Act.8 砂漠のヒッチハイカー 
 

 俺達は近くから遊びにきたベルベル人の子供のふりをして、門に近づいた。
 土のうを積み上げて作った門には兵隊がいて、退屈そうに通行人を眺めていた。俺達はなんなくファサドに入った。

 ひさしぶりのファサドは、少しも変わっちゃいない。
 相変わらず方形の家が重なり並んでいた。ファティマと違い、ファサドの日干しレンガは赤茶けた色をしている。だけど黄色の縁取りがしてあるので、落ち着いた感じがする。

 俺は、ファサドのレンガはファティマのよりも好きだった。
 ゲリラになって、あちこちのオアシス町に行くようになっても、どこよりもここの風景が一番好きだったっけ。──なんて思い出にひたっているヒマなんかない!

 俺達は迷路じみた道を抜け、広場に出た。
 そこが、ファサドの市場だった。
 体臭や、野菜、果物、羊、山羊、ロバ、ラクダ、じゅうたん、焼き肉、香料、ターズイン(シチュー)、ハリラ(スープ)などがごったがえしになっている青空市で、人々が口々にわめいている。

 食い物の匂いが空きっ腹にこたえるな〜。
 相変わらず市場ではいろいろな物が売られている。衣料やダッド(ナツメヤシ)、少しシワのよった野菜、果物、缶詰、ナツメヤシの葉で編んだカゴやゴザ、岩塩、枯れ木、蛇などなど。

 それに、人が山ほどいた。
 トゥアレグだらけで、ベルベル人が少ないのが一目で分かる。

 青いベールから眼だけ出し、剣を下げたトゥアレグ。白いガンドゥーラを着たトゥアレグ。そして一際目立つのは、そろってライフルを下げた赤チョッキを着たトゥアレグだった。
 俺はくちびるを動かさずに囁いた。

「赤チョッキを着たトゥアレグがいるだろ?」

 間抜けにも、マキトは顔を動かして見ようとした。

「いちいちキョロキョロするな!」

 ったく、目立つマネしたら、わざわざ小声で話している意味がないだろーに!

「サソリに雇われているトゥアレグだ。気をつけろ」

 マキトはジュラバのフードの奥から、もっともらしく頷いた。
 俺達はぶらぶらと歩く。だけど、内心では俺は水売りを見つけるのに必死で、駆けだしたいぐらい気がはやった。

 なのにマキトはと言うと、食べ物を売っている前にくると決まって足が遅くなった。
 このくそ忙しい時に!

「モローリア人なら、2、3日なにも食わなくっても平気だぜ」

 小声でマキトにケチをつけたが、まるで効き目なし。
 ついにマキトは、串刺しにした山羊の肉を焼いている前で、ぴたりと止まった。唐辛子と肉の焼ける匂いがズシンと腹にこたえるけど、何より水売りが気になった。
 俺は舌打ちして、マキトを引っ張って歩き出した。

 それから二回ばかり市場を巡った。
 だけど無駄だったんだ。水売りはいなかった。
 俺はマキトを引っ張って、人気のいない市場の外れに行った。少し、頭を冷やしたかったんだ。

 水売りはいなかった。
  これからは、俺達だけだ──! ずんと、肩に何か乗せられたように身体が重くなったような気がして、俺は壁にもたれて座り込んだ。
 隣に、マキトが並んだ。

