H.8.6.3 (月)No27 『天地魔闘の死角…?!』

 

 アバンが、ヒムが、ラーハルトが――三人が倒される瞬間を、ポップはしっかりと見届けた。三人の総攻撃に、かすり傷一つ負わないバーンを……。
 ラーハルトのハーケンディストールを掌圧で弾き返し、アバンストラッシュをカイザーフェニックスで撃墜、さらにはヒムのオーラナックルを手刀で砕いた。

 攻・防・呪文の三動作を一瞬でこなすバーンの奥義を、ポップは見極めたのだ。
 ポップに動きを止められたダイは、どうして仲間を見捨てるような真似をしたのかと、ポップを責める。

 しかし、三人はまだ生きて、立ち上がろうとしていた。それを喜び、ポップにもうみんなを止める様にと訴えるダイだが、ポップはダイの喉に回した腕に力を込め、文句を封じた。

 なおもバーンを見つめるポップは、彼が三人に追い討ちをかけないのを疑問に思う。遊んでいるのかとも考えるポップだが、正しい答えを見つけだした……!!
 一方、余裕たっぷりのバーンに対して、傷つきながらもヒムとラーハルトはまだ戦意充分だった。

 だが、アバンは大ダメージを受けていた。
 そんなアバンに、バーンは再び『瞳』の光を放つ。今度は争いきれずに玉へと変化を見せるアバンに、バーンは地上一の頭脳の切れを見せる男の戦線離脱を喜ぶ。

 だが、アバンは自分以上の切れ者がいると言った。アバンの見ている先にいるのは、ポップだった――。
 アバンが玉に変化しかかっているのを見て、ポップはダイを抱えたまま師の側に飛んでいく。

 謝るポップの心を、アバンは見透かしていた。
 大魔王を倒せるのは、勇者の一太刀のみ――レオナに伝えた言葉を忠実に守るため、ポップが心を鬼にしてダイを引き止めていたことも……。それを聞いて、ダイは今更ながらポップの本心に気付く。

「大魔王を倒せるのが勇者だけであるように……ダイの強さを最大限に引き出せるのは、この戦いを最初からずっと共に戦い抜いてきたポップ……あなただけです…!!
 力を合わせて…勝利を……!!」

 その言葉を残し、アバンは玉へと変化した。
 玉となったアバンを握り締めながら、ポップは勝利を誓う。そんなポップ達を、バーンは冷ややかに眺めやる。

 バーンの攻撃を心配して早く構えろとヒムやラーハルトが叫ぶが、ポップはその心配はないと、丁寧にアバンの玉を置いて立ち上がった。
 バーンが天地魔闘の構えをとる限り、決して自分からは仕掛けない。

 天地魔闘の構えとは、敵に先手を打たせる受けの技だと、ポップは正確に見抜いていた。恐らくはエネルギー蓄積のために動かずにいることも……その分析を、バーンは肯定する。 アバンが意思を託すに足りるポップの聡明さを認めながらも、バーンは一行には戦う手はないと言い切った。

 暗黒闘気でダメージを受けたダイは、回復呪文を受け付けない。バーンに攻撃を加えることを思い付いたとはいえ、ポップ以外は立つのもやっとという状況では隙を狙うこともできはしない。

 迷うポップをよそに、バーンは天地魔闘の構えを解き、初めて自分から攻撃する姿勢を見せた。
 さすがに緊張するヒムやラーハルトに向かって、ポップは叫ぶ。

「ラーハルト!! ヒム!! アカの他人のおまえらにこんなことを頼むのは気がひけるけどよっ!!
 ……おまえらの生命!! おれにくれっ!!」


《タイムスリップな感想》

 なんという燃える展開っ。
 ここに来るまでの不満を吹き飛ばすぐらい、ポップの出番が急に増えたぞっ。それにしてもダイって、戦い以外は鈍っ。
 ポップの真意に、なぜすらっと気が付かないのかな(笑)

 さて、ポップの頼みってのは『盾』だろうか、それとも命懸けの攻撃か? どっちかというと後者っぽい気がするけど。
 一言言わずにはすませられないであろう二人が、どんなセリフをほざいてポップと共闘するのか、楽しみだっ。
 
 

次へ続く
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