『ポップの覚悟』(2021.5.1) |
《粗筋》 怒りと共に、人外の姿へと変身したバラン――ハドラー以上の威圧感を持つバランにポップはただ、驚くばかりだった。 反発するポップだが、ヒュンケルは足手まといは要らないと厳しい言葉でポップを突き放し、逃げろと強く言い切る。 悔しそうにしながらも、三人がかりの説得でポップも思い直し、逃げることに同意する。 死ぬんじゃねえぞとみんなに言い残し、城へと走るポップ。 それを見て、危ないとレオナが叫ぶが遅かった。 怪我人を後ろから撃つという非情な行為に、クロコダインが思わずと言った調子で抗議するが、バランは淡々と語る。 バラン「……だが、仕方が無いだろう。私の心の傷に無闇に触れた……貴様らが悪いンだからな!」 憤怒の表情で怒鳴った次の瞬間、バランの姿は消えていた。と、目を疑うような速度でヒュンケルの眼前に立っていた。 両の拳を握り込んだまま、背骨まで砕けよとばかりの勢いでそれが振り下ろされる。たまらずに、ヒュンケルは地べたにめり込むように倒れ込んだ。 それを見かねたようにクロコダインが背後から強襲するが、バランは振り返りもせずに裏拳を放つ。 爪が生え、竜の頭を形どるその種痘の威力は、以前と段違いだった。クロコダインの鎧を砕くどころか、肉体を突き破って背中から突き出される。 苦痛の中で立ち上がろうとするヒュンケルだったが、その上を狙って飛ばされたクロコダインの巨体がぶつかり、立ち上がる隙すら与えられない。 未だ地面に伏せたままのポップがそう呟いた時、彼のすぐ側に誰かが近寄ってきた。それに気がつくポップ。 横たわったまま動けない彼らは、バランとの実力差に絶望していた。たとえ、体力が万全だったとしても決して勝てない、圧倒的な差……! 自分の力をことさら誇示するがごとく、大きく翼を広げたバランはそのまま空中へと舞い上がる。バランは、竜魔人となった姿でしか使えない秘呪文、ドルオーラを使うつもりなのだ。 危険を察知するレオナ達だが、誰もがもう動くだけの力も無い。 殺意の籠もったバランの言葉と魔法の予兆に、誰もが身構え、目を瞑る。 思いがけず現れた我が子の姿に、思わずディーノの名を呟くバラン。倒れているポップもまた、ダイの名を呼ぶ。 その頃、折れ曲がった牢屋の前に倒れているメルルは、夢を見ていた。 だが、禍々しさを感じる巨大な影からの攻撃により、ポップは胸を引き裂かれ、絶叫した――その時、メルルもまた、絶叫と共に目覚めていた。 息を荒げつつ、今の夢を思い返すメルル。夢にしては生々しすぎたそれは、予知だったのではないか……そう思った時、ゴメちゃんの鳴き声に呼ばれたメルルは、壊れた鉄の柵と無人になった牢屋を見る。 その頃、地上ではバランがゆっくりと空から降りていた。彼が目指すのは、もちろん、我が子のところだ。 だが、ダイは全く反応しない。 それよりも、ダイの意識は目の前に降り立ったバランへと向けられている。 それに一瞬怯むものの、バランは落ち着いた口調でダイが母親似であり、竜魔人化はできないだろうと明かす。だが、それでも親子である証明のため、バランはダイにバンダナを外すように促し、竜の紋章を共鳴させた。 それでバランの言っていることが真実と確信したダイは、嬉しそうな笑顔を見せる。 ポップの行動に、バランは怒りを感じたのか毛を逆立て、どけと命じる。 ポップが攻撃した場合、それが全くダメージが無かったとしても、バランの逆鱗に触れディーノ以外の全員を殺す結果に繋がるだろう。我が子との再会で人間の心が強く表面に出た今が、最後のチャンスだと告げるバラン。 そして、小さな手がポップの腕にかけられる。 ダイ「邪魔しないでよ、お兄ちゃん」 ダイ自身も父親との再会を望み、それを邪魔されたくないと感じている。だが、それを聞いたポップは今にも泣きそうな顔になり――ダイにしがみつくように抱きしめた。 決してダイを渡さないと言い切るポップは、ダイがいかに自分達にとって大切で、手放せない存在かを語る。そのダイが自分達の前から消えてしまい、人間の敵になるなんて、死んでも我慢ならないと叫ぶポップ。 仲間達の心を打つ、ポップの涙ながらのその叫びも、バランの心を動かさなかった。 魔法力はゼロ、強力な武器もアイテムもない最悪の状態、恐怖に追い詰められながらポップは必死で何か手はないかと模索する。 ハドラーを相手に、壮絶な自爆を仕掛けた師の姿を思い出し、ハッと気がつくポップ。