「やっかいだぜ」

 ひびの入った地面に、唾を吐き捨てた。唾は乾き切った地べたに吸い込まれていく。
 俺は用心深くあたりを見回してから、言った。

「いねぇんだよ」

 マキトが絶望的に呻く。
 俺は弁解じみて呟いた。

「いつもの場所にいねぇんだ。あそこで水を売ってるんだけどな」

 俺はいらだって、ひしめく人々を目で追った。急に、みんな秘密警察に見えてきた。

「水売りならいたよ」

「あいつらじゃない」

「用ができたのかな、それとも病気かな?」

 マキトはそれに希望を持っているらしかった。けど、そんなわけないんだ。

「なら息子が来ている」

「ということは」

 マキトの声はかすれてた。
 俺はひんやり、続きを言った。

「サソリにつかまったかもしれない」

 かもしれない。
 今となっちゃ、言いきった方が正しいって分かっているけど、もしかしたらってやつがあるかもしれない。それこそ、奇跡的願望になるけどな。
 打ちのめされたようにしばらく黙り込んでたマキトだが、突然顔を上げた。いいことを思いついたらしく、張り切って話しかけてきた。

「家に行ってみるかい?」

 挙げ句に出てくるアイデアがこれかよ!!
 行けるぐらいなら、とっくに行ってるよ。

「もしサソリにつかまってたのなら、罠に落ちに行くようなものだと、分からないのか? ヒヨコさん」

 今度こそ、俺達は沈黙した。

「見落としてないのかい? この人ごみだぜ」

 いきなりマキトが言った。
 俺はアゴをこすって無視した。それでもめげないマキトは、食い下がった。

「他に誰か知らないのかい?」

「一人いる」

 パッとマキトの眼の色が変わる。
 だけど、あいつならいない方がましかもしれないんだぜ。

「だがな」

  俺は気乗り薄に──とても乗り気にゃなれないよ──言った。

「情報屋だ」

「それが悪いの?」

 ……つくづく幸せだよな、マキトって。

「おまえは無邪気でいいな」

 マキトは少しむくれた。

「変な褒め方するなよ」
 
 褒めてねえ。

「俺達にも情報を売るが、サソリ達にも売る。つまり、金さえ出せば、誰でもあいつの歌を聞けるってことだ」

「なら、つけで聞けば?」

 返事をする気にもならず、俺はしげしげとマキトを見つめた。
 信じられないよ。こんな奴が、今までよく生きてこれたもんだ。

「時計がある」

 俺の視線を跳ね返すように、マキトは慌てて言った。
 さすがのマキトも、この視線の意味だけには気がついたらしい。だが、それでもやっぱり甘すぎるぜ。 

「奴なら、すぐにおまえと結びつける。なにしろ、おまえには大金がかかってるからな。すぐにサソリに1グラムいくらで売り飛ばされるぜ」

 しょんぼり、マキトはうなだれた。

「それに、この時計はラクダや食料を手にいれるための、俺達にある唯一の財産だぜ」

 正確に言や、マキトのだけどさ。
 ラクダや食料のことを言ったら、急に腹がへってたことを思い出した。水売りのことは、とりあえず置いとこう。腹がふくれたら、いいアイデアがでるかもしれないし。

「さて、ヒヨコが飢え死にするまえに、さっさとラクダを手に入れるか」

 俺は立ち、市場の隅のラクダ売り場へ歩いていった。こんな時だし、売り手は慎重に選ばないと。
 おせっかいな奴はだめだ。カンの鋭い奴もだめ。

 あれこれとみた挙げ句、俺はたかるハエを追いもしないでぼうっと座っている老人のトゥアレグを選んだ。ハエをはらうだけの気力もないなら、自分からわざわざ揉めごとに首を突っ込んだりもしないだろう。

 俺は老人の前に近づき、交渉を始めた。
 ひさびさのトゥアレグ語。俺はマキトの時計を光にあて、耳にあて、老人にも調べさせた。

 老人は興味なさそうに調べたけど、本心では興味津々なのは見て取れる。やる気がなさそうだが、腕時計を見る時だけは欲深そうにその眼が輝いている。
 俺はここぞとばかりにしゃべった。

「じいさん、どうだい? この光りようは。お買い得だよ」

 老人は時々首を振ったが、俺は諦めずにしゃべりまくった。

「どれ、そんなに言うなら……あのラクダはどうだ?」

 老人はとうとう腰を上げて、ラクダの一頭を指した。俺はラクダの口をあけ、歯を調べた。
 ……よぼよぼじゃないか、こいつ。
 こんなんで砂漠が渡れるもんか。俺は首を振った。

