『霊幻道士 キョンシー大戦争 おまけ その2』

 

『着地失敗エンド』

 おいらは空中で回転し、着地し……ようとした……。
 しかし、さすがの霊幻道士の修行も、地上15階からの落下で安全に着地することまではできなかった。

 なんとか前進をバネにして着地することはしたのだが、その衝撃で足の骨がバラバラに砕けてしまったようだった……。
 おいらは甲高い救急車のサイレン音を、薄れゆく意識の中で聞いたような気がした。  END

 



 

《おまけの後書き》

 これは壱章で15階から落下する際の失敗エンドですね。
 ストーリー内では、一番最初のバッドエンドかもしれません(笑)

 でも、これだとナムがキョンシー騒動には一切関わらないので、宝石が盗まれるかもしれないけれどデパートがバンバンシーだらけになることはなさそうですし、案外平和なエンディングかもしれません。 


『無能護衛エンド』

 しかし、誰がウー・ロンやら見当もつかない。デパートの方でそっちの方は手配しているはずだから、任せることにしよう。不審な客がいたら、そっちの方で見付かるはずだ。

 おいらはカードの他に、何か手がかりが残されていないかを調べた。カードだけでは、ウー・ロンの居場所が分からない。

 ……しかし、いくら探してもウー・ロンの手がかりは見付からなかった。さっき会場に居た客達からも、不審なものは見付からなかった。捜査は完全に行き詰まりの状態に陥ってしまったのだ。

 ウー・ロンの捜査が一歩も進まないうちに、キョンシー展は終わりを告げ、おいらは故郷の中国に戻ることになった。

 事件は結局、デパート側が凄まじい額の賠償金を払うことで終わった。
 ……おいらは悔しい思いを噛みしめながら、帰りの飛行機に乗った。  END


《おまけの後書き》

 これもかなり早い段階でのバッドエンドで、ウー・ロンの追跡に失敗してしまった場合の終わりです。この場合は、ウー・ロンとリー・ロンは気球で悠々と脱出成功したんでしょうね(笑)

 特に描かれていませんが、中国に帰った後はお師匠様にさぞこっぴどくしかられたことでしょう。


『無能怪盗エンド』

 だが、二日が過ぎ、三日が過ぎ、キョンシー展が終わっても、ついにウー・ロン一味からは予告状一枚送られてこなかった。

 おそらくヤツらは、おいらの実力に恐れを成して諦めたのだろう……いや、そうでないにしても、もっと魅力のある獲物を見つけて、もうそっちの方に興味がいってるのかもしれない。

 いずれにしろ、楼蘭玉はおいらの手によって、無事に故郷の中国へ帰っていった。
 くっそぉー、ウー・ロン。いつか必ず捕まえてやるぞ!! END


《おまけの後書き》 

 こちらは前回とは逆に、ウー・ロン達が極端にやる気が無くなり、途中で行動を止めてしまったエンディング。

 楼蘭玉だけは無事に取り返した者の、犯人は捕まえられずに逃がしてしまっています。なんだか、うちきり漫画のような『オレ達の戦いはこれからだっ』的な半端感の残るエンディングです。



『怪盗勝利エンド』

 結局、ウー・ロンの足取りをつかめぬまま、事件は迷宮入りしてしまった。
 楼蘭玉盗難の責任を取らされて、支店長はクビ。ごめんね……。そしておいらは、先生から国際電話で破門を申し渡されてしまった。

 国の噂によると、ウー・ロンは中国本土へ逃亡してしまったとか……。となると、もう、こりゃどうにもならないというわけだ……。
 残念無念。くやしいなァー。ウー・ロン、この仇は必ず取るぞぉ――っ!!  END


《おまけの後書き》

 こちらも捜査失敗ENDですが、楼蘭玉を盗まれたかどうかが大きなポイントになっています。このゲームブックでは、人を助け損なったとしても即バッドエンドにはなりませんが、最重要アイテムである楼蘭玉を無くしてしまうともれなくバッドエンドになります。


『ポンに敗北エンド』

 ヒュイン!
 ポンの耳元を掠める銭剣!
 あちゃーっ! 焦りすぎて、コントロールをしくじっちゃ……

 ドゴォッ!
 ポンの死に物狂いの突進!