ポップ「心配すんな、すぐ終わらせてやるからよ」 戸惑うダイが、まだ手にバンダナを握り込んでいるのを見て、5つの頃からずっと自分のトレードマークだったんだから、ずっと持っていてくれと頼む。 素手のまま、バランに殴りかかろうとするポップに、ヒュンケルやクロコダインは驚き、バランは見苦しい特攻だとさっさと殴って終わらせようとする。 雄叫びを上げ、無策のまま殴ろうとしていると見せかけて、ポップは途中で冷静にマントの留め金を外していた。 独特な体勢や魔法の光を見て、ポップの意図を真っ先に悟ったのは賢者のレオナだった。 この指先には全生命エネルギーを込めているというポップの言葉に、バランも彼が使おうとしている呪文の正体に気がつく。 それを使えば確実に死ぬと分かっていながら、ポップに迷いはない。ヒュンケルやクロコダイン、レオナが止めても、ポップは少しも揺らがない。 そんなポップの背中を見つめているダイは、何かを思い出しかけていた。 そんな中、バランは業を煮やしたのかポップの腕を両腕で握り、力を込め始めた。 苦痛に顔を歪めながらも、ポップはさらに指先にエネルギーを込め、バランに苦痛を与えてそれを止めさせる。 彼らに後を任せ、マァムにはうまく言っておいてくれと頼む。 その途端、ポップの目から涙が溢れる。 ポップ「おれが死ぬところをみても、まだとぼけた面をしてやがったら……うらむぜ」 そう言って、ポップは思い残すことが無くなったとばかりにダイに今まで楽しかったと伝え、自分の『旅』を終わらせた。 ダイ「ポップーーッ!!!!!!!!」 ちょうどその時、なんとか城の門をこじ開けて外に出てきたメルルは、猛烈な爆風を見て愕然とする。 だが、彼ら以上に絶望していたのは、ダイだった。 やっと爆風が静まり、巨大なクレーターを前に佇むダイ。 驚愕するダイに釣られるように、頭上を見上げる仲間達。 メガンテすら利かなかったのかと驚愕する仲間達。 犬死にだとポップを投げ落とすバラン。 レオナが悲痛な声で止めるが、ゴメちゃんは精一杯の攻撃を止めない。 ものすごい勢いでポップの側に落ちたゴメちゃんは気絶していたのを見て、怒りを感じるダイ。 仲間に手を出すなと怒りを露わにするダイを見て、バランは記憶が戻ったことに驚く。 それを、拒否するダイ。 が、バランは人間のことなど覚えている価値はないと言い切り、再び紋章の共鳴を利用してダイの記憶を奪おうとする。 バランはこの前以上の力を込めて念を込めるが、今度はダイは絶対にポップのことを忘れまいと強い決意を持って抵抗し続ける。 抵抗するなと脅すバランに屈せず、自分は勇者ダイだと言い聞かせるダイの拳が光り輝く。 ダイ「おまえなんか、父さんじゃない!」 バランの顔を殴り飛ばすダイ。 《感想》 『ポップーーーっ!!!!!!!!(泣)』 ところで、冒頭のバランの変身シーン、短く編集してあったのに迫力がありましたね。原作ではこんな感じの変身と思っていただけに、前回の尺をたっぷりと使った変身の見せ方に度肝を抜かれました。 ヒュンケルがポップに逃げろというシーン、いいですね! 本音ではポップが心配だから逃がそうとしているのに、素直にそう言えない感じが良く出ていました。 レオナがポップを説得する際、原作ではレオナがポップを手で押さえる描写があったのに、アニメでは全く触れあっていなかったのはちょっと残念でしたが、ポップの納得の仕方が細かくて良かったです。 そして、ヒュンケルの剣の持ち方! ポップが逃げ出してから、初めてクロコダインやヒュンケルが武器を持ち直し、身構えている辺り、彼らの関心がバランよりもポップ寄りなのが現れていてる感じです。 バランの後ろからの不意打ちでは血はほぼ出なかったものの、その後、ずーっとポップがうめく声が聞こえ続けたので、なんだかめっちゃ大怪我を負ったような気が。 バランの怒りのシーンを見て気づいたのですが、バランパパン、舌の色が紫だ(笑) なんだか、ところどころで思わぬ色彩に変化しているのが面白すぎです。 ヒュンケルの目の前でのバランの怒りの表情のアップ、原作にはないのに鬼気迫る大迫力でしたね。ヒュンケルへの攻撃っぷりを見て、ああ、こんだけヘイトを稼いでいたのかぁとつい納得しちゃいました。 