H.6.7.18(月)No33 『大破邪呪文の危機…!!』 

 

 かつてない魔物との戦い――。
 ノヴァやクロコダイン達は勝つためではなく、ダイ達を守る壁となるために全力を挙げて戦う。それに力を貸したいと思うロン・ベルクだが、ミストバーンとの戦いだけで手一杯だ。

 一刻も早くミナカトールを完成させなければならない状況なのに、ダイ達は動けない……!
 迷いを捨てきれないポップは、みんなに撤退を申し入れる。

 だがレオナは、これが最後のチャンスだとポップを諭す。光らないのは、ポップの心に原因があるから……一度逃げたのなら、後は光らないだろう、と。
 姫の言うことが正しいと分かっているだけにポップは余計に迷い、そして苛立ったあげく自らアバンのしるしを引き千切った。

 他の者にやらせればいい、自分には出来ない。自分に出来るというのなら、その答えを教えてくれと、思いをぶつけるように叫ぶポップに、誰も答えられない。
 自分のためにみんなが死ぬのは耐えられないと呟くポップに、ヒュンケルは言う。

 今、ミナカトールが出来ねば、自分達を含めて何千、何万もの人々が死ぬ、と。
 ヒュンケルが、ダイが、マァムが、ポップを信じ、励ます。
 だが自分を信じられないポップにはその期待は重く、誰よりもマァムに言われた言葉が、深く、ポップを傷つける。

「だって私…あなたの心の強さを知っているもの。どんな窮地に落ちても立ち上がり、強くなる……。強い心の持ち主であるあなたを、誰よりも尊敬している…!」

 その言葉が彼女の本心だと分かるだけに、精神的に追い詰められたポップもまた、本音を言い返していた。

「おれは……おまえに『尊敬』なんかされても、全然うれしかねえんだよっ!!」

 お互いの本心に傷つく、マァムとポップ。
 そんな彼らを遠くから見ていたザボエラが不気味な笑みを浮かべたことに、まだ、誰も気がついていなかった――。


《タイムスリップな感想》


 うわ〜っ、盛り上がるっ、盛り上がるっ♪
 主役張りに苦悩するポップの心理が、実に初々しくっていい感じv
 自分の命の心配や、アバンの資格がないことよりも、みんなの足手まといになり、自分のせいで他人の命がなくなることの方が、ポップにとっては重く、辛いことのようである。


 もっとも、その解決策に逃げることを提案するあたりなんかは、まったく進歩してないけど(笑)
 悩むポップを見つめるメルルも、女の子らしくてGOOD!

 でも、ポップを「あんなに優しくて、あんなに立派な心の持ち主」と思うのは、いささか買いかぶっている気もするんだけど……。それにしてもメルル、戦わないでいーのかな、みんな頑張ってるのに(汗)

 ところで、みんながポップを励ます方法が、それぞれ、らしくって面白い。
 レオナは現状を正確に告げることで、ポップのやる気を引き出そうとした。……もっとも、自信のないポップには逆効果だったけど。

 ヒュンケルはまず、ポップの逃げが人類の滅亡に繋がると言い、ショックを与えてから言った。

「立て、ポップ!! 雑念を捨てろ!! オレのように一度悪に染まった者ですら、このしるしは光ったのだ!! 正義のためだけに邁進してきた、おまえにできぬはずはない!!」

 まず意外さで気を引きつけ、何をすべきか示唆する。さらには劣った者(この場合は、自分自身)と比較し、自信を与えるための言葉を添える。
 説得の基本を踏まえた、見事なお言葉だ。

 それとは正反対なのが、ダイの言葉で、

「そうだよ!! おれに最後の勇気を与えてくれたのは、ポップじゃないか!!」

 基本もへったくれもない、ただ思ったことを口にするだけのダイは、あんまり説得には向きそうもないが、人間とは時として理に適った言葉よりも、些細な一言に救われるもの。 特に、親しい関係なら、尚更だ。

 最後が、マァムの『尊敬に値する信頼』
 だけど、これはポップにとっては、最悪だ。マァムに想いを抱くポップは、いくら『仲間』として尊敬されても、信頼されても、嬉しくないに決まっている。

 第一ポップは、マァムにために強くなりたいと思って頑張ってきたのであって、決して最初から強い心を持っていたから頑張れたわけじゃない。
 それなのに一切気がつかず、あまつさえ戦いの前夜にポップに恋の悩みを打ち明けるマァムの鈍さへの苛立ちが、ポップに本音を言わせたんだと思う。

 でも、鈍いマァムにどこまでそれが通じるやら……。
 こんな状況でしゃしゃり出てきたザボエラが、どんな陰謀を企むのか楽しみでしょうがない。
 ワクワクっ、来週が待ち遠しいなぁ?
 
 

次へ続く
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