『凍れる時間の秘法』(2021.8.6) |
《粗筋》 ミストバーンは拳を握りしめ、ふざけた奴だとわずかに怒りを滲ませる。しかし、呪法の名を知っているからには只者ではないと警戒を見せるミストバーン。 ラーハルト「あの男、何者だ?」 ヒム「なんだ、あいつ、回復要員じゃなかったのか」 ポップは老師を心配し、無茶だと声を張り上げて必死に止めようとする。 マァム「老師……」 心配そうながらも、比較的落ち着いて師を見送るマァム。 ミストバーンの前まで歩を進めたブロキーナは、静かに声をかける。語りかける相手は目の前にいるミストバーンではなく、後ろにいるポップだった。 ブロキーナ「頼んだよ……ポップ君」 ポップへ呼びかける瞬間、軽い口調が真剣味を帯びたものになる。次の瞬間、ブロキーナの身体から白い闘気が立ち上った。傍目からでも目視できる闘気に、ハッと目を見張るポップとマァム。 ミストバーンもまた、闘気を込めた一撃をブロキーナに放つが、彼は上に跳んでその攻撃を避けた。ふわっと空中に飛び上がったブロキーナは、余裕にも一回転を決めた上で、ミストバーンの前に着地する。それも、最初に立っていたよりも近づいた位置だった。 落書きじみた描かれた顔からは表情が読めない。ミストバーンはわずかに不快を見せ、ブロキーナに殴りかかった。それを、大きく跳んで避けるブロキーナ。 頭上のブロキーナに向かって拳を突き上げるミストバーンだが、なんと、そこまで接近しているのに当たらない。逆に、ブロキーナの蹴りがミストバーンの顔を捕らえる。 しかし、全く効いた様子もなく、ミストバーンは手刀で連続的な攻撃を続ける。空を割く直線的な種痘を、ブロキーナは軽々と避けていた。その軽やかな動きにはゆとりがあり、まだ全力を出していないと言わんばかりに常に相手の先手を取り、死角へと避けていく。 その動きの特異性に、ミストバーンも気づいていた。 チウ「す、すごいや!」 クロコダイン「まるで、一本の羽毛を相手にしているかのようだ!」 ラーハルトも、あれほどの動きを習得しているのなら敵に間近にいる方がむしろ安全と納得し、ヒムも格闘の教科書のような戦い方に驚愕するばかりだ。 呆然とそれを見ていたポップは、ヒュンケルに呼びかけられたビクッとする。 ポップ(メドローア……メドローア……おれの、メドローアで……ッ) いつになく緊張しながら、メドローアの予備動作に入るポップ。が、それを見たマァムはポップの肩に手を掛ける。が、カチコチに緊張しまくり、顔を強ばらせているポップは、それにさえ気づいていない様子だ。 マァム「両方ヒャド出してどうすんのよ!? あんたは!?」 マァムに注意され、初めてポップは自分が両手からヒャドを出しているのに気づいて、驚きまくる。ポップがそれに気づいた途端、手から一瞬で魔法は消えた。 鼻水をすすり上げたポップは、情けない顔で自分のプレッシャーを打ち明ける。 俯いたまま、ポップは自信のなさを訴える。 ポップの訴えにマァムは一瞬、沈んだ表情で目線を落とすも、彼女はすぐにポップの腕にしがみつき、強く訴える。 マァム「バカね! それだけ強くなったってことでしょ!? ここまでレベルアップしてきた力を、今使わなくてどうするのよ!?」 老師まであんなに頑張っていると訴えるマァムだが、チウの悲鳴にポップ共々そちらに目を向ける。 その瞬間、ミストバーンは勝ち誇った笑みを浮かべていた。 さすがに驚きを見せるミストバーン。 ブロキーナは、自分の鍛え抜いた枯れ木のようなぼでぃは相手の攻撃を吸収し、受け流すと得意満面に解説する。 おまえの身体は異様に冷たいと、ミストバーンを指さすブロキーナ。 ブロキーナ「あの時と同じだ……十数年前の、魔王ハドラーと戦った時と」 その言葉にポップやマァムだけでなく、ヒュンケルやヒムも驚きを見せる。 その言葉に、さらに驚きを見せるポップ達。 今から17年前のこと――。 凍れる時間の秘法――その名を聞いた驚きのあまり、テーブルを叩いて立ち上がったのは戦士ロカだった。 カップをテーブルに置き、アバンはそれが相手を凍りつかせ永続的に動けなくする呪文だと説明する。凍らされた相手はアストロンをかけられたように身動きが出来なくなり、いかなる衝撃も受け付けなくなる……ただし、アストロンと違って生命活動そのものを止めてしまう。 身を守る呪文ではなく、敵を封印するための呪文だと説明するアバン。 ロカ「……地上の平和……か」 ずっと立ち上がっていたロカが、腰を下ろしながらそう呟く。 数百年に一度と言われる皆既日食の、今日だけ―― 聞きようによっては失礼な褒め言葉に、苦笑するアバン。 アバン「残念ながら、全員というわけにはいきません」 それを聞いて、思わずずっこけて倒れ込むロカ。 ロカがすぐに激昂し、テーブルに強く手を突いて意味を問いただすが、アバンの落ち着きは崩れない。 アバンは、この秘法が完全に解明されていないこと、魔王にも効果があるだけに術者も余波が及ぶ危険性があることを告げる。 彼らから少し離れた場所では、買い物をする平和な町人の姿があった。