『バランの怒り』(2021.4.24)

  
 

《粗筋》

 ポップを人質に、ヒュンケルに武器を捨てるようにと脅しつけるボラホーン。
 それを卑怯だと歯がみしつつも、ヒュンケルは武器を捨てれば……自分を殺せば、ポップを本当に見逃してくれるのかと確認を取る。

 雑魚の命になど興味が無いと、ヒュンケルの首を欲するボラホーンの要求に、ヒュンケルは剣を下ろし、静かに目を伏せて承服する。
 が、それに待ったをかけたのはポップだった。

 頭を強く握りしめられる苦痛に耐えながら、自分に構わずボラホーンをぶっ倒してくれと訴えるポップ。
 だが、ヒュンケルはそれはできないと断る。

 ポップは魔法力が空の自分がダイの役に立たないこと、ヒュンケルが死ぬとすごく悲しむヤツがいることを上げ、ヒュンケルが生き残るべきだと主張する。

 名前こそ出さなくともポップが差しているのが、マァムのことだとヒュンケルには伝わっていた。
 マァムを泣かせず、幸せにしてやってくれと頼むポップ。

 しかし、自分は人を幸せに出来ないと拒絶するヒュンケル。せめて悪党を不幸にしようと思って、おまえ達の仲間になったのだという。
 そして、アバンの弟子として、後輩を見殺しには出来ないと言うヒュンケルの顔には、微笑が浮かんでいた。

 そんなヒュンケルに対して、鎖鎌を振り上げるボラホーン。ポップがやめてくれと絶叫する声が、空しく響き渡る。
 死を目前にしながらも、ヒュンケルは目をしっかりと見開いていた。その澄み切った目差しには、何の迷いも恐れもない。

 ヒュンケルに向かって振り下ろされる非情な刃――が、それは唐突に軌道を変えて宙を舞った。
 そして、血しぶきと共にボラホーンの口を槍が貫く。

 絶命し、ポップを手放して倒れるボラホーン。
 振り向いたヒュンケルは、地べたに倒れながらも槍を投げた直後のラーハルトの姿を確認する。

 


 ポップとヒュンケルは、ラーハルトの側に佇んでいた。
 仰向けに横たわるラーハルトに、なぜ自分を助けたのかと問うヒュンケル。人間相手に人質を取る愚行が、竜騎衆として許せなかったと言うラーハルト。

 人間に対して強い憎しみを抱くラーハルトに対して、ヒュンケルはその理由を訊く。

 ラーハルトは、自分が魔族と人間の間に生まれた者だと明かす。
 魔族の父が早く死に、人間の母に育てられたラーハルトだが、彼が七歳の時に魔王ハドラーが世界を席巻しようとした。
 そのせいで、ラーハルトやその母は人間から迫害されるようになった。

 その母も病に倒れ、幼かったラーハルトは夕日の中で途方に暮れて墓の前に佇む。
 そこに現れたのがバランだった。

 自分の悲しみをただ一人、理解してくれたのがバランだったと語るラーハルト。
 が、その話を聞いたポップは泣きじゃくり、ヒュンケルの目にも涙が滲んでいた。

 他人の悲しみを我がことのように感じる――そんな二人を甘いと言うラーハルトの目にも、涙が滲んでいた。
 おまえ達にならバラン様の悲しみを分かるかもしれないと考えたラーハルトは、二人にバランとディーノのことを頼み、ヒュンケルに鎧の魔槍を託す。

 静かながら、どこか必死さの感じられるラーハルトの末期の頼みを、ヒュンケルは一瞬驚きつつも、受け入れた。
 自分もラーハルトの手を両手で握り返し、頷く。

 二人の意志が一致した途端、ラーハルトの鎧から粒子が立ち上る。その輝きは爆発的な光を放ち、金属音を立てて魔槍がヒュンケルの身体を包んでいく。
 数秒後、そこには眩いまでの光を放つ鎧の魔槍を纏ったヒュンケルがいた。

