『男の子だけの座談会2』
 

[−−] 座談会を始める前に、まず今日の出席者を確認します。ひとりずつ自己紹介をどうぞ。

ノヴァ「あ、はい。ボクはノヴァ……以前は北の勇者と呼んでくれる人達もいたけれど、その名はボクにとっては少し荷が重かったというか……まあ、その名は、今は名乗らないようにしているよ。
 今の肩書きは、リンガイア王国将軍。まあ、将軍とは言っても最年少であまり権限もないんだけどね」

ポップ「長っ。こんなの、適当でいいんだろ? おれはポップ! パプニカ王国宮廷魔道士見習い!!」

ヒュンケル「おい。だんだん、自己紹介が雑になってきていないか?」

ポップ「いいだろ、別に。それよりてめえもさっさと言えよ。おれ、早く終わらせたいんだからよー」

ヒュンケル「ヒュンケル。パプニカ王国近衛兵隊長だ」

ポップ「てめえだって、人のこと言えないぶっきらぼうさだろう、よくそれで人に文句を言えるな!!
 で、ダイ、おまえも言えよ

ダイ「はーい、ダイです! 勇者だけど、今は何にもしてないよ!」

ノヴァ「ちょ、ちょっと、ダイ君、いくらなんでもその自己紹介はあんまりじゃないかい?」

ダイ「えー、でも、おれ、ポップやレオナみたいに仕事とかしてないし」

ノヴァ「いや、だからって、もう少し言い方って言う物が……」

ダイ「そーかな? じゃあ、えっとね……あ、そうだ! おれ、『いそうろう』なんだって」 

ノヴァ「勇者なのにっ!? っていうか、それ、誰に言われたんだい!?」

ダイ「ポップだよ!」

ノヴァ「(頭を抱え込んで)……ポップ、もう少し言葉を選んだらどうなんだ!?」




[01] 今日のテーマは「男の子だけの座談会」ですが、普段、男性だけで集まる時はどんな時ですか?

ダイ「(元気よく)戦いの時!」

ポップ「いや、それは除けよっ!! 何が悲しくて、平和になった今も戦いの時限定なんだよ!?」

ヒュンケル「だが、実際、そのパターンが多いだろう。公開大演習や国同士の大がかりな怪物討伐隊の遠征の時でも無いと、なかなかこのメンバーは揃わないからな」

ポップ「んな物騒なとき限定にしなくても、姫さんが好きなパーティだのお茶会があるだろ!!」

ヒュンケル「だが、それだとノヴァがいないことが多いだろう。
 オレとダイとおまえならばまだ同国にいるから顔を合わせる機会もあるが、ノヴァはリンガイアの将軍だからな」

ダイ「そっか、ノヴァも忙しいんだね。おれ、たまにはノヴァと剣の稽古とかしたいんだけど」

ノヴァ「え……(微妙に目を逸らしつつ)あ、ああ、うん、残念だけど、何かと忙しくてね」

ポップ「騙されんなよ、ダイ。(ノヴァを指さしつつ)こいつ、ぜってー言ってる程にゃ忙しくねえよ」

ノヴァ「し、失敬だな、君は!! なんの根拠があってそんなことを言い切れるんだ!?」

ポップ「だってリンガイア将軍とか言いながら、おまえってば毎週のようにロン・ベルクの家に帰っているじゃねえかよ!? 母さんから、そう聞いたぜ。  それにおれがランカークスに帰る時だって、絶対に顔を合わせてるじゃねえか!」

ノヴァ「い、いいだろ、ボクが休みの日に何をしたって、勝手じゃないか!! だいたいそれを言うなら、ポップこそめったに実家に帰ってこない癖に!!」

ポップ「それこそ、おれの勝手だろ−、そんなこと! おれは休みの日ぐらい、ゆっくり寝ていたいんだよ!!」

ノヴァ「(呆れて)うわ、何をおっさんくさいことを……。それ、威張って言えることじゃないからね!?」




[02] 体力に自信はありますか? また、力仕事は得意ですか?

