『ポップの覚悟』(2021.5.1)

 

《粗筋》

 怒りと共に、人外の姿へと変身したバラン――ハドラー以上の威圧感を持つバランにポップはただ、驚くばかりだった。
 が、ヒュンケルはそんなバランから一時も目を離さないまま、ポップに城の中へ逃げるように告げる。

 反発するポップだが、ヒュンケルは足手まといは要らないと厳しい言葉でポップを突き放し、逃げろと強く言い切る。
 それでも食い下がろうとするポップに、レオナが自分が二人のサポートをするとフォローし、クロコダインもまた、万が一の時にダイを逃がすようにと託した。

 悔しそうにしながらも、三人がかりの説得でポップも思い直し、逃げることに同意する。
 そのポップの動きを、バランは目で追っていた。

 死ぬんじゃねえぞとみんなに言い残し、城へと走るポップ。
 だが、バランは武器を身構えたヒュンケル達に見向きもせず、額の紋章を光らせる。

 それを見て、危ないとレオナが叫ぶが遅かった。
 後ろから浴びせられた竜閃光がポップの肩を貫き、ポップは苦痛の声を上げながらその場に倒れ込む。

 怪我人を後ろから撃つという非情な行為に、クロコダインが思わずと言った調子で抗議するが、バランは淡々と語る。
 竜魔人となった今、目の前の敵を全滅させる魔獣に等しい存在で、自分の意思でそれを制御するのは不可能……怪我人や未熟者を気遣うことはできない、と。

バラン「……だが、仕方が無いだろう。私の心の傷に無闇に触れた……貴様らが悪いンだからな!」

 憤怒の表情で怒鳴った次の瞬間、バランの姿は消えていた。と、目を疑うような速度でヒュンケルの眼前に立っていた。
 避けるまもなく、凄まじい拳がヒュンケルの腹を殴りつける。その衝撃は背中まで貫くが、ヒュンケルには吹き飛ばされることも許されなかった。

 両の拳を握り込んだまま、背骨まで砕けよとばかりの勢いでそれが振り下ろされる。たまらずに、ヒュンケルは地べたにめり込むように倒れ込んだ。
 そのヒュンケルを、バランは無造作に掴み後方に投げ捨てる。

 それを見かねたようにクロコダインが背後から強襲するが、バランは振り返りもせずに裏拳を放つ。
 それだけで、クロコダインの大斧はあっけなく粉々に砕け散った。驚くクロコダインを、バランの手刀が襲う。

 爪が生え、竜の頭を形どるその種痘の威力は、以前と段違いだった。クロコダインの鎧を砕くどころか、肉体を突き破って背中から突き出される。
 ヘタすれば致命傷になりかねない攻撃を見て、レオナが駆け寄ろうとした。が、バランの放ったバキの一発で、レオナはもんどり打って後ろへと吹き飛ばされる。

 苦痛の中で立ち上がろうとするヒュンケルだったが、その上を狙って飛ばされたクロコダインの巨体がぶつかり、立ち上がる隙すら与えられない。
 
ポップ「このままじゃ全滅しちまう……」

 未だ地面に伏せたままのポップがそう呟いた時、彼のすぐ側に誰かが近寄ってきた。それに気がつくポップ。
 しかし、ヒュンケル達にはそれに気がつくだけの余裕もない。

 横たわったまま動けない彼らは、バランとの実力差に絶望していた。たとえ、体力が万全だったとしても決して勝てない、圧倒的な差……!
 だが、バランは全く手を緩める気配もない。

 自分の力をことさら誇示するがごとく、大きく翼を広げたバランはそのまま空中へと舞い上がる。バランは、竜魔人となった姿でしか使えない秘呪文、ドルオーラを使うつもりなのだ。

 危険を察知するレオナ達だが、誰もがもう動くだけの力も無い。
 バランは両手を組み合わせ、その中から光を発し出す。あたかも、竜の顎(あぎと)を思わせる形に組まれた拳からは、強烈な呪文の予兆が感じられた。