 鎧もヒュンケルが気に入ったようだと、ラーハルトは満足げだった。
 最後におまえ達のような男に会えて良かったと言い残し、ラーハルトは逝った……。

 ポップに肩を貸しながら歩くヒュンケルは、肩越しに後ろを振り返る。
 竜騎衆やその騎竜達が倒れる光景を見ながら、ヒュンケルはラーハルトから、願いと魂の籠もった鎧を受けとった事実を噛みしめていた――。






 その頃、テラン城の前ではクロコダインとレオナがいた。
 魔法力を放つ手袋の具合を確かめながら、絶体絶命だと自覚しているレオナは、クロコダインに策はないかと問う。
 だが、クロコダインにしてみれば自分の方がそう聞きたいぐらいだ。

 この場にヒュンケルがいてくれたなら……そう呟くが、その場にやってきたのはバランだった。
 額の紋章を光らせ、こちらへと歩いてくるバラン。
 ディーノを渡すように要求するバランに、きっぱりと断るレオナ。

 バランは二人だけで戦おうとしているのを見て、前回の戦いが教訓になっていないのか、それとも策があるのか、決めかねている。
 無策のクロコダインは、せめてもう一人仲間がいればといつになく弱気になっていた。

 が、その時、バランが思い出したようにポップの話をする。
 一人で足止めにやってきたポップを竜騎衆に任せてきたと言うバランの話に、衝撃を受けるクロコダインとレオナ。

 未熟者を捨て石に使う残酷な策が、クロコダインらしくないことをいぶかしがっているバランは、それがレオナのアイデアなのかと問う。

 だが、二人ともその疑問に答える余裕もない。
 仲間に恨まれてでもダイを助けようとしたポップの真意を知り、後悔に打ち震える。ポップを本気で叩いたことを悔いるレオナのすぐ横で、突然、クロコダインが笑い始めた。

 最初は俯いて笑っていた彼は、終いには身をのけぞらせるように大声で笑う。
 それは、自分の愚かしさへの自嘲だった。
 ポップの本心を見抜けなかった自分の愚かさを涙をこぼしながら笑い、心の中でポップへの許しを請うクロコダイン。
 
 あの世で会った時、好きなだけ殴れと思うクロコダインは、すでにこの時には決意を固めていた。

 気が触れたのかと、クロコダインを見やるバラン。
 が、クロコダインは心の迷いが晴れたと言い、戦意も新たに身構える。クロコダインの態度を見て、バランもまた、剣を抜いた。

 そのわずかな間に、クロコダインはレオナに助力を頼み、打ち合わせをする。危険だと止めるレオナだが、クロコダインの目はバランのみに注がれている。

 頼むと言い残して、クロコダインはバランに斧で斬りかかった。
 渾身の一撃だが、それは当然のようにバランの剣に止められる。紋章を光らせ、バランは闘気を纏ってクロコダインを吹き飛ばした。

 後方に飛ばされるクロコダインに、バランは容赦なく追撃を仕掛ける。
 両手を組み合わせてバランの攻撃を受けるクロコダインだが、籠手を切り裂いた刃がクロコダインの腕を切り裂き、血が飛び散った。
 ――が、それまでだ。

 一旦後方に下がったバランは、クロコダインが竜闘気の込められた攻撃を受けきったことに驚いていた。
 そんなバランに対して、クロコダインは挑発的に指で招く。

クロコダイン「バラン……ギガブレイクで来い」

 その挑発に、バランは剣を身構えて雷雲を呼ぶ。青空に黒い雲が渦のように集まり、その中心部が光を帯びて雷を放つ。
 雷を自身の剣に集めたバランは、ギガブレイクを放とうとする。





 その様子を、悪魔の目玉はリアルタイムで映し出してた。
 先程までと違って、悪魔の目玉の下にはザボエラとハドラーのみが見つめていた。ザボエラはクロコダインの粘りに軽く驚いているだけだが、ハドラーは切迫した表情で戦いの成り行きを見つめている。
 
 ハドラーとしてはバランが敗れて欲しいところだが、バランに限ってそれは有り得ないとわかっているからこそ、その表情は険しく、したたるほどに脂汗を掻いていた――。






 一方、見られている事を知らぬまま、バランとクロコダインの対決は続く。
 ギガブレイクの強烈な閃光が、クロコダインを焼く。強烈な一撃に、クロコダインの身体が高々と舞い上がり、地響きを立てて地に落ちた。

