H.6.10.24 (月)No47 『真竜の闘い!!』 

 

 ポップ達の目の前には、凄まじい熱気が渦巻いていた。その中心にいるのは、ダイとハドラー……二人の気迫の激突が、この熱風を生み出しているのだ。
 遠く離れた場所から水晶球でこの光景を見ていたバーンは、『真竜の闘い』のことをキルバーンに語る。

 数百年前、最期の竜達が合間見えた時、凄まじい熱風を巻き起こす死闘が演じられた。その再演を思わせる死闘に、バーンは満足げにほくそ笑む。
 しかしポップは、ただ闘いを見守っているだけのヒュンケル達に、なぜ加勢をしないのかと責める。

 ヒュンケルは無言のまま、鎧から隠しナイフを取り出し、ハドラーに向かって投げ付けた。が、ナイフは目標に当たることなく、熱風に溶かされて消え去ってしまう。
 だからこそ、ヒュンケルは手出しをしない。物理的に無駄だし、それに  二人の意思が邪魔を拒んでいるのも、感じ取っているから……。

 高熱の空間の中、ダイとハドラーは剣を使わずに格闘だけで戦ってた。どちらも剣を抜く時が最期の決着の時だと悟っているからこそ、二人は激しくぶつかりあう。
 しかし、どちらかと言えば格闘ではハドラーに分がある。

 ダイのピンチを見兼ねたポップは、メドローアを打とうとする。だが、それを止めたのはヒュンケルだった。二人の闘いだからと止めようとするヒュンケルに対して、ポップはそんな綺麗事では納得しない。

 高熱の中にいるダイは、ひどく疲れて見える。居るだけで体力を消耗していく場所では、身体の大きさの違いからだけでもハドラーの方が圧倒的に有利だ。
 卑怯といわれてもいい、ダイを救いたいと言い切るポップ。

 だが、レオナもポップを止めた。
 ダイがこの闘いを望んでいるのだから、と。それでもポップはメドローアの光を生み出して言い放った。

「…あいつは甘いんだよ! ハドラーの言い分なんて、無視しちまえばいいんだ!!」

「……それができないから…、ダイ君は『私達のダイ君』なんじゃないの……?」

 レオナの静かな言葉を聞いて、ポップの手から魔法の光が消えた。
 彼女は、淡々と言う――ポップの魂の力が勇気ならば、ダイの力はなんだろう、と。レオナが思うに、それはその甘さ……優しさと表すべき純粋な心なのだ。

 怪物に育てられたダイは、誰に対しても平等に自然体に接する。それがダイの一番の魅力だし、だからこそレオナ達とも友達になれたし、ヒュンケルやクロコダインのようにかつては敵だった者とも仲間になれた。

 みんなが今ここに集まっているのもダイのおかげだというレオナの言葉に、ヒュンケルは黙って頷く。

 そのダイが、敵とはいえハドラーに何かを感じ、自ら闘いを望んだのなら、仲間である自分達もそれを大事にするべきではないのか――少なくともレオナはそう考えるし、そうするつもりなのだ。

 ……ポップも、その気持ちは分かる。
 しかし、ダイを助けたいという理屈抜きの感情もあり、ただ悔しげに歯を食いしばるばかりだ。そのポップを、じっと見つめるマァム。

 一方、ダイはこのままではかなわないと悟り、ついに剣に手をかけた。
 最強の技をぶつけるつもりになったのだ。だが、それはハドラーにとっても望むところだった――。


《タイムスリップな感想》

 ダイとハドラーの大決戦〜っ! 
 とはいっても、見所派見守っている連中の心理が中心のストーリーだけど、それぞれの考え方の差がすごく面白い。

 たとえばヒュンケルなんかは自分も戦士なせいか、ダイとハドラーの決闘に理解がある。ヒュンケルがその気になれば、必殺技などで手出しを出来そうな気がするが、今のところまったくその気はないようだ。

 レオナはダイに関しては、絶対的な信頼感がある。
 ……それに手を出そうにも、レオナの力では援護すらもできないから見ているしかできないし、かえって気楽とも言えるかも。

 しかし、ポップは元が魔法使いなだけに決闘に関心が薄い。決闘よりもダイの無事を優先する奴だし、しかも実際にダイを助けられるだけの力も持っている。
 黙って見ている方が、辛そうだ。

 それに、ポップは戦いを好む性格じゃない。
 どちらの技が強いか競いあうことにも興味はなさそうだし、前にキルバーンやミストバーンに釘を刺されても、決闘の邪魔をした前科もあるし(笑)

 最期までちゃんと見ていることが出来るかどうか、楽しみv しかし、ちょっぴり心配なのがマァム。賛成も反対もせず、ただポップを気にしているだけのマァムは、ちゃんとダイの心配をしているのだろうか?(笑) 甚だ疑問である。
 
 

次へ続く
27巻に戻る
タイムスリップ日記部屋に戻る
トップに戻る

inserted by FC2 system