ヒュンケル、単に殴られるだけじゃ無くポイ捨てされるシーンまで追加されてましたし(笑) クロコダインの背中を貫くシーン、血は血を全く出さないの描写でしたね。緑の血まみれになるかと思っていたのに。 レオナが吹き飛ばされるシーンでは、あんなにゴロゴロと回転させられていたとは思いもしませんでした。いや、原作でも確かに『ゴロゴロン』と書き文字されていたので原作に忠実と言えばその通りなんですが(笑) ダイがきょとんと空を見上げるシーン、めっちゃ可愛かったです! 記憶喪失のダイって、精神年齢が一気に下がったように見えますね。ここでバランがディーノと呟くのは原作通りなんですが、ポップがダイと呟くシーンが追加されているのがいいですね。 メルルの夢、闇一色から始まって、地面から青い炎が立ち上るように明るさが増していく表現が、非常に美しかったです。でも、ポップの輝きの杖、サイズが大きすぎて違和感があったのが非常に残念でしたが(笑) また、闇の中ではあの杖の後光を表したような銀色部分が綺麗に光っていて『輝きの杖』の名前の由来を実感しました。 夢の中ではポップが流血しまくっていましたが、いいんでしょうか、それは。まあ、原作では悪夢の中で内臓が飛び出しているような表現があるので、かなりマイルド化していますけどね。 それにしても、メルルの寝起きシーン! それはそうと、メルルが跳ね起きると同時にゴメちゃんが転げ落ちる描写を見て、ようやくそこでゴメちゃんが寝ていた意味が分かりました。 原作だと、どのタイミングで移動してきたのか分からないまま、いきなりバランに突っかかっていましたし。 そう言えば、ポップの肩の傷。 ポップがダイの足を掴んだ際、ダイが振り向くのはアニメでの改変ですが、ポップの怯えたような表情と、ダイの不思議そうでいながら無関心な表情の対比が見事ですね。 バランがダイに化け物みたいだと言われ、ちょっと傷ついているのがいいですね。人の心を失ったようでも、やっぱり我が子に拒否されるのは傷ついちゃうみたいです。 単にダイを庇っているのではなく、ダイを行かせないように邪魔しつつ庇う、という動作が気に入っているんですよ。 そして、さりげなくレオナ姫までもここでポップを呼び捨てしているのに萌えました。彼女だけ『ポップ君』になるかなと思っていたのですが、声を合わせる方を重視したみたいですね。 バランがポップにどけと言うシーンで、髪の毛が一瞬、ハリネズミのように坂だった描写にゾクッとしました。細かなところまで手を抜かない描写力、いいですねえ。 バランのポップへの説得、声の感じが落ち着きを取り戻していて、ポップ達も出来れば殺さないで終わらせたいという情けを感じました。その寸前までの暴虐の演技とのギャップがすごいだけに、聞き惚れますよ。 ダイにまで邪魔しないでと言われたポップの、驚きから泣きそうな顔になる変化もすごくよかったです! ポップ「ダイ……ッ」 この台詞のやり取りはアニメでの改変ですが、この短いやり取りもいいですね。ダイを渡せないというポップの台詞にあわせて、レオナやクロコダイン、ヒュンケルのカットが入るのも、ダイがキョトンとして瞬きを繰り返すのも、嬉しい変化です。 ポップの叫びに、レオナが顔を伏せて肩をふるわせているシーン……彼女がきっと泣いているんだと思わせる改変もいいですね。原作ではレオナはここで辛そうにポップを見てるだけなんですが、表情を見せない形で泣くのもアリだと思います。 バランが近づいてくるシーンで、クロコダインが身動きしようと身をよじっているのに感動しました。彼が一番重傷なのに……。 アバン先生の回想シーン、モロにメガンテシーンでしたね。 怯え、張り詰めたようなポップが、ダイに向かって『心配すんな〜』の台詞を言うシーンでは、さらっと自然に言っている感じなのが嬉しくてたまりませんでした。 ちょうど、拍手コメントでも書いたのですが、それまで気を張って無理しまくっていたのに、最後の最後でダイの顔を見て、ふっと「ああ、こいつのためならそれでもいいや」と気が抜けた感じがしていいですねえ。 ダイにバンダナを持っていてくれと頼むシーンで、ダイがなぜと問い返した後、『いいからなくすなよ』の台詞が、無理に振り絞ったような震えがちな感じだったのとは対照的でした。 