『最大最後の大逆転』(2021.9.17) |
《粗筋》 マァム(あっ、あの鏡……!) それは、ほんの少し前……親衛騎団シグマとの決着がついた時の事。 シグマ「あのシャハルの鏡……持っていってくれないか?」 バラバラになったシグマの身体と同じように、床の上に転がっていたシャハルの鏡が光を受けて輝く。 がっくりと腕を落とすポップを、支えようとするマァム。 ポップ「だけど、こいつは……」 躊躇するポップに、シグマは淡々と語る。 シグマ「シャハルの鏡は、アイテムだ。私が死んでも砕けはしない。その鏡に君の行く末を見届けてもらいたいのだよ……私の代わりに」 瞳孔のないシグマの目が光り、ポップの姿が映り込む。 シグマ「きっと何かの役に立つ……持っていってくれ……」 その言葉にポップは何かを考え込むような表情を見せた後、両手でシャハルの鏡を持ち直した。 マァム(あの時の……!) ポップもまた、マァムと同じ思い出を辿っていた。 ポップ(なにかの……どころの騒ぎじゃねえ! 最後の決めてになってくれたぜ! ありがとうよ、シグマ……!) 回転する破片の裏に、シグマの顔が見えたのは幻覚か――欠片は玉の一つの近くに降り注ぐ。 その間、バーンは己自身が生み出した最高火力の火炎系呪文に焼かれていた。さらに、その炎にはポップのイオナズンの威力も上乗せされている。 呻くバーンの目が、ハッと見開かれる。 そこにいたのは、ダイだった。 玉の中から、一心にダイを見つめるクロコダインとヒュンケル。 目を見張るチウに、表情の読めないブロキーナ。
ダイ「おれのっ、全てをこめて!!」 ポップ「ぶちかませーーっ!!」 ダイの全てを込めたアバンストラッシュが炸裂する。 バーン「余を……この大魔王バーンをなめるでないわっ!!」 両手を大きく広げ、硬直を力業で振り払うバーン。バーンが払いのけた炎が、『瞳』にまで吹き飛ばされ、表面を炎が舐めていく。
マァム(動く!?) ヒュンケル(硬直したまま、呪文の直撃を受けたはずがっ……) クロコダイン(あの凄まじい炎を……っ) レオナ(魔神……) 落下し、背中から床に倒れ込むポップ。痛みよりも、バーンの行動を見て悔しそうな表情を見せる。 バーン「凌いだり……!」 全身のあちこちから煙をあげながらも、これでダイのストラッシュを迎撃すれば己の勝ちと確信したバーンの口元に、笑みが浮かぶ。 その目に、迫るダイの姿が映し出された。 だが、必殺技を打ち込んでくるダイに、バーンは自ら身を乗り出して応じようとする。 ダイ「クロス!」 ダイの攻撃が、バーンを切り裂く。 それを見ながら、ポップはなんとか上半身を起こした。 空を見上げるバーンの顔に、影が差す。 バーン(余の腕が……いかなる武器にも勝るはずの、余の腕が……) 信じられないように、床に落ちた自分の腕を見つめるバーン。 ポップ「……やぶった……破ったぜっ、天地魔闘の構えっ!!」
レオナも、暗黒闘気同様、竜闘気で受けた傷もすぐには回復できないはずと、身を乗り出す。 クロコダインも、満身創痍ながらもついにバーンに会心に一撃を食らわせたと考えた。 玉の中から呆然とするバーンの顔を見ながら、ヒムは今は亡き仲間……シグマへと語りかける。 もはや原形をとどめず、砕け散った欠片となった今でも、まるで盾として仲間を守るのだと言わんばかりに、静かにヒムの玉に寄り添っている。その欠片を見ながら、ヒムは仲間を想う。 ヒム「シグマ……見ろよ。オレ達がライバルと認めたやつらは、やっぱり只者じゃなかったぜ」 ヒムの顔に、満足げな笑みが浮かぶ。 アバンは油断することなく、外をジッと見つめ続けた。 バーン「これしきのことで……余が……」 そう呟き、何かに気づいてハッとするバーン。 バーンの胸元から、血飛沫が上がる。 ポップ「おおおお、ダ、ダイッ!?」 驚いて、ダイの名前を叫ぶポップ。
激しく身をよじってダイを振り払おうとするバーンだが、ダイは不安定な足場にも拘わらず、肩にしがみついたままだ。 ダイ「おれと一緒に、こいつをくらえぇえっ!」 ダイの身体が、青い闘気に包まれる。それと同時に空が真っ黒な雲に覆われ、雷鳴が光り出した。 激しい稲光はダイ自身にもダメージを与えるが、ダイは呻きながらも剣を掴む腕を緩めない。 バーンは足でしっかりと、床を踏みしめる。全身のあちこちから黒い煙が上がるバーンは、ダイ以上にダメージを負っている様子だ。 バーン「貴様……余と……死ぬ気か?」 俯き、信じられないように呟くバーンに、ダイは苦痛の表情を浮かべながらも答える。 ダイ「これなら、100%命中する! おれと我慢比べだ……!!」 忌々しそうにダイを見たバーンは、掌底でダイを振り払おうとした。 バーン「ふざけるな……っ」 距離が近すぎるせいか、掌でダイの顔を押しやる形になる。顔が押しつぶされながらも、ダイはもう一発ライデインを落とした。