人の良さそうなコック帽の店主から、紙包みを受けとる女性に、お下げ髪の幼い少女の姿が見える。 そのやりとりを見ながら、平和を勝ち取ってもそれを味わう人がいなければ意味がないと言い、アバンは今回は自分に任せてくださいと言い切った。 若い者達のじゃれ合いを呆れたように、だが、どこか微笑ましげに眺めているのはブロキーナとマトリフだった。 アバンを突き飛ばし、今まで通りに全員で戦うように主張するロカ。荒々しい態度だが、アバン一人を犠牲にするのを嫌がる思いに溢れている。 アバン「それができないんですよ、ロカ」 さらに怒りをヒートアップさせるロカに、アバンは芝居がかって手を広げて言ってのける。 アバン「ニブいですよねえ、あなたも。自分の愛する女性のことぐらい、気遣ってあげなくては」 それを聞いて、思わず変な声を上げ、気をつけの姿勢で硬直するロカ。 頬を真っ赤に染め、互いに目を見交わし合うロカとレイラ。 ロカ「しっ……知っていたのか、オレ達のこと……」 が、ロカはハッとしたように、手を大きく前に伸ばして言い訳する。 ロカ「ちっ、違うんだ、オレは別に、こんな女、本気で好きになったわけじゃあ……」 レイラ「こんなぁっ!?」 不満げに叫ぶレイラに、ロカは力強く頷く。 ロカ「ああっ!」 が、その直後、顔を強ばらせて両手を振り、今度はレイラに向かって慌てて言い訳しようとする。しかし、その途端、半目でロカを見やるアバンから、半分は遊びだったのかとツッコまれ、さらに言い訳しようとして言葉に詰まり、ドツボにはまる。 アバン「いけませんねえ、責任取らなきゃ。パパになるんだし」 ロカを指さし、陽気にウインクするアバン。 その瞬間、ロカの延髄に手刀が打ち込まれる。 ロカ「……て、てめ……え……」 いつの間にか近づいていたアバンを睨みつけ、そう言ったのを最後に気を失ってその場に倒れ込むロカ。 レイラは、アバンに自分達の子供のことを知っていらっしゃったのかと、恥じらいながら聞く。まだ、ロカにも言っていなかったと言うレイラは、地面に座り込み、気絶したロカを膝の上に抱きかかえていた。 アバンは、ロカが昔から不器用で意地っ張りだという話をし、手のかかる相手でしょうがよろしくおねがいしますと、彼のことをレイラに託す。 マトリフ「ああいう奴さ」 アバンの後ろ姿がまだ遠ざからないうちに、木の上からマトリフが降ってきて、ピタリと着地する。 マトリフ「てめえだって十分ニブいくせによぉ」 アバンの背中を見ながら、マトリフは皮肉を言う。 マトリフは気楽な口調で、任せろという。自分には泣く家族もいないし、なるべくアバンをくたばらせないようにしてやる、と――。 マトリフ「女を泣かさねえのがオレの主義なんでな……」 茶目っ気を見せてそう言った後、マトリフはいつになく素直な笑顔を見せる。 マトリフ「いこーぜ、ブロキーナの大将」 歩き出したマトリフの後ろに、ブロキーナが身軽に木から飛び降りた。1度振り返り、無言でレイラに片手を挙げたブロキーナは、マトリフを追って歩き出す。 仲間達の旅立ちを見送るレイラの目が潤み、涙がこぼれだした。俯いたレイラの頬を、大粒の涙が転がり落ちる。 砂塵荒れ狂う無人の荒野を、連れだって歩くアバン、マトリフ、ブロキーナ。 ブロキーナ「ワシはいいよ〜ん」 アバン「またまた〜」 が、すぐに真顔になり、一瞬でもいいから魔王に隙を作ってくれるようにと頼むアバン。それができるのは、世界一の武闘家と呼ばれたブロキーナだかだと考えている。 少し考え込む素振りを見せてから、ブロキーナは自分自身を指さし、おどけた声でマトリフに話しかける。 ブロキーナ「もしかして、ワシって有名?」 マトリフ「ああ。きっとオレと並んで世界有数の高名老人だね」 そう言っておかしそうに笑うマトリフだが、不意にその目が鋭く引き締められる。 マトリフは雑魚はまとめて自分が片付けると、不敵に言い切った。真剣な表情で前を見つめていたアバンは、無言で小さく頷く。 ブロキーナ「ほぉお〜」 一斉に空に飛び上がり、こちらへと歩を進めてくる怪物の大群が目の前には広がっていた。その中央には黒いローブ姿の男――魔王ハドラーがいる。 ハドラー「フフ……ッ」 不敵な笑みを浮かべ、堂々と待ち受けているハドラー。 空に浮かぶ太陽は、この時、すでに欠け始めていた。 ハドラー「フッ……ンッ!」 途端に、怪物達が一斉に襲いかかってきた。 牙を振り立てて襲ってくるキラーパンサーを、マトリフは冷徹な表情で見つめていた。 まともにその直撃を食らったキラーパンサーは悲鳴を上げて吹っ飛ばされた。 ブロキーナは、その時には魔王ハドラーに格闘戦を挑んでいた。 ハドラー「ぐぉっ!?」 空に浮かぶ太陽は、いつの間にか三日月のように細く欠けていた。しかし、まだその明るさに陰りはなく、怪物達がそれを警戒する様子もない。 マトリフは二発目のバキクロスでキメラ達を一掃する。 通常の魔法とは比べものにならない魔法力は、緩やかな帯のようにくねりながら空へと立ち昇った。 今や黒円となった太陽から、周囲に白いフレアが強く輝く。 