「じいさん、だめだよ、こんなの。じいさんよか年がいってるじゃないか」

 また俺達は交渉を始めた。
 ずいぶん長くやり取りした後、老人は二頭目を指した。前のよりは若かったけど、年をくってるのには変わりない。
 今度も首を振る。

「ぜいたくな小僧だ。もう、こんな時計なんかいらんわい」

 老人は俺に時計を突っ返した。
 一瞬、しまったと思ったが、すぐに俺は考え直した。
 これは――駆け引きだな。じいさんがその気なら、俺だってやってやるよ。

 俺は肩を竦め、暇そうな顔でしゃがみこんでラクダを見ていたマキトに、行こうとアゴをしゃくった。
 俺達は並んで歩きだした。マキトは見るからにがっかりした顔をしていた。

「だめだったのかい」

「いいから黙って歩きな」

 5メートルと歩かないうちに、お声がかかった。

「待ちな、小僧……。負けたよ、とっておきのラクダがある…」

 やったね。
 俺はにやっと笑ってウインクした。
 老人が差しだしたラクダは、さすがにいいやつだった。俺はていねいに調べたあげく、頷いた。

「いいよ、じいさん。鞍と食料もつけてくれよな?」

「がっちりした小僧じゃ。分かったよ」

 老人はブツブツ言った割には、嬉しそうに時計をはめた。俺も、満足してた。

「若くて、元気なやつだ。鞍と食料つきだ」

 俺はラクダの首を叩いた。マキトの奴も、嬉しそうにニタニタしていた。
 老人は子供に言いつけて、ナツメヤシやチーズの塊を袋にいれさせていた。なかなかたっぷり入っている。それはマキトが担いだ。

 ラクダの鞍は奴に任せず、俺がつけた。
 しっかりつけとかなくちゃ、ヤバいからな。

「後は、パンとゲルバ(山羊皮の水入れ)を買わなきゃ」

 一人ごとを言いながら、ちくんと水売りが気になった。ゲルバに水を入れてくれるのが、あの水売り親子だといいのに――。
 とにかく、俺達は老人にラクダを預けて市場に戻った。

 俺はまっすぐクスクス(ごった煮)を売っている所に行った。汚れてひびの入った皿に、こぼれ落ちそうなほどたっぷりと盛られたクスクス。
 うまそうだ。

 俺達はガツガツ食った。マキトなんか、皿までなめたもんな。たちまち食い終わった俺達は、クスクスを煮てるドラム缶をにらんだ。
 この匂いがたまんないよな。
 でも、いつまでもこうしてるわけにゃいかない。すごく心残りだったが、俺達はそこを立ち去った。

 俺は思いついて、布を買った。ターバンなんかたいして役に立たないとは思ったが、少しでも変装になるだろう。
 嫌がるかと思ったが、マキトはすごく嬉しそうな顔をして、ターバンをぐるぐる頭に巻き、布はしで鼻と口を隠した。
 なかなかうまいじゃないか。

「トゥアレグの巻き方じゃないが、まあ、ルジバ族に見えなくもない」

 ただし、マキトの奴、髪形はベルベル人なんだけどな。
 まあ、いいや。
 俺は白い布を額に巻き始め、布はしは軽く肩にかかるぐらいにした。

 だけど、マキトの奴ときたら!
 さっき褒めるんじゃなかったよ、あいつのターバンは見た目だけだった。歩くと、すぐに崩れるじゃないか。俺はマキトのターバンを巻き直してやった。