フローラ「今度は……稲妻の連続」 ノヴァ「ダイの呪文でしょうか……」 二人はそろって、空を見上げていた。 誰もが空に気を取られている中、メルルの手がピクリと動いたことに誰も気づかなかった。
ダイのライデインにより、また雷が降ってくる。それを、ポップは至近距離で見ていた。 ダイ「そんなこといっても、引きはがしにかかる力が弱まってきてるじゃないか」 バーンはダイの腕を引きよせながら、3つある心臓のうち1つを貫かれたためだという。 バーン「だが、こんな程度では余は死なんぞ!!」 前のめりに引っ張られるダイは、それに抗いながらライデインを呼ぶ。 それを玉の中で見つめるクロコダインは、思う。 クロコダイン(もう、何発目だ……!?) マァムも、拳を小さく握りしめ、不安そうに目の前の光景を見つめる。 マァム(このままじゃバーンはともかく、ダイが……) レオナ(ダイ君が……死んじゃうッ) 不安そうに、ダイを見つめるレオナ。 ダイのライデインの叫びと、激しい落雷を目の当たりにし、ポップは親友の名を呼びながら手を前に伸ばした。 雷鳴に照らされて手袋の色が薄まって見える中、ポップはゆっくりとその手を下へ下ろした。 ポップ(止めらんねぇ……おれには……っ!) どんなに無茶な手だろうと、もう、ダイが生命を削ってバーンを倒す手は残されていない。 ポップ(バーンのヤツは死なねえとか言ってるが、あれは確実に効いてる!) 突き刺さったダイの剣を伝い、バーンの体内に直接電撃を送り込まれている……いくらバーンでも効果がないはずがない。 ポップ(おれに言えることはたった一つ……バーンより先にくたばらねぇでくれ! それだけだッ!! ダイ……ッ) 目を見開き、すがりつくような表情でダイの無謀極まりない戦いを見つめるポップ。
雷光に包まれながら、バーンの声が響く。 ダイ「ぜんぜんっ! むしろ……この方が気が楽なくらいだ!!」 苦痛に顔をしかめながらも、ダイの返事に迷いはない。そんなダイに目をやるバーン。 仲間のみんなが傷つき、倒れながら作り上げてくれたこのチャンスを、自分も傷つき、苦しみながら戦うのは当たり前だとダイは考えている。 バーン「それが、おまえ達の言う『魂の絆』と言うものなのか?」 ダイの手首を掴むも、特に動きを見せないまま静かに問うバーン。 ダイ「ああっ、そうだとも!」 力強く答えるダイ。 わずかに顔を逸らしたバーンは、目を伏せる。それだけではなく、バーンはダイの手首を掴んでいた手も離した。急に抵抗を止めたバーンに、ダイは警戒の表情を見せる。 バーン「諦めろ、ダイ」 どこまでも静かなその言葉には、どこか憐憫じみた響きがあった。 バーン「おまえが信じ続けてきた、『魂の絆』とやらが……仲間達が流してきた血、味わってきた苦痛が全く無意味なものだったと言うことが、すぐにわかる……」 ダイ「無意味?」 聞き逃せないとばかりに、ダイは表情を険しくした。 バーン「おまえのためだ」 激昂し、無意味なわけがないと言い返すダイ。自分が大魔王をここまで追い詰められているのは、みんな、仲間のおかげだと言い切るダイ。 バーン「余を追い詰めること……それ自体が、無意味だとしたら?」 ダイ「え?」 戸惑うダイの目の前で、バーンは静かに腕を振り下ろす。音叉のような高い音が一瞬響いたかと思うと、急に床が振動し始めた。
玉の中で、不安そうな表情を見せるマァム。
バーン「いや、余でなくては動かせぬ場所が……」 どこか、遠くを見つめるようなバーンの目。第三の目も、生き物めいた光を放つ。 バーン「見せよう」 その言葉と共に、第三の目から放たれた光が空中に映像を映し出す。それを、ダイもポップも目を見開いて見つめていた。 ダイ「でも、魔力炉はおれが……っ」 バーン「そう、破壊した」 肯定され、ハッとしたようにバーンを見下ろすダイ。 ダイ「なっ、なんだっ!? あれはなんなんだ、バーン!?」 驚いて尋ねるダイに、バーンは答える。 バーン「バーンパレスの究極の兵器、ピラァ・オブ・バーン」
その時、バーンパレスの下降部が音を立てて開き、その中央から巨大な槍の穂先じみたものが現れた――。 巨大な鳥に似た優美な天空城は、一気に要塞めいた物々しさを増した。 ピラァは、バーンパレスの各ブロックに6本装備していた。 尾翼が光り、オーザムに落とした時の回想が流れる。雪原で誰も居ない場所だが、落下と同時に激しい爆破が起こるのは避けられない。
