H.8.8.26(月)No39 『瞳の中の奇跡』

 

 ノヴァやロモスの勇者達は人類滅亡を前にしながらも、必死に助かるための道を探していた。
 だが、パプニカやオーザムに行ける者は見つからない。

 リンガイアの黒の核晶はかろうじて凍らせたノヴァも、力を使い果たして動くのも難儀だ。
 だが、ノヴァは決めていた。這ってでもオーザムに行く、と。
 それが、ダイ達と出会ってから彼が学んだことだったから――。

 一方、バーンパレスでは、ダイとポップが死に物狂いでバーンにむしゃぶりついていた。戦いにすらなっていないくせに、もはや絶望を通り過ぎた状態だというのに、それでも自分に向かってくる二人にバーンは戸惑っていた。

 自分の理解を超える行動に、バーンは改めてポップの言った『人間』の感情の底知れなさに恐れを抱く。だからこそ邪険に纏わりつくダイを払いのけ、こんな挑戦は無駄だと怒鳴りつける。
 その姿には、明らかに今までにはない焦りや苛立ちがあった。

 それに対し、ダイもポップも落ち着き払っていた。
 バーンを倒して決壊を消し、柱を凍らせに行く――迷いすら見せないポップの言葉に、バーンは苛立ちをぶつけるがごとくカイザーフェニックスを放った!!

 が、ポップは身動ぎもせず、両手の指先からわずかな魔法力を放出して、炎の鳥を迎え撃った。ものの見事にカイザーフェニックスを引き裂き、蹴散らしてしまったポップにさすがのバーンも目を見張る。
 最後の最後まできて、ポップはどうやらツボをつかんだようだ。

「……やっぱ天才…だったりしてね、おれ……!!」

「…おまえは昔から天才だよっ!! ポップ!!」

 驚愕したバーンの隙をぬって、ダイが攻撃を仕掛ける。バーンは刺さったままのダイの剣を抜いて反撃しようとするが、抜くことはできない。
 ダイの剣は、自らの意思で刺さっている――バーンの3つある心臓に刺さっているその剣が有る限り、彼は左腕を元に戻せない。

 両手がそろえば、バーンが再び天地魔闘を使ってくるのは明らか。それを抑えるために、剣も戦っているのだ。
 誰一人諦めていないのなら、自分も諦めないと猛撃をかけるダイを、バーンが苛立って突き放す。

 その諦めの悪さが、バーンにとっては堪え難い不愉快さだ。ダイ達の希望を潰すため、バーンは時限装置のタイムリミットを待たずに眼下の柱に魔法力をぶつけて全てを終わらせようとする。

 なす術もなくそれを見ているしかないダイとポップ――だが、そんな彼らを見ているしかできない仲間達の焦りは、それ以上だった。
 限界を超えて戦うダイ達に何もできないことに憤り、二人を助けたいと思う心……祈るような想いを抱くレオナの胸が、輝く!!

 その時、それは起こった。
 今にも降り下ろされようとしていたバーンの顔に、手に、身体に、動けぬはずの『瞳』達が猛然と襲いかかりだした。
 有り得ない奇跡に、バーンの目は驚愕に見開かれた――!!


《タイムスリップな感想》

 うむむ、事態が進んでいる様な、悪化している様な(笑)
 それにしても、『瞳』が動きだした原因って、ゴメちゃん? それしか思い付かないけど。

 今回楽しかったのは、ダイとポップの『天才』を巡る掛け合い♪ 息がぴったりな二人のやり取りが、なんとも言えずに楽しいのだv
 
 

次へ続く
36巻に戻る
タイムスリップ日記部屋に戻る
トップに戻る

inserted by FC2 system