『イース2 魔王復活 おまけ話』

  

 2019年9月時点では、このイース2こそが本来のゲームブックから大幅にはみ出した、捏造度の高い作品になっている。
 英雄アドルになりすますユーロが主人公と言う点こそは原作を踏襲している物の、その他には多大な捏造が盛り込まれている。

 なにせ、オリジナル版ゲームブックのイースとイース2は話が続いていないのである。

 調子のいい主人公ユーロと、正義感の強いヒーローだけどちょっと気障っぽさが鼻につくアドルの二人がいがみ合いつつも次第に打ち解け合い、力を合わせて魔王を倒すというのが本来のストーリーだった。
 なお、彼らは実は兄弟だったという設定である。

 が!
 個人的に『イース 戦慄の魔塔』での納得のいかないヒロユキの別れのシーンが気になって気になって仕方がなかった筆者は、どうしても彼を出したいと思ってしまった。

 もちろん、アドルにだって思い入れがある。
 『イース 戦慄の魔塔』のアドルと『イース2 魔王復活』のアドルでは、性格的には似ても似つかない別人だったので、前作のアドルを無理矢理ねじ込むという強引さである。

 とは言え、ヒロユキを出してしまったせいで実はアドルの出番は大幅に減っている。

 本来ならば、ユーロとアドルが二人でつかず離れずの距離を保ちながらあちこちに行き、時に協力し合ったり、出し抜いたりしながら冒険を進めていくのだが、ユーロとヒロユキが半ば融合状態で冒険する展開になったせいで、アドルまで出すことができなくなってしまった。

 ヒロユキとアドルを並べて出すと、魔法以外ではアドルの方が腕が立つと言う設定なのでヒロユキの出番がかすんでしまうし、そうなると魔法が少し使える程度のユーロの出番などもっっと薄れてしまう。

 それでは都合が悪いので、アドルが行方不明で偽勇者達が彼を探すという展開を主軸に持ってきたのである。
 当然、こんな設定は原作にないので、アドルを封じた犯人がダルク=ファクトだと言うシーンなどは嘘っぱちもいいところ(笑)

 前作の敵キャラで一番気に入っていた敵だったので、強引に引っ張ってきたのである。

 ついでに言うのなら、ユーロの過去や設定も捏造を盛りまくりだ。
 先ほども述べたように、元ではアドルとユーロは兄弟という設定だった。が、それを敢えて従兄弟にし、ユーロの母親に悲劇的な設定や我が子を捨てなければならなかった事情を付け加えた。

 相手のダメージを我が身に引き受ける魔法陣の設定なども捏造の一つだが、ここらのシーンは割と気に入って書いている。

 ところで、最後にユーロはリリアと結婚して村で平和で暮らし、アドルは再び冒険の旅に出るというラストになっているが、ここは原作通り。
 ヒロユキがこちらの世界に移住するというのは、いうまでもなくオリジナル要素なので、彼が戻ってくるシーンをラストにしようかどうか、ずいぶん悩んだのを覚えている。

 悩みに悩んだ末、結局はユーロがアドルのために魔法陣をこっそり刻むというシーンを付け加え、後はほぼ原作通りの別れにした。
 アドル、ヒロユキも気に入っていたが、口ばっかり達者で小心者のユーロも書いていた楽しかったので、イース3を書くことがあったのならまた、彼らを登場させたいと思っている。

 ……とは言え、イース3のゲームブックも持っているとは言え、これも1と2とはまた別系列のお話になっている。物語はイース1から3年後、19才のアドルの相方として登場するのが力自慢の大男ドギであり、ヒロインがエレナちゃん……って、誰だ、それはっ!?

 な、なぜ、イースシリーズでは一作ごとにヒロインがコロコロ変わるんだかっ!! おまけに、イース3のアドルは一番やられるシーンが多い上に、ドギとのやりとりもイマイチ気を引かれないため、あまりその気になれないままだ。

 一応、ヒロユキがエストリアに戻ってきてユーロと再会し、どこかを旅しているアドルと合流する話を書いてみたいな、などとは思ってはいるのだが、いかんせん登場人物にバラツキがありすぎて元にするのも難しい。
 そんなわけで、ゲームブックは持っているものの、ずーっとお蔵入りさせている。

 イース2のラストで「三人そろって会うのは40年後〜」となっているが、二人で、あるいは魔法などを使った間接的な連絡は取らせるつもりでいたので、アドルとヒロユキが合流が上手くいかずに微妙にすれ違ったり、一人だけちゃっかり安全圏にいるユーロが、遠距離から魔法でちょっとだけ手助けしたり等、そんなシーンを考えてはいるのだが。
 

 


 ◇目次に戻る
小説道場に戻る

inserted by FC2 system