ダイ「体力なら、自信あるよ! 力仕事も任せて!」

ヒュンケル「まあ、無いとは言わないな。さすがにクロコダインには及ばないが、力仕事に関してはそこそこは役に立てるつもりだ」

ノヴァ「この二人にそう言われるとなんだか言いにくいんだけれど。ボクもまあ、人並み程度……いや、それ以上は、力はあるつもりだよ」


 三人が立て続けに自己申告した後で、残る一人に答えを促すがごとく注目が集まります。


ポップ「……なっ、なんだよ、その目はっ!? だいたい、魔法使いに体力や力仕事なんか必要ねえしっ」

ヒュンケル「だが、……おまえはもう少しは体力をつけた方がいいんじゃないのか?」

ノヴァ「あ、それはボクも同感」

ポップ「なんでこういう時だけ意見を合わせてくるんだよ、てめえらっ!?」

ノヴァ「そりゃあ、君を見ていれば当然の感想だと思うけど。ねえ、ダイもそう思わないかい?」

ダイ「え? う〜んっ……えっと、おれ、力仕事が必要ならいつだってポップを手伝うけど……ポップがもっと体力あった方がいいな、って思うよ」

ポップ「この裏切り者っ、てめえまで、そんなこと抜かしやがるのかよ!?」

ダイ「ええっ、なんでうらぎりもの?? ポップ、何をそんなに怒ってるんだよ〜?」




[03] 家事が得意だと言う方はいらっしゃいますか?

ダイ「ポップだよ!」

ノヴァ「うん、ポップだと思うね」

ヒュンケル「ああ……間違いないな」

ポップ「(むくれて)おい、待てやッ!! なんで全員一致なんだよっ!?」

ダイ「だって、ポップの作ってくれたお菓子やお弁当、すっごく美味しかったじゃないか」

ノヴァ「そうだよね。ボクも最初はびっくりしたよ。お茶も美味しかったけど、料理も手際がいい上に美味しいし……(少し恨めしそうに)どう見たって、いつもいい加減に作っているようにしか見えないのに、あんなに美味しいんだろ?」

ポップ「ケンカを売ってるのかよ、おまえは!? だいたいな、料理なんてものは、適当に作ればなんとかなるんだよ!」

ヒュンケル「そうか? オレが適当にやると、塩辛いか味が無いかどちらかになるが、おまえが味付けした料理は驚く程味がよくなる」

ポップ「おまえは料理以前に味見をしろっ!! よくまあ、味も見ないで塩を塊でぶち込むなんて恐ろしい料理を作りやがるよな。おまえは先生に何を習ってたんだよっ!?」

ヒュンケル「剣技だが」

ポップ「真顔で返すなっ!!」

ダイ「(羨ましそうに)……いいなー。ノヴァやヒュンケルって、そんなにポップの料理、食べたことがあるんだ。
 ねえ、おれも食べたいよ、ポップ〜」

ポップ「いちいち、ひっつくなよな! だいたい、おれの料理よりもアバン先生の料理の方がずっと美味いってえの」

ダイ「うん、先生の料理もおいしいし、好きだけど、でも、ポップの料理も食べたいんだもん!」

ポップ「だから、いちいちしがみつくなよっ。それにてめえら勘違いしているみたいだけど、家事=料理じゃねえからな!? 他にも洗濯とか掃除とか、色々あるの、意識してねえだろっ」

ダイ「え、かじってそんなにいっぱいあるの?」

ポップ「……ダメだ、こりゃ」




[04] この中で1番男らしいのはどなただと思いますか?

ノヴァ「この中だと、やっぱりヒュンケルさんじゃないのかな?」

ダイ「うん、賛成!」

ポップ「(不機嫌に)……認めたくねえけど、まあ、この中なら妥当な選択じゃねえの?」

ヒュンケル「……」

ポップ「なんだよ、文句でもあるのかよ!?」

ヒュンケル「いや……少し、驚いただけだ。まさか、おまえがそう言ってくれるとは思わなかったからな」

ポップ「だから、この中なら、って言ってるだろ!? 他に選択肢があるのなら、誰がてめえなんかを選ぶもんか!」




[05] では、面倒見のよい兄貴分は?

ノヴァ「これも、やっぱりヒュンケルさんしかいないよね」

ダイ「うん、賛成!」

ポップ「(一層不機嫌に)反対!!」

ダイ「え、なんで?」

ポップ「なんでもなにもねえよ、そりゃ男らしいってのは百歩譲って認めてやらんでも無いけれど、こいつ、面倒見がいいとはとても言えねえだろっ!?
 一人で無茶して死にかけたり、人のこと助けに来たかと思ったら露骨に手を抜いたり、格好つけてた癖にまた死にかけたりとか、そんなことばっかりやってたじゃねえかよ!!