バーン「それが今……眼下に落ちたらどうなる?」 バーンの冷酷な流し目が、ダイへと向けられる。 ダイ「下に……」 バーン「知っているだろう。なにもかも、吹き飛ぶことを」 手を、ゆっくりを握りしめるバーン。 ポップ(下にはフローラ様達が……っ) それに思い至ったポップは、大声を張り上げる。 ポップ「ダイッ、やらせるなっ!!」 その声にハッとしたダイは、バーンの手が握りこぶしを持ち上げるのに気づいた。 ダイ「や……っ」 顔を引きつらせたダイを見て、バーンはフッと笑う。それは、ひどく満足げな顔だった。 ダイ「やめろーーーーっ!」 玉の中にいる仲間には、そのダメージは無かった。だが、雷光が黒い影となって彼らの上に不規則な模様を刻み込む。 クロコダインが、レオナが、アバンが、マァムが、それぞれ割れてしまうかのように雷光の影に彩られる。 未だに床に座り込んだままのポップは、手を辛うじて伸ばして制止の声をかける。 ダイ「やめろ……やめろやめろやめろぉおっ」 焦りの余り、どこかたどたどしい絶叫を上げるダイ。動揺し、目を固く閉じたその表情は、勇者ではなく少年のそれだった。 しかし、バーンはもはやなんの痛痒も見せなかった。 強すぎる雷光が、周囲から色を奪った。
岩で覆われた盆地に落ちた爆弾は、岩山に遮られ見えなくなる。 しかし、次の瞬間、凄まじい爆破がその場を襲った。丸くドーム状に噴き上がる光が、周囲の山川とロロイの谷を吹き飛ばす。 下から上へと噴き上がる爆風が岩山を崩し、土砂崩れを巻き起こす。バーンパレスにまで噴き上がるかと思えるほど、その爆破ドームは大きかった。 バーンパレスでは、傾いた床の上を『瞳』が転がって跳ねていく。まるで、恐ろしい物から逃げるかのように。 地上では、大量の黒煙の中から白い柱が現れた。まるで塔のように見えるそれは、地面に突き立ったピラァ・オブ・バーンだ。先端部分が深く潜り込み、直立した部分が柱となってそそり立つ。 それを、ダイはバーンの見せる映像越しに見ていた。呆然と目を見開くダイ。 ダイが見たものは、仲間達の姿など全く見えない、荒れ地に突き立ったピラァ・オブ・バーンだった。霞のように土煙が漂うそこは、人の気配はない。ヒュンケル達がいた処刑台や、ダイ達が必死になって作り上げたミナカトールも消滅していた。 目を戦慄かせるダイとポップ。 ポップ「み……みんなが……フローラ様達が……ッ」 『瞳』の中で、マァムも悲痛な表情を見せる。無表情のブロキーナも、その仮面の下で何を思うのか――。 ヒムの目にも驚愕が浮かび、ヒュンケルは悔しそうに歯を食いしばる。 驚きのあまり、そろって口を開けているのはレオナとチウだった。 驚愕に目を見開くアバン――。
バーン「ダイよ。あれに見覚えはないか」 ダイ「え……」 未だに現実が受け入れきれないのか、戸惑うばかりのダイに、バーンは叱責するかのように強く問いかける。 バーン「あの輝きに、見覚えがないかと聞いているのだ」 バーンの意志に応じて、映像はピラァ・オブ・バーンの上部を映し出す。そこは開閉する仕組みになっていて、中には光り輝く何かが設置されていた。 ダイ「あれは……黒の核晶……!」 ポップ「なんだって……!?」 驚くポップの声は、裏返っていた。
ヒュンケル(あれが悪名高い、魔界の超爆弾……!) クロコダイン(ハドラーの体内に埋め込まれていたという……)
バーン「黒の核晶の破壊力は、その大きさに比例する……あれはハドラーに仕込んだ核晶の十倍以上はある……この意味……分かるだろう?」 そう言いながらバーンは、肩に乗ったダイへと目を向ける。 ポップは、ハドラーの時でさえ死の大地を吹っ飛ばしたと知っていた。その十倍ならここら辺一体……下手をすれば、地上が――。 バーン「どこに落ちたか、ちゃんと覚えているか? 余は全て覚えているぞ」 人間は無差別攻撃と呼んでいたが、バーンは落として然るべき場所を狙って落としたと言う。 バーンの角は掴んだままだが、攻撃も忘れたように呆然としている。また、バーンもそんなダイを敢えて振りほどこうとはしなかった。胸には相変わらずダイの剣が刺さったままだが、バーンはそれを気にも留めていない。 バーンは、説明する。 続いて、オーザム南部。吹雪の中、クレーターの上に突き立ったピラァが突っ立っていた。 バルジの島。かつて、レオナ達がいた塔を塗り替えるように、クレーターの上にピラァが新しい塔のように立っていた。島の両端には、破壊された二つの塔の痕跡が残っている。 パプニカ西部。リンガイア王国。
ポップ「……六角形だ……」 ポップの呟きに、バーンは満足そうに目を閉じて笑みを浮かべる。 玉の中では、アバンが警戒の表情を、レオナが悲痛な表情を浮かべていた。
