H.8.6.24(月)No30 『絆にかけて…!』

 

 ポップの挑発に対して、興味があるからそれに乗ると余裕たっぷりのバーン。
 だが、力尽きたヒムとラーハルトは『瞳』と化し、残るはダイとポップだけ……傷ついている2人だけでは、ポップにどんな策があるにせよ、勝利は難しい。

 盾になってやることもできない自分に苛立ちを感じつつも、見つめることしかできない仲間達。
 それに比べ、同じように2人を見つめているバーンの目は好奇心によるものだった。

 ダイにはギガストラッシュを放てる体力は無く、ポップのメドローアなら弾くことができる。どちらもとどめを刺すことはできないし、それ以前にバーンの奥義を凌ぐことなどできないはず。

 それなのにどうやって、どちらが決めの一撃を食らわせるつもりなのか、バーンはそれに関心を持っているのだ。
 だが、ポップはきっぱりと言い切る。

 大魔王を倒すのは『勇者』――奥義を食らうのは自分の役目だと、ポップは片手に魔法で生み出し、片手にロン・ベルクの杖を持ってそれぞれに力を込める。
 以前、ポップの師匠であるマトリフが同時に二種類の魔法を操っているのを見て、試したのだ。

 しかし、そんなポップの苦肉の策を、バーンは笑い飛ばす。
 ポップの魔法と杖の一撃にそれなりの力があったとしても、二手……その時点で無防備となったポップはカイザーフェニックスをかわせず、後にいるダイもろとも黒焦げになるだけだ。

 せめて後何人かいれば違うと言うバーンに対して、ダイとポップは身構える。
 ダイは、ポップに全幅の信頼をおいている。

 初めはちょっと頼りないところもあったが、この戦いを最初から一緒に生き抜き、そして何度も危機を救ってくれた信頼できる仲間だ。
 ポップが隙を作ると言った以上、絶対に隙はできる――ダイはそう信じ、全力を高めることに専念していた。

「一つだけ……覚えておくといいぜ。おれ達は2人っきりじゃない」

 ポップはバーンに向かって、そう言った。
 ダイとポップ――2人で始まった冒険の旅で、色々な人達に出会い、戦い、救われてきた。誰一人欠けていても、こうしてバーンと向き合うことはできなかった。

 遠く離れていても、今、動けないとしても、おれ達は魂の絆で繋がっていると言い切るポップの言葉に、仲間達は強い感銘を受ける。
 が、バーンは冷たく言い返した。

「……前にも言った。何度も言わせるな……! 魂などでは、余は殺せんっ!!」

 ダイに後は任せると言い残し、ポップはついにバーンの懐に飛び込んだ!!
 魔法を投げ付け、杖で殴りかかろうとする  だが、呪文は止められ、杖はたやすく折られてしまった。

 そして、ポップ自身の呪文の威力を加算させたカイザーフェニックスが彼に襲いかかる! 悲嘆に暮れる仲間達――そして、バーンは予想通りと高笑う。だが、その笑いが凍り付いた。

 ニヤッと笑うポップの胸元には、シャハルの鏡――どんな呪文でも跳ね返す伝説の防具があったのだ。

「はね返せえぇっ!!」

 ポップの叫びと共に、呪文ははね返された――!!

 


《タイムスリップな感想》

 わーっ、ポップ、すごーいっ。
 しかし、いつの間にシャハルの鏡を……そういえば、前に戦った時、捨てていくのはもったいないなと思ったけれど、マァムへの告白に気を取られて忘れていたぜっ(笑)

 これでバーンの奥義は見事に破ったわけだけど、ダイの攻撃がとどめの一撃になるかな〜? …なんか、一発で死にそうな気がしないんだけど。

 そういえば、初めて着替えて以来何年もの間着続けていたポップの旅人の服も、ついにボロボロになる日がきたのか。
 はっ、そう言えば、首に掛けているはずのアバンのしるしは見当たらないけど、どこにいったんだろ?(笑)
 
 

次へ続く
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