ハドラー「ぬをっ!?」 暗い闇に閉ざされた世界の中で光を放つ存在は、金環蝕の太陽と地上にいるアバンだけだった。 靄のようだった輪は、凜とした光を放つ真円となり、アバンの頭上に輝く。 アバン「凍れる時間の秘法!」 アバンが両手を前に伸ばすと、輪は真正面にいたハドラーの頭上まで一直線に飛ぶ。そして、彼の腰の位置まで下降したかと思うと、次の瞬間、締めつけるようにその輪の幅を狭めた。 一瞬の出来事に、さすがのハドラーも手の打ちようがなかった。 ハドラー「うぉおっ!?」 悲鳴を上げるハドラーの胴から、ジワジワと凍りついていく。だが、前に伸ばしたアバンの手もまた、指先から凍り始めた。 アバン以上に、ハドラーの凍り方の方は早かった。すでに彼は心臓部分まで凍らされかけていた。驚きに目を見開き、悲鳴じみた声を上げるハドラー。 ハドラー「うぉおおっ!?」 アバンも苦痛に呻きながら、術を施行する。アバンの氷の範囲は肘にまで達し、見る見るうちに肩へと広がっていく。 ハドラー「ぐぁあああああっ!」 顔付近まで凍りついたハドラーが、断末魔を挙げる中、アバンも苦痛に顔をしかめながら必死に術を操っていた。 最後の瞬間、彼の脳裏をよぎったのは、穏やかに微笑みかけるフローラの姿だった。 しかし、他人の目からは世界は暗闇に閉ざされていた。
凍りついた魔王と勇者の頭上で、太陽が先程とは正反対に満ちていき、輝きを取り戻す。立ちすくんだまま、それを見つめているマトリフとブロキーナの後ろ姿。 ブロキーナ「こうして、勇者がもたらしたつかの間の平和が訪れた」
その場にいる者は、誰もがブロキーナの話に聞き入っていた。ミストバーンすら、攻撃の手を止めてジッと耳を傾けている。 わずかに振り返り、ブロキーナはそう告げる。 ポップ(そうか……! 老師も、アバン先生のパーティーの一員だったのか) 真相を知り、拳をぎゅっと握りしめるポップ。 ミストバーンも、老師の説明に納得している様子だった。 ブロキーナ「ふっふ〜ん♪」 ポップは凍れる時間の秘法なら、相手は封印されているのではないかと戸惑い気味に尋ねる。術がかかっているなら身動きできないのではと疑問を持つポップに、ブロキーナは自信満々に否定する。 彼は秘法の力を戦闘に応用しているのではないかと、ブロキーナは判断した。 ブロキーナの説明を、仲間達は真剣に聞き入っている。 その結論に、ポップ達は全員そろって息をのむ。 ポップがマトリフから受け継いだ呪文だけは、例外だと語るブロキーナ。 マァム「極大消滅呪文……」 ポップ「メドローア!」 ブロキーナは、力強く頷く。 ブロキーナ「うん!」 その時、ミストバーンが前に動き出した。 動く気配のないブロキーナに、ミストバーンは拳を振り下ろす。 身体をぐらつかせるほどの一撃に、ミストバーンも驚きを見せる。 ブロキーナ(ほんの一瞬だけでよい……あの日の力よ、蘇れ!) ビースト君の格好をしたままの老師の姿に、ハドラーと戦った時の姿がダブって映る。 ブロキーナ(今再び、次なる世代を救うために……!) ブロキーナの身体から、白い靄のように闘気が立ち昇る。ふんわりと床に着地した老師は、すかさず床を蹴ってミストバーンに攻撃を仕掛けた。 ダメージはなくとも、その勢いでミストバーンの顔が歪み、打たれるままに後ろへと下がらされる。 拳と蹴りを織り交ぜ、息も着かせぬ猛攻を続ける老師の強さを、初めて知るマァム。 マァム「ポップ!!」 ポップ「……メラメラやる気が湧いてきたぜ。こいつは絶対はずせねえ!」 気合いを入れるポップの手で、二つの魔法が一回り大きくなる。 先生の仲間達がむちゃくちゃに凄かったのだと思い知り、彼ら先輩のおかげで自分達が生まれてきたんだと実感したポップは、ようやく踏ん切りがついた。 ポップ「ここで決められなくて、なにがアバンの使徒だッ! やってやる……死んでもこのメドローアを、奴にぶちあててやらぁ!」 ポップの手に、光の弓矢が出現する。 ヒム(……立ち直りの早ぇ奴だ。このしぶとさが、なんともアバンの使徒よ!) ポップを見守るヒムもまた、その口元に満足そうな笑みを浮かべている。 ポップが準備を調えている間も、ブロキーナとミストバーンの戦いは続いていた。反撃に出たミストバーンの攻撃を、空中をくるりと一回転して躱すブロキーナ。 攻撃を受け続ける立場なのは変わらないが、ミストバーンはブロキーナの動きについて行けるようになっていた。ブロキーナの攻撃を腕で受けながら、反撃の拳を打ち込む。 ミストバーン「無駄な攻撃をいつまで続ける!」 ミストバーンの拳を、ブロキーナは空中で身体を反転させ、ふわりと避けた。 ミストバーン「おのれっ!」 老師の奮闘の間に、ついにメドローアの準備が整った。 マァム(老師……ッ!) ブロキーナ「おおう?」 ミストバーンとの対決の最中なのに、顔をポップ達の方へ向けたブロキーナは、ミストバーンの拳を避けるついでに彼を蹴飛ばし、その反動で後方へと飛んだ。 ブロキーナ「武神流、土竜昇破拳」 ブロキーナが手を突いたところを中心にして、波紋のように衝撃波が輪となって広がっていく。 