 それを、バランは振り返りもしなかった。獣王の最後だと、確信していたから。

 しかし、不思議な音と共に柔らかい光が辺りが後ろから広がった。
 驚きと共に振り返ったバランが見たものは、立ち上がったクロコダインをベホマで癒やすレオナの姿だった。

 レオナの力では、体力と外傷、両方を治療することは出来ない。だが、体力さえ回復し続ければ、クロコダインは戦い続けることができる。
 クロコダインは全てを防御に注ぎ込み、バランの力を削る作戦に出たのだ。相手の力か、自分の生命か、どちらが先に尽きるか勝負を仕掛けるクロコダイン。

 それを聞いて、バランは激昂する。
 バランの怒りの感情のみで周囲に嵐のように風が吹き荒れる中、クロコダインはレオナを庇って抱き寄せる。

 一撃で倒せなかったことでプライドが傷つけられたバランの怒りを見て、レオナは改めてこの戦い方が無謀だとクロコダインを案じるが、彼の意見は変わらない。
 無謀は承知の上で、ポップの心に準じようとしているのだ。
 それを聞いて、ひっぱたいてしまった罰かもねと、レオナも納得する。

 咆哮するバランの額からは、眩いほどに紋章の光が放たれる。
 それに呼応するように、地下牢にいるダイの額もまた、輝いていた。頭を抱え込み、苦しがるダイを見て心配するメルル。

 身体が熱くて、じっとしていられないとダイが叫んだ瞬間、その光に跳ね飛ばされたメルル達は壁にぶつかり、気を失って倒れる。
 光が収まった中、ダイは「行かなきゃ……」と呟き、鉄の柵に手をかける。

 さして力を入れてるようにも見えないのに、鉄の柵は飴のように曲がり、外に出られるだけの隙間が空いた。

ダイ「誰かがぼくを呼んでいる……」

 光のない目で、ダイは何者かに操られるような動きで牢から抜け出した――。





 一方、二発目のギガブレイクを喰らいながらもクロコダインは生きていた。クロコダインの頑強さと捨て身さに、さすがのバランも驚きを隠せない。
 クロコダインの目的は、バランの体力と魔法力を削ること――自分の命を捨て石と見なし、後から来る仲間のために命を捨てるつもりで尽くしている。
 必ず仲間が来ると確信しているクロコダインに、苛立ちを感じるバラン。

 そしてレオナは、クロコダインに早くベホマをかけようと隙を窺っていた。が、動き出した瞬間、雷が彼女のすぐ側に落ちる。

 ライディンに驚くレオナに対して、バランは忠告だと言い放つ。
 ベホマの回復を防ぐため、レオナに一歩も動くなと言い放つバラン。回復を抑えてから、剣を大きく横に構え直すバラン。
 今度こそ止めを刺すと剣を振り上げたバランを見て、レオナはたまりかねたように走り出す。

 クロコダインが制止しようとするが、バランの方が早かった。忠告を無視したレオナに対して、雷が放たれる。
 レオナの背後に雷の気配が迫り、轟音と共に落雷する。
 だが、レオナに当たるかと思った雷は、突然飛んできた槍が封じた。避雷針となった槍が、地面に突き刺さる。

 ラーハルトの槍を見て、なぜ邪魔をするのかと憤り、近づいてきた足音を聞いて叱責するようにラーハルトの名を呼ぶバラン。
 が、振り返ったバランの目が大きく見開かれる。

 そこにいたのは、ラーハルトの魔槍を身につけたヒュンケルと、彼に肩を借りてやっと立っているポップだった。
 ポップの姿を見て、喜ぶレオナとクロコダイン。

 竜騎衆は全員かたづけてきたというポップの言葉に、さすがのバランも血相を変える。デタラメだと否定するも、それ以外に二人がここに来られる理由はない。

 その事実を受け止めたバランは、ヒュンケルに対して険しい目を向ける。ラーハルトを殺して、武器を奪ったのかと。
 話の合間、レオナがポップに駆け寄り、彼を支えて場所を変えさせる。

