『瞳の宝玉』(2021.9.3)

  

《粗筋》

 肩から多量の出血をし、倒れたまま動かないダイ。それを見ながら、バーンは言った。

バーン「これからジワジワと、余の溜飲を下げていくとしよう」

 レオナに目をやり、余興を思いついたと言って自分の配下になるよう宣告するバーン。
 さすがに怯え、息をのむレオナ。
 その声が聞こえているのかいないのか、ダイは動かないままだ。

 身を縮め、自分を庇うかのように手を胸の前で抱え込むレオナ。そんなレオナに、バーンは地上破滅後もレオナだけは生かしておくと言った。
 地上の希望が破れるのを見届け、終生、大魔王の恐ろしさを語り続ける魔界の歌姫になれ、と――。

 ただダイ達を皆殺しにするよりもその方が何倍も楽しめると、悪魔的な提案をレオナはただ目を見張って聞いていた。
 が、問いかけられ、ハッとしたように勝ち気な表情を取り戻す。

 誰がそんなことを、と強い口調で否定するレオナ。
 ダイがもし死んだら、自分も生きてはいないと言い切り、最期まで勇者と戦う覚悟を宣言する。

 それを聞きながら、ダイは必死に起き上がろうとしていた。うつ伏せのままの手や身体が、小刻みに震えている。
 片手だけの力で辛うじて顔を上げ、ダイはレオナの名を呟く。

バーン「健気な……その若さで、そこまで強い精神力を持った者には今まで出会ったことがないわ……ますます気に入ったぞ」

 ゆっくりと手を伸ばしたバーンは、レオナの肩を掴み、強引に振り向かせた。苦痛の表情を浮かべながらも、抗えずにバーンと共に振り向かされるレオナ。

バーン「だが、見よ! あのダイの姿を」

 レオナに倒れたダイの姿を見せつけ、今の時点でも半死半生のダイは『もし』などではなく確実に死ぬと宣告した。
 それを悔しそうな顔で聞いているダイだが、実際、それ以上起き上がることも出来ないでいる。

 怒りの表情でバーンを見上げようとしたレオナの頭を、バーンは乱暴に鷲掴んだ。そのまま前に突き出されてしまう。

 同じ殺すのなら、バーンはダイが完膚なきまでに打ちのめされることを望んでいる。自分の限界を知り、バーンの偉大さを知り、愛する人間の本性を見て、真の絶望を味わった後に死ぬべきだ、と。
 強引にレオナを前に突き出し、バーンはさらに命じる。

バーン「さあ、姫よ、目を開けてよく見ろ! 勇者ののたうち、くたばる所をな!」

 バーンの手に、魔法の光が生まれる。
 ハッと目を見開き、頭を動かせないながら目を横へ向けるレオナ。ダイもまた、それに気づいて顔色を変える。

 全身から黄色味を帯びた魔法力を迸らせ、手の上に球体の魔法を作り出すバーン。
 驚くべきことに、その光は一瞬のうちに無数に増えた。
 手を高く掲げるバーンを中心に、幾つもの光の球が浮かび上がる。バーンが腕を振り下ろすと同時に、無数の球が一斉にダイめがけて飛んでくる。

 ハッとして、ダイはようやく完全に身を起こした。が、座った姿勢のまま魔法の直撃を受け、投げ出される。
 そのまま右に転がっていくダイを追いかけるように、魔法の球が飛んでいく。

 なんとか一箇所に停止していたダイは、その魔法を止めるために今度は自分の意思で右に大きく転がり、魔法を避けた。
 しかし、続け様に飛んでくる魔法の連続。
 ダイは左へ、右へと自ら転げ、時に爆風に飛ばされながら、なんとか直撃だけは避けていた。

 魔法の連発で、周囲が煙に覆われ視界が塞がれる。
 レオナはダイの名を叫ぶが、バーンは視界の利かない煙の中に容赦なく魔法を叩き込んだ。






 
 レオナには見えない煙の中で、ダイは必死になって転がり続けていた。しかし、逃げても逃げても魔法が何発も放たれる。ついさっきまでダイが居た場所に、魔法の着弾が当たり、新たな爆炎を呼ぶ。






 バーンは笑いながら、魔法を放ち続けた。
 本当に立てないのかとダイをからかい、芋虫のように転がっているだけなのかと笑う。

 ダイには、答えるだけの余裕すらない。
 爆炎の合間に、跳ねるように転がるダイの姿が見え隠れするのみだ。魔法が当たり、悲鳴を上げるダイ。
 それを、面白そうに眺めるバーン。

バーン(やはり、カラミティエンドが強力すぎたか?)

 倒れ、動けなくなったダイに、またも魔法が直撃する。
 大きく投げ出されながら、ダイは必死に思う。

ダイ(ダメだ、身体が言うことを利かない! 動けっ、反撃を!)

 だが、どんなに強くそう考えても、心と身体は別物だった。
 床に無様に落下したダイを、再び魔法が襲う。
 今度は背中に直撃し、押し殺した悲鳴を上げるダイ。それを見ていたレオナも、思わず目を閉じて呻いてしまったが、その直後、ハッとしたように目を見開く。

レオナ(ダメよ、目をそらしちゃ……ダイ君の苦痛から目をそらしたりしちゃいけない。あたしも、戦っているんだから!)

 目を見開き、なんとかしなければと必死に思いを巡らせるレオナ。大魔王に対して、何かを……それだけで、ダイの痛みがわずかでも軽くなる。
 その時、急に左の方から光が強まった。
 ハッとして、そちらに目を向けたレオナが見たものは、バーンの掌から炎の塊が生まれる瞬間だった。

バーン「今度はこれだ」

 うつ伏せに倒れ込んだダイに向かって、バーンの手から巨大な炎の鳥が生み出される。
 手を踏ん張り、なんとか顔を上げようとするダイ。
 だが、その前にバーンは声も高らかに叫んだ。

バーン「カイザーフェニックス!」

 その瞬間、レオナは険しい目をバーンに向ける。
 並外れた炎が、一瞬でその場を赤く覆い尽くした。鳴き声を上げ、炎の鳥は生きているかのようにダイめがけて一直線に飛ぶ。
 うつ伏せたままのダイは、わずかに顔を上げてその光景を見ることしか出来ない。

 驚愕に見開かれたダイの目の中に、炎の鳥の姿が映り込み、踊る。
 だが、フェニックスはダイに当たらず、彼の上を通り過ぎてしまった。それを見て、わずかに目を見張るバーン。

 炎の鳥は背後の壁に当たり、虚しく四散した。
 攻撃したバーンの手の先には、相変わらず倒れたままの……だが、今の攻撃からはノーダメージのダイの姿があった。

 信じられないものをみるように、しばし、それを見やるバーン。
 その目が、ゆっくりと左側……レオナの方へと向けられる。
 かすかに、水のしたたる音が響く。そして、激しい息づかいがそれに重なった。

 見れば、パプニカのナイフから『何か』がしたたり落ちていた。そのナイフを身がまえているのは、ほっそりとした少女の手だった。
 肩で息をしながら、ナイフを身がまえるレオナの頬に汗が伝う。

 レオナの姿を見てから、驚いたように自分の左手を確かめるバーン。
 みれば、二の腕に傷がつけられていた。

レオナ「どう? 女の子に傷をつけられた心境は……大魔王さん」

 ナイフを構えたまま、不敵な笑みを浮かべてレオナは強気に言い放った。
 大魔王を前にしながら、レオナはダイの方を向き、彼に言い聞かせるように叫ぶ。

レオナ「ダイ君も見たでしょ!? ギガストラッシュでも斬れなかったバーンの身体だって、全神経を注いでいなければ無敵の強度を保っていられない!」

 自分にだって傷をつけられたのだから、この世に絶対に無敵の存在なんてないと強く主張するレオナ。
 その言葉を聞いているのかいないのか、バーンは血のしたたり落ちる自分の腕を見つめていた。その表情は、影になって見えない。 

