H.6.11.21 (月)No51  『大死闘決着…?!』

  
 
 ダイの一撃は閃光となってハドラーの角を、鎧化した身体を打ち砕いた。
 ハドラーが倒れるのを見て、ずっと気を張って見ていたポップは、力を失ってへたりこむ。
 そして、力を使い果たしたダイも、肩で息をして座り込んでいた。

 身体から煙を上げ、苦痛を堪えているハドラーの姿を見て、マァムは彼の最後を悟る。かつて、超魔生物と化したザムザのように、黒い灰となり塵となって散ってしまうのだ。アルビナスが生命を賭けて、それを阻止しようとしたことを思い出し、マァムは悲しげに今の光景を見つめていた。

 自身の死と消滅を目前にしたハドラーは、自分の敗北を認めていた。
 アバンと、その弟子に負けた事実を噛み締めながらも、ハドラーは納得していた。アバンの技と、バランの力……それを土壇場で合わせ、最強の技を生み出したとてつもない男に破れたことに、悔いはない。

 むしろ、感謝の念すら感じていた。
 ダイ達の手で地に落ちてからが、ハドラーにとっては本当の人生だった。短くても充実していた。

 最後の別れにと、ハドラーは手を差し伸べる。
 自分が朽ちる前に、せめて自分を倒した腕に触れさせて欲しいと望むハドラーに、ダイは黙って剣を鞘に納めた。

 ダイとハドラー、二人の手が触れ合う寸前、突然床にひびが入りダイヤのマークが浮かび上がった! 連続的に浮かぶダイヤのマークは、ダイとハドラーを取り囲む形に浮き上がる。
 
 驚く一同の耳に聞こえたのは、笛の音のメロディ。
 振り返ったヒュンケル達の目に映ったのは、死神キルバーンの姿だった。

「……フッフッフッ……諸君、気に入ってくれたかなァ……。この曲はボクからの鎮魂歌だ」

 不吉を悟り、ヒュンケルはダイに逃げろと叫ぶが、戦いのダメージの残るダイには、動く力は無い。
 そして、キルバーンに合図で、ダイヤのマークより魔界の炎が轟音を立てて沸き上がった!

 ダイとハドラーを炎の柱が覆いつくし、それは一つの塊となって二人目掛けて降り注いだ。
 それは、キルバーンの『殺しの罠(キル・トラップ)』

 大魔宮にしかけられた数多くの罠の中の一つで、ダイヤの9。キルバーンの意思一つで、いつでも魔界最強の炎を召喚する呪法だ。いつでもそれができたのに、ダイとハドラーが力を使い果たすまで待っていたのだ……。

 キルバーンの卑劣さに怒るヒュンケルをいさめ、マァムはダイを救おうとする。
 だが、キルバーンは無情にも手遅れだと言い放つ。獲物を取り囲む炎の柱が、中央の光点に集まり鳥籠状態になれば、脱出は不可能。
 もう黒焦げになっているだろうと、キルバーンは嘲笑う。

 しかし、そううまくはいかない、という声が聞こえた。
 キルバーンはもちろん、ヒュンケル達もその声の主を探す。
 炎の柱の中に見える人影は、『三つ』――。いつの間にダイ達の元へ駆けつけたのか、ポップは両手から魔法力を放ち、ダイを炎から守っていた。

「……こんなこったろうと、ハナから思ってたよ!! おれがいる限り、てめえらの思い通りにゃさせねえっ…!!」


《タイムスリップな感想》

 おお〜っ、久々にポップの見せ場っ♪
 対ハドラー戦で黙って見守っていた反動か、いきなり手を出しまくっているポップだけど、はたしてキルバーンの手から、三度、逃れることができるんだろーか?!

 多分、キルバーンの姿を見てからルーラでダイの側に行ったんだろうけど、ナイス反射神経!
 常々マトリフ師匠に言われていたように、魔法使いはいかなる状況でもただ一人、氷のように冷静に戦況を見ること……実行できてるっ、できてるっ! …でも、行動は無謀だけど(笑)

 それにしても、いくら成り行きとはいえ師の仇であるハドラーまで、ダイと一緒に庇っているとは皮肉な話だ。
 しかし、炎を防いでいる魔法っていったいなんだろう?
 フバーハ? それともヒャド系? どこまで長続きするやら……。

 只でさえキルバーンの恨みを買っている(<-ほとんど逆恨みだけど)ポップが反抗したことで、キルバーンも相当怒り狂っているハズ。
 実にドキドキする展開だなぁ♪
 

 

次へ続く
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