マァム「ポップ、今よ!」 ポップ「え?」 マァム「あの技は地面を拳圧で操るの! 床が爆発して、ミストバーンの身体が宙に舞うわ!」 ミストバーンの方へ進む衝撃波を見て、気合いを入れるポップ。 ポップ「おし!」 だが、衝撃波はミストバーンの足元でフッと消えた。一瞬、彼の衣をゆらすが、それだけだった。 ミストバーンはかすかに笑みを見せる。 襟首を掴んで、完全にブロキーナを宙に持ち上げるミストバーン。それを見たマァムは、思わず前へと進み出て師の名を叫ぶ。だが、それ以上は不用意に動けない。 ミストバーンはゆっくりとポップの方に目を向け、あの呪文なら確かに自分を倒せる可能性があると呟く。 ブロキーナ「あっ!?」 急に動かされ、小さく声を上げるブロキーナ。 ミストバーン「せっかくの起死回生の策も、これで終わりだな。それとも、こいつを犠牲にしてまで放つか?」 師を心配し、悲痛な声で叫ぶマァム。 歯を食いしばり、ミストバーンを睨みつけるポップ。その間も、魔法の弓のコントロールは乱れなかった。 ポップ「……分かってますよ、老師」 覚悟を決めた顔で、ポップはそう応える。驚き、ポップの方を向くマァム。 ミストバーン「ハッタリはやめろ」 ブロキーナをさらに高く掲げて、自分の顔や胴を完全に隠すようにしながら、おまえ達正義の使徒にそんな真似は出来るかと問いかけるミストバーン。 ポップ「出来るさ! 今のおれになら、出来る!」 揺るぎない決意を込め、きっぱりと言い切るポップ。そして、一瞬、目を伏せた。 ポップ「そして今度は……おれ達の勝ち取った平和を、老師や先生に味わってもらうんだ!!」 再び目を開けて、そう言い放つ。その言葉に、疑問を覚えるミストバーン。が、その時にはもう、ポップはメドローアを発射していた。驚愕に目を開く仲間達の目の前で、光の矢が一直線にミストバーンに向かう。 が、地面に手と膝を突いたポップは、全身から魔法力を光らせてルーラを唱えた。驚くマァムの隣で、ポップは魔法の光を巻いてその場から飛びたった。 空中で、得意そうにミストバーンを見下ろすポップ。 ヒュンケル(あれはかわせん!) ヒム(当たれ……っ、消えちまえ!!) 声を出さないまま、声援するかのように口を大きく開けるヒム。 クロコダイン(勝ったぞ!) どこまでも落ち着いた表情のまま、光に飲まれようとしているミストバーンの右手が、ふいに強く握り込まれた。動かされた手は炎を纏って無造作に光のを払いのけた。 払われた光の方向には、未だ空中に浮かんだままのポップとブロキーナがいた。 一瞬、視界が真っ白に染まる。 轟音と土煙の中、マァム、ヒュンケル、チウは、頭を守るように身を縮めた。が、ヒムやクロコダインは上を見つめている。 マァム「っ!?」 そこには、何層もの分厚い壁を円形にくり抜いた痕跡があった。 大きく見開かれたマァムの目は、焦点を失いかけていた。引きつった表情のまま、マァムは口走る。 マァム「老師……ポップッ……!!」 その呼びかけに、返事はない。 ヒム「消えちまった……」 誰もが、言葉をなくして頭上を見上げていた。 《感想》 ポップの活躍もさることながら、今回は若き日のアバン達の冒険が垣間見られて嬉しい限りです♪ ビースト君が歩く際、ペタペタと足音が入っている細かさに驚きました。っていうか、あんなに音がするなんてもしや脂足!?(笑) さらに、バーンパレスの石畳が、思いっきりツルツル仕立てなのではないかという疑惑が浮かんできましたよ! 普通のザラついた石なら、裸足で歩いてもあんな音がするとも思えませんし。……さすが大魔王バーンの居城、無駄に豪華さが行き届いていますね(笑) ラーハルトとヒムの台詞は、アニメの改変です。 ポップが心配して老師に呼びかけるシーン、手を伸ばして止めようとしているのは同じでも、原作では左向きの顔だったのが、アニメでは真正面を少し上から見下ろしたような構図になっているのが新鮮でした♪ ここで、マァムも老師に呼びかけるのはアニメの改変ですね。 ポップはブロキーナの実力を知らず、前に一度会った程度ですがマァムやチウにとってはいい師匠という認識なので、知り合いの老人として心配しているように思えます。 ブロキーナがポップに頼むというシーン、軽めの前半と、本気の感じられる後半の声音の落差がカッコいいです! ミストバーンの攻撃を避ける際、老師がふわっと跳び上がるのは原作通りですが、原作ではそのままストッと着地しているところを、アニメではクルッと回転する余裕を加えています。さすが老師! 原作でもひょいひょい敵の攻撃を避けているブロキーナ老師ですが、アニメでは動きが想像以上にふわっとした印象で実に良かったです。 原作ではこの時のブロキーナの蹴りは、単に相手に触れている程度の軽い動きに見えましたが、アニメではそれなりに力がこもっているように見えます。にしても、ブロキーナ老師の活躍はカッコいいのですが……足のリアルさがやっぱりイヤん(笑) チウとクロコダインの台詞、一部削られていました。 原作チウ「す、すごいや! 