 レオナの言葉に、ダイは力を振り絞って顔を持ち上げる。

レオナ「これでもあたしを生かしておけるものなら、勝手にしなさいよ。でも、お望み通り終生言いふらしてやるから! このあたしは天下の大魔王バーンに傷を負わせた、世界最強の女の子よっ、てね!」

 どこまでも強気にそう言い切るレオナには声をかけないまま、バーンは静かに自分の腕を下ろす。
 だが、その後でレオナを見やった目には恐ろしい程の冷たさがあった。

 その目を見て、ハッとするダイ。

ダイ(いけない……! 立てっ、立つんだ……っ! おれが立たないとレオナが……っ)

 焦り、歯を食いしばりながら立とうともがくダイ。
 怪我をした方の手を強く握りしめ、それを地面に押しつけてダイはようやく立ち上がる。
 苦痛のあまりか叫ぶダイの声を聞いて、レオナは振り返った。

 痛そうに肩を押さえながらも、ダイはよろめく足で一歩踏み出した。バーンを睨みつけ、そのまま走り出すダイ。

ダイ「レオナーーッ!」

 ダイに注目していたレオナだが、バーンの方から光を感じてそちらに目をやる。
 見れば、バーンの額の第三の目から眩い光が輝きだしていた。
 強まった光は一点に収束し、レオナを打ち抜く。

 その光景に、目を見開くダイ。
 それは、まるで時間がゆっくりと流れているように見えた。
 胸元を貫いた金色の光に、レオナも驚きに目を見開いたままゆっくりと倒れていく。

 力なく倒れるレオナに向かって、手を伸ばしながら走るダイ。だが、その動きはもどかしいほどに遅かった。
 バーンの額の目が、明らかな意志を持ってレオナを睨んでいた。

バーン「後悔しろ……もう抵抗も……喋ることもできん」

 必死にレオナの名を叫ぶダイ。
 だが、それに応じる間もなく、レオナの身体が雷光に包まれる。レオナの全身が光ったかと思うと、不意にその姿が消え、不気味な赤い宝玉が落下して床に転がった。

 固い音を立てて転がった宝玉を、呆然と見つめるダイ。レオナが玉になったと戸惑うダイと違い、バーンは落ち着き払った声で語りかけた。

バーン「気分はどうかな、レオナ姫」

 驚き、改めて玉を覗き込むダイ。
 よく見れば、玉の中にはレオナの姿があった。それを見て、レオナの名を呼びながら玉を拾おうとするダイだが、バーンに思いっきり蹴り上げられ、後ろに倒れてしまう。

 仰向けに倒れ込んだダイを無視して、玉を拾い上げるバーン。玉を覗き込んだバーンは、ニヤリと笑う。







 赤みがかった玉の内部では、レオナはただ焦りを感じていた。
 ここがどこなのか、自分がどうなったのか……それさえも分からない。叫ぶ声も、声にはなりきっていなかった。






バーン「殺しはせん。余の身体を傷つけたのだからな」

 死ぬ以上の苦しみを味わわせなければ気が済まないと、バーンは説明する。
 レオナはバーンの魔力で『瞳』と呼ばれる宝玉にされた。見る、聞く、考えるの三つの行動しか許されず、身動きも出来なければ声も外へは届かない。
 眼前で凄惨な光景が繰り広げられようとも、目を背けることすらできない――。

 呻きながら、立ち上がろうとするダイ。
 だが、ダイには見向きもせず、瞳の中にいるレオナを尊大に見下すバーン。自分の状況を思い知ったレオナの顔に、怯えが浮かぶ。

 バーンはレオナの宝玉を握りしめながら、ダイに向き直って再び第三の目を光らせた。
 光の直撃を受けて、驚き、腕で目を庇うダイ。

 ダイの身体にも雷光がまとわりついていたが、それ以上の変化は無かった。戸惑うダイに、バーンは『よかったな』と声をかける。
 激しく傷ついたとは言え、まだまだ余と戦う資格がありそうだと言いながら、バーンは無造作に玉を放り投げた。

 それを驚きの視線で見るダイ。
 コロコロと転がる玉は、少し離れたところで止まった。






 玉の内部では、レオナは必死になってダイに呼びかけていた。だが、その声はダイには届かない。






ダイ「レオナ、待ってて!」

 周囲を見回したダイは、自分の後方にダイの剣が落ちているのに気づき、それを拾って立ち上がる。
 しかし、怪我をした右手は力が入らず、だらっと垂らしているだけだ。
 そんなダイに対して失笑し、バーンは転がった玉に向かって声をかける。
 
バーン「そこで見ているがいい、姫よ。勇者が絶望的に打ちのめされる様を……」

 共に戦うことも、自ら命を絶つことも許さないとバーンは告げる。
 地上の指導者として、これ以上の屈辱はないと分かっているのだ。






 玉の中で、悔しそうにそれを聞いているレオナ。







バーン「永遠に余に忠誠を誓う気になったら、元に戻してやろう」

 高笑うバーンに、ダイは今すぐ戻せと怒鳴りつける。
 ならば自分の魔力を断つように忠告するバーン。自分を倒せば元に戻る……が、その身体ではまず無理だとバーンは言った。
 
 満身創痍ながらも、ダイはバーンを倒す方法を考えだす。
 バーンを今この場で倒さなかったら、レオナが――しかし、バーンの天地魔闘の構えは完璧で、全く隙が無い。

 そこまで考え、ハッと何かに気づくダイ。
 バーンもそんなダイの変化に、敏感に気づく。

ダイ(そうだ……全く隙がないなら、いっそ……)

 武器を構え直すダイを見て、何かを思いついたのかと注目を強めるバーン。
 しかし、ダイは自分で自分の首を振って否定する。

ダイ(だけど……おれ一人じゃ……)

 らしくもない弱気な表情を浮かべるダイに、バーンは反撃を思いついたのでは無かったのかと、余裕たっぷりに問いかける。

バーン「まあ、どちらでもいいがな」

 そう言いながら、バーンは手刀を顔の前に構えた。手が、刃物のように光り輝く。

バーン「なぶり殺されることに変わりは無い……!」

 バーンの手刀が、カラミティエンドだと気づくダイ。
 バーンは笑いながら、驚くことはないとたしなめる。
 天地魔闘の構えを取らなくても、カイザーフェニックスやカラミティウォールを使えたように、カラミティエンドも随時使用できる。

バーン「戦闘意欲を失った相手にもはや奥義は必要あるまい」

 危機を察知し、後ろへと後ずさるダイ。が、バーンは手刀で攻撃を仕掛けてきた。
 凄まじい速さで切り込んできたバーンの手刀を、ダイは剣でなんとか受け止める。
 まるで金属同士がぶつかったような、堅い音が響き渡った。

 とっさに後ろに逃げようとするダイを、バーンはさらに追い詰める。二撃、三撃と連発する手刀を、ダイは剣でなんとか防御するだけで手一杯で、反撃も出来ない。






 完全に押されているダイを、レオナは瞳の中から見ていた。
 ダイがもう立っているものやっとだと分かるだけに、こんな時に何もしてあげられないと嘆き、見ているしか出来ない自分に絶望するレオナ。