一歩、前に踏み出しながらバーンは言った。 バーン「今日まで地上に沈んでいた太陽は……明日、魔界を照らすために昇る」 子供を肩に乗せたまま、夕日を見つめる長身の男……事情を知らなければ、それは仲の良い親子に見えたかもしれない。 バーン「どうだ、ダイ。これが、結論だ」 バーンが、夕日に背を向けて後ろを振り返る。 ダイ「ま、まだだっ、まだ、爆発前におまえを倒せば……っ」 だが、バーンは文字通り児戯であるかのように相手にせず、無駄だと言い切る。 ダイ「でたらめを……っ」 根拠もなく言いつのろうとするダイを、バーンは軽蔑しきったような目で見やる。 バーン「あれには時限装置が組み込まれている。後何分かで、地上は確実に消える」 ショックを受けながらも、ダイは怒りの表情でそれを否定する。 ダイ「そ、そんなことない! おまえを倒してから、爆発を止めるっ!」 バーン「世界六カ所を……一人でか?」 その言葉とバーンの目に、ハッと息をのむダイ。手の動きも、止まっていた。 半壊した天魔の塔を、赤い夕日が美しく染め上げる。 バーンは、なおも語る。 バーン「そして、こうなった」 夕日に照らされて、床に転がる瞳が映し出される。ダイとポップを除く全員が、すでに玉となってしまった。
その言葉を、ポップも聞いていた。 バーン「もはやどうにもなるまい」 顔を背け、泣く寸前のような声を漏らすダイ。 バーン「もうよせ、ダイ。全ては終わった……今度こそ理解したであろう?」 ギュッと目を固く閉じ、耐えがたい苦痛に耐えるように震えるダイを、バーンは静かに……だが、冷酷に諭す。 バーン「これ以上の戦いの無益さを、心底から」 だが、ダイは歯を食いしばり、反論した。 ダイ「い……いやだ……ッ。そんなの、いやだーーっ!」 ダダを込める子供のように、叫ぶダイ。 ダイ「無益なもんか! みんながこんなに頑張ってきたのに、ここでやめたら……ッ」 納得しきれないように叫ぶダイに、バーンは言った。まるで、頑是無い子を諭すかのように。 バーン「ならば、世の命だけでも奪うか?」 ダイの目が、大きく見開かれる。 バーン「だが、後数分では殺されはせぬぞ。地上破滅後でいいのなら、余の生命を奪うのも一興かもしれんが……」 夕闇の迫る空に浮かぶバーンパレスが映し出される。 バーン「念のために聞いておこう。おまえは余を殺すことが目的で、この戦いを始めたのか?」 優しいと言ってもいいその問いかけに、ダイは一瞬、絶句する。 ダイ「……違う」 ダイの眉が、少しゆるんだ。 ダイ「おれが……この戦いを……始めたのは……地上のみんなの平和を……まもる……」 年相応のたどたどしい声が、途切れがちにダイの初心を語る。 バーン「その……守るべきものは、もう消える」 静かなその言葉に、ダイは目を見開いた。全てから、色が消え失せていく。 バーン「消えるのだ……」 見開かれたダイの目が、灰色がかって霞み……終いには真っ白となる。 手は、バーンの身体から滑り落ちる。 その様子を見て、息をのむポップ。 ポップ「……ダィ……」 ポップの呼びかけは、ひどく弱々しかった。 ダイ(ど……どうしたんだ……どうしたんだよ……っ、まだ決着はついてないぞ……) どんな時でも諦めちゃいけない――そう、自分で自分を励まし、立てと自分を叱咤するダイだが、その身体はピクリとも動かなかった。 ダイ(立て、立つんだ、ダイ……!) 子供特有の丸みを残す頬を、水滴が伝っていく。途切れることなくこぼれるそれは、ダイの涙だった。 ダイ(お……おかしいよ……どうして……おれ……立てないんだ……) 目を見開いたまま、静かに涙をこぼすダイ。 ポップ(あいつの……あの顔……悟っちまったんだ……もう本当に、どうしようもないことを……) ポップは地面に突いた手を、強く握りしめる。その声は、すでに涙に震えていた。 ポップ「ここまでっ、ここまで頑張り抜いてきて来て……っ、最後がこれかい……ちくしょう!」 叫ぶポップの目からも、涙があふれ出す。 バーン「泣くな。おまえ達は本当によく戦った……!」
静かに、涙をこぼすだけのダイ。 バーン「さあ、一緒に地上の最後を見よう!」 いつの間にか、雲の上まで上昇していたバーンパレスは、ちょうど、夕焼けと夜の闇の合間に存在していた。 バーン「歴史的一瞬だ……!」
ポップ(終わりだ……なにもかも……! おれ達の家族も……!) 泣きながら、ポップは絶望する。 ポップ(世界中の偉ぇ人達も……!) ポップの両親の周囲に、世界の王達が並ぶ。そこには、師匠であるマトリフの姿も混じっていた。 ポップ(そして、何も知らない普通の人達も……) 今まで出会った人達が、ずらりと並ぶ。 ポップの脳裏で、ピラァ・オブ・バーンが爆破し、周囲が染まる。地図の上の六つの爆弾が爆破する様も、ポップは鮮明に想像できてしまう。 ポップ「おれ達にゃっ、どうすることもできなかった!」 拳を握りしめ、床石を力任せに叩くポップ。二度、三度と何度も拳を振り下ろしながら、ポップは泣いていた。 ポップ「結局……なにも……」 ダイやポップの嘆きをどう考えているのか、バーンは平然とした顔で語る。 バーン「プラァ・オブ・バーンは最後の柱の機動によって、全ての柱の時限装置が同時に作動する。一斉爆発まで、もう10分もないだろう」 あと十分ばかりで忌まわしい地上が消えてなくなると語るバーン。