Act.14  サソリとの再会 
 

 親父とお袋が殺された時、俺はきっとサソリを殺ると誓ったんだ。
 何十回も何百回も、自分に言い聞かせて、必死で銃を覚えて。手榴弾も、ダイナマイトも、毒の扱いも、手に入る限りの武器を可能な限り特訓した。
  もちろん、ナイフだって───。

 ヘリコプターの音が止まり、足音もなくサソリが入ってきた。伍長のにやつきはいっぺんに消し飛んだ。

 サソリはあの時と同じ、青いベールのトゥアレグ姿だった。
 俺はとても、サソリの顔を見れなかった。サソリがすごく、大きく見える。砂漠のジンか、コソブみたいに。
 パチッと指をならす音が聞こえ、伍長が出て行く足音がした。ドサッと無造作にサソリが机の上に座ったのが、眼の隅で見えた。

 そして、サソリの眼が、じっくりと俺達を品定めするように撫で回した。
 それでも俺はうつむいたままだったし、手はだらりと下がったままで、自分のものじゃないみたいだった。
 あんなに望んだチャンスなのに!

「朝の散歩は楽しかったかな?」

 優しく、囁くようなサソリの声は、背筋がゾッとするようなものがあった。

「自由を味わいましたよ。自由がこんなに素晴らしいものだって、初めて知りました」

 いくぶん気負ったマキトの声さえも、俺にはもう、まるで関係ないものみたいだった。急に世界が遠くに行ってしまったみたいだ。
 ただ、サソリの声だけが、かろうじてひっかかっている。

「それでは、当然、私に感謝してくれるんだろうね」

 嫌な声だ。
 サソリはローマ軍のつぶてを、手で計った。

「肝心なことは」

 眼を細めて、サソリは言った。

「君がアルジェリアまで足を伸ばしたことじゃない」

 コツ、コツ、つぶてで机の端を叩き始めた。

「今、君がここにいることだ」

「何も、前と変わっていないと言いたいのですか?」

「私にとってはな」

「いいえ」
 マキトは緊張しながらも、できるだけ皮肉っぽく笑った。多少、引きつってはいたけれど、サソリは驚いたような顔をした。

「ずいぶん、高くついたでしょ

 皮肉まで言ってる。
 その反応に驚いたのか、サソリはさぐるようにマキトの眼を見た。

「どうやら」

 暗く、首を締めるようにサソリは長く笑った。

「外見だけではなく、中身もモローリア人らしくなったらしい」

「あなたを憎むって点でね」

「この職業にはつきものの、褒め言葉だな」

 サソリは平然としていた。

「ファティマに戻ろう。私のヘリが待っている」

 サソリは興味を失ったおもちゃを捨てるように、机につぶてをほうりなげた。

「アルも一緒ですね?」

 マキトに名前を呼ばれて、俺の中でなにかがカチリと鳴った。

「アル?」

 サソリは、俺を見下した。悔しいのに、指一本動かない。

「ここの秘密警察に、歓迎されるだろう」

 誰が、サソリの思い通りになるもんか!
 カッと腹がたった瞬間、身体も魔法が解けたように元に戻った。
 俺は顔を上げた。

「アルと一緒じゃなきゃ、戻りませんよ」

 はっきりと、マキトは言い切った。
 いい度胸だよ、サソリ相手にこんなにきっぱり言えるなんてさ。これなら、またサソリの館に閉じ込められたって、自力で逃げ出せるよ。

「ファティマに連れていっても、君の友人の運命は変わらんよ」

 聞分けのない子供を諭すように、サソリは言った。
  ───狙うのは、左胸の心臓のど真ん中。俺はそろそろと右手を動かし、隠したナイフに触れた。

「彼は何度も、ぼくの生命を救ってくれました」

「墓を造ってやれるさ」

「てめえの墓もな!」

 俺は叫んだ。
 素早く一歩踏み出し、右手を利かせ思いっきりナイフを投げつけた。狙いは、確かだった。

 けど、サソリの動きはもっと素早かった。左手で心臓をかばい、同時に右手で拳銃を抜いた。
  かわされた───!

