『大魔道士と四人の旅 1』
  

「…………」

 『それ』に対して、ポップは非常に疑わしげな視線を向けていた。それから、ゆっくりと振り向いて同じ視線をレオナへと向ける。

「……なぁ、姫さん」

 疑惑と不審があからさまに込められた低い声は、一国の王女に対して向けるにはいささか無礼さが感じられるものだったが、レオナは全く気にした様子もなく朗らかな笑顔で応じる。

「あら、なぁに、ポップ君?」

「『あら、なぁに』じゃねえよっ、これっていったい、どーゆーことなんだよっ!? 話が違うじゃねえかよっ」

 カンカンになって怒鳴りつけてくるポップに対して、レオナはあくまでも優美に小首を傾げてみせる。しかも、わざらしくも驚いてみせるという小芝居つきで、だ。

「あら、話が違うですって? そんなことないでしょう、あなたの希望通りに休暇もあげたし、旅支度だって最善のものを整えてあげたつもりなのだけど」

「いやいやっ、休暇はありがたいけど『旅支度』が余計だってんだよっ! なんなんだよ、これはっ!?」

 不満いっぱいにそう叫びながら、ポップは『これ』を指差す。
 そこには、完全武装に身を固めた脳味噌筋肉隊+1……もとい、クロコダイン、ヒム、ラーハルト、ヒュンケルの四人が突っ立っていた――。







 一週間ほど、旅行に行きたい。
 ポップがそうポロリと零したのは、それこそつい一週間ほど前の話だった――。







「旅行、ですって?」

 ポップのその言葉を聞いた途端、レオナは聞くのも忌まわしい話を聞いてしまったとばかりに露骨に顔をしかめた。その瞬間に、彼女の不機嫌度が一気に急上昇したのを、ポップは感じ取っていた。

(や、やっぱ、まずかったかな)

 危険を知らせる警戒警報が、ポップの心の中でけたたましく鳴り響く。
 だいたい、時期が悪かったとポップは思う。仕事の繁忙期には誰だって気も立つし、苛立ちやすくもなる。と言うか、連日の寝不足が続いているのも手伝って、一触即発の雰囲気すら漂っている。

 と言うよりも、書類の山を前にしている麗しの姫君の目は、すでに殺気立っていた。
 非の打ち所のない完璧な笑顔の中に、途方もない裏切りを目の当たりにした復讐鬼の眼光を浮かべ、レオナは死刑判決を告げるがごとく重々しい口調で告げる。

「つまり……ポップ君は優雅な旅行を楽しみたいがために、有給休暇を要求したいって言うのね? この、文官全員が残業しまくっても仕事が追いつかなくて睡眠時間どころか、このあたしでさえダイ君とのお茶を泣く泣く控えているこの時期に?」

「いやっ、おれっ、有給は請求してねえよっ!?」

 ぶんぶんと音がしそうな勢いで首を振りながら、ポップは取りあえず一番否定しやすい部分を訂正してみる。……そんなのは、まさに焼け石に水だと思いはしたが。

 実際、ポップの発言でレオナの機嫌が好転した様子は一切無かった。
 ついでに言うのなら、その後方ではどこかイッてしまったような目をしたマリンが「有給なんて、もう3年以上取っていないわ……」などと呟いているのがもの悲しい。

 姉の隣の机で書類と首っ引きになっているエイミはエイミで、ブツブツと小声でぼやいている。

「フフフ……、私なんかこの先10年間分の有給は完全消化済みだけど、後悔してない……してなんかいないわ、あの時、ヒュンケルを追いかけられたんだもの……!」

 自分で自分に言い聞かせるようにそう繰り返すエイミは、言葉とは裏腹にひどく辛そうな表情を浮かべている。
 が、それでもまだ、アポロよりはマシだろうか。

「有給? ははっ、生まれて初めて聞く言葉だけれど、なんだか素敵な響きのする言葉だね〜」

 などと、やけに爽やかに呟いているアポロの目は虚ろで、何を見ているのか分からない方角に向けられているのが、哀れを通り越してなんだか怖い。

 ここ数日の激務のせいで、三賢者達はずいぶんと精神的ダメージを受けているようである。いったい、上司であるレオナにどれほど過酷な労働を強いられているのかと他人事ながら同情しかけたが、そんな必要は無いかなとポップは思い返す。