ポップの特攻シーン、動きが速すぎて何が起きたのか理解しにくいのが残念。 が、アニメではそれらの行動を瞬間的に終わらせすぎて、バランが殴りかかったときにすでにポップの姿が消えていたように見え、ポップが動きの速さでバランを上回ったように見えてしまったのが、どうにも不満です。 動きでは相手に劣ると分かっているからこそ、それをカモフラージュするためにマントを使ったり、雄叫びで気をそらしたり小細工しているのを強調して欲しかったですねえ。 メガンテを仕掛けられそうになってもがくバランの抵抗が意外と地味なので、メガンテは想像している以上に麻痺効果などがあるのかなと感じました。 そのくせ、魔法使いが使うなんてという台詞だけは残すとは(笑) ちょっと、その辺の統一感が無い気がします。 ダイのアバン先生のメガンテ回想シーン、ものすごくモヤモヤな画面で何が何だかさっぱり分からなさすぎて、ぼかしやモザイクのさじ加減って難しいなと実感しました。 アニメでは、バランがポップの腕を捕まえるのを見て、ダイがハッとしています。 で、アニメではバランの台詞を削り、ヒュンケルに「腕そのものを引きちぎる気だ」と言わせて説明しているので、分かりやすい改変だと思いました。 ポップの遺言シーン、ポップに「レオナ」と呼びかけられて、ハッと顔を上げるレオナのシーンがいいですね。 ポップがダイに別れを告げるシーンの後、ダイから目をそらすシーンに一瞬だけポップが笑っていて、それが『これでもう思い残すことはない』的な表情に見えて感動しました! ポップの回想シーン、楽しかったシーンを中心に流れている感じが良かったです。最後の最後のシーンが、ダイとポップの握手シーンなのも、嬉しい限り♪ 原作の青空の下で二人で走っている回想シーンがなかったのがちょっと残念なのですが。 記憶を取り戻したダイの絶叫が、悲痛ながらも力強くていい感じでした。 そして、メルル! 原作のその場にへたり込むアクションも好きだったので、出来ればそっちも入れて欲しかったのですが。 しかし、原作でもそうでしたが、アニメでもダイが何に気がついて頭上を見上げたのか、全く分かりませんでした。 つーか、空を見上げていたおっさんはもっと早く気づけよ、と突っ込んでいいですか? ポップが投げ捨てられるシーン、思っていた以上に高い場所で見ていてひやひやしました。よく、頭が砕けなかったものですね。 そして、メルルとゴメちゃんが息をのむシーンが追加されていたのが嬉しいです! ダイが紋章閃が受け止めるシーン、背中に竜の紋章の形の焦げが生まれ、みるみるうちに焼け落ちるのに肌は全く無傷という描写、細かくていいですね。 どうせ、服よりも皮膚の方が丈夫ですし。……ってことは、もしやダイやバランって戦闘時は裸で戦った方が効率がいいんじゃ……(笑) まあ、全裸戦士なんて嫌ですけど。 ダイのバランへの不満で「ポップもゴメちゃんもあんたほど強くないのに……!」の部分がカットされていましたね。 死亡した後なら、第三者の手がない限り瞼を動かすことも出来ないので、表情の変化はちょっと違和感があります。 ダイが再び紋章の共鳴で苦しむシーン、ポップのバンダナを手放してひらりと舞い落ちているのが再現されていましたが、そのあと、このバンダナがどうなったのかは気になるところですね。 原作ではバンダナを拾うタイミングは空かされないままでしたが、アニメではやって欲しいものです。 バランがダイの記憶を奪おうとするシーンで、メルルが竜の神に祈りを捧げていましたが……目の前にいる男こそがその神(邪神バージョン)だと思うんですが、それでいいんですかね?(笑) バランがダイの抵抗をやめさせようとする台詞にも、改変が。 原作バラン「抵抗するな! ふれてしまうかもしれんぞ」 原作では精神錯乱をぼやかし、アニメでは意識消滅を示唆していますね。……あれ、アニメだと脳死というか植物状態になっちゃいそうな気が。アニメの方がよりヤバい? ダイがバランを殴るシーン、拳を高々と掲げるシーンや殴りかかるシーンに時間をたっぷりと取っているのがいい感じでした。 来週の予告では、ダイとバランの戦いっぷりがすごかったです。ド迫力バトルに不満はないのですが……あのーもしもし、レオナのザオラル挑戦についてチラッとでも触れてくれても……(笑) |