 それから二人して、麻酔なしでやっとこで歯を抜いてる歯医者を見た。
 ほんとは、急いだ方がいいのは分かっている。
  分かっているけど──。

 怖いんだ。どう動けばいいのか、分からない。砂漠へなんか、行っていいのか? アルジェリアに行けるのか?
 何より、水売りが気になる。

 俺は水売り親子を気にしながら、すりきれたじゅうたんに座り、わめく乞食や何かを見ながら、ゲルバを2つ、ポット、お茶、砂糖、パンを買った。
 マキトは弾んだ声で言った。

「準備が整ったね」

 ヒヨコがそう言った時も、俺は下くちびるを噛んで考え続けていた。
 ルジバ族の子供のような成りをしたマキト。

 でも、マキトはルジバでもベルベルでもない。砂漠の『さ』の字も知らない日本人だ。こいつを連れて砂漠を渡る力なんて、俺にあるのかよ?
 それに水売り……。

『アルがついている限り、安心だよ』

 ラアイは俺を信じてくれた。
 そのラアイを戦場に置いて、逃げた。アトラスの隠れ家にも行けなかった。そのあげくファサドに来ちまった。そして今、水売りを見捨てて、また逃げようとしている。
 あんなによくしてもらったのに……。

「どうしたのさ」

 マキトの声で、現実に戻る。

「水売りのことだよ」

 つかまっているのかもしれない。親父やお袋みたいに。

「家に行ってみる」

 考えるより先に、言葉が出た。
 そうだ。あの時、俺は決めたんだ。もう二度と仲間を裏切るような真似はしないって。親父達が死んで……しばらくたった頃に。

「危険だよ!」

 慌ててマキトが言った。けど、まるで俺には関係ないことみたいに思えた。

「知らなきゃ、仲間がもっと危険になる」

 乱暴に俺は歩き出した。マキトもついてくる。
 俺は言った。

「おまえはラクダの所で待つんだ」

「いやだよ」

 まだ追いかけてくるマキトに、俺は邪険に言い捨てた。

「足手まといだ」

 それでもマキトは言われた通りにしなかった。それどころか、逆に俺の袖を引っ張って市場を抜け出した。
 二人っきりになって、マキトは腹を立てたように切り出した。

「君の仕事は、ぼくを無事にアルジェリアに送り届けることだろ?」

 カッと頭に血が昇った。
 こんな……、こんな自分勝手な奴と、俺は逃げていたのかよ。

「自分のことしか考えられないのか?」

「もしサソリにつかまったとしても」

 マキトは俺の袖をしっかりつかんだまま、俺の言うことなんか耳に入らないみたいにしゃべった。

「どうやって君の仲間に知らせるんだ? ファサドの仲間は一人じゃないだろ? 君が知らないだけでさ」

 頭から水をぶっかけられた気分だった。
 その通りだ。

 強張った肩の力が抜けていく。俺だけがゲリラなわけじゃない。それぞれが決められた役を果たしてこそ、モローリア自由戦線が成り立つんだ。――水売りの仕事は、水売りの役目。
 それが失敗しても、他人がちょっかいを出すようなことじゃなかったんだ。

「おまえの言う通りだよ、ヒヨコ」

 笑ってそう言ってやりたかったけど、なんだか力が抜けて口はしを歪めるだけで精一杯だった。

「熱くなり過ぎたよ」

 たった今、気がついた。
 普段だったら、マキトは俺が強く言うことには従う。
 だが、今回に限っては、奴は妙に頑固だった。最初から俺が間違っているとばかりに、しつこく追いかけてきた。