 だいたい、ポップ自身もここ数日は彼らとほぼ同じ激務をこなしているのである。
 と言うよりも、確実にポップの裁いた書類数の方が多いはずだ。

 ポップが自分の割り当て分の書類を四苦八苦しつつ仕上げ、レオナの所へと赴いたら――そこは、地獄と化していた。
 普段ならば、レオナも三賢者も比較的早めに必要書類を仕上げる。むしろ、サボり癖のあるポップこそが一番書類の提出が遅くなりがちな方だ。

 しかし、今回はいつもとは逆だった。
 自分の分が早めに終わったからこそ、レオナ達が手こずっているのを見て手を貸しているというボランティア作業の真っ盛りに、なぜこんな羽目に陥ったのか、ポップの方が聞きたいぐらいだ。

 手伝ってくれたお礼を何かしてあげると言われたから、素直に一週間ほど旅に出たいと打ち明けた途端、これである。

「それに、今すぐ旅行に行きたいなんて言ってねえじゃないかよっ。これが終わったのなら、そうできたらいいなって言っただけで!」

「でも、休暇は欲しいのよね。それも、たかが旅行のために一週間も――」

 一瞬考え込むように目を閉じた後、レオナはカッと目を見開いて、身を乗り出してきた。机を挟んでいるとは言え、不意を突いた大接近に焦ってポップは咄嗟に身を引こうとする。

 が、レオナは決して逃がさないとばかりに、ポップの襟首をがっしりと捕まえた。
 その目は、完全に据わっていた。
 白くたおやかな手は、意外なぐらいの力を込めてポップを引き寄せる。

「白状なさい! 行く先は、どこなの? 魔界? それとも天界?」

「は、はぁあ? ま、魔界〜ぃ?」

 思わぬ地名をあげられ、ポップは思わず間の抜けた口調でオウム返ししてしまう。が、レオナの手は一向に緩まなかった。

「惚けたってダメよ! ポップ君、またどこか危険な所に行くつもりなんでしょう!? そんなの、絶対に賛成できないわ!!」

「いや、待てっ! 待てってば、賛成できないも何も、おれは別に魔界になんて行くつもりは――」

 興奮してわめき立てるレオナを鎮めようとポップは必死に否定したが、その説得はむしろ逆効果だった。彼女はさらに血相を変えて叫ぶ。

「じゃあ、天界なの!? そんな……人間の身で天界へ行こうだなんて、そんなの無茶もいいところじゃない!!」

「だから、ちょっと待てってっ!? つーか、天界に行きたいなんて、誰がいつ言ったんだよ!? んな、とんでもない場所になんか行く気なんか、これっぽっちもないってえの!!」

 本心から、ポップはそう叫ぶ。が、レオナはとても信じられないと言わんばかりの目つきで、ポップを見返した。

「だって、ポップ君なら大抵の場所は魔法で一瞬で行けるじゃないの。なのに、たかが旅行に一週間もかかるだなんて、よっぽど危険な所に行こうとしているとしか思えないわ」 

「んなわけあるかよっ! おれだって、ルーラで行けない場所なんて五万とあるって!! 初めて行く場所には、やっぱりそれなりの時間がかかるだけだって」

 瞬間移動呪文は、決して万能の呪文ではない。
 術者が行ったことのある場所にしか、使えない魔法だ。一度も行ったことの無い場所に旅行に行きたいのであれば、たとえ移動呪文の使い手だとて並の旅行者と同じように旅をする必要がある。

