H.6.10.8(土)No45 『勝利か?! 消滅か?!』 

 

 大魔道士ポップ――その呼び名は、あながちハッタリとも思えない。
 魔法使いでありながら、いつの間にか回復呪文を身につけたポップに、シグマはいつの間にそんな力を身につけたのか、と問い掛ける。

 ついさっきだと、ポップは答えた。
 元々、呪文の契約はすませていたものの、実際に使えるようになったのはついさっき……自分自身に愛想が尽きた瞬間だった。自分のために倒れたメルルの後押しを受け、マァムに告白した瞬間を境に、使えるようになったのだ。

 そんな事情は知らないシグマだが、その力の源は魂が呼び起こしたものだと、と語る。 魂には肉体以上の強さを与える力がある……それがシグマの信念だし、彼はハドラーから授かった魂に誇りを抱いている。

 シグマにとって、ポップが回復魔法を覚えたのはある意味で好都合だ。ハドラーのため、ダイの仲間の足止めの時間を稼ぐのが、彼の目的なのだから。
 だが、ポップはそれを聞いて、いきなりメドローアの光の弓を作り出した。

 簡単にシグマに当てられるとは思っていないが、ポップは短期決戦を挑む決意を固めた。 それはシグマを認め、尊敬出来る相手だと認めたポップなりの、敬意の現れだ。彼の使命感に見習い、一刻も早くダイの所に行くため、シグマを倒そうとするポップ。

 その心構えに感心し、シグマもまた、時間を稼ぐためでなく勝負をつけるつもりで戦いに身構える。
 ――その頃、マァムはようやく、ポップ達のいる場所を視認できる位置まで走ってきたところだった。

 だが、二人はそんなことも知らず、しきりに動き回り、相手の隙をつこうとしていた。 しかし、スピードではシグマの方がはるかに上だ。シグマはイオを放ち、ポップが怯んだ隙を狙ってトドメを刺そうとする。

 だが、その瞬間、ポップは魔法を放った。
 軽くよけたシグマだが、その魔法は床に落ちたシャハルの鏡に当たって跳ね返ろうとしていた。
 ポップは最初から、それを狙っていたのだ。

 だが、シグマは一瞬でポップの頭上を飛び越え、ポップを羽交い締めにしたシグマは、そのまま魔法が迫るのを待つ。
 シグマも、ポップの狙いを最初から見越していたのだ。
 シャハルの鏡が光り、魔法が跳ね返る!

 ちょうど、マァムが駆けつけてきた時、シグマはぎりぎりでポップから手を放し、自分だけ逃げるところだった。今にも魔法の光に飲み込まれそうなポップを見て、マァムは彼の名を呼ぶ。
 だが、避けようもなくポップは魔法の直撃を受けた。

 再びポップの名を叫ぶマァムを、振り返ったシグマだった。自分の勝利を確信し、それをマァムに告げたシグマは、見た。
 全身をけぶらせながらも、ポップが光の弓を引き絞っている姿を――。

「……化かし合いは、おれの勝ちだっ!!」

 ポップの放ったメドローアは、一瞬でシグマの胴体を消し去り、一条の光となって空に白い軌跡を残して消えた。
 残ったのは、シグマの手足……そして、首だけだった。

 ポップはマァムの方を借りて、強敵の無残な姿を見下ろしていた。
 ポップ自身が浴びたメドローアは、巧妙に似せたベキラマにすぎなかった。シグマの隙を作るために、最初から自分が食らうつもりで……。

 首だけとなったシグマは、負け惜しみの気配もなく見事だと褒める。
 結果は負けでも、シグマは満足だった。ハドラーも自分を責めまいと確信出来るほど、いい戦いをしたと――。

「……横っ面をはたくという、君の勝利の女神にも……よろ…し…く」

 戦いの最中に聞いた、ポップの戯言めいたセリフに合わせた返事が、シグマの最期の言葉だった。
 その言葉の意味を悟ったのか、マァムはわずかに顔を赤らめてポップを見るが、ポップの視線はシグマに向けられたままだった。

 シグマの身体が爆発し、その場から離れようとするポップ達。だが、ポップはマァムがこの場に来たのが、いささか不満の様子。
 そんなに自分は信用がないのかと問うポップに、マァムははっきりと言えずに口ごもるばかりだ。
 そんなマァムの方から手を外し、ポップは改めて彼女に向き直った。

「おれ……ちゃんとおまえに言っておかなきゃいけないことがあるんだ…」

 


《タイムスリップな感想》

 ポップの強さに、大感激!!
 一度作戦が失敗してもそれにへこたれず、より良い作戦を即座に練り直して遂行する。マァムがぎりぎりで駆け付けてきたけど、きっと彼女が来なくてもかてたはず(とゆーか、マァム、なんもしてないし)

 ヒュンケルが言った通り、ポップって本当に強くなったんだなぁ……。最初の頃が、嘘みたいだ(笑)

 戦いの最中、ポップは自分の勝利の女神は微笑んじゃくれないと言っていたが、この辺はマァムに聞かれなくて良かったのか、悪かったのか。それに、横っ面をひっぱたいたのはマァムだけじゃなくレオナもなんだが、マァムは知らないかもしんないし黙っておこう(笑)

 マァムがなにをしに来たのか言う前に、ポップから再び告白しそうな雰囲気で、来週が楽しみv
 ……が、それにしても一刻も早くダイの所に行くっつってたくせに、のんきにラブラブしてていいんだろうか?(笑)

 今週は土曜日発売だったから、再来週まで続きが読めないのが残念無念! う〜ん、焦らしてくれるなァ、もう!
 

次へ続く
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