全然、敵のパンチが当たんない!」 原作クロコダイン「まるで流れる水……いや、一本の羽毛を相手にしているかのようだ……!!」 正直、チウ君の台詞カットは惜しくないのですが、クロコダインの台詞はフルで聞きたかったですよ〜。 ここはそんなに気にならないのは、やっぱりクロコダインとラーハルトに対するファン度の差なのかもしれません(笑) 好きなキャラには、チャンスあらば出来る限り喋って欲しいんです! ポップがヒュンケルに呼びかけられる寸前、ぼーっとブロキーナの戦いを見ている横顔、いいですね。ここもアニメの改編です♪ クロコダイン、ラーハルト、ヒムなどはブロキーナの格闘術の高度さが分かるからこそ驚いていましたが、魔法使いのポップにしてみればレベルが違いすぎてその凄さを理解し切れていない感じに見えます。まるで手品でも見せられているような驚きっぷりで、すごく気に入った改編でした。 ポップのメドローア準備の動きや表情が細かく改変されていたのは、嬉しくも楽しかったです♪ ポップが弱音をマァムに打ち明けるシーン、アニメのマァムの表情がハッとしたような表情に見えたのが、嬉しかったです。 原作では、この時のマァムは戸惑いが強くでているように見えて、彼女にとっては、ポップのこのプレッシャーを全く理解できていないようなイメージでした。 ポップが愚痴っぽくダイやヒュンケルの話をするシーンで、ポップとマァムの後ろ姿だったのも、いい感じでした♪ 原作ではポップとマァムのみの会話だったように見えたので、仲間達はこれをどう聞いていたのか分からなかったのが残念だったんですよ。 ヒュンケルやクロコダイン、ラーハルトやヒムは真顔で、『何言ってんだ、こいつ』と思いつつも敢えて沈黙している感じなのに対し、チウがちょっと心配そうで『その気持ち、分からんでもないな』と言わんばかりの表情なのが面白かったです。 マァムとは違う意味で、ヒュンケル達にはポップの悩みを理解できないだろうな〜と思えちゃいます。ヒュンケル達にとっては、ポップの勇気や思い切りへの評価は高いでしょうしね。彼らの視点では、ポップのこれまでの戦いを見ているからこそ、ここで彼が怯む理由が分からないでしょう。 ここで、唯一ポップの弱気を理解してあげられるのは、逃げだし野郎だった頃のポップを知っているマァムだけだと思います。 で、チウ君に言ってしまいたい! マァムがポップを励ますシーンの表情の変化も、細やかでいいですね。一度、目線を落とす表情がお気に入りです。ようやくポップの言いたいことを理解して目を落とし、それでも必死に訴えるマァムが実に可愛いですよ♪ 叱責ではなく、ポップに頼み込むような訴えになっているのが、マァムの中でポップの評価が変わった結果だと思えます。 ミストバーンがブロキーナにパンチを連発する際、肩の動かし方がなんかすっごくボクサーっぽく見えました(笑) 原作ヒム「……ダメだッ! 死んだ!!」 老師が『ぼでぃ』自慢する時の背景、思いっきり子供のクレヨン画のようでした(笑) 原作では、小洒落たトーン背景だったのに……チウと老師って、落書き背景率が高いですね。 説明時、腕を揃えて振り回しつつ踊るようにして解説していたブロキーナ老師ってば、お茶目さん♪ 魔王ハドラーの名を口にする時、ブロキーナの顔に思いっきり影が入る演出、ホラーっぽくて怖かったです〜。なまじ人形めいた黒丸の目だけに、影を思いっきりつけると一気にホラー色が増しますね。 ブロキーナがハドラーの名を出した際、原作ではポップ、マァム、ヒュンケル、チウが驚いていますが、アニメではポップ、マァム、ヒュンケル、ヒムが驚いています。 ブロキーナが魔王と一回だけ戦ったことがあると言うシーン、左右逆転しています。 アバンの名を聞いて、今度驚いたのはポップ、マァム、ヒュンケル、クロコダイン、チウでした。原作通りですが、よく考えたらチウはアバン先生とは直接面識がない気がします。まあ、マァムやダイ達がアバンの使徒だとは知っていたから、アバンに憧れを持っていたのは間違いなさそうですけどね。 ブロキーナのアップから、昔の風景をスライドさせるシーンチェンジ演出、いい感じでした。 そこから、焦点が合ったように通常のカラーになったのもいい演出でした♪ ロカが登場時、珍しく『戦士 ロカ』のテロップが流れていました。 しかし、ピンクの髪に赤い鎧って……(笑) いや、マァムとある意味でおそろいですけどね♪ 『勇者 アバン』『僧侶 レイラ』のテロップも流れていました。 よく見ると細かい差はあるのですが、全体的なカラーや印象がよく似ています。原作では色がなかったので、似てると気がつきませんでしたよ〜。 アバン先生達が飲んでいるのはてっきり珈琲かと思っていたのですが、アニメだと色が薄い茶色で、紅茶っぽい感じでした。新発見! 説明途中の、ロカの台詞と腰を下ろすシーンはアニメの改変ですね。原作のロカはずっと立ちっぱなしです(笑) 原作ではロカはすぐに喜んでいましたが、アバン外伝漫画を見た後となっては、アニメのように少し悔しさを感じつつも、すぐに気持ちを切り替えて明るく振る舞う姿の方がロカっぽいなと思えました。 