 バーンはレオナの玉の方を横目で見ながら、高笑う。

バーン「よしよし、感じるぞ、姫!! そなたの苦悩を! それが一分でも、一秒でも長い方が……面白い!!」
 
 バーンの手刀が、ダイの足を撫でぎった。太股の辺りを切られ、絶句するダイ。
 吹き飛ばされたダイは、足を押さえて悲鳴を上げる。血の染みが、ジワッと広がった。

 動きの要を失ったダイに、バーンは歩いて近寄ってくる。
 見せびらかすように手をかざすバーンは、今までのはただの手刀に過ぎないといい、カラミティエンドとは渾身の力を込めて放つ攻撃のみだと説明する。
 その言葉を証明するように、手に金色の光を集めるバーン。
 瞳の中からレオナが叫ぶが、その声は外には届かない。

バーン「二発目……耐えられるか!?」

 喜々として、腕を振り上げるバーン。
 苦痛に顔を歪めているダイは、身動きも出来なかった。気迫のこもった息吹の後、バーンは必殺のカラミティエンドを放つ。
 渾身の一撃が、視界を金色に染めた――。







 その一撃は、まるで爆発のようだった。
 ダイの居た場所に切りつけられた手刀は、裂帛の光を持ってその場を破壊し、盛大な土煙を上げた。

 だが、攻撃を終えたバーンは立ち上がり、何も見当たらないクレーターを無表情に見つめる。
 煙が薄れる向こうに、ダイ以外の者の足が見えた。

???「……ご面倒だがよ、大魔王さん」

バーン「貴様……」

 殺気だった目を、声の方に向けるバーン。
 そこには、ダイを庇うように抱き寄せたポップを中心に、勇者一行のメンバーが勢揃いしていた。
 ちょうど煙が晴れ、太陽の光が彼らを照らし出す。

ポップ「おれ達全員を倒さなきゃ……ヘッ、ゲームオーバーにはならないぜ」

 ポップやみんなが来たことに安堵してか、ダイも、瞳の中のレオナも笑顔を見せる。
 ポップが手を離すと、ダイはよろめきながらもちゃんと自分の足で立ち直した。

バーン「雑魚どもめが……うざったい!」

 不機嫌に叫んだバーンの第三の目が、輝いた。

ダイ「ダメだ、みんな! あの目は……っ」

 ダイの忠告に、ポップ、マァム、チウは反応しようとするが、遅かった。黄金の光が、勇者一行を飲み込むように輝く。その光が通り過ぎた後には、五つの赤い『瞳』がコロンと床に散らばっていた。

 それを見て、面白がっているように笑うバーン。
 やはり息も絶え絶えでここまで昇ってきた者が多かったようだと蔑み、バーンは自分と戦う資格がある者を指さす。
 ダイ、ポップ、アバン、ヒム、ラーハルトの五人のみ。

 バーンを睨みつけているダイ以外は、床に転がった玉を驚いたように見つめていた。
 どうなっているんだと混乱気味に尋ねるヒムに、ダイはバーンの第三の目の力により、彼と戦うまでもない相手は玉にされてしまうことを説明する。

ダイ「さっき、レオナも……」

 ダイの目が、離れた場所に一つだけ転がっている玉に向けられる。驚き、仲間達がこの中にと玉を見るポップ。






 玉の中で、ヒュンケルはバーンの魔力の恐ろしさを実感していた。
 マァムは不安定な姿勢のまま、小さく呻く。
 クロコダインは、ここまできて役に立てない無念さを噛みしめていた。
 チウは、出せと騒いでいた。
 ブロキーナは、ただため息を一つつく。






 五つの玉を見つめながら、ポップは思う。
 ヒュンケルは元々重傷、マァムと老師はミスト戦のダメージが残っている。クロコダインとチウは悪いがレベル外と解釈するポップ。
 クロコダインとチウのレベル差は相当なものだが、大魔王から見れば二人とも差があるのには変わりは無い。

ヒム「中でちゃんと生きているのか!?」

ダイ「うん……何も出来ないけど……」

 心配そうなヒムに対して、答えを返すダイ。

ポップ「……ありがてえ、むしろ好都合だぜ」
 
 ポップのその発言に、みんなが驚いた表情を見せる。特にヒムは仲間がやられたのになんとも思わないのかと、怒りを見せる。

ラーハルト「見下げ果てた奴だ……」

 ラーハルトも、侮蔑の感情を隠さない。が、ポップは二人には構わず、呆然としているダイに問いかける。

ポップ「元には戻るんだろ?」
 
 バーンを倒せば戻ると言っていたと伝えるダイ。ポップはバーンへ目を向けながら言う。

ポップ「相手は大魔王……傷ついた仲間を庇っている余裕はねえ!」

ダイ「ポップ……」

 不安げにポップを見上げるダイ。
 玉の頑丈さについて予測するポップを、アバンは冷静な目で見守っていた。

ポップ「見たところ、あの玉はそうそう簡単に壊れるシロモノじゃねえようだ。マァムや姫はむしろ安全、目の前でバタバタ死なれてこっちが動揺を誘われる心配もねえ。
 残酷な言い方だが、奴を倒すまではこのままの方が戦いやすいぜ!」

 断固たる決意を込め、ポップは言い切る。だが、どんなに強く決意していても、その目にはわずかな揺らぎがあった。

 しかし、確かな説得力を持つその言葉に、ヒムは一瞬驚いた後で納得の表情を浮かべる。ラーハルトもまた、小さな微笑みを浮かべていた。

ヒム「いつも人一倍喧しいから、もっと人情家かと思っていたが……結構クールじゃねえか」

 振り返り、時と場合によると言い返すポップ。

ポップ「どのみち、大魔王に負ければ地上に明日はねぇ! 玉にされた仲間だって、戻りゃしねえんだ……!」

 敵を睨みながらそう言うポップの横顔を見て、ハッとするアバン。
 ポップの顔にだぶるように、マトリフの幻影を見いだす。

アバン(マトリフ……!?)

ポップ「奴に勝つためなら……みんなを救うためなら、おれはどんな手でも打つぜ!」

 その言葉を聞いて、アバンは悟る。
 自分がいない間、ポップがマトリフに師事していたのだと。
 わずかに姿勢を正したアバンは、まるで昔のようだと思う。

 ポップの姿に、マトリフの姿が重なって見える。
 いつしか、アバンは若い頃のことを思い出していた。ちょうど、自分の隣にマトリフが並んでいた時のことを――。

 マトリフが傍らにいるのと同じような存在感を感じるアバン。
 昔を懐かしみ、横を見たアバンは一瞬、マトリフの幻を見る。かつて、自分の隣にいた魔法使いの姿を……。
 が、今、そこにいるのは敵を真っ直ぐに見据えているポップだった。

アバン(知らぬ間に……大きくなるものだ、どの子も……)

 穏やかに弟子を見つめるアバンの目は、どこまでも優しい。

 一方、ポップは身がまえ直して、自分で自分に『クールになれ』と言い聞かせていた。
 今こそ、師匠のように戦う時だと考えるポップ。

ポップ(敵がメドローアを弾ける今、おれが自慢できるものといったら……何度もみんなと死線を越えてきた、この小賢しい頭ん中しかねぇ!)