 ヒュンケルはこれはラーハルトの意志で送られた物であると説明し、ラーハルトからバランを託されたことも伝える。
 ラーハルトから聞いたソアラの話をし、バランを説得しようとするヒュンケル。

 ダイのためにも人の心を取り戻すように訴えるヒュンケルの説得には、熱が籠もっていた。しかし、その熱意はバランの心を揺り動かしはしても、変えることは出来なかった。

 ヒュンケルの熱意、クロコダインの後押しも、バランの怒りを強めるばかり……そして、バランの握りしめた手の震えが止まった。
 嫌に静かになったバランは、とてつもない緊張感を放っていた。

 先程までとは打って変わって、落ち着き払った口調でバランは言う。

バラン「……ならば捨てよう。この人の心と身体を!」

 自分の顔につけていた、竜を象ったモノラルを引きちぎるように外すバラン。それを強く握りしめるあまり、拳から血が伝う。
 バランは、己の心を変えるつもりはない。
 
 きれい事を並べてられても、ソアラが生き返るわけではない。ならば、息子と共に人間全てを滅ぼすのが彼の望みであり、それが敵わないのなら死んだ方がマシだとさえ言い切る。

 剣を地面に突き刺し、気迫を高めるバラン。
 その手から流れる血が、赤から、魔族のものである青い色へと変化していくのを見て、驚愕するヒュンケル。
 手を高々と振り上げると、バランに雷が降り注ぐ。
 その威力に押されたのか、悪魔の目玉は奇妙に膨れ上がり、一気にはじけ飛んだ。






 送信側である悪魔の目玉が消滅したことで、受診側の悪魔の目玉は砂嵐のようなノイズが流れるだけで、光景を映し出さなくなった。
 何があったのかと慌てるザボエラに、悪魔の目玉は平坦な声で告げる。

 テランに配置された悪魔の目玉達が、次々と消失した、と。
 有り得ないとうろたえるザボエラと違い、ハドラーは薄々とだがバランが何をしようとしているのか知っている様子だ。
 ザボエラは周辺にいる悪魔の目玉達をテランに差し向けるよう、命令を下す。





 悪魔の目玉の目の届かないところで、バランの変身は始まっていた。
 押さえ上がるエネルギーを持て余すように、咆哮するバラン。その身体を覆っていた鎧は内部からの力に耐えかねたように砕け散った。
 額から迸る光がまるで虎の縞模様のように髪を覆い、その髪も本来の長さより伸びていた。

  肉体から突き出た肋骨が、がっしりと皮膚に食い込み簡易鎧のように胸元を飾る。肩の筋肉が盛り上がったかと思うと、棘を帯びた装甲へと変化した。
 握りしめた腕からは二本の大きな角が飛び出し、さながら竜の頭のよう。
 
 軽く首をひねった瞬間に盛り上がった筋肉は、肩周りをさらに強化していた。わずかに前傾姿勢を取ったバランの背から、凄まじい勢いで白い骨が突き出る。

 それは一旦丸まってから広がり、コウモリの羽のような翼の土台を作り上げ、皮膜が生まれる。

 身体を庇うかのように両手を十字に組んで丸めていたバランだが、その拳に光る目のような部分が輝く。
 ケダモノじみた叫びと共に、バランは両腕を大きく広げた。その時には、皮膚は赤く染まっていた。

 誰もが驚愕で目を見張る中、バランはその姿を完全に変化させていた。
 人の姿でありながら、竜の猛々しさを前面に押し出した、翼を持つ魔神として。

 これがバラン本来の姿なのかと驚くクロコダインに応じるように、バランはこれが竜魔人と呼ばれる姿だと告げる。
 だが、その声音は険しく、抑えきれない怒りが噴き荒れている。
 そして、彼の目は殺気を孕んでどこまでも鋭い光を放っていた――。


《感想》

『竜魔人への変身シーン、予想以上にド迫力ッ!』と言うのが、第一印象でしたっ。
 うわ、まさかここまで人間離れした変身を魅せてくださるとはっ。

 骨格から変化していくトランスフォーム、二色カラーでは伝わりきらなかった肌の色が赤さ、咆哮を上げつつ変化していく化け物じみた獣というインパクト!
 漫画での変身を上回る映像ならではの迫力に大満足です♪