 マキトが俺にブレーキをかけたのは、多分、自分の身がかわいかったからじゃないんだ――。
 ヒヨコは、俺の気を引き立てるように軽く、冗談っぽく言った。

「君らしくないな。それじゃ生き残れないよ」

 俺らしいってどういうことだよ、ヒヨコさん。オレは強い奴じゃないよ。
 気がついたら、俺はしゃべっていた。一生、話すつもりもなかったことを。

「俺の親父も、ファティマの連絡員だったんだ」

 マキトは黙っていた。

「親父は何も吐かなかった。サソリはお袋を拷問した。だが、親父は口を閉じたままだった」

 平気でいたかったのに、震えてきた。でも、マキトにだけは話しておきたかった。

「それでサソリは俺を、親父の前でいたぶったんだ」

「もう言わなくったっていいよ」

 マキトは顔を背けた。なんだか、辛そうな声だった。

「俺は泣き叫んだ。子猿のように泣き叫んだ」

 もう、立っていられなくなって、俺は屈みこんだ。記憶があまりにも鮮明すぎて、俺───。

「親父はしゃべった、何もかも!」

 吐いた後の連絡員の処置は決まっている。
 そして、俺だけが生き残った。死に損なったんだ……。

「だから、俺は誓ったのさ、サソリを必ずやってやるってな」

 俺はマキトを見上げた。
 俺の眼が、マキトをとらえた。マキトが、すっと眼を反らす。
 あの時の、燃えたぎるような憎悪が、俺の中で蘇っていた。

 俺は動かなかった。
 動いたら、そのまま勢いにまかせて何をやるか、自分を押さえていられそうになかった。どのくらいそうやっていたのか、分からない。
 けど、だんだんと気が静まってきた。

 もう、動いても大丈夫だな。
 俺は立ち上がった。俺が屈みこんでた間、マキトはずっと黙っていた。
 あのおしゃべりなヒヨコがさ。いいとこ、あるぜ。
 なんとなく、照れくさくなる。

「一つ、ヒヨコに借りができたな」

「借り?」

 わけが分かんないように、マキトは呟いた。

「俺が泣きごとを並べても、慰めなかったからさ」

「君だったら、慰めた?」

 ご冗談。俺はけなし文句しか知らないよ。
 俺は、にやりと笑いを浮かべた。

「俺だったら」

 モーゼルを隠してある腰を叩いて、言った。

「この使い方を教えてやったさ」

「ドクターのようにかい?」

「あの人は」

 俺は少し、眼を細める。ドクターは無事だろうか。

「教えてくれなかった。俺は自分で覚えたのさ」

 マキトはゆっくりと息を吐き出した。
 俺達はまた市場に戻った。

 短剣のお手玉をしている芸人がいた。子供をてっぺんに乗せてる人間やぐらもあれば、歌う辻楽師もいる。時間がありゃ、ゆっくり見物するとこなんだけど。

 トゥアレグも山ほどいた。
 赤いたすきがけのトゥアレグが槍と長剣を持ち、戦う芸を見せていた。火打ち銃(どこから持ってきたんだ)を抱えて、笑っているトゥアレグもいる。厳しい眼をした赤チョッキもいた。あんなのいなくてもいいのに。

  ───!

「俺から離れろ!」

 俺は横を向き、小声で言った。ヤバい。

「情報屋に見つかった。ラクダの所で待つんだ」

 俺は猿回しに見とれるふりをして、立ち止まった。実際に、そいつはなかなかおもしろい見せ物だった。
 そのままマキトは通り過ぎ、織物を売っている屋台を除き込んだ。奴がマキトのことに気を回さないでくれると助かるんだが。

 奴は俺のこと、どのくらい前から見てたんだ?
 白いガンドゥーラ姿の情報屋は、俺に向かって歩いてくる。
 くるんなら、こいよ。

 だけどな、マキトにだけは手を出させないぞ。
 奴はさも偶然会った、というように大袈裟に驚いて声をかけた。

「アル! アルじゃないか? いやぁ、いつここに来たんだ? アッサラーム・アレイコム(回教徒の挨拶)」

 俺もせいぜい芝居っけをだして、驚いたふりをする。

「おまえにここで会えるなんて、思ってなかったよ。ひさしぶりだな」

 おーおー、俺も嘘つきだよな。これでもう、後に引けなくなった。
 見てろ。勝てなくっても、絶対負けはしないからな。
 俺はにっこり笑って言った。

「アッサラーム・アレイコム」                                                                  《続く》

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