ポップはただ、顔をくしゃくしゃにして涙を流すばかりだった。 バーン「……感無量だ。さすがの余も……」 空を振り仰ぎ、バーンは感慨深げにそう呟いた――。 《感想》 逆転から再逆転されてしまった絶望感がものすごいです! ああ……前に別の漫画で『より高くまで舞い上がった後に叩きつけられる地上は、さぞかし苦痛を感じることだろうなぁ』と言っていたドSキャラを思い出しましたよ(笑) マァムの台詞、原作では『あ、あの鏡……あの時の……!?』でしたが、後半は分断され、回想シーンの後に回されています。 ポップが両手で盾を拾い上げるシーンは、アニメの追加ですね。 アニメのマァムが、キョトンとした表情でポップを見ているのには笑っちゃいました。絶対「あれって、そんなに重そうには見えないんだけど?」とか思っていそう。 シグマの提案に、ポップがためらうような台詞を言うのはアニメの改変です。 試しに腕につけて、重いと文句を言った後でこの台詞だと、遠慮のタイミングとしちゃズレていますし〜。 シグマが鏡をアイテムだと言い切るのは、ちょっといいなと思いました。 シグマの目にポップが映り込む演出、いいですね♪ シグマの目に映るポップが、俯いて考え込んでいたのも嬉しいポイント♪ さっきも言ったように、原作ではシャハルの鏡にヒビが入ったところからスタートするので、ポップの思い出した回想という印象が強かったのですが、アニメではマァムの意味合いを強めてくれているんですね! ついでに、久々にシグマの声が聞けたのも嬉しい点♪ 彼の声、めっちゃ好みなんです。馬面なのに、すごくイケメン声で♪ 砕け散ったシャハルの鏡の破片に、モノクロのポップの顔とシグマの顔が映る演出、かっこよかったです。アニメの追加シーンですね。 バーンが炎の向こうに垣間見るダイの姿が、黒のシルエットに青い闘気に縁取られていた演出がとても綺麗でした♪ 原作では輪郭にトーンを張っていましたが、黒の方が目を惹く気がします。 また、ここでポップが落下するか、あるいは足が地面についたっぽい感じがしますが、動きが速いのと部分的すぎてよくは分かりませんでした。 原作では、ここでポップが「いけっ」とダイを見るシーンがあるのですが、アニメではなくなっています。 仲間達の顔、原作では一人ずつコマで表現されていましたが、アニメでは二人一組で画面を二分割した形で演出されていました。 バーンが効力を振り払うシーン、炎が玉の表面を舐めるシーンはアニメの改変です。原作では、玉達の視点で驚いていただけでした。 その後のヒュンケルとクロコダインの台詞、改変が。 原作ヒュンケル(硬直したまま、ポップと自分の呪文の直撃を受けたはずがっ……) 原作クロコダイン(あの炎だけでも普通はチリになりそうなものをっ……!!) ヒュンケルは一部省略でしたが、クロコダインは大幅変更されていますね。女の子達の台詞は短かったせいか、そのままなのですが。 そして、ポップの落下が思った以上に早かったのにビックリしました。原作ではポップはずっと宙に浮いていて、バーンが腕を切られた時に床にどべっと落ちています。 が、アニメではこのタイミングで仰向けに倒れ込み、床に背中を完全につけています。 ダイの接近に、バーンが一瞬後ろにスウェーするような動きを見せた後、次の瞬間には額をぶつけんばかりに顔を前に出した動き、いいですね! アニメの改変です。 原作ではこのシーンのバーン様は、ダイの動きに戸惑いながらも待ちの体勢のままです。が、アニメではダイの攻撃の脅威を感じて一瞬無意識に逃げかけ、そのすぐ後に対抗心剥き出しに顔を寄せるよう行動を取っています。 バラン戦でもそうでしたが、頭突きも辞さない肉弾戦の距離での睨み合いって、迫力があってカッコいいですね。 でも、ストラッシュクロスはちょっとだけ残念。 斬られた後、ダイとバーンの姿が真っ白に霞んでいく演出は良かったです♪ バーンの血飛沫の上がり方、思っていた以上に派手でビックリ。原作でもポタッと落ちる程度の描写だったのに、アニメでは下から上へドバッと噴き上がってますよっ。 そして、腕、回転しながら降ってきたのは意外でした。 バーンの表情、原作では呆然と言うよりも、目を見開いて自失しているような印象が強かったのですが、アニメではそこまで我を失ってないような感じに見えました。 微妙に驚きなどで表情を動かしたり、腕の動きを目で追っている感があるせいか、ちゃんと目の前の物が見えている風なんですよね。 バーンの目は虹彩の描き方まで凝りまくっているので、ダイの目が茶一色になったように、その色が薄まるアップが出るだけでも雰囲気が大きく変わっただろうなぁと思うと残念です。 原作では、見開いた目に映っている物を頭が受け入れきれていない感じで、宙を舞っている腕を見る際は焦点が合いきってない印象を受けるので、衝撃度を強く感じます。 