H.8.11.25 (月)No52 『さらば! 愛する地上よ』 |
レオナはふと、気付いた――空から落ちてくる人影に。 それを受け止めようとマァムとラーハルトが飛び出すが、その二人よりも早くポップが飛ぶ。 宙に飛び上がってダイを抱きとめたポップは、そのままもつれ合う様に落下したが、その時もポップはダイをしっかりと庇っていた。 勇者が魔王を倒したと言う朗報に、静かに感動するポップ。だが、そんな彼にダイは年相応の、心配そうな表情を浮かべて尋ねた。 大魔王さえ倒した勇者は、自分の姿が化け物になったかどうか……、友達に嫌われるのではないかと心配しているのだ。 ダイを抱き上げ、はしゃいで振り回して、勇者様の凱旋だと親しみの籠った手荒さで歓迎し、みんなに向かって突き飛ばす。 アバンに対する皮肉も含め、勇者がどこかに消えないようにしっかりダイをつかまえなさいとレオナに忠告するフローラや、アバンを冷やかすポップやクロコダイン――誰もが和やかに笑う中、レオナはそっと、不安そうに問い掛ける。 どこにも行かないよね、と。 たちまち緊張する一行の前で、ピロロを連れたキルバーンは無造作に首を付け直す。実際に彼の首が落ちるところを目撃していたアバンには、驚きも大きかった。 キルバーンとは死神のことではなく、常に彼のそばにいた小さな使い魔だった。 キルバーンの本当の主は冥竜王ヴェルザー……欲深く地上を欲する主君のために、バーンを倒す密命を負ったキルバーンは、バーンを倒したダイ達を地上の人間ごと消し去るため黒の核晶のスイッチを入れる。 とっさにレオナがヒャダルコで凍らせようとするが、マグマで動く死神人形にヒャドは通用しない。後10秒程で爆破すると予告し、キルバーンは魔界に帰ろうと死神人形からひょいと離れる。 その瞬間、弾かれた様にダイ、ポップ、マァム、アバンが動いた。 ダイとポップは力を合わせ、トベルーラで死神の身体を上空へと運ぶ。悔しがりつつ、息絶えるキルバーン。
「……ごめん……、ポップ……!!」 一瞬戸惑うポップを、ダイは力いっぱい蹴って突き飛ばした!! ダイは、親友と共に死ぬのではなく、友を庇うために命を懸けることを選んだのだ。父、バランや母、ソアラのように――ダイは、自分の使命に殉じようとしていた。 ポップの涙ながらの叫びと同時に、凄まじい爆破が起こり――それから数週間、ポップ達は世界中を探し回ったが、ダイの行方を掴むことはできなかった。 その剣の前に集まるポップ達……普通の村人風の服を着たマァムは、ダイの剣に向かい、ダイに向かって語りかける様に話しかける。同じく、村人風の服を着たポップは、墓の様で縁起が悪いとおかんむりだ。 しかし、レオナはそれがダイの墓ではなく、目印だと言い切った。 だが、今、宝玉は光っている。 だから、ダイが戻るまで自分達が世界を守っていこうと、みんなは心を決めた。いつか、ダイを見つけても、また、ダイが自分から戻ってきたとしても、美しい大地や平和な人々を見て、これが自分の守った地上だと胸を張れるように。
《タイムスリップな感想》 ……………………ダイは?
《時を越えた感想&おまけ》 連載当時は、あのラストは相当以上にショックでした。 数年経ってから、あの終わりが感動的でしかも綺麗にまとまっている上に、読み手に想像の余地が与えてくれる素晴らしいラストだと思える様になりましたが、ずいぶん長い間、ダイとポップがその後どうなったか気になって気になって、あれこれ考えまくった覚えがあります。 つーか、未だに現代進行形ですが(笑) 今から思い返せば、あの最終回こそがダイ大二次創作の活動の源だった気がします。 だからこそ、色々な分岐パターンや設定で、あれこれ書きまくっているのですが。 ところで連載当時、最終回は巻頭カラーでした! 旧コミックス37巻の表紙が最後のカラーだったのですが、呷り文句は んでもって、最終回は作者様がものすごーく切羽詰まっていた回だったようで、ジャンプにしては珍しく未完成のコマがあった回だったりしました(笑) ダイの剣を前に、ポップが『だってあいつの帰ってくる所はよ……!』と言うシーンは、ラフでした。そのページの最後のコマ、レオナのアップもラフのまま。 村人ポップだけでなく、ラストのマァムの服、アバンの服、ラーハルト、エイミさんの服は眩いまでに純白でした。 |