 今回の冒頭シーンで、ヒュンケルの台詞がちょっと付け足されているのに感心しました。

原作ヒュンケル「……オレを殺せば、本当にそいつを見逃してくれるのか……?」
アニメヒュンケル「武器を捨てれば……いや、オレを殺せば、本当にそいつを見逃してくれるのか……?」

 どちらの場合でもヒュンケルは『敵の前で武器を手放す=己の死』という認識を持っているのですが、アニメではそれをさらに分かりやすく表現しているイメージです。ボラホーンの「ワシは気が立っているんだ」の台詞をカットして、付け加えた気持ちが分かります(笑)

 ついでに、アニメではポップが苦痛のあまり小さく唸り続けている声が聞こえ続けているので、脅迫に迫力が出ますね。

 ポップが自分に構うなと訴えるシーンで、ボラホーンが脅して頭を握り込む演出をくわえてあるのもいい感じ。ポップの話のところどころで拳に力を込めているのに、その苦痛に耐えながらも怯まないポップの意志の強さが際立って見えます。

 残念なのが、マァムを思い出す回想シーンが流れなかったこと!
 ワンカットでいいから、マァムの姿が見たかったのに〜っ、最近、全然マァムが出てこないから貴重なチャンスだったのに〜っ! 『聖母だ』のシーンのカットが流れるかと期待しまくっていたのに〜〜っ!!
 
 あ、殺される寸前のヒュンケルの静かな目差しと、ボラホーンの殺意に満ちた凶悪な目の対比は、良かったです! まあ、個人的にはボラホーンのアップをわざわざ増やすぐらいなら、マァムのカットが見たかったですけどね!

 ボラホーンが槍に貫かれるシーン、血しぶきがめっちゃ少なっ!
 そもそも原作ではドバッと血しぶきが上がった直後に、ボラホーンが口を槍で貫かれたシーンがどどーんと登場しているのに、アニメでは表現をずいぶんと和らげていますね。

 串刺しボラホーンをすごく黒が強めのモノクロで表現し、血を明るい青で洗わした色の対比は素晴らしいですが、血しぶきを押さえすぎたせいで迫力が半減しているのがすごく残念です。

 また、原作では血しぶきの動きだけでなく、空を舞う鎖鎌の刃を手前に大きく表現することで静止画にも拘わらず躍動感を出しているのですが、アニメでは手前の刃が省略されているのがちょっと残念ですねえ。

 青空のカットを挟み、ラーハルトの側にポップとヒュンケルが佇む展開は原作通りでしたが、倒れているボラホーンの映像も見せるとは思いませんでしたよっ。

 多少、焦点をぼかしてあるとはいえ、口に思いっきり槍が串刺し状態の死体はいいんですか?(笑) 本当に、ニチアサ基準が分かりません。

 ラーハルトの過去の告白、原作と同様に『混血児』という表現は控えていますね。これもご時世と言うべきか、混血という言葉はいい意味には捉えられないみたいです。

 驚いたのが、ラーハルトの母親がシルエットだけとは言え登場したこと! 原作では全くの未登場だったので、初情報です!
 けど……えっ、ラーハルトんちって結構裕福な家だったっぽくないですか!?

 お墓の墓石も妙に立派だし……うわっ、二次創作ではラーハルトの母親は故郷を追われた流人にしちゃいましたよ(笑) お墓も無縁仏っぽく考えていたんですが。二次創作では良くあることですが、なんかやらかしちゃった雰囲気(笑) ラーハルトの母親って、ソアラ同様にかなり裕福な家のお嬢様だった疑惑が浮上してきました。

 バランもいきなりお墓の前に現れていますし……ラーハルトのお母さんと親交があったってことですかね?
 うむむ、小さい頃のラーハルトとバランの出会いを見ることが出来たのは嬉しいですが、謎はますます深まりました!