やっぱり、腕は回転させないでスローモーションで落下して欲しかったです……! って、もしそうしたらそうしたで、生々しさもアップしそうではありますが(笑) ポップが天地魔闘の構えを破ったと叫ぶ時の声、うわずっているのについ笑っちゃいました。あれだけ不敵に振る舞っていたのに、この結果に一番驚いているような小者感がたまらなく好きです(笑) それに比べると、自分では何もしていないのにヒュンケルとレオナの状況分析の速さはお見事ですね。 特にレオナが、魔神に怯えていた表情から、きりっとした顔になって身を乗り出す変化を見せたのが気に入りました。原作では不安げな顔のままなので、実にいい改変です。 ヒムの側にシャハルの鏡の欠片が寄り添っていたのには、心底感動しました! 原作では玉から少し離れた所に欠片が落ちていましたが、アニメではヒムの玉を守るようにぴったりとくっついていたのが泣かせます。 もし、シグマの魂がシャハルの鏡に宿っていたのだとしたら、ヒムだけでも生き延び、ハドラーの遺志を受け継ごうとしてくれたことを喜んだに違いないと思えます。 シグマとポップの戦いでは、ポップの魔法の性質上、相手を消滅させるしかなかったし、シグマの攻撃力ではポップはどう考えても即死しちゃいますから、手加減をする余地も、死闘の結果両者が生き延びる可能性もなかったですしねえ……。 ヒムがシグマに呼びかけて笑うシーン、実に良かったです! 欠片にシグマの面影を見いだす演出も、いいですね。 アバン先生の台詞の後から、大幅改変が! N「一瞬……であった……! 大魔王バーンがストラッシュクロスで腕を切断され、よもやの事実に我を失ってからこの瞬間まで……!! それは時間にしても、一秒にも満たない間だった!! バーンの胸を刺すシーン、ギリギリで傷が見えないバストショットシーンと控え目な流血に抑えていますね(笑) 原作では見開きで大胆描写でしたが、……まあ、さすがに土曜朝からは無理がありますか。 胸に剣が突き刺さったバーン様、意外なぐらい身動きしてダイを振り落とそうとしているのに驚きました。原作ではさすがにダメージを受けたのか、棒立ちな印象だったので。 バーンに話しかけるダイ、原作では『いくら天地魔闘の構えが破れても』が、アニメでは『いくら天地魔闘の構えがとれなくても』に改変されています。アニメの方がストレートで分かりやすいですね。 バーンの角を掴むシーンを入れたのは、アニメの改変です。原作ではいつの間にか掴んでいましたが、やっぱり掴む動作が入った方が迫力が出ます。 「ふざけるな」の台詞も、アニメの改変ですね。原作では「ぬう……ッ!!」と言っています。 バーン様に手で顔をぎゅうっと押されている時の、ダイの顔が可愛いです! シリアスなシーンですが、このもぎゅっとした顔と、喋りにくそうな発音がたまりません♪ 地上からダイの連続ライデインを見るシーンが入ったのは、嬉しい改変です♪ 久々のメルル♪ でも、気絶状態であんな風に手を突いたままだと、手首に負担がかかって後で捻挫状態にならないか心配です〜。 空を神妙な顔で見上げるバダックさんは台詞も表情の変化もナシでしたが、ここは是非、一言でもいいから「きっと、ダイ達じゃ」とでも言って欲しかったです! あの中でバダックさんだけは、対ヒュンケル戦のためにライデインを連発する特訓をしたダイとポップの姿を見ているんですから! バーンが大の手首を掴むシーン、アニメでは原作よりも強い力で引っ張っているのか、大きく体勢が崩されています。原作だと、ダイは割と平気そうだったのに……な、なんか、ゲームでよくある敵強化25%的な効果がかかっているような気がしますよっ。 でも、ダイがライデインと叫んでいる時、黄色い雷光とは別にダイの身体に青い闘気が包んでいるのをアニメで見て、ハッとしました。 ポップがダイに向かって無意識に手を伸ばし、それを自分の意思で止め、下ろしたシーンに感動! これも、原作にはないシーンです。 原作ではポップはずっと、辛そうに両手を床についたまま座り込んでいます。 ハドラーでさえ無意識に助けてしまったポップにとって、自分の意思で仲間を助けないと決めるのは辛い選択でしょうねえ。 辛そうに目を閉じる顔、一生懸命我慢して目を開ける表情、バーンを睨む表情と、変化しながら顔を上げるシーンが、また良かったです! ポップの台詞、微妙に追加されています。原作では「だが、あれは確実に効いてる」の一言で済ませていた部分を、バーンの言葉は強がりと考える台詞が追加されています。 バーンが落ち着きを取り戻してダイを諭すシーン、思っていた以上に渋くてかっこいいです……! 無意味と言われて、ダイが反発して聞きかえすシーンもアニメの改変です。 