三人そろって空を見上げるシーンは、アニメの改変ですね。気が合っている仲間という感じがして、好きです。 原作でもコマの片隅で小さーく表現されていましたが、アニメでも再現されているのが嬉しくて溜まりません♪ 拳を上に突き上げるロカを上から見た構図、思いっきりバースのついた大きな拳と言い、謎の決意表明的な表情とポーズと言い、まるで少年漫画の表紙のよう(笑) 勇者以上に勇者なポーズだと爆笑しました。 ロカのずっこけシーン、原作ではずるっと足を滑らせるシーンでしたが、アニメではスッ転んで背中を地面にぶつける形でコケていました。 怒ってアバンに問いただすシーン、原作ではロカは握りこぶしを握っていましたが、アニメでは両手をバンとテーブルに叩きつけていますね。 アバン先生が秘法の説明をするシーンで、組んだ手が映るシーンがありましたが、そこに映っているカップが気になります。 遠景では色から紅茶と判断しましたが、アップで見ると上澄み部分がほぼ透明、中間位置が薄い茶色で、下の方が濃いめの焦げ茶になっています。 余り詳しくないですが、世界には沈殿するタイプの茶を上澄みだけ飲むようにする文化もあると聞いたことがあるので、ダイ大世界のお茶類もそういうタイプなのかなと想像するのは楽しいです。 さっきまで無人だった店先に、店主とお客さんが突然出てきたのには戸惑いましたが、いかにも平和な光景っぽくてほのぼのします。紙袋で商品を渡すシシテムは、なんだか昔の買い物風景っぽくていいですね。 あの紙袋がコロッケのようなものだったとしたら、お客が注文しておいて後で取りに来たのかなと推察。 このシーンはアニメの改変ですが、町の人を見やるアバンの横顔がなんとも優しげで、お気に入りポイントです。 アバンの決意を聞くなり、アニメのロカは相手の襟首を掴み怒鳴っています。原作では怒鳴ってからつかみかかっているので、アニメの方が手が速いですね(笑) ロカの怒りまくる台詞、原作よりも明らかに長いのでアレンジが入っていそうですが、師匠らの台詞に被さってよく聞こえないのが残念! アバン先生の飄々とした暴露シーンも良かったですが、ロカとレイラが恥じらうシーンが実に初々しくって可愛らしかったです♪ アバン先生がそんなロカを見てくすくす笑うシーンが見られなかったのがちょっと残念ですが、ロカとレイラに絞ったカップルのやり取りが絶妙に面白かったです! ロカの言い訳シーン、目を閉じて片手を前に突き出しての言い訳が、歌舞伎の大見得っぽくって楽しかったです。 顔を引きつらせてジト目で睨みつけるレイラの顔も、いい感じです♪ レイラはマァムに比べて、崩れた顔の少ないしとやかな美女キャラ立ち位置なだけに、彼女の素が垣間見えるこのシーンは貴重です! ……まあ、その後の獄炎連載で、レイラのイメージは思いっきり激変するわけですが(笑) アバン先生の皮肉めかしたジト目もいいですね♪ 気絶したロカをレイラが抱きかかえるシーン、アニメでは木の下に木漏れ日がこぼれ落ちる描写がすごく綺麗でした! 正直、この辺りの下りは子供向けとは言い難いだけにカットされるんじゃないかと心配していたのですが、全部そのままやってくれたことにホッとしました。 アバンの背中にダブって見えるフローラ様、お召し物がっ。原作ではてっきり、襟の詰まったドレスと思っていたのに、アニメでは胸の谷間が見えてしまいそうなほど、大胆に襟ぐりの深いドレスだったことにびっくりです! ブロキーナ老師と颯爽と去って行くマトリフ師匠、カッコいい……! 久々のマトリフ師匠、台詞回しがすっごく渋くて感動しました。ブロキーナ老師の台詞は少ないですが、飄々とした感じが気に入っています。実力派で意外に茶目っ気があるという同じようなくくりの年配者なのに、マトリフとブロキーナの声の印象がガラリと違っているのがいいですね。 そう言えば、マトリフのブロキーナへの呼びかけが、原作では「大将」と書いてブロキーナとルビが降ってありましたが、アニメでは呼びかけそのものをを変更していました。 旅立つアバン達を見送るレイラのシーンで、CM突入。余韻を残す、いい切り替えだと思いました。 CM後は原作通りにハドラー戦のお話に。 バーンのいる死の大地が陰鬱な曇り空に尖った岩山だらけなのに比べると、幾分かは牧歌的な気がします。 ただ、マトリフとアバンの台詞がカットされたのは残念。 原作マトリフ「ヘッ!! おまえもよくよく運のねぇ奴だよな、アバン。最後のパーティーが、野郎一人とジジイ二人とは……」 原作アバン「私はかまいませんが……」 このやりとり、めっちゃ好きだっただけになくなったのは残念でなりません〜。しかし、このパーティー、平均年齢が凄いことになっていそうですね(笑) でも、ブロキーナ老師は年齢不詳な上、ハドラーを殴る腕などは皺一つなく筋肉も程よくついていたので、案外若いのではないかと思えてなりません。ノヴァのように、白に近い髪もこの世界では珍しくなさそうですし、目を隠しているせいで年齢が読めないんですよね。 