前を決めるときのギャグ顔もいいですね。鼻水が出ているのも原作通りですが、涙だけじゃなくて鼻水も出るようになったんですねー(笑) ミストバーンが噴水前に吹き飛ばされるシーンと、ヒムちゃんの勝ち誇ったような台詞はアニメのオリジナルですね。原作でもダメージを受けて斜めっていますが、そこまで遠くに飛ばされてはいないです。 クロコダインの忠告の後、ヒムちゃんが振り向くシーンはアニメの改変ですね。 ヒムが滅砕陣を解く寸前、身動きできないまま立ちすくんでいるかのような間があったのは嬉しい改変です。 滅砕陣の消え方も、綺麗でしたし♪ ポップとラーハルトのやり取りで終わらせるとは思いませんでした。 ダイ対バーン戦、ダイが圧倒的に優勢なだけに、最後のバーンの目の光り方がいかにも不穏でいい雰囲気。 次回予告、アバン先生がアバン先生の死に一切触れていませんね(笑) |