『女の子だけの座談会』 |
レオナ「私は、レオナ=リュスティーン=ド=パプニカ。パプニカ王女よ♪ 年齢は16才なの」 マァム「マァムよ。18才になったわ。今のところ、カール王国自治領で領主をやらせてもらっているわ。でも、ほとんど叔父様任せだけどね」 メルル「あの……私は、メルローズ=マリー=ド=テラン……、一応、テラン王女です。でも、元々、ただの占い師なのでメルルと呼んで下さい。年は、17才です」 [01] 今日のテーマは「女の子だけの座談会」ですが、皆さんは家事は好きですか? マァム「えっ、……うーん、普通にやる方だと思うけど、好きって言うほどではないわよね。家だと母さんにやってもらうことが多いし。 メルル「私も似たようなものです。 レオナ「何言っちゃってるのよ、メルル! それって謙遜もいいところじゃない、メルルの料理はすっごく美味しいって皆が噂していたんだから! それに、ポップが前に自慢していたわよ、服を繕ってもらったことがあるって。 メルル「(顔を赤らめて)ほ、本当ですか? ……嬉しいです」 [02] 髪型や洋服には気を使っていますか? レオナ「もちろんよ! 寝る前と毎朝のブラッシングは欠かせないわ! シャンプーやリンスはもちろん、トリートメントもばっちりよ。ロングのストレートって、意外と手間がかかるんだから!」 マァム(心底驚いた様子で)「え、そうなの?」 レオナ「そうなのって、こんなの、女の子なら常識よ。特にあたしの髪って細いから縺れやすいし、放っておくと変な癖がついちゃうんだもの。 メルル「そ、そんな……私の髪なんて、地味だし……。私は姫様やマァムさんのような、明るい髪の色の方が素敵だと思いますわ。なんていうか、華やぐ感じがあって、すごく、憧れます」 レオナ「その言葉は嬉しいけど、メルルの髪ってまさにカラスの濡れ羽色って感じじゃない? 黒くてつやつやしてて、すごく綺麗よ。 メルル「私は……と言うより、テランではとある薬草を使うことが多いんです。後、やはり植物性の油を櫛に塗り込めて梳かして艶をだすんですよ」 レオナ「へええ、あたしも一度試してみようかしら。ね、マァムは何を使っているの?」 マァム「何って石鹸よ、普通の」 レオナ&メルル「「え……っ」」 [03] 言葉遣いはどうでしょうか。 汚い・乱暴な言葉は使っていませんか? マァム「基本的にそのつもりだけど」 レオナ「あたしもだけど……時々、ちょーっと悩んじゃう時はあるのよね。いつか、ダイ君に『お姫様がぶんなぐっちゃえなんて、ちょっとはしたない』とか言われちゃった時は、ショックだったわ! マァム「それ、すっごく分かるわ! 私だって、別に乱暴なことを言ったり、やったりするつもりなんかないのよ!? でも、いつだってポップが余計なことを言ってからかってきたり、やったりするから、つい……!」 レオナ「それ、すっごく分かるわ! ポップ君のあの口の悪さって、問題よね!! つい釣られちゃうわよ、絶対!」 などと、わいわい盛り上がっている二人の少女を黒髪の占い師はどこか寂しげに見つめています。 メルル(羨ましいです。私には……そんな風にポップさんと近い距離で言い合える勇気なんてないから……) [04] この中で1番女性らしいのはどなただと思いますか? マァム(即答)「メルルね」 レオナ(即答)「同感。女らしいと言えば、やっぱりメルルだと思うわ。しおらしげで、大人しくって、物静かで、これぞ理想の女の子って感じだもの」 メルル「そ、そんな……っ、私なんか」 マァム「だめよ、『私なんか』なんて、言わないで。メルルの女の子らしさは、私にとっては憧れなんだから。 レオナ「そんなことないんじゃない? 女の子らしさなんて、半分以上は演出力よ! せっかく平和になったことだし、たまにはイメチェンを計ってみるのもいいんじゃない? 協力するわよ!」 マァム「いいわよ、そんなの。似合いっこないし、どうせ意味ないわよ。そんなことしたってポップ辺りに『へー、おまえがそんな格好をするなんて、明日は雨か雪かなぁ?』なんてからかわれるだけですもの」 レオナ(含み笑いをしつつ)「あーら、そんなことないんじゃない? あたしは……そうね、あの鈍感魔法使い君があんぐりと口を開けて、ぼーっと見とれる方に一票かな」 メルル「そ、そうですよね、私もそう思います」 マァム『えー、そんなことないわよ、絶対、あいつに限って」 レオナ「いーえ、アリだと思うけどね、あたしは」 賑やかに言い合う二人の少女に対して笑顔で慎ましく頷きながら、メルルはふと表情をわずかに曇らせます。 メルル(意識してらっしゃらなくても……おしゃれをした時、マァムさんが真っ先に見せたい相手は、やっぱりポップさんなんですね……) [05] では、姉御肌なのは? マァム「レオナじゃない?」 レオナ「あら、あたしはマァムだと思うんだけど。 マァム「でも、緊急時に本当に強いのは、レオナの方じゃない。大戦中に各国の王様達と連絡を取り合って、テキパキと指示を飛ばしていたのはあなただったじゃない。 メルル「ええ、それは私も思っていました。人の上に立つべき人というのは、最初から普通の人間とは違うのだと……そう思いました」 [06] キレイになるための努力はそれぞれしていますか?