原作ではこの会話の最中も、ダイとバーンはバシバシに雷を浴びているのですが、アニメではバーンが静かに問いかけた時から雷が静まりだしているのも印象的。 しかし、攻撃をしていないと、ダイがバーンに肩車されているように見えてしまい、一瞬ほのぼのしてしまった罠が(笑) バーン様の説明、長いのに丁寧に語ってくれていたのは嬉しかったです。 その色彩の中、白い鳥が飛ぶようにバーンパレスが緩やかに飛んでいる……雷の時とは打って変わった美麗な天空城でした。 バーン様が第三の目から光を放ち、穴が開くようにチリチリと広がる光景を見て、古いカメラフィルムが火で焼け焦げていく様を連想しました。 心臓部の魔力炉の下側にあった円錐部分の周囲の水晶が、一斉に砕け散るシーンはすごく綺麗でした。3Dもいいなと思ってしまう瞬間です。 CM再開後の音はいつも通りでも、内容は緊迫しまくりっ。 ピラァ落下前のダイとバーンのやり取り、実は改元されています。 原作ダイ「そ、それが今……眼下に落ちたらッ!!」 原作ポップ(フ、フローラ様達もっ!!) 今思えば、ダイの言い回しは子供っぽくなくて、らしくないですね。この台詞なら、ダイとポップの台詞は逆だった方がよかったんじゃ……? アニメのバーンは、ダイの理解度の低さを理解しているのか、懇切丁寧にゆっくりと教えてくれています。……でもこれって優しさと言うよりは、恐怖を理解させたいからやっているように思えてなりません(笑) また、ポップがダイをけしかける声、原作ではただ名前を呼んでいるだけですが、アニメではやらせるなと言っています。 ダイがやめろと叫びながらライデインを落とし始めた際、玉の中にいる仲間が映るのはアニメの追加シーンです。雷の黒い影が、鏡が割れるように見えて見ていてゾクゾクするほど綺麗で不吉な印象のするシーンでした。 ポップがバーンを制止しようと呼びかけて手を伸ばすシーン、原作では手を伸ばしかけるだけでした。 ダイがやめろと取り乱すシーン、逆さの画像になったりなどの演出もいいですが、うろたえて舌足らずな口調になっているダイの声が実に可愛いです。 ピラァ・オブ・バーン落下シーン、白黒のメリハリの利いたモノクロ画面で、声が消え、最初はスローモーションに、徐々に速度を上げて爆弾が落下していく演出、怖かったです! 自身やニュース速報ならまだしも、なぜにこんなドシリアスシーンで「ダイの大冒険のゲーム情報を明日配信するよーニュース」を流すんですかっ!? いや、確かに重要情報ですけどっ。なんなら一年以上前から気にしまくっていましたけどっ(笑) でも、ここで流すのはタイミングが違うだろーーーーーと、叫びたいですっ。せめて、次回予告でっ……いや、それともこれは『文字放送が気になるなら、ブルーレイ版を買うっきゃ無いんじゃない?』というお誘いなのでしょうか。 バーン様、ダイが現実を受け入れきる前に、黒の核晶を見せつけるなんてドSもいいところ……っ。 ショックを受けるダイが、黒い画面に白い線で描かれるという演出を使っている中、バックがただのベタ塗りな真っ黒ではなく、かすれた線が微妙に動いている画像だったのが無性に嬉しかったです。 原作ではこのシーン、黒い線を何重にも重ねた珍しい手書きの効果線でした。手が込んでいそうな割に、目立たずに見逃してしまいそうな書き込みに、当時のアシスタントさん達の職人芸を感じます。時間短縮を狙うなら絶対ここはベタの方が楽だし、そうしても画面効果はたいして変わらないと思うんですよ。 が、敢えて、手を掛けて描き込みまくることで父を失ったダイの心境を表現しようとした、その拘りに感服します! バーン様の黒の核晶の説明、原作と順番が入れ替えて省略してあります。 原作バーン「あれだけで……ハドラーに仕込んでいた核晶の十倍以上はある……、黒の核晶は魔力を無尽蔵に吸い込む爆弾だから、当然その破壊力は大きさに比例する」 また、原作ではバーンの視線はどちらかと言えば下の方を見ているっぽかったですが、アニメでは上を見上げています。 バーンに意味が分かるだろうと問われ、答えないダイを見ていると……教師に疑問点はないかと問われ、どこが分かんないかも分からないと、当惑しきっている生徒の顔を思い出します(笑) 本能的に危険な感じがするのは分かるけど、難しいことはよく分かっていない風に見えてなりません……ダイには悪いですが。 バーンの説明中、夕焼の荒野に立つピラァ・オブ・バーンの画像が映し出されたのが、実に美しかったです。 ピラァが落ちた場所を、地図と景色も含めた回想で語ってくれたのも、嬉しいところ♪ バルジ島、思いっきり風景が変わっちゃっていますね。元々、フレイザードのせいで氷魔塔や炎魔塔が出現し、しかもそれを破壊しちゃいましたしねえ。 そう言えばマトリフも、自宅の洞窟から見える景色が物騒になったと不満を持ちそうな気がします。 