ダイ「そうだったっけ? 無茶して死んだの、ポップの方じゃないか」

ポップ「う、うるさいなっ、あれは不可抗力だろっ!! それに今は、ヒュンケルの話をしてるんだろうがっ!!」

ノヴァ「なら、ヒュンケルさんの話をするけど、あの人、無茶はさておくとして面倒見はいいとは思うけれど?」

ダイ「うん、何度も助けてもらったし」

ノヴァ「っていうか、むしろダイよりポップの方がヒュンケルさんに助けられた回数が多いんじゃ――」

ポップ「(話を遮って)助けられようがなんだろうが、あれは面倒見がいいとは言えねえよっ!! 少なくとも、おれは絶対反対! 認めねえ!」

ヒュンケル「(苦笑して)オレも同意見だ。なら、この質問の回答はノーカウントでいいんじゃないのか?」

ポップ「……ふんっ」


 意見に賛成されて、なお一層機嫌が悪くなったように見えるポップの目を盗んで、ノヴァがこっそりとヒュンケルに耳打ちします。


ノヴァ「あの……ヒュンケルさん、あんな風に言われてますけれど、いいんですか?」


 ヒュンケルが気を悪くしていないか気遣っているのか、遠慮がちにそう問いかけるノヴァに対して、ヒュンケルは僅かに微笑みます。


ヒュンケル「構わないさ。それに……ポップはオレの面倒見が悪いとは力説していたが、『兄貴分』は否定しなかったからな」




[06] 体力づくりなどの努力はそれぞれしていますか?

ダイ「えっとね、おれはパプニカ兵団の基礎訓練に参加してるよ! マラソンしたり、剣の素振りをしたりすることが多いかな?」

ヒュンケル「オレもパプニカ兵の訓練には参加しているな。ただ、隊長として参加しているから、自分の訓練よりも兵達の訓練の管理に時間を取られるのが悩みだ」

ノヴァ「その辺はボクも同じかな。これでも将軍だし、訓練では指導側になるのは仕方が無いけれど……たまには、思いっきり剣を振るってみたくなるよ」

ダイ「あ、それ、分かるー! いつもってわけじゃないけど、たまには手加減無しで剣の稽古してみたい時ってあるよね! 
 ね、ノヴァ、今度パプニカで一緒に練習しようよ! あ、ノヴァのとこにおれが行ってもいいよ!」

ノヴァ「(顔を引きつらせつつ)そ、そうだね、時間が合ったら……」


 などと、戦士3名がわいわいと賑やかに騒いでいる傍ら、約一名、無言のままの魔法使いがいたりします。


ポップ「……」

ダイ「ねえ、ポップも一緒にやろうよ!」

ポップ「やだよ、そんなの!! おまえらのペースになんか付き合ってたら、たまったもんじゃねえし!!」

ダイ「えー、前は一緒に体術の訓練受けてたじゃないかー」

ポップ「あれは修行一日目だろうがっ!! だいたい、おれは今も昔もスペシャルハードコースはお断りなんだよっ!」

ダイ「別にすぺしゃるこーすなんてやってないよ?」

ヒュンケル「なんなら、新兵用の軽いメニューを用意するが……」

ポップ「うっさい、誰がなんと言おうとてめえらみたいな規格外に付き合うなんざ、お断りなんだよっ!!」




[07] こうなりたいと思う「男性像」がありましたら教えてください。

ノヴァ「ボクの理想は、先生――ロン・ベルクさんだよ。あの人のように、強い心と腕を持った鍛冶職人になりたい……! ずいぶん前から、そう思っている」

ヒュンケル「いい話だな。理想の師弟関係だ」

ノヴァ「(照れて)ありがとうございます。あの、ヒュンケルさんは? やはり、アバン先生を……?」

ヒュンケル「そうだ――と言える程、オレはアバンの教えに沿って行動し続けたわけじゃない。
 それに、オレが元々目指していたのは、父親だ。オレの父親は……少なくとも幼い頃のオレは、彼こそが世界の最強の戦士だと信じていたからな」