 揺れていたポップの目に、強い光が宿る。
 身がまえるダイ、ポップ、アバン、ヒム、ラーハルト。
 それを見たバーンは、余裕綽々にギャラリーは多い方がいいと言う。地上の希望、勇者ダイがくたばるところを見せつけるつもりでいるバーン。

バーン「だが、それは誇るべきこと」

 バーンが軽く手を上げただけで、周囲に大きな音が響き渡った。異変を感じ、あちこちに目をやる一同。

 ただでさえ壊れていたバーンパレスが、さらに激しく壊れ始めた。瓦礫が音を立てて落下していく。それから身を守り合うかのように、『瞳』がわずかに寄り集まった。

バーン「うぬらは、歴史の証人となるのだ」

 手を上へと振り上げるバーン。
 真っ直ぐに上に伸ばされた手は、大きな割れ目越しに見える青空に向かって伸ばされた。

バーン「天よ、叫べ!」

 その言葉と共に、文字通り天が動いた。
 半壊した天魔の塔を中心に、不意に雲が渦を巻いて青空を真っ黒に染めてしまう。







 それは、地上でも同じだった。
 真っ黒に染まった世界の中で、ミナカトールの魔法陣だけが輝いている。
 まだ魔法陣の中にいる数少ない人間達は、みんなが上を見上げていた。闇はどんどん深くなり、まるで夜のようになる。

 が、鋭い雷がその闇を引き裂いた。
 驚いたようにそれを見上げるフローラ、バウスンン、ノヴァ。雷に驚いているバダックや、少し離れた場所にいるロン・ベルクの姿も見える。

 







 威厳は、テランからでも目撃できた。
 窓際から、真っ黒く染まった空と、遠くで光る雷鳴を見つめるテラン王。彼を支えているのは、兵士のカナルだ。
 激しい稲光を、テラン王達は驚愕の目で見つめるしかできなかった。







 バーンパレスでは、バーンは手を思い切り振り下ろしていた。

バーン「地よ、唸れ!」

 巨鳥に似たバーンパレスが揺れ動く。






 同じ頃、ロモス。
 地震に驚くロモス王や兵士、本をしっかりと胸に抱え込んだ重臣らの姿があった。







 同じ頃、ベンガーナ。
 窓際でワインを嗜んでいるベンガーナ王。が、閉められた窓の向こうは雷鳴が激しく明滅し、大臣や兵士は驚いたようにそれを見ていた。
 しかし、ベンガーナ王は目を閉じ、椅子から微動だにしない。






 パプニカの町にも、波が激しく押し寄せていた。
 城壁に立ち、空を見上げているアポロとマリン。






 どこともしれぬ場所で、海が激しく荒れ狂う。







バーン「今、ここに!! 魔の時代来たる!」

 手を上と下に構える、独特の構え……天地魔闘の構えを決めたバーンは叫ぶ。

バーン「さあ、刮目せよ!」

ダイ「あれは……っ」

 その構えの意味を知っているダイは目を見張るが、ラーハルトは籠手から剣1を取り出し、ポップに言った。

ラーハルト「ダイ様を回復しろ!」

ポップ「お、おう!」

 即座にダイの怪我した肩に手を伸ばし、魔法力を光らせるポップ。

アバン「その間は私たちが!」
 
 ラーハルトから剣を受けとり、身がまえるアバン。

ヒム「抑えといてやらぁ!」

 身がまえるアバン達を見て、ダイはあの天地魔闘の構えに飛び込んじゃいけないと声をかける。
 ポップを初めとして、みんながダイの方へ注意を向ける。

ダイ「あれは大魔王の最強奥義なんだ。たとえ三人がかりでも……」

 必死に訴えるダイは見やったラーハルト、アバン、ヒムは、その言葉を最後まで聞かずに前に向き直る。
 戦おうとする三人の姿を見て、止めようとするダイ。

ダイ「待って!」

 が、一歩踏み出したところを、ポップが首に手を回して止めた。片手でダイの傷の治療を続けながら、ダイを抑え込むポップ。
 戸惑い、ポップの方を見るダイ。
 ポップはどこまでも真剣な目で、じっと前を見ていた。

ダイ「なにするんだ、ポップ、止めないと!」

 が、ポップは無理に押し殺したような声で叫ぶ。

ポップ「……ジッとしてろ!」

 歯を食いしばり、ダイを抱え込む腕に力を込めるポップ。ハッとして、ポップを見上げるダイ。
 唇を強く噛みしめすぎて、ポップの口からはわずかに血が滲んでいた。ひどく辛そうな表情で、前を見つめるポップ。

 アバン達は、一斉にバーンへと襲いかかった。
 決して短いとは言えない距離を、一瞬で詰める三人。
 アバンストラッシュ、ハーケンディストール、オーラナックルが同時に放たれる。

 一つでさえ必殺のそれらの技を、バーンはゆとりの感じられる表情で待ち受けていた。
 カッと目を見開き、天地魔闘を成し遂げるバーン。

 視界が、真っ白に染まる。
 次の瞬間、天魔の塔から、外からでも見える光柱が立ち昇った。
 爆炎の中、両手を広げたバーンの背後に、ラーハルト、アバン、ヒムが飛ばされていた。

 ラーハルトが、アバンが、ヒムが、苦痛の呻きを上げる。
 佇むバーンの背後に、ドサリと落ちるアバン達。倒れた彼らを見ながら、高笑うバーン。
 三人がかりでこの程度から嘲り、ダイのギガストラッシュはまだ自分を傷つけることができたと言いながら、バーンは腕を構えなおした。

 ダイを抱きしめながらポップは、しっかりとそれを見定める。
 ハーケンディストールを掌圧で跳ね返し、アバンストラッシュをカイザーフェニックスで撃墜、オーラナックルを手刀で砕いた。
 攻撃、防御、呪文の三動作を一瞬で行ったバーンの奥義を、まじまじと見つめるポップ。

 ダイはポップを見上げ、どうしてみんなを見捨てるような真似をしたのかと、強く非難する。

ダイ「バーンのあの構えは無敵なんだ!! それが分かってるからおれは……!」

 ダイがそこまで行った時、物音が聞こえる。そちらへ目を向けるダイとポップ。
 見れば、ラーハルトとヒムが起き上がろうとしていた。うつ伏せたままのアバンも、ビクビクと身体を震わせている。
 それを見て、喜ぶダイ。

ダイ「よかった、まだ生きている! もうやめさせ……うっ」

 ダイを強く抱きしめることで、言葉を遮るポップ。
 ポップは構えたままのバーンを見ながら、なぜ追い打ちを掛けないのか疑問に思う。

 三人ともボロボロで極大呪文の一つも放てば、全滅も可能……なのに、バーンはそうしようとしない。

ポップ(遊んでやがるのか……いや、違う! 隙なんか見せてない)

 真剣に考え込んでいたポップは、何かに気づいたように目を見開いた。

ポップ(もしかしたら……)

 ダメージを負いながら、なんとか身を起こしたラーハルトとヒムに、バーンは天地魔闘の構えのままで話しかける。
 諦めて命乞いでもするか、それとも再び死の奥義に挑むかとからかうバーンに対し、ラーハルトは闘志を目に宿して立ち上がった。

ラーハルト「その選択ならば……答えは一つ!」

ヒム「当たって砕けてやらぁ!」

 片腕のまま、勢いよく立ち上がるヒム。

バーン「そう来なくてはな。だが……もう一人はそうはいかぬようだぞ」

 バーンがわずかに視線を動かす。ラーハルトもヒムも、ハッとして後ろを振り返った。

 そこには、まだ這いつくばったままのアバンの姿があった。立とうとはしているが、それだけの力が無いのは一目瞭然だった。

 ダイとポップも、それを見て目を見張る。
 声を揃えてアバンの名を呼ぶ二人。
 が、なんとか顔だけは起こしたアバンは、片手を前に伸ばして見せた。「待て」と言わんばかりのその仕草を見て、息をのむポップ。

