H.8.10.14 (月)No46 『咆哮!!』

 

 角を折り取られ、初めて悲鳴を上げるほどの苦痛を見せるバーン。その影響か、バーンの第三の瞳から光が消えた。
 驚くバーンの目に映るのは、子供の姿とは裏腹に野獣のような殺気を込めて、吠えるダイの姿だった。

 それはダイであって、ダイではない。
 バランの殺気を感じさせるダイは、猛然とバーンに殴りかかる。

「『力が正義』……!! 常にそう言っていたな……バーン!!」

 凄まじい勢いでバーンを殴りながら、ダイはこれが正義かと怒鳴る。より強い力でぶちのめされれば、それでおまえは満足なのかとダイは吠える。バーンを圧倒する力を見せながら、ダイはまるでそれに腹を立てているかのように叫んだ。

「こんなものが……っ!!
 こんなものが正義であってたまるかっ!!」

 バーンを打ちのめすダイの目には、涙すら浮かんでいた――。
 ダイにはなく、バランにあったもの……底知れぬ殺気を身に付けたダイは、今や完全無欠な存在になった。

 だが、バーンにも大魔王の意地がある。
 負ける訳にはいかないとばかりに、バーンもまた、ダイに戦いを挑む!!
 人間を遥かに超えた両者の激突に、さしものバーンパレスが砕け、壊れていく。それは地上から見てもはっきりと分かる崩壊だった。

 バーンパレスの右翼や左翼がちぎれていくのを見て、フローラ達は頭上にいるはずのみんなの安否を心配する――。
 一方、ポップ達も大変な状況に追い込まれていた。

 バーンの魔法力が断たれて、全員が『瞳』から元の姿に戻ったとはいえ、バーンパレスの心臓部に落とされた彼らは、生き物じみた不気味な空間に閉じ込められていた。
 しかも、その壁は魔法力を吸い取ってしまうらしく、閃華裂光拳すら効かない。クロコダインの怪力に任せた攻撃も、異常に高い再生能力が阻んでしまう。

 このままではダイが勝ったとしても、ポップ達は心臓部ごと地上に投げ出され、その落下の衝撃で全滅してしまう……!!
 ここまできてそんな結末など冗談じゃないと、ポップはメドローアを放つ。

 だが、魔法力自体を吸い取ってしまう相手には、さすがのメドローアも効果はない。力を使い果たしたのかポップはよろめくが、それでもまだ諦めない。
 こいつも完璧なはずがない。石に齧り付いてでもここから脱出しようと思うポップの決意の裏には、ダイへの思いがある。

 あのダイが、全てをかなぐり捨ててまで戦っているのはなんのためなのか――ポップは痛い程、その理由を知っていた。
 だからこそ、こんなところで犬死にするわけにはいかないのだ……!!

 どんどん崩れ落ちていく、バーンパレス……その中で、ダイとバーンのいつ果てるともしれない死闘が続いていた――!!


《タイムスリップな感想》

 戦いは続くっ!!
 …しかし、いままでさんざん新必殺技だの、超呪文が飛び出してきた割には、最終決戦では素手の殴りあいにおちつくとは(笑) こーゆーのを原点もどるっていうのかな?(<-明らかに違う)

 今回、もっとも印象に残ったのは、勝っているのにその事実に憤るダイの姿。……うん、確かに今までのダイの考えからすれば、あれは正義じゃないな。
 そして、ポップの脱出の決意シーンがいい!

 自分が助かりたいからじゃなく、ダイの思いを無駄にしたくないから、どうしてもここから脱出しようと考えるポップが、すっごくいいっ。
 久々に全員がそろったのも、楽しみの一つ。ここまで不利な中、どう脱出するつもりなのかワクワクものだな。
 

次へ続く
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