『少年魔術師インディ君・おまけ話 ぱーと1』

 

 さて、この話は今は遠い昔、昭和63年に発行された双葉社冒険ゲームブックシリーズの一作である。

 このゲームブックシリーズは、ファミコンの人気作をゲームブック化するというコンセプトで発行されていたっぽい。
 当時のファミコンの人気にあやかる気満々で、どう見たってゲームブックには向きそうもない、ストーリー性がほぼないアクションゲームまでブック化しまくっていた。

 余談だが、全然原作ゲームと関係ない話になっちゃっていた作品も、ちらほらと(笑)

 その中で数少ないオリジナル話だったのが、この少年魔術師インディシリーズだ。
 パート3まで作られたこの作品は、おそらくシリーズ内でも指折りの人気作だったはずである……多分。

 だって、ファミコンから文庫化された作品は数あれど、この文庫の中からゲーム化された作品は、筆者の知っている範囲ではこの作品だけである。
 もっとも、ファミコンで発売されるはずだった少年魔術師インディは、残念ながら企画途中で開発中止となり、幻のファミコン作品として消えてしまっている。ファンとしては、実に悲しい話だ。

 当時の原作の後書きや、後にネットで拾った数少ない資料、さらにはファミコン4コマ漫画創世記に出された予告漫画によると、どうやらゲームではインディ3の話の直後の設定で、師匠の家に戻ったインディの目の前で、謎の敵に師匠が殺されてしまうという衝撃の展開が!

 師の死を嘆き、なんとか彼を助けようとするインディは、ミュアと共に時を超えて冒険をすることになる――と言うのが、大体のストーリーだったようだ。

 ちなみに、なぜかヒロインはインディ3に登場するジュジュちゃんだったらしく、ファミコン販促用のイラストも発表されていた。

 しかし、残念ながらインディもジュジュも原作のイラストとは全く似ていなかったのだが……筆者的には2と3のイラストが好きだっただけに、そちらをベースとして欲しかったと本気で嘆いたものだ。っていうか、それ以前にパート4も見たかったし、ゲームとして発売して欲しかったのに〜っ。

 いや、それはさておき、筆者はゲームブックが好きな割には、下手の横好きというか、まともにゲーム出来た試しがない。大抵はバッドエンドに辿り着くか、計算ミスかページジャンプ失敗で、ページの狭間に消えてしまう悲しい末路に(笑)

 そのせいで、普通の本のように読みたいなと思うあまり並べ替えて、ついでに元のストーリーに色々と手を加えてしまったのが、イースト館のインディシリーズだったりする。

 そのせいで、うちのインディ君は原作のインディ君とは、多少の差が発生してしまっている。

 一番大きな差は、インディ君がブーメラン使いになってしまったこと(笑)
 この話は本来ゲームブックだっただけに、ストーリーがかなり流動的だし、選択肢によってインディのステータスも大きく変化するようになっている。

 うまく立ち回れば、割と早い段階から魔法を使いこなすこともできるようになるのだが……筆者の好みで、魔法が苦手な肉体派のへっぽこ魔法使いにしてみた。

 ついでに言うのなら、原作ではミュアはそれほど目立ってはいない。
 要所でヒントはくれるものの、大抵は見守るだけで何もしてくれないのだけれど、猫好きな筆者はミュアの賢さステータスをアップして、台詞を大幅捏造しまくっている。

 そんなわけで、考えの足りないダメダメ魔法使いインディ君に、生意気だけど賢いミュアというコンビになってしまった。このイメージは2と3でも踏襲しているので、インディはどこまでも未熟な魔術師になっちゃっている……なんだかごめん、インディ君。

 後、もう一つ残念だったのが、ゲームブック版と違ってバッドエンド描写ができなかったこと。

 小説ではエンディングは一つしか描けないので、原作のバッドエンドは全部カットせざるを得なかったのは、実は一番心残りだった点。
 なので、このおまけページに、バッドエンドパターンを披露してみようかと思う。

 ゲームブックという性質上、インディが戦いに負けた場合、力尽きて倒れてしまうシーンは多々発生するのだが、その際にその後、魔界に伝わるであろう『黒の書』の言葉が記載される。

『○○すなわち、○○の化身なり。魔術師インディ・ルルク、これを封じんとするもその力及ばずにして、ついに敗れたり。
 かくして○○蘇り、地上に災厄をもたらさん。
 我ら大いに讃えるべきは、かのインディ・ルルクなり』

 その時戦った敵によって、名前や効果は違ってくるが、大筋はだいたいこんな感じ。
 と言うか、インディ君、魔界の偉人的なポジションになってしまっているんだけど!?(笑)

 この物々しい雰囲気のバッドエンドはなぜか気に入っていて、パート2以降はお目にかかれなかったのがちょっと残念だった記憶がある。
 

 

 
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