「撃たないで!」

 金切り声で叫んだのは、マキトだった。
 ナイフはぐっさりサソリの腕にささっていたが、サソリは小さなトゲでもささったように平然としていた。ただ、眼だけが異常にギラついていた。

 かわされたんだ。
 長いこと、サソリを殺す時のために、あんなに思い詰めて必死で頑張ってきたのに、かわされたんだ……!

 銃口は俺を捕らえて、離さなかった。
 悔しかった。
 このまま死んでしまいたいぐらい、悔しかった。

 軽機関銃を腰に構えた、赤チョッキ達が飛び込んできた。サソリは赤チョッキになにかを言ったが、耳に入らなかった。赤チョッキが険しい眼で俺を睨み、銃を向けたのも気にならなかった。

 サソリを目の前にして、何もできないなんて!
 サソリは無造作にナイフを抜き、ベールの端を切り、腕を堅く結んだ。

「なるほど、何度も君を救っただけのことはある」

 サハラの夜のように、冷えきった声を聞いた時が限界だった。

「人殺し野郎!」

 わめき、サソリに向かって唾を吐き飛ばした。
 サソリはそれも、軽く首をまげて交わした。赤チョッキがすり足で俺に寄り、銃口で激しく腹を突いた……!

 俺はそのまま身体を九の字に曲げ、しゃがみこんだ。俺は両手で腹を押さえ、やっとの思いでもう一度叫んだ。

「人殺し野郎!」

 いきり立つ、銃を構えた赤チョッキから俺を庇ったのは、マキトだった。

「アルの両親は、眼の前であなたに殺されたんです!」

 うわ言のように、マキトは叫ぶ。何も言えない俺の代わりのように、サソリへの恨みを口にした。。

「彼の名は、アル・アサービアです」

「アサービア?」

 興味なさげに、サソリはつぶやいた。そして、銃をしまい、短剣を抜いた。

「処刑した何百と言う反逆者の名前を、私に覚えろと言うのかね?」

 サソリの言葉はとてつもないほど傲慢で、それでいて正しかった。
 俺にとっては一生忘れられないことでも、サソリにとってはちょっとしたことなんだ。俺と同じ立場の子供だって、何百人いるか分からないぐらい、有り触れたことなんだ――。

「まだおつむが冷えんのなら、私がこれの使い方を教えよう」

 単調にサソリはいい、マキトの足元に血にまみれた俺のナイフを放った。
 カランと、乾いた音がした。
 その時、どっしりとした声がドアから聞こえた。

「タルギーは子供相手に戦うのかね?」

 いつの間にか、大佐がドアを背に立っていた。

「敵を相手にと、言い直してもらおう」

 サソリは短剣の切っ先と、切れる眼つきを大佐に向けた。

「私が生きていて、残念かな?」

 冗談っぽくサソリは言ったが、微塵の笑いも無かった。
 大佐は用心深く黙っていた。

「なぜこの子は、ナイフを持っていたのだろう」

 謎を掛けるようにサソリが言うと、赤チョッキはあからさまに大佐に銃口を向けた。

「君の物騒な部下に、この場を外してもらおう」

 大佐は落ち着き払っていた。サソリが合図すると、音もなく赤チョッキは消えた。

「この子は私が預かる」

 サソリは、競りで、競り落としたように言った。

「マキトは、私の大切なお客だ」

 静かに、大佐は言った。

「私の客でもある」

 大佐の言葉を打ち消すように、激しく、サソリは言った。サソリは挑むように、大佐の出方を伺った。

「君に渡すつもりはない」

 身動ぎもしない大佐に、サソリは低く、不気味に笑った。

「私を敵に回すのかね、マリクシャーフ大佐」

「すでに敵ではなかったかね、アラムート長官」

 ためらいもなく大佐は言い返し、二人は相手のスキを伺い睨み合った。
 部屋はしんと静まり返り、俺とマキトの息遣いだけが聞こえた。重苦しい沈黙が俺たちを包み込んでいた。
 嵐の前の静けさって、こういうんだろうな。