 そして、ある程度遠くに行きたいのであれば、一週間ほどの旅路は必然だ。そんな風にポップが説明すると、三賢者は素直に納得してくれた。

「まあ、それもそうですわね」

「行きは普通に旅行するとして、帰りはポップ君なら自力でルーラを使うでしょうし、まあ、それぐらいの期間ならなんとか……なるかもしれませんね」

「繁忙期は切り抜けた後としても、一週間もポップ君抜きだなんて……文官達の残業手当の限界値はいくらまでだったかしら……」

 なにやら疲れているのか、ブツブツと言いながらも三賢者は三賢者なりにポップの旅行の希望を受け入れてくれる方向に考えてくれているらしい。
 しかし、レオナだけはひたすら険しい顔をして腕を組んでいる。

「……で、ホントの所、どこに行くつもりなの?」

「だから、ちょっとした旅行だって。別に魔界にも天界にも行かないから、安心してくれよ。ただ、たまにはふらっと、旅に出てみたいな〜って思っただけだからさ」

「ふらっと、ねえ?」

 まだ疑わしげに容疑者……いや、ポップを見つめているレオナの目を見て、ポップは慌てて言い添える。

「あ、もちろん、ちゃんと一週間で帰ってくるから、絶対!」

「……本当でしょうね? もしも少しでも帰りが遅れたら、各国に要請して最大級の国際指名手配をかけるわよ!?」

 そう脅しつけるレオナの口調には、冗談とはとても思えない本気さが滲みでていた。

「よしてくれよ、姫さんが言うと冗談に聞こえないんだってば。大丈夫だって、おれ、ちゃんと戻ってくるからさぁ。
 あ、でもよ、旅行のことはダイには内緒にしといてくんない?」 

 ヘラヘラ笑いつつ、付け足すようにポップが言ったその一言に、レオナは露骨に顔をしかめる。と、その表情を見て先読みしたのか、ポップが言い訳を先に繰り出した。

「いや、おれが旅行に行くって言ったら、あいつもついてくるって言いかねないだろ? それじゃ、休暇旅行にならないしさー」

 その言い訳を信じていい物かどうか見定めるように、レオナは目を半眼にしてじいっとポップを見つめた挙げ句、言った。

「まあ、一応、筋は通っているわよね……。分かったわ、じゃあ一週間だけなら許可してあげるわ」

 ずいぶんと恩着せがましいと言おうか、本当にしぶしぶとながらも認めてはくれたので、ポップ的にはこれで問題は片づいたと思っていたのだが――。
 





「まったく、どこがおれの希望通りなんだよっ、なんだってちょっとした旅行に行くってだけなのに、こいつらまで呼びだすんだよっ!?」

 声を大にして、ポップは叫ぶ。
 そのついでに、ギロリと『こいつら』の方も睨みつけるのを忘れない。
 もっとも、ポップが睨んだところで気にした様子を見せるような殊勝さを持った奴は一人もいなかったのだが。

 そこにいるのは、実に物々しいメンバーだった。
 まず、一際目立つのは元百獣魔団軍団長こと獣王クロコダイン。
 続いて、全身銀色の金属的な光に包まれているのは、元ハドラー親衛隊の一人、兵士(ポーン)ヒム。

 さらに、その隣に突っ立っている青い肌色が特徴的な男は、元竜騎衆の一人、陸戦騎ラーハルトに他ならない。
 一目で人外と分かるこの連中は、全く悪びれた様子もなく完全武装でそこに佇んでいた。

 普段なら、彼等はパプニカにはいない。なのに、わざわざ呼び出して、しかも旅支度までさせておく辺りに、レオナの思惑が透けて見える。

(確か、以前もこんなことがあったぞ、絶対!)

