H.6.11.14 (月)No50  『最後の一太刀!!』

  
 
 肩で息をしながらも、ダイはこの戦いだけは最後まで一人でやりたいと言い切る。
 だが、親友を心配するポップは、ダイがすでに消耗していること、ハドラーが部下の執念まで背負っていることを指摘し、後は自分達に任せるようにと説得しようとする。
 しかし、ダイはきっぱりと言った。

「……まだ一つだけ……! 試してみたい技が残っている…!!」

 ダイの言葉を、ポップもそしてハドラーも確かに聞いていた。
 ハドラーだけでなく、ダイにも背負っている想いや人がある。いつもポップ達が、そして先生やブラス、世界の王達や……父親であるバランがいる。
 みんなの想いを証明するためにも、負けられないと強く言い切るダイ。

 その強さに、ポップはショックを受ける。
 ダイの心の大きさを感じ、それを信じられなかった自分の小心さを責めるポップの肩に、ヒュンケルは黙って手を置いた。

 何も言わないが、何かもかも見通しているような仲間達を見て、ポップはとうとう何も言えなくなる。
 一方、ハドラーはダイの心意気を褒めはするが、今のダイには闘気がないことも見抜いている。

 しかし、ダイは剣を天にかざした!
 雷が剣に落ち、ライディンがダイの剣に宿る。だが、ただの魔法剣程度では、さっきの必殺技には及ばない。

 が、ダイは地に突き立った鞘を取り、剣を一度その中に納めた。
 ロン・ベルクの作った鞘は、もう一つの武器だ。魔法剣を完成させ鞘に納めれば、それは増幅され、引き抜いた時にはその呪文の最高位にまで膨れあがる。

 ダイは鞘をしっかりと納めると、ルーラで飛び上がった。元どおり剣を背負い直したダイは、ハドラーから十数メートルの距離をとった位置に降り立った。
 それは、増幅まで十秒はかかる時間を稼ぐためと――ポップ達が巻き添えを食わないように、場所を離すためだった。

 ダイの気持ちを汲み取ったポップは、もう戦いを止める気はなかった。
 今まで何度も奇跡を起こしてきたダイの力を信じ、ただ、見守っている。

 ハドラーは、時間を計るダイを見て、彼がギガブレイクを使ってくることを予測する。今ならば、発動する前に阻止することも出来るが――ダイの真剣な顔を見たハドラーは、そんな姑息な考えを無粋と笑い捨てる。

 ハドラー自身、後一太刀で燃え尽きる身……ならば、残す数秒を自分をためるために費やそうと、ハドラーは全身から闘気を噴き上がらせる。
 ダイの、そしてハドラーの力が高まっていくのを、ポップ達は固唾を飲んで見つめていた。

 そして、ついにダイが剣を抜いた!!
 勝負を賭けて切り込んでくるダイの構えは、今は亡き父、バランに瓜二つだ。対するハドラーは、全生命を賭けた超魔爆炎覇を叩きつけるために向かっていく。

「ダイ――ッ!! 負けるなぁ――っ!!」

 思わずのように、ポップが叫ぶ。
 切り結ぶ寸前、ダイは剣を持ち替えて構えを変えた。
 今までのダイの戦いの全て――今、繰り出せる最高の技をかけるために、ダイは竜の紋章の浮かぶ手で大きく剣を引く。

 極端に肩を引き、半身を見せる構え  それは、亡き師、アバンと同じものだ。
 驚愕するハドラーに、ギガストラッシュが繰り出された――!!


《タイムスリップな感想》


 おぉおおお〜っ、ど迫力っ♪
 ダイの戦いも主人公らしくてかっこよかったけど、でも、どっちかというとハドラーの戦いっぷりに感動しまくり!

 初登場の頃はセコくてずるくて小心者だったハドラーが、こんなに堂々とした武人になるとは……っ。文句無しにかっこよくて、渋いぜっ!
 その気になればダイが離れた時を狙って、ポップ達に攻撃をかけるなり、人質にとるなんて手もあったのに(<-発想がほとんどザボエラっ(笑)

 そういえば、前にザボエラに乗せられたハドラーが、ダイ達を眠らせた隙に暗殺しようなんてことをした時、ポップがハドラーに『見損なった!』と説教したことがあったっけ。 男の戦いには勝ち負けよりも大事なことがあると叫んだポップの言葉……それは、予想以上にハドラーの成長を促すきっかけになったみたいだ。

 ポップ本人は、気づいていないみたいだけど(笑) でも、ポップの言葉や行動は、回りに与える影響が大きいと思う。
 思えば、ダイにとって最初の強敵であるクロコダインとの戦いでも、クロコダインの考えを変えたのはポップの捨て身の勇気だった。

 対バラン戦で揺らいでいたダイを引き止めたのも、バランの人間味を引き出したのも、紛れもなくポップの力だったし。
 う〜む、こうやって振り返って考えると、ポップが勇気の使徒だっていうのが頷ける。 ま、本人に全然自覚がないあたりがスゴイけど。

 今までポップの影響力を重視したのって、キルバーンぐらいだし。……って、敵に注目されたって、意味ないか(笑)
 それにしても、この展開ではハドラーが勝てるとは思えないけど、せめて満足した死を迎えられることを望むなぁ……。

 当てにならないジャンプの予告によると、バーンが何か罠をしかけてくる感じだけど、ダイにそれに抗する力を残っているだろうか?
 ポップやみんなの手助けを撥ね除け、正々堂々とした戦いを望むダイの純粋さが、仇にならなきゃいいんだけど。

 次週こそは、とんでもなくしぶといハドラーの最後だろうか? どう決着がつくのか、楽しみだ♪
 
 

次へ続く
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