 その時、バーンの第三の瞳が光った。
 眉間の瞳から放たれた光が、一瞬でアバンを貫く。
 撃たれた衝撃に、呻き声を漏らすアバン。

ダイ・ポップ「先生ッ!!」

 切迫した声で師を呼ぶ二人。
 だが、アバンの身体は撃たれた場所を中心に雷光に包まれ出した。苦しそうに肩を押さえるアバンに、バーンは肩越しに声をかける。

バーン「安心したぞ、アバン。おまえが早々いなくなってくれて」

 戦闘力はさておき、アバンの頭脳は油断ならないと考えているバーン。
 玉になろうとしているアバンの姿を、ヒムもラーハルトも険しい表情で見つめていた。

バーン「なにをしでかすか分からない、地上一の切れ者だからな」

 アバンにまとわりつく雷光は、すでに全身に及んでいた。だが、アバンは苦しそうな中、不敵な笑みを浮かべて言い返す。

アバン「あいにくと……切れ者なら私以上が、もういる……」

バーン「……!?」

 わずかに身を起こしたアバンが視線を向けた先は、バーンではなく、弟子達の方向だった。
 満足げな、やりきった笑みを浮かべるアバン。

 それを見たポップは、泣き出しそうに顔を歪める。

ポップ「せ……先生ーっ!」

 ダイの首を巻き込んで掴んだかと思うと、ポップはルーラで師の所へ飛ぶ。

ポップ「すいませんっ、おれは……っ、おれはっ!」

アバン「わかっていましたとも……なぜ、心を鬼にしてダイを引き留めたのか」

 その言葉にダイは驚きの、ポップは悲しみの表情を浮かべる。

アバン「大魔王を倒せるのは勇者の一太刀のみ……レオナ姫に伝えたアドバイスを、あなたは忠実に守ったんですよね……」

 その言葉を聞き、バーンを睨むヒムとラーハルト。
 ダイはポップの真意をようやく悟って、驚いたようにポップの顔を見た。ポップは目を閉じ、辛そうに顔を伏せる。

 アバンは苦しい中で、なおも言葉を続ける。
 それを聞き逃すまいと、ダイはアバンに向き直った。

アバン「大魔王を倒せるのが勇者ダイであるように……ダイの強さを最大限に引き出せるのは、この戦いを最初からずっと共に生き抜いてきた……ポップ、あなただけです」

 アバンの言葉に、ポップはわずかに驚いた表情を見せる。
 拳を握りしめたアバンは、最後の言葉を弟子に託す。

アバン「力を合わせて……勝利を!」

 その言葉を最後に、アバンの身体が発光した。






 ヒュンケルが、レオナが、マァムが、玉の中で声にならない声で先生を呼ぶ。
 だが、その声は誰の耳にも届かない。







 金色の光を、悔しそうに見つめるヒムとラーハルト。
 やがて、光が収まった中から赤い玉が出現し、床に落下して軽く弾んだ。固い音を立てながら跳ねた玉は、ダイとポップの足元へと転がって動きを止める。
 
 それを、驚愕の表情で見下ろすダイとポップ。
 泣きそうな目で、二人は声を揃えて師の名前を叫んだ。

ダイ・ポップ「アバン先生ーーッ!」

 赤い玉は、ただ、静かに輝いていた――。


《感想》

 オープニングが最期の戦いに合わせて一部変わっていましたよッ!
 
 変更点は、ヒュンケルのバトルの後から始まっています。
 目を閉じたレオナが、フェザーを顔の前にスッとかざす。
 目を開け、ゴールドフェザーを高く掲げるレオナ。その衣装は、破れる前のパプニカ王家の服のまま。場所はダイがバーンと戦っている、天魔の塔跡と思える場所。

 フェザーから放たれるその光に押されるように、瓦礫がバラバラに崩れていく。

 そして、レオナの号令に応えるかのように、瓦礫の中をアバンを中心にヒム、ラーハルトが疾走する。
 向かう先に待ち受けているのは、真バーン。彼らが近づくと同時に、炸裂する天地魔闘の構え。

 手前側に大見得を切って立つバーンの背後に、ダメージを受けて飛ばされたアバン達の姿が見える。
 バーンは素早く振り向き、手から追撃の魔法を容赦なく撃った。画面全体が黒煙と炎に覆われる。

 と、その黒煙を切り裂いたのはブラックロッドを剣のように降り下ろすポップ。切ると同時に、斜め上に飛び上がって場所を空ける。
 背後には、すでにギガストラッシュの構えに入ったダイがいた。
 一気に飛び込んできて、ストラッシュを放つダイ。

 その後、パプニカやランカークスの風景が流れるのは変わりませんが、以前ラーハルトが登場していたシーンが、並びあってメドローアを放つマトリフとポップの図に差し替えられていましたっ!
 他のアニメ調の絵と違い、これだけガッシュで描き込んだような気合いの入った絵になっていましたよっ。

 一瞬で消えてしまうなんて勿体ない、もっとゆっくりと見せてぇ〜っっっ!
 と、はぁはぁ、オープニングからテンションアゲアゲです(笑)

 それにしても今回はバーンの攻撃のド迫力っぷりに、惚れ惚れ。悪を貫くなら、このぐらい突き抜けてほしいものです。

 バーン様、大事なことは二回言うスタイルからスタート。
 レオナがバーンの宣告に、両手を胸の前に合わせような姿勢を見せていたのが新鮮でした。

 原作では普通に立っているだけですが、アニメだとレオナの怯えや心細さを強く感じます。こんな風に胸の前に手を組む仕草を見せるのは、メルルの十八番なのですが、無意識に自分を庇おうとする仕草をレオナがとるというのが珍しいですね。

 倒れているダイ、下半身が奇妙にねじれた格好で倒れているのが不安感を煽る感じです。原作でも同じく足を折り曲げる姿勢で倒れていますが、見る角度をちょっと変えるだけで、ここまで不安定なポーズになるのかと感心しました。

 レオナが怯えから、勝ち気な表情に変化するシーン、いいですね♪
 バーン様の台詞、一部改変されています。 

原作バーン「健気な……女性の身でありながら、そこまで強い精神力を持った者には今まで出会ったことがないわ……ますます気に入ったぞ」

 女性はダメで、若いのはいいみたいです(笑)
 バーンがレオナを振り向かせるシーン、原作では引き寄せたように見えましたが、アニメでは一緒に半回転するような動きに見えました。

 バーンがレオナの頭を掴むシーン、レオナが一瞬、反抗的にバーンを振り仰ぐ動きはアニメの改変ですね、すっごくいい感じです。

 しかし、バーン様、自分の歌姫になれと言いながら、レオナのことを大事にする気は全くなさそうですね……女性差別っぽい発言はNGでDV全開行動はOKな基準がよく分かりません(笑)

 バーンに頭を押さえつけれて、ダイの姿を見せつけられる際の怯えたレオナの目のアップ、すごく綺麗で気に入りました♪

 バーンが魔法を生み出すのを見て、一瞬目を閉じてからハッとしたように横を見る目の動きもいいですね。

 バーンの魔法連弾を受ける際、原作のダイはうな垂れて座り込み、信じられないものを見るかのように呆然としているのですが、アニメのダイは当たる直前にハッとして身を起こしているのがいい感じです。
 一瞬だけ見えた、両手を突いて座り込んだ姿勢がなんか可愛い!

 ダイの転がって避ける動き、思っていた以上に元気に跳ねていました。あんなに跳ねる芋虫なんて、見たことないですよ! むしろノミかバッタかと思いました(笑)

 カラミティが強力すぎたかと思うバーン様の台詞、後半部分の「もうすこし粘って欲しいところなのだがな……」の部分がカットされていました。
 このシーン、左右逆転していますね。
 レオナがダイの苦痛を見て思い悩むシーン、台詞が一部改変されています。

原作レオナ(ダメよ、目をそらしちゃ……あたしも、戦っているんだから! ダイ君の苦痛から目をそらしたりしちゃいけない……!)