「マリクシャーフ司令官、君を逮捕する」

「どんな理由でかね」

 あくまで、大佐は落ち着き払っていた。サソリは刀で造ったような、凄味のある笑いを浮かべた。

「理由は二人で考えよう。じっくり二人で話し合ってな」

「拷問室でかね」

 軽蔑しきったように、大佐は言った。

「お望み次第だ」

 ナイフをつきつけるようなサソリの声。
 大佐は頬を歪めた。

 突然、鈍い銃声が響き、ドアにぶつかった赤チョッキが銃を抱きかかえたまま、踊るように入り、崩れ落ちた。武装した大尉達が、押し合いながらなだれ込んだ。サソリは跳びずさり拳銃を抜いたが、たちまち銃を全身に突きつけられた。

「逮捕されるのは君だ」

 大佐は軽蔑の色さえ隠さなかった。
 サソリは興奮した大尉に壁に押しつけられ、短剣と拳銃を取り上げられ、手荒に手首を縛られた。
 サソリは殺意と憎しみに燃えて、血走った眼で大佐を睨みつけた。

「マリクシャーフ、この償いは必ずさせてやる!」

「その時間はないだろう」

 大佐は情け容赦なかった。それでもサソリは食い下がり、抉るように叫んだ。

「大統領が知ったら…」

「その大統領の命令だ」

 どんな言葉だって、サソリにこれ以上ショックをあたえられっこなかったに違いない。

 この一言でサソリは完璧にぶちのめされ、ベールよりも青ざめた。口を少し開け、突き飛ばされたようによろめいた。
 俺は、その情けない姿から眼を離せなかった。
 これが……サソリかよ?

「信じんぞ! マリクシャーフ、大統領と話したい!」

 血を吐くように、サソリが叫んだ。

「無駄だな」

 大佐はサソリを哀れむように言い、

「たった今、私が大統領と話し終えたばかりだ」

 と、とどめを刺した。
 サソリは地獄に突き落とされたような暗い表情になり、毒気のある地下牢の空気のような声で言った。

「何を吹き込んだ」

「何も」

 大尉は手を振った。皆が引上げ、赤チョッキの倒れた後に血の塊だけが残った。

「君はやり過ぎた、アラムート」

「手を汚しすぎたとでも言いたいのか、マリフシャーク」

 ゆっくり、サソリは椅子に座った。
 俺とマキトは思いがけない逆転劇に、息を飲んで、目を見張って成り行きを眺めていた。

「マキトの件について、モロッコの日本大使館から強烈な抗議がきている。それだけじゃない。ファティマのアメリカ領事館からも同様の抗議が大統領にきた。モロッコの我が大使館には、日本のジャーナリストがピザを求め、押しよせている」

 マキトの眼が、パッと輝いた。
 ミスター・モリだ。マキトの親父の仕業だな。

「それくらいで、我が大統領がびくついたのかね?」

 サソリは再びつぶてを握った。

「つぶてで私と戦うつもりかね、アラムート」

 からかうような大佐の言葉に、サソリは寒気の走る笑いで答えた。

「君より私の方が、この使い方を心得ている」

 サソリは脅しをかけたが、大佐は岩のように立ったままだった。後ろ手にし、拳銃に手さえかけていなかった。

「我が国は今、瀬戸際に立たされている。外交上、これ以上のトラブルは許されない。それに」

 ここで大佐は、一息入れた。まるで、一瞬の沈黙を楽しんでいるみたいにさ。

「マキトの件について、大統領も驚いておられた」

「信じてるのかね、お人好しのマリクシャーフ」

 サソリはあざ笑った。
 そんなサソリを諭すように、大佐が言う。

「大統領が子供を人質にとるようでは、我が国もお終いだよ」

「そのお終いがきたのだよ。アブタヒールが大統領の椅子に腰かけていられるのは、君の腰抜け軍隊のおかげじゃない。私の秘密警察の力だ」

 サソリは力の源のように、つぶてをもてあそんでいた。
 一瞬、サソリがジンで、魔法の玉を持っているんじゃないかって気がした。バカなことだ!
 しばらくの間をおいて、大佐がしゃべった。