 既視感(デジャヴ)にクラクラと目眩を感じつつ、ポップは怒りにも似た目を連中へと向ける。

 だが、ポップ的に一番腹が立つのは、どん尻に控えている人間の男――元魔王軍不死騎団長にして、現パプニカ王国近衛騎士隊長ヒュンケルだった。ポップにとっては兄弟子にも当たる男に的を絞り、彼を睨めあげながら食ってかかる。

「なんなんだよ、その格好はっ!? どこの秘境に冒険に行くつもりでいるんだよっ!?」

 と、ポップが叫びたくなるのも無理はない。
 目の前にいる連中ときたら武器やら鎧をきっちりと身につけているばかりではなく、背には大きな荷物を背負っている。中身までは見えないが、大きさから見て雪山登山でもするつもりなのかと言いたくなるような重装備っぷりである。

 ポップ的にはヒュンケルに叩きつけた文句のつもりだったが、素っ気ない返事が聞こえてきたのは青い半魔族からだった。

「備えあれば憂い無し、と言う諺があるからな」

(また人間の諺かっ!? なんなんだよ、こいつ、諺辞典でも読む趣味があるのかよっ!?)

 淡々とした一言にポップは少なからずムカッとしたが、今はそれを言いつのっても始まらない。

「いやっ、何に備えてやがるんだよっ、てめえはっ!? 戦争にでも行くつもりなのか!?」

 他のメンバーもそうだが、ラーハルトの準備が一番物々しい。背負った荷物からはボウガンだの山刀(マチェット)だのがはみ出ているのが見える。正直、普通の町中をうろついていたら、即座に衛兵に通報されてもおかしくない格好だ。
 しかし、ラーハルトは全く悪びれた様子もなく、平然と答える。

「おまえが行くというなら、そうするが」

「いやっ、行かねえよっ! おれが行きたいのは至って平和的な場所だっつーのっ!! 魔界にも天界にも戦場にも行かねえよっ!」

 速攻で、ポップは常識知らずの半魔族の申し出をぶった切る。せっかく平和な時代になり、平和な町で暮らしているというのに、わざわざ望んで戦地に行きたいなどとポップは欠片も思わない。

 だが、脳味噌まで筋肉で出来ていると思われる根っからの戦士達の意見は、違うようだった。

「えっ、なんだよぉ、せっかく久々に面白いことになりそうだと思って、張り切って用意してきたのによぉ〜」

 などと、いかにも残念そうにぼやいているのは、ヒムだった。武器などわざわざ持ってこなくとも、超金属製の肉体はそのままで全身武器と呼べる男だが、彼も彼なりに何やら準備してきたようだ。彼の背負う荷物からも、武器が隠しきれずにはみ出している。

「そのドタマカナズチをどこで手に入れたんだかしらねえけど、そもそもおまえにゃそんなのいらねえだろ!?」

「まあ、そりゃそうだけどよ、せっかくこの前隊長さんから貰ったんだし、一度ぐらいは使ってみたいからよぉ」

 などと、気楽に言ってのけるヒムに、ポップは脱力感を抑えきれない。
 ヒムが隊長と呼ぶのはただ一人、自称二代目獣王こと空手ネズミのチウだけだ。

 向こうっ気がやたらと強く、態度がひたすらデカくて生意気なチウだが、意外と部下達から人望が厚いのはポップも知っている。部下には気前も良く、面倒見のいい親分肌なところもあるが、こんなところで親分風を吹かせないで欲しいものである。

「……それ、チウが使った方が役に立つだろ、絶対。
 ――いや、そうじゃなくって! とにかく、おれはのんびり一人旅をしたいだけなんだから、ついてくるなって言ってるんだよっ!」