 言葉自体は変わっていませんが、順番が前後しています。
 でも、この些細な変化で言い回しの印象が違っているように思えます。原作のレオナは自分も戦っていることに主点を置き、アニメのレオナはダイを主点に物事を判断しているように思えますね。

 ダイのためにと、毅然とした表情を見せるアニメのレオナの表情がすっごく好きです♪
 背後を紺と黒が混じり合った闇色にして、バーンの姿を白い描線だけで表現し、レオナのみが抑えた色目で表現している演出、いいですねえ。逆光気味の光の演出に加え、瞳が揺れているのが彼女の心境を現しています。

 バーン様のカイザーフェニックス、やっぱりカッコいいですね♪
 レオナの決意に、炎の動きもスピード感と迫力があって好きです。特に、 ダイの目の中にフェニックスが映し出される改変は感動しました。

 原作ではダイはギュッと目を閉じて、その上をフェニックスが通り過ぎていますが、アニメの動きの方が好みです。
 
 レオナの攻撃発覚シーン、原作ではナイフを持ったレオナの手のアップから始まっていますが、アニメでは真っ白な画面に水がしたたり落ちるシーンから始まる演出が凄く綺麗でした!

 露出気味の写真のように、発光して血の色が飛んでいる光景がものすごくいいですね。それに、レオナの姿が逆光で背後から光を浴びて輝いているように見えるのが、素晴らしかったです。

 余談ですが、柄の後ろに手を添えて突進力を高めているレオナの持ち方をみていると、ナイフの攻撃方法の訓練を受けているように見えますが、これが肉弾戦での彼女の初攻撃だと思えば、緊張感や高揚感は半端なさそうです。

 魔法で攻撃しているシーンはありましたが、レオナの場合、敵に止めを刺すほどの威力も無かったですし、護身術としての習得だったんじゃないかと思うんですよね。
 本気で他者を害したのは、これが初めてなんじゃないかと思えます。

 原作とアニメでは、レオナのポーズは基本的に同じなのですが、アニメのレオナの方が肩が上がっていて、ナイフに沿えた方の手も柄から離れている姿勢で、余計な力が入った入れ込み状態に見えます。慣れていない感がいい感じです♪

 無表情で驚いているバーン様の演出が、好きです。
 バーン様の傷、原作よりも深く切られているような気が……(笑)
 つーか、ナイフでスパッと切ったにしては、傷跡が広すぎですよっ。

 バーンに対して強気に言い放つ、レオナの声に惚れ惚れしました♪ 声優さんの熱演が光ります。

 レオナの台詞、一部改変されていますね。
 原作のレオナは『ギガストラッシュでも弾き返したバーンの身体』と言っていますが、アニメのレオナは『ギガストラッシュでも斬れなかったバーンの身体』と発言しています。
 アニメの方が、レオナの主観がダイにあるように思えていいですね♪

 レオナの最強宣言、殺されるのを覚悟の上で強がっているような演技がいいです!
 その後のバーンがレオナを見やるシーン、細かな線で影をつけることで一層迫力を増している描き方に感動しました。

 バーンの瞳攻撃、攻撃の前に光り出すとは思いませんでした。めっちゃ派手になっている〜(笑)

 原作ではバーンは目を閉じ、レオナも横顔が見える構図で撃たれていましたが、アニメではバーンは目を開けたまま、レオナは後ろ姿しか見えない構図で撃たれていました。

 レオナの倒れるシーン、スローモーションな動きが良かったです。ダイが必死で駆け、手を伸ばしているのに全然間に合わない感がいいですね。
 
 瞳の色、真っ赤だったなんて!
 正直、これにはビックリしました。漠然と、透明か青っぽい色を想像していたのですが(笑)

 赤い色と黒い影が引き立て合って、ものすごく禍々しい色合いになっているのには驚きました。また、閉じ込められたレオナの色にも赤いフィルターがかかっていて、ホラーっぽさが増しています。

 バーンがレオナの玉を覗き込むシーン、左右逆転しています。原作では冷淡に見ているだけですが、アニメではニヤッと、めっちゃ悪い顔で笑っていますよっ。『フッ』と鼻で笑ってましたよっ。

 瞳の中だと完全停止世界かと思っていましたが、アニメだとレオナの髪やマントが揺れていたので本人は動けないけれど、背景通りに風が渦巻いているような感じなのかも。
 
 「瞳」の説明シーン、バーンの持っている手の中の瞳が、透けてレオナの姿が映り込み、さらには周囲が真っ暗に変化する演出がお見事でした。
 レオナの絶望感が伝わってくるような、暗黒空間……!

 そう言えば原作では『声も届かない』としか言ってなかった部分を『声も外へは届かない』と、微妙に改変されていました。わかりやすく説明してくださるバーン様に、ちょっと萌えます(笑)
 バーン様、結構解説がお好きですよね。

 ダイがレオナに呼びかけるシーン、『待ってて』と付け加えられた改変が嬉しかったです。ダイは本気でレオナを助けるつもりで、まだ心が折れていないと分かるいい台詞ですね。

 ダイがバーンを倒さなければと思索するシーン、左右逆転しています。全体に紺色っぽいフィルターがかかり、ダイの輪郭が青いオーラに覆われているのが綺麗な演出でした。
 同系色でまとめるとまとまりは良くても地味になりがちなのに、すっごく綺麗でいいですね。

 ダイは闘気が一貫して青で描かれていて、ハドラーやバランなどは赤の闘気で描かれることが多かったですが、真バーン様は黄色……もしくは黄金の闘気になっています。
 これまでも敵との対決時に色の対比がすっごく綺麗でしたし、バーンとのこの先のバトルが楽しみです♪

 アニメのバーン様が腰に手を当てて問いかけるポーズ、原作にはないポーズですがちょっと相手を小馬鹿にした雰囲気が合って気に入りました♪
 原作よりも、ダイやレオナをからかうのを楽しんでいるように見えます。

 主塔を構えたバーン様の目のアップ、カッコいいです……!
 ダイが後ずさるのも、納得の迫力。この後ずさりも、アニメの改変ですね。

 ダイを手刀で追い詰めるアクション、動きが素晴らしくシャープ! 避けるダイの動きも、いつもの彼らしさのない苦しそうな逃げ方に感心しました。個人的には、バーンの足元をゴロゴロ転がる動きが気に入っています。

 バーン様のサディスティックプレイに目を見張りました。ア、アニメだとなんてハードモード……ッ!
 あまりにも圧倒的な不利っぷりに、目を離せません。

 バーンがダイの足を着るシーン、ネジポジを逆にしたような黒い画面に線画で描かれたダイの表情のアップ、印象的な演出でした。
 それに、足を押さえたダイの流血シーン。ジワッと広がる血がリアルですが、原作でさえそこまでやっていませんでしたが(笑)

 バーンの二発目のカラミティエンド、技の前に息吹でのためを入れたのは、アニメの追加ですね。バーンの表情と、ダイの苦痛の表情を交互に映し出す演出に、ハラハラしました。
 技を発したところでCMになるとは、思いもしないタイミングだっただけにビックリしましたよ。

 それにしても、バーンの手刀ってすごい威力です。ロン・ベルクにしてみたら、自分が全力を注いだ武器を圧倒するのがただの手刀なんて、どうしたって許せるわけがないでしょうねえ。バーンから離れるわけです。

 バーンの攻撃が当たらなかったシーン、原作ではたった一コマだったのが、アニメでは威力大爆発な攻撃の後、バーンがクレーターを見つめるシーンが追加されていた演出がいいですね。

 煙越しに見えるポップとダイの足に、ポップの声が聞こえてくる登場にはシビれました!
 特に、全員登場の時に、煙が薄れて日の光が差し込む演出ときたら……!

 アニメのダイ大では原作以上に煙が登場しますが、その使い方の巧さにはいつも惚れ惚れします。
 三人ずつアップするカットの追加や、ポップの不敵な笑顔のアップも嬉しい限り♪

 ただ、少しばかり残念なのが、「ポップ、みんな」とダイが呼びかけるシーンがダイのアップだけで、原作であったポップがダイにウインクをし、仲間達がダイを優しく見つめるシーンがカットされたこと。
 
 でも、俯瞰図でポップがダイから手を離し、ダイが自分で立つシーンが追加されていました。小さくて表情は見えませんが、ダイから手を離す際、ポップはここできっとウインクをしていたに違いないと信じます!

