『霊幻道士 キョンシー大戦争 後書き』
 

 このお話はまだ昭和の時代、キョンシーブーム真っ最中の頃に書かれた……と思われる作品。
 かなり改編しまくって書いているので、捏造度は60%以上でしょうか。

 典型的な表紙詐欺な作品で、カラーの表紙は少女漫画タッチでナムとミンミン、ベビキョンが大きく描かれており、リー・ロンは背景に紛れ込みそうな小ささでした。しかも、ウー・ロンの乗った気球のロープにぶら下がっているという情けない姿でした(笑)
 が、内容のイラストは少年漫画タッチで絵柄が全然違っとりました。

 ま、筆者は内容イラストの方が好きだったからいいようなものの、もし表紙買いしていたのならばその場で投げ捨てかねないぐらい、差が大きい作品でしたとも。

 それはさておき、霊幻道士見習いのナムとして横浜のデパートを舞台にキョンシー退治を行うというこのゲームブックは、一種のパニックホラー物で攻略に失敗するとキョンシーが無限増殖してしまうというシャレにならないラストを迎えるバッドエンドが用意されていました。
 そして、冒険ゲームブックには珍しくダブルヒロインもので、ストーリーの進行具合によってチャイナガールなミンミンか、ボーイッシュなリー・ロンかといい感じになれるというハッピーエンド。

 が、ハッピーなエンドのようでいて、師匠からは女の子にうつつを抜かすなとしかれれたり、リメイク版でそうしたように両手に花ながらも女の子達の張り合いに挟まれて苦労するというパターンでしたね。
 霊幻道士でありながら、霊術よりもクンフーがお得意なナムはインディ=ルルクに似たコミカルで明るいストーリーが魅力的な作品で、筆者のお気に入りゲームブックの一つです。

 しかし、一人称で活躍するキャラなだけに、延々一人ぼけと一人ツッコミをさせるのがちょっと辛いので、相方として支配人の息子藤堂高虎を付け加えました。
 彼は言うまでも無くオリジナルキャラです。

 お調子者で元気いっぱい、物事を引っかき回すけど余り役に立たないキャラは書いていて楽しかったです。
 ついでに言うと、ナムの師匠は本編にも登場しますが、出番がすごく少なくてキャラ設定はせいぜい「頑固な老人」レベルの描写でした。兄弟子に至っては出てもいないので、こちらもオリジナルキャラです。

 双葉社ゲームブックにしては珍しく、現在を舞台にしたお話だったので時代背景を令和に設定して描き直した結果、一番の違いは登場人物がスマホを持っているかどうかでしたね。
 昭和期には当然存在していなかったのですが、ゲーム内では師匠のせいでナムは機会全般に弱く、それをフォローする形で高虎、兄弟子が活躍しています。

 また、霊幻道士の知識に関しては、当時流行った映画やドラマを元にしてあります。もっとも、ネットで軽く探した結果、バンバンシーが人間に戻れるという話はそこでしか見たことがないので、元にしたドラマ自体がかなりの捏造度だった疑いが……。
 ま、まあ、キョンシーの記録ってかなりいい加減な物やあやふやな物が多いので、そこにさらに捏造を加えてもさして問題は無いでしょう……多分(笑)

 最悪バッドエンドコースにずいぶんと心を引かれたせいで、話を長く中断することになりましたが、結局、最後にはハッピーエンドの王道ストーリーにしてみました。
 ですが、バッドエンドもなかなか面白かったので、おまけとしてバッドエンドも載せて起きます。

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