ダイ「へえ、そうなんだ。……ねえ、ポップの理想も先生なの?」

ポップ「んー(考え込んで)それは、ちょっと違うんじゃないかなって気がするんだよな」

ポップ「先生のことはもちろん尊敬しているし、先生みたいになりたくて押しかけ弟子にもなったけどさ、でもやっぱり先生は勇者なんだよな。
 オレがどんなに先生に憧れて、あの背中を追いかけたとしても――やっぱり、先生みたいにはなれないと思うしさ」

ダイ「そうなの? んー……じゃあ、ポップは魔法使いだから、マトリフさんみたくなりたいの?」

ポップ「師匠もなぁ〜。そりゃあ、魔法の腕や知識はすげーって思ってるし、乗り越えたいって思っているけど……アレを目標にするってのはナシだろ」

ノヴァ「うわ、仮にも師匠を相手によくそんなことを言えるね」

ポップ「だって、それとこれは別な話だろ!? 尊敬と目標は別モンだって! だいたい、おれはあそこまで性格捻くれたクソじじいになんかなりたかねえよ!」

ダイ「じゃあ、ヒュンケルみたいにお父さんみたいになりたいの?」

ポップ「ふざけんなっ!! 誰が、あんなクソ親父を目指したいんだよっ!」

ダイ「え、でも、ポップとジャンクさんって今でもけっこう似てると思うけど」

ポップ「だから、余計に嫌なんだろうがっ!! おれは絶対、親父みてえなおっさんにはならないように、我が道を行くっつーのっ!」

ダイ「(少し考えて)んー、じゃあ、ポップもおれと同じなのかな?」

ポップ「おまえと同じって、何がだ?」

ダイ「おれも、父さんみたいになりたいけど、でも、父さんとは違う人になりたいんだ。
 父さんみたいに強くなりたいし、父さんがそうしたみたいに母さん……人間達を守ったり、大切にしたいと思う。でも、魔王の味方をしたりとか、人間を嫌ったりしたくない……!」


 真剣にそう語る勇者の言葉を、仲間達は少しばかり深刻な表情で聞いています。
 その空気に気がついているのかいないのか、ダイは笑顔で締めくくります。


ダイ「おれも、おれの道を行きたいな、できればポップと一緒にね!」

[08] それぞれを漢字一文字で表すとどうなりますか?

ダイ「(ものすごく元気よく手を上げて)はいはいはいはい、はーいっ!」

ポップ「な、なんだ、何をそんなに張り切っているんだよ?」

ダイ「あのね、あのね、おれ、レオナに習ったんだ、漢字! この前の後、うんとがんばったんだよっ」

ヒュンケル「ほう、それはすごいな」

ダイ「へへへ〜(照れた後で、しょんぼりして)あ、でも、おれ、ポップの分しか練習できなかったんだ。ヒュンケルやノヴァの分まで考えてなかった……ごめん」

ノヴァ「ボク達のことはいいよ。
 それよりせっかくそこまで頑張ったのなら、見せて欲しいな。なあ、ポップもそう思うだろ?」

ポップ(……なんだろう、なんだかすごく嫌な予感がするんだけど、でも、ここでそう言ったら、単に空気が読めない奴だよな、おれ。しょうがない、ここは頷いておくか)「……まあ、な」

ノヴァ「なんだよ、その乗り気のなさは?」

ポップ「おまえ、いちいちほんっとうるさいよな!? ああ、分かったって、ダイ、ほら、見せてみろよ、楽しみにしてるから!」


 どう聞いてもやけくそなポップの催促に、ダイは喜々として地べたに大きく字を書きます。


ダイ「うんっ。ポップはね『一』!」


 ――ちょっと反応に困ったように、三人とも少し静まりかえります。


ノヴァ「(小声で)……あれ、どう言うつもりか分かるかい、ポップ?」

ポップ「(やっぱり小声で)知るか!」

ヒュンケル「どういう意味だ?」

ノヴァ&ポップ((うわ、ためらわずにいきなり聞いたっ))

