『親友2人に20の質問』
 

  

[ーー] ようこそいらっしゃいました。お2人とも、今日はよろしくお願いします。

ダイ「はーい、よろしくおねがいしまーす!」

ポップ「よろしくお願いしゃーす」

  


[01] お名前をひとりずつお願いします。

ダイ「ダイだよ。年は12才ぐらい!」

ポップ「何だよ、そのぐらいってのは」

ダイ「だって、じいちゃんがそう言ったんだもん。12年ぐらい前の春に、おれが島に流れてきたって」

ポップ「椰子の実みたいなこというなよ!
 あ、おれはポップ。年は15」




[02] お2人の関係と、出会いを教えてください。

ダイ「えっとね、会ったのはデルムリン島! 先生が勇者の家庭教師で、先生の弟子がポップだったんだ!」

ポップ「その説明で分かる奴いるのか?
 あー、つまり、おれとこいつは同じ先生に教えを受けた兄弟弟子ってわけ。で、初めて会ったデルムリン島ってのは、絶海の孤島だったよ。未来の勇者候補の教育を頼まれた先生がデルムリン島を訪れたんだけど、その時、おれも一緒に行って、こいつに出会ったってわけ」




[03] お2人はいつごろから親友なのでしょうか?

(顔を見合わせて)

ポップ「そういや……いつから、だっけ?」

ダイ「さあ? でも、おれ、ポップのこと親友だって思ってるよ!」

ポップ「(照れて)……ま、まあ、おれもそうだけどさ」




[04] 初めて出会った時の第一印象は、お互いどう言うものでしたか?

ポップ「チビだなって思った」

ダイ「あー、ポップ、そんなこと思ってたの!?」

ポップ「だって、実際、おまえチビだったじゃねえかよ。で、おまえは?」

ダイ「毒のないバブルスライムみたいだって思った」

ポップ「はぁっ!? なんだよ、それっ」

ダイ「だって、そう見えたんだもん」

ポップ「ふざけんなっ、だいたいバブルスライムみたいって言われて喜ぶ奴がいると思うのか!?」

ダイ「じゃあ、ライムスライム」

ポップ「だから、人を怪物に例えるのはやめいっ。それに、服しか見てねえのか、てめえはっ」

ダイ「ううん、そんなことないよ! 色もそうだけど、感じもなんか似てるもん」

ポップ「だからスライムに似てるって言われても嬉しくねえんだよっ」

ダイ「え、そうなの? でも、スライムって誰からでも好かれるし、元気で良く動くし、人懐っこいのになぁ〜」




[05] 1番始めに相手のことを尊敬した、もしくはいい人だなと思ったことはどんなことですか?

ダイ「あのね、ポップ、すっごい魔法を使えるんだよ! ガーゴイルを丸焼きにしちゃったり、波を凍らせちゃったり、すごかった!
 それにね、おれが修行で疲れて寝ちゃったら家まで運んでくれたし、ケガの手当てもしてくれたんだ!!」

ポップ「尊敬……ってえのとはちょっと違う気がするけど、こいつ、先生の修行を受け始めたばかりの時、いきなりものすごい剣技を見せたんだ。
 見た目よりやるな、って思った」




[06] 相手の長所と短所を教えてください。

ポップ「無茶。考えなし。いきなり敵に突っ込んでいくな」

ダイ「って、ポップ、それ、悪口ばっかりじゃないか〜っ」

ポップ「悪口じゃねえよ、短所を言っただけだろ」

ダイ「たんしょって、何?」

ポップ「そっからかよ!! 短所ってのはそいつの欠点、つまり悪いところのことを言うんだよ! 長所ってのはその逆で、いいところ。分かったか?」

ダイ「たんしょ、が悪いところで、ちょうしょ、がいいところなんだね。えっと、えっと(真剣に悩んでいる)
 あっ、そうだっ! ポップのちょうしょは、好き嫌いがおおいとこ!」

ポップ「はあ? なんだよ、それ。好き嫌い多いって、普通、短所じゃねえの?」

ダイ「ううん、ちょうしょだよ。だって、ポップ、嫌いだっていうおかず、おれに分けてくれるじゃないか!」

ポップ「…………この紙一重スレスレの馬鹿さ加減は、いっそ長所って言った方がいいのか?」




[07] ケンカをすることはありますか?

ダイ「ないよ!」

ポップ「そういや、なかったよな。だって、こいつ、おれが文句言ったり、殴ったりしても怒ったりしねえんだよなー。
 おまえ、よく腹を立てねえよな」

ダイ「だって、ポップに殴られても痛くないもん」

ポップ「なんだよ、その言い草はっ!? 人をバカにしてんのか!?」

ダイ「まさか、してないよ。
 それに文句言う時のポップって、元気で、表情とかも色々変わって面白いし、おれ、好きだよ」

ポップ(呆れて)「これを本気で言えるところが、すごいんだよな、こいつって」


[08] 相手に何かがあった時、真っ先に駆けつける自信はありますか?