敵の待ち伏せシーン、キメラやヒクイドリ、サイクロプスに暴れざる、リカントにマタンゴ、ゴーレムと、DQ1を意識したモンスターばかりなのに感心……しようと思ったら、なぜにヒクイドリ!?(笑) でも、原作のこのシーンをよーく見てみたら、ヒクイドリは存在しない物の、DQ1以外の怪物も含まれているので、大差はない気はします。そういえば、暴れざるやマタンゴもDQ1じゃなかったですね。 ブロキーナが一言、感心したような声を漏らすのはアニメの改変ですね。原作では無言です。 アバンが自分の未熟を思うシーンで、太陽が欠け始める描写が挟まれたのはアニメの改変ですね。原作では、このタイミングでは太陽は眩く輝いていました。 ハドラーが怪物達に号令を出す動きが、手を下から上へ軽く持ち上げるような動作だったのが、余裕や優位を感じます。 アバン先生の隣をブロキーナが追い越してジャンプするシーンの改変、いいですね! 原作では、老師は四つん這いっぽいポーズでジャンプしているように描かれているのですが……正直、このポーズはかっこよくなかったので(笑) マトリフに襲いかかってきたキラーパンサーには、ビックリ! つい『え、なぜゲレゲレが?』と思っちゃいました(笑) マトリフ師匠のベギラマ、バギクロスの二連発を見られたのは嬉しかったです! せっかくの集団魔法なんだから、複数の敵をまとめて吹き飛ばして欲しかった気もしますが、原作ではここで使っていた呪文が特定しきれなかったのでバギクロスと分かったのは感激です。 これでマトリフは、ギラ系、イオ系、バギ系の呪文を極めているのが明確になりました。さすがは大魔道士です♪ 一度目のバギクロスは腕を×の字に交差する形にして放っていたので、最初からバギクロス二連発を想定した動作だったのかな、と予想。 アバンの魔法力の放出、めっちゃ綺麗でした! 上下は逆のたとえになっちゃいますが、アイスコーヒーにミルクを落としたように、緩やかに沈みながら周囲の色を帯状に色を変えて染めていくかのような変化が良かったです。真っ白ではなく、わずかに虹色を帯びているのが、また美しい……! 金環蝕の表現も、実に綺麗でした♪ ホラー映画ならともかく、アニメでものすごく明度を落として画面を暗くする演出は、何が映っているのか分かり憎くなるので余り好きじゃないのですが、明度を極端に落とした場合は、キャラはいっそ真っ黒に染めた方が見やすいものだと感心しました。 アバンが手を広げたポーズの際、魔法力が輪を作るのもアニメの改変です。 それにしても魔王ハドラーの久々の登場なのに、声がものすごく控え目なのが寂しい……。せめて一言でも、魔王っぽい台詞を聞きたかったです〜。 後、ブロキーナ老師……あの暗闇にサングラスじゃ、見えにくくないですか?(笑) 回想シーンでのロカとレイラが、黄色い背景に点描っぽい丸が描かれていたのに対し、フローラ様の背景は点描は同じでもピンク色でした。 ……ダイはこの手の回想シーンには、常にお姫様よりも後に親友を思い出しているのですが、そこら辺がやっぱりお子様な感じがします(笑) いや、それでこそダイだと思いますけどね♪ アバンとハドラーの時間が止まった後、皆既日食が終わる描写が細かくていいですね! 後ろ姿しか見せない二人の老人が、自分よりもはるかに若い勇者の犠牲をどう見つめているのか……ロマンを感じます。 その後のポップのモノローグが、改編されていました。 原作ポップ(先生の助っ人をした事があったなんて……!!) ミストバーンの前で、老師がちょっと得意そうにしているのが可愛い♪ 老師の説明を聞く際、ラーハルトとヒムがものすごく真剣な表情で聞いているシーンがあったのは、アニメの改変ですね。 原作では老師だけしか出てこなかったシーンですが、ポップやマァム、ヒュンケルやチウ、クロコダインも真剣に話を聞くシーンが入っていたのも嬉しかったです。 アストロンには勝てないとジト目になっているポップの表情、面白くて笑っちゃいました。 メドローアの開発秘話を語るシーンで、凍りついたアバンと、メドローアを放つマトリフの回想がでてきたのが嬉しかったです。ここも、アニメの改変ですね。 原作ではポップとマァムは隣り合ったまま『メドローア』と同時に思い浮かべていましたが、アニメでは漫画のコマのように画面を二分割し、呪文名を二人で分けていました。 ミストバーンの攻撃が当たる寸前、ブロキーナの目が光るシーン、アニメだとめっちゃ派手でなんか怖っ! そして、言いたいです……ミストバーンの顔をぶん殴るシーン、なして下から上を見上げる構図に!? ブロキーナ老師の、見えそで見えない服の裾のひらめきなどは、望まないサービスだったんですが!? ついでに言うと原作では顔にやや腫れが見えて結構痛そうな攻撃だったのが、アニメではミストバーンの顔はやたら綺麗でした。 老師が力が蘇れと思うシーン、原作ではハドラーと戦う姿が回想として映っていましたが、アニメでは当時のサングラス姿の老師の姿の幻と、今のビースト君が重なるという演出でした。 