「大統領は君の駒じゃない。君が大統領の駒なんだ」

「その駒の後釜に座るつもりかね、司令官」

 尋問するようにゆっくりと、サソリが皮肉った。これには大佐もカチンときたらしい。

「私は軍人だ、君とは違う」

 腹立たしそうに大佐が言い返す。
 打って変わって、サソリは会話を楽しんでいるような、妙な余裕があった。

「親愛なる我らが大統領は、私を逮捕せよと言ったのかね。それとも殺せと言ったのかね」

「逮捕だ」

 サソリはむせび笑った。

「気をつけることだ、マリクシャーフ大佐。ファティマで逮捕されるのは、君だ。私を殺せと命令しなかった大統領の黒い腹を、君は気づかないほど愚かなのかね」

 主導権を握っているように、そしていたぶるように挑戦するサソリに、大佐は氷山のような沈黙をもって答えた。

「今すぐ私を放すことだ。でないとマリクシャーグ、銃殺隊の前に立つのは、私のナイフに誓って君だ」

「答える必要はないだろう」

 大佐は顔色を変えず、吐き捨てた。

「それに、私の部下は君の命令をきかんよ」

 自信を取り戻したようにサソリは言い、続けた。

「ファサドにも、私に忠誠を誓うトゥアレグ部隊がいる」

「それで?」

 大佐は、ひどく素っ気なかった。反して、楽しむようにサソリは言い募った。

「私が逮捕されたと知ったら」

「どうなるのかね?」

 冷ややかな大佐の問いに答えるように、続け様の砲声が響き、重い機関銃の咳き込む音が聞こえた。
 サソリは立って、窓を見た。

「これが私の答えだ」

 その言葉に、サソリは応えなかった。と言うよりも、耳にも入っていないらしい。食い入るような眼で窓を外を見た後で、サソリは絶叫した。

「マリクシャーフ!」

 口びるを震わせ、サソリはつぶてを落とした。銃声の中で、その音は迫撃砲のように断定的に響いた。

「トゥアレグの時代は終わったんだ。そして君も、過去の人間なんだよ」

 幕を下ろすように大佐は言い、本当にぴたりと銃声が止んだ。
 嘘のようにしんと静かになった部屋の中で、サソリから砂が崩れるように力が抜けていった。最後の一粒まで抜け落ちると、くずれるように椅子に腰を下ろした。

 サソリはいっぺんに年を取ったみたいだった。
 市場の外れで、うつろな眼でぼんやりなにかを見、口をもぐもぐさせている老人そっくりに弱々しく、小さくなった。

 だけど、俺は哀れだなんて、思わない。
 同情なんか、してやんない。
 こいつは親父達の仇なんだ。憎しみを込め、俺は奴を睨みつけた。

「君はファティマで、秘密軍事裁判にかけられる」

 サソリは無関心に聞き流し、眼を閉じた。口元のベールを上げ、眼だけ残して。

 裁判なんかで死刑になったって、ちっとも気が晴れるもんか。
 奴を、この手で殺ってやるんだ。
 サソリにつけられた鞭の跡ごと、胸がうずいた。

「君にいろいろ詫びなきゃならない。ファティマに戻り次第、君を日本に帰そう」

 大佐の声を利いて、オレはマキト達の方にちょっぴり気を向けた。もちろんサソリを睨んだままだが、それでもあいつが大喜びしているのは分かった。
 マキトは、もう夢心地だった。
 まごつきながら礼を言い、急にハッとして、あわてて言った。