パプニカとリンガイアの場所が見えなかったのが残念ですが、地図の上に赤い×が刻まれていくのは分かりやすかったです。 しかし、バーンは目の向きから見て、どう見たってダイに問いかけているのに、答えに気づいたのはポップの方ですよ! ポップが真相に気づいた際、モノクロ顔で驚いている顔が一瞬映るのがいい感じです。 ここも、原作との改編ポイントですね。 しかし、説明が六角形って……この世界じゃ、六角形にそんなに意味があるんかい、とツッコみたくなりましたよ! 六角形にそんだけ威力があるなら、この世界ってハチ系モンスターの天下になってるんじゃないですか!?(笑) うう、せめて新装版の六星(ろくせい)じゃダメだったんでしょうか。 ついでに、ダイの手も改変ポイント。 と、それはさておき、想像の爆破シーンは迫力満点でした♪ バーン様の「そして……魔界が〜」の台詞は、アニメの追加ですね。バーン様の長年の思いを口にしている感があって、実にいいです。 でも、……バランでさえ、ダイを肩車したことは無かったのに!(笑) ダイがバーンの角を手放すシーン、強ばっているように見える動きに感心しました。強く握りしめ続けていたせいもあるでしょうし、気持ち的に手が強ばっているようにも見えます。 原作では、ダイはバーンの首を直接掴み、絞めようとしていますが、アニメではバーンの服を掴んで揺さぶっていますね。表現がソフト! バーン様がチェスにたとえるシーン、ダイを肩に乗せた後ろ姿のカットには打ち抜かれました! す、すごいっ、ダイは攻撃の姿勢のままなのに、地面に映る影は重なり合って、まるで仲の良い親子のように見えるだなんて……! 顔を見せない後ろ姿なだけに、両者のドラマを感じるワンシーンでした。 原作にもない素敵イラストに、このシーンだけ切り取ってポストカードにしたくなっちゃいましたよ! 説明シーンに、まさかこんな素晴らしい画像が組み込まれるとは……! 一カ所に集まった瞳や、ヒュンケル、アバンのカットが入ったのも嬉しいポイントです。 バーン様の「もはやどうにもなるまい」発言、原作では語尾に「もはやどうにもなるまい!?」と、問いかけているテイをとっているのですが、アニメでは バーンに戦いの目的を問われたダイがゆっくりと答える際、二段階に分けて色がゆっくりと抜け落ち、モノクロカラーに変化する演出はよかったです! バーンの目の動きも、ゾクゾクします。 ダイを見つめる流し目から、反対側を見やる変化にゾクゾクしました。 ダイの目のドアップが、灰色に霞むだけにとどまらず、白い背景に細い線だけで輪郭を描く描写も、容赦なくたたみ込んでくるイメージです。 ダイが手を離すシーン、紋章の光が消えていくのを見て、このためだったのかと思わず唸りました! スローモーションのようにゆっくりと落ちるダイの手が、実にいい感じです。 ダイが大の字にて折れるシーンポーズと構図が原作のままでも、周囲が暗くなり、スポットライトが当たるような演出が加わっていたのにびっくり。そのまま、逆時計回りにゆっくりと回転していく動きが、ダイの動揺を現しているよう不安感を煽る演出でした。 泣くダイの表情、止め絵でも描かれるとは思いませんでした。完全な止め絵ではなく、水彩風の絵に涙だけアニメーションさせていましたね。 声もなく静かに涙だけ流すダイ、大声を張り上げて号泣するポップ、泣き方にも個性があると思いました。 古い時代の葬儀では、わざわざ号泣する役目を指定するやり方がありますが、地域も時代もバラバラなのに同じ風習が伝わっていたのは、号泣の効果を体得していたからなのかな、と思いました。 ここで、マァムとレオナの表情を見せてくれたのも嬉しかったです。 逆にレオナは、戦いでは傍観者、もしくは守られる立場でいたせいか、二人の絶望を自分のものとするより先に、心配する気持ちが先に立っているような感じですね。 それにしても、バーン様、ポップがあれだけうるさくないでいるのに、よくもまあ気にせずマイペースで振る舞えるものです(笑) ポップの回想に浮かぶスティーヌさん、若っ。原作よりもお若く見えます! ジャンクは……まあ、割と原作通りのイメージですが(笑)、原作よりもアニメの方が身長差があるように感じます。 ジャンクのイメージって、固太りであまり背は高くないイメージだったんですが、ロン・ベルクが飛び抜けて長身だっただけで、別にジャンクが低身長ってわけじゃないみたいですね。 ポップの感覚では、マトリフも偉い人の一人なんだなぁと思うと感慨深いです。 あ、でも、原作にはいなかったレイラさんやネイル村の長老がいたのはちょっと嬉しかったです。 バーンが爆破までの時間を語るシーン、原作では残り5分でしたが、アニメでは残り10分になっています。 それにしても、バーン様マジで他人のことを気にしていませんねっ(笑) |