ダイ「一番の一! おれ、ポップが一番好きだから!!」


 無邪気にはしゃぐダイに対し、ノヴァとポップは何とも言えないような顔で小声で言い合っています。


ノヴァ「……それは……いいけど、いや、いいのかな? でも、とにかくいろんな意味で出題者の意図を間違えていると思うよ……」

ポップ「……やっぱ止めときゃよかったんだよ、こんな質問」




[09] 「男性に生まれてよかった」と思うことをひとりずつお願いします。

ダイ「おしっこの時!」

ポップ「そこかよっ!? いや、その気持ちは分かるけど、他にないのかよっ!?」

ダイ「だって、レオナとかマァムはそういう時、すごく面倒そうじゃないか。いちいち茂みとかを探すし、遠くに離れたがるし。危ないから近くですればいいのに」

ポップ「いや、そんなわけにゃいかないって。気になるだろ、そこはやっぱり!
 (ため息をついて)それにしても、てめえ、やっぱりガキだよなぁ。他にも男に生まれてよかったと思うことがあるだろ?」

ダイ「? じゃ、ポップはどんな時にそう思うんだよ?」

ポップ「(鼻の下を伸ばしつつ)そりゃあ、おまえ、ぐへへへ……」

ノヴァ「(呆れて)何を考えてるんだよ、君は!? 下品なことを言うのはやめて欲しいんだけど」

ポップ「おまえ、いきなり失礼なことを決めつけてるなよ!? っていうか、おれ以前にダイがいきなり下ネタ噛ましてるだろ!?」

ノヴァ「ダイはまだいいよ、悪気がないから! でも、君の場合はそうじゃないだろ!?
 男に生まれたからこそ家督を継げるとか、そんな感想もないのかい?」

ポップ「あーあ、貴族のお坊ちゃんは違うよな〜。でも、おれはただのしがない武器屋の息子だし、継ぐ程の家も、継ぐ気もねえよ!!」

ノヴァ「まったく君ときたら……!
 あ、ヒュンケルさんはどうなんですか?」

ヒュンケル「そうだな……戦いの時は、男に生まれたことを感謝するな」




[10] では、今日のテーマ「男の子だけの座談会」のまとめをお願いします。

ポップ「なんか、めっちゃ疲れた……」

ダイ「そうかな、おれは楽しかったよ! ヒュンケルやノヴァとも遊べたしね」

ヒュンケル「(苦笑しつつ)なかなか楽しめた時間だった」

ノヴァ「ボクもとても楽しかったです。……ただ、ポップが文句ばかり言っていたのが、少しばかり引っかかったけど」

ポップ「なんでおればっかりピンポイントで文句をつけるんだよ?」

ノヴァ「実際に文句ばっかり言っていたじゃないか、君は!?」

ポップ「おまえこそ、おれにばっかり突っかかってきてたくせに!!」

ダイ「(にこにこして)でも、ポップとノヴァってそうやって言い合っていると、すごく楽しそうだよね」

ポップ&ノヴァ「「はあ? んなことないって」」


 ほぼ同時に言い返す二人を見て、ヒュンケルが真顔で言ってのけます。


ヒュンケル「……確かに、気が合っているようだな」




[−−] お疲れ様でした。

ポップ「さーて、帰ろ、帰ろ! 腹減っちまったぜ」

ダイ「おれも! ねえ、ポップ、何か作ってよ〜」

ポップ「まだ言ってるのかよ、おまえも案外しつこいよな〜(苦笑して)ま、いいか、じゃあ城の台所を借りようぜ」

ダイ「やったぁ!」

ポップ「言っとくけど、簡単なのしか作らねえからな! それにちゃんと手伝えよ!」

ダイ「うん、なんでもやるよ!」

ポップ「よーし、じゃあおまえは荷運びと水くみな。ヒュンケルは薪の用意。料理長、備品を使ってもいいけどちゃんと補充しろってうるさいからよ〜」 


 ダイ、ポップ、ヒュンケルの三人がごく自然に歩き出すのを見て、ノヴァは少しばかり寂しそうな表情を見せましたが、彼は気を取り直したように姿勢を正します。


ノヴァ「じゃあ、ボクはここで――」

ポップ「何言ってんだ、おまえも手伝えよ」

ノヴァ「え、でも、ボクは……」

ポップ「どうせ、今日は休みなんだろ? なら、たまには仲間内で男飯ってのもいいじゃねえか。心配すんなよ、後でロン・ベルクに土産になるぐらいの量は作るからさ」


 当たり前のようにそう言うポップに対して、ノヴァは一瞬、呆気にとられた表情を見せますが――それが笑顔に変わるまでそう時間はかかりませんでした。


ノヴァ「そうだね、たまにはそれもいいかな。じゃあ、ボクも付き合うよ」


 そして、4人は揃って歩いて行きました――。

 
 


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