ダイ「うんっ! おれ、ポップを二度と死なせたりしないよ、絶対!!」

ポップ「いや、おれも別に死ぬ気はねえけどよ。でも、おまえならホントに来そうな気がするな」

ダイ「うん、がんばるよ! でも、ポップはがんばらなくていいよ」

ポップ「なんだよ、そりゃ? 人のこと、バカにしてんのか?」

ダイ「まさか、そんなことないよ! でも、おれ、ポップに無茶してほくないから……っ」

 必死になって訴える小さな勇者に対して、ポップは頭をくしゃっと撫でてやります。

ポップ「バーカ、余分な心配なんかしてるんじゃないって。おれはおまえに心配してもらうほど、ヤワじゃねえっつうの。
 そんでもっていざって時は、おれが絶対、おめえの所へ行ってやるって!」




[09] お互い、言いたいことは全て言い尽くしている?

ポップ「まあな。今更、遠慮するような間柄じゃねえし」

ダイ「うん、言ってるけど、時々ポップに止められる時があるよ」

ポップ「へ? おれがいつ?」

ダイ「えっとね、マァムがお風呂入っている時にのぞこうとしたのとか、ぱふぱふの話とか、レオナにポップがマァムを好きだって話をした時とか、ポップが一回死んじゃった時の話とかマァムにしようとした時とか、後ね――」

ポップ「やめんかいっ!! 余計なことばっかり、チクッってんじゃねえっ」

ダイ「って、こんな風に止められるんだー」




[10] お互いの「喜怒哀楽」の表情は全てみましたか?

ポップ「一通りは見てるよ」

ダイ「うん、見てるね」

ポップ「こいつの場合、喜と楽の表情が多いよな。いっつも元気に笑ってるし」

ダイ「それはポップもじゃないか。あ、でもポップ、怒っている時も多いよね」

ポップ「なんだよ、おれがいつ怒ったよ!?」

ダイ「あ、ほら、今、怒ってるじゃないか」




[11] お2人にまつわる思い出があれば聞かせてください。

ポップ「思い出って言っても、なんか……色々ありすぎてかえって言いにくいよな」

ダイ「そうだね、ポップとは一番最初から一緒だったし。えっと、そうだ、魔の森で初めてクロコダインと会った時、ポップ、一人で逃げちゃったよね!?」

ポップ「だぁあああっ、なぜよりによってそこを思い出すんだッ!? もっと、他のとこいけっ!」

ダイ「ええっ、他の? えっと、えっと、じゃ、その前、森で迷子になった時とか、マァムのおっぱいに触って怒られたこととか?」

ポップ「ふざけんなっ、ロクでもねえことばっか覚えてんじゃねえよっ! もういいわいっ!」




[12] お2人は普段、どこで何をしてることが多いですか?

ダイ「魔王軍と戦ってるよ!」

ポップ「事実だけどそんな日常、嫌すぎだろ。って言うか、確かに魔王軍と戦ってはいるけどさ、それ以外のことしている日だって多いじゃねえか」

ダイ「あ、そうか、戦いって毎日じゃないもんね。でも、それ以外の日は修行したりすることが多いし、あんま変わらないんじゃないかな?」

ポップ「旅をする時間というか、移動時間も結構多いよな。ルーラを覚えてからは、ずいぶん楽にはなったけどさ」




[13] 2人で何をしている時が一番楽しいですか?

ダイ「ごはん食べてる時!」

ポップ「言うと思ったけど、他にないのかっ!?」

ダイ「いっぱいあるよ! 一緒に散歩したりとかも楽しいし、寝る時にお話を聞かせてもらうのも好きだし、寝る時だけじゃなくってポップと話すのって面白くて、おれ、すっごく好きだよ。
 だから、もっと一緒にいたいんだけどな」
 
ポップ「何言ってるんだよ、十分すぎるぐらい一緒にいるだろ?」

ダイ「でも、修行の時は別々じゃないか」

ポップ「そりゃあ、しょうがねえだろ。おれは魔法使いで、おまえは勇者なんだからよ。同じ修行なんかできねえし、したって意味がねえだろ」

ダイ「それはそうだけどさぁ……でも、もっと一緒に遊んだりする時間もあるといいなって思うんだ」

ポップ「……そんなのは、大魔王を倒してからならいくらだってとれるだろ」

ダイ(パッと顔を輝かせて)「そっか、そうだよね!」




[14] 昔と今で変わった所はありますか?