 ラーハルトの遺言シーン、ヒュンケルがしゃがみ込んだタイミングが原作とアニメで違っていますね。
 原作ではバラン達のことを頼まれて、ヒュンケルがラーハルトの名を呼びながら側にしゃがみ込んでいますが、アニメでは頼みがあると言われて、初めて彼の側にしゃがみ込んでいます。

 感心したのは、ラーハルトがヒュンケルの手を握りしめるシーン。
 手首を掴むのは原作通りですが、左手だけでなく、右手も被せて引き寄せるような仕草を取っているのはいいですね。
 原作でも最後のコマでラーハルトは両手でヒュンケルの手を握っていますが、アニメの掴み方は死の寸前で力が失われつつある中、死に物狂いですがっている感があって好きです。

 鎧の魔槍の委譲シーン、思っていたのと全然違いました!
 原作ではパッと集中線の一コマだったのが、アニメではちゃんと演出されている〜! しかも、鎧を身につけたヒュンケルが実にカッコイイです! 光り輝く鎧のせいで、後光が差して見える……! 

 鎧の魔剣よりも鎧の魔槍の方がヒュンケルに似合っているとは思っていましたが、イケメン度が思いっきりアップしていますね。っていうか、ラーハルトが着ていた時よりツヤツヤして見えるんですけど!?(笑)

 さらに突っ込むなら、槍、ボラホーンの口に刺さったものなのに、それを身につけるのって嫌じゃないんですかー? って、魔槍の本体部分ってあの槍なのかと思っていたけど、ラーハルトが身につけていた部分だけでも委譲できるって、いったい核はどこにあるんでしょうね?

 ラーハルトの遺言シーンで、ポップとヒュンケルの顔のカットだけでなく、三人での全景で彼がわずかにですが首を動かしているのに感心しました。ヒュンケルだけじゃなく、きちんとポップも見ていた感があっていいです!

 原作では死んだラーハルトを見下ろしながら、ヒュンケルが彼の意志を受け継いだとモノローグで語るのですが、アニメではポップに肩を貸して歩きながら振り返るシーンに改変されていましたね。

 ポップに合わせているのか、めっちゃぎこちない動きがいいです。まあ、この速度で間に合うのかと心配になりますが(笑)

 そして、注目したいのがボラホーンの死体!
 原作ではこのシーンでもボラホーンの口にはぐっさり槍が刺さったままで、ラーハルトは槍を何本持っていたのか疑惑があったのですが、アニメではそこは改変というか修正されたみたいですね(笑)

 レオナが手袋をはめ直すシーン、いいですねえ!
 原作にはないシーンですが、戦い寸前に魔法の発動帯を確認する仕草は、いかにもそれっぽいです。

 クロコダインの顔が斧の刃に映り込む演出や、暗い森の中から光を放ちながら歩いてくるバランの演出など、細かな演出が光っています。
 バランを前にして、クロコダインがふと目を落とす演出もいいですね。さすがのクロコダインもこの状況で弱気になっているのが分かります。

 バランがポップが単身で来た意図を探ろうと、クロコダインやレオナをわざと怒らせるような事を言っているシーン、いいですね。もっとも、それはバランが深読みしすぎなだけで、実際にはクロコダインやレオナのショックを受けまくっていますが。

アニメレオナ「私ったら……彼のことを本気でひっぱたいちゃった……」
 
 回想シーンを入れてのレオナのこの反省の台詞、いいですね! レオナは自分が悪いと思ったら、きちんとそう口に出来る子だと思います♪
 レオナの落ち込んだ表情から、クロコダインの笑い声を聞いていぶかしがる表情の変化も素敵でした。

 クロコダインの泣き笑いのシーン、笑い声に被さるようにモノローグでポップへの思いを語っている演出は、実に良かったです! 
 でも、他人から見たらいきなり笑い出したクロコダインに戸惑うでしょうね。

 バランが「気が触れたか」と聞いていますが、これは旧コミックス版の表記で、文庫版や新装版では「ふれたか」と意味不明語になっていたのを、きちんと元に戻しているのが驚き。
 てっきり、放送禁止用語関係で封印したのかと思っていたのに……!

 バランとの戦いで、クロコダイン、やっぱりカッコイイっ。
 バランの剣を受ける時の、背景を敢えてホワイトで光らせた演出もさることながら、ギガブレイクで来いと挑発するシーンなど、最高ですね!