 まともに喰らったおいらは、こともあろうに大きな窓ガラスに吹っ飛ばされた――!
 そのまま、ガラスの破片もろとも地面に真っ逆さま。なんてこったぁ……。  END


《おまけの後書き》

 銭剣を使ってポンを戦い、負けると発生するバッドエンドですね。
 しかし、キョンシーと戦ったのに死因は落下死になっているっぽいです。


『デパート炎上ルート』

 デパート内部には、まだかなりの生存者が残っていた。キョンシーに襲われていても、傷が軽い人間はまだ助かる見込みがある。
 おいらは傷ついた人達を応急手当てし、キョンシーらに襲われないように注意しながら彼らを先導した。

 全フロアを回ってみて見付かった生存者は、総勢32名。その中には、このデパートの支店長の姿もあった。金庫を持ち出そうとして、逃げ遅れたらしい。おいらに助けられて、支店長はばつが悪そうに頭をかいていた。

 後は、ほどんどが家庭の主婦という感じだった。全員、思いがけない事態に怯えている。

 おいらが先導して一階の出入り口に行く間も、二回バンバンシーが襲いかかってきた。どちらも一体ずつしか現れなかったので、これ以上の怪我人も出すこと泣く撃退することが出来た。

 全員でデパートを脱出して、おいらは支店長にこの件のけりをつける方法を話した。

「な、なんだって! ……なにも、そこまでしなくても……」

 支店長はその方法を聞いて、泣きそうな声を上げた。





 おいらが考えた方法とは、デパート事燃やして中に居るキョンシーとバンバンシーを一気に全滅させようというものだった。

「そ、それだけは……。他に何か方法はないのかい?」

 支店長は本当に泣き出しそうだった。
 しかし、他にいい方法もない。デパートの中には、何体のバンバンシーがいるか分かったものではない。

 全部を眠らすのは不可能なことだし、 一気に始末しなかったら……何らかの方法でキョンシーがデパートの外に出た時、もっと大変なことになってしまう。
 支店長には悪いけど、ここは強行するしかない。

「残念ですが、ここまで大きな事件になってしまった以上、他に方法はないでしょう。何か、火事を起こすいい方法はありませんか?」

 おいらの返事に、支店長はうな垂れた。
 自分の手でここまで大きくしてきたデパートなのだ。辛いだろうし、火事を起こすのも大変なことだ。しかし、キョンシーの怖さも知っている支店長はやがて決心し、火事を起こす方法を教えてくれた。





 おいらは再び、デパートの中に侵入した。
 電気系統を制御している部屋へ行き、開戦をショートさせるためだ。書籍売り場など、燃えるものが多くある階の開戦をショートさせれば、比較的簡単に火事を起こすことができるだろうというのが、支店長の意見だった。

 おいらはまず非常の消火システムを破壊し、さらにクーラーと照明の電源をショートさせた。

 ――ポン! 
 と言う音と共に、部屋の電気が消えた。電源の辺りで激しい火花が散っている。
 おいらは再び脱出した。






 すでに陽が落ち、周りのビルや海の方できらめく灯りの中、双葉デパートは窓から炎を噴きだして燃え始めた。風が吹いてないので火が燃え広がる心配はほとんど無かったが、炎に包まれるビルの姿は美しくもあり、恐ろしくもあった。

 支店長はその炎を見ながら、へなへなと座り込んでしまった。
 しばらくの後、大きなサイレン音と共に四方から消防車がやってきた。


《おまけの後書き》

 これは正確に言えば、バットエンドではありません。バッドなルート選択の一つだったりします。
 デパートにバンバンシーが蔓延してしまったけれど、かろうじて生存者を救出でき、デパート封鎖が間に合った場合のルートの一つです。

 なんと、バンバンシー達をデパートごと燃やしてしまうと言う恐ろしいまでに非情なルートなのですが、筆者は最初はこのルートを使う予定でした(笑)

 そのために、火災に積極的に力を貸してくれるキャラとして、高虎を設定したのですが……結局、意味が無かったですね。
 また、原作では支店長だったのですが、なんとなく支配人に変更しました。

☆おまけ3に続く→ 
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