「アルはどうなりますか?」

 初めて大佐は深い溜め息をつき、俺を見た。

「釈放するわけにはいかない。しかし、彼のことはファティマで考えよう」

 含みのある言い方だな。
 けど、マキトは張り詰めた気を緩めた。そこに慌ただしく大尉が飛び込んできて、敬礼するのももどかしく戦果を報告した。

「さぁ、ファティマに戻ろう」

 大佐はマキトを見て言った。

「司令官、やつらを攻撃中、司令官の飛行機が壊されました」

 大尉はひどくうろたえていた。

「警備してなかったのか?」

 厳しく、大佐が問い詰める。

「民間トラックが突進してきて、尾翼をぶっとばしたそうです」

 低い声でつかえ、つかえ、大尉はますますうろたえて言った。

「アラムートのヘリを使う」

 苦々しく大佐が言うと、大尉は真っ赤になり、いっそこの場から消えたいと言わんばかりに身悶えした。

「ヘリのパイロットは」

 大佐の二倍の太さの大尉は、かき消えそうな声をだした。

「殺されました」

 洪水のような弁解など、誰も聞いてはいなかった。誰の仕業なのか、俺達は四人ともピンときた。
 大佐は眉も動かさずうろたえきった部下を見下ろし、サソリは笑った。

「キツネだよ、キツネの仕業だ」

 おもしろくておもしろくてたまらない、と言った感じで、サソリの笑いは止まらなかった。マキトは口笛を吹き出さんばかりに嬉しそうだし、俺も笑いをこらえきれなかった。
 ドクターときたら!

 城砦で爆発音が聞こえた。大尉は鉄砲玉のように飛び出した。わめき声が行き交い、すぐ大尉は顔だけのぞかせ、うつむいて報告した。

「通信室をやられました」

 大佐はやっぱり顔色を変えなかった。ファサドの全兵力を上げて、ファティマまで護衛するように命令しただけだった。

「よすんだな、司令官」

 突然、サソリが横槍を入れた。

「それがキツネの狙いだ。キツネは砂漠で待ち構えている。ここで、アトラス
からの援軍を待つんだ」

 言いたくないけど、当たってら。
 だが、大佐は不愉快そうにしゃべった。

「いつから軍人になったんだ、アラムート。君の専門は、尋問ではなかったの
かね?」

 それと人殺しと、脅し方の、な。

「ゲリラが攻撃をかければ、この兵力では守り切れない。しかも、市民に多く
の被害が出る」

「戦争に被害は付き物だ。やつらを盾にするんだ、マリクシャーフ。それ以
外、勝ち目はないぞ」

 サソリは焦れったそうにいい、縛られた両手で机を叩いた。
 大佐は完全に無視した。

「マリクシャーフ!」

 サソリは命令するように叫んだ。大佐は机に近づき、サソリを見下ろした。
こめかみが膨れ上がり震えているが、声は落ち着いていた。

「私と君の違いが、まだ分からんのかね?」

「いいだろう」

 激しく、サソリは言った。全然、いいっていう口調じゃない。

「もしファティマに無事につけば、この借りは必ず返すぞ、マリクシャーフ。
私を生かしたミスを、充分後悔させてやる」

 大佐の答えは素っ気なかった。

「だとしてもアラムート、私の答えは変わらんよ」

 サソリは眼を閉じた。

「君のそのばかげた勇気を、低く見過ぎていたようだ」

「低く見過ぎていたのは、他にもあるようだな」

 からかうような大佐の言葉にも、サソリは眼を閉じたままだった。
 これが、サソリか?
 俺は急に力が消え失せたようなサソリに、失望を感じながら立っていた。                   《続く》

15に続く→ 
13に戻る
目次に戻る
小説道場に戻る

inserted by FC2 system