 殺意の籠もったバランの言葉と魔法の予兆に、誰もが身構え、目を瞑る。
 ――が、攻撃の気配が突然止んだことに疑問を感じ、レオナは目を開けた。
 見上げれば、空に浮かんだバランが呆然としたように下を見つめている。攻撃すら忘れたような彼が一身に見つめているのは、きょとんと目を見開いて上を見上げている少年……ダイだった。

 思いがけず現れた我が子の姿に、思わずディーノの名を呟くバラン。倒れているポップもまた、ダイの名を呼ぶ。
 そのどちらにも応えず、ダイはきょとんとして瞬きを繰り返すだけだった。






 その頃、折れ曲がった牢屋の前に倒れているメルルは、夢を見ていた。
 暗闇の中、誰かが走る気配――それは、ポップだった。ポップは巨大な影に向かって、自らの意志で走っている。

 だが、禍々しさを感じる巨大な影からの攻撃により、ポップは胸を引き裂かれ、絶叫した――その時、メルルもまた、絶叫と共に目覚めていた。
 起きた拍子に顔に乗っていたゴメちゃんが転がり落ちたが、メルルにはそれに気づくだけの余裕もない。

 息を荒げつつ、今の夢を思い返すメルル。夢にしては生々しすぎたそれは、予知だったのではないか……そう思った時、ゴメちゃんの鳴き声に呼ばれたメルルは、壊れた鉄の柵と無人になった牢屋を見る。
 ダイとポップを心配し、それぞれの名を呟くメルル――。





 その頃、地上ではバランがゆっくりと空から降りていた。彼が目指すのは、もちろん、我が子のところだ。
 呆けたように空を見上げるダイは、それを避ける様子もない。
 が、今、二人を合わせてはまずいと感じたポップは、必死で這いずってダイの足を掴み、城の中へ逃げるようにと呼びかける。

 だが、ダイは全く反応しない。
 足をつかまれてようやくポップの方を見るも、その目に浮かぶのは不思議そうな色合いだけだ。
 彼には、ポップが誰なのかも、なぜポップがそんなに必死になっているかも、まるで分かっていない。

 それよりも、ダイの意識は目の前に降り立ったバランへと向けられている。
 自分を呼んだのは、おじさんなのかと問いかけるダイ。それに頷き、自分はおまえの父親だと明かすバラン。
 しかし、ダイは自分と姿が大きく違うバランを化け物と感じ、怯えをみせる。

 それに一瞬怯むものの、バランは落ち着いた口調でダイが母親似であり、竜魔人化はできないだろうと明かす。だが、それでも親子である証明のため、バランはダイにバンダナを外すように促し、竜の紋章を共鳴させた。

 それでバランの言っていることが真実と確信したダイは、嬉しそうな笑顔を見せる。
 自分は父さんなのだよと言い、両手を広げるバラン。
 吸い寄せられるようにダイがそちらに歩き出そうとした瞬間、ポップがそれを止めた。
 
 ダイの前に手を広げ、動きを止めるポップ。
 肩で息をし、立ったいるだけでもやっとの様子なのに、それでもダイをバランから守ろうとするポップの姿を見て、仲間達は声をそろえて彼を呼ぶ。

 ポップの行動に、バランは怒りを感じたのか毛を逆立て、どけと命じる。
 抵抗の意思を見せるポップに、やめろと叫ぶヒュンケル。バラン自身も、ポップに向けて抵抗の無意味さを語る。

 ポップが攻撃した場合、それが全くダメージが無かったとしても、バランの逆鱗に触れディーノ以外の全員を殺す結果に繋がるだろう。我が子との再会で人間の心が強く表面に出た今が、最後のチャンスだと告げるバラン。
 大人しくディーノを渡せと、最終通知を告げるバラン。