 玉に封じ込められたヒュンケル達を見ていて今更気づきましたが、原作ではブロキーナ老師の出番がなかったんですね(笑)
 老師の出番を追加してくれたアニメに、思いっきり感謝します!
 クロコダインの「無念」の一言の追加と、台詞の重みが実にいい感じです♪

 ポップが玉を見ながら考え込むシーン、ネガポジ画像に変化した演出がかっこよかったです!
 考え込むポップのアップに、左側にぼかしをいれた仲間達の姿が映し出される構図がかっこよくって♪

 半裸のヒュンケル、苦しそうに目を閉じて叫ぶマァムとブロキーナ、クロコダインとチウのカットと三パターンの絵も楽しかったです。
 横を向いているクロコダインと、真正面を向いてVサインを見せているチウのカットが、特にお気に入り♪

 ヒムの「生きてるのか」という心配そうな台詞とダイのやり取りはアニメの改変ですね♪ ヒムちゃんの人情味が染み入ります。

 ポップが玉にされた仲間達を放置する決断をする際の台詞は、大幅に省略されています。
 原作では「死んだわけじゃないだろ」と言っているのが「元に戻るんだろ」になっているほか、ダイの台詞も原作でももっと長文で自信なげに「多分」と言っていました(笑)

 ポップの決断に、ダイが不安そうに彼の名を呼びながら見上げる顔が可愛いです♪ 自分ではどう考えていいか分からないだけに、ポップに頼っている感じがしてすごくいいですね。
 また、ポップの説明をアバンが冷静な目で聞いているのもいい感じ♪

 仲間を切り捨てる発言をしながらも、無理をしているように揺れるポップの目の表現がとても気に入りました。

 ヒムやラーハルトが満足そうに笑っているのも、アニメの改変ですね。
 原作では二人とも、意外そうな表情を浮かべています。ポップへの評価を上方修正している感じですね。
 が、アニメではその先の、ポップを評価した上で彼への好意が上昇した感じがして、とても気に入っています。

 ポップの背後にマトリフ師匠の幻が見えるシーン、かっこよかったです〜っっっ!
 原作ではポップとマトリフは同じ表情をしていましたが、アニメでは歯を食いしばって前を見据えるポップに、どこまでも冷静に前を見るマトリフと、差がありました。

 やっていることは同じでも、感情を抑えきれるかどうかという点においては差がある感じが素晴らしいです♪
 ポップはマトリフの修行を受けて彼の長所を受け継いでいますが、それは師匠の模倣ではなく、あくまでポップとして師の教えを吸収して自己流に伸ばしたんだと深読みしたくなるシーンです。

 また、アバンがポップにマトリフの面影を見いだすシーンは、原作では『奴に勝つためなら〜』の台詞の後ですが、アニメでは少し早く始まっています。

 アバン先生が暗い背景の中で、ほのかな朱色の光に覆われてポップがマトリフに師事を受けたと悟るシーン、いい雰囲気でした。
 左右反転していますが、それ以上に気になるのは原作では少し驚いたような表情だったのが、アニメでは悟ったような穏やかな表情に改変されている点です。

 ポップとアバンだけが朱色の光に覆われた画像も、綺麗でした♪ 周囲のダイやヒムなどは紺色のフィルターがかかる中、アバンがポップにだけ注目している構図が印象的でした。

 アバン先生が昔を思い出すシーンが、もう、実に感動的でした!
 ポップとアバン以外は沈み込んだ色彩の中で、アバンがわずかに前に向き直り、ポップと隣り合う形で並んで背中を向ける形になったかと思うと、ポップの位置にマトリフの姿が浮かび上がるシーンはゾクゾクしました。

 ポップの左隣にいるダイが、ポップの方をじっと見ているのも萌えポイントだったりします♪ 心配しなくても、君の隣は、君の魔法使いはちゃんとポップなんだよ、と言ってあげたくなります。

 アバンとマトリフが並んだかと思うと、世界が仄白い光に包まれ、若い頃のアバンとマトリフが並んでいました!
 二人の背中が、ものすごく頼もしく見えましたよ!

 原作では並んでいるポップとアバンの前方に、マトリフと若き日のアバンが幻のように浮かぶという演出でしたが、顔を見せずに背中で語るアニメ演出がなんとも素晴らしいです!

 そして、最後に若いアバンの顔を映し、今のアバンと重ねて変化させる演出も感動ものでした!
 スッと身体を動かしたアバンと、最初にいた位置にとどまっている若き日のアバンの幻が同時に見えたシーンはかっこよくて、何階も見返しちゃいました!

 アバンが目を向けた先には、真っ直ぐに前を見ているマトリフの横顔が……!
 若い頃、冒険の最中にアバンがそんな風に横を向いた時は、きっとマトリフの姿があったんだろうなと思えるシーンです。

 マトリフの背後にうっすらとダイの姿が見えるのですが、その一瞬後にマトリフの幻が消えてポップに取って代わるのを見て、凄く納得しました。
 かつての勇者アバンと大魔道士マトリフのように、今はダイとポップが並び立っていたんですよ! うわー、すごくいいです!

 弟子の成長を喜ぶアバンの顔が、また、たまりません!
 原作では目を閉じていましたが、アニメでは優しく微笑んでいます♪

 クールになれと繰り返すポップ、斜めな画面がゆっくりと水平になっていく後ろ姿の演出からの、目のアップなのがかっこよかったです。
 目が揺らいでいたのが、最後の所でピシッと動きが止まって目が光る演出も、かっこよかったです!
 最後の戦いのポップって、本当に見せ場が多くって嬉しいですよ〜。

 バーン様が手を上げるシーン、左右逆転しています。
 が、原作ではここでは「ゴゴ……」と書き文字が入っているだけだったのが、アニメでは破壊音が聞こえるように改変しています。
 
 その音の場所を探してかみんなが警戒していますが、ダイは上を、ポップ、ヒムは下を、アバン先生は真正面、ラーハルトは右側と、全員、目をやる方向が違っています。……チームワークはまだまだのようです(笑)

 瓦礫が落ちる中、『瞳』が震動のせいか自然と集まるシーンはアニメオリジナルシーンですが、まるで動けないながらも身を寄せ合っているように見えて、ちょっとジーンとしちゃいました。

 動けないのは変わらなくても、少しでも近づけた方が心強いんじゃないかと思えます。
 ……離れたところにいるレオナの玉が不憫(笑)

 バーン様の台詞、少し改変されています。

原作バーン「まさにうぬらこそ歴史の証人!!」

 原作バーンの台詞は、老バーン様の声で聞いてみたい言い回しですよね♪
 空が暗くなるシーン、原作ではただ雨雲の一コマでしたが、アニメでは台風発生みたいになっていました!

