風がゴウゴウとなって、すさまじく荒れ狂っている。家の穴から見える木はほぼ横に傾き、今にも折れそうだ。空から落ちてくる雨も激しくて時々穴から中に入ってきてすごく冷たい。そんな嵐の様子をずっと金色の小さな友達と眺めていたらふっと美味しそうな匂いが漂ってきた。自然と顔がほころぶ。
「おーい、ご飯じゃぞ。」
自分よりも少し背が低いじいちゃんが、机の天板に料理を置いて声をかけてきた。空飛ぶ友は嬉しそうな声を上げて、真っ先にじいちゃんの所へ向かっていく。タイミング良くお腹も鳴って、早く食べようと自分も夕ご飯がある所へ行く。
そして、皆で「いただきます」をして食事に手をつけようとして、ふと思った。
「ねぇ、じいちゃん。」
「ん?なんじゃ。」
「お外の魔物達は今、どうしているのかな?」
「わしらと同じじゃよ。」
「同じなの?」
首を傾げると、金色の彼も同じように体を傾げて高い一声を出す。じいちゃんが器用におはしを使って、木の皿の中のものをつまみ口の中に入れる。モグモグとしばらくしてから、続きを言った。
「島の皆もな、こんな嵐の日はわしらの家と同じような巣にこもって家族と一緒に過ごしておるよ。それが一番安心じゃからなぁ。」
ふーんと取りあえず返事をすると、食事を続けた。やっぱり、ご飯は温かい内に食べなきゃ。しばらく、じいちゃんの言葉をずっと頭においていたら、机にひじをついていた・・らしい。「こりゃ!」とじいちゃんのきつい叱りを受けた。何をやってんだかって、背中の羽をすくませて小さい親友も呆れている。少しムッとして思わず顔のほほを膨らませてしまった。なんだよ、呆れなくてもいいじゃないか!
ご飯も済んで、また穴から外を眺めて考えた。オレたちが、今こうやって嵐の日に皆で過ごしているのも勇者さまのおかげだよな。勇者さまだったらこんな嵐も止められて、島の皆も喜ぶのかな?・・・へへ、だったらやっぱりオレ、勇者になりたいなぁ。
「な、ゴメちゃん。憧れるよな!」
同意を求めて隣でふよふよと浮かんでいた友の方に首を向けた。誰に憧れているかは彼もよく分かっているので、体を大きく縦に振って頷いてくれた。満足してまた穴から、外の景色を覗くと少し雨と風が弱まってきたような気がした。
「早く、晴れないかな。」
それにも同意するように、空飛ぶスライムは心配気な声を出し同じように外の景色を眺めていた。
(終)
ナーさん様から頂いた、素敵SSです!
まだレオナとも会っていない頃の、勇者以前のダイの日常のお話です。ブラスじいちゃんとゴメちゃんが好きなので、この話は嬉しかったですね〜。いかにもお子様なダイと、仲良しのゴメちゃんがかわゆくてかわゆくて、萌えです! そして、注目すべきはブラスじいちゃん……ッ、なんと、お箸をつかってますよっ!! やはり、彼はただ者ではなかったようです(笑)
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