H.8.6.10(月)No28 『生命でぶつかれ!!』

 

 バーンの圧倒的な力の前に、ダイ達はなす術もなくやられる一方――その威力は地上にいるフローラ達にまで伝わっていた。
 あまりの凄まじさに、ロン・ベルクは悟る。
 大魔王の最後か、地上の破滅か、どちらか二つに一つだと……。

 『瞳』と化した仲間達は、一方的にやられるダイ達を悲痛な思いで見つめていた。もうやめて欲しいと叫んでも、彼らの耳に届くことはなく、目を逸らすこともかなわない。
 勝ち誇り、ゲームの勝利を確信するバーン。

 ほとんど動けないほど痛め付けられた彼らだが、万一の可能性を求めてラーハルトはポップにさっきの話を聞かせろという。
 ポップの考えは、別に難しい策じゃない。

 自分達を盾に、ダイを反撃に専念させてやりたかった。――それが過去形になったのは、それが甘い考えだと気付いたからだ。今のままでは、盾替わりになることさえできそうもない。
 その上、バーンはとどめとばかりにカラミティウォールを放とうとする。

 『瞳』が巻き添えになると知りつつ、バーンは早さを遅めにして彼らに痛みを味あわせようとカラミティウォールを放った。
 『瞳』の中で、怯えるチウ。じりじりと動く魔力の壁に、バーンの高笑いがかぶさる。


 が、ポップは絶対に諦めないと立ち上がった。これを凌ぎ、もう一度扇を使わせることを考えているポップに、ヒムやラーハルトは目を見張る。
 三人がかりでも崩せない天地魔闘の構え――だが、最強の扇を放った瞬間こそ、最大の隙ができるとポップは睨んでいる。

 その結論はダイと同じものだった。
 だが、ダイは一人では確実に死ぬと分かっていたから、実行しなかった。全部の攻撃を自分で受けてでも、ダイのとどめのチャンスを作るといいきるポップ。
 それが夢のまた夢みたいな話だとは充分に分かっているはずなのに、それでもポップは諦めない。

 まずはカラミティウォールを凌いで、バーンをその気にさせること……それ自体がもうすでに大博打だ。
 迫ってくる魔法の壁を前に身構えるポップの横をすり抜け、ヒムが果敢にカラミティウォールを食い止めようとする。

 ヒムは、ポップの無謀な博打に乗る覚悟を決めたのだ。結果を見られないのは承知の上で……。
 そして、ラーハルトもよろめきながらも立ち上がる。

「……はじめて…おまえを尊敬した。……だが、おまえごときにダイ様への献身で負けるわけにはいかない…!
 …もはや…目が見えん……! バーンはどっちだ?!」

 無理やりカラミティウォールを破ったヒムとラーハルトは、捨て身でバーンへと向かっていく。

「くれてやるぞ!! オレの生命!!」


《タイムスリップな感想》

 こーゆー燃える展開、大好きだっ。話は相変わらず進展してないけど(笑)
 しかし、ポップはどうやってバーンのカラミティウォールを凌げるつもりだったんだろ? ……ホントに、先のことを考えて行動してるんだろうか?

 それにしても、チウがちょっと心配。『瞳』の犠牲者第一号は、なんとなく彼な気がする(笑) 
 

次へ続く
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