 声の限りに怒鳴り散らすと、クロコダインが意外なことを言われたとばかりの顔をする。

「そうなのか? 姫の話では、おまえが危険な場所に行くかもしれないから、護衛を頼みたいと言う話だったが」

 それを聞いた途端、ポップはくるっと首を回してレオナに恨みがましげな視線を向ける。

「ひ〜め〜さ〜んっ!? 何勝手に決めつけてくれちゃってんだよ、言っただろ、おれ、別に危険な場所に行くつもりなんてないって!」

「ええ、そう聞いたわね。行く先は教えてくれなかったけれど」

 にこやかに笑いながらも、チクリとした棘を忘れないのはさすがレオナだった。そして、彼女は一転して、楚々とした美少女に相応しい仕草でため息をつく。

「せめて、行く先でも分かっていれば心配もしないで済むのだけれど……。それに、旅では何があるか分かったものじゃないでしょう? 私なら怖いから、護衛の人にでも頼らないととても旅なんかできやしないわ」

 などと、大袈裟に震えてみせるレオナに、ポップは心の底からツッコみたかった。

(嘘つけっ! 怖いだなんて欠片も思ってねえだろっ、あんたわっ!?)

 確かに、外見はしおらしい姫君かもしれないが、レオナの本質はその名の通りの獅子王だ。
 百獣の王のごとく、凜々しくも逞しい指導者である。

 魔王軍との戦いの最中、ダイやみんなの制止を振り切って自ら最終決戦に参戦してきたこの姫君が、平和な世界での旅ごときに怯むだなんてお笑い種だ。今でさえ、目を離せばちょくちょく気球船を操ってお忍びで出掛けるようなお転婆姫が、旅が怖いなどと良く言えた物である。

 だいたい、旅慣れているポップにしてみればよっぽどの僻地にでも行かない限り、旅なんてそうそう危険なものではない。その点を強調して説得しようとしたポップだったが、その前に先手を打たれた。

「ああ、うるさいな。もういい加減、諦めろ」

 面倒くさそうに吐き捨てたのは、ラーハルトだった。

「おまえがどうこう言おうと、嫌がろうとも関係ない。オレ達は勝手についていく――それだけだ」

「な……っ」

 あまりにも傲慢で一方的な言い分に、ポップは一瞬気を呑まれる。と、そこに追い打ちをかけるかのように、ラーハルトはさらに続けて言った。

「おまえは、今回は初めての場所に行くつもりなんだろう? なら、瞬間移動呪文は使えまい。それならば、いくらでも追いかける手はある」

「ぐ……っ」

 ド正論に、ポップは返す言葉もなかった。
 ポップが今回行きたい場所は、初めて行く場所だ。いつものように、一瞬で移動することなど不可能である。だから、ポップは主に徒歩でのんびり目的地へと向かうつもりだったのだが……ポップ以上の体力と脚力を誇るこのメンバーを振り切るのは、不可能に近い。

 飛翔呪文を使って飛んでいけば引き離せるだろうが、その場合はクロコダインが厄介だ。

 クロコダインの配下であるガルーダは、飛翔能力に優れた怪物だ。ポップが空を飛んで逃げようとすれば、必ずガルーダを使って追ってくるだろう。ついでに言うのなら、その際、ラーハルト以下の三人も手をこまねいて見守ってくれるとは、到底思えない。

 空を飛ぶことはできなくとも、彼等は揃いも揃って闘気技の使い手だ。闘気を圧縮し、遠距離攻撃をすることなど容易くやってのける。

 彼等が本気で自分に攻撃してくるとは思わないが、危害を加えない程度に威嚇攻撃をしてこないとは言いきれない。それだけでも厄介だと言うのに、レオナがニヤニヤと笑いながらとどめを刺してくる。

「ね、護衛と一緒に楽しくて安全な旅に出掛けた方がいいと思うでしょう? それに、あんまりここで騒いでいると、ダイ君が気がついちゃうかもしれないわよ? それでもいいのかしら〜?」

 さすがはレオナと言うべきか、的確にポップが嫌がる点をついてくる。
 とうとう、ポップは白旗を揚げた。

「ああっ、もう、分かったよっ! こいつらを連れて行きゃ、文句はねえんだろっ!?」


 そう叫ぶポップの口調には、やけくそじみた響きが混じっていた――。                              《続く》 

 

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