 そして、小さな手がポップの腕にかけられる。

ダイ「邪魔しないでよ、お兄ちゃん」

 ダイ自身も父親との再会を望み、それを邪魔されたくないと感じている。だが、それを聞いたポップは今にも泣きそうな顔になり――ダイにしがみつくように抱きしめた。

 決してダイを渡さないと言い切るポップは、ダイがいかに自分達にとって大切で、手放せない存在かを語る。そのダイが自分達の前から消えてしまい、人間の敵になるなんて、死んでも我慢ならないと叫ぶポップ。

 仲間達の心を打つ、ポップの涙ながらのその叫びも、バランの心を動かさなかった。
 ならば死ねばいいと、無造作に歩を詰めてくるバラン。

 魔法力はゼロ、強力な武器もアイテムもない最悪の状態、恐怖に追い詰められながらポップは必死で何か手はないかと模索する。
 藁にもすがる思いで無意識に呼びかける相手は、アバンだった。

 ハドラーを相手に、壮絶な自爆を仕掛けた師の姿を思い出し、ハッと気がつくポップ。
 たった一つだけ打てる手があったと思いつくポップだが、その目はさらなる恐怖に絞り込まれる。

 






 手を思いついても、ポップには怯えや迷いがあった。
 それを実行すれば自分がどうなるのか、ポップには分かっていたのだから。恐怖するポップは、すぐ側にいるダイに目をやる。
 怯え、震えているダイ――そんな彼に対して、ポップは笑顔で、いつもの調子で軽く声をかける。

ポップ「心配すんな、すぐ終わらせてやるからよ」

 戸惑うダイが、まだ手にバンダナを握り込んでいるのを見て、5つの頃からずっと自分のトレードマークだったんだから、ずっと持っていてくれと頼む。
 ダイがなぜと戸惑う中、いいからなくすよと一方的に言い、彼を突き飛ばすと同時にポップは走り出した。

 素手のまま、バランに殴りかかろうとするポップに、ヒュンケルやクロコダインは驚き、バランは見苦しい特攻だとさっさと殴って終わらせようとする。

 雄叫びを上げ、無策のまま殴ろうとしていると見せかけて、ポップは途中で冷静にマントの留め金を外していた。
 バランの拳を翻したマントで受け止め、一瞬の隙を突いてバランの頭上に跳び上がり、両手の指を彼のコメカミに埋め込んでいた。

 独特な体勢や魔法の光を見て、ポップの意図を真っ先に悟ったのは賢者のレオナだった。
 ポップを振り払おうとするも振りほどけないことに、バランはわずかなりともうろたえていた。

 この指先には全生命エネルギーを込めているというポップの言葉に、バランも彼が使おうとしている呪文の正体に気がつく。
 自己犠牲呪文――メガンテ。

 それを使えば確実に死ぬと分かっていながら、ポップに迷いはない。ヒュンケルやクロコダイン、レオナが止めても、ポップは少しも揺らがない。

 そんなポップの背中を見つめているダイは、何かを思い出しかけていた。
 ぼんやりとしてはっきりとは思い出せないながらも、前にも似たようなことが……とても悲しいことがあったような記憶が。
 自分が何かをしなければいかないという焦燥感に駆られながらも、何も思い出せないダイ。

 そんな中、バランは業を煮やしたのかポップの腕を両腕で握り、力を込め始めた。
 腕そのものを引きちぎるつもりだと、看破するヒュンケル。

 苦痛に顔を歪めながらも、ポップはさらに指先にエネルギーを込め、バランに苦痛を与えてそれを止めさせる。
 バランが大人しくなった時を狙って、ポップは仲間達に別れの言葉を投げかける。

 彼らに後を任せ、マァムにはうまく言っておいてくれと頼む。
 そして、ポップは最後にダイを振り返る。
 顔を俯かせ、小刻みに震えているダイは、動かない。呟いた声が聞こえたのかどうか……顔を上げたダイと、ポップの目が合った。

 その途端、ポップの目から涙が溢れる。

ポップ「おれが死ぬところをみても、まだとぼけた面をしてやがったら……うらむぜ」

 そう言って、ポップは思い残すことが無くなったとばかりにダイに今まで楽しかったと伝え、自分の『旅』を終わらせた。
 ポップの唱えたメガンテの呪文により、巨大な爆発が巻き起こる。
 その瞬間、ダイが叫んだ。

ダイ「ポップーーッ!!!!!!!!」

 ちょうどその時、なんとか城の門をこじ開けて外に出てきたメルルは、猛烈な爆風を見て愕然とする。
 爆風の中、レオナ、クロコダイン、ヒュンケルも嘆きの極地にあった。

 だが、彼ら以上に絶望していたのは、ダイだった。
 ポップのバンダナを握りしめ、自分の不甲斐なさを嘆き、ポップの名を叫びながら謝り続けるダイ。
 
 それを見て、ダイが記憶を取り戻したことを悟る仲間達だが、それを喜ぶ気になどなれない。あまりにも、その代償が大きすぎたのだから……。

 やっと爆風が静まり、巨大なクレーターを前に佇むダイ。
 仲間達も無気力にその場を動かなかったが、ダイはハッと何かに気づいたように頭上を見上げた。

 驚愕するダイに釣られるように、頭上を見上げる仲間達。
 そこには、ポップを片手にぶら下げたまま空中に浮かんでいるバランの姿があった。

 メガンテすら利かなかったのかと驚愕する仲間達。
 それを否定したのは、他ならぬバランだった。メガンテは、バランにも利く……だが、ポップが未熟だったため詰めの瞬間に指の力が弱まり、辛くも脱出することが出来た。

 犬死にだとポップを投げ落とすバラン。
 それに衝撃を受けるメルルやダイ、仲間達。その中で、一直線にバランに飛んでいったのはゴメちゃんだった。泣きながら必死に羽を打ち付け、抗議するゴメちゃん。

 レオナが悲痛な声で止めるが、ゴメちゃんは精一杯の攻撃を止めない。
 が、まったくダメージがないままそれを受けていたバランは、手で小さなスライムを払いのける。

 ものすごい勢いでポップの側に落ちたゴメちゃんは気絶していたのを見て、怒りを感じるダイ。
 が、それでもバランの攻撃意志は削がれない。
 消えろと、打ち出された紋章閃はポップとゴメちゃんへ飛んでいった。しかし、それを背中で受け止めたのは、ダイだった。

 仲間に手を出すなと怒りを露わにするダイを見て、バランは記憶が戻ったことに驚く。
 
 そんなバランに、父親なのになんでそんなひどいことをするんだとダイは不満をぶつける。
 しかし、バランは人間への敵視は深く、息子ならそれに従うようにと告げる。

 それを、拒否するダイ。
 人間の中には確かにひどいことをする者もいる……だが、正しいことをしようと努力している者もいる――ポップの頭を抱えて、泣くダイ。

 が、バランは人間のことなど覚えている価値はないと言い切り、再び紋章の共鳴を利用してダイの記憶を奪おうとする。
 頭を抱え、再び苦しむダイ。

 バランはこの前以上の力を込めて念を込めるが、今度はダイは絶対にポップのことを忘れまいと強い決意を持って抵抗し続ける。
 激しい頭痛に苦しめられながら、何も出来ない仲間達。メルルはポップが命まで懸けたのに自分には何も出来ないことを嘆き、竜の神へと祈りを捧げる。

 抵抗するなと脅すバランに屈せず、自分は勇者ダイだと言い聞かせるダイの拳が光り輝く。
 父に逆らうことを咎められたダイは、拳を高く突き上げて叫ぶ。

ダイ「おまえなんか、父さんじゃない!」

 バランの顔を殴り飛ばすダイ。
 竜闘気に覆われたはずなのにダメージを受けたことに、驚くバラン。そして、見ている仲間達もダイの拳に紋章が輝いているのを見て、驚いていた。
 
 それを知り、最大の驚きを感じたのはバランだった。
 数千年の竜の騎士の歴史上、額以外の場所に紋章が発動した例は無い。人間の心――ソアラの想いがこれを成し遂げたのかと、バランは驚愕するばかりだった――。

 
 


《感想》

『ポップーーーっ!!!!!!!!(泣)』
 うう、これが泣かずにいられるものかっ! 原作で一番の名シーンを、夢にまで見たアニメで見られる日が来ようとは……っ。ああ、長年ダイ大ファンをやっていて、本当に良かった……!

 ところで、冒頭のバランの変身シーン、短く編集してあったのに迫力がありましたね。原作ではこんな感じの変身と思っていただけに、前回の尺をたっぷりと使った変身の見せ方に度肝を抜かれました。
 でも、それをそのまま使わずに短縮する辺り、ストーリーへの配慮を感じます♪

 ヒュンケルがポップに逃げろというシーン、いいですね! 本音ではポップが心配だから逃がそうとしているのに、素直にそう言えない感じが良く出ていました。

 レオナがポップを説得する際、原作ではレオナがポップを手で押さえる描写があったのに、アニメでは全く触れあっていなかったのはちょっと残念でしたが、ポップの納得の仕方が細かくて良かったです。
 
 悔しそうな表情をし、瞬きを一回してから納得するという描写の細かさがいいですね。

 そして、ヒュンケルの剣の持ち方!
 原作ではヒュンケルはバランに対して身構える持ち方をしているのですが、アニメではポップが走り出した時、城を剣で指していました。あちらへ逃げろ、と誘導しているように見えて、ヒュンケルの気遣いを感じました。

 ポップが逃げ出してから、初めてクロコダインやヒュンケルが武器を持ち直し、身構えている辺り、彼らの関心がバランよりもポップ寄りなのが現れていてる感じです。

 バランの後ろからの不意打ちでは血はほぼ出なかったものの、その後、ずーっとポップがうめく声が聞こえ続けたので、なんだかめっちゃ大怪我を負ったような気が。
 
 流血はダメで、痛みに喘ぐ人間の声はOKって、ホントにニチアサ基準が分からないです(笑)

 バランの怒りのシーンを見て気づいたのですが、バランパパン、舌の色が紫だ(笑) なんだか、ところどころで思わぬ色彩に変化しているのが面白すぎです。

 ヒュンケルの目の前でのバランの怒りの表情のアップ、原作にはないのに鬼気迫る大迫力でしたね。ヒュンケルへの攻撃っぷりを見て、ああ、こんだけヘイトを稼いでいたのかぁとつい納得しちゃいました。

 ヒュンケル、単に殴られるだけじゃ無くポイ捨てされるシーンまで追加されてましたし(笑)

 クロコダインの背中を貫くシーン、血は血を全く出さないの描写でしたね。緑の血まみれになるかと思っていたのに。

 レオナが吹き飛ばされるシーンでは、あんなにゴロゴロと回転させられていたとは思いもしませんでした。いや、原作でも確かに『ゴロゴロン』と書き文字されていたので原作に忠実と言えばその通りなんですが(笑)

 ダイがきょとんと空を見上げるシーン、めっちゃ可愛かったです! 記憶喪失のダイって、精神年齢が一気に下がったように見えますね。ここでバランがディーノと呟くのは原作通りなんですが、ポップがダイと呟くシーンが追加されているのがいいですね。

 メルルの夢、闇一色から始まって、地面から青い炎が立ち上るように明るさが増していく表現が、非常に美しかったです。でも、ポップの輝きの杖、サイズが大きすぎて違和感があったのが非常に残念でしたが(笑)

 また、闇の中ではあの杖の後光を表したような銀色部分が綺麗に光っていて『輝きの杖』の名前の由来を実感しました。
 夢の中のバラン、目が赤く光り輝いていて、正直、バーン様よりも禍々しいのですが(笑)

 夢の中ではポップが流血しまくっていましたが、いいんでしょうか、それは。まあ、原作では悪夢の中で内臓が飛び出しているような表現があるので、かなりマイルド化していますけどね。

 それにしても、メルルの寝起きシーン!
 アップシーンで肩に大きく光が当たる描写で、よりによって丸出しの左肩の方が目立っていたせいで……なんか、ヌードなシーンに見えてしまうのですがっ!? い、いけない、邪な目で見てしまっては!(自粛)

 それはそうと、メルルが跳ね起きると同時にゴメちゃんが転げ落ちる描写を見て、ようやくそこでゴメちゃんが寝ていた意味が分かりました。
 なるほど、ゴメちゃんがどのタイミングで目覚めて、ダイ達の所へ移動したかを表現するのに、メルルとタイミングを合わせるのにちょうどよかったんですね。

 原作だと、どのタイミングで移動してきたのか分からないまま、いきなりバランに突っかかっていましたし。

 そう言えば、ポップの肩の傷。
 なぜかここだけは袖が真っ赤に染まって流血の気配が強いのですが。原作寄りも服が大きく破けていますし、本当になぜここだけ? えーと、カール王国で竜閃光で死んだホルキンスさんは、胸から全然血が流れていなかった気がするんですが……(笑)
 
 バランとダイの再会シーンで、ポップがダイを止めようと這いずるシーンで、動こうと失敗して一回つぶれるシーン、リアルでいいですね。
 一度、その描写があるからこそ、その後はダイのアップのシーンが続いているのに、音とポップのセリフだけでも、それでも必死に這いずってダイに近寄るポップの姿が思い浮かびます。

 ポップがダイの足を掴んだ際、ダイが振り向くのはアニメでの改変ですが、ポップの怯えたような表情と、ダイの不思議そうでいながら無関心な表情の対比が見事ですね。
 ポップにとっては、ダイが自分を覚えてもいず、無関心だということがどんなに心を傷つけるものだったかと思うと、泣いちゃいそうになります……っ。

 バランがダイに化け物みたいだと言われ、ちょっと傷ついているのがいいですね。人の心を失ったようでも、やっぱり我が子に拒否されるのは傷ついちゃうみたいです。
 
 ポップがダイを止めるシーンで、歩こうとしたダイの足に自分の足で塞いで動きを止めるシーンが再現されているのが、嬉しかったです♪
 原作でも、足の動きでダイの動きを止めながら、身体全体でバランからダイを庇おうとしているポップの動き方に感心していたので、そこまで再現されてくれてよかったですよ。

 単にダイを庇っているのではなく、ダイを行かせないように邪魔しつつ庇う、という動作が気に入っているんですよ。

 そして、さりげなくレオナ姫までもここでポップを呼び捨てしているのに萌えました。彼女だけ『ポップ君』になるかなと思っていたのですが、声を合わせる方を重視したみたいですね。

 バランがポップにどけと言うシーンで、髪の毛が一瞬、ハリネズミのように坂だった描写にゾクッとしました。細かなところまで手を抜かない描写力、いいですねえ。

 バランのポップへの説得、声の感じが落ち着きを取り戻していて、ポップ達も出来れば殺さないで終わらせたいという情けを感じました。その寸前までの暴虐の演技とのギャップがすごいだけに、聞き惚れますよ。

 ダイにまで邪魔しないでと言われたポップの、驚きから泣きそうな顔になる変化もすごくよかったです! 

ポップ「ダイ……ッ」
ダイ「……なに?」

 この台詞のやり取りはアニメでの改変ですが、この短いやり取りもいいですね。ダイを渡せないというポップの台詞にあわせて、レオナやクロコダイン、ヒュンケルのカットが入るのも、ダイがキョトンとして瞬きを繰り返すのも、嬉しい変化です。

 ポップの叫びに、レオナが顔を伏せて肩をふるわせているシーン……彼女がきっと泣いているんだと思わせる改変もいいですね。原作ではレオナはここで辛そうにポップを見てるだけなんですが、表情を見せない形で泣くのもアリだと思います。

 バランが近づいてくるシーンで、クロコダインが身動きしようと身をよじっているのに感動しました。彼が一番重傷なのに……。
 近寄るバランの足音がエコーを聞かせて大きく鳴り響くのも、恐怖を煽っていていい演出でした。

 アバン先生の回想シーン、モロにメガンテシーンでしたね。
 原作のように、ポップが何を思いついたのかはっきり見せないまま引っ張るのもいいと思ったのですが、短く済ませるならこっちの方が効果的と言えば効果的かも。

 怯え、張り詰めたようなポップが、ダイに向かって『心配すんな〜』の台詞を言うシーンでは、さらっと自然に言っている感じなのが嬉しくてたまりませんでした。

 ちょうど、拍手コメントでも書いたのですが、それまで気を張って無理しまくっていたのに、最後の最後でダイの顔を見て、ふっと「ああ、こいつのためならそれでもいいや」と気が抜けた感じがしていいですねえ。

 ダイにバンダナを持っていてくれと頼むシーンで、ダイがなぜと問い返した後、『いいからなくすなよ』の台詞が、無理に振り絞ったような震えがちな感じだったのとは対照的でした。
 ダイが自分を忘れているという現実を突きつけられ、ポップが密かに傷ついているのを表情以上に声でみせている気がします。

 ポップの特攻シーン、動きが速すぎて何が起きたのか理解しにくいのが残念。
 原作では、ポップがバランの目の前にマントを広げ、それを邪魔だとバランが払いのけようとした隙を突いて、ポップがバランの頭上を取る、という流れに見えました。

 が、アニメではそれらの行動を瞬間的に終わらせすぎて、バランが殴りかかったときにすでにポップの姿が消えていたように見え、ポップが動きの速さでバランを上回ったように見えてしまったのが、どうにも不満です。
 ポップの動きって、どこか不器用でへっぽこなところがいいのに〜。

 動きでは相手に劣ると分かっているからこそ、それをカモフラージュするためにマントを使ったり、雄叫びで気をそらしたり小細工しているのを強調して欲しかったですねえ。

 メガンテを仕掛けられそうになってもがくバランの抵抗が意外と地味なので、メガンテは想像している以上に麻痺効果などがあるのかなと感じました。
 後、メガンテの説明で僧侶や賢者なら蘇生確率が高い説明などが、まるっとカットされていましたね。

 そのくせ、魔法使いが使うなんてという台詞だけは残すとは(笑) ちょっと、その辺の統一感が無い気がします。

 ダイのアバン先生のメガンテ回想シーン、ものすごくモヤモヤな画面で何が何だかさっぱり分からなさすぎて、ぼかしやモザイクのさじ加減って難しいなと実感しました。
 
 バランがポップの腕を引きちぎろうとするシーン、原作では身体を大きく振って体勢を変えさせるシーンや、台詞で脅しつけているシーンがあるんですが、アニメではそれを大きく変えているのに感心しました。

 アニメでは、バランがポップの腕を捕まえるのを見て、ダイがハッとしています。
 記憶を失って以来、ずっとダイはポップや周囲の人間に対して無関心だったので、彼が変わりつつあるのが表現されていていいですね。

 で、アニメではバランの台詞を削り、ヒュンケルに「腕そのものを引きちぎる気だ」と言わせて説明しているので、分かりやすい改変だと思いました。

 ポップの遺言シーン、ポップに「レオナ」と呼びかけられて、ハッと顔を上げるレオナのシーンがいいですね。

 ポップがダイに別れを告げるシーンの後、ダイから目をそらすシーンに一瞬だけポップが笑っていて、それが『これでもう思い残すことはない』的な表情に見えて感動しました!

 ポップの回想シーン、楽しかったシーンを中心に流れている感じが良かったです。最後の最後のシーンが、ダイとポップの握手シーンなのも、嬉しい限り♪

 原作の青空の下で二人で走っている回想シーンがなかったのがちょっと残念なのですが。

 記憶を取り戻したダイの絶叫が、悲痛ながらも力強くていい感じでした。

 そして、メルル!
 ゴメちゃんを頭の上に載せ、やっとという感じで門を開けている非力さが可愛いです♪
 原作では扉がバーンと開いていましたが、アニメ版では身体がやっと空くぐらいの広さをこじ開け、そこから抜け出る感じがすっごく非力っぽくて可愛いですね。ちゃっかり、ゴメちゃんも一緒にいますし。

 原作のその場にへたり込むアクションも好きだったので、出来ればそっちも入れて欲しかったのですが。

 しかし、原作でもそうでしたが、アニメでもダイが何に気がついて頭上を見上げたのか、全く分かりませんでした。
 原作では音を気にしているので、バランの羽ばたきかと思ったのですが……そもそも、バラン、羽を動かさないで飛んでいるしなぁ(笑)

 つーか、空を見上げていたおっさんはもっと早く気づけよ、と突っ込んでいいですか?

 ポップが投げ捨てられるシーン、思っていた以上に高い場所で見ていてひやひやしました。よく、頭が砕けなかったものですね。
 背中から落ちていますし、よっぽどバランの投げ方が上手かったのでしょうか。

 そして、メルルとゴメちゃんが息をのむシーンが追加されていたのが嬉しいです!
 でも、ゴメちゃん突進シーンで、メルルの制止がなかったのは残念。
 レオナだけじゃなく、メルルにもゴメちゃんを心配して欲しかったですねえ。
 
 原作に比べ、バランのゴメちゃんに対する扱いがひどい……っ。
 原作では払いのけられ、ポテッと落ちていたのが、アニメでは狙い澄ましたかのようなスマッシュで地面に叩きつけられていますよ!?
 でも、原作と違って顔が腫れていないし、ゴメちゃんの身体って弾力性があるんですかね? スライムなだけに。

 ダイが紋章閃が受け止めるシーン、背中に竜の紋章の形の焦げが生まれ、みるみるうちに焼け落ちるのに肌は全く無傷という描写、細かくていいですね。
 ええ、ソアラさんと違ってダイならこれは文句ないです。

 どうせ、服よりも皮膚の方が丈夫ですし。……ってことは、もしやダイやバランって戦闘時は裸で戦った方が効率がいいんじゃ……(笑) まあ、全裸戦士なんて嫌ですけど。

 ダイのバランへの不満で「ポップもゴメちゃんもあんたほど強くないのに……!」の部分がカットされていましたね。
 あまり思い入れのない部分だったのでカットされてもさほど不満はありませんでしたが、白目を剥いていたポップがこの時点で目を閉じているのはちょっと不満が。

 死亡した後なら、第三者の手がない限り瞼を動かすことも出来ないので、表情の変化はちょっと違和感があります。
 レオナが呪文をかけるまで、表情を変化させない方向でやって欲しかったです。原作では、実際、ずっと顔に影をかけていましたしね。

 ダイが再び紋章の共鳴で苦しむシーン、ポップのバンダナを手放してひらりと舞い落ちているのが再現されていましたが、そのあと、このバンダナがどうなったのかは気になるところですね。

 原作ではバンダナを拾うタイミングは空かされないままでしたが、アニメではやって欲しいものです。

 バランがダイの記憶を奪おうとするシーンで、メルルが竜の神に祈りを捧げていましたが……目の前にいる男こそがその神(邪神バージョン)だと思うんですが、それでいいんですかね?(笑)

 バランがダイの抵抗をやめさせようとする台詞にも、改変が。

原作バラン「抵抗するな! ふれてしまうかもしれんぞ」
アニメバラン「抵抗するな! 意識そのものが消えてしまうかもしれんぞ」

 原作では精神錯乱をぼやかし、アニメでは意識消滅を示唆していますね。……あれ、アニメだと脳死というか植物状態になっちゃいそうな気が。アニメの方がよりヤバい?

 ダイがバランを殴るシーン、拳を高々と掲げるシーンや殴りかかるシーンに時間をたっぷりと取っているのがいい感じでした。
 バランがダイの紋章が異動した理由として、ソアラを思い出していますが、原作ではソアラの血かと言っていますが、アニメでは人間の心、ソアラの想いと表現していました。

 来週の予告では、ダイとバランの戦いっぷりがすごかったです。ド迫力バトルに不満はないのですが……あのーもしもし、レオナのザオラル挑戦についてチラッとでも触れてくれても……(笑)

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