ポップが立ち直って魔法を生み出すシーン、原作では横顔だったマァムが正面向きになっていたのが嬉しかったです♪ ポップのやる気を見て、戸惑いの表情から喜びの表情に変化するマァムは、大歓迎です♪ 原作では即微笑んでいましたが、アニメならではの表情変化はやっぱりいいですねえ。 ポップがメドローアを生み出した際、ヒュンケルが目を閉じてフッと笑うドヤ顔はアニメの改変ですね。 ミストバーンが「おのれ」と苛立つシーンは、アニメの改変ですね。 ポップが弓の準備を調えた後、仲間達のカットが入りますが、ここのシーンの台詞がカットされていました。 原作クロコダイン(この一撃にオレ達の命運がかかっている……!!) 原作ラーハルト(無念だが……他に手はない……!) 原作ヒム(頼むぜ!) 原作チウ(はずすなよォ〜〜ッ!!) 原作ヒュンケル(……いけっ! ポップ!!) ……ラーハルトとチウ、ポップのことを信用してませんね(笑) 老師の土竜昇破拳の動き、思っていたよりも変な動きでした。空中で一回転するのは原作通りなんですが、なんか落下する動きに逆らうような一回転の仕方ですね。 マァムの説明は、大幅に変わっています。 原作マァム「ポップ、今よ! ミストバーンの身体が宙に舞うわ!」 原作マァム「地面を拳圧で操るのが武神流土竜拳! 火山が噴火するように、床が爆発して敵を宙へ飛ばす技よ!!」 原作でも、台詞の重複などがあるなと思っていたので、形容詞を抜いてすっきり仕上げ直した感じです。 ミストバーンが衝撃波を消滅させるシーン、原作では足を少し踏ん張り、床石が割れる音がする演出でしたが、アニメではミストバーンに衝撃波が到達したらフッと消え、足元から衣へと少しピンクの波が動いたのを最後に消えています。 ……あの波に、スカートめくり的な勢いがなくて良かったです(笑) ブロキーナが不発を悟るシーン、落書き顔の中央に少しだけ影を落とし、冷や汗を掻かせることで、焦っている彼の心理がにじみ出すのはいい演出ですね。『不発』の台詞が情けなくて、なんとも可愛いです♪ そういえば、ビースト君の顔は、単純かつシンプルな顔にも関わらず、眉毛はカケアミ、目と口はトーンという、漫画としては手のかかる構成になっていましたが、アニメでは目も口も真っ黒です。 ミストバーンの台詞『メドローアを決める隙を狙っていたのか』の部分がカットされています。この呪文を受けて『あの呪文なら〜』の台詞に繋がっていたので、前半部分をカットするのなら「あの呪文」ではなく「メドローア」に台詞を変更した方がよかったんじゃないかなと思いました。 にしても老師、あんなにすごいのに捕まる時はあっさり(笑) ミストバーンの台詞、原作では『起死回生策』だったのが、アニメでは『騎士再生の策』に改変されていました。これ、目で見るとほぼ印象は同じですが、言葉で聞くと「の」を入れた方が聞き取りやすいので納得の改変です。 ミストバーンの人質作戦、真上から見た構図が追加されていたのが嬉しかったです。時折挟まれる俯瞰図だと、キャラの位置関係がよく分かっていいですねえ。 ポップの決意のシーン、いいですねえ。 自分になら出来ると強く言う台詞も、先生や老師達に平和を味わってもらうという台詞も、力強くで心に響きました。 メドローアを撃った一瞬だけ、ふわっと時間の流れがスローモーションになるかに見えた演出もいいですね! 原作ではチウの「ほ! ほ! ほ!! 本当にうったぁ!」の台詞がありましたが、アニメではカットされていました。……まあ、せっかくのシリアスを崩したくないですもんね(笑) また、原作ではポップがメドローアを撃った後でミストバーンが老師を盾にする角度を変える動きを見せますが、アニメでは驚く表情を一瞬見せただけでスピード感がいい感じです。 ポップのクラウチングスタートシーンや、老師奪還新シーン、左右逆転しています。 原作では、ヒム、マァムが上からの俯瞰気味の構図で驚いていましたが、アニメでは隣にいたマァムを大きく描き、驚かせている演出が気に入りました♪ 空中でニヤリとするポップのドヤ顔、いいですね。そして、老師がヒロインポジションで寄り添っています(笑) 原作では、ポップがミストバーンの頭を蹴飛ばしたタイミングで、ラーハルトとマァムが、ポップがルーラでメドローアを追い抜いた解説をしていましたが、そこはザックリとカットされています。 ヒュンケルとヒムのモノローグは、ちょっとスローモーション風の動きなのが良かったです♪ クロコダインも原作では『あの体勢では絶対によけようがない』だったのが、アニメでは『勝ったぞ』と、分かりやすく負けフラグを立てています(笑) メドローアを払いのけるシーン、真正面から、真横から、斜め上からの角度で三回繰り返して表現していました! ヒムは金属生命体だから目まで丈夫そうだし、クロコダインはワニだとしたら、眼球を保護する瞬膜が備わっている設定なのかなと思いました。 ショックを受けた時のマァムの目が、薄い茶色で表現されていたのが見ていた楽しかったです。 予告、いきなりキルバーンから始まるとは意表を突かれました(笑) |