『仮題 新説クリスマス物語…トナカイの秘密!』
   

パプニカ城内は明日の聖誕祭に向けての準備に大わらわ。勿論、我らが脳味噌筋肉隊も肉体労働に駆り出されとります。流石の脳味噌筋肉隊も『なんで俺たちが?』とは思っても口に出しては突っ込みません。

『何故?』とも誰も問いただしません。だって突っ込んだ暁には我らが姫様から怒濤の口撃が待ってるから。皆の脳裏はある文章を共有しています。

だってコレ…お約束な行動だし?

人間、妙に達観しちゃう事ってありますよね?
…若干、人間じゃーナイ人も混じってますが。

「しっかし、人間っつーのは事あるごとに祭、祭なんだなー。なんなんだよ、クリスマスって」


そんな人間じゃナイその1…獣王遊撃隊12号・ヒムは手を動かしながらも一言。独り言を言いたいお年頃なんでしょうか。


「何だ。そんな事も知らんのか、貴様は」
 

そのヒムの独り言に几帳面にも相槌打ったのは、仏頂面でローストビーフと格闘する陸戦騎ラーハルト。どうやらローストビーフは敬愛するダイ様の今夜のメインディッシュらしい。いつもの5割増で真剣です。


「仕方ねーだろ!俺、生まれて3年位だぜ。
で、テメェは知ってんのか?クリスマスが何の祭か?」


「ああ、サンタクロースがトナカイでの初飛行に成功した日の事だな。」


その瞬間…厨房の時が止まった。←ぱるぷんて炸裂


「ト…トナカイ?」
 

「何だ、知らんのか?哺乳綱偶蹄目シカ科トナカイ属に分類されるシカで主にマルノーラ大陸北部地帯に生息し群れを形成し、季節によって大規模な移動を行う。草食性の強い雑食性で夏は草や葉、レミング等の小動物を食べ、冬は角や蹄で雪を掻き分けて下に生えた地衣類等を食べる。繁殖形態は胎生で、年に1回、1匹の幼体を出産する。」
 

「無駄に詳しいのな、お前…。でも俺が聞きたいのは…」
 

「で。かつて大賢者と謳われたサンタクロースはトナカイの角はその形状から揚力を得られ、なおかつ跳躍力が極めて強いという点に着目し、失われた進化の秘宝を用いてトナカイに飛行能力を付随しマルノーラ大陸からホルキア大陸までの長距離飛行を成功させた。クリスマスとはその偉大なる功績を称える祭だ。」

   何処までも真面目に答えるラーハルトに、なるほど…と素直に納得するヒムに対して

『や、それ…まるっきり嘘八百だから!』

 と、突っ込める強心臓の持ち主は現在、姫様に拉致られベンガーナデパートにて荷物番兼馬車代わり。残念ながらこの場にはいなかった…。


「…て、サンタクロースって、スゲェんだなぁ!隊長さん!」


無邪気にラーハルトから聞いたクリスマス逸話を話すヒムに冷汗を垂らすのは元祖獣王クロコダインと二代目獣王チウの凸凹コンビ。
 

「ヒ…ヒム、お主…」


「ヒムちゃん、そろそろ疑うって事…覚えようよ…(涙)」


あ。ヒムちゃんの毛…逆立った。うむ、ここまで来るとスタンダップよかスタンディング・オベーション(総毛立ち)だな。とか、軽く現実逃避しながらも新旧獣王コンビはこれから起こるであろう騒動を思い、深い溜息を洩らすのだった。合掌。
翌日♪

「テンメェーーーッッ!よくも騙しゃがったな、コン畜生ッ!!」


「あれを信じる方がどうかしてると思うが?」


アバンの使徒が見守る中…無駄に元気良く口喧嘩を始める脳味噌筋肉隊2号3号(1号は勿論ヒュンケルさん)。段々口調と共に鬪気までもがヒートアップ。今にも死合いが展開されん勢いです。

「テメェ喧嘩売ってんのか?」
 

「安心しろ…今なら90%offだ」
 

「「「「安ッ!てか、やっす!!」」」」
 

「よし!買った!」
 

「「「「しかも買ったしッッ!!!!」」」」
 

そんなこんなで始まった喧嘩と言う名の暴風雨やに、ゲンナリとした表情を浮かべるはパプニカ王女レオナと、彼女の買い物から開放され帰城したばかりのポップその人だったりする。


「ちょっと!こんなくだらない理由で城が倒壊なんて、冗談じゃないわよ!」


「おい、ヒュンケル…。双方の友人代表としてオメーが止めてこい…」


「…うむ。俺もラーハルトには問いただしたいと思ってた所だ」


「「バカが此処にもいたーーーッッ!?」」←ハモり


「ってか!何、お前!?お前まで信じてたんか!?バ…止めろ!行くな!これ以上被害拡大させられっか!うがーーー!助けてアバンせんせぇ〜〜〜ッッ!!!!」

ちゅどーん!しばばーん!という激しい破壊音の中…ポップの魂のシャウトが木霊した。合掌。  
 


 じゃじゃ丸様より頂いた、素敵(笑)クリスマス話ですっvv わあいっ、拍手コメントでちらっと聞いただけでも笑えたトナカイ話が、まさかこんなに大笑いな生き生き展開のお話に化けるとはっ。ああ、こんな思いがけない素敵プレゼントに恵まれるとは、つくづくサイトをやりはじめてよかったっ♪


 なんといってもこのお話の肝は、すんばらしいトナカイ語りでしょう! こ、こんなクリスマス起源説は初耳ですよ、ご幼少時に実際にご父君から聞かされた説と聞きましたが、すごい発想と語りテクニックですよっ! うわ〜、こんな話を最初に聞いたら、信じてしまいそう(笑)


 残念ながら題がなかったので、めちゃくちゃセンスなくて適当な仮題を当てさせてしまって申し訳ないです〜。
 ヒムとラーハルト、さらにヒュン兄さんで結成された脳味噌筋肉帯が活躍し、ポップのキレっぷりも楽しいお話をどうもありがとうございましたっvvv
 
 

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