ポップ「昔って言うか、ほんの少し前に会ったばっかだけどさ、こいつ、すっげー成長が早いんだ。絶対かなわないような敵にも、いつだって勝っちまうしよ」

ダイ「それをいうなら、ポップだってどんどんすごい魔法を覚えてるじゃないか」

ポップ「へへっ、まーな。でもよ、おまえの成長速度って並じゃねえからなぁ〜。背は、まだまだおれより低いけどよ」

ダイ「あー、そんなこという? おれ、ちゃんと背ェ伸びてるよ! レオナだって、そう言ってたし」

ポップ「でも、おまえ、姫さんより背が低いじゃねえか」

ダイ「う、うう〜っ、そのうち、うんと伸びてレオナやポップよりおっきくなるよ!」




[15] 「本当に親友なの?」と、相手を疑いそうになったことはありますか?

ダイ(きっぱり)「ないよ」

ポップ「えっ、ねえの!?」

ダイ「なんでポップが驚くんだよ?」

ポップ「だって、自分で言うのもなんだけどよ、おれ、最初の頃よくおまえのこと置き去りにして逃げてたじゃねえかよ」

ダイ「でも、ポップ、いつだって戻ってきてくれたじゃないか」

ポップ「いや、それはそうだけどよ……でも、ふつー、そう言うのって、あんまいい気分がしねえものじゃね?」

ダイ(首を傾げて)「そうなの? おれ、別にやな気分じゃないけど。だって、ポップはいつだっておれを助けてくれるもん!」

ポップ「……」

 無言ですが、照れているのかポップは顔を少しばかり赤らめてそっぽを向いています。




[16] お2人の武勇伝をひとつお願いします。

ポップ「そりゃあ、魔王軍との戦い! ……と言いたいところだけど、おれはこいつとの旅立ちを押すよ。
 こいつってば、大魔王と戦おうって言うのに小舟で海へ乗り出していったんだぜ! しかも、大魔王がどこにいるかもぜんっぜん知らないのによ!」

ダイ「だ、だって、知らなかったからしょうがないじゃないか。ハドラーも教えてくれなかったし」

ポップ「アホか、おまえはっ!? どこの世界にご丁寧にもここにいますよなんて、住処を教えて招待してくれる魔王がいるってんだっ!?
 だいたい、旅に出るなら地図ぐらい持参しやがれっ、海の上でおまえの手書きのいい加減な地図を見た時は、絶望したぜ……!」

ダイ「あはは、あの時のポップ、スライムみたいに真っ青になってたよね」

ポップ「青くもなるわっ! 幼稚園児の落書きみたいな、適当な地図を頼りに旅立ちやがって……ッ。無謀にも程があるんだよっ、あの時は心底、後悔したよな〜、なんだってこんな奴と一緒に来ちまったのかって」

ダイ(ニコニコして)「でも、ポップ、一緒に来てくれたじゃないか」

ポップ「バカか、おまえは!? 船に乗っちまって、降りられるわけねえだろ、あの時は海のど真ん中だったんだぞっ」

ダイ(やはりニコニコして)「でも、船を下りた後も、ずっと一緒にいてくれたし、今だってそうだよね♪」




[17] 周りに自分たちはどう思われていると思いますか?

ポップ「そりゃあ、親友同士だろ」

ダイ「うん、レオナやマァムもそう言ってたしね」




[18] 「親友」と言う文字の他に自分たちを表すとしたら、どんな文字が似合いそうですか?

ダイ「えっ、文字!? え、えっと……えっと〜」

ポップ「まずは読み書きの勉強からやり直せ、おまえは」




[19] これから先もずっと親友でい続けられそうですか?

ダイ「うん、もちろん!」

ポップ「まっ、しゃあねえから、付き合ってやるよ」




[20] 最後に、お2人でメッセージを交わしてください。

ダイ「おれ、絶対にバーンを倒して、島のみんなや他の人達が安心して暮らせるようにしたいんだ!」

ポップ「おれは魔王と戦いのなんて願い下げだけどな。……でもまあ、こいつがやるっていうのなら、行くさ。
 こうなったら、乗りかかった船だ」

 ポップの答えを聞いて、ダイはこの上なく嬉しそうに笑いました。

ダイ「ありがと、ポップ! 絶対、絶対、勝とうね!」




[ーー] お疲れ様でした。

 世界を救うために戦う小さな勇者と彼の魔法使い……深い友情に結ばれていると思えたこの二人は、その後、仲間達と共に大魔王との戦いに挑みました。

 そして――勇者だけは、地上には帰ってくることはありませんでした。
 大魔王との戦いの直後、勇者ダイは行方不明になったと世界に広く通知されました――。
 
  

 


 ◇記念部屋に戻る
トップに戻る

inserted by FC2 system