 上からの俯瞰図で、ミナカトールの魔法陣を見られたのがちょっと嬉しかったです。

 雷に驚くバダックさんが再現されていたのも嬉しかったですが、ロン・ベルクが隅っこにいたのも驚きでした。ノヴァの側じゃなく、なんでそんな端っこにいるのかが不思議でしたが、雷に全然驚いた様子がないのはさすがです。でも、もうちょっと異変に関心を持ってほしいのですが。せめて、上ぐらい向きましょうよ(笑)

 原作の白黒のはっきりとした影の付け方が好きだったので、色合いが普通だったのは少しばかり残念ですが。
 特に、テラン王の白を強調したアップから見せてい演出が好きだったので、後ろ姿から見せていくスタイルだったのは意外でした。

 それにしても、テラン王をカナルさんが介助しているのがなんとなく安心できます。
 雷がめっちゃ綺麗に描写されていて、嬉しくなりました♪

 ロモス王、原作では窓の外を見ながら驚いていましたが、アニメでは窓のない室内でした。

 それにしてもロモス王の側にいるオールバックの大臣風の男、オープニングにも登場していますが、未だに名前が分かりません(笑)

 ベンガーナ王、原作ではワイングラスが落ち、不安そうな顔のアップがあったのですが、アニメではグラスも割れませんでしたし、泰然と目を閉じていました。

 パプニカの演出が加わったのも、嬉しい限り♪
 しかしアポロさんとマリンさん、非常時にはいつも室内にいないで城壁にいますね(笑)

 パプニカには気球船があるし、外にいた方が気球船が来るのを見つけやすいという理由もあるのかもしれません。
 
 荒れ狂う海に、バーン様の白い線画が浮かび上がっていく演出にはゾクゾクしました! 
 めっちゃ迫力!
 原作とは色が逆転したようなバーン様の大アップ、凄まじかったです。

 ラーハルトが籠手から剣を取り出すシーン、もう少し詳しく見せて欲しかったです! 鎧の魔槍って、いったいどこをどう改造してあれだけの武器を用意してるんでしょう?

 残念なのが、ラーハルトがアバン先生に剣を渡すシーンが省略されていたこと。
 原作のように、しっかりと二人が映っている画面で渡して欲しかったです〜。

 アニメだと、ヒムとアバン先生しか映っていない画面で、画面外から剣を受けとっていましたし(笑)

 でも、ダイとポップの台詞が追加されたのは嬉しかったです。ラーハルトに言われて、即回復し始めるポップの姿もいいですね。

 原作では三人が飛びだしていってしまってから、ダイが制止の声を上げますが、アニメではダイの言葉に一旦足を止めるよう改変されています。
 ダイの話を聞き、危険を知った上で戦いに挑むアバン先生達のかっこいいことと言ったら……!

 ラーハルトさえ、ダイのあの制止を聞く気がない……それだけ、ここで自分達が戦う意味を理解しているのだと思えます。
 どんなに危険でもダイの回復の時間を稼ぐ必要があると判断し、そのためならダイの意向も無視する覚悟を固めているんですね。

 ポップがダイを抑え込むシーン、いいですねえ。
 ポップに邪魔されるなんて全く思っていなかったのか、ダイの驚きの表情もいい感じ♪

 原作では、ポップは両手を使ってダイを抱きかかえていましたが、アニメでは肩の傷に当てた手はそのままで、片腕を首に回して動きを止めています。
 ダイの戸惑いと、ポップの真剣な目の対比、いいですねえ。

 ダイがポップを見上げるようにして、止めるように頼むシーン、顔が影になったポップの姿がかっこいいです。原作にはない構図ですね♪
 「ジッとしていろ」の口調が、本当に辛そうでいい演技でした。無理をしまくっているあの声に、ダイをギュッと抱きしめるあの動き……感動しまくりです。

 アバン先生らの必殺技三連コンボ、豪華だなぁとみていてため息が出ちゃいました。
 それに対するバーン様の天地魔闘、まさか書き文字で来るとは。
 荒々しい筆風の書き文字に、バラン戦を思い出しました。

 ただ、バランの時と違って、背景を暗くして白文字になっていました。原作では見開きドアップでしたが、アニメではかっぴらいた目のアップに文字が重なる演出でしたよ。こ、これは予想外っ。

 バーン様の大見得シーン、迫力満点!
 アバン先生達が吹っ飛ばされるシーン、スローモーションな動きなのがいいですね。
 原作ではここで、じっとそれを見ているポップのカットがあるのですが、それはなくなっていたのが残念ですが。

 バーン様がみんなを嘲笑しながら、下ろしていた左手を再び高く上げる仕草は、アニメの改変ですね。

 ポップが「見た」、というシーンは左右逆転しています。
 暗闇に、ほのかな緑色の光で全身を覆われているポップの描写が、綺麗でした。アバン先生が朱色だったのに対し、ポップはやっぱり緑なんですね。

 バーンが三人をあしらった方法を、コマ落とし風に演出しているのに感心しました。しかし、腕を切り落とされたヒムちゃんが一番ダメージが大きい気が……まあ、回復魔法であっさり治るからいいといえばいいのかも。

 ダイを抱きしめながらバーンの奥義を見切っているポップ、緑色オーラな演出がやっぱり綺麗です。

 抱きしめられたダイがポップを非難するシーン、上から見下ろすような構図で描かれているせいか、ダイがいつもより幼く見えますね♪
 ポップに首をムギュッと首をしめられて目を閉じているところも、可愛いです。

 ポップの思考シーン、緑の靄がかかっていて、バーンの黄色の靄といい対比になっています。これに、ダイの青も加わったらさぞや綺麗な色合いでしょうね。

 バーン様の台詞、一部改変されています。

原作バーン「ふっ、頼もしい……! だが、もう一人はそうはいかぬようだぞ」

 こちらも言い回しも好きですが、アニメの方がより好戦的に聞こえる気がします。

 アバン先生を見てダイとポップが振り返るシーン、よかったです!
 ポップ、同様のあまりダイを抑えていた手を離しちゃっていますが、ダイも自由になってもそれに気づかずに驚いています。

 ひどくショックを受けたような驚きの表情が、すごくいいです。特に、ポップの衝撃度が強いように見えますね。

 アバン先生を打ち抜くシーン、原作ではバーンが手前でアバン先生が奥の構図でしたが、アニメでは配置が逆になっています。
 撃たれるシーンで、アバン先生の横顔がスローモーションで流れる追加シーン、見応えがありました♪ 散り際の美という雰囲気がいいですねぇ〜。

 ポップの泣きそうな顔からの、ダイと一緒にルーラ、動きがいいです。無意識なのか、ダイを巻き込むポップの行動が見ていて楽しいです。
 ところで、原作ではポップはダイの背中に回した手をずっとそのままにしてアバン先生の話を聞いていましたが、アニメでは二人は並んで立っています。

 アバン先生に分かっていると言われ、驚くダイと悲しむポップの表情の変化シーンに感動しました。原作にはない追加シーンです。
 また、アバン先生の「大魔王を倒せるのは勇者の一太刀のみ」の台詞で、ヒムとラーハルトがバーンを睨んでいるという細かな動きもいいですね。

 アバン先生の遺言とも言える言葉に、ポップの方を見ていたダイがちゃんとアバン先生に向き直る動きが加えられているのが嬉しかったです。
 ダイ、ポップが並んで立つという後ろ姿なので顔は見えないのですが、ポップもここで目を開けてアバン先生の言葉を聞こうと頑張っていると思いたいシーンです。

 アバン先生の遺言的なアドバイス、思わず聞き入っちゃいました。
 最後に拳を握りしめるアクションを見せてくれたのは、胸熱です! 座っているだけでも苦しそうだったのに、身体を支える手を弟子達への激励のために使うなんて……!

 アバン先生が玉になる際、ヒュンケル、レオナ、マァムの三人が嘆いてだけ部追加シーンが入ったのも嬉しいポイントです。
 ブロキーナやクロコダインも、きっとすごく悔しい気持ちで見ていたに違いないと信じている……! 

 あ、チウはアバン先生のことをよく知らないでしょうし、諦めの悪いヤツだから、まだ「出せ」と騒いでいると見ました♪

 アバンを失ったダイとポップの絶叫、胸に響く演技でした。
 本当にもう、声優さんの熱演がどんどんヒートアップしている気がします。
 
 次回予告、珍しくも予告からして活躍しているポップに、感動!
 まあ、一番暴れまくっていたのはどう見てもバーンでしたけどね(笑) ダイも活躍の機会が無く、ヒムとラーハルトに至っては噛ませ犬的なやられっぷりを披露していました。
 

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