マァム「その面倒くさいって言ってるのって、ポップでしょ。 レオナ「それじゃあ、つまらないじゃない! やっぱり買い物の醍醐味と言えば、バーゲンでしょ? 自分の目であれこれ選んで、買うのが楽しいんじゃないの! メルル「えっ!? そ、その……、私はあまり、服を買ったりしない方ですし……」 レオナ「えーっ、そんなの勿体ないわよ! メルルに似合いそうな服も、ベンガーナでは割と売っているのに……あっ、そうだ、今度、みんなで一緒に買い物に行かない? マァム「でも、私、今のところ服には困っていないんだけれど。領主になってから、勝手に洋服を作ってもらうようになったし」 メルル「私もです。王女としての公式衣装をいつも作って頂いているのに、これ以上、服を買ってもらうのは、なんだか気が引けて……」 レオナ「もうっ、二人ともそれだけで満足してどうするのよ!? もっと積極的に、おしゃれを楽しまなくっちゃ! キレイになるためには、努力あるのみなんだからね!」 マァム「なんだか、インタビューの趣旨が変わっている気がするんだけど(ため息をついて)分かったわ、付き合うわよ。レオナってば、言い出すときかないんだから」 メルル「ええ、じゃあ、ご一緒させていただきます」 レオナ「やったぁ、約束よ♪」 [07] こうなりたいと思う「女性像」がありましたら教えてください。 レオナ「理想と言えば、カール王国のフローラ様ね。あの方には昔から憧れていたの……実際にお会いしてからは、ますます憧れる気持ちが強まったわ」 メルル「そうおっしゃる気持ちが、分かる気がします。フローラ様は本当に素敵な方ですもの」 レオナ「あら、メルルもフローラ様が理想像なの?」 メルル「そんな、滅相もないですわ! ああなりたいだなんて、あまりにも恐れ多いし、遠い方ですもの」 レオナ「じゃあ、メルルの理想の女性像ってどんな人なの?」 メルル(ためらってから)「……小さな頃の話ですが、テランを訪れたジプシーの占い師の女性に憧れたことがあります。 マァム「素敵な話ね。私も会ってみたいな」 メルル「それは難しいと思いますよ、もうずいぶん昔の話ですし、それにテランにそのジプシーの一座が来たのは一度きりでしたから……。 レオナ「それは残念ね、あたしも会ってみたかったのに。 マァム「私は……うーん、やっぱり母さんかしら? [08] それぞれを漢字一文字で表すとどうなりますか?
レオナ「あっ、それはずるいわ、あたしもマァムのイメージは『凜』かなーって思っていたのに。 マァム「ちょっと、それじゃ髪の色だけじゃないの。まあ、いいけど。 メルル(照れて)「……ありがとうございます。 レオナ「あっ、マァムのイメージだと『陽』っての分かるわ。マァムって、どこかダイ君のイメージに似ているところがあるのよね。 [09] 「女性に生まれてよかった」と思うことをひとりずつお願いします。 レオナ(ニヤニヤと含み笑いをしつつ)「あ〜ら、これってすっごく答えが分かりきった質問だと思わない?」 マァム(きょとんとして)「そうかしら?」 レオナ「そうよ、決まっているじゃない。『誰かさん』と出会えたこと! ね、そうは思わない、メルル?」 意味ありげなウインクに、メルルは頬を真っ赤に染めます。 レオナ「あたしはデルムリン島で大サソリに襲われた時だったかな……、メルルはベンガーナデパートで? それとも、ドラゴン戦の時かしら?」 メルル「……」(何も言えず、真っ赤な顔のまま) レオナ「今更、隠すことないじゃない? あ、テランでの戦いがきっかけとか?」 などと盛り上がるレオナに対し、マァムは不思議そうな顔で呟きます。 マァム「戦いの中なのに、女に生まれてよかったと思えるの、二人とも。私は、戦いの最中にそんなことを思える余裕なんかなかったけど」 レオナ&メルル「「………………」」 マァム「どうしたの、二人とも?」 レオナ(ため息交じりに)「マァム……あなたって、本当〜に女の子としては規格外って言うか、問題アリよ!」 [10] では、今日のテーマ「女の子だけの座談会」のまとめをお願いします。 レオナ「めったに出来ない女子会みたいな感じで、楽しかったわ」 マァム「そうね、この三人だけで顔を合わせることってなかなかないもの」 メルル「ええ、とっても楽しかったです」 [−−] お疲れ様でした。 マァム「楽しそうね! みんなでお茶なんて、久しぶりだし」 メルル「それは嬉しいのですが、でも……お仕事のお邪魔になりませんか?」 レオナ「そーんなの、気にすること無いわよ! っていうか、ポップ君辺りはむしろサボる口実が出来たなんて大喜びするんじゃない? 息抜きも大事だしね」 などと、女の子達は楽しげにはしゃぎながら、仲良く笑いあいながら去っていきました。 |