 戦いの最中に、瞬きと同時に悪魔の目玉を通じてハドラー達が覗き見している演出も、いい改変だと思います!

 それにしても、小さなモニターを見上げるハドラーの切迫感を見て……なぜか、競馬場とかでモニターを見上げつつ馬券を握りしめるおっさんを連想してしまいました(笑)

 ギガブレイク炸裂シーン、雷を表現する白と黄色の色合いや、透過光で画面そのものを光らせる演出は鮮烈でしたが、せっかくのクロコダインの姿が薄れて見えにくなったのが残念です。

 原作ではバランの影とクロコダインの光の演出が際立っていただけに、もう少しモノクロの良さも活かして色合いに気を配って欲しかったですね。

 でも、レオナの回復魔法の綺麗なこと!
 原作では「ズン」という効果音だったのが、アニメでの回復魔法は音まで綺麗ですね。

原作クロコ「姫……助かった……これでまた戦える!!」
アニメクロコ「感謝します、姫。これでまた戦える……!」

 さりげに、アニメクロコダインの方が礼儀正しい紳士だと判明しました(笑) レオナを暴風から守るシーンも良かったですし。
 ところで、無謀すぎるといやいやと首を横に振るレオナが可愛い! あまり子供っぽい仕草を見せない彼女の、貴重なワンシーンでした♪

 地下牢でのメルルの気絶シーン、ポーズはほぼ原作通りでしたが、原作では床に落ちていたゴメちゃんがメルルの顔の上に落ちていました! 顔の真上は止めてあげて!
 ダイの光のない目、雰囲気があっていいですねえ。

 バランのレオナへの警告台詞、改変されていましたね。
 「女を殺したくはないが」はダメだったんでしょうか? それに、あれは忠告と言うより、警告の方が合っていると思うんですけど。

 レオナにライディンがかけられる際、背後から光が溢れる演出が再現されていたのは嬉しい限りです。
 原作では呆然としていたレオナに雷が降りそうになっていましたが、アニメではレオナは必死に走っている感がありましたね。

 ライディンの時は空が曇っていて、呪文の直後に空が晴れる演出もいい感じ。
 ポップのラナルータは雨雲を呼ぶのに時間はかかりましたが、その代わり長く空にとどまっていましたが、バランのライディンやギガディンでは雨雲を呼ぶの早くとも、散るのも早い印象です。

 ヒュンケルとポップの登場シーン。
 ヒュンケル、ポップの腰に手を回して引き寄せていますがっ!? 原作にはない指の動きに、思わず注目しちゃいましたよ!

 ポップの竜騎衆は片付けた台詞を聞いて、どうしても突っ込みたくてたまらないんですが……『いやっ、おまえが倒したのは一匹だけで、後は人質になっていただろっ』と(笑)

 レオナがポップを支えるシーン、ポップの両脇の下へと手を伸ばすようにして抱きかかえ、体勢を整えてあげているのが介護っぽいなと思いました。腕を支えるだけでは危ないので、出来るだけ身体を支えてあげた方が安定感がでるんですよね。

 後にポップに肩を貸すシーンでも、半ば背負うような感じで前傾姿勢になっていますし、ずいぶんと人を支えるのに手慣れている風に見えます。
 しかし、レオナに肩を貸してもらっているポップ、なんとなく手がおっぱいに当たっているように見えるのは邪推のしすぎ……?(笑)

 ところで、悪魔の目玉の破裂シーン、グロくってびっくりしました。え、ええー、なぜにこーゆーのはアリなの?

 さらに、バランの変身シーン、ちょっとジョジョを思い出しましたよ。骨の動きや筋肉の盛り上がりが非常に悪魔的で、ダークヒーロー感が半端ない……! リメイク版のデビルマ○とかも脳裏を掠めました。

 怒りに満ちたバランの荒々しい声の演技も素晴らしいですね。これまでの理性的な威厳ではなく、ワイルド感がすごい!

 次週予告では、ひゅんけるやクロコダインの活躍シーンがなく、ポップの行動をギリギリに隠した展開になっていましたね、ちょっとホッとしました。
 あ、タイトルも『ポップの最後』ではなくなっている(笑